JP2003064193A - ポリプロピレンフィルム - Google Patents

ポリプロピレンフィルム

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JP2003064193A
JP2003064193A JP2001260993A JP2001260993A JP2003064193A JP 2003064193 A JP2003064193 A JP 2003064193A JP 2001260993 A JP2001260993 A JP 2001260993A JP 2001260993 A JP2001260993 A JP 2001260993A JP 2003064193 A JP2003064193 A JP 2003064193A
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film
polypropylene
resin
polypropylene resin
mass
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JP2001260993A
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Hiroshi Kawarada
博 川原田
Shuji Kanazawa
修治 金沢
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SunAllomer Ltd
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SunAllomer Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形安定性、TD方向の引裂き性かつ透明性
が高いポリプロピレンフィルムを提供すること。 【解決手段】 下記の条件1を満たすポリプロピレン系
樹脂99〜91質量%及び下記の条件2を満たす高溶融
張力ポリプロピレン系樹脂1〜9質量%を含むポリプロ
ピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレンフィルム。 条件1 230℃でのメルトフローレート(MFR)
(g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
が式1の関係を満たす。 式1 MT<11.32×MFR-0.7854 条件2 230℃でのメルトフローレート(MFR)
(g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
が式2の関係を満たす。 式2 11.32×MFR-0.7854≦MT

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂と高溶融張力ポリプロピレン系樹脂とを特定の配合
比で含むポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロ
ピレンフィルムに関する。更に本発明は、前記ポリプロ
ピレンフィルムの層を含む積層体に関する。
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は一般に結晶化速度
が早く、溶融張力も低いため、空冷インフレーション法
でフィルム成形を行なう場合、成形時の樹脂の溶融膜は
不安定であり、そして得られるフィルムは厚みむらがあ
り、かつ徐冷により透明性が低いものとなる。そのため
急冷が可能なキャスト法(Tダイ法)、水冷インフレー
ション法等で成形される。キャスト法及び水冷インフレ
ーション法で成形されたポリプロピレンフィルムは透明
性に優れる。しかしながら、キャスト法ではフィルム成
形時のフィルム引取方向(以下、MD方向とする)にの
み樹脂の分子配向がかかるので、得られたフィルムは縦
裂けし易いが、MD方向に対する直角方向(以下、TD
方向とする)に対する引裂き性は低いものとなる。また
水冷インフレーション法では、同じく透明性に優れたフ
ィルムを得ることができるが、溶融樹脂膜を冷却するた
めに用いる水冷リング(サイジングダイともいう)によ
ってフィルム幅が決まるため、フィルム製品の幅の変更
時に煩雑な水冷リング交換が必要となり、かつ、水を循
環させるためにポンプを取り付けたり、成形機に防水、
防錆処理を施す必要があるので、設備費用が空冷インフ
レーション成形機と比較して高くなる。一方、空冷イン
フレーション法は、フィルムのサイズ変更が容易で成形
機も比較的構造が簡単で安価だが、前述のとおりポリプ
ロピレン樹脂の特性により樹脂膜が不安定であり、不透
明なフィルムとなるため、安定した品質のフィルムを得
ることは難しい。空冷インフレーション法においてフィ
ルムの透明性を改良する方法が、特開昭58-158223号公
報及び特開昭60-118727号公報に開示されている。これ
らの方法では、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独
重合体又は共重合体)に核剤を添加し、結晶サイズを小
さくすることによりフィルムの透明性を改良している。
しかしながら、ポリプロピレン樹脂に核剤を添加した場
合、ゲルやフィッシュアイの発生が見られることが多
く、また、押出機のシリンダ内面及びダイスの樹脂流路
部において劣化が起こることがあるという欠点があり、
フィルムの包装材としての商品価値を失う恐れがあっ
た。
【0002】一方、成形加工面から透明性を改良する方
法が、特開平10-217328号公報に開示されている。この
方法は、特定の溶融熱量を持ったプロピレン系重合体の
