JP4504480B2 - 有機−無機複合傾斜材料、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機−無機複合傾斜材料、その製造方法および該傾斜材料の用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機高分子化合物と2種以上の混合金属系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、該金属系化合物の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、混合金属系化合物の部分においても、その組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、機能性材料として各種用途に有用な有機−無機複合傾斜材料、このものを効率よく製造する方法並びに該傾斜材料からなる被膜形成用コーティング剤および該傾斜材料を使用した基材や物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機高分子材料の性能、機能に関する要求の多様化に伴い、単一の高分子化合物では満足させることが困難となり、高分子化合物に異なる性質をもつ異種材料を加え、複合化することが行われている。
例えば、強化材を有機高分子材料中に分散させることによる物性改質が広く行われており、具体的には、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維などの有機や無機の繊維状物質、あるいは炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどの粉末状の無機フィラーなどを添加し、均質に分散させることが行われている。
【0003】
また、異種の高分子化合物を混合し、場合により相溶化剤を介して相溶化させ、ポリマーアロイ化することにより、新しい機能を発現させる研究も盛んに行われている。
【0004】
一方、最近、材料の組成を少しずつ変化させ、表と裏で性質が全く異なる複合材料である傾斜機能材料が注目され、例えばセラミックスの耐熱性と金属の強度を併せもつ金属−セラミックス複合傾斜機能材料が超音速航空機の機体材料などとして開発されている。
このような傾斜機能材料は、無機傾斜材料、有機傾斜材料および有機−無機複合傾斜材料に分類され、そして、複数の材料、例えば複数の異種の無機材料同士、複数の異種の有機材料同士、あるいは1種以上の有機材料と1種以上の無機材料を混合し、場所によって異なる分布密度、配向などを制御することで、複数の成分材料の物性を発現させうることから、例えば宇宙・航空分野、自動車分野、エレクトロニクス分野、医療分野、エネルギー分野、さらには放射線や電磁波のシールド分野などにおける利用が期待される。
【0005】
他方、プラスチック基材上に、様々な無機系または金属系材料、例えば光触媒活性材料、導電性材料、ハードコート剤、光記録材料、磁性粉、赤外線吸収材料などからなる層を設け、機能性材料を作製することが広く行われている。
プラスチック基材上に、このような無機系または金属系材料層を設ける場合、一般に基材との密着性が不十分であるために、例えばプラスチック基材上に無機系プライマー層を設け、その上に無機系または金属系材料層を形成させる方法が、よく用いられる。しかしながら、この方法においては、無機系プライマー層と無機系または金属系材料層との密着性は良好であるものの、プラスチック基材と無機系プライマー層との密着性は必ずしも十分ではなく、耐熱密着性に劣ったり、あるいは経時により密着性が低下したりするなどの問題があった。
したがって、プラスチック基材上に無機系または金属系材料層を密着性よく形成させる技術の開発が望まれていた。
【0006】
近年、偏光板に使用されるハードコートフィルムやディスプレイ保護用ハードコートフィルム等に代表される光学用途のハードコートフィルムは、その表面に反射防止処理を施すことがよく行われる。この反射防止処理は、ハードコート層の上に屈折率を調整するための金属酸化物などの薄膜を、蒸着やスパッタリングなどにより単層又は複数層形成することにより、反射防止膜を設けるものである。
【0007】
また、プラスチックレンズにおいては、その表面に反射防止の目的で、各種金属酸化物からなる多層膜を、蒸着やスパッタリングなどにより設けることがよく行われている。
しかしながら、ハードコートフィルムやプラスチックレンズなどの有機基材上に、蒸着やスパッタリングなどで金属酸化物からなる反射防止膜を設ける場合、操作が煩雑である上、反射防止膜と有機基材との密着性が不充分であるという問題が生じる。
【0008】
さらに、建物の窓、乗物の窓、あるいは冷蔵、冷凍ショーケースの窓などにおいては、暑さの軽減、省エネルギー化を図る目的で、これらの窓に熱線(赤外線)を反射させるために、例えば透明フィルムの表面に、アルミニウム、銀、金等の金属薄膜をスパッタリングや蒸着により形成してなる熱線反射フィルムを貼付することが行われている。しかしながら、この場合も上記と同様に操作が煩雑である上、フィルムと金属薄膜との密着性が不充分であるという問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、有機基材と強固に密着し、かつ表面側が実質上金属系化合物層からなり、反射防止膜や光・熱線反射膜などの用途に有用な、厚さ方向に組成が連続的に変化する新規な有機−無機複合傾斜材料、このものを効率よく製造する方法およびその用途を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機高分子化合物と混合金属系化合物の化合結合物を含有し、該混合金属系化合物の含有率が厚み方向に連続的に変化すると共に、混合金属系化合物の組成比も厚み方向に連続的に変化する構造の材料が、有機−無機複合傾斜材料としてその目的に適合しうること、そして、このものは、金属系化合物が金属酸化物系化合物である場合、分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、加水分解により金属酸化物を形成しうると共に、加水分解反応性および金属元素の異なる金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を、加水分解処理して得られた塗布液を有機基板上に塗布し、加熱乾燥処理することにより、効率よく得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)有機材からなる基板上に設けられた、有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、
