JP2003057483A - 光ファイバ保持部材及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ保持部材及びその製造方法

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JP2003057483A JP2001249436A JP2001249436A JP2003057483A JP 2003057483 A JP2003057483 A JP 2003057483A JP 2001249436 A JP2001249436 A JP 2001249436A JP 2001249436 A JP2001249436 A JP 2001249436A JP 2003057483 A JP2003057483 A JP 2003057483A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】熱等による寸法変形を抑制でき寸法精度が良好
で且つ製造コストの安価な高精度の光ファイバ保持部材
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】保持する光ファイバより大径の貫通孔2a
を形成したインサート基材2を、インサート成形して樹
脂部3で覆い、保持する光ファイバと略同径の光ファイ
バ保持用の貫通孔4を樹脂で高精度に形成して光ファイ
バ保持部材1とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱等による変形が
少なく且つ製造コストの安価な精度の高い光ファイバ保
持部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、光通信で多く使用されている合成
石英ファイバのうち、長距離を転送レートが高く且つ低
損失で伝送するものはシングルモード(以下、SMとす
る)ファイバと呼ばれ、SMファイバ及びその変形タイ
プとして分散シフトファイバや波面保持(パンダ)ファ
イバ等が広く使用されている。
【0003】SMファイバは優れた伝送特性を持ってい
るが、一般的に125μmのクラッド内に8μm〜10
μmのコアが配置されており、このファイバ内に光信号
を通すには、微小なコア部に充分集光されたレーザ光を
正確に入射させなければならない。近年、光ファイバに
光信号を通して通信をする技術は、多波長同時伝送技術
の発展と共に急速に普及しはじめている。多波長同時伝
送では、1本のSMファイバ内を若干波長の異なる数〜
数百GHzに変調されたオン−オフ信号が20〜百数十
種類伝送され、従来想定できなかった容量のデータ転送
ができるようになった。
【0004】この技術では、各々波長の異なる20〜百
数十個の半導体レーザを同時に駆動させ、光ファイバや
光導波路、光合成装置等を介して1本のSMファイバ内
に20〜百数十種類のデータを集約している。同時に、
SMファイバ内の20〜百数十種類の波長から光分波装
置や波長モニタ、光導波路、光ファイバを介して波長を
選別し、必要なデータを取り出している。
【0005】このように光の多重伝送を行うには、各波
長の集約部や選別部でコア径の小さなSMファイバを多
量に使用しなければならず、光スイッチや光導波路との
接続、分波、合波等で集積度の高い光ファイバ保持部材
が求められている。従来、安価に複数の光ファイバ同士
を接続する方法として、2〜12心を一括接続する樹脂
製のMTコネクタや樹脂製V溝基板等がある。更に、よ
り精度を高める方法として、金属シリコン、合成石英、
セラミックスを加工した2〜100心のV溝基板があ
り、光導波路との接続等に広く用いられている。
【0006】このようなMTコネクタ内の光ファイバ保
持部材やV溝基板は、1次元の線上に光ファイバのコア
中心を配置し、更に各コアの間隔を均一に配置すること
が重要になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂成
形の光ファイバ保持部材やV溝基板は、心数の少ない小
型の形状に対応できるものの、成形収縮や変形によって
必ずしも十分な精度を確保できるものではなく、線熱膨
張係数も大きいので用途が限定される。金属シリコン、
合成石英、セラミックス等を加工したV溝基板は、変形
も少なく精度的に信頼できるが、加工が非常に難しく加
工時に破損することもあり、非常に高価であるという問
