JP2003055629A - リグノセルロース用接着剤 - Google Patents

リグノセルロース用接着剤

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JP2003055629A
JP2003055629A JP2001294468A JP2001294468A JP2003055629A JP 2003055629 A JP2003055629 A JP 2003055629A JP 2001294468 A JP2001294468 A JP 2001294468A JP 2001294468 A JP2001294468 A JP 2001294468A JP 2003055629 A JP2003055629 A JP 2003055629A
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lignocellulose
water
adhesive
group
monomer
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JP2001294468A
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English (en)
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Takashi Yamaguchi
高司 山口
Kuniyasu Kawabe
邦康 河辺
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Kao Corp
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Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】反応の際にホルムアルデヒドを発生せず、熱プ
レス成形等によって優れた耐水性及び強度を発揮し得る
リグノセルロース用接着剤、及び該接着剤を用いたリグ
ノセルロースの成形体を提供する。 【解決手段】A)一般式I (R1 は水素又はメチル基、R2 OはC2〜4のオキシ
アルキレン基、R3 は水素又はC1〜22のアルキル
基、フェニル基又はC7〜22のアルキルフェニル基、
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり1〜1
50の数を示す)及び一般式II (R4 は水素又はメチル基を示す)を含有するモノマー
組成物を重合させてなり、酸価3〜150KOHmg/
gであるポリカルボン酸;B)水溶性及び/又は水分散
性の多価エポキシ化合物;並びにC)水を含有してなる
リグノセルロース用接着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性及び強度に
優れたリグノセルロース用接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】リグノセルロース又はこれを含む材料
(例えば、樹皮を含めた木材を粒状、粉状、繊維状、ス
トランド状、チップ状、フレーク状、単板形状等に加工
したもの) を用いてパーティクルボードやファイバーボ
ードその他合板等を成形する際には、硬化型の接着剤と
して尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が使用
されている。
【0003】これらの接着剤は、安価であり、成形品の
強度を高めることができるものの、成形時あるいは成形
後に生成し、放散するホルムアルデヒドの人体に対する
有害性が指摘されている。
【0004】したがって、ホルムアルデヒドを放散せず
に、成形品の強度及び耐水性を高める接着剤の開発が望
まれている。
【0005】ところで、ポリエチレングリコールを木材
細胞壁に透入すると、木材が膨潤状態に保たれ、収縮し
ないため、寸法安定効果が得られることが知られてい
る。更に、ポリエチレングリコールの一端をメタクリル
酸とエステル結合させてメタクリル酸エステルとし、こ
れを細胞壁に透入した後、硬化剤を用いてラジカル重合
させて固定化する試みがなされている〔「材料」、34
〔383〕(1985)、p.906〕。
【0006】この技術は、非ホルムアルデヒド系であ
り、リグノセルロースの接着に応用することが可能であ
る。しかし、木の種類によってはフェノール性水酸基や
キノン基等の遊離ラジカルを捕捉する官能基を多く含ん
でおり、そのような木に使用した場合、硬化阻害を起こ
すため、接着強度が不十分となるという欠点がある
〔「木材学会誌」、29〔10〕(1983)、p.6
95−701)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ホルムアル
デヒドを含有せず、反応の際にもホルムアルデヒドを発
生せず、熱プレス成形等により、優れた耐水性及び強度
を発揮し得るリグノセルロース用の接着剤、及び該接着
剤を用いてリグノセルロースを成形した成形体を提供す
ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、〔1〕
(A)式(I):
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 は水素原子又はメチル基、R
2 Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、R3 は水素
