JP2003064496A - 電解用電極及びその製造方法 - Google Patents
電解用電極及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 工業用及び民生用電解プロセスに使用される
電解用電極において、超微粒子の貴金属又は金属酸化物
の分散性を向上させ、適正、且つ、比較的少量の貴金属
又は金属酸化物を基体に被覆させることができる電解用
電極を提供する。 【解決手段】 電解用電極１を構成する導電性基体２の
表面に、酸化ケイ素粒子４とこの酸化ケイ素粒子４の表
面に被覆された白金５などの貴金属又は金属酸化物より
構成される被覆層３を形成し、この被覆層３は酸化ケイ
素をＳｉ含有量で７５原子％より多く８５原子％以下含
有する。
電解用電極において、超微粒子の貴金属又は金属酸化物
の分散性を向上させ、適正、且つ、比較的少量の貴金属
又は金属酸化物を基体に被覆させることができる電解用
電極を提供する。 【解決手段】 電解用電極１を構成する導電性基体２の
表面に、酸化ケイ素粒子４とこの酸化ケイ素粒子４の表
面に被覆された白金５などの貴金属又は金属酸化物より
構成される被覆層３を形成し、この被覆層３は酸化ケイ
素をＳｉ含有量で７５原子％より多く８５原子％以下含
有する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用及び民生用
電解プロセスに使用される電解用電極及びその製造方法
に関する。
電解プロセスに使用される電解用電極及びその製造方法
に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来の電解用電極は、金属チタンを導電
性基体として、該導電性基体の表面に白金属金属やその
酸化物の被覆層を設けたものであって、種々の電解工業
の分野において使用されている。特に、チタン基体表面
に、ルテニウムとチタン酸化物やルテニウムとスズの酸
化物の被覆層を熱分解法により形成した電極が食塩電解
による塩素発生用陽極として用いられている。
性基体として、該導電性基体の表面に白金属金属やその
酸化物の被覆層を設けたものであって、種々の電解工業
の分野において使用されている。特に、チタン基体表面
に、ルテニウムとチタン酸化物やルテニウムとスズの酸
化物の被覆層を熱分解法により形成した電極が食塩電解
による塩素発生用陽極として用いられている。
【０００３】しかし、これらの電極は、食塩電解のよう
に高濃度塩水溶液の電解には適するが、希薄な塩水溶液
の電解や海水の電解では、耐久性が十分でなく、塩素発
生の効率も十分満足しうるものではなかった。
に高濃度塩水溶液の電解には適するが、希薄な塩水溶液
の電解や海水の電解では、耐久性が十分でなく、塩素発
生の効率も十分満足しうるものではなかった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】そこで、チタン等のバ
ルブ金属基体上にスパッタリング法等の物理的気相成長
法により、酸化ケイ素より成る薄膜中間層を設け、更に
この上に白金より成る電極活性層を設けた電解用電極が
ある。しかし、この電極では、金属基体の表面にスパッ
タリング法等により被覆層が形成されるため、作業効率
が悪く、大型の電解用電極の製造には不向きである問題
があった。
ルブ金属基体上にスパッタリング法等の物理的気相成長
法により、酸化ケイ素より成る薄膜中間層を設け、更に
この上に白金より成る電極活性層を設けた電解用電極が
ある。しかし、この電極では、金属基体の表面にスパッ
タリング法等により被覆層が形成されるため、作業効率
が悪く、大型の電解用電極の製造には不向きである問題
があった。
【０００５】また、係る従来の電解用電極では、図３に
示す如く表面が平坦な金属基体１００の表面に白金と酸
化ケイ素の混合物の被覆層１０４が形成される。このと
き、基体１００表面には、基体１００表面と白金１０２
との密着性を向上させるため、所謂バインダとして使用
される酸化ケイ素１０１が被覆され、係る酸化ケイ素１
０１の表面に白金１０２が被覆される。これにより、基
体１００の表面に被覆層１０４が形成される。しかし、
この被覆層１０４は平坦に被覆された酸化ケイ素１０１
の表面に白金１０２が幾重にも重なり合った状態で形成
されるため、白金１０２の分散性が悪く必要以上に白金
１０２を用いなければならないという問題があった。
示す如く表面が平坦な金属基体１００の表面に白金と酸
化ケイ素の混合物の被覆層１０４が形成される。このと
き、基体１００表面には、基体１００表面と白金１０２
との密着性を向上させるため、所謂バインダとして使用
される酸化ケイ素１０１が被覆され、係る酸化ケイ素１
０１の表面に白金１０２が被覆される。これにより、基
体１００の表面に被覆層１０４が形成される。しかし、
この被覆層１０４は平坦に被覆された酸化ケイ素１０１