題がある。
【0008】また、光スイッチや光導波路との接続、分
波、合波のため、光ファイバを8列×8列等の2次元状
に配置することがある。このような光ファイバ保持部材
は、変形がなく低線熱膨張係数が要求されるため、金属
シリコンをケミカルエッチング後、低膨張インバー材と
貼り合せた高価で取扱い性の悪いものしかなかった。本
発明は上記問題点に着目してなされたもので、熱等によ
る寸法変形を抑制でき、且つ製造コストの安価な精度の
高い光ファイバ保持部材及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1の発
明では、複数の光ファイバを配列保持するための光ファ
イバ保持部材であって、樹脂の変形を抑制するためのイ
ンサート基材を設け、前記樹脂で光ファイバを保持する
光ファイバ保持部を形成する構成とした。かかる構成で
は、インサート基材によって樹脂の変形を抑制できるよ
うになり、また、高度の精度が要求される光ファイバ保
持部分を樹脂で形成するので、生産性が高く製造コスト
を低減できるようになる。
【0010】前記光ファイバ保持部の形状は、請求項2
のように光ファイバを貫通保持する貫通孔部としてもよ
く、請求項4のように光ファイバを保持するV字状の溝
部としてもよい。前記光ファイバ保持部の形状が請求項
2のような貫通孔部の場合、請求項3のように、光ファ
イバ挿入側樹脂部を厚く形成し、前記光ファイバ保持部
を、前記インサート基材部分に形成されたファイバ保持
孔部と、前記光ファイバ挿入側樹脂部に形成されて光フ
ァイバ挿入側開口端部から前記ファイバ保持孔部に向け
て先細まり形状をなすテーパ孔部とを備える構成とする
とよい。
【0011】かかる構成では、光ファイバを光ファイバ
保持部へ挿入し易くなる。前記光ファイバ保持部の形状
が請求項4のようなV字状の溝部の場合、請求項5のよ
うに、前記インサート基材に凹凸状の表面を形成し、該
凹凸状の表面上に前記V字状の溝部を形成するようにす
るとよい。かかる構成では、V字状の溝間のピッチ、高
さの変形を効果的に抑制できるようになる。
【0012】請求項6の発明では、前記インサート基材
に、光ファイバの保持位置を特定するためのマーカ部を
形成するためのマーカ形成部を形成した。かかる構成で
は、光ファイバ同士の接合等のために、保持するファイ
バの位置制御が必要な場合に、その位置制御が容易且つ
高精度に行えるようになる。請求項7の発明では、複数
の光ファイバを配列保持するための光ファイバ保持部材
の製造方法であって、金型内にインサート基材を保持し
た後、前記金型内に樹脂を流し込み光ファイバ保持部を
樹脂成形することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1〜図3は、本発明に係る光ファ
イバ保持部材の第1実施形態を示し、図1は平面図、図
2は側面図、図3は図1のA−A線の部分拡大断面図で
ある。図において、本実施形態の光ファイバ保持部材1
は、図中破線で示すような樹脂の変形を抑制するインサ
ート基材2と、該インサート基材2を覆う樹脂部3とか
らなり、該樹脂部3で光ファイバを挿入保持するための
最終的な光ファイバ保持部である複数、例えば8列×8
列の64個の貫通孔4を形成する。
【0014】前記インサート基材2は、例えば低膨張ニ
ッケル合金で形成し、前記貫通孔4に対応する数(64
個)の貫通孔2aと、インサート成形時にインサート基
材2を金型内に保持するため対角角部に設けた一対の孔
2b,2bと、他の対角角部に設けられ保持する光ファ
イバ位置検出用のマーカ部を形成するためのマーカ形成
部として嵌合部材挿入孔2c,2cとを備える。前記貫
通孔2a及び嵌合部材挿入孔2cは、保持する光ファイ
バ(図示せず)や嵌合する嵌合部材(図示せず)の径よ
り大径に形成されている。
【0015】前記樹脂部3は、図3に示すように前記イ
ンサート基材2の貫通孔2a、孔2b及び嵌合孔2cの
内部表面も含めてインサート基材2全体を覆い、孔径が
光ファイバ径と略等しい最終的な光ファイバ保持部であ
る前記貫通孔4を形成する。また、図2に示すように樹
脂部3の光ファイバ挿入端3a側を、反対側端部3b側
より厚く形成してある。光ファイバを保持するための前
記貫通孔4は、図3に示すように、インサート基材2部
分に形成されたファイバ保持孔部4aと、光ファイバ挿
入端3a側の樹脂部3に形成されて光ファイバ挿入側開
