JP2003070492A - ヌートカトンの製造方法 - Google Patents

ヌートカトンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 純度が高く、優れた香気を有するヌートカト
ンを、非常に高収率、かつ高選択的に得ることができ
る、ヌートカトンの製造方法の提供。 【解決手段】 バレンセンをクロレラ属に属する単細胞
藻類又はその処理物で処理してヌートカトンに変換する
ことによりヌートカトンを製造することを特徴とするヌ
ートカトンの製造方法。また、ヒドロキシバレンセンを
クロレラ属に属する単細胞藻類又はその処理物で処理し
てヌートカトンに変換することによりヌートカトンを製
造することを特徴とするヌートカトンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バレンセン又はヒ
ドロキシバレンセンをクロレラ属に属する単細胞藻類又
はその処理物で処理してヌートカトンに変換することに
よりヌートカトンを製造することを特徴とするヌートカ
トンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種食品材料、食品添加物、飲食
品、香粧品類、保健衛生材料等の多様化に伴い、これら
に用いる香料として従来にない新しい要望が高まり、嗜
好性の高いユニークな香気を有した香料物質の開発が要
求されてきている。特に香料の中でも最も需要の高いシ
トラスフルーツ系香料や食品系香料に関して、安全性の
面からも天然化合物若しくは天然化合物由来の物質を原
料とし、酵素や培養細胞等による生化学的変換反応によ
って得られる香料材料の開発が強く望まれていた。次式
【0003】
【化1】 で表されるヌートカトンは重要な香料材料の一つである
が、天然においては、代表的にはグレープフルーツ油中
に約1%以下しか含有されておらず、天然物から得られ
る精製品は非常に高価である。そこで、製品の安全性や
化学合成による反応剤の使用及び大量の溶媒等の廃棄な
どの製造上の環境保全等を考慮し、天然物を原料とした
酵素反応や生物による変換反応を利用して得られるヌー
トカトンの開発が待ち望まれ、従来から種々の製造方法
が検討されている。また、ヌートカトンは鏡像異性体間
でその香気強度が大きく異なっており、天然と同じ絶対
構造を有するヌートカトンの価値は非常に高いものであ
る。
【0004】このような状況において、従来から天然物
であるバレンセンを原料とし、生化学的反応を利用する
ことにより天然物と同じ絶対構造を有するヌートカトン
を製造する方法が報告されている。
【0005】例えば、バレンセンを原料とし、腸内細菌
であるエンテロバクターを用いてヌートカトンを製造す
る方法(DRAGOCO REP.20巻,251頁,1974年)、バレンセ
ンを原料とし、ロドコッカス属の微生物を用いてヌート
カトンを製造する方法(特開平6-303,967号公報)、或
いはバレンセンを原料とし、シトラス細胞懸濁培地を用
いて生物変換反応によりヌートカトンを製造する方法
(Plant Cell Report,3巻, 37頁,1984年)等が報告さ
れているが、これらの方法によればヌートカトンへの変
換効率が低く、工業的に望ましいものとは言い難い。ま
た、最近、ラッカラーゼ触媒酸化や酵素酸化反応によっ
てバレンセンをバレンセンヒドロパーオキサイドへ変換
した後、このヒドロパーオキサイドを分解してヌートカ
トンを得る方法が報告されている(特表平11-501,052
号、特開2001-103,989号)が、コストや収率の問題など
の点から未だ望ましいものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した種
々の問題点を解決することを目的とし、収率が高く、か
つ、光学活性選択性の点からも工業的実用化に適し、さ
らに安全性や製造上の環境保全をも考慮した、天然物で
あるバレンセン又はヒドロキシバレンセンからヌートカ
トンを安価に製造する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、緑藻植物門緑藻
