JP2003064028A - 炭化水素系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体 - Google Patents

炭化水素系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体

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JP2003064028A
JP2003064028A JP2001254993A JP2001254993A JP2003064028A JP 2003064028 A JP2003064028 A JP 2003064028A JP 2001254993 A JP2001254993 A JP 2001254993A JP 2001254993 A JP2001254993 A JP 2001254993A JP 2003064028 A JP2003064028 A JP 2003064028A
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magnetic
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Kenichi Kurihara
研一 栗原
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Takeshi Kobayashi
健 小林
Hiroshi Iwamoto
岩本  浩
Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種使用条件下において優れた潤滑性が保
たれるとともに、長時間にわたり潤滑効果が持続され、
優れた走行性、耐磨耗性、耐久性等を有する記録媒体用
の潤滑剤を提供する。 【解決手段】 例えば C18H37-CH(COOH)CH2COOC18H37
を磁気記録媒体用の潤滑剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素系化合
物、該化合物からなる記録媒体用潤滑剤、および該潤滑
剤からなる潤滑層を含む記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の記録媒体、例えば磁気記録媒体と
しては、強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性支
持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金属薄膜
型の磁気記録媒体や、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合
剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを
磁性層としたいわゆる塗布型の磁気記録媒体では、磁性
層表面の平滑性が極めて良好であるため、磁気ヘッドや
ガイドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積
が大きく、従って摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわ
ゆる張り付き)が起き易く走行性や耐久性に欠ける等問
題点が多い。そこで、これら問題点を改善するために各
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等を上記磁気記録媒体の磁性
層に内添したり、あるいはトップコートすることにより
摩擦係数を抑えようとする試みがされている。
【0003】しかしながら、磁気記録媒体に使用される
潤滑剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、
従来用いられている潤滑剤では対応することが難しいの
が現状である。
【0004】即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤に
は、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確
保されるように低温特性に優れること、(2)磁気ヘッ
ドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布で
きることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮される
こと、(3)長時間、あるいは長期間の使用に耐え、潤
滑効果が持続すること、等が要求される。
【0005】なお、特開平6-41561号公報には、
金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑剤として、下記一般式
(i)で示される含フッ素アルキルこはく酸ジエステル
が提案されている。
【0006】
【化4】R1-CH(COOR2)CH2COOR3 ‥(i)
【0007】式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪
