JP4261304B2 - 微生物によるα−ホモノジリマイシンの製造方法 - Google Patents
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Description
るα-ホモノジリマイシンの製造方法に関する。
血糖低下剤などの合成中間体として利用するために物質合成されている。(例えば、特許
文献1、2、3、非特許文献1、2参照) また、α-ホモノジリマイシンの全合成も知られている (例えば、非特許文献3参照) 。 化学合成方法以外では、植物であるトウダイグサ科のOmphalea diandra(例えば、非特許文献4参照)からの抽出によ
って得られる。その後の研究によりα-ホモノジリマイシンは、サトイモ科のAglao
nema treubii(例えば、非特許文献5参照)、ユリ科のHyacinthus orientalis(例えば、非特許文献6参照)、ツユクサ科のCommelina
communis(例えば、非特許文献7参照)からも単離されている。
方法は、それ自体がその目的を達成するものであるが、工業的利用の観点からは必ずしも満足し得るものではない。すなわち化学合成方法では工業的規模で製造する方法として操作の煩雑さ、またはコスト面で問題があり、他方植物から調製する方法では、材料の入手に安定性を欠くという問題がある。このためα-ホモノジリマイシンを安定的に効率よく
生産できる微生物を開発創製する必要性は依然として存在する。本発明の目的は、α-ホ
モノジリマイシンの生産能を有する新規微生物の提供ならびに該微生物を用いるα-ホモ
ノジリマイシンの製造方法を提供することにある。
m)属に属する微生物がα-ホモノジリマイシンを生産することを初めて見出した。この糸状菌の培養液から、α-ホモノジリマイシンを効率よく生産することに成功して本発明を
完成した。
ピーAB5577(Penicillium sp.AB5577)株が挙げられる。さらに、本発明は、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物を培地中に培養し、その培養物からα-ホモノジリマイシンおよび/またはその塩類を採取することを特
徴とするα-ホモノジリマイシンの製造方法である。ここでα-ホモノジリマイシンの塩類とは例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸等のような無機酸類や、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機カルボン酸類との塩類である。
をいう。これには、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物またはその変異株などが含まれるが、本発明に係る微生物はこれらに限定されるものではない。
発明の概要を示す。
α-ホモノジリマイシンおよび/またはその塩類を採取することを特徴とするα-ホモノジリマイシンの製造方法である。
特徴とするα-ホモノジリマイシンの製造方法である。
。
ium)属に属する新規微生物を提供する。
。本発明のα-ホモノジリマイシンの製造法は、微生物による生産により安定したα-ホモノジリマイシンの生産・供給を実現するものであり、α-ホモノジリマイシンを効率良く
安価に製造していくことが可能となる。さらに本発明により製造されるα-ホモノジリマ
イシンには、従来の化学合成法による生産の場合のように有害な夾雑物が残存することもない。
よい。これにはα-ホモノジリマイシンの生産能を有する糸状菌が含まれ、なかでもα-ホモノジリマイシンの生産能を有するペニシリウム (Penicillium)属に属する
微生物が望ましい。その具体的な例としては、本発明者らが神奈川県南足柄市より採取した土壌試料から新たに純粋分離したAB5577菌株がある。この菌株はペニシリウム(
Penicillium)属に属する菌株であり、α−グルコシダーゼ阻害活性物質であ
るα−ホモノジリマイシン生産菌として本発明の方法に最も有効に用いられる菌株の一例である。
載する。
(1)培養的・形態的性質
1)AB5577株をポテト・デキストロース寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は14日目で35〜37mmに達する。集落は綿毛状〜羊毛状を呈し、放射状の溝を持ち、中心部はやや隆起する。集落表面は灰色がかった緑色を呈し、周縁部は淡白色〜淡黄白色を呈する。集落裏面は淡黄褐色〜淡橙褐色を呈し、放射状の溝を持つ。