原子又は炭素数1〜22のアルキル基、フェニル基又は
炭素数7〜22のアルキルフェニル基、nはオキシアル
キレン基の平均付加モル数であり1〜150の数を示
す)で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)
アクリル酸エステル系単量体(a)〔以下、単量体
(a)という〕及び式(II):
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R4 は水素原子又はメチル基を示
す)で表される(メタ)アクリル酸系単量体(b)〔以
下、単量体(b)という〕を含有するモノマー組成物を
重合させてなり、酸価が3〜150KOHmg/gであ
るポリカルボン酸(A)〔以下、ポリカルボン酸(A)
という〕、(B)水溶性及び/又は水分散性の多価エポ
キシ化合物(B)〔以下、多価エポキシ化合物(B)と
いう〕、並びに(C)水を含有してなるリグノセルロー
ス用接着剤、並びに〔2〕 前記〔1〕記載のリグノセ
ルロース用接着剤を用いてリグノセルロースを成形して
なるリグノセルロース成形体に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明においては、特定の酸価を
有するポリカルボン酸(A)及び多価エポキシ化合物
(B)が用いられている点に、1つの大きな特徴があ
る。本発明のリグノセルロース用接着剤は、これらの成
分が用いられていることにより、使用時の加熱によって
エステル化により接着し、優れた耐水性及び強度を示
し、しかも人体に有害であるとされているホルムアルデ
ヒド等を発生しないという優れた効果を発現する。
【0014】単量体(a)は、式(I)で表される。式
(I)において、R1 は、水素原子又はメチル基を示
す。
【0015】R2 Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレ
ン基である。式(I)における各R 2 Oは、同一であっ
てもよく、異なっていてもよい。2種類以上のR2 Oを
用いる場合には、各R2 Oは、ブロック状に付加してい
てもよく、あるいはランダムに付加していてもよい。
【0016】R3 は、水素原子又は炭素数1〜22のア
ルキル基、フェニル基又は炭素数7〜22のアルキルフ
ェニル基である。R3 がアルキル基である場合、その炭
素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0017】nは、オキシアルキレン基の平均付加モル
数であり1〜150の数を示す。nは、成形後のリグノ
セルロースの更なる強度を高める観点から、3〜10
0、好ましくは5〜50であることが望ましい。
【0018】単量体(a)は、ポリアルキレングリコー
ルと(メタ)アクリル酸系単量体とをエステル化反応さ
せることによって得られる。
【0019】ポリアルキレングリコールとしては、片末
端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールが好ましく、
例えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコール、メトキ
シ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリ
コール、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール、メト
キシ(ポリ) エチレングリコール(ポリ) ブチレングリ
コール、メトキシ(ポリ) エチレングリコール(ポリ)
プロピレングリコール(ポリ) ブチレングリコール、メ
トキシ(ポリ)ブチレングリコール、エトキシ(ポリ)
エチレングリコール、エトキシ(ポリ)エチレングリコ
ール(ポリ)プロピレングリコール、エトキシ(ポリ)
プロピレングリコール、エトキシ(ポリ) エチレングリ
コール(ポリ) ブチレングリコール、エトキシ(ポリ)
エチレングリコール(ポリ) プロピレングリコール(ポ
リ) ブチレングリコール、エトキシ(ポリ)ブチレング
リコール、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール、フ
ェノキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレ
ングリコール、フェノキシ(ポリ)プロピレングリコー
ル、フェノキシ(ポリ) エチレングリコール(ポリ) ブ
チレングリコール、フェノキシ(ポリ) エチレングリコ
ール(ポリ) プロピレングリコール(ポリ) ブチレング
リコール、フェノキシ(ポリ)ブチレングリコール、ア
ルキルフェノキシ(ポリ)エチレングリコール、アルキ
ルフェノキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロ
ピレングリコール、アルキルフェノキシ(ポリ)プロピ
レングリコール、アルキルフェノキシ(ポリ) エチレン
グリコール(ポリ) ブチレングリコール、アルキルフェ
ノキシ(ポリ) エチレングリコール(ポリ) プロピレン
グリコール(ポリ) ブチレングリコール、アルキルフェ
ノキシ(ポリ)ブチレングリコール等が挙げられる。
【0020】これらのポリアルキレングリコールの中で
は、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエチレン
グリコール鎖を多く含むものは、リグノセルロースと親
和性が高いので、好ましい。
【0021】ポリアルキレングリコールとのエステル化