溶融樹脂膜に、低温の冷却空気を吹き付けることによ
り、急激に冷却し結晶サイズを小さくして、フィルムの
透明性を改良するというものである。更に、特開平11-5
8513号公報には、ダイスの溶融樹脂膜出口の周囲に円筒
状の冷却空気吹きつけ管を設置し、溶融樹脂膜を冷却し
てフィルムの成形安定性と透明性を改良する方法が開示
されている。しかしながら、これらの方法では低温の冷
却空気を得るために成形機とは別個の空気冷却装置の設
置が必要となるので、設備費が高額になる。また、冷却
空気吹き付け管を設置すると、フィルムのサイズ変更が
困難となるため、実用性は低い。一方、特開昭62-12170
4号公報はフィルムの材料面からのアプローチを開示し
ている。この方法は、高溶融張力ポリプロピレンをポリ
プロピレン樹脂に配合することによりフィルムの成形安
定性及び透明性の改良を図るというものである。具体的
には、実施例5においてポリプロピレン系樹脂と高溶融
張力ポリプロピレンとの配合比が90:10の組成物か
らなるフィルムを開示し、更に高溶融張力ポリプロピレ
ンを含まない比較組成物からなるフィルムとの間で比較
を行い、高溶融張力ポリプロピレンを含むことによりフ
ィルムの透明性及び成形安定性が向上することを明らか
にしている。また、実施例6ではポリプロピレン系樹脂
と高溶融張力ポリプロピレンとの配合比が70:30の
組成物からなるシートを開示し、高溶融張力ポリプロピ
レンを含まない比較組成物からなるシートとの間で比較
を行い、高溶融張力ポリプロピレンを含むことによりシ
ートの成形安定性が向上することを明らかにしている。
しかしながら、特開昭62-121704号公報は高溶融張力ポ
リプロピレンの配合量の変化による成形安定性及び透明
性の変化についてなんら検討を行っておらず、高溶融張
力ポリプロピレンの存在の有無による検討しかしていな
い。したがって、特開昭62-121704号公報は高溶融張力
ポリプロピレンの量を増やす程、フィルムの成形安定性
及び透明性が高くなるという方向を示唆していると考え
られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等は、高溶融張力ポリプロピレンを多量に配合する
と、フィルムの成形性及び透明性がむしろ低下するとい
う現象を発見した。したがって、本発明は、成形安定
性が高い、透明性が高い、及びTD方向の引裂き性
に優れるという3つの特性を同時に兼ね備えているポリ
プロピレンフィルムを提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】前記の課題を達成するた
めに、本発明者らは鋭意検討した結果、高溶融張力ポリ
プロピレン系樹脂の配合量を一定量に制限することによ
りフィルムの透明性を維持しつつ、成形安定性及びTD
方向の引裂き性に優れるポリプロピレンフィルムを製造
することができることを見出した。本発明はこの知見に
基づいてなされたものである。すなわち本発明は、 (1)下記の条件1を満たすポリプロピレン系樹脂99
〜91質量%及び下記の条件2を満たす高溶融張力ポリ
プロピレン系樹脂1〜9質量%を含むポリプロピレン系
樹脂組成物からなるポリプロピレンフィルム。 条件1 230℃でのメルトフローレート(MFR)
(g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
が式1の関係を満たす。 式1 MT<11.32×MFR-0.7854 条件2 230℃でのメルトフローレート(MFR)
(g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
が式2の関係を満たす。 式2 11.32×MFR-0.7854≦MT; (2)前記ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重
合体、又はプロピレンと1種以上の炭素数2以上(3を
除く)のα−オレフィンとの共重合体である、請求項1
に記載のポリプロピレンフィルム; (3)前記ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重
合体、又はプロピレンと1種以上の炭素数2以上(3を
除く)のα−オレフィンとの共重合体であって、230
℃におけるメルトフローレートが0.01〜30g/1
0分の範囲にある、請求項1に記載のポリプロピレンフ
ィルム; (4)少なくとも1種の脂環族飽和炭化水素樹脂を、前
記ポリプロピレン系樹脂組成物中に1〜15質量%含有
しており、かつ230℃におけるメルトフローレートが
0.01〜30g/10分の範囲にあるポリプロピレン
系樹脂組成物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の
ポリプロピレンフィルム;及び (5)請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン
フィルムを少なくとも一層含む積層体、である。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピ
レン系樹脂及び高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を含む
ポリプロピレン系樹脂組成物からなっている。本発明の
ポリプロピレンフィルムの製造に使用するポリプロピレ
ン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体及びプロピ
レンと1種以上のα−オレフィンとの共重合体が挙げら
れる。プロピレン−α−オレフィン共重合体について、
共重合体を構成するα−オレフィンの炭素数は、通常2