(2)生理学的性質
1)生育温度
麦芽エキス寒天培地を用いて、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、37℃および40℃の各温度で培養した結果、AB5577株は10℃〜30℃まで何れの
温度でも生育し、37℃ではわずかな生育が認められる。5℃および40℃では生育しない。最適生育温度は25℃付近である。
pHを3、4、5、6、7、8、9および10に調製した麦芽エキス液体培地を用いて、25℃で培養した結果、AB5577株はpH3〜10の範囲で生育が認められる。最適生育pHは、5〜6である。
ulture, 3rd ed., J. Cramer, Vaduz, 1981)に従って検索した。
微生物と同定した。しかしながら、ペニシリウム属に属する菌株であってα−ホモノジリマイシンの生産能を有するものについては、これまで報告されたことがない。したがって、本発明者らはこれを新菌株とし、ペニシリウム・エスピー AB5577 (Penicillium sp.AB5577)と命名した。なお、この菌株は、独立行政法人産業
技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託申請され、平成15年9月5日、受託番号FERM P-19515号として受託されている。
グアニジン(NTG)、ナイトロジェン・マスタード、2−アミノプリン、アザセリンまたはエチルメタンスルホネートなど)または遺伝子組換えを用いる人為的変異手段により変異することは周知の事実である。このような自然変異株ならびに人工変異株も含め、糸状菌、より好ましくはペニシリウム属に属するもので、しかもα−ホモノジリマイシンを生産する能力を有する菌株は、すべて本発明に使用することができる。
して使用可能である。窒素源としては大豆粉、小麦胚芽、魚粉、コーンスティープリカー、肉エキス、酵母エキス、ペプトンを単独または混合物として使用できる。無機塩類として、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、または各種リン酸塩などが使用できる。また必要により微量金属塩、例えばコバルト、鉄、ニッケル、マンガン等を添加できる。また、これらのもの以外でも菌の発育を助け、α−ホモノジリマイシンの生産を促進するような無機および有機物を必要に応じて適当に添加することができる。液体培養において発泡がある場合はシリコン油、植物油および界面活性剤等の消泡剤を便宜使用する。
、撹拌速度などに応じて変える必要があるが、一般的には培地容量の0〜500%、好ましくは50〜150%の空気を毎分送り込む。発酵日数は3〜14日間が好ましいが、実際には培養中のα−ホモノジリマイシンの蓄積量が最高に達したときに培養を停止してもよい。得られた培養液から発酵生産物を採取するといった一般的な方法に準じて培養・単離を行うのがよい。α−ホモノジリマイシンの蓄積量は、後述のようにα‐グルコシダーゼ阻害率でチェックすることができる。これらの培地組成、培地の液性、培養温度、撹拌速度および通気量等の培養条件は、使用する菌株の種類および外部条件等に応じて好ましい結果が得られるように便宜調節あるいは選抜する。
[実施例]
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの具体例に限定されるものではない。なお以下の例において、%は特にことわらない限り重量%である。
。得られた上清をα−グルコシダーゼ酵素溶液とした。スクロース基質溶液は56mMとなるように蒸留水でスクロースを溶解した。基質溶液250μl、被験溶液50μl及び0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.5)150μlを加えて混合し、酵素溶液50μlを添加することで酵素反応を開始した。酵素反応を37℃、60分間行ない、99℃で2分間加熱することにより酵素反応を停止した。酵素反応液20μlを試験管にとり、グルコー
ス定量発色液(グルコーステストキットCIIテストワコー、和光純薬工業社製)3.0mlを加えて37℃、5分間発色させ、505nmの吸光度Asを測定した。また、被験溶液の代わりに蒸留水を加えた時の吸光度をAw、酵素を加えなかった時の吸光度をAbとして同時に測定した。それらの吸光度から次式によりα−グルコシダーゼ阻害率(%)を求めた。