反応に供する(メタ)アクリル酸系単量体としては、ア
クリル酸及びメタクリル酸が挙げられ、これらはそれぞ
れ単独で用いてもよく、あるいは併用してもよい。
【0022】ポリアルキレングリコールと(メタ)アク
リル酸系単量体とのエステル化反応の際のリアルキレン
グリコールの転化率は、性能面からは必ずしも100%
である必要はなく、好ましくは90%以上、より好まし
くは95%以上、更に好ましくは98%以上である。
【0023】ポリアルキレングリコールと(メタ)アク
リル酸系単量体とのエステル化は、特に限定されず、公
知の触媒、重合禁止剤及び必要に応じて公知の溶剤を用
いて公知の方法で行なうことができる。
【0024】エステル化反応の際には、公知の触媒を用
いることができる。触媒としては、例えば、硫酸、パラ
トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、
これらの触媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0025】また、エステル化反応の際には、公知の重
合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤としては、
例えば、ハイドロキノン、メトキノン等のキノン類等が
挙げられ、これらの重合禁止剤は単独で用いてもよく、
2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】エステル化反応は、減圧下ないし常圧下
で、溶剤の存在下又は非存在下で行うことができる。
【0027】なお、エステル化反応で生成する水を反応
器の外に留去させる場合には、水と共沸し得る溶剤を用
いることが好ましい。かかる溶剤としては、例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;シクロ
ヘキサン等の脂環式化合物;n−ヘキサン等の脂肪族炭
化水素等が挙げられ、これらの溶剤はそれぞれ単独で又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】なお、溶媒の非存在下でエステル化反応を
行なう場合には、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガ
スを反応器に通して生成した水を追い出すこともでき
る。
【0029】かくして得られる単量体(a)及び式(II)
で表される(メタ)アクリル酸系単量体(b)を含有す
るモノマー組成物を重合させることにより、ポリカルボ
ン酸(A)が得られる。
【0030】式(II)で表される(メタ)アクリル酸系単
量体(b)において、R4 は、水素原子又はメチル基で
ある。(メタ)アクリル酸系単量体(b)は、具体的に
は、アクリル酸又はメタクリル酸である。これらは、そ
れぞれ単独で用いてもよく、あるいは併用してもよい。
【0031】前記エステル化反応で得られた単量体
(a)を含む反応混合物には、残存モノマーとして(メ
タ)アクリル酸系単量体が含まれている場合がある。し
たがって、この場合、この反応混合物をポリカルボン酸
(A)の原料として用いることができる。
【0032】また、エステル化反応を溶剤の存在下で行
なった場合には、この溶剤を留去し、これを水に溶解さ
せたモノマー混合物を共重合工程で用いることもでき
る。
【0033】モノマー組成物には、単量体(a)及び単
量体(b)と共重合可能な単量体を更に添加含有させて
もよい。
【0034】共重合可能な単量体としては、例えば、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸;それ
らの酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び
有機アミン塩等の不飽和ジカルボン酸類;それらの酸の
無水物;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22個
のアルコールとのハーフエステル、ジエステル;前記不
飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハー
フアミド、ジアミド;これらのアルコールやアミンに炭
素数2〜4のオキシアルキレンを1〜300モル付加さ
せたアルキルポリアルキレングリコールと前記不飽和ジ
カルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル;前記不
飽和ジカルボン酸類と炭素数2〜4のグリコール若しく
はこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリア
ルキレングリコールとのハーフエステル又はジエステ
ル;
【0035】マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコール
若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300の
ポリアルキレングリコールとのハーフアミド;(ポリ)
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類〔以
下、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
(E)ということがある〕;二官能(メタ)アクリレー
ト類;(ポリ)アルキレングリコールジマレエート類;
不飽和スルホン酸類、並びにそれらの一価金属塩、二価