〜20(3を除く)であり、特に、好ましくは、2〜1
0(3を除く)であることが適当である。α−オレフィ
ンとしては、具体的には、エチレンや、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、へプテン−1、オクテン−
1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−
1、4−メチルへキセン−1、4,4−ジメチルペンテ
ン−1等を好ましいものとして挙げることができる。こ
れらのモノマーのうち、共重合性や、入手のしやすさの
観点から、エチレンや、ブテン−1、ペンテン−1、ヘ
キセン−1、へプテン−1、オクテン−1、4−メチル
ペンテン−1が好ましい。特に、エチレン、ブテン−1
が好ましい。また、共重合体を構成するα−オレフィン
は、2種以上を併用してもよい。例えば、α−オレフィ
ンとしてエチレン及びブテン−1を使用すると、共重合
体としてプロピレン−エチレン−ブテン−1ターポリマ
ーが構成される。共重合体中のα−オレフィンの重合割
合は、例えば0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜
15質量%とすることが適当である。
【0005】必要により、その他の重合性のモノマーを
使用してもよい。このようなモノマーとしては、例え
ば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン等
を挙げることができる。プロピレン−α−オレフィン共
重合体は、ランダム共重合体及びブロック共重合体のい
ずれの構造であってもよい。本発明のポリプロピレンフ
ィルムに使用するポリプロピレン系樹脂は、230℃に
おけるメルトフローレート(MFR)(g/10分)と
230℃における溶融張力(MT)(g)とが、下記の
式1の関係を満たしていることが必要である。 式1 MT<11.32×MFR-0.7854 上記の式1の関係を満たしていないと、空冷インフレー
ション成形を行う際、溶融樹脂膜の粘度が高すぎてエア
ーリングへの吸引が不充分なため、溶融樹脂膜が不安定
であり、また、延展性が悪いため樹脂膜が切れる。更に
ダイス出口におけるせん断によるメルトフラクチャーが
発生し、透明性等を阻害することとなり好ましくない。
樹脂のMFRは、JIS K7210に記載されている
方法で230℃にて測定される。樹脂のMTは、JIS
K7210に示されるMFR測定用の装置に準じた装
置を用い、230℃にて測定される。具体的には、約5
gの樹脂をシリンダー内で230℃で5分間予熱した
後、ピストンによって押出速度20mm/分でキャピラ
リーより吐出し、吐出したストランドを15.7m/分
の定速度で引取り、途中滑車を介してストレスゲージに
て荷重(g)を読み取り、その値を記録する。測定開始
から120〜180秒の間の読みの平均値をMTとす
る。ポリプロピレン系樹脂のMFRは、例えば、0.0
1〜30、好ましくは0.1〜20、更に好ましくは
0.4〜10g/10分であることが適当である。以上
の条件を満たすポリプロピレン系樹脂としては、市販さ
れているものを使用することができる。例えば、プロピ
レン単独重合体としてサンアロマー株式会社製「サンア
ロマーPL400A」(MFR=2.0g/10分、M
T=1.2g(230℃)、密度=0.900g/cm
3)、プロピレン−α−オレフィン共重合体としてサン
アロマー株式会社製「サンアロマーPF430A」(プ
ロピレン−エチレンコポリマー、MFR=1.8g/1
0分、MT=2.0g(230℃)、密度=0.900
g/cm3)を好ましく使用することができる。ポリプ
ロピレン系樹脂は、単独で使用してもよいし、複数のポ
リプロピレン系樹脂からなるブレンドとして使用するこ
ともできる。
【0006】本発明における高溶融張力ポリプロピレン
系樹脂は、230℃におけるメルトフローレート(MF
R)(g/10分)と溶融張力(MT)(g)とが、下
記の式2の関係を満たしていることが必要である。 式2 11.32×MFR-0.7854≦MT 上記の式2の関係を満たしていないと、成形が不安定と
なり好ましくない。樹脂のMFR及びMTは、前述のポ
リプロピレン系樹脂と同様の方法により測定することが
できる。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂のMFRは、
例えば、0.1〜30、好ましくは2〜20g/10分
であることが適当である。好ましい高溶融張力ポリプロ
ピレン系樹脂としては、230℃におけるMTが1.0
g以上であり、230℃におけるMFRが1g/10分
以上であるポリプロピレン系樹脂が挙げられる。以上の
条件を満たす高溶融張力ポリプロピレン系樹脂として
は、例えば、プロピレンホモポリマーや、プロピレンと
エチレンのランダム共重合体からなるものが挙げられ
る。具体例としては、特開昭62-121704号公報に記載の
ポリプロピレンを挙げることができる。このような高溶
融張力ポリプロピレン系樹脂は、例えば特開昭62-12170
4号公報に記載される以下の工程: (1)15容量%未満の活性酸素濃度下、ポリプロピレ
ンに高エネルギーイオン化放射線を照射する工程、
(2)照射ポリプロピレンを、長鎖分岐が生成するのに
十分な時間、前記(1)の環境下に保持する工程、及
び、(3)照射済ポリプロピレンを、該ポリプロピレン
中の実質的に全ての遊離基を失活させるために処理する
工程を含む方法によって製造することができる。また、
市販されているものも使用することができ、例えば、B
asell社製「PF623」(プロピレン単独重合
体、MFR=15g/10分(230℃)、MT=2.