族アルケニル基であり、R2およびR3の一方はフロロ
アルキルエーテル基であり、他方はフロロアルキル基、
フロロアルケニル基、フロロフェニル基、脂肪族アルキ
ル基、脂肪族アルケニル基のいずれかである。しかし、
前記の含フッ素アルキルこはく酸ジエステルは摩擦係数
が大きいという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、磁気記
録媒体の分野においては、使用される潤滑剤の能力不足
に起因して、シャトル走行試験における再生出力のレベ
ルダウン等の実用特性に不満を残している。そこで本発
明は、各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれる
とともに、長時間にわたり潤滑効果が持続され、走行
性、耐摩耗性、耐久性等に優れた記録媒体を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
一般式(1):
【0010】
【化5】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1)
【0011】(式中、R1およびR2は炭素原子が6〜
30の飽和もしくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示
す。)で表されることを特徴とする炭化水素系化合物を
提供するものである。また本発明は、下記一般式
(1):
【0012】
【化6】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1)
【0013】(式中、R1およびR2は炭素原子が6〜
30の飽和もしくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示
す。)で表される炭化水素系化合物よりなることを特徴
とする記録媒体用潤滑剤を提供するものである。さらに
本発明は、支持体上に、記録層、および潤滑剤よりなる
潤滑剤層が少なくとも形成されてなる記録媒体であっ
て、前記潤滑剤が下記一般式(1):
【0014】
【化7】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1)
【0015】(式中、R1およびR2は炭素原子が6〜
30の飽和もしくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示
す。)で表される炭化水素系化合物を含むことを特徴と
する記録媒体を提供するものである。
【0016】本発明の炭化水素系化合物は新規物質であ
ると共に、記録媒体用、特に磁気記録媒体用潤滑剤とし
て用いる事により、各種使用条件下において優れた潤滑
性が保たれると共に、長時間にわたり潤滑効果が持続さ
れ、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性等を有する記録媒
体を提供する事ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化合物を磁気記録
媒体用の潤滑剤として使用する場合を例にとり説明す
る。
【0018】本発明の炭化水素系化合物において、R
1、R2(炭化水素)にあっては、Rの炭素数が6〜3
0、好ましくは炭素数は8〜20が適しており、総和炭
素数が5以下だと有機溶媒への溶解性が減少し、有機溶
媒を用いてテープ表面に潤滑膜を形成できなくなり、炭
素数が31以上だと潤滑剤をテープ表面に塗布する場合
の溶媒への溶解性が減少し、テープ表面に潤滑膜を形成
できなくなる。
【0019】本発明の炭化水素系化合物化合物は、例え
ば一般式(1)におけるR1基を含むこはく酸誘導体
と、一般式(1)におけるR2基を含む化合物とを混合
し、150℃程度で加熱し、反応させ、有機溶媒または
無機溶媒を用いた洗浄、分液ロートを用いた分液洗浄、
カラムクロマトグラフィーを用いた精製等により不純物
や不要物を除去することにより容易に合成することがで
きる。
【0020】また、前記のように本発明の炭化水素系化
合物は、とくに磁気記録媒体用の潤滑剤として好適に用
いることができる。本発明が適用される磁気記録媒体と
しては、非磁性支持体上に結合剤と強磁性粉末とを主体
とし、かつ有機性潤滑剤を含有する磁性塗料の塗膜によ
り磁性層が形成された塗布型磁気記録媒体、あるいは非
磁性支持体上に金属磁性薄膜と、該金属磁性薄膜上に有
機性潤滑剤を含有する潤滑剤層とが形成された金属薄膜
型磁気記録媒体に適用することが可能である。
【0021】潤滑剤層の形成方法としては、ディッピン
グ法、スピンコート法あるいは磁性層、バック層内への
内添法等が挙げられる。潤滑剤の塗布量は、例えば0.
5〜100mg/m2が好ましく、1〜20mg/m2
さらに好ましい。塗布には潤滑剤をヘキサン等の有機溶
媒に溶解したものを使用することができる。なお、防錆
剤等を用いる場合、潤滑剤と複合してもよいが、カーボ
ン膜上に防錆剤を塗布した後、潤滑剤を塗布して2層以
上設けるようにすれば、防錆効果が高まり好ましい。
【0022】ところで、上記磁気記録媒体における非磁
性支持体や磁性層等を構成するその他の材料は、従来公