口端部からファイバ保持孔部4aに向けて先細まり形状
をなすテーパ孔部4bとからなる。
【0016】インサート基材2としては、上述の低膨張
ニッケル合金鋼のような金属材料の他、セラミックス、
ガラス等を使用してもよく、線熱膨張係数が樹脂部3に
使用する樹脂より小さければよい。また、樹脂部3とし
ては、流動性が高ければ比較的幅広い種類の熱可塑性、
熱硬化性の樹脂を使用でき、成形後の膨張係数が高くと
も肉厚を薄く成形すれば樹脂変形の影響を小さくでき
る。
【0017】かかる構造の光ファイバ保持部材1では、
インサート基材2に光ファイバ保持部の基礎となる部分
である貫通孔2aの加工は粗加工でよく、高い寸法精度
が要求される最終的を光ファイバ保持部である貫通孔4
の形状を樹脂で高精度に形成すればよい。かかる光ファ
イバ保持部材1によれば、インサート基材2により樹脂
部3の成形収縮を抑制でき成形された光ファイバ保持部
材1の孔間距離等の寸法を高精度に維持することができ
る。そして、成形金型を調整することで高い寸法精度が
得られるので、インサート基材2の貫通孔2aの加工精
度は粗くてよく加工コストを大幅に低減できる。また、
成形の繰り返し特性が良好で成形収縮の影響がないた
め、樹脂の厳密な製造ロット管理や寸法の全数測定が不
要となり、生産性が高く製造コストが安価な高精度の光
ファイバ保持部材を提供することができる。
【0018】更に、第1実施形態の嵌合孔2cのよう
な、保持する光ファイバ位置検出用のマーカ部を形成す
るためのマーカ形成部をインサート基材2に形成し、そ
の後に樹脂で最終的にマーカ部の孔径を高精度に形成す
れば、光ファイバ保持部の貫通孔4とマーカ部の位置関
係を高精度に維持できるので、保持した光ファイバの位
置検出精度が向上し、光ファイバ同士を接合する場合等
において容易且つ高精度に接合でき、光スイッチ用等の
光ファイバ保持部材として有効である。また、第1実施
形態のように光ファイバ挿入端3a側の樹脂部分を厚く
形成し、光ファイバ保持用の貫通孔4の光ファイバ挿入
側に図3のようなテーパ孔部4bを設けることで、光フ
ァイバの挿入作業が容易となる効果がある。
【0019】このような本発明の光ファイバ保持部材の
製造方法は、光ファイバ保持部材の形状に応じてインサ
ート基材を所望の形状に加工し、インサート基材に樹脂
との密着性を高めるための表面処理を施した後、インサ
ート基材を金型にセットし、金型に樹脂を流し込んで成
形する。図4及び図5に本発明の第2実施形態を示す。
図4は斜視図、図5は図4のB−B線の部分拡大断面図
である。尚、第1実施形態と同一要素には同一符号を付
してある。
【0020】図において、本実施形態の光ファイバ保持
部材1は、図中破線で示すような樹脂の変形を抑制する
インサート基材2と、該インサート基材2を覆う熱硬化
性樹脂からなる樹脂部3とからなる構成は第1実施形態
と同様であるが、本実施形態では、インサート基材2を
枠状に形成し、インサート基材2の中央空間部2a内
に、光ファイバ保持用の複数、例えば第1実施形態と同
様の8列×8列の64個の貫通孔4を樹脂成形した構成
である。
【0021】かかる第2実施形態の光ファイバ保持部材
1は、第1実施形態に比較して寸法精度は劣るが、イン
サート基材の無い樹脂のみで成形した場合に発生する成
形収縮の影響が少なく、単に枠状に形成しただけの簡易
な構造のインサート基材2を追加するだけで、樹脂のみ
のものに比べて寸法の精度と安定性を向上できる。そし
て、厚み方向(図5の上下方向)の樹脂肉厚を薄くする
ことで、寸法の変動を抑制できる。
【0022】図6に本発明の第3実施形態を示す。尚、
第1実施形態と同一要素には同一符号を付してある。図
において、本実施形態の光ファイバ保持部材1は、イン
サート基材2を第1実施形態と同様に樹脂成形してイン
サート基材2全体を樹脂部3で覆う形状であり、中心に
回転軸孔5を設け、この回転軸孔5を中心に、樹脂成形
された8個の光ファイバ保持用貫通孔4を設けた貫通孔
列6を放射状に12個備え、合計96本の光ファイバを
保持可能な光スイッチ用の光ファイバ保持部材である。
図中、3つの孔7は、貫通孔列6の位置をセンシングし
て各光ファイバ列の位置を検出するためのマーカ部であ
る。
【0023】インサート基材2は、図中点線で示すよう
に、外形形状が6角形状で、前記回転軸孔5と各マーカ
部となる3つの孔7を形成するための各孔部2aと2b
と、放射状に配置される貫通孔列6用の平面長方形状の