有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物が、分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、加水分解により金属酸化物を形成しうる金属元素の異なる、一般式(IV)
M 2 R 5 m …(IV)
(式中、R 5 はアルコキシル基であり、M 2 はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる金属原子、mは金属原子M 2 の価数である)
で表される金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理してなるものであり、
材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、上記金属系化合物が金属元素の異なる2種以上の混合金属系化合物からなり、かつその部分においても、各金属系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料、
(2)有機材からなる基板上に設けられた、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、材料中の金属酸化物系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、上記金属酸化物系化合物が金属元素の異なる2種以上の混合金属酸化物系化合物からなり、かつその部分においても、各金属酸化物系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合材料を製造する方法であって、
(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、
(B)加水分解により金属酸化物を形成しうると共に、加水分解反応性および金属元素の異なる、一般式(IV)
M 2 R 5 m …(IV)
(式中、R 5 はアルコキシル基であり、M 2 はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる金属原子、mは金属原子M 2 の価数である)
で表される金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理して塗布液を調製したのち、有機材からなる基板上に上記塗布液からなる塗膜を形成し、次いで加熱乾燥処理することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料の製造方法、
(3)上記有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を基材上に形成させることを特徴とするコーティング剤、好ましくは有機材からなる基板に対する塗膜形成用として用いられるコーティング剤、
(4)上記有機−無機複合傾斜材料を用いたことを特徴とする基材、および
(5)上記有機−無機複合傾斜材料からなるコート層を有することを特徴とする物品、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の有機−無機複合傾斜材料は、有機高分子化合物と金属系化合物とが化学結合してなる複合体を含有する有機−無機複合材料、好ましくは該複合体からなる有機−無機複合材料であって、材料中の金属系化合物の含有率が、材料表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有している。そして、上記金属系化合物は、金属元素の異なる2種以上の混合金属系化合物からなり、しかもその部分においても、各金属系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有している。
【0013】
このような成分傾斜構造の確認は、例えば、有機材からなる基板上に設けた有機−無機複合傾斜材料の塗膜表面に、スパッタリングを施して膜を削っていき、経時的に膜表面の炭素原子と各金属原子の含有率を、X線光電子分光法などにより測定することによって、行うことができる。具体的に例を挙げて説明すると、図1は、後述の実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた厚さ0.12μmの有機−無機複合材料(金属原子として、ケイ素原子とチタン原子を含む)からなる塗膜における、スパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフであって、この図から分かるように、スパッタリングを施す前の塗膜表面は、ほぼ100%近くシリカで占められているが、スパッタリングにより膜が削られていくに伴い、ケイ素原子の含有率が連続的に減少していくと共に、チタン原子の含有率が増加し、チタニア層が現れる。その後さらにスパッタリングしていくと、チタン原子の含有率が連続的に減少していくと共に、炭素原子の含有率が増加し、有機成分が現れ、スパッタリング時間が約40分間を過ぎた時点から膜表面はほぼ有機成分のみとなる。
【0014】
すなわち、この傾斜材料においては、材料中の2種の混合金属酸化物系化合物の含有率が、表面から基板方向に逐次減少していると共に、2種の金属酸化物系化合物の組成比も、材料の厚み方向に連続的に変化していることが示されている。
【0015】