網クロロコッカス目オエキスティス科クロレラ属の単細
胞藻類を用いて変換を行うことによって、バレンセン又
はヒドロキシバレンセンからヌートカトンを製造するこ
とが可能であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、バレンセンをクロレ
ラ属に属する単細胞藻類又はその処理物で処理してヌー
トカトンに変換することによりヌートカトンを製造する
ことを特徴とするヌートカトンの製造方法である。
【0009】また、ヒドロキシバレンセンをクロレラ属
に属する単細胞藻類又はその処理物で処理してヌートカ
トンに変換することによりヌートカトンを製造すること
を特徴とするヌートカトンの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について更に詳細
に説明する。本発明の製造方法において、基質として用
いられるバレンセン又はヒドロキシバレンセンは、グレ
ープフルーツ、オレンジ、バレンシアオレンジ等の柑橘
類の精油から単離・精製したものを用いることができる
が、特にこれらに限定されるものではない。ヒドロキシ
バレンセンには二種類のジアステレオマー、2−(S)
−ヒドロキシバレンセン及び2−(R)−ヒドロキシバ
レンセンが存在するが、本発明の製造方法にはいずれの
ヒドロキシバレンセンをも使用することができ、所望に
よりこれらの混合物を用いてもよい。また、ヒドロキシ
バレンセンは、上記のような柑橘類からの単離・精製の
他に、化学的方法によっても取得され得る。例えば、バ
レンセンを化学的酸化することにより得ることが可能で
ある。また、例えば、ヌートカトンをNaBH4−CeCl3還元
することによって2−(S)−ヒドロキシバレンセンを
得ることができ、さらに、2−(S)−ヒドロキシバレ
ンセンの光延反応によって2−(R)−ヒドロキシバレ
ンセンを得ることができる。ただし、これらの方法によ
り入手されるものに限定されるものではない。バレンセ
ン又はヒドロキシバレンセンの純度は、30%以上が好
ましく、50%以上が特に好適である。
【0011】本発明の方法においては、緑藻植物門緑藻
網クロロコッカス目オエキスティス科クロレラ属の単細
胞藻類を使用する。該藻類としては、現在20を超える
種が確認されており、本発明の方法ではいずれの藻類も
使用可能である。そのうち、特に、クロレラ・フスカ・
バール・バキュオレータ(Chlorella fusca var. vacuo
lata)、クロレラ・ピレノイドーサ(Chlorella pyreno
idosa)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)
等が望ましい。これらの藻類は自然界にも広く分布して
おり、自然界より分離取得することが可能であるが、例
えば、財団法人応用微生物学研究奨励会から入手可能な
クロレラ・フスカ・バール・バキュオレータ IAM C-28
株、クロレラ・ピリノイドーサ IAM C-101株が利用で
き、クロレラ・フスカ・バール・バキュオレータ IAM C
-28株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央
第6 独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託セン
ターにFERM P-18498という受託番号で寄託されている。
【0012】本発明の方法における変換は、これらのク
ロレラ属の単細胞藻類を用いて行う。該変換は、基本的
には、単細胞藻類又はその処理物によって原料のバレン
セン又はヒドロキシバレンセンをヌートカトンに変換す
る方法であれば、特に限定されない。なお、ここで、藻
類の処理物とは、該藻類の摩砕物、粗酵素又は精製酵素
などの抽出物、培養物、凍結乾燥物、固定化菌体等の該
藻類に種々の処理を施したものを意味する。本発明の変
換を行う具体的な方法としては、(1)該藻類の培養物に
バレンセン又はヒドロキシバレンセンを添加する方法、
(2)バレンセン又はヒドロキシバレンセン含有培地で該