知のものがいずれも使用可能であり、特に限定されな
い。
【0023】塗布型磁気記録媒体の場合、例示するなら
ば、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン‐2,6‐ナフタレート等のポリエス
テル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロ
ーストリアセテート、セルロースジアセテート等のセル
ロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド
類、ポリカーボネート類、ポリフェニレンサルファイド
等に代表されるような高分子材料よりなるフィルムを用
いて好適である。なお、このような非磁性支持体の厚み
としては、1.0〜200μm、好ましくは2.0〜1
00μmとして好適である。
【0024】また、磁気記録媒体が塗布型の磁性層を有
する場合、該磁性層は磁性粉末と結合剤とを主体とする
磁性塗料が塗布されることによって形成されるが、この
磁性粉末としては、γ‐Fe2 O3,Fe3 O4 ,γ‐
Fe2 O3 とFe3 O4 とのベルトライド化合物、Co
含有γ‐Fe2 O3 、Co含有Fe3 O4 、Coを含有
するγ‐Fe2 O3 とFe3 O4 とのベルトライド化合
物、CrO2 に1種またはそれ以上の金属元素、たとえ
ばTe,Sb,Fe,Biなどを含有させた酸化物が挙
げられる。
【0025】さらに、Fe,Co,Niなどの金属、F
e‐Co,Fe‐Ni,Fe‐Co‐Ni,Fe‐Co
‐B,Fe‐Co‐Cr‐B,Mn‐Bi,Mn‐A
l,Fe‐Co‐V,Fe‐Al,Fe‐Ni‐Al,
Fe‐Al‐P,Fe‐Ni‐Si‐Al,Fe‐Ni
‐Si‐Al‐Mn,Fe‐Mn‐Zn,Fe‐Ni‐
Zn,Co‐Ni,Co‐P,Fe‐Co‐Ni‐C
r,Fe‐Co‐Ni‐Pなどの合金、炭化鉄、窒化鉄
などの強磁性金属粉末等が挙げられる。
【0026】このような強磁性金属粉末は、上述のよう
な金属元素の酸化物、含水酸化物、無機塩、有機酸塩等
を還元性気体により気相中還元する方法や、湿式還元す
る方法により得ることができる。なお、強磁性金属粉末
の生成においては、還元時の焼結防止または形状維持等
の目的でAl,Si,P,B等の軽金属元素を適当量添
加するようにしても良い。
【0027】また、還元後には、有機溶剤を含浸させ乾
燥させる方法、有機溶剤に浸漬させ酸化性ガスを吹き込
み乾燥させる方法、有機溶剤を用いず分圧を調整した酸
化性ガスを吹き込む方法により、表面に薄い酸化膜を形
成して、酸化安定性を付与する。表面に形成される酸化
膜は、上述の金属あるいは合金の構成元素のみならず、
Al,Si,Ca,Mg,Sr,Ba,B,S,Ti,
Zn,Na,Zr,K,Y,La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Gd,Ge,Sn,Ga等を含有していてもよ
い。
【0028】さらに、磁性粉末としては、以上のような
酸化物や強磁性金属粉末の他、六方晶系板状フェライト
も使用可能である。この六方晶系板状フェライトとして
は、M型,W型,Y型,Z型のバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フ
ェライト等が挙げられ、これらに保磁力を制御する目的
で、Co‐Ti,Co‐Ti‐Zn,Co‐Ti‐N
b,Co‐Ti‐Zn‐Nb,Cu‐Zr,Ni‐Ti
等を添加したものも使用可能である。
【0029】なお、これらの磁性粉末は1種類を単独で
用いても複数種を組み合わせて用いても差し支えない。
これら磁性粉末のサイズは次のようになされているのが
望ましい。まず、比表面積は、35m2/g以上である
のが好ましい。比表面積がこの範囲にある磁性粉末は、
粒子が非常に微細であり、このような微細な磁性粉末を
用いることで高密度記録が可能となり、ノイズが低減す
る。また、特に磁性粉末が針状粒子である場合には、長
軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜15である
ことが好ましい。長軸長が0.05μm未満であると、
磁性粉末の塗料への分散が困難となり、長軸長が0.5
0μmを越えると、ノイズが増大する恐れがある。ま
た、軸比が2未満であると、磁性粉末の配向性が低下
し、出力の低下を招来する。逆に、軸比が15を越える
と、短波長信号出力が低下する。
【0030】一方、磁性粉末が板状フェライトの場合に
は、板径が0.01〜0.5μm、板厚が0.001〜
0.2μmであるのが好ましい。なお、以上に示した磁
性粉末の長軸長、軸比、板径及び板厚は、透過型電子顕
微鏡写真から無作為に100サンプル以上を選択し、そ
の平均値を算出したものである。
【0031】磁性層に含有させる結合剤は、従来より磁
気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使用可能であり、
数平均分子量が5000〜100000のものが好まし
い。
【0032】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、マレ