本発明の有機−無機複合傾斜材料は、有機高分子化合物に金属元素の異なる2種の混合金属系化合物が化学結合した複合体を含有し、かつ上述のような傾斜特性を有することを特徴としており、このような複合傾斜材料は、後で説明する本発明の方法によって容易に形成させることができる。
【0016】
本発明の傾斜材料における金属系化合物の種類については特に制限はなく、金属酸化物系化合物、または金属酸化物系化合物を介して有機高分子化合物に化学結合してなるポリシラザンのような金属窒化物系化合物などを挙げることができるが、ゾル−ゲル法により形成されうるものが好ましい。本発明においては、この金属系化合物は、金属元素の異なる化合物を2種以上含む混合物である。
【0017】
また本発明の傾斜材料における上記混合金属系化合物の含有量としては特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5〜98重量%、好ましくは20〜98重量%、特に好ましくは50〜90重量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量としては、製膜化しうるものであればよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の塗膜物性などに応じて適宜選定すればよい。
さらに、本発明の傾斜材料は、その厚みが10μm以下、特に0.01〜2.0μmの範囲のものが、傾斜性及び塗膜性能などの点から好適である。
【0018】
このような有機−無機複合傾斜材料は、その好ましい態様である金属系化合物が、金属酸化物系化合物である場合、以下に示す本発明の方法により効率よく製造することができる。
【0019】
本発明においては、まず、(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基(以下、加水分解性金属含有基と称すことがある。)を有する有機高分子化合物と、(B)加水分解により金属酸化物を形成しうると共に、加水分解反応性および金属元素の異なる金属含有化合物(以下、加水分解性金属含有化合物と称すことがある。)2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理して塗布液を調製する。
【0020】
上記(A)成分である有機高分子化合物中の加水分解性金属含有基および(B)成分である加水分解反応性および金属元素の異なる加水分解性金属含有化合物2種以上の組合せにおける金属としては、例えばケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種を好ましく挙げることができる。
【0021】
上記(A)成分である分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物は、例えば該金属含有基を有する単量体と金属を含まない単量体とを共重合又は縮重合させることにより、得ることができる。
【0022】
ここで加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基としては、例えば一般式(I)
−M1R1 n-1 …(I)
(式中、R1は加水分解性基または非加水分解性基であるが、その中の少なくとも1つは加水分解により、(B)成分と化学結合しうる加水分解性基であることが必要であり、また、R1が複数の場合には、各R1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、M1はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属原子、nは金属原子M1の価数である。)
で表される基を挙げることができる。
【0023】
上記一般式(I)において、R1のうちの加水分解により(B)成分と化学結合しうる加水分解性基としては、例えばアルコキシル基、イソシアネート基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、アセチルアセトネート基などが挙げられ、一方、(B)成分と化学結合しない非加水分解性基としては、例えば低級アルキル基などが好ましく挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)で表される金属含有基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリ−n−プロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリ−n−ブトキシシリル基、トリイソブトキシシリル基、トリ−sec−ブトキシシリル基、トリ−tert−ブトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、トリイソシアナトシリル基、メチルジイソシアナトシリル基など、トリメトキシチタニウム基、トリエトキシチタニウム基、トリ−n−プロポキシチタニウム基、トリイソプロポキシチタニウム基、トリ−n−ブトキシチタニウム基、トリイソブトキシチタニウム基、トリ−sec−ブトキシチタニウム基、トリ−tert−ブトキシチタニウム基、トリクロロチタニウム基、さらには、トリメトキシジルコニウム基、トリエトキシジルコニウム基、トリ−n−プロポキシジルコニウム基、トリイソプロポキシジルコニウム基、トリ−n−ブトキシジルコニウム基、トリイソブトキシジルコニウム基、トリ−sec−ブトキシジルコニウム基、トリ−tert−ブトキシジルコニウム基、トリクロロジルコニウム基、またさらには、ジメトキシアルミニウム基、ジエトキシアルミニウム基、ジ−n−プロポキシアルミニウム基、ジイソプロポキシアルミニウム基、ジ−n−ブトキシアルミニウム基、ジイソブトキシアルミニウム基、ジ−sec−ブトキシアルミニウム基、ジ−tert−ブトキシアルミニウム基、トリクロロアルミニウム基などが挙げられる。
【0025】
上記共重合の例としては、エチレン性不飽和基および前記一般式(I)で表される金属含有基を有する単量体と、エチレン性不飽和基を有し、かつ金属を含まない単量体とをラジカル共重合させることにより、所望の高分子化合物が得られる。具体的には、一般式(II)
