JP2003054951A - 酸化チタン薄膜の製造方法および有機−無機複合傾斜材料の製造方法 - Google Patents
酸化チタン薄膜の製造方法および有機−無機複合傾斜材料の製造方法Info
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Abstract
より得られたゾルを安定化させると共に、緻密な酸化チ
タン薄膜を形成させる方法、および表面が緻密な酸化チ
タン薄膜からなる有機−無機複合傾斜材料の製造方法を
提供する。 【解決手段】 アルコキシル基の炭素数が1〜4のチタ
ンテトラアルコキシドを炭素数3以上のエーテル系酸素
を有するアルコール類と水を用い、加水分解−縮合させ
て光散乱強度が8〜300Pa・s8000〜3000
00cpsのチタニアゾル溶液を調製したのち、成膜
し、次いで、特定の条件で加湿処理、さらに加熱処理し
て、酸化チタン薄膜を製造する方法、並びに加水分解性
金属含有基を有する有機高分子化合物と前記チタニアゾ
ルを含む塗工液を用いて、有機基材上に塗膜を形成し、
特定の条件で加湿処理、さらに加熱処理して、有機−無
機複合傾斜材料を製造する方法である。
Description
製造方法および有機−無機複合傾斜材料の製造方法に関
する。さらに詳しくは、本発明は、ゾル−ゲル法による
酸化チタン薄膜の製造方法において、チタンアルコキシ
ドの加水分解−縮合反応により得られたゾルを安定化さ
せ、成膜性などを向上させると共に、緻密な酸化チタン
薄膜を形成させる方法、および上記ゾルを用い、実質上
表面が緻密な酸化チタン薄膜からなり、かつチタン成分
の含有率が材料の表面から厚み方向に連続的に変化する
成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料を製造す
る方法に関するものである。
おいて様々な用途に用いられている。この金属酸化物薄
膜を基板上へ形成させる方法としては、従来、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの
物理的気相蒸着法(PVD法)や、各種の化学的気相蒸
着法(CVD法)などが主流であった。しかしながら、
これらの方法においては、真空設備などの大型設備が必
要であり、生産性に劣る上、耐熱性に乏しい有機基板な
どに対しては適用しにくいなどの欠点がある。したがっ
て、近年、ゾル−ゲル法による金属酸化物薄膜の形成が
行われるようになってきた。このゾル−ゲル法は、溶液
法であって、大気中で金属酸化物薄膜を形成することが
でき、また大面積の基板や複雑な形状の基板にも適用し
得る上、室温付近での化学プロセスであるため、組成の
制御が容易であり、かつ耐熱性に乏しい基板にも適用で
きるなどの特徴を有している。
で形成させる場合、通常原料としてチタンアルコキシド
が用いられる。しかしながら、一般に、チタンアルコキ
シド、特にアルコキシル基の炭素数が4以下であるもの
は、水に不安定であって、加水分解−縮合反応により得
られたゾルにおいては、数時間でゲル化(固化)または
粒子化することもあり、薄膜の前駆体として使用しにく
い。
は、エタノール溶媒を用いてチタンテトライソプロポキ
シドの加水分解−縮合反応を行っているが、通常のアル
コール系溶媒中(メタノール、エタノールなど)ではそ
の反応が非常に速く進行するため、溶媒中の微量の水の
作用で粒子化やゲル化が進行しやすい。これを解決する
ために、アルコキシル基の一部をアセチルアセトンなど
でキレート化する方法が行われているが、この場合、逆
にアルコキシドを安定化しすぎるために、成膜した後も
膜中に有機物が残存し、その除去に紫外線などを照射す
るといった方法がとられており、したがって非常に手間
がかかり、装置的にも大掛かりになるのを免れないなど
の問題が生じる。また、アルコキシアルコール類やグリ
コールエーテル類などの溶媒とのエステル交換によるも
のが提案されている(特開平6−145601号公報、
特開平8−40965号公報)。しかしながら、この場
合、加熱還流などの操作を行っており、手間がかかる
上、加水分解用の水の添加を行わず、そのまま成膜に使
用しているため、金属アルコキシドモノマーを成膜して
いることになり、成膜性が悪く、かつ成膜後のアルコキ
シル基の脱離に伴う体積収縮が大きく、クラックなどが
生じる原因となりやすい。
酸化物薄膜においては、薄膜形成直後は、通常加水分解
および縮合反応が十分に進行していないため、これを緻
密化させるために加熱処理が施される。しかしながら、
この加熱処理を例えば300℃以上で行うと、残留有機
物が燃焼し、高度に緻密化されるが、基材が耐熱性に乏