金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;
【0036】(メタ)アクリル酸と炭素数1〜22個の
アルコールとのエステル;メチル(メタ)アクリルアミ
ド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素数1〜22個のア
ミンとのアミド類;ビニル芳香族類;アルカンジオール
モノ(メタ)アクリレート類;ジエン類;不飽和アミド
類;不飽和シアン類;不飽和エステル類;不飽和アミン
類;ジビニル芳香族類;シアヌレート類;アリル類;不
飽和アミノ化合物類;ビニルエーテル又はアリルエーテ
ル類;シロキサン誘導体等が挙げられ、これらは、それ
ぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0037】また、単量体混合物には、前記共重合を行
う反応系に含まれる不純物としての、上記ポリアルキレ
ングリコールジ(メタ) アクリル酸エステル系単量体が
含まれていてもよいが、その含有量はポリアルキレング
リコールモノ(メタ)アクリレート(A)に対して、好
ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下であ
る。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
が5重量%を越えると重合時に異常な分子量分布、異常
な高分子量化が起こる。その結果、得られるポリカルボ
ン酸の水溶性が低下する。
【0038】モノマー組成物の重合方法は、特に限定さ
れず、例えば、重合開始剤を用いた溶液重合や塊状重合
等の公知の重合方法を採用することができる。重合は、
回分式及び連続式のいずれでも行なうことができる。
【0039】モノマー組成物を溶液重合させる場合に使
用される溶媒には、特に限定がない。その溶媒の例とし
ては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳
香族又は脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられ、
これらは単独で又は必要により併用することができる。
なお、単量体混合物及び得られるポリカルボン酸の溶解
性の観点から、水及び/又は炭素数1〜4の低級アルコ
ールを用いることが好ましい。
【0040】重合開始剤としては、公知のものを使用す
ることができ、特に限定されない。重合開始剤の例とし
ては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸
カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチ
ルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル
等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイル
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオ
キシド等が挙げられ、これらの重合開始剤は、単独で又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0041】なお、重合反応の際には、重合反応促進剤
として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モ
ール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等の
還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナ
トリウム、グリシン等のアミン化合物等を用いることが
できる。
【0042】更に、重合反応の際には、連鎖移動剤を必
要に応じて使用することができる。連鎖移動剤として
は、公知のものを使用することができ、特に限定されな
い。連鎖移動剤の例としては、メルカプトプロピオン
酸、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステ
ル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8
−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカント
リチオール、ドデシルメルカプタン、ヘキサデカンチオ
ール、デカンチオール、四塩化炭素、四臭化炭素、α−
メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピ
ネン、γ−テルピネン、ジペンテン、2−アミノプロパ
ン−1−オール等が挙げられ、これらの連鎖移動剤は、
単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】重合温度は、重合方法、溶媒、重合開始
剤、連鎖移動剤等によって異なるので一概には決定する
ことができないが、通常、0〜150℃である。
【0044】かくしてポリカルボン酸(A)が得られ
る。ポリカルボン酸(A)の数平均分子量は、500〜
1000000、好ましくは1000〜500000、
更にに好ましくは5000〜100000であることが
望ましい。
【0045】ポリカルボン酸(A)の酸価(JIS K
0070に準じて測定、以下同じ)は、多価エポキシ化
合物(B)のエポキシ基との反応サイトを増加させて硬