イン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセタール、ビ
ニルブチラール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン等
を構成単位として含む重合体あるいは共重合体が挙げら
れる。具体的には、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル‐塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル‐ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル‐アクリ
ロニトリル共重合体、アクリル酸エステル‐塩化ビニル
‐塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル‐アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル‐アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル‐塩化ビニリデン共重合
体、メタクリル酸エステル‐塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル‐塩化ビニル共重合体、メタクリ
ル酸エステル‐エチレン共重合体、塩化ビニリデン‐ア
クリロニトリル共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエ
ン共重合体、ポリビニルブチラール,スチレンブタジエ
ン共重合体等が挙げられる。この他、ポリフッ化ビニ
ル、ポリアミド樹脂、さらにはセルロースアセテートブ
チレート,セルロースダイアセテート,セルローストリ
アセテート,セルロースプロピオネート,ニトロセルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0033】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂の例
としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹
脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂等が挙げられる。
【0034】また、これら全ての結合剤には、顔料成分
の分散性を向上させる目的で極性官能基が導入されてい
ても良い。極性官能基としては、‐SO3M,‐OSO3
M,‐COOM,‐P=O(OM)2(但し、Mは水素
原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアル
カリ金属を表す。)等が挙げられる。また、‐NR1R
2,‐NR1R2R3+X-の末端基を有する側鎖型アミン、
あるいは>NR1R2+X-で表される主鎖型アミン(但
し、R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基
を表し、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲ
ン元素イオン、無機イオン,有機イオンを表す。)であ
っても良い。さらに、極性官能基としては‐OH、‐S
H、‐CN、エポキシ基等が挙げられる。
【0035】磁性層には以上のような結合剤が用いられ
るが、これら結合剤は1種単独で用いても良く、2種類
以上を組み合わせて使用しても差し支えない。
【0036】上述したような磁性粉末や結合剤は溶媒中
に分散されて磁性塗料とされるが、この溶媒としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸
エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系
溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2‐エ
トキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレン
クロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素系溶媒あるいは水等が挙げら
れる。
【0037】なお、磁性塗料中には必要に応じて潤滑
剤、研磨剤、硬化剤、分散剤、帯電防止剤、防錆剤等が
加えられてもよい。これらの分散剤、潤滑剤、帯電防止
剤及び防錆剤としては、従来公知の材料がいずれも使用
可能であり、何ら限定されるものではない。
【0038】研磨剤としては、酸化アルミニウム(α,
β,γ)、炭化珪素、酸化クロム、酸化鉄、コランダ
ム、ダイヤモンド、窒化珪素、炭化チタン、酸化チタン
(ルチル,アナターゼ)、ガーネット、エメリー、窒化
ホウ素等が挙げられる。なお、これら研磨剤は、モース
硬度が4以上、好ましくは5以上であるのが良く、比重
が2〜6、好ましくは3〜5の範囲であるのが良い。ま
た、平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは0.3μ