2g(230℃)、密度=0.900g/cm3)及び
Basell社製「PF814」(プロピレン単独重合
体、MFR=3.0g/10分(230℃)、MT=2
0.8g(230℃)、密度=0.900g/cm3)
を好ましく使用することができる。高溶融張力ポリプロ
ピレン系樹脂は、単独で使用してもよいし、複数の高溶
融張力ポリプロピレン系樹脂からなるブレンドとして使
用することもできる。
【0007】本発明のポリプロピレンフィルムに用いる
ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリオレフィン系
樹脂と高溶融張力ポリプロピレン系樹脂との配合比は、
ポリオレフィン系樹脂99〜91質量%に対して高溶融
張力ポリプロピレン系樹脂1〜9質量%であり、好まし
くはポリオレフィン系樹脂98〜92質量%に対して高
溶融張力ポリプロピレン系樹脂2〜8質量%、更に好ま
しくはポリオレフィン系樹脂97〜93質量%に対して
高溶融張力ポリプロピレン系樹脂3〜7質量%である。
高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の配合量が1質量%未
満であると、十分な溶融張力が得られず、インフレーシ
ョンフィルム成形時の成形安定性を改良することが難し
い。一方、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の量が9質
量%を超えると、ダイスとのせん断によりメルトフラク
チャーが発生し、フィルムの透明性が悪くなる。更に高
溶融張力ポリプロピレン系樹脂の量が20質量%を超え
ると、得られるフィルムのMFRに対して溶融張力が大
きくなりすぎ、高速成形でフィルムが切れ易くなり、出
来あがったフィルムも弾性率が極端に高くなり、柔軟性
に乏しくもろくなり扱いにくいので好ましくない。した
がって、高い透明性を維持しつつ、高い成形安定性を有
し、かつTD方向の引裂き性に優れるポリプロピレンフ
ィルムを得るためには、ポリオレフィン系樹脂99〜9
1質量%に対して高溶融張力ポリプロピレン系樹脂1〜
9質量%であることが必要となる。ポリプロピレン系樹
脂組成物のMFRは、230℃において、0.01〜3
0g/10分であり、好ましくは0.01〜15g/1
0分、更に好ましくは、0.1〜10g/10分であ
る。ポリプロピレン系樹脂組成物のMTは、230℃に
おいて1〜15g、好ましくは1.2〜12gである。
1g未満では高速成形で押出ムラが起こりやすくなり、
15gを超えると高速成形時にフィルム切れが発生し易
くなる。尚、樹脂のMFR及びMTは、前述のポリプロ
ピレン系樹脂と同様の方法により測定することができ
る。ポリプロピレン系樹脂組成物の製造は、ポリオレフ
ィン系樹脂及び高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の各ペ
レットを単純に混合することによって、あるいはこの混
合物を押出機を通して溶融混合することによっても得る
ことができる。
【0008】また前記のポリプロピレン系樹脂組成物
に、脂環族飽和炭化水素樹脂を一定の範囲で加えるとポ
リプロピレンフィルムのフラット性を更に改良すること
ができる。脂環族飽和炭化水素樹脂としては、例えば天
然のテルピン油を原料とする水添テルペン樹脂、石油の
分解時に発生するオレフィン系、ジオレフィン系の芳香
族系不飽和炭化水素を原料とする水添石油樹脂等が挙げ
られる。水添テルペン樹脂としては、例えばヤスハラケ
ミカル株式会社の「クリアロン」等を使用することがで
きる。水添石油樹脂としては、例えば、荒川化学株式会
社の「アルコン」及びトーネックス株式会社の「ESC
OREZ」(商品名)等を使用することができる。脂環
族飽和炭化水素樹脂の添加量はポリプロピレン系樹脂組
成物99〜85質量%に対して1〜15質量%、好まし
くはポリプロピレン系樹脂組成物98〜90質量%に対
して2〜10質量%、更に好ましくはポリプロピレン系
樹脂組成物97〜92質量%に対して3〜8質量%であ
る。1質量%未満ではフラット性改良の効果がなく、1
5質量%を超えると、脂環族飽和炭化水素樹脂は一般に
溶融粘度が低いため組成物全体の溶融粘度が低下し成形
が困難となる。本発明のポリプロピレンフィルムの成形
法は特に限定されないが、インフレーションフィルム成
形法は、Tダイフィルム成形法と比較して低い成形温度
で成形できるため、酸化防止剤やスリップ剤、アンチブ
ロッキング剤等の添加量を少なくできるうえ、更に成形
法の特性上、フィルムの縦及び横方向の分子配向の制御
が可能であること等から、ラップ等のように横方向への
手切れ性を重視する用途に向けられる本発明のポリプロ
ピレンフィルムの製造に適している。特に、空冷インフ
レーション成形法は、水冷インフレーション成形法のよ
うな冷却水設備が不要であるので、作業環境を悪化させ
る心配がなく、設備費の軽減も図ることができる。更に
水冷リングが不要でありフィルムの幅の変更が容易とな
るので、本発明のポリプロピレンフィルムの製造に特に
適している。
【0009】本発明のポリプロピレンフィルムの厚み
は、通常8〜200μm、好ましくは15〜150μmで
ある。該フィルムの厚みが8μm未満では、フィルムの
強度が低下してすぐに破損を生じてしまう。また200
μmを超えると厚くなりすぎて取り扱い性が著しく低下
する。本発明で用いるポリプロピレン樹脂及びポリプロ
ピレン系樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、抗
ブロッキング剤、滑剤、粘着剤、防曇剤、防滴剤、防霧