化性を高める観点及び成形後のリグノセルロース成形体
の耐水性を高める観点から、3〜150KOHmg/
g、好ましくは5〜100KOHmg/gであることが
望ましい。
【0046】ポリカルボン酸の酸価の調整は、(メタ)
アクリル酸系単量体(b)の構成比率を調整したり、ポ
リカルボン酸を重合させる条件、即ち、反応温度及び重
合開始剤の量を制御してその分子量を調整することによ
り行うことができる。
【0047】多価エポキシ化合物(B)としては、リグ
ノセルロースとの親和性の観点から、水溶性及び/又は
水分散性の多価エポキシ化合物が用いられる。
【0048】水不溶性の多価エポキシ化合物(B)に
は、界面活性剤を用いて水中で強制乳化することによ
り、水分散性を付与することができる。
【0049】水溶性及び/又は水分散性の多価エポキシ
化合物(B)の代表的な商品としては、エピレッツシリ
ーズ(油化シェルエポキシ社製、商品名)、ジエチレン
グリコールジグリシジルエーテル〔阪本薬品(株)製、
商品名:SR−2EG等〕、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル〔阪本薬品(株)製、商品名:SR
−8EG等〕、グリセリンポリグリシジルエーテル〔阪
本薬品(株)製、商品名:SR−GLG等〕、ポリグリ
セリンポリグリシジルエーテル〔阪本薬品(株)製、商
品名:SR−4GL等〕等が挙げられる。
【0050】リグノセルロース用接着剤におけるポリカ
ルボン酸(A)と多価エポキシ化合物(B)との割合
は、ポリカルボン酸(A)のカルボキシル基又はカルボ
ン酸塩基とエポキシ基とのモル比が1:0.1〜1:1
0であり、特に1:0.2〜1:5であることが硬化性
を高める観点及び接着性を向上させる観点から好まし
い。
【0051】また、リグノセルロース用接着剤における
ポリカルボン酸(A)と多価エポキシ化合物(B)の合
計含有量および水の含有量は、成形時間短縮には水が少
ない方がよく、一方、基材にスプレー塗布するには水が
多いほうが低粘度となることから、リグノセルロース用
接着剤におけるポリカルボン酸(A)と多価エポキシ化
合物(B)の合計含有量は、20〜70重量%、好まし
くは30〜60重量%であることが望ましい。水の含有
量は、30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%
であることが望ましい。
【0052】リグノセルロース用接着剤は水性であるの
で、粉末状、シート状、ブロック状の木材等のリグノセ
ルロースをリグノセルロース用接着剤に浸漬させたり、
あるいはリグノセルロース用接着剤をリグノセルロース
にスプレーやコーターにより塗布する等によってリグノ
セルロース用接着剤をリグノセルロースに付着させるこ
とができる。
【0053】その後、接着剤が付着したリグノセルロー
スを熱接着させるることにより、ボード、積層板、任意
形状の成形物、集成材等のリグノセルロース成形体を得
ることができる。
【0054】なお、リグノセルロース用接着剤をスプレ
ーで塗布したり、コーターで塗布する場合には、その粘
度が最適となるように水を該リグノセルロース用接着剤
に添加し、希釈してもよい。
【0055】また、本発明のリグノセルロース用接着剤
は、セメント、モルタル等の無機質とリグノセルロース
との接着や、親水性表面を有するセルロース系製品とリ
グノセルロースとの接着にも好適に使用することができ
る。
【0056】本発明のリグノセルロース用接着剤の使用
量は、目的とする成形体の種類等によって異なるので一
概には決定することができないが、通常、リグノセルロ
ース100重量部に対して、固形分量で0.5〜20重
量部、好ましくは1.0〜15重量部である。
【0057】また、リグノセルロース用接着剤を付着さ
せた後の接着温度は、100〜180℃、好ましくは1
10〜160℃であることが接着性の観点から望まし
い。
【0058】
【実施例】製造例1(ポリカルボン酸の製造) 攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しなが
ら窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。
【0059】メトキシポリエチレングリコールモノメタ
クリレート〔新中村化学(株)製、商品名:NK−エス
テルM−9G、エチレンオキサイドの平均付加モル数:
9〕1.3モル、アクリル酸1モル及び水7.5モルの
混合溶解物と、20%過硫酸アンモニウム水溶液0.0
1モルと、2−メルカプトエタノール4gとをそれぞれ
同時に反応容器内に2時間かけて滴下した。
【0060】次に、20%過硫酸アンモニウム水溶液
0.03モルを30分間かけて反応容器内に滴下し、7
5℃で1時間熟成した。熟成後、系内を95℃に昇温
し、次いで35%過酸化水素12gを1時間かけて滴下
し、95℃で2時間熟成した。
【0061】熟成終了後、反応容器内に水を加え、固形
分量が40重量%のポリカルボン酸(以下、ポリカルボ
ン酸Aという)を得た。得られたポリカルボン酸Aの酸
価は79.5KOHmg/gであった。
【0062】製造例2(ポリカルボン酸の製造) 攪拌機付き反応容器に水8モルを仕込み、攪拌しながら
窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。
【0063】メトキシポリエチレングリコールモノメタ
クリレート〔新中村化学(株)製、商品名:NK−エス
テルM−23G、エチレンオキサイドの平均付加モル
数:23〕0.5モル、メタクリル酸1モル及び水8.