m以下が良い。なお、この平均粒径は、透過型電磁顕微
鏡写真から無作為に100サンプル以上を選択し、その
平均値を算出したものである。これら研磨剤の添加量
は、磁性粉末100重量部に対して20重量部以下、好
ましくは10重量部以下がよい。
【0039】また、帯電防止剤としては、カーボンブラ
ックを用いて好適であり、これを添加することにより塗
膜強度を向上させることもできる。
【0040】さらに、分散剤としては、各種界面活性剤
あるいは各種カップリング剤が使用できる。
【0041】硬化剤としては、トルエンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート等のアルキレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネ
ート化合物、あるいは、これらジイソシアネートの重合
体や多価アルコールとの反応物が挙げられる。これら硬
化剤の添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80
重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とするの
がより好ましい。
【0042】磁性塗料を調製するには、以上のような材
料を混練工程、混合工程、分散工程によって塗料化す
る。分散装置及び混練装置には、ロールミル、ボールミ
ル、サンドミル、アジター、ニーダー、エクストルーダ
ー、ホモジナイザー、超音波分散機等が用いられる。そ
して、このようにして調製された磁性塗料を、非磁性支
持体上に吹き付ける、あるいはロール塗布する等の任意
の方法で塗布し、乾燥することで磁性層は形成される。
なお、この後、カレンダー装置に導き、磁性層に表面平
滑化処理を施しても良い。
【0043】ここで、磁性層は、乾燥時の厚さが0.1
〜50μm、好ましくは1.0〜30μmとされる。ま
た、結合剤と磁性粉末との混合比は、結合剤1重量部に
対して、磁性粉末1〜10重量部、好ましくは3〜9重
量部とされる。結合剤の量が多すぎる場合には、磁性層
での磁性粉末の占める割合が相対的に小さくなり、出力
が低下する。また、ドライブ上で磁気ヘッドや各種摺動
部材に対して繰り返し摺動したときに、磁性層に塑性流
動が生じ易く、媒体の走行耐久性が低下する。結合剤の
量が少なすぎる場合には、磁性層が脆くなり、媒体の走
行耐久性が低下する。
【0044】また、金属薄膜型磁気記録媒体の場合、例
示するならば、非磁性支持体としては先の塗布型磁気記
録媒体と同様のものが使用可能である。この場合、非磁
性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板
を使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸
化皮膜やNi‐P皮膜等を形成してその表面を硬くする
ようにしてもよい。
【0045】金属磁性薄膜は、メッキやスパッタリン
グ、真空蒸着等のPVDの手法により連続膜として形成
されるもので、Fe、Co、Ni等の金属やCo‐Ni
系合金、Co‐Pt系合金、Co‐Pt‐Ni系合金、
Fe‐Co系合金、Fe‐Ni系合金、Fe‐Co‐N
i系合金、Fe‐Ni‐B系合金、Fe‐Co‐B系合
金、Fe‐Co‐Ni‐B系合金等からなる面内磁化記
録金属磁性膜やCo‐Cr系合金薄膜が例示される。
【0046】特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、
In、Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
【0047】かかる磁気記録媒体の表面にカーボン膜を
形成する方法としては、スパッタリングが一般的である
が特に限定するものではなく、いずれの方法も使用可能
である。この場合カーボン膜の膜厚は2〜100nmで
あることが望ましく、更に望ましくは5〜30nmであ
る。
【0048】磁気記録媒体表面のカーボン膜上に前記潤
滑膜構造を保持せしめる方法としては、前記カーボン膜
表面に潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。
この場合、前記潤滑剤の塗布量としては、0.5〜10
0mg/m2であることが望ましく、1〜20mg/m2
であることがより好ましい。
【0049】また、上述の潤滑剤は、必要に応じて、防
錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常この種の
磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであればい
ずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、
キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含
む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等であ
る。防錆剤は、前記潤滑剤と複合してもちいてもよい