剤、帯電防止剤、紫外線等特定波長の光線を吸収する光
線吸収剤、老化防止剤、無機物等の充填剤、顔料等の各
種添加剤を適宜配合することが可能である。本発明のポ
リプロピレンフィルムは、耐熱性、透明性及びTD方向
の引裂き性に優れるので、特にしょうゆ、たれ等の液体
調味料用の小型包装袋や食品用家庭用ラップフィルム、
パンや野菜包装フィルムの他一般食品包装、またクリー
ニング袋等の他一般包装フィルムとして好適に使用する
ことができる。その他、ポリプロピレン系樹脂に低融点
のものを用いることで包装フィルムのヒートシール層と
して用いることも可能である。更に、透明性、腰の強さ
を生かし、これまでキャスト法で成形されてきたラミ原
反、発砲トレーとの貼合用フィルム、スタンディングパ
ウチのシーラントフィルム等にも応用可能である。
【0010】また本発明のポリプロピレンフィルムは、
単層フィルムの他に、多層フィルム、すわなち積層体と
して使用することができる。例えば、二層フィルムの一
方の層に本発明のポリプロピレンフィルム、他の層にポ
リオレフィン系樹脂からなるフィルムという構成をとる
積層体、あるいはポリプロピレン系樹脂と高溶融張力ポ
リプロピレン系樹脂との組成比が異なる二種類の本発明
のポリプロピレンフィルムをそれぞれの層に配した積層
体とすることが可能である。このような本発明のポリプ
ロピレンフィルムを少なくとも一層含む積層体は、イン
フレーションフィルム成形時の安定性及び透明性に優れ
る。また、三層以上のフィルムについても同様に、本発
明のポリプロピレン系樹脂組成物を少なくとも一層に配
することによりフィルム成形時の安定性及び透明性が改
善される。他の層には最終使用のフィルムの要求物性に
応じて適当なポリオレフィン系樹脂あるいはポリオレフ
ィン系樹脂組成物を用いることができる。本発明の積層
体は、本発明のポリプロピレンフィルムの高透明性を生
かした用途に用いられる。例としてバッグインボックス
用内袋、一般包装袋等が挙げられる。
【0011】
【実施例】以下、実施例及び比較例を参照しながら、本
発明について、更に詳細に説明する。実施例1 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPF430A」(プロピレン−エチレン
コポリマー、MFR=1.8g/10分(230℃)、
MT=2.0g(230℃)、密度=0.900g/c
m3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBas
ell社製「PF623」(プロピレン単独重合体、M
FR=15g/10分(230℃)、MT=2.2g
(230℃)、密度=0.900g/cm3)を、PF
430Aを95質量%、PF623を5質量%の配合比
で用い、ペレットブレンダー(日水化工社製タンブルミ
キサー)でドライブレンドを行ない、プラコーφ55m
mインフレーション成形機を用いてフィルム厚み40μ
m、幅350mm(ブロー比2.2)のフィルムを得
た。実施例2 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPL400A」(プロピレン単独重合
体、MFR=2.0g/10分(230℃)、MT=
1.2g(230℃)、密度=0.900g/cm
3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBase
ll社製「PF623」(プロピレン単独重合体、MF
R=15g/10分(230℃)、MT=2.2g(2
30℃)、密度=0.900g/cm3)を、PF43
0Aを95質量%、PF623を5質量%の配合比で用
い、ペレットブレンダーでドライブレンドを行ない、プ
ラコーφ55mmインフレーション成形機を用いてフィ
ルム厚み40μm、幅350mm(ブロー比2.2)の
フィルムを得た。
【0012】実施例3 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPF430A」(プロピレン−エチレン
コポリマー、MFR=1.8g/10分(230℃)、
MT=2.0g(230℃)、密度=0.900g/c
m3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBas
ell社製「PF814」(プロピレン単独重合体、M
FR=3.0g/10分(230℃)、MT=20.8
g(230℃)、密度=0.900g/cm3)を、P
F430Aを95質量%、PF814を5質量%の配合
比で用い、ペレットブレンダーでドライブレンドを行な
い、プラコーφ55mmインフレーション成形機を用い
てフィルム厚み40μm、幅350mm(ブロー比2.
2)のフィルムを得た。実施例4 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPL400A」(プロピレン単独重合
体、MFR=2.0g/10分(230℃)、MT=
1.2g(230℃)、密度=0.900g/cm
3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBase
ll社製「PF814」(プロピレン単独重合体、MF
R=3.0g/10分(230℃)、MT=20.8g
(230℃)、密度=0.900g/cm3)を、PF
430Aを95質量%、PF814を5質量%の配合比
で用い、ペレットブレンダーでドライブレンドを行な
い、プラコーφ55mmインフレーション成形機を用い
てフィルム厚み40μm、幅350mm(ブロー比2.