5モルの混合溶解物と、20%過硫酸アンモニウム水溶
液0.01モルと、2−メルカプトエタノール3gとを
それぞれ同時に反応容器内に2時間かけて滴下した。
【0064】次に、20%過硫酸アンモニウム水溶液
0.03モルを30分間かけて反応容器内に滴下し、7
5℃で1時間熟成した。熟成後、系内を95℃に昇温
し、次いで35%過酸化水素9gを1時間かけて滴下
し、95℃で2時間熟成した。
【0065】熟成終了後、反応容器内に水を加え、固形
分量が40重量%のポリカルボン酸(以下、ポリカルボ
ン酸Bという)を得た。得られたポリカルボン酸Bの酸
価は85.7KOHmg/gであった。
【0066】実施例1 グリセリンポリグリシジルエーテル〔阪本薬品(株)
製、商品名:SR−GLG、エポキシ当量:145g/
当量〕に水を加え、固形分40%に調製したもの20重
量部と、ポリカルボン酸A100重量部とを混合し、リ
グノセルロース用接着剤Aを得た。カルボキシル基とエ
ポキシ基とのモル比は1:0.97であった。
【0067】実施例2 ジエチレングリコールジグリシジルエーテル〔阪本薬品
(株)製、商品名:SR−2EG、エポキシ当量:15
0g/当量〕に水を加え、固形分40%に調製したもの
30重量部と、ポリカルボン酸B100重量部とを混合
し、リグノセルロース用接着剤Bを得た。カルボキシル
基とエポキシ基とのモル比は1:1.3であった。
【0068】比較例1 グリセリンポリグリシジルエーテル〔阪本薬品(株)
製、商品名:SR−GLG、エポキシ当量:145g/
当量〕に水を加え、固形分40%に調製したもの50重
量部と、水溶性アクリル樹脂〔ジョンソンポリマー社
製、商品名:ジョンクリルJ−68、酸価:195KO
Hmg/g、アンモニア100%中和、固形分量:40
重量%〕100重量部を混合し、リグノセルロース用接
着剤Cを得た。カルボキシル基とエポキシ基とのモル比
は1:1であった。
【0069】試験例 成形用基材としてラワン木片を解砕して得られたラワン
木粉1kg(絶乾重量)に、各実施例又は比較例1で得
られた固形分40重量%のリグノセルロース用接着剤2
50gをスプレーで塗布しながら混合し(接着剤含有量
9重量%)、フラッシュドライヤーで含水率が8重量%
になるまで乾燥させて成形用木粉を得た。
【0070】次に、縦10cm×横25cmの型枠に成
形用木粉190gを入れて型押しし、成形前駆体を形成
し、上下板温度を160℃に加熱した状態のホットプレ
ス機に成形前駆体を挿入し、12mmのスペーサーを両
側に挟み、圧力30kgf/cm2 (2.94MPa)
で4分間熱圧し、木質ボード〔中質繊維板(MDF)タ
イプ〕サンプルを作製した。
【0071】得られたボードサンプルの比重、曲げ強
度、厚さ水膨潤率及びホルムアルデヒドの検出を以下の
方法に準じて調べた。その結果を表1に示す。
【0072】(A)ボードサンプルの比重 ボードサンプルの体積と重量とから計算により求めた。 (B)曲げ強度 JIS A5905に準じて測定。 (C)厚さ水膨潤率 ボードサンプルを25℃の水に24時間浸漬する前の厚
さ(t1 )と、浸漬後の厚さ(t2 )を測定し、式: 〔厚さ水膨潤率(%)〕=(t2 −t1 )/t1 ×10
0 にしたがって求める。
【0073】(D)ホルムアルデヒドの検出 ボードサンプルをデシゲーターに入れ、24時間経過
後、ホルムアルデヒド検知管を用いてデシゲーター中の
気体を吸引することにより、ホルムアルデヒドの検出を
行い、ホルムアルデヒドが検出されなかった場合の評価
を○とし、ホルムアルデヒドが検出された場合の評価を
×とする。
【0074】
【表1】
【0075】表1に示された結果から、各実施例で得ら
れたリグノセルロース用接着剤を用いた場合には、ホル
ムアルデヒドが検出されず、曲げ強度に優れ、厚さ水膨
潤率が小さく耐水性に優れた成形体を得ることができる
ことがわかる。
【0076】
【発明の効果】本発明のリグノセルロース用接着剤は、
ホルムアルデヒドを含有していないので、人体に対する
安全性に優れ、リグノセルロースに対して優れた耐水性
及び強度を与えるという効果を奏する。また、本発明の
リグノセルロース用接着剤を用いれば、耐水性及び強度