【化1】
(式中、R2は水素原子またはメチル基、Aはアルキレン基、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、R1、M1およびnは前記と同じである。)
で表される金属含有基を含むアルキル基をエステル成分とする(メタ)アクリル酸エステル1種以上と、一般式(III)
【化2】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Xは一価の有機基である。)
で表されるエチレン性不飽和基を有する単量体、特に好ましくは一般式(III−a)
【化3】
(式中、R4はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、R3は前記と同じである。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル1種以上とをラジカル共重合させる方法を挙げることができる。
【0026】
一方、縮重合の例としては、上記エチレン性不飽和基の代わりに、縮合により高分子量化可能な基、例えば縮合によりアミド結合、エステル結合あるいはウレタン結合などを生成する2つ以上の官能基と前記一般式(I)で表される金属含有基とを有する単量体と、縮合により高分子量化可能な基、例えば縮合によりアミド結合、エステル結合あるいはウレタン結合などを生成する2つ以上の官能基を有し、かつ金属含有基を含まない単量体とを縮重合させる方法などにより、所望の高分子化合物が得られる。
【0027】
具体的には、いずれか一方の成分が前記一般式(I)で表される金属含有基を有するアミン成分と酸成分とを縮重合させ、ポリアミドを形成させる方法、あるいはいずれか一方の成分が前記一般式(I)で表される金属含有基を有するアルコール成分と酸成分とを縮重合させ、ポリエステルを形成させる方法などが挙げられる。
【0028】
上記(B)成分である加水分解により金属酸化物を形成しうる金属含有化合物(加水分解性金属含有化合物)としては、例えば一般式(IV)
M2R5 m …(IV)
(式中、R5は加水分解性基または非加水分解性基であるが、少なくとも2つは加水分解性基であり、かつ少なくとも1つは、加水分解により(A)成分と化学結合しうる加水分解性基であって、複数のR5はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、M2はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属原子、mは金属原子M2の価数である。)
で表される金属化合物を挙げることができる。
【0029】
上記一般式(IV)におけるR5のうちの加水分解性基としては、例えばアルコキシル基、イソシアネート基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、アセチルアセトネート基などが挙げられ、一方非加水分解性基としては、例えば低級アルキル基、アリール基、アルケニル基などが好ましく挙げられる。
この加水分解性金属含有化合物としては、上記一般式(IV)で表される金属含有化合物から誘導されるオリゴマーや、一般式(IV)で表される金属含有化合物を複数種混合したものも用いることができる。
【0030】
上記一般式(IV)で表される金属含有化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなど、並びにこれらに対応するテトラアルコキシチタンおよびテトラアルコキシジルコニウム、さらにはトリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウムなどの金属アルコキシド、あるいは金属アルコキシドオリゴマー、例えば市販品のアルコキシシランオリゴマーである「メチルシリケート51」、「エチルシリケート40」(いずれもコルコート社製商品名)など、さらにはテトライソシアナトシラン、メチルトリイソシアナトシラン、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシランなどが挙げられるが、この(B)成分としては、金属のアルコキシドが好適である。
【0031】
本発明においては、この(B)成分の加水分解性金属含有化合物として、加水分解反応性および金属元素の異なる化合物2種以上を混合して用いることが必要である。この場合、金属元素が同一の金属含有化合物は、それぞれ1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そして、金属元素の異なる金属含有化合物の加水分解反応性をそれぞれ適宜調節すると共に、(A)成分と(B)成分との混合物の加水分解処理条件を適宜選定することにより、金属酸化物系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、各金属酸化物系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料が得られる。
【0032】
本発明においては、上記(B)成分として、炭素数2以上のアルコキシル基を有するジアルコキシシラン、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシシランのいずれかを少なくとも含むケイ素含有化合物と、他の金属を含む金属含有化合物との混合物を用いるのが好ましい。
【0033】
また、保護基により、加水分解反応速度を低下させた金属含有化合物を含むものも用いることができる。
上記保護基としては、加水分解性金属含有化合物を保護して、加水分解反応速度を低下させうる基であればよく、特に制限はない。例えばジケトン類などを作用させて加水分解性金属含有化合物を保護することができる。
【0034】
なお、この(B)成分である加水分解反応性および金属元素の異なる2種以上の加水分解性金属含有化合物からなる混合物の一成分として、加水分解性金属含有化合物の代わりに、金属窒化物重合体を用いることができる。