空間部2cを有する。かかる第3実施形態の光ファイバ
保持部材1は、回転軸孔5に設ける回転軸(図示せず)
を中心に30°回転する毎に光ファイバ列の切換えがで
きる。光ファイバ列の位置は3つの孔7位置を検出する
ことで制御できる。
【0024】かかる第3実施形態の場合も、インサート
基材2によって光ファイバ保持部の寸法精度を確保する
と同時に、インサート基材2にマーカ部形成用の孔部を
形成することで、各光ファイバの位置検出精度が向上で
き、接合や位置制御が容易となり、光スイッチを安価に
できる効果がある。図7に本発明の第4実施形態を示
す。尚、第1実施形態と同一要素には同一符号を付して
ある。
【0025】図7において、本実施形態の光ファイバ保
持部材1は、インサート基材2を第1実施形態と同様に
樹脂成形してインサート基材2全体を樹脂部3で覆う形
状であり、樹脂成形された8個の光ファイバ保持用貫通
孔4を設けた貫通孔列8を図中上下方向に8個配置した
光スイッチ用の光ファイバ保持部材である。図中、上下
端の2つの孔9は、第3実施形態の功と同様の各光ファ
イバ列の位置を検出するためのマーカ部である。
【0026】本実施形態のインサート基材2は、図中点
線で示すように、外形形状が略四角形状で図中の上下端
に突部2aを有し、該突部2aに各マーカ部となる孔9
を形成するための各孔部2bを有し、突部2a間に貫通
孔列8用の平面長方形状の8個の空間部2cを有する形
状である。かかる第4実施形態の光ファイバ保持部材1
は、図中の上下方向に移動させることで光ファイバ列の
切換えができる。光ファイバ列の位置は2つの孔9の位
置を検出することで制御できる。
【0027】かかる第4実施形態の場合も、インサート
基材2によって光ファイバ保持部の寸法精度を確保する
と同時に、インサート基材2にマーカ部形成用の孔部を
形成することで、第3実施形態と同様に、各光ファイバ
の位置検出精度が向上でき、接合や位置制御が容易とな
り、光スイッチを安価にできる効果がある。尚、インサ
ート基材の形状は、上述の各実施形態で示した形状の他
に、例えば田の字状等のように形成してもよく、成形す
る光ファイバ保持部材の形状に合わせて樹脂部の変形を
抑制できる適切な形状であれば限定するではない。
【0028】図8〜図10に本発明の第5実施形態を示
し、図8は平面図、図9は側面図、図10は図8のC−
C線矢視断面図である。図において、本実施形態の光フ
ァイバ保持部材10は、V溝基板構造であり、図中破線
で示すようなV字状の凹凸部11aを保持する光ファイ
バ数に応じて加工した樹脂の変形を抑制するインサート
基材11表面を樹脂部12で覆う構成である。光ファイ
バを挿入保持するための最終的な光ファイバ保持部とす
るV字状の溝部13は、樹脂により高精度に成形する。
14は光ファイバを示す。
【0029】前記インサート基材2は、図10に示すよ
うに凹凸部11aと、凹凸部11aに対して段付き状に
低く形成した平坦部11bを備える。平坦部11bは、
光ファイバ14をV字状の溝部13に保持する時に光フ
ァイバの折れ曲がりを防止するためである。V溝構造の
光ファイバ保持部材の場合、V溝の2つの平面が光ファ
イバを長手方向に線接触して保持するので、上部からV
溝基板と同質の材料又は線熱膨張係数が近似する平面度
の高い平板を押付けて光ファイバの位置精度を保持して
いる。即ち、光ファイバと線接触するV溝面は平滑で且
つ高い位置精度が要求される。このため、従来のように
金属シリコン、石英ガラス或いはセラミックス等で直接
ファイバ保持用のV溝面を形成する場合、各V溝の位置
精度はピッチ、高さ共に0.5μm以下の精度が要求さ
れ、平面度と位置精度を両立させるためには高価でラン
ニングコストの高い専用の加工装置と工具を使用して加
工するので、製造コストが高く結果的に製品が高価にな
ってしまう。
【0030】本実施形態のV溝構造の光ファイバ保持部
材10によれば、インサート基材11は線熱膨張係数を
抑制するためのものであるので、V溝間のピッチ、高さ
の精度や平面度は数μ程度で十分で従来のような高精度
の加工は不要であり、場合によってはインサート基材を
金属やセラミックスの精密焼結で形成して使用すること
も可能である。従って、金型の精度を十分に確保して樹
脂成形の精度を確保すれば、安価で高精度のV溝基板構
造の光ファイバ保持部材10を提供できる。
【0031】上記第5実施形態のV溝基板構造では、イ