しいプラスチックの場合には、実質的に不可能である。
一方、残留有機物の燃焼温度以下の低温加熱処理では、
緻密化に長時間を要する。
せるために、例えば(1)オートクレーブ中にて高圧下
で水蒸気処理する方法(特開平10−87304号公
報)、(2)エキシマランプなどを用いて高エネルギー
の紫外線を照射する方法(特開2000−282244
号公報)などが提案されている。しかしながら、前記
(1)の水蒸気処理方法は、オンラインでの処理を考え
た場合、装置が大掛かりになる上、高温高圧下での処理
を必要とするため危険を伴い、簡便な方法とはいえな
い。一方、前記(2)の紫外線照射方法においては、高
エネルギー照射を伴うため、基材の材質によっては、基
材を劣化させるおそれがある。また、前記(1)および
(2)の方法は、いずれも結晶性金属酸化物に適用した
場合、結晶化を促進するため、塗膜が脆くなるのを免れ
ないという問題があった。
材料として種々の用途、例えば塗膜や、有機材料と無機
または金属材料との接着剤、有機基材と光触媒塗膜との
間に設けられ、有機基材の劣化を防止する中間膜や、有
機基材と無機系または金属系材料層との密着性を向上さ
せる中間膜などの用途に有用な、厚み方向に組成が連続
的に変化する有機−無機複合傾斜材料を見出した(特願
平11−264592号)。
子化合物と金属系化合物との化学結合物を含有する有機
−無機複合材料であって、材料表面は実質上金属系化合
物薄膜からなり、かつ該金属系化合物の含有率が材料の
厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、上記
の各種用途に有用な新規な材料である。このような複合
傾斜材料においても、その表面の金属系化合物薄膜は、
できるだけ緻密なものが好ましい。
事情のもとで、ゾル−ゲル法による酸化チタン薄膜の製
造方法において、チタンアルコキシドの加水分解−縮合
反応により得られたゾルを安定化させ、成膜性などを向
上させると共に、緻密な酸化チタン薄膜を形成させる方
法、および実質上表面が緻密な酸化チタン薄膜からな
り、かつチタン成分の含有率が材料の表面から厚み方向
に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複
合傾斜材料の製造方法を提供することを目的とするもの
である。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アルコキシル
基の炭素数が1〜4のチタンテトラアルコキシドを、特
定のアルコール類と水を所定量用いて加水分解−縮合さ
せることにより、安定性の良好なチタニアゾルが得ら
れ、このゾルを用いて基材上に成膜し、特定の条件で加
湿処理、次いで加熱処理することにより、緻密な酸化チ
タン薄膜が得られることを見出した。
と結合し得る金属含有基を有する有機高分子化合物と、
前記チタニアゾルとを含む塗工液を用い、有機基材上に
成膜し、前記と同様に加湿処理、次いで加熱処理するこ
とにより、所望の有機−無機複合傾斜材料が得られるこ
とを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成し
たものである。
基の炭素数が1〜4のチタンテトラアルコキシドを、該
チタンテトラアルコキシドに対し、4〜20倍モルの炭
素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類と
0.5以上4倍モル未満の水を用い、酸性触媒の存在下
で加水分解−縮合させて、光散乱強度が8000〜30
0000cpsの範囲にあるチタニアゾル溶液を調製し
たのち、基材上に成膜し、次いでこの膜を温度40〜1
00℃、絶対湿度0.02kg/kgD.A.以上および相
対湿度80%RH以下の条件で加湿処理し、さらに温度
40〜200℃、絶対湿度0.02kg/kgD.A.未満
の条件で加熱処理することを特徴とする酸化チタン薄膜
の製造方法、
レートフィルム上に設けられた酸化チタン薄膜の屈折率
が1.8〜2.0である上記(1)項に記載の方法、
(3)酸化チタン薄膜と有機高分子化合物とが化学的に
結合した複合体を含み、かつチタン成分の含有率が材料
の表面から厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を
有する有機−無機複合傾斜材料の製造方法において、
(A)分子中に加水分解により酸化チタンと結合し得る
金属含有基を有する有機高分子化合物と、(B)上記
(1)項と同様にして得られたチタニアゾルとを含む塗
工液を調製したのち、有機基材上に成膜し、次いでこの
膜を温度40〜100℃、絶対湿度0.02kg/kgD.