が、前記カーボン膜上に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤
層を塗布するというように、2層以上に分けて被着する
と効果が高い。
【0050】本発明の炭化水素系化合物は、上記のよう
に記録媒体、中でも磁気記録媒体用の潤滑剤として用い
る事が好ましい。しかし本発明の潤滑剤は磁気記録媒体
に限らず光記録媒体にも適用でき、またその支持体もテ
ープに限らず、磁気ディスクや光ディスクのようなディ
スク媒体等の記録媒体にも用いることができる。
【0051】〔作用〕従来の潤滑剤において、カルボン
酸あるいはカルボン酸アミン塩のような比較的極性が大
きい化合物は摩擦係数が小さいが、スチル耐久性が悪い
傾向があり、エステルのような比較的極性の小さい化合
物はスチル耐久性には優れるが、摩擦係数が大きい。本
発明の炭化水素系化合物は、末端極性基としてカルボン
酸基とエステル基を有することから、それぞれの特徴で
ある摩擦係数が小さく、スチル耐久性に優れた特性を示
す。磁性層上に本発明の炭化水素系化合物を潤滑剤とし
て塗布すると、磁性層上に潤滑剤分子の極性基部のカル
ボン酸基とエステル基が吸着し、疎水基間の凝集力によ
り耐久性の良好な潤滑剤層を形成することができる。ま
た、HD等に使用されている従来の含フッ素潤滑剤を塗布
するにはフッ素系溶媒が必須であるのに対し、本発明の
炭化水素系化合物は、トルエン、アセトン等の炭化水素
系溶媒で塗布する事が可能であることから、環境へ与え
る負荷が小さく好ましい。このように本発明の炭化水素
系化合物を潤滑剤として用いた磁気記録媒体は、各種使
用条件下において優れた潤滑性が保たれるとともに、長
時間にわたり潤滑効果が持続され、優れた走行性、耐摩
耗性、耐久性等を提供できる。
【0052】〔実施例〕以下、本発明を実施例および比
較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に何ら限
定されるものではない。
【0053】合成例1(C18H37-CH(COOH)CH2COOC18H37
の合成) 一般式(1)におけるR1基を含むこはく酸誘導体とし
てオクタデシルこはく酸無水物を用い、一般式(1)に
おけるR2を含む化合物としてステアリルアルコールCH
3(CH2)17OHを用い、本発明の炭化水素系化合物を合成し
た。合成手順は以下に示す。オクタデシルこはく酸無水
物C18H37C4H3O3の17.7gとステアリルアルコールCH
3(CH2)17OHの13.5gを混合し、3時間、150℃で
還流した。反応終了後、トルエン200mlに反応物を
溶解させ、10%NaOH水溶液300mlを加え、激
しく振った。生成した白色固体(目的物のNa塩)をガ
ラスろ過器で吸引ろ過した。さらに水240mlで2
回、トルエン200mlで1回、ガラスろ過器の上で白
色固体を洗浄した。この操作で原料のオクタデシルこは
く酸無水物を除去することができた。次に、白色固体を
分液ロートに入れ、トルエン300ml、7.2%塩酸
300mlを加え分液洗浄し脱塩した。さらに7.2
%塩酸300mlで2回、塩化ナトリウム水溶液で2
回、分液洗浄し、トルエン相を回収し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥させた。1時間後、ろ過し、トルエン相を濃縮
した。続いて、カラムクロマトグラフィーにより回収物
を精製した。カラム条件は、カラム充填物:シリカゲ
ル、カラム温度:常温、溶離液:トルエンおよび酢酸エ
チル20%トルエン80%の混合溶媒である。目的物は
酢酸エチル20%トルエン80%の混合溶媒を用いた時
に溶出する。回収物をIR分析したところ、一般式C18H
37-CH(COOH)CH2COOC18H37を有することが判明した。回
収物は約22gであり、収率は全体で70%であった。
【0054】なお、前記と同様な手法を採れば、一般式
(1)におけるR1基、R2基を任意に設定し、本発明
の炭化水素系化合物を合成することができる。その具体
例を下記表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】実施例1〜17 下記表2の原料を用いて本発明の炭化水素系化合物を前
記の合成例と同様の手順で合成し、これを潤滑剤として
下記試験に供した。
【0057】
【表2】
【0058】比較例1〜5 下記表3の構造を有する化合物を潤滑剤として下記試験
に供した。
【0059】
【表3】
【0060】サンプルテープの作製 7.0μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに
斜法蒸着法によりCoを被着させ、膜厚180nmの金
属磁性薄膜を形成した。次いでマグネトロンスパッタリ
ング装置を用いて前記金属磁性薄膜上に約8nmの厚さ
のカーボン保護膜を形成した。次いでポリエチレンテレ
フタレートフィルムの金属磁性薄膜が形成された面と反
対側の面にカーボン及びポリウレタン樹脂よりなる厚さ
0.5μmのバックコート層を形成した。次に、上記表
2及び表3に示される化合物をトルエン溶媒に溶解した
ものを上記カーボン保護膜の表面に塗布量が5mg/m
2となるように塗布した。得られた磁気記録媒体を6.