ンサート基材11にV字状の凹凸部を形成する構造とし
たが、図11に示す第6実施形態のように、インサート
基材11を平板としてV溝部14を樹脂成形する構成と
してもよい。かかる第6実施形態では、上述の第5実施
形態の構造に比較してV溝部13の位置精度の点では劣
るが、構造が単純で製造が簡単であり、従来の樹脂のみ
のものに比べれば寸法精度及び安定性の点で格段に優れ
る。
【0032】次に、光ファイバを貫通孔に挿入保持する
構造の光ファイバ保持部材1の製造例について説明す
る。厚さ1.2mmの低膨張ニッケル合金鋼の板材を、
15mm角に切り出す。次に、光ファイバ保持予定位置
に、孔径0.25mm、孔中心間隔を1mmとして8列
×8列の合計64個の貫通孔2aをドリルで開ける。更
に、互いの対角角部に孔径0.75mmの孔2b,2b
と孔径0.85mmの嵌合孔2c,2cをそれぞれドリ
ルで開け、図12のような形状のインサート基材2を形
成する。
【0033】このインサート基材2を、樹脂との密着性
を上げるための表面処理を施した後、金型内にセットす
る。そして、孔径0.25mmの貫通孔2a部分には径
0.125mmのピンを、孔径0.75mmの孔2b,
2b及び孔径0.85mmの嵌合孔2c,2cには径
0.7mmのピンを、それぞれインサートピンとして挿
入する。この状態で金型に熱硬化性樹脂を流し込み樹脂
成形を行う。
【0034】成形開始から90秒後、径0.125mm
及び径0.7mmのピンをスライドさせて抜き、成形物
を取り出した。尚、孔2b,2bは、成形時にインサー
ト基材2を金型にセットするための孔であるので、樹脂
が孔内に必ずしも流れ込まなくてもよい。インサート基
材2の有無が成形物の寸法に与える影響を調べるため、
同様にしてインサート基材のない成形物を成形し、非接
触式の寸法計測機で両者の寸法を計測した。表1に両者
の比較結果を示す。表中の最大間隔は両端の貫通孔2a
中心間距離を示す。
【0035】
【表1】 上記の結果からインサート基材2を設けた場合、成形収
縮の影響がほとんどないことが明らかである。また、貫
通孔2aの孔間距離も非常に安定しており、金型を調整
することで孔間距離は1μmを切る高い精度で配置でき
ることがわかった。
【0036】光ファイバ保持部材は、使用時にレーザー
光による周囲及び本体の温度上昇が発生するが、インサ
ート基材2を有する光ファイバ保持部材1では、光ファ
イバを保持する貫通孔4近傍の線熱膨張係数が約2×1
-6で金属シリコンより小さい数値になった。これに対
してインサート基材がないものでは、約15×10-6
略10倍近い膨張が発生することがわかった。これは、
インサート基材2を有する光ファイバ保持部材1では、
光ファイバを保持する貫通孔4近傍のインサート基材
(低膨張ニッケル合金鋼)2と樹脂部(熱硬化性樹脂)
3の体積比が、低膨張ニッケル合金鋼≫熱硬化性樹脂の
関係にあるため、線熱膨張係数が低膨張ニッケル合金鋼
の特性に支配されたものと考えられる。
【0037】線熱膨張係数の要因を解析するため、低膨
張ニッケル合金鋼に代えてセラミックス、ガラス、ステ
ンレス等の金属をインサート基材として同様の形状の成
形物を形成し、光ファイバを保持する貫通孔近傍の線熱
膨張係数を調べた。その結果、全ての場合において、イ
ンサート基材材料の線熱膨張係数に貫通孔近傍の線熱膨
張係数が近似することが確認された。
【0038】次に、V溝基板構造の光ファイバ保持部材
10の製造例について説明する。図8〜図10に示すよ
うなV字状の凹凸部を加工した厚さ1.2mmの低膨張
ニッケル合金鋼板材をインサート基材11として、この
インサート基材11に樹脂との密着性を上げるための表
面処理を施した後、金型内にセットし、熱可塑性樹脂で
樹脂成形した。この場合、V溝側のみ樹脂部を設けると
成形収縮の影響でインサート基材が反る虞れがあるの
で、インサート基材に対して0.3mm以下の肉厚で樹
脂モールドすることが望ましく、更に、V溝と反対側の
面もV溝側と略同じ肉厚で成形すると形状が安定するの
で、0.1mm程度の樹脂肉厚になるよう金型を設定し
て成形を行った。
【0039】このようにして成形した光ファイバ保持部
材のV溝部は、ピッチ方向の線熱膨張係数が3.5×1
-6でインサート基材の係数と略同等の数値となり、高
さ方向の線熱膨張係数が8×10-6となった。この膨張
係数は、樹脂単体の膨張係数に対して十分に小さく、イ
ンサート基材を設けて成形することで光ファイバ保持部