A.以上および相対湿度80%RH以下の条件で加湿処
理し、さらに温度40〜200℃、絶対湿度0.02kg
/kgD.A.未満の条件で加熱処理することを特徴とす
る有機−無機複合傾斜材料の製造方法、
により酸化チタンと結合し得る金属含有基を有する有機
高分子化合物が、(a)分子中に加水分解により酸化チ
タンと結合し得る金属含有基を有するエチレン性不飽和
単量体と、(b)金属を含まないエチレン性不飽和単量
体との共重合体である上記(3)項に記載の方法、
(5)有機−無機複合傾斜材料が、有機基材上に形成さ
れた膜状物からなり、かつ実質上、該膜状物の有機基材
に当接している面が有機高分子化合物成分であって、も
う一方の開放系面が酸化チタン成分である上記(3)ま
たは(4)項に記載の方法、および(6)有機−無機複
合傾斜材料が、有機基材と光触媒活性材料層との間に介
在させる中間膜として用いられる上記(3)、(4)ま
たは(5)項に記載の方法、を提供するものである。
製造方法について説明する。本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法においては、原料として、アルコキシル基の炭
素数が1〜4のチタンテトラアルコキシドが用いられ
る。このチタンテトラアルコキシドにおいては、4つの
アルコキシル基は、たがいに同一でも異なっていてもよ
いが、入手の容易さなどの点から、同一のものが好まし
く用いられる。該チタンテトラアルコキシドの例として
は、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシ
ド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライ
ソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタ
ンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキ
シドおよびチタンテトラ−tert−ブトキシドが挙げられ
る。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
ンテトラアルコキシドを加水分解−縮合させて、チタニ
アゾル溶液を調製する。このチタンテトラアルコキシド
の加水分解−縮合反応は、炭素数3以上のエーテル系酸
素を有するアルコール類を溶媒として用い、酸性触媒の
存在下でチタンテトラアルコキシドに水を作用させるこ
とにより行われる。
るアルコール類としては、チタンテトラアルコキシドに
対して相互作用を有する溶剤、例えばエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソル
ブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロ
ピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げること
ができる。これらの中で、特にチタンテトラアルコキシ
ドに対する相互作用が強いセロソルブ系溶剤が好まし
い。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
して相互作用を有する溶剤を溶媒として用いることによ
り、チタンテトラアルコキシドの加水分解−縮合反応に
より得られたチタニアゾル溶液を安定化させることがで
き、縮合反応を進行させてもゲル化や粒子化が生じにく
く、安定な成膜が可能となる。
合反応は、チタンテトラアルコキシドに対し、4〜20
倍モル、好ましくは5〜12倍モルの前記アルコール類
と、0.5以上4倍モル未満、好ましくは1〜3.0倍
モルの水を用い、塩酸、硫酸、硝酸などの酸性触媒の存
在下、通常0〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲
の温度において行われる。酸性触媒は、チタンテトラア
ルコキシドに対し、通常0.1〜1.0倍モル、好まし
くは0.2〜0.7倍モルの範囲で用いられる。
コキシドの加水分解−縮合反応は、炭素数3以上のエー
テル系酸素を有するアルコール類を所定量溶媒として使
用することで、アルコキシル基のエステル交換が起こり
比較的安定で経時変化の少ないチタニアゾル溶液が得ら
れる。これを前記の様な条件で反応を行うことにより加
水分解-縮合反応が進行し、8000〜300000c
psの範囲のチタニアゾル溶液が得られる。光散乱強度
が上記範囲にあれば、成膜性が非常に良好で、成膜後の
有機物の脱離が後の加湿工程で制御し易く、成膜時のク
ラック発生が抑制され緻密な酸化チタン薄膜の形成が容
易となる。好ましい光散乱強度は9000〜20000
0cpsの範囲である。ここで、光散乱強度Isは(式
1)で著され、(Is=散乱光強度、Io=入射光強
度、n=溶媒の屈折率、Mw=溶質の重量平均分子量、
c=溶質の濃度、(dn/dc)=溶質の濃度増あたり
の屈折率増分、λo=入射光波長、r=試料から検出器
までの距離、NA=アボガドロ数)Mwに相当する分子
サイズつまり、縮合度に比例した値が観測される。
使用量、溶媒の種類、加水分解温度や時間などによって
調節することができる。
たチタニアゾル液に、所望により、前記のエーテル系酸
素を有するアルコール類やその他適当な溶剤を加え、塗
布するのに適した粘度を有する塗工液を調製したのち、
適当な基材上に乾燥後の厚みが0.02〜0.7μmの
範囲になるように、デップコート法、スピンコート法、
スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロ
ールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラ
ビアコート法などの公知の手段により塗布し、溶媒を揮
散させてチタニア膜を形成させる。基材としては特に限
定はないが、該膜が均一に塗布できるものであるものが
好ましく、例えば、金属系材料、ガラスやセラミックス
系材料、その他各種無機系または金属系材料からなる基
材、及び、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹
脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、
ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹
脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタ
レートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,
6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリ
イミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース
系樹脂などからなる有機基材が挙げられる。
形成されたチタニア膜を、まず、温度40〜100℃、
絶対湿度0.02kg/kgD.A.以上および相対湿度8
0%RH以下の条件で加湿処理し、次いで温度40〜2
00℃、絶対湿度0.02kg/kgD.A.未満の条件で
加熱処理する(「D.A.」は乾燥空気を意味する。以
下同様)。この処理により、屈折率の高い緻密な酸化チ
タン薄膜が得られる。例えば、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に、屈折率(測定方法は後述)1.8〜
2.0の酸化チタン薄膜を形成することができる。測定
手法により屈折率の絶対値が異なる場合があるが、この
時概ね処理前の金属酸化物薄膜の屈折率に対して、1.