に優れたリグノセルロース成形体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFC C08J 5/00 CFC 4J100 C09J 133/02 C09J 133/02 163/00 163/00 171/02 171/02 // C08L 97:02 C08L 97:02 Fターム(参考) 2B260 AA03 BA01 BA18 BA19 BA20 BA22 CB01 DA09 DD02 EA05 EB02 EB06 EB11 EB19 EB21 4F071 AA42 AA73 AH19 BB03 BB13 BC07 4J027 AC02 AC03 AC06 BA06 CB02 CC02 CD09 4J036 AB01 AB02 AJ05 AK19 FB03 JA06 KA02 KA03 4J040 DF011 DF021 EC361 EE051 GA07 GA08 HA126 HB02 HB03 HB08 HB18 HB30 HB44 JA03 JB02 KA16 KA23 LA06 LA07 MA08 MA09 PA30 4J100 AJ02Q AL08P AL09P BA02P BA04P BA05P BA06P BA08P BC43P CA04 DA29 JA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)式(I): 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 Oは炭素数
    2〜4のオキシアルキレン基、R3 は水素原子又は炭素
    数1〜22のアルキル基、フェニル基又は炭素数7〜2
    2のアルキルフェニル基、nはオキシアルキレン基の平
    均付加モル数であり1〜150の数を示す)で表される
    ポリアルキレングリコールモノ(メタ) アクリル酸エス
    テル系単量体(a)及び式(II): 【化2】 (式中、R4 は水素原子又はメチル基を示す)で表され
    る(メタ)アクリル酸系単量体(b)を含有するモノマ
    ー組成物を重合させてなり、酸価が3〜150KOHm
    g/gであるポリカルボン酸(A)、(B)水溶性及び
    /又は水分散性の多価エポキシ化合物(B)、並びに
    (C)水を含有してなるリグノセルロース用接着剤。
  2. 【請求項2】 ポリカルボン酸(A)のカルボキシル基
    と、多価エポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比
    が1:0.1〜1:10である請求項1記載のリグノセ
    ルロース用接着剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のリグノセルロース
    用接着剤を用いてリグノセルロースを成形してなるリグ
    ノセルロース成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003055637A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Kao Corp リグノセルロース用接着剤
JP2011511874A (ja) * 2008-02-11 2011-04-14 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 木材原料製造のための無ホルムアルデヒド結合剤

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JP4711560B2 (ja) * 2001-08-10 2011-06-29 花王株式会社 リグノセルロース用接着剤
JP2011511874A (ja) * 2008-02-11 2011-04-14 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 木材原料製造のための無ホルムアルデヒド結合剤

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