藻類を培養する方法、(3)該藻類の固定化菌体にバレン
セン又はヒドロキシバレンセンを接触させる方法、(4)
該藻類の摩砕物にバレンセン又はヒドロキシバレンセン
を接触させる方法、(5)該藻類の抽出酵素液にバレンセ
ン又はヒドロキシバレンセンを接触させる方法、等があ
る。
【0013】例えば、該藻類の培養物にバレンセン又は
ヒドロキシバレンセンを添加する方法は、以下のように
して実施することができる。培養培地としては、クロレ
ラ属の単細胞藻類が培養可能なものであるならば何ら限
定されるものではないが、例えば、Noro培地 (T. Noro,
Jpn. J. Phycol.,26, 69-72 (1978))等が用いられる。
培養は、0〜10,000ルックスの光照射下において
行うのが好ましいが、該藻類の増殖が認められる限り
は、その光照射条件に限定されるものではない。培養
は、静置培養、振盪培養、通気攪拌培養等を行うことが
でき、培養温度は20〜30℃、pHは4〜8が好まし
い。このうち、特に好ましくは、25℃、pH4〜8で
ある。培養日数は変換に必要な細胞数に至るまでの期間
が必要とされ、通常は5〜20日前後であるが、特にこ
れに限定されるものではない。
【0014】本発明の変換の反応は、上記のように増殖
させたクロレラ属の単細胞藻類の培養物に変換の基質と
なるバレンセン又はヒドロキシバレンセンを添加し、さ
らなる培養を行うことによって達成することができる。
添加するバレンセン又はヒドロキシバレンセンは、その
純度や増殖させたクロレラ属の単細胞藻類の種類及びそ
の細胞数によって変化するが、例えば、クロレラ属の単
細胞藻類24mg(wet weight)/mlを含む培養物50mlに対
し、バレンセン又はヒドロキシバレンセンを100mg以上
添加することができる。さらに、界面活性剤等の使用に
よりその添加量を増やすことも可能である。バレンセン
又はヒドロキシバレンセンは、固体又は液体の形状で添
加することができ、その添加全量は、一段階又は二段階
以上の多段階、もしくは連続的に加えることができる。
【0015】変換の反応を行う培養は、静置培養、振盪
培養、通気攪拌培養等のいずれの条件下においても実施
可能であるが、反応速度の点から振盪培養が好ましく、
具体的には0〜100rpmでの実施が適当である。また、反
応温度は20〜30℃、pHは4〜8が好ましい。変換の反
応は基質バレンセン又はヒドロキシバレンセンの添加と
ともに開始されるが、その反応時間は、バレンセンの場
合には5〜18日、ヒドロキシバレンセンの場合には1〜
3日が好ましく、特に、バレンセンでは4〜10日、ヒド
ロキシバレンセンでは1〜2日が好ましい。
【0016】上記のような方法において、クロレラ属に
属する単細胞藻類の変換によって得られた反応生成物の
ヌートカトンは、一般の有機化合物の分離・精製におい
て公知の方法、例えば、濾過、抽出、蒸留、カラムクロ
マトグラフィー等の手段、或いはこれらの組み合わせに
よって培養液から回収、精製することができる。本発明
により得られたヌートカトンは、各種食品、食品添加
物、飲食品、香粧品類、保険衛生材料等の香料材料とし
て有用である。
【0017】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。なお、実施例中において物性の測定に用いた装置
は次の通りである。
【0018】1)化学純度 ガスクロマトグラフ;HP-5890(Hewlett Packard社製) カラム;DB-17(0.25mm×30m)(J&W社製) 注入口温度250℃、昇温プログラムは初期温度50℃から2
50℃まで5℃/min.,キャリヤーガスはヘリウム(1ml/mi
n.)で行った。
【0019】2)核磁気共鳴スペクトル1 H−NMR;Mercury-300型(300MHz)(Varian社
製)13 C−NMR;Mercury-300型(75MHz)(Varian社
製) 3)赤外吸収スペクトル(IR) FTIR-410型(日本分光株式会社製)
【0020】4)質量スペクトル(MS): 質量選択検出器付ガスクロマトグラフ;HP-5890/HP5973