04〜1.20倍の屈折率をもつ金属酸化物系薄膜を得
ることが可能である。
の後の縮合反応性を高め、迅速に緻密化を達成させるた
めに行われる。これは、ゾル−ゲル反応における縮合反
応が、加水分解により生成した水酸基の、他方のチタン
原子への求核反応により行われるため、該チタン原子に
結合している官能基としては、アルコキシル基などより
も水酸基である方が、チタン原子がよりプラスの電荷を
帯びる理由により、反応性が高くなるためである。この
加湿処理において、温度が40℃未満では加水分解反応
終了までに長時間を要する。また、100℃を超えると
高圧下での処理が必要で装置が大がかりとなり、オンラ
インでの処理が困難である。一方、絶対湿度が0.02
kg/kgD.A.未満では加水分解反応が進行しにくい
し、相対湿度が80%RHを超えると飽和点に近くなる
ため塗膜表面で水の結露を引き起こしやすく、成膜性が
損なわれる場合がある。好ましい加湿処理条件は、温度
40〜80℃、絶対湿度0.035kg/kgD.A.以上
および相対湿度80%RH以下である。
は、加熱環境を低湿とすることで、縮合反応により副生
した水あるいはアルコールなどが容易に系外へ放出され
るため、単に加熱のみを行った場合よりも、効率よく、
かつ迅速に緻密化が達成される。湿度が絶対湿度で0.
02kg/kgD.A.以上では副生した水やアルコールな
どを揮散させる効果が小さくなる。一方、温度が40℃
未満では縮合反応を迅速に進行させにくいし、また20
0℃を超えると、基材としてPETフィルム等の有機基
材を使用する場合に熱分解を起こしやすくなる。好まし
い加熱処理条件は、絶対湿度0.01kgD.A.以下お
よび温度50〜150℃である。
段となりにくい。これは、多量の水の存在は縮合反応の
逆反応(解重合)の要因となるためである。また、処理
時間は、加湿処理および加熱処理の合計で、1.5時間
以内が好ましい。
製造方法について説明する。この製造方法において得ら
れる有機−無機複合傾斜材料は、酸化チタン薄膜と有機
高分子化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ
チタン成分の含有率が材料の表面から厚み方向に連続的
に変化する成分傾斜構造を有するものである。このよう
な複合傾斜材料は、本発明においては、(A)分子中に
加水分解により酸化チタンと結合し得る金属含有基(加
水分解性金属含有基と称すことがある。)を有する有機
高分子化合物と、(B)アルコキシル基の炭素数が1〜
4のチタンテトラアルコキシドを、前述の酸化チタン薄
膜の製造方法の場合と同様に加水分解−縮合させて得ら
れた光散乱強度が8000〜300000cpsの範囲
にあるチタニアゾルとを含む塗工液を用いて、形成させ
る。
有する有機高分子化合物は、例えば(a)加水分解性金
属含有基を有するエチレン性不飽和単量体と、(b)金
属を含まないエチレン性不飽和単量体を共重合させるこ
とにより、得ることができる。
属含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、一
般式(I)
Aはアルキレン基、好ましくは炭素数1〜4のアルキレ
ン基、R2は加水分解性基または非加水分解性基である
が、その中の少なくとも1つは加水分解により、(B)
成分と化学結合しうる加水分解性基であることが必要で
あり、また、R2が複数の場合には、各R2はたがいに同
一であってもよいし、異なっていてもよく、M1はケイ
素、チタン、ジルコニウム、インジウム、スズ、アルミ
ニウムなどの金属原子、kは金属原子M1の価数であ
る。)で表される基を挙げることができる。
加水分解により(B)成分と化学結合しうる加水分解性
基としては、例えばアルコキシル基、イソシアネート
基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、
アセチルアセトネート基、水酸基などが挙げられ、一
方、(B)成分と化学結合しない非加水分解性基として
は、例えば低級アルキル基などが好ましく挙げられる。
れる金属含有基としては、例えば、トリメトキシシリル
基、トリエトキシシリル基、トリ−n−プロポキシシリ
ル基、トリイソプロポキシシリル基、トリ−n−ブトキ
シシリル基、トリイソブトキシシリル基、トリ−sec−
ブトキシシリル基、トリ−tert−ブトキシシリル基、ト
リクロロシリル基、ジメチルメトキシシリル基、メチル
ジメトキシシリル基、ジメチルクロロシリル基、メチル
ジクロロシリル基、トリイソシアナトシリル基、メチル
ジイソシアナトシリル基など、トリメトキシチタニウム
基、トリエトキシチタニウム基、トリ−n−プロポキシ
チタニウム基、トリイソプロポキシチタニウム基、トリ
−n−ブトキシチタニウム基、トリイソブトキシチタニ
ウム基、トリ−sec−ブトキシチタニウム基、トリ−ter
t−ブトキシチタニウム基、トリクロロチタニウム基、
さらには、トリメトキシジルコニウム基、トリエトキシ
ジルコニウム基、トリ−n−プロポキシジルコニウム
基、トリイソプロポキシジルコニウム基、トリ−n−ブ
トキシジルコニウム基、トリイソブトキシジルコニウム
基、トリ−sec−ブトキシジルコニウム基、トリ−tert
−ブトキシジルコニウム基、トリクロロジルコニウム
基、またさらには、ジメトキシアルミニウム基、ジエト
キシアルミニウム基、ジ−n−プロポキシアルミニウム
基、ジイソプロポキシアルミニウム基、ジ−n−ブトキ
シアルミニウム基、ジイソブトキシアルミニウム基、ジ
−sec−ブトキシアルミニウム基、ジ−tert−ブトキシ
アルミニウム基、トリクロロアルミニウム基などが挙げ
られる。この(a)成分のエチレン性不飽和単量体は1
種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
いエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(I
I)
Xは一価の有機基である。)で表されるエチレン性不飽
和単量体、好ましくは一般式(II−a)