α−グルコシダーゼ阻害率=〔1−(As−Ab)/(Aw−Ab)〕×100
1Hおよび13C−NMRは、特に指示がない限り、重水(D2O)の溶液で、日本電子(株)社製核磁気共鳴装置(モデルJNM-LA300)を使用して測定された。
mのロータリーシェーカーで好気培養した。培養液上清のα-グルコシダーゼ阻害活性を
測定した結果、40%のα-グルコシダーゼ阻害率を有する培養液が得られた。
離した菌体からα-グルコシダーゼ阻害活性成分を45%アセトンで3回抽出し減圧下濃
縮乾固させた。該抽出物を1Lの脱イオン交換水に溶解させて培養液上清と混合した。混合溶液を強酸性陽イオン交換樹脂デュオライト(登録商標) C‐20(H+型)700mlを充填したカラムに通過させ、その後このカラムに 2Lの脱イオン交換水を通過させて
洗浄し、2.0%アンモニア水3.5Lで溶出した。α-グルコシダーゼ阻害活性成分を
含む溶出液を減圧濃縮して500mlとし、強塩基性陰イオン交換樹脂デュオライト(登
録商標) A‐113(OH-型)600mlを充填したカラムに通過させ、その後このカ
ラムに 1.8Lの脱イオン交換水を通過させて洗浄した。
ゼ阻害活性画分を集めて、減圧濃縮後に凍結乾燥し、α-グルコシダーゼ阻害活性物質、
58.5mgを得た。このようにして得られたα-グルコシダーゼ阻害活性物質のNMR
分析を行なったところ、その1H-NMRケミカルシフト値及び13C-NMRケミカルシフ
ト値が、α−ホモノジリマイシンの文献値と一致した。
1HNMRデータ:
σ(ppm):3.91(1H,dd,J=3.0,11.5Hz), 3.81-3.84 (2H,m), 3.76(1H,dd,J=6.1, 10.0Hz), 3.58(1H,dd,J=7.1, 11.5Hz), 3.51(1H,t, J=9.5Hz), 3.30(1H,td, J=5.9, 8.8Hz), 3.22(1H,dd,J=8.0,10.0Hz), 2.87(1H,ddd,J=3.0,7.1,11.0Hz)
13CNMRデータ:
σ(ppm):77.1, 74.9, 74.4, 64.8, 59.7, 59.1, 56.8
キス 0.05%、酵母エキス0.01%、ポリペプトン1.5%、硝酸カリウム 0.2
%、 炭酸カルシウム 0.1%、pH 6.0の培地2.0Lを4L容ジャーファーメン
ターに入れ滅菌後、あらかじめ前培養したペニシリウム・エスピー AB5577 (Penicillium sp. AB5577)株を接種し、培養温度27℃、撹拌回転数
450rpm、通気量2L/minで5日間培養を行った。
、減圧下濃縮乾固させた。該抽出物を1Lの脱イオン交換水に溶解させて上記培養液上清と混合した。
mlを充填したカラムに通過させ、その後このカラムに 1.8Lの脱イオン交換水を通
過させて洗浄し、2.0%アンモニア水3.0Lで溶出した。α-グルコシダーゼ阻害活
性成分を含む溶出液を減圧濃縮して500mlとし、強塩基性陰イオン交換樹脂デュオライト(登録商標) A‐113(OH―型)450mlを充填したカラムに通過させ、その
後このカラムに 1.5Lの脱イオン交換水を通過させて洗浄した。
害活性画分を集めて、濃縮後に凍結乾燥し、α-グルコシダーゼ阻害活性物質 158.3mgを得た。このようにして得られたα-グルコシダーゼ阻害活性物質のNMR分析を行
なったところ、その1H-NMRケミカルシフト値及び13C-NMRケミカルシフト値が、
α−ホモノジリマイシンの文献値と一致した。
Claims (2)
- α-ホモノジリマイシンの生産能を有するペニシリウム・エスピー AB5577株(Penicillium sp.AB5577) またはα-ホモノジリマイシンの生産能を
有するその変異株を培地で培養し、培養物からα-ホモノジリマイシンおよび/またはその塩類を採取することを特徴とするα-ホモノジリマイシンの製造方法。 - 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P-19515号の受託番号で寄託されたペニシリウム・エスピー AB5577株(Penicilliu
m sp.AB5577)またはα-ホモノジリマイシンの生産能を有するその変異株。
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