の表面に白金１０２が幾重にも重なり合った状態で形成
されるため、白金１０２の分散性が悪く必要以上に白金
１０２を用いなければならないという問題があった。
【０００６】そのため、著しく白金１０２の使用量が増
加することにより、コストの高騰を招く問題があった。
特に、工業用などにおいて大型の電解用電極を製造する
必要性はあるが、大型の電解用電極では、大量の白金１
０２を使用しなければならず、コストの問題から実用に
は適さないという問題があった。
加することにより、コストの高騰を招く問題があった。
特に、工業用などにおいて大型の電解用電極を製造する
必要性はあるが、大型の電解用電極では、大量の白金１
０２を使用しなければならず、コストの問題から実用に
は適さないという問題があった。
【０００７】そこで、本発明は、従来の技術的課題を解
決するために成されたものであり、貴金属の分散性を向
上させ、比較的少量の貴金属を基体に被覆させることが
できる電解用電極を提供することを目的とする。
決するために成されたものであり、貴金属の分散性を向
上させ、比較的少量の貴金属を基体に被覆させることが
できる電解用電極を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の電解用電極は、
導電性基体の表面に、酸化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素
粒子の表面に被覆された１種類以上の超微粒子の貴金属
又は金属酸化物より構成される被覆層を形成し、この被
覆層は酸化ケイ素を、Ｓｉ含有量で７５原子％より多く
８５原子％以下含有することを特徴とする。
導電性基体の表面に、酸化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素
粒子の表面に被覆された１種類以上の超微粒子の貴金属
又は金属酸化物より構成される被覆層を形成し、この被
覆層は酸化ケイ素を、Ｓｉ含有量で７５原子％より多く
８５原子％以下含有することを特徴とする。
【０００９】本発明によれば、導電性基体の表面に、酸
化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素粒子の表面に被覆された
１種類以上の超微粒子の貴金属又は金属酸化物より構成
される被覆層を形成したので、バインダとしての酸化ケ
イ素により電解用電極自体の耐久性を向上させることが
できると共に、貴金属又は金属酸化物の分散性を向上さ
せることができるようになる。
化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素粒子の表面に被覆された
１種類以上の超微粒子の貴金属又は金属酸化物より構成
される被覆層を形成したので、バインダとしての酸化ケ
イ素により電解用電極自体の耐久性を向上させることが
できると共に、貴金属又は金属酸化物の分散性を向上さ
せることができるようになる。
【００１０】これにより、適切な量の超微粒子の貴金属
又は金属酸化物を導電性基体の表面に被覆させることが
できるようになり、従来の如く貴金属又は金属酸化物が
重なった状態で基体に被覆されることによる不必要な貴
金属又は金属酸化物の使用量を削減することができるよ
うになり、コストの低減を図ることができるようにな
る。
又は金属酸化物を導電性基体の表面に被覆させることが
できるようになり、従来の如く貴金属又は金属酸化物が
重なった状態で基体に被覆されることによる不必要な貴
金属又は金属酸化物の使用量を削減することができるよ
うになり、コストの低減を図ることができるようにな
る。
【００１１】また、適切な量の超微粒子の貴金属又は金
属酸化物が導電性基体に被覆されることにより、従来と
同等のコストにて、大型の電極を形成することができる
ようになり、電解効率を向上させることができるように
なる。
属酸化物が導電性基体に被覆されることにより、従来と
同等のコストにて、大型の電極を形成することができる
ようになり、電解効率を向上させることができるように
なる。
【００１２】更に、被覆層は酸化ケイ素を、Ｓｉ含有量
で７５原子％より多く８５原子％以下含有するので、被
覆層に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子を導電性基体に
被覆させることができるようになり、電解用電極の耐久
性を向上させることができるようになる。また、酸化ケ
イ素粒子に被覆する超微粒子の貴金属又は金属酸化物の
量を適正化することができるようになる。
で７５原子％より多く８５原子％以下含有するので、被
覆層に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子を導電性基体に
被覆させることができるようになり、電解用電極の耐久
性を向上させることができるようになる。また、酸化ケ