2)のフィルムを得た。実施例5 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPF430A」(プロピレン−エチレン
コポリマー、MFR=1.8g/10分(230℃)、
MT=2.0g(230℃)、密度=0.900g/c
m3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBas
ell社製「PF623」(プロピレン単独重合体、M
FR=15g/10分(230℃)、MT=2.2g
(230℃)、密度=0.900g/cm3)を、更に
脂環族飽和炭化水素樹脂としてヤスハラケミカル株式会
社製の「クリアロンP−125」を使用し、PF430
Aを90質量%、PF623を5質量%、クリアロンP
−125を5質量%の配合比で用い、ペレットブレンダ
ーでドライブレンドを行い、プラコーφ55mmインフ
レーション成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅3
50mm(ブロー比2.2)のフィルムを得た。
【0013】実施例6 ポリプロピレン系樹脂としてサンアロマー株式会社製
「サンアロマーPL400A」(プロピレン単独重合
体、MFR=2.0g/10分(230℃)、MT=
1.2g(230℃)、密度=0.900g/cm
3)、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてBase
ll社製「PF814」(プロピレン単独重合体、MF
R=3.0g/10分(230℃)、MT=20.8g
(230℃)、密度=0.900g/cm3)、更に脂
環族飽和炭化水素樹脂として荒川化学工業株式会社製の
「アルコンP−125」を、PL400Aを92質量
%、PF814を3質量%、アルコンP−125を5質
量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドライブレ
ンドを行い、プラコーφ55mmインフレーション成形
機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm(ブロ
ー比2.2)のフィルムを得た。実施例7 外層及び内層にポリプロピレン系樹脂としてサンアロマ
ー株式会社製「サンアロマーPF430A」(プロピレ
ン−エチレンコポリマー、MFR=1.8g/10分
(230℃)、MT=2.0g(230℃)、密度=
0.900g/cm3)、高溶融張力ポリプロピレン系
樹脂としてBasell社製「PF623」(プロピレ
ン単独重合体、MFR=15g/10分(230℃)、
MT=2.2g(230℃)、密度=0.900g/c
m3)を使用し、PF430Aを95質量%、PF62
3を5質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでド
ライブレンドを行ない製造したものと、中間層に軟質ポ
リプロピレン系樹脂であるBasell社製「Q100
F」(MFR=0.6g/10分)を用い、トミー機械
社製3種3層インフレーション成形機を用いてフィルム
厚み40μm、幅350mm(ブロー比2.2)のフィ
ルムを得た。
【0014】比較例1 ポリプロピレン系樹脂としてPF430Aを単独で用
い、プラコーφ55mmインフレーション成形機により
フィルム成形を行ない、フィルム厚み40μm、幅35
0mm(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例2 ポリプロピレン系樹脂としてPL400Aを単独で用
い、プラコーφ55mmインフレーション成形機により
フィルム成形を行ない、フィルム厚み40μm、幅35
0mm(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例3 実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂としてPF43
0A、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてPF62
3を使用し、PF430Aを90質量%、PF623を
10質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドラ
イブレンドを行い、プラコーφ55mmインフレーショ
ン成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm
(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例4 実施例2と同様にポリプロピレン系樹脂としてPL40
0A、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてPF62
3を使用し、PL430Aを90質量%、PF623を
10質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドラ
イブレンドを行い、プラコーφ55mmインフレーショ
ン成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm
(ブロー比2.2)のフィルムを得た。
【0015】比較例5 実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂としてPF43
0A、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてPF62
3を使用し、PF430Aを70質量%、PF623を
30質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドラ
イブレンドを行い、プラコーφ55mmインフレーショ
ン成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm
(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例6 実施例3と同様にポリプロピレン系樹脂としてPF43
0A、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてPF81
4を使用し、PF430Aを90質量%、PF623を
10質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドラ
イブレンドを行い、プラコーφ55mmインフレーショ
ン成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm
(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例7 実施例3と同様にポリプロピレン系樹脂としてPF43
0A、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としてPF81
4を使用し、PF430Aを70質量%、PF623を
30質量%の配合比で用い、ペレットブレンダーでドラ