化水素基を示す。)で表されるエチレン性不飽和単量
体、あるいは上記一般式(II−a)で表されるエチレン
性不飽和単量体と、必要に応じて添加される密着性向上
剤としての一般式(II−b)
R6はエポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合
を有する炭化水素基を示す。)で表されるエチレン性不
飽和単量体との混合物を挙げることができる。
性不飽和単量体において、R4で示される炭化水素基と
しては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアル
キル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6
〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を
好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキ
ル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ
る。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘ
キシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10の
アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシ
リル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数
7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メ
チルベンジル基、フェネチチル基、ナフチルメチル基な
どが挙げられる。
性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フ
ェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリ
レートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
性不飽和単量体において、R6で示されるエポキシ基、
ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基
としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のア
ルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数
6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基
を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン
原子としては、塩素原子および臭素原子がよい。上記炭
化水素基の具体例としては、前述の一般式(II−a)に
おけるR4の説明において例示した基と同じものを挙げ
ることができる。
性不飽和単量体の例としては、グリシジル(メタ)アク
リレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アク
リレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなど
を好ましく挙げることができる。
ン性不飽和単量体としては、これら以外にもスチレン、
α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、
o−またはp−ブロモスチレン、m−、o−またはp−
クロロスチレン、m−、o−またはp−ビニルフェノー
ル、1−または2−ビニルナフタレンなど、さらにはエ
チレン性不飽和基を有する重合性高分子用安定剤、例え
ばエチレン性不飽和基を有する、酸化防止剤、紫外線吸
収剤および光安定剤なども用いることができる。これら
は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
ン性不飽和単量体と一般式(II−b)で表されるエチレ
ン性不飽和単量体とを併用する場合は、前者のエチレン
性不飽和単量体に対し、後者のエチレン性不飽和単量体
を1〜100モル%の割合で用いるのが好ましい。
有するエチレン性不飽和単量体と(b)成分の金属を含
まないエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始
剤の存在下、ラジカル共重合させることにより、(A)
成分である加水分解性金属含有基を有する有機高分子化
合物が得られる。
た(A)成分である加水分解性金属含有基を有する有機
高分子化合物をアルコール、ケトン、エーテルなどの適
当な極性溶剤中に溶解させた溶液と、(B)成分である
チタニアゾルの溶液とを混合し、塗布するのに適した粘
度を有する塗工液を調製する。この際、必要ならば、該
塗工液に水および/または酸性触媒を添加することがで
きる。
れた塗工液を乾燥塗膜の厚さが、通常5μm以下、好ま
しくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02
〜0.7μmの範囲になるように、ディップコート法、
スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナ
イフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダ
イコート法、グラビアコート法などの公知の手段により
塗布し、溶媒を揮散させて塗膜を形成させる。
メタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやA
BS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプ
ロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステ
ル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリ
アミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロー
スアセテートなどのセルロース系樹脂などからなる基材
を挙げることができる。
料との密着性をさらに向上させるために、所望により、
酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができ
る。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロ
ム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外
線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、
例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられ
る。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ば
れる。
材料以外の材料、例えば金属系材料、ガラスやセラミッ
クス系材料、その他各種無機系または金属系材料からな
る基材の表面に、有機系塗膜を有するものも包含する。
本発明の方法においては、このようにして有機基材上に
形成された塗膜に、前述の酸化チタン薄膜の製造方法の
場合と同様に、加湿処理を施したのち、加熱処理を施
す。
斜材料においては、表面層は、実質上緻密な酸化チタン
薄膜からなり、かつ金属成分の含有率が基材方向に逐次
減少していき、基材近傍ではほぼ0%になる。すなわ
ち、該有機−無機複合傾斜材料は、一般に、基材上に形
成された膜状物からなり、かつ実質上、該膜状物の基材
に当接している面が有機高分子系化合物成分であって、
もう一方の開放系面が酸化チタン成分である。
膜表面にスパッタリングを施して膜を削っていき、経時
的に膜表面の炭素原子とチタン原子の含有率を、X線光
電子分光法などにより測定することによって、行うこと
ができる。
としては特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5
〜98重量%、好ましくは20〜98重量%、特に好ま
しくは50〜90重量%の範囲である。有機高分子化合
物の重合度や分子量としては、製膜化しうるものであれ
ばよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の傾
斜膜材料の物性などに応じて適宜選定すればよい。
傾斜材料は、機能性材料として様々な用途に用いること
ができるが、特に有機基材と光触媒活性材料層との間に
介在させる中間膜として好適に用いられる。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
方法により求めた。 (1)加水分解−縮合液の光散乱強度 チタンテトラアルコキシドの加水分解−縮合液をポリス
チレンセルに入れて、大塚電子(株)製「ELS−80
00」により光散乱強度の測定を行った。この時、ピン
ホールの大きさを試料側φ0.3、検出器側φ0.2と
し、溶媒の屈折率としては水の屈折率を代入し計算を行
った。なお、100回測定を行い、その平均値を求め
た。
2100」 測定条件:入射角0°、反射角0°、測定範囲240〜
800nm 屈折率計算: 屈折率=(Bn(1+(Rmax/100)1/2)/(1−(R
max/100)1/2))1 /2 (Bn:基板の屈折率(PET=1.66)、Rmax:膜
の反射率の最大値)
インウエザーメーター試験法[試験機:スガ試験機
(株)製のサンシャインウエザーメーター「S30
0」]により、促進耐候試験(光源:225W/m2、
サイクル:照射102分間、照射+降雨18分間の2時
間1サイクル、ブラックパネル温度:63±3℃、相対
湿度:55±5%)を行い、日本電色(株)製、ヘイズ
メーター「NDH2000」を用い、JIS K736
1に準拠してヘイズ値を測定した。
(株)製]を用い、アルゴンスパッタリング(4kV)
を3分間隔で施して膜を削り、膜表面の炭素原子と金属
原子の含有率を、X線光電子分光法により測定し、傾斜
性を調べた。
2mol)をエチルセロソルブ16.8ml(0.17
4mol)に溶解した溶液に、濃硝酸1.63ml
(0.021mol)、水0.82ml(0.046m
ol)とエチルセロソルブ16.8ml(0.174m
ol)の混合溶液を攪拌しながらゆっくり滴下し、その
後30℃で4時間攪拌し、チタンテトライソプロポキシ
ドに対して8.3倍モルのエチルセロソルブ、1.1倍
モルの水からなる反応溶液(チタニアゾル)を得た。こ
の反応溶液を大塚電子(株)製の光散乱測定装置「EL
S−8000」を用いて光散乱強度測定を行ったとこ
ろ、12000cpsであった。次にこの溶液8.3m
lをメチルイソブチルケトン25mlとエチルセロソル
ブ16.7mlの混合溶媒に加え、塗工液を調製した。
その後、この塗工液をワイヤー線径0.075mmのマ
イヤーバーにて50μm厚みのポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム[東レ(株)製、「ルミラーT
−60」]上にバーコートし、溶剤を揮発させてチタニ
ア膜を形成させた。この塗膜の屈折率は1.75であっ
た。
0.116kg/kgD.A.)で15分間加湿処理した
後、60℃5%RH下(絶対湿度0.0062kg/kg
D.A.)で30分加熱処理した。この膜の屈折率は
1.84であった。
0℃80%RH下(絶対湿度0.116kg/kgD.
A.)、15分間を80℃34%RH下(絶対湿度0.
118kg/kgD.A.)、15分間に変更した以外は、
実施例1と同様な操作を行った。得られた膜の屈折率は
1.84であった。
0℃80%RH下(絶対湿度0.116kg/kgD.
A.)、15分間を40℃80%RH下(絶対湿度0.