イ素粒子に被覆する超微粒子の貴金属又は金属酸化物の
量を適正化することができるようになる。
【００１３】また、酸化ケイ素粒子を著しく増加させる
ことによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避するこ
とができるようになる。
ことによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避するこ
とができるようになる。
【００１４】請求項２の発明の電解用電極は、請求項１
の発明に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化
物は、白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジ
ウムがＩｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムが
Ｐｄ含有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含
有量で０〜２５原子％を含有することを特徴とする。
の発明に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化
物は、白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジ
ウムがＩｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムが
Ｐｄ含有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含
有量で０〜２５原子％を含有することを特徴とする。
【００１５】請求項２の発明によれば、請求項１の発明
に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化物は、
白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジウムが
Ｉｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムがＰｄ含
有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含有量で
０〜２５原子％を含有するので、被覆層を耐食性と導電
性を兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成するこ
とができ、電極自体の耐食性及び導電性を向上させるこ
とができるようになる。
に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化物は、
白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジウムが
Ｉｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムがＰｄ含
有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含有量で
０〜２５原子％を含有するので、被覆層を耐食性と導電
性を兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成するこ
とができ、電極自体の耐食性及び導電性を向上させるこ
とができるようになる。
【００１６】請求項３の発明の電解用電極の製造方法
は、請求項１又は請求項２の電解用電極において、導電
性基体の表面に、被覆層を形成するための被覆層構成材
を塗布した後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰
囲気中で熱処理することにより、導電性基体の表面に被
覆層を形成することを特徴とする。
は、請求項１又は請求項２の電解用電極において、導電
性基体の表面に、被覆層を形成するための被覆層構成材
を塗布した後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰
囲気中で熱処理することにより、導電性基体の表面に被
覆層を形成することを特徴とする。
【００１７】請求項３の発明によれば、請求項１又は請
求項２の発明の電解用電極において導電性基体の表面
に、被覆層を形成するための被覆層構成材を塗布した
後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰囲気中で熱
処理することにより、導電性基体の表面に被覆層を形成
するので、導電性基体と被覆層構成材との密着性が向上
され、緻密な被覆層を形成することができるようにな
る。
求項２の発明の電解用電極において導電性基体の表面
に、被覆層を形成するための被覆層構成材を塗布した