(Hewlett Packard社製) カラム;DB-17(0.25mm×30m)(J&W社製) 5)旋光度 DIP-1000(日本分光株式会社製)
【0021】[実施例1]バレンセンのクロレラ・フス
カ・バール・バキュオレータによるヌートカトンへの変
換反応(少量培養実験) 表1に示す塩化ナトリウムを除いたNoro培地 (T. Nor
o, Jpn. J. Phycol., 26, 69-72 (1978)) 50mlを100ml
三角フラスコに入れ、滅菌後、クロレラ・フスカ・バー
ル・バキュオレータ IAM C-28株を50mg(wet weight)
植菌し、光照射下(約3000 lux)で生育させた。
【0022】
【表1】
【0023】7〜10日間回転培養(100rpm)した後、基質
であるバレンセン([α]D20 +96.5゜(c=0.99, CHCl3)は
純度95%以上 (GC-MSより))を約20mg添加した。反応の
経時的変化は、24時間ごとに一定量の培養液をエクスト
レルートに採取し、エーテルにて溶出した後、エーテル
抽出物についてGC-MS分析 (Hewlett-Packard capillary
GC/MS system, Model HP-5890; DB-17 column)を行う
ことにより確認した。培養反応18日目に反応を止め、培
養液を吸引ろ過によりろ過し、そのろ液にエーテル50ml
x2回を加え、スターラーで12時間抽出した。そのエーテ
ル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、10℃の低
温でロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮するこ
とによって残査(14mg)が得られた。図1に残査(エー
テル抽出物)のGC−MS分析結果を示す。その結果、
61.3%の純度のヌートカトンが得られていることが確認
できた。さらにシリカゲルを用いるTLC分取(へキサン
−酢酸エチル=4:1)を行い、純度95%以上のヌートカ
トン(8.2mg;バレンセンからの収率は38.37%)が得ら
れた。図2にTLC分取を行って得られたヌートカトン
のGC−MS分析結果を示す。
【0024】得られたヌートカトンの比旋光度 ([α]D
20 +192.5゜(c=0.41, CHCl3))は、標品のヌートカトン
の比旋光度 ([α]D20 +195.5゜(c=1.5, CHCl3))と一
致した。またMSスペクトル、IRスペクトル、1H NMRスペ
クトル、13C NMR スペクトルのデータについても図3、
図4、図5、図6に示したが、各データは生薬ヤクチか
ら得られた標品のスペクトルデータと完全に一致した。
【0025】[実施例2]バレンセンのクロレラ・フス
カ・バール・バキュオレータによるヌートカトンへの変
換反応(大量培養実験) クロレラ・フスカ・バール・バキュオレータ IAM C-28
株の培養は実施例1と同様な方法で行い、基質であるバ
レンセンを3.000 g を1.5 Lの培養液に添加し、18日間
培養した。その培養ろ液はエーテル(1L)を用いるソッ
クスレー抽出器で連続抽出し、エーテル抽出物(2.0264
g;回収率2.0264g/3.000gx100=約68%)が得られた。
そのエーテル抽出物についてGC−MS分析を行い、そのデ
ータを図7に示した。その結果、得られたヌートカトン
は62.3%の純度であることがわかった。また、エーテル
抽出物の一部 (1.5419 g) をn−ヘキサン−エーテル系
溶媒で、エーテルの比率を増大しながらシリカゲル (10
0g; Merck社製70〜230 mesh)カラムクロマトグラフィー
に付し、50% n−ヘキサン−50% エーテル系溶媒による
溶出を行い、ヌートカトン (581.6 mg;バレンセンから
の収率は23.84%)が得られた。なお、純度は図8に示す
GC-MS分析の結果、96.67%であった。また、文献値の比
旋光度 [α]D20 +195.5゜(c=1.5, CHCl3)であるのに対
し、得られたヌートカトンの比旋光度は [α]D20 +191.