038kg/kgD.A.)、60分間に変更した以外は、
実施例1と同様な操作を行った。得られた膜の屈折率は
1.83であった。
ポキシドの2.2倍モル)とした以外は実施例1と同様
にチタンイソプロポキシドの加水分解−縮合反応を行っ
た。この反応溶液を大塚電子(株)製の光散乱測定装置
「ELS−8000」を用いて光散乱強度測定を行った
ところ、250000cpsであった。次にこの溶液
8.3mlをメチルイソブチルケトン25mlとエチル
セロソルブ16.7mlの混合溶媒に加え、塗工液を調
製した。その後、この塗工液をワイヤー線径0.075
mmのマイヤーバーにて50μm厚みのPETフィルム
[東レ(株)製、「ルミラーT−60」]上にバーコー
トし、溶剤を揮発させてチタニア膜を形成させた。この
塗膜の屈折率は1.77であった。
0.116kg/kgD.A.)で15分間加湿処理した
後、60℃5%RH下(絶対湿度0.0062kg/kg
D.A.)で30分加熱処理した。この膜の屈折率は
1.86であった。
キシプロピルトリメトキシシラン1.36gの混合溶液
に、2,2′ーアゾビスイソブチロニトリル0.1gを
溶解させた後、攪拌しながら75℃で3時間反応させ
て、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量が約7
万の共重合体を得た。この共重合体1.0gをメチルイ
ソブチルケトン100mlに溶解させ、10g/L濃度
の有機成分溶液を得た。
ルケトン20mlに加えた後、エチルセロソルブ16.
7ml、次いで実施例1で得られたチタニアゾル8.3
mlを加えて成分傾斜膜塗工液を作成した。この塗工液
をワイヤー線径0.075mmマイヤーバーにて50ミ
クロン厚みのPETフィルム[帝人デュポンフィルム
(株)製、「テトロンHB−3」]上にバーコートし、
溶剤を揮発させて成分傾斜膜を形成させた。膜厚みはお
およそ70nm程度であった。この膜のXPS測定を行
ったところ、傾斜性を有する膜であることが確認され
た。上記傾斜膜のXPS測定結果を図1に示す。
116kg/kgD.A.)で15分間加湿処理した後、6
0℃5%RH下(絶対湿度0.0062kg/kgD.
A.)で30分加熱処理し、その後この膜上に石原産業
(株)製、光触媒液「ST−K211」を厚み50nm
で塗布した。
ンアーク式サンシャインウエザーメーターによる促進耐
候試験を行った結果、900時間経過後のヘイズ値は
3.78%で透明性を維持していた。
かつ加熱処理の時間を30分間から60分間に変更した
以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた膜の
屈折率は1.78であった。
かつ加熱処理の時間を30分間から20分間に変更した
以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた膜の
屈折率は1.78であった。
かつ水の添加を無くした以外は、実施例1と同様にチタ
ンテトライソプロポキシドの加水分解−縮合反応を行っ
た。この反応溶液を大塚電子(株)製の光散乱測定装置
「ELS−8000」を用いて光散乱強度測定を行った
ところ、4000cpsであった。次にこの溶液8.3
mlをメチルイソブチルケトン25mlとエチルセロソ
ルブ16.7mlの混合溶媒に加え、塗工液を調製し
た。その後、この塗工液をワイヤー線径0.075mm
のマイヤーバーにて50μm厚みのPETフィルム[東
レ(株)製、「ルミラーT−60」]上にバーコート
し、溶剤を揮発させてチタニア膜を形成させた。この塗
膜の屈折率は1.75であった。これを、60℃80%
RH下(絶対湿度0.116kg/kgD.A.)で15分
間加湿処理した後、60℃5%RH下(絶対湿度0.0
062kg/kgD.A.)で30分加熱処理した。この膜
の屈折率は1.72であった。
タンテトライソプロポキシドの7.1倍モル)とした以
外は実施例1と同様にチタンテトライソプロポキシドの
加水分解−縮合反応を行った。この反応溶液を大塚電子
(株)製の光散乱測定装置「ELS−8000」を用い
て光散乱強度測定を行ったところ、500000cps
であり、溶液に粒子の析出が確認された。次にこの溶液
8.3mlをメチルイソブチルケトン25mlとエチル
セロソルブ16.7mlの混合溶媒に加え、塗工液を調
製した。その後、この塗工液をワイヤー線径0.075
mmのマイヤーバーにて50μm厚みのPETフィルム
[東レ(株)製、「ルミラーT−60」]上にバーコー
トし、溶剤を揮発させてチタニア膜を形成させた。この
塗膜の屈折率は1.77であった。これを、60℃80
%RH下(絶対湿度0.116kg/kgD.A.)で15
分間加湿処理した後、60℃5%RH下(絶対湿度0.
0062kg/kgD.A.)で30分加熱処理した。この
膜の屈折率は1.77であった。
0℃5%RH下(絶対湿度0.0062kg/kgD.