後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰囲気中で熱
処理することにより、導電性基体の表面に被覆層を形成
するので、導電性基体と被覆層構成材との密着性が向上
され、緻密な被覆層を形成することができるようにな
る。
【００１８】請求項４の発明の電解用電極の製造方法
は、請求項３の発明に加えて、導電性基体の表面に塗布
する被覆層構成材は、シリカゾルを含むことを特徴とす
る。
は、請求項３の発明に加えて、導電性基体の表面に塗布
する被覆層構成材は、シリカゾルを含むことを特徴とす
る。
【００１９】請求項４の発明によれば、請求項３の発明
に加えて、導電性基体の表面に塗布する被覆層構成材
は、シリカゾルを含むので、シリカゾルにより、容易に
導電性基体の表面に酸化ケイ素粒子を形成することがで
きるようになり、効率的に貴金属又は金属酸化物を被覆
させる電解用電極を形成することができるようになる。
に加えて、導電性基体の表面に塗布する被覆層構成材
は、シリカゾルを含むので、シリカゾルにより、容易に
導電性基体の表面に酸化ケイ素粒子を形成することがで
きるようになり、効率的に貴金属又は金属酸化物を被覆
させる電解用電極を形成することができるようになる。
【００２０】
【発明の実施の形態】本発明の電解用電極は、工業用及
び民生用電解プロセスに使用される電解用電極であり、
導電性基体２上に例えば白金や酸化イリジウムなどを含
有する被覆層３が形成されており、特に、希薄食塩水で
の食塩電解による塩素発生用陽極などとして用いられて
いる。
び民生用電解プロセスに使用される電解用電極であり、
導電性基体２上に例えば白金や酸化イリジウムなどを含
有する被覆層３が形成されており、特に、希薄食塩水で
の食塩電解による塩素発生用陽極などとして用いられて
いる。
【００２１】本発明に用いられる導電性基体２として
は、例えばチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブな
どのバルブ金属、或いは、これら２種以上のバルブ金属
の合金により構成される。
は、例えばチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブな
どのバルブ金属、或いは、これら２種以上のバルブ金属
の合金により構成される。
【００２２】通常、前記導電性基体のみにより構成され
る電解用電極は、耐久性が悪く、また、電解触媒能力が
低いため、導電性基体表面には、被覆層が形成され、工
業用及び民生用の種々の電解プロセスにおける電解用電
極としての使用に対し、長期間安定して使用することが
できるように構成されている。
る電解用電極は、耐久性が悪く、また、電解触媒能力が
低いため、導電性基体表面には、被覆層が形成され、工
業用及び民生用の種々の電解プロセスにおける電解用電
極としての使用に対し、長期間安定して使用することが
できるように構成されている。
【００２３】前記被覆層として用いられるものには、白
金などの貴金属又は、酸化イリジウムや酸化パラジウ
ム、酸化ルテニウムなどの金属酸化物がある。被覆層を
形成するこれらの貴金属又は金属酸化物は、導電性基体
との密着性があまり芳しいものではないため、これらの
密着結合性を向上させるため、所謂バインダとして酸化
ケイ素が用いられる。
金などの貴金属又は、酸化イリジウムや酸化パラジウ
ム、酸化ルテニウムなどの金属酸化物がある。被覆層を
形成するこれらの貴金属又は金属酸化物は、導電性基体
との密着性があまり芳しいものではないため、これらの
密着結合性を向上させるため、所謂バインダとして酸化
ケイ素が用いられる。
【００２４】本発明における電解用電極の被覆層３は、
酸化ケイ素粒子４と貴金属又は金属酸化物、本実施例で
は、白金５と酸化イリジウム７とにより構成される。こ
の被覆層３は、被覆層構成材６を酸化性雰囲気中で熱処
理することにより得られるものである。被覆層構成材６
は、熱処理後に、被覆層３を構成する酸化ケイ素粒子４
が例えば粒径が１０乃至１５０ｎｍ程度となるために、
一番適していると考えられる８０ｎｍ程度の市販のシリ
カゾルが含まれている。更に、この被覆層構成材６に
は、塩化白金酸及び塩化イリジウム酸が混合されてい
る。
酸化ケイ素粒子４と貴金属又は金属酸化物、本実施例で
は、白金５と酸化イリジウム７とにより構成される。こ
の被覆層３は、被覆層構成材６を酸化性雰囲気中で熱処
理することにより得られるものである。被覆層構成材６
は、熱処理後に、被覆層３を構成する酸化ケイ素粒子４
が例えば粒径が１０乃至１５０ｎｍ程度となるために、
一番適していると考えられる８０ｎｍ程度の市販のシリ
カゾルが含まれている。更に、この被覆層構成材６に
は、塩化白金酸及び塩化イリジウム酸が混合されてい
る。
【００２５】ここで、本発明の電解用電極の製造方法に
つき、図１を用いて説明する。図１は本発明の電解用電