35mm幅に裁断して実施例となるサンプルテープを作
製した。
【0061】上述のようにして作製された各サンプルテ
ープを用い、温度40℃、湿度80%の条件で摩擦係数
を、温度―5℃の条件でスチル耐久性を、温度40℃、
湿度20%の条件でシャトル耐久性をそれぞれ測定し
た。結果を表4に示す。尚本発明者等の評価において、
上記各環境条件が最も厳しい環境条件であることから各
測定の環境条件を決定した。また、スチル耐久性及びシ
ャトル耐久性の測定には、市販のデジタルビデオカムコ
ーダー(ソニー製VX1000)を用いた。
【0062】(1)摩擦係数測定方法 摩擦係数の測定は、恒温槽中で温度40℃、湿度80%
RHに制御して、サンプルテープを100パス走行させ
て測定した。尚摩擦走行100パス目の数値を摩擦係数
として表中に記した。 (2)スチル耐久性測定方法 スチル耐久性は、―5℃の恒温槽中で行い、再生出力が
3dB落ちるまでの時間を測定した。 (3)シャトル耐久性測定方法 シャトル耐久性は、恒温槽中で温度40℃湿度20%R
Hに制御して、サンプルテープ60分長を100パスシ
ャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力が初
期出力から何dB落ちるかを測定した。
【0063】
【表4】
【0064】前記結果より、本発明の炭化水素系化合物
を磁気記録媒体用の潤滑剤として用いることにより、高
温多湿、高温低湿あるいは低温等の様々な使用条件下に
おいても摩擦係数、スチル耐久性またはシャトル耐久性
の劣化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られたこ
とが分かる。
【0065】
【発明の効果】本発明の炭化水素系化合物は、とくに磁
気記録媒体用の潤滑剤として有用である。また、非磁性
支持体上に、強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁
性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金属
薄膜型の磁気記録媒体や、非常に微細な磁性粒子と樹脂
結合剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、こ
れを磁性層としたいわゆる塗布型の磁気記録媒体に、潤
滑剤として前記の炭化水素系化合物を用いることで、各
種条件下において優れた潤滑性が保たれるとともに、長
時間にわたり潤滑効果が持続され、優れた走行性、耐摩
耗性、耐久性等を提供することのできる磁気記録媒体が
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 30:06 C10N 30:06 40:18 40:18 (72)発明者 小林 健 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩本 浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 坪井 寿憲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA03 AB60 BS10 KC12 4H104 BB35A LA03 LA20 PA16 5D006 AA01 EA03 FA02 FA05 FA06 FA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1) (式中、R1およびR2は炭素原子が6〜30の飽和も
    しくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示す。)で表される
    ことを特徴とする炭化水素化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1): 【化2】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1) (式中、R1およびR2は炭素原子が6〜30の飽和も
    しくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示す。)で表される
    炭化水素系化合物よりなることを特徴とする記録媒体用
    潤滑剤。
  3. 【請求項3】 支持体上に、記録層、および潤滑剤より
    なる潤滑剤層が少なくとも形成されてなる記録媒体であ
    って、前記潤滑剤が下記一般式(1): 【化3】R1CH(COOH)CH2COOR2 ‥(1) (式中、R1およびR2は炭素原子が6〜30の飽和も
    しくは不飽和の脂肪酸炭化水素基を示す。)で表される
    炭化水素系化合物よりなることを特徴とする記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録層が磁性層であり、前記記録媒
    体が磁気記録媒体であることを特徴とする請求項3記載
    の記録媒体。
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