イブレンドを行い、プラコーφ55mmインフレーショ
ン成形機を用いてフィルム厚み40μm、幅350mm
(ブロー比2.2)のフィルムを得た。比較例8 ポリプロピレン系樹脂としてPF430A、脂環族飽和
炭化水素樹脂としてヤスハラケミカル株式会社製の「ク
リアロンP−125」を使用し、PF430Aを95質
量%、クリアロンP−125を5質量%の配合比で用
い、ペレットブレンダーでドライブレンドを行い、プラ
コーφ55mmインフレーション成形機を用いてフィル
ム厚み40μm、幅350mm(ブロー比2.2)のフ
ィルムを得た。
【0016】比較例9 ポリプロピレン系樹脂としてPL400A、高溶融張力
ポリプロピレン系樹脂としてPF814、更に脂環族飽
和炭化水素樹脂としてアルコンP−125を使用し、P
L400Aを75質量%、PF814を5質量%、アル
コンP−125を20質量%の配合比で用い、ペレット
ブレンダーでドライブレンドを行い、プラコーφ55m
mインフレーション成形機を用いてフィルム成形を試み
たが溶融粘度が低く成形できなかった。比較例10 外層及び内層にポリプロピレン系樹脂としてPF430
A単独からなる樹脂を用い、中間層に軟質ポリプロピレ
ン系樹脂であるBasell社製「Q100F」(MF
R=0.6g/10分)を、トミー機械社製3種3層イ
ンフレーション成形機を用いてフィルム厚み40μm、
幅350mm(ブロー比2.2)のフィルムを得た。
【0017】評価方法 エルメンドルフ引裂き試験 JIS K7128(プラスチックフィルム及びシート
の引裂き試験方法)に準拠し、エルメンドルフ引裂き法
により測定を行なった。フィルムを1号試験片打ち抜き
金型により裁断しサンプルを得た。2種類の引裂き方
向:フィルムの流れ方向(以下、MD方向)及び直角方
向(以下、TD方向)についてサンプルを準備し、東洋
精器製エルメンドルフ試験機のサンプルつかみ具に、サ
ンプルを1〜10枚取り付け、引裂き試験を行った。M
D及びTDについてn=5でそれぞれ行ない、引裂きに
より得られた数値(kg)をサンプルの厚み(cm)で
除したものを、引裂き強度(kg/cm)として使用し
た。ヘイズ(曇価) JIS K7105に準拠し、測定を行なった。スガ試
験機製の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメータ
ー)を用いて、拡散透過率及び全光線透過率を測定し、
以下の計算式を用いてをヘイズを算出した。 H=Td/Tt H:ヘイズ(曇価)(%) Td:拡散透過率(%) Tt:全光線透過率(%) 各フィルムについてフィルム面の任意の個所から縦、及
び横が5cmの正方形に切りだしたフィルムサンプルに
ついてn=3で測定を行ない、それらの平均値を用い
た。
【0018】手切れ性 フィルムの端を両手で持ち、TD方向に約180度の角
度で引裂いた。その時の引裂き具合を以下の基準で評価
を行ない、合計点数が多いものを手切れ性が良いものと
判断した。 成形安定性 実施例1〜4及び比較例1〜2のフィルムについて プラコーφ55インフレ―ション成形機にて押出し量2
0kg/時間、フィルム厚み40μm、フィルム幅35
0mm(ブロー比2.2)、引取り速度毎分13.2m
で成形を行なう際の、溶融膜(以下バブルと称する)の
揺れ状態を下記の基準により点数をつけ比較評価した。実施例7及び比較例10のフィルムについて トミー3種3層インフレーション成形機にて外層、中間
層、内層の厚み比が、それぞれ1、5、1になるよう各
押出機を調整し、総押出し量21kg/時間、フィルム
厚み40μm、フィルム幅350mm(ブロー比2.
2)、引取り速度毎分13.9mで成形を行なう際の、
バブルの揺れ状態を下記の基準により点数をつけ比較評
価した。 点数が多いものを安定性が良いものとした。
【0019】フィルムのフラット性 成形安定性評価の際に作成したインフレーションフィル
ムを1m切りの長さに切り取り、平板上に置き目視で観
察し、以下の評価基準にしたがい点数を付け比較評価し
た。 点数が多いものをフラット性が良いものとした。
【0020】結果 (1)ポリプロピレン系樹脂と高溶融張力ポリプロピレ
ン系樹脂との組合せによる効果 ポリプロピレン系樹脂と高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂との組合せによる効果を表1に示す。 表1 樹脂a:「PF430A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂b:「PL400A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂c:「PF623」高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂 樹脂e:「クリアロンP−125」脂環族飽和炭化水素
樹脂 ポリプロピレン系樹脂のみを用いて製造したフィルム
(比較例1及び2)並びにポリプロピレン系樹脂と脂環
族飽和炭化水素樹脂との組合せからなるフィルム(比較
例8)は、本発明のポリプロピレンフィルム(実施例
1)と比較して成形安定性、透明性及びTD方向の手切
れ性が低い。このことから、成形安定性が高く、TD方
向の引裂き性に優れかつ透明性が高いポリプロピレンフ
ィルムを製造するためには、ポリプロピレン系樹脂と高
溶融張力ポリプロピレン系樹脂とを組合せて使用する必
要があることが理解される。
【0021】(2)ポリプロピレン系樹脂と高溶融張力
ポリプロピレン系樹脂との配合比による効果 同種のポリプロピレン系樹脂及び高溶融張力ポリプロピ
レン系樹脂を用い、配合比のみを変えて製造したフィル
ムについての結果を表2〜4に示す。尚、比較例として
用いたポリプロピレン系樹脂と高溶融張力ポリプロピレ
ン系樹脂との配合比(質量%基準)90:10及び7
0:30は、それぞれ前記特開昭62-121704号公報の実
施例5及び6に記載されている配合比に対応するもので
ある。 表2 樹脂a:「PF430A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂c:「PF623」高溶融張力ポリプロピレン系樹
【0022】表3 樹脂b:「PL400A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂c:「PF623」高溶融張力ポリプロピレン系樹
【0023】表4 樹脂a:「PF430A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂d:「PF814」高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂 本発明のポリプロピレンフィルム(実施例1〜3)は、
成形安定性に優れ、かつTD方向のカット性が改良され
ており、同時に高い透明性を有していることがわかる。
一方、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の配合量が10
質量%以上(比較例3、6及び6:10質量%、比較例