極の製造装置の概略図を示している。この製造方法は、
ゾル−ゲル法によって前記導電性基体２の表面に酸化ケ
イ素粒子４を固定化し、この酸化ケイ素粒子４の表面に
白金５及び酸化イリジウム７を被覆するものである。
つき、図１を用いて説明する。図１は本発明の電解用電
極の製造装置の概略図を示している。この製造方法は、
ゾル−ゲル法によって前記導電性基体２の表面に酸化ケ
イ素粒子４を固定化し、この酸化ケイ素粒子４の表面に
白金５及び酸化イリジウム７を被覆するものである。
【００２６】即ち、酸化ケイ素粒子４を形成するための
シリカゾルを塩化白金酸と塩化イリジウム酸をイソプロ
ピルアルコールと塩酸の混合液に添加し、被覆構成材６
とし、容器１２内に収容する。尚、この被覆層構成材６
は導電性基体２の表面に被覆層３を形成した状態で、被
覆層３はケイ素を７５原子％より多く、８５原子％以下
を含有するものとなるように調整されているものとす
る。そして、容器１２内の被覆層構成材６内に導電性基
体２を浸漬する。
シリカゾルを塩化白金酸と塩化イリジウム酸をイソプロ
ピルアルコールと塩酸の混合液に添加し、被覆構成材６
とし、容器１２内に収容する。尚、この被覆層構成材６
は導電性基体２の表面に被覆層３を形成した状態で、被
覆層３はケイ素を７５原子％より多く、８５原子％以下
を含有するものとなるように調整されているものとす
る。そして、容器１２内の被覆層構成材６内に導電性基
体２を浸漬する。
【００２７】これにより、導電性基体２の表面には、図
２に示す如く酸化ケイ素粒子４を形成するためのシリカ
ゾルが斑点状に分散して疎らに固定化（被覆）される。
このとき、シリカゾルは、粒径を約８０ｎｍ程度とする
粒子が導電性基体２の表面に斑点状に分散して疎らに固
定化されているため、このシリカゾルの粒子の表面に
は、塩化白金酸及び塩化イリジウム酸が付着される。
２に示す如く酸化ケイ素粒子４を形成するためのシリカ
ゾルが斑点状に分散して疎らに固定化（被覆）される。
このとき、シリカゾルは、粒径を約８０ｎｍ程度とする
粒子が導電性基体２の表面に斑点状に分散して疎らに固
定化されているため、このシリカゾルの粒子の表面に
は、塩化白金酸及び塩化イリジウム酸が付着される。
【００２８】その後、上記導電性基体２の表面に被覆層
構成材６が付着された導電性基体２は、酸化性雰囲気中
において熱処理を行う。この熱処理温度は＋４００℃〜
＋６００℃が好ましい。これにより、熱処理後、導電性
基体２上に酸化ケイ素粒子４と白金５及び酸化イリジウ
ム７にて構成される被覆層３を形成することができる。
構成材６が付着された導電性基体２は、酸化性雰囲気中
において熱処理を行う。この熱処理温度は＋４００℃〜
＋６００℃が好ましい。これにより、熱処理後、導電性
基体２上に酸化ケイ素粒子４と白金５及び酸化イリジウ
ム７にて構成される被覆層３を形成することができる。
【００２９】これにより、導電性基体２の表面に形成さ
れる被覆層３は、所謂バインダとしての酸化ケイ素粒子
４と、該酸化ケイ素粒子４の表面に被覆された白金５と
酸化イリジウム７より構成されるので、超微粒子の白金
５及び酸化イリジウム７の分散性を向上させることがで
きるようになる。
れる被覆層３は、所謂バインダとしての酸化ケイ素粒子
４と、該酸化ケイ素粒子４の表面に被覆された白金５と
酸化イリジウム７より構成されるので、超微粒子の白金
５及び酸化イリジウム７の分散性を向上させることがで
きるようになる。
【００３０】そのため、適切な量の白金５及び酸化イリ
ジウム７を導電性基体２の表面に被覆させることができ
るようになり、従来の如く白金５や酸化イリジウム７が
重なった状態で基体２に被覆されることによる必要以上
の白金５や酸化イリジウム７の使用量を削減することが
できるようになり、コストの低減を図ることができるよ
うになる。
ジウム７を導電性基体２の表面に被覆させることができ
るようになり、従来の如く白金５や酸化イリジウム７が
重なった状態で基体２に被覆されることによる必要以上
の白金５や酸化イリジウム７の使用量を削減することが
できるようになり、コストの低減を図ることができるよ
うになる。
【００３１】また、適切な量の白金や酸化イリジウム７
５が基体に被覆されることにより、従来と同等のコスト
にて、大型の電極を形成することができるようになり、
大型電極の実用化を図ることができる。これにより、従
来以上に電解効率を向上させることができるようにな
る。
５が基体に被覆されることにより、従来と同等のコスト
にて、大型の電極を形成することができるようになり、
大型電極の実用化を図ることができる。これにより、従
来以上に電解効率を向上させることができるようにな
る。
【００３２】更にまた、上述の如く被覆層３は、所謂バ
インダとしての酸化ケイ素粒子４が含有されているた
め、導電性基体２と白金５及び酸化イリジウム７との密
着性が向上され、緻密な被覆層３を形成することができ