材の寸法安定性が得られることがわかった。
【0040】上記と同様の製造方法で、100本の光フ
ァイバが保持できるV溝基板構造のものを作成して特性
を評価したところ、高い精度で光ファイバを保持できる
ことがわかった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、イ
ンサート基材を設けて樹脂の成形収縮等の変形を抑制す
ると同時に、精密な加工が要求される光ファイバ保持部
を樹脂成形する構成としたので、従来の樹脂のみのもの
に比較して寸法精度が極めて安定し高精度な光ファイバ
保持部材を提供できる。また、インサート基材を加工す
る場合でもある程度の精度があればよく、従来の金属シ
リコン、石英ガラス等を用いたものに比べて加工が容易
であるため、加工コストが低減でき生産性が高く安価に
できる。
【0042】また、請求項3の発明によれば、貫通孔に
光ファイバを挿入保持する構造の場合に、貫通孔部分に
光ファイバを挿入し易くできる。また、請求項6の発明
によれば、光ファイバ保持位置とマーカ部との配置関係
を精度良く維持できるので、光ファイバの接合や位置制
御が容易であり、光スイッチ用の光ファイバ保持部材と
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の平面図
【図2】図1の側面図
【図3】図1のA−A線の部分拡大図
【図4】本発明の第2実施形態の斜視図
【図5】図4のB−B線の部分拡大図
【図6】本発明の第3実施形態の平面図
【図7】本発明の第4実施形態の斜視図
【図8】本発明の第5実施形態の平面図
【図9】図8の側面図
【図10】図9のC−C線矢視断面図
【図11】本発明の第6実施形態の側面図
【図12】第1実施形態で使用するインサート基材の一
例を示す斜視図
【符号の説明】
1、10 光ファイバ保持部材 2、11 インサート基材 3、12 樹脂部 4 貫通孔(光ファイバ保持部) 13 溝部(光ファイバ保持部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田嶋 孝夫 埼玉県さいたま市宮前町821番地 株式会 社日新化成内 (72)発明者 中越 浩之 埼玉県さいたま市宮前町821番地 株式会 社日新化成内 Fターム(参考) 2H037 AA01 BA03 CA04 DA04 DA06 DA12 DA14 DA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の光ファイバを配列保持するための光
    ファイバ保持部材であって、樹脂の変形を抑制するため
    のインサート基材を設け、前記樹脂で光ファイバを保持
    する光ファイバ保持部を形成する構成としたことを特徴
    とする光ファイバ保持部材。
  2. 【請求項2】前記光ファイバ保持部が、光ファイバを貫
    通保持する貫通孔部である請求項1に記載の光ファイバ
    保持部材。
  3. 【請求項3】光ファイバ挿入側樹脂部を厚く形成し、前
    記光ファイバ保持部を、前記インサート基材部分に形成
    されたファイバ保持孔部と、前記光ファイバ挿入側樹脂
    部に形成されて光ファイバ挿入側開口端部から前記ファ
    イバ保持孔部に向けて先細まり形状をなすテーパ孔部と
    を備える構成とした請求項2に記載の光ファイバ保持部
    材。
  4. 【請求項4】前記光ファイバ保持部が、光ファイバを保
    持するV字状の溝部である請求項1に記載の光ファイバ
    保持部材。
  5. 【請求項5】前記インサート基材に凹凸状の表面を形成
    し、該凹凸状の表面上に前記V字状の溝部を形成する請
    求項4に記載の光ファイバ保持部材。
  6. 【請求項6】前記インサート基材に、光ファイバの保持
    位置を特定するためのマーカ部を形成するためのマーカ
    形成部を形成した請求項1〜5のいずれか1つに記載の
    光ファイバ保持用。
  7. 【請求項7】複数の光ファイバを配列保持するための光
    ファイバ保持部材の製造方法であって、金型内にインサ
    ート基材をセットした後、前記金型内に樹脂を流し込み
    光ファイバ保持部を樹脂成形することを特徴とする光フ
    ァイバ保持部材の製造方法。
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