2゜(c=1.11, CHCl3)であった。
【0026】[実施例3]2−(S)−ヒドロキシバレ
ンセンおよび2−(R)−ヒドロキシバレンセンのクロ
レラ・フスカ・バール・バキュオレータによるヌートカ
トンへの変換反応 2−(S)−ヒドロキシバレンセン20mgを添加した50ml
Noro培地、及び、2−(R)−ヒドロキシバレンセン2
0 mgを添加した50ml Noro培地について、各々、実施例
1と同様な条件で培養したクロレラ・フスカ・バール・
バキュオレータIAM C-28株を用いて変換を行ったとこ
ろ、培養後1〜2日目で、100%の変換率で純度95%以上
のヌートカトンが得られた。
【0027】[実施例4]バレンセンのクロレラ・ピレ
ノイドーサによるヌートカトンへの変換反応(少量培養
実験) 前記表1に示す塩化ナトリウムを除いたNoro培地 50ml
を100ml三角フラスコに入れ、滅菌後、クロレラ・ピレ
ノイドーサ IAM C-101株を50mg/50ml(wet weight)植
菌し、光照射下(約3000 lux)で生育させた。7〜10日
間回転培養(100rpm)した後、基質であるバレンセン
([α]D20 +96.5゜(c=0.99, CHCl3)は純度95%以上 (GC-
MSより))1gを1 L培地に添加した。反応の経時的変化は
24時間ごとに2mlの培養液をエクストレルートに採取
し、エーテルにて溶出した後、エーテル抽出物のGC-MS
分析 (Hewlett-Packard capillary GC/MS system, Mode
l HP-5890;DB-17 column)を行うことにより確認した。
培養反応4日目のGC-MSの分析結果により、それぞれ、
面積比で52%のヌートカトンが得られた。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法は、ヌートカトンが公知の
従来技術に比べて高収率、高選択的に得られ、工業的に
適している。また、本発明の方法は、副生成物の生成も
極めて少なく、非常に効率の良い製法である。さらに、
本発明の方法によって得られるヌートカトンは、従来の
方法によって得られるヌートカトンに比べて純度も高
く、香気においても大変優れているので、各種食品、食
品添加物、飲食品、香粧品類、保険衛生材料等の香料材
料として、幅広い範囲で利用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】少量培養実験におけるエーテル抽出物のGC−
MS分析結果を示す図である。
【図2】少量培養実験におけるTLC分取により得られ
たヌートカトンのGC−MS分析結果を示す図である。
【図3A】少量培養実験において得られたヌートカトン
のMSスペクトルを示す図である。
【図3B】ヌートカトンの標品のMSスペクトルを示す
図である。
【図4A】少量培養実験において得られたヌートカトン
のIRスペクトルを示す図である。
【図4B】ヌートカトンの標品のIRスペクトルを示す
図である。
【図5A】少量培養実験において得られたヌートカトン
1H NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。
【図5B】ヌートカトンの標品の1H NMRスペクトル
(CDCl3)を示す図である。
【図6A】少量培養実験において得られたヌートカトン
13C NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。
【図6B】ヌートカトンの標品の13C NMRスペクト
ル(CDCl3)を示す図である。
【図7】大量培養実験において得られたエーテル抽出物
のGC−MS分析結果を示す図である。
【図8】大量培養実験において得られたシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー溶出物のGC−MS分析結果を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 千恵 徳島県徳島市山城町東浜傍示5−42 プチ メゾン森本203 (72)発明者 田中 正巳 徳島県小松島市日開野町字高須90−5 (72)発明者 蟹沢 恒好 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 江村 誠 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4B064 AC38 CA08 CA21 CE08 DA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バレンセンをクロレラ属に属する単細胞
    藻類又はその処理物で処理してヌートカトンに変換する
    ことによりヌートカトンを製造することを特徴とするヌ
    ートカトンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシバレンセンをクロレラ属に属
    する単細胞藻類又はその処理物で処理してヌートカトン
    に変換することによりヌートカトンを製造することを特
    徴とするヌートカトンの製造方法。
  3. 【請求項3】 クロレラ属に属する単細胞藻類がクロレ
    ラ・フスカ・バール・バキュオレータ(Chlorella fusc
    a var. vacuolata)である請求項1又は2に記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 クロレラ属に属する単細胞藻類がクロレ
    ラ・ピレノイドーサ(Chlorella pyrenoidosa)である
    請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 クロレラ・フスカ・バール・バキュオレ
    ータがIAM C-28株(FERM P-18498)である請求項3に記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 クロレラ・ピレノイドーサがIAM C-101
    株である請求項4に記載の製造方法。
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