るようになり、電極の耐久性を向上させることができる
ようになる。
インダとしての酸化ケイ素粒子４が含有されているた
め、導電性基体２と白金５及び酸化イリジウム７との密
着性が向上され、緻密な被覆層３を形成することができ
るようになり、電極の耐久性を向上させることができる
ようになる。
【００３３】更に、酸化ケイ素粒子４は、上述の如く、
例えば市販のシリカゾルにて構成するため、容易に導電
性基体２の表面に酸化ケイ素粒子４を形成することがで
きるようになり、効率的に白金５や酸化イリジウム７な
どの貴金属又は金属酸化物を被覆させる電解用電極を形
成することができるようになる。
例えば市販のシリカゾルにて構成するため、容易に導電
性基体２の表面に酸化ケイ素粒子４を形成することがで
きるようになり、効率的に白金５や酸化イリジウム７な
どの貴金属又は金属酸化物を被覆させる電解用電極を形
成することができるようになる。
【００３４】また、上述の如く導電性基体２の表面に形
成される被覆層３は、酸化ケイ素がＳｉ含有量で７５原
子％より多く８５原子％以下を含有しているため、被覆
層３に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子４を導電性基体
２に被覆させることができるようになり、電解用電極の
耐久性を向上させることができるようになる。また、酸
化ケイ素粒子４に被覆する白金５や酸化イリジウム７の
量を適正化することができるようになる。
成される被覆層３は、酸化ケイ素がＳｉ含有量で７５原
子％より多く８５原子％以下を含有しているため、被覆
層３に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子４を導電性基体
２に被覆させることができるようになり、電解用電極の
耐久性を向上させることができるようになる。また、酸
化ケイ素粒子４に被覆する白金５や酸化イリジウム７の
量を適正化することができるようになる。
【００３５】また、酸化ケイ素粒子４を著しく増加させ
ることによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避する
ことができるようになる。
ることによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避する
ことができるようになる。
【００３６】尚、本実施例では、被覆層３を構成する貴
金属又は金属酸化物は、白金５及び酸化イリジウム７を
用いて説明しているが、これ以外に、酸化パラジウム、
酸化ルテニウムを使用してもよい。また、これら貴金属
又は金属酸化物を白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、
酸化イリジウムがＩｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パ
ラジウムがＰｄ含有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウ
ムがＲｕ含有量で０〜２５原子％を含有しているもの、
又はこれらの混合物であってもよいものとする。
金属又は金属酸化物は、白金５及び酸化イリジウム７を
用いて説明しているが、これ以外に、酸化パラジウム、
酸化ルテニウムを使用してもよい。また、これら貴金属
又は金属酸化物を白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、
酸化イリジウムがＩｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パ
ラジウムがＰｄ含有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウ
ムがＲｕ含有量で０〜２５原子％を含有しているもの、
又はこれらの混合物であってもよいものとする。
【００３７】これにより、被覆層３の耐食性と導電性を
兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成することが
でき、電極自体の耐食性及び導電性を向上させることが
できるようになる。
兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成することが
でき、電極自体の耐食性及び導電性を向上させることが
できるようになる。
【００３８】
【発明の効果】以上の詳述した如く本発明によれば、導
電性基体の表面に、酸化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素粒
子の表面に被覆された１種類以上の超微粒子の貴金属又
は金属酸化物より構成される被覆層を形成したので、バ
インダとしての酸化ケイ素により電解用電極自体の耐久
性を向上させることができると共に、貴金属又は金属酸