5及び7:30質量%)の場合、本発明(実施例1〜
3:5質量%)と比較して、透明性が低下(ヘイズ値が
上昇)した。また、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の
配合量が10質量%以上の場合、フィルム成形の際に溶
融樹脂膜の張力が上がりすぎ冷却エアーリングへの吸い
付きが悪くなり、結果として成形性が低下した。このこ
とから、成形安定性が高い、透明性が高い、及び
TD方向の引裂き性に優れるという3つの特性を同時に
兼ね備えているポリプロピレンフィルムを製造するため
には、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の配合量を9質
量%以下にする必要があることが理解される。
【0024】(4)脂環族飽和炭化水素樹脂を使用した
ときの効果 フラット性の改良を目的として脂環族飽和炭化水素樹脂
を使用したとき結果を表5及び6に示す。表5 樹脂a:「PF430A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂c:「PF623」高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂 樹脂e:「クリアロンP−125」脂環族飽和炭化水素
樹脂 表6 樹脂b:「PL400A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂d:「PF814」高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂 樹脂f:「アルコンP−125」脂環族飽和炭化水素樹
脂 これらの結果から、脂環族飽和炭化水素樹脂を配合する
ことにより、ポリプロピレン系樹脂の弾性率が低下しフ
ィルムの風合いがしなやかになるため、結果的にフィル
ムの波うちが減り、フラット性が改善されることが理解
される。
【0025】(5)本発明のポリプロピレンフィルムを
積層体に使用したときの効果 三層からなる積層体において、本発明のポリプロピレン
フィルムを内層及び外層に用いたときの結果を表7に示
す。 表7 樹脂a:「PF430A」ポリプロピレン系樹脂 樹脂c:「PF623」高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂 樹脂g:「Q100F」軟質ポリプロピレン系樹脂 本発明のポリプロピレンフィルムを使用することによ
り、成形安定性及び透明性が高い積層体を得ることがで
きることが理解される。
【0026】
【発明の効果】本発明では、高溶融張力ポリプロピレン
をポリプロピレン系樹脂に配合して、ポリプロピレン系
樹脂組成物としての溶融張力を上げることによって成形
安定性を付与している。この成形安定性が向上すること
によって、インフレフィルム整形時におけるフィルムバ
ブルのゆれが押さえられ、またフロストラインが変動し
にくくなりフィルムの偏肉がなくなり、フィルムのフラ
ット性が向上する。Tダイ成形時においても同様の効果
により押出機内でのサージング、ダイを出てからのフィ
ルム膜の脈動、ネックインが押さえられ安定的に膜厚精
度の良いフィルム製品を得ることができる。また、高溶
融張力ポリプロピレンの配合によりTD方向の手切れ性
を付与している。一方、高溶融張力ポリプロピレンの配
合量が多すぎると、成形安定性及びフィルムの透明性が
低下するので、配合量を一定範囲にすることにより、高
い透明性を維持しつつ、成形安定性を高めている。本発
明のポリプロピレンフィルムは成形安定性、透明性及び
カット性に優れるので、高い生産性で液体調味料の小型
包装袋(しょうゆ、たれ等)や食品用の、特に一般家庭
用ラップのフィルムに好適に使用することができる。ま
た、本発明のフィルムを多層フィルムの少なくとも一層
に用いることにより、強度、耐熱性等が付与された透明
性に優れる積層体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金沢 修治 神奈川県川崎市川崎区夜光2−3−2 サ ンアロマー株式会社川崎ディベロップメン トセンター内 Fターム(参考) 4F071 AA20 AA74 AA78 AH04 BA01 BB09 BC01 4F100 AK02B AK07A AK07B AK07K AK66B AL05B AT00A BA02 EH20 GB15 JA06B JJ03 JK01 JL01 JN01 4J002 BA013 BB12W BB12X BB14W BB14X BK003 CE003 GG02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の条件1を満たすポリプロピレン系
    樹脂99〜91質量%及び下記の条件2を満たす高溶融
    張力ポリプロピレン系樹脂1〜9質量%を含むポリプロ
    ピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレンフィルム。 条件1 230℃でのメルトフローレート(MFR)
    (g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
    が式1の関係を満たす。 式1 MT<11.32×MFR-0.7854 条件2 230℃でのメルトフローレート(MFR)
    (g/10分)と230℃での溶融張力(MT)(g)
    が式2の関係を満たす。 式2 11.32×MFR-0.7854≦MT
  2. 【請求項2】 前記ポリプロピレン系樹脂が、プロピレ
    ン単独重合体、又はプロピレンと1種以上の炭素数2以
    上(3を除く)のα−オレフィンとの共重合体である、
    請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. 【請求項3】 前記ポリプロピレン系樹脂が、プロピレ
    ン単独重合体、又はプロピレンと1種以上の炭素数2以
    上(3を除く)のα−オレフィンとの共重合体であっ
    て、230℃におけるメルトフローレートが0.01〜
    30g/10分の範囲にある、請求項1に記載のポリプ
    ロピレンフィルム。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の脂環族飽和炭化水素樹
    脂を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物中に1〜15質
    量%含有しており、かつ230℃におけるメルトフロー
    レートが0.01〜30g/10分の範囲にあるポリプ
    ロピレン系樹脂組成物からなる請求項1〜3のいずれか
    に記載のポリプロピレンフィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプ
    ロピレンフィルムを少なくとも一層含む積層体。
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