A.)で45分間加熱処理のみ行った以外は、実施例5
と同様な操作を行った。この膜のXPS測定を行ったと
ころ、傾斜性を有する膜であることが確認された。上記
傾斜膜のXPS測定結果を図2に示す。
式サンシャインウエザーメーターによる促進耐候試験を
行った結果、900時間経過後のヘイズ値は5.89%
で白化が見られた。
用いた以外は実施例1と同様にチタンテトライソプロポ
キシドの加水分解−縮合反応を行った。この反応溶液を
大塚電子(株)製の光散乱測定装置「ELS−800
0」を用いて光散乱強度測定を行ったところ、6000
00cpsであった。次にこの溶液8.3mlをメチル
イソブチルケトン25mlとエチルセロソルブ16.7
mlの混合溶媒に加え、塗工液を調製した。その後、こ
の塗工液をワイヤー線径0.075mmのマイヤーバー
にて50μm厚みのPETフィルム[東レ(株)製、
「ルミラーT−60」]上にバーコートし、溶剤を揮発
させてチタニア膜を形成させた。この塗膜の屈折率は
1.75であった。これを、60℃80%RH下(絶対
湿度0.116kg/kgD.A.)で15分間加湿処理し
た後、60℃5%RH下(絶対湿度0.0062kg/kg
D.A.)で30分加熱処理した。この膜の屈折率は
1.75であった。
実施例1と同様にチタンテトライソプロポキシドの加水
分解−縮合反応を行った。この時、反応開始後まもな
く、白色沈殿物が生じて成膜液として使用不可能であっ
た。
化チタン薄膜の製造方法において、チタンアルコキシド
の加水分解−縮合反応により得られたゾルを安定化さ
せ、成膜性などを向上させると共に、緻密な酸化チタン
薄膜を形成させることができる。また、表面層が緻密な
酸化チタン薄膜からなり、かつチタン成分の含有率が材
料の表面から厚み方向に連続的に変化(減少)する成分
傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料を製造するこ
とができる。
おけるスパッタリング時間と炭素原子およびチタン原子
の含有率との関係を示すグラフである。
おけるスパッタリング時間と炭素原子およびチタン原子
の含有率との関係を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 アルコキシル基の炭素数が1〜4のチタ
ンテトラアルコキシドを、該チタンテトラアルコキシド
に対し、4〜20倍モルの炭素数3以上のエーテル系酸
素を有するアルコール類と0.5〜4倍モルの水を用
い、酸性触媒の存在下で加水分解−縮合させて、光散乱
強度が8000〜300000cps(count per seco
nd)の範囲にあるチタニアゾル溶液を調製したのち、基
材上に成膜し、次いでこの膜を常圧下、温度40〜10
0℃、絶対湿度0.02kg/kgD.A.以上および相対
湿度80%RH以下の条件で加湿処理し、さらに温度4
0〜200℃、絶対湿度0.02kg/kgD.A.未満の
条件で加熱処理することを特徴とする酸化チタン薄膜の
製造方法。 - 【請求項2】 基材としてのポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に設けられた酸化チタン薄膜の屈折率が
1.8〜2.0である請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 酸化チタン薄膜と有機高分子化合物とが
化学的に結合した複合体を含み、かつチタン成分の含有
率が材料の表面から厚み方向に連続的に変化する成分傾
斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料の製造方法にお
いて、(A)分子中に加水分解により酸化チタンと結合
し得る金属含有基を有する有機高分子化合物と、(B)
アルコキシル基の炭素数が1〜4のチタンテトラアルコ
キシドを、該チタンテトラアルコキシドに対し、4〜2
0倍モルの炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアル
コール類と0.5以上4倍モル未満の水を用い、酸性触
媒の存在下で加水分解−縮合させて得られた光散乱強度
が8000〜300000cpsの範囲にあるチタニア
ゾルとを含む塗工液を調製したのち、有機基材上に成膜
し、次いでこの膜を温度40〜100℃、絶対湿度0.
02kg/kgD.A.以上および相対湿度80%RH以下
の条件で加湿処理し、さらに温度40〜200℃、絶対
湿度0.02kg/kgD.A.未満の条件で加熱処理する
ことを特徴とする有機−無機複合傾斜材料の製造方法。 - 【請求項4】 (A)成分である分子中に加水分解によ
り酸化チタンと結合し得る金属含有基を有する有機高分
子化合物が、(a)分子中に加水分解により酸化チタン
と結合し得る金属含有基を有するエチレン性不飽和単量
体と、(b)金属を含まないエチレン性不飽和単量体と
の共重合体である請求項3に記載の方法。 - 【請求項5】 有機−無機複合傾斜材料が、有機基材上
に形成された膜状物からなり、かつ実質上、該膜状物の
有機基材に当接している面が有機高分子化合物成分であ
って、もう一方の開放系面が酸化チタン成分である請求
項3または4に記載の方法。 - 【請求項6】 有機−無機複合傾斜材料が、有機基材と
光触媒活性材料層との間に介在させる中間膜として用い
られる請求項3、4または5に記載の方法。
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