化物の分散性を向上させることができるようになる。
電性基体の表面に、酸化ケイ素粒子とこの酸化ケイ素粒
子の表面に被覆された１種類以上の超微粒子の貴金属又
は金属酸化物より構成される被覆層を形成したので、バ
インダとしての酸化ケイ素により電解用電極自体の耐久
性を向上させることができると共に、貴金属又は金属酸
化物の分散性を向上させることができるようになる。
【００３９】これにより、適切な量の超微粒子の貴金属
又は金属酸化物を導電性基体の表面に被覆させることが
できるようになり、従来の如く貴金属又は金属酸化物が
重なった状態で基体に被覆されることによる不必要な貴
金属又は金属酸化物の使用量を削減することができるよ
うになり、コストの低減を図ることができるようにな
る。
又は金属酸化物を導電性基体の表面に被覆させることが
できるようになり、従来の如く貴金属又は金属酸化物が
重なった状態で基体に被覆されることによる不必要な貴
金属又は金属酸化物の使用量を削減することができるよ
うになり、コストの低減を図ることができるようにな
る。
【００４０】また、適切な量の超微粒子の貴金属又は金
属酸化物が基体に被覆されることにより、従来と同等の
コストにて、大型の電極を形成することができるように
なり、電解効率を向上させることができるようになる。
属酸化物が基体に被覆されることにより、従来と同等の
コストにて、大型の電極を形成することができるように
なり、電解効率を向上させることができるようになる。
【００４１】更に、被覆層は酸化ケイ素を、Ｓｉ含有量
で７５原子％より多く８５原子％以下含有するので、被
覆層に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子を導電性基体に
被覆させることができるようになり、電解用電極の耐久
性を向上させることができるようになる。また、酸化ケ
イ素粒子に被覆する超微粒子の貴金属又は金属酸化物の
量を適正化することができるようになる。
で７５原子％より多く８５原子％以下含有するので、被
覆層に対し、適切な量の酸化ケイ素粒子を導電性基体に
被覆させることができるようになり、電解用電極の耐久
性を向上させることができるようになる。また、酸化ケ
イ素粒子に被覆する超微粒子の貴金属又は金属酸化物の
量を適正化することができるようになる。
【００４２】また、酸化ケイ素粒子を著しく増加させる
ことによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避するこ
とができるようになる。
ことによる電極自体の抵抗値の上昇を未然に回避するこ
とができるようになる。
【００４３】請求項２の発明によれば、請求項１の発明
に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化物は、
白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジウムが
Ｉｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムがＰｄ含
有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含有量で
０〜２５原子％を含有するので、被覆層を耐食性と導電
性を兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成するこ
とができ、電極自体の耐食性及び導電性を向上させるこ
とができるようになる。
に加えて、被覆層を構成する貴金属又は金属酸化物は、
白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリジウムが
Ｉｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウムがＰｄ含
有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ含有量で
０〜２５原子％を含有するので、被覆層を耐食性と導電
性を兼ね備えた貴金属又は金属酸化物により構成するこ
とができ、電極自体の耐食性及び導電性を向上させるこ
とができるようになる。
【００４４】請求項３の発明によれば、請求項１又は請
求項２の発明の電解用電極において導電性基体の表面
に、被覆層を形成するための被覆層構成材を塗布した
後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰囲気中で熱
処理することにより、導電性基体の表面に被覆層を形成
するので、導電性基体と被覆層構成材との密着性が向上
され、緻密な被覆層を形成することができるようにな
る。
求項２の発明の電解用電極において導電性基体の表面
に、被覆層を形成するための被覆層構成材を塗布した
後、導電性基体及び被覆層構成材を酸化性雰囲気中で熱
処理することにより、導電性基体の表面に被覆層を形成
するので、導電性基体と被覆層構成材との密着性が向上
され、緻密な被覆層を形成することができるようにな
る。
【００４５】請求項４の発明によれば、請求項３の発明
に加えて、導電性基体の表面に塗布する被覆層構成材
は、シリカゾルを含むので、シリカゾルにより、容易に
導電性基体の表面に酸化ケイ素粒子を形成することがで
きるようになり、効率的に貴金属又は金属酸化物を被覆
させる電解用電極を形成することができるようになる。
に加えて、導電性基体の表面に塗布する被覆層構成材
は、シリカゾルを含むので、シリカゾルにより、容易に
導電性基体の表面に酸化ケイ素粒子を形成することがで
きるようになり、効率的に貴金属又は金属酸化物を被覆
させる電解用電極を形成することができるようになる。
【図１】本発明の電解用電極の製造装置の概略図であ
る。
る。
【図２】本発明の電解用電極の部分拡大断面図である。
【図３】従来の電解用電極の部分拡大断面図である。
１ 電解用電極
２ 導電性基体
３ 被覆層
４ 酸化ケイ素粒子
５ 白金
６ 被覆層構成材
７ 酸化イリジウム
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 金井 大
大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三
洋電機株式会社内
(72)発明者 米▲さき▼ 孝広
大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三
洋電機株式会社内
(72)発明者 虫明 克彦
東京都新宿区余丁町４−14余丁町ダイカン
プラザ604
Ｆターム(参考） 4K011 AA02 AA32 DA03
Claims (4)
- 【請求項１】 導電性基体の表面に、酸化ケイ素粒子と
該酸化ケイ素粒子の表面に被覆された１種類以上の超微
粒子の貴金属又は金属酸化物より構成される被覆層を形
成し、 該被覆層は酸化ケイ素を、Ｓｉ含有量で７５原子％より
多く８５原子％以下含有することを特徴とする電解用電
極。 - 【請求項２】 前記被覆層を構成する貴金属又は金属酸
化物は、白金がＰｔ含有量で０〜２５原子％、酸化イリ
ジウムがＩｒ含有量で０〜２５原子％、酸化パラジウム
がＰｄ含有量で０〜２５原子％、酸化ルテニウムがＲｕ
含有量で０〜２５原子％を含有することを特徴とする請
求項１の電解用電極。 - 【請求項３】 前記導電性基体の表面に、前記被覆層を
形成するための被覆層構成材を塗布した後、前記導電性
基体及び被覆層構成材を酸化性雰囲気中で熱処理するこ
とにより、前記導電性基体の表面に前記被覆層を形成す
ることを特徴とする請求項１又は請求項２の電解用電極
の製造方法。 - 【請求項４】 前記導電性基体の表面に塗布する前記被
覆層構成材は、シリカゾルを含むことを特徴とする請求
項３の電解用電極の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001251775A JP2003064496A (ja) | 2001-08-22 | 2001-08-22 | 電解用電極及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001251775A JP2003064496A (ja) | 2001-08-22 | 2001-08-22 | 電解用電極及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003064496A true JP2003064496A (ja) | 2003-03-05 |
Family
ID=19080364
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001251775A Pending JP2003064496A (ja) | 2001-08-22 | 2001-08-22 | 電解用電極及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003064496A (ja) |
-
2001
- 2001-08-22 JP JP2001251775A patent/JP2003064496A/ja active Pending
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20040420 |
|
| A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20040721 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040802 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20041130 |