【0035】
この金属窒化物重合体としては、例えば一般式(V)
【化4】
(式中、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、若しくはこれらの基以外のフルオロアルキル基などの炭素原子がケイ素原子に直結する基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシル基であるが、その少なくとも1つは水素原子である。
)
で表される構造単位を含む数平均分子量100〜50000のポリシラザンなどを好ましく挙げることができる。
【0036】
本発明においては、アルコール、ケトン、エーテルなどの適当な極性溶剤中において、前記(A)成分の高分子化合物および(B)成分である2種以上の加水分解性金属含有化合物からなる混合物を塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂を用い、通常0〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度にて加水分解処理し、固体酸を用いた場合には、それを除去したのち、さらに、所望により溶剤を留去または添加し、塗布するのに適した粘度に調節して塗布液を調製する。温度が低すぎる場合は加水分解が進まず、高すぎる場合は逆に加水分解・重合反応が速く進みすぎ、制御が困難となり、その結果得られる傾斜塗膜の傾斜性が低下するおそれがある。なお、(B)成分の金属含有化合物を含む極性溶剤溶液を予め調製し、これに酸を加えて加水分解反応を進めておき、このものと(A)成分を混合し、さらに加水分解処理してもよい。
【0037】
無機成分は、その種類によっては塗布液調製後も、加水分解、重縮合が徐々に進行して塗布条件が変動する場合があるので、塗布液に不溶の固体の脱水剤、例えば無水硫酸マグネシウムなどを添加することにより、ポットライフの低下を防止することができる。この場合、塗布液は、該脱水剤を除去してから、塗布に用いる。
【0038】
次に、このようにして得られた塗布液を用い、有機材からなる基板上に、乾燥塗膜の厚さ、通常10μm以下、好ましくは0.01〜2.0μmの範囲になるように、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の手段により塗膜を形成し、公知の乾燥処理、例えば40〜150℃程度の温度で加熱乾燥処理することにより、本発明の有機−無機複合傾斜材料が得られる。
【0039】
本発明の方法においては、(A)成分と(B)成分である2種以上の加水分解性金属含有化合物との混合物の加水分解処理により、(A)成分の高分子化合物中の加水分解性金属含有基が加水分解するとともに、(B)成分の2種以上の加水分解性金属含有化合物も一部加水分解して重合する。次に、この塗布液を有機材からなる基板(有機基材と称することがある。)に塗布することにより、(A)成分の高分子化合物中のフレキシブルな高分子鎖の部分が基板に吸着されるとともに、側鎖の金属含有基の加水分解部分は基板から離れたところに位置する。
この塗膜を加熱乾燥処理することにより、上記側鎖の金属含有基の加水分解がさらに進行するとともに、(B)成分の金属含有化合物の加水分解、重合もさらに進行し、そしてこの際、上記側鎖の加水分解により生成した反応性基、例えばシラノール基と(B)成分の加水分解、重合物とが縮合(化学結合)することにより、高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学結合した複合体が形成する。そして、この際、(B)成分として、加水分解反応性および金属元素の異なる金属含有化合物2種以上からなる混合物を用いているので、各金属含有化合物の加水分解、重合速度が異なり、したがって、加水分解処理条件を適宜選定することにより、金属酸化物系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、高分子化合物と化学結合した各金属酸化物系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料が得られる。
【0040】
このようにして有機基材上に形成された本発明の複合傾斜材料においては、材料中の金属系化合物の含有率が表面ではほぼ100%であるが、基材方向に逐次減少していき、基材近傍ではほぼ0%になる上、2種以上の混合金属系化合物からなる部分においても、その組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するようになる。
【0041】
本発明においては、前記機構により複合傾斜材料が形成されることから、塗膜の形成後、有機材からなる基板に高分子鎖の部分が吸着されるのに必要な時間、一般的には少なくとも液体状態を数秒間程度保持することが肝要である。
使用する有機成分の可溶性溶媒と無機成分の可溶性溶媒は、通常は異なる溶媒が用いられ、それらが混和性を有する必要がある。また、塗工機あるいはスプレー法等での塗布において、厚み斑がなくかつ良好な傾斜構造を得るためには、無機成分同士が縮合する前に高分子化合物の吸着が起こるようにするためにも、上記無機成分可溶性溶媒の蒸発点を有機成分可溶性溶媒の蒸発点以上に高くするのが好ましい。なお、有機成分と無機成分の両者を溶解できるものであれば、単独溶媒でも使用可能である。
【0042】
有機材からなる基板としては特に制限はなく、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなる基板を挙げることができる。
【0043】
これらの基板は、本発明の傾斜材料との密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基板の種類に応じて適宜選ばれる。
【0044】
なお、本発明における有機材からなる基板は、有機系材料以外の材料、例えば金属系材料、ガラスやセラミックス系材料、その他各種無機系または金属系材料からなる基材の表面に、有機系塗膜を有するものも包含する。
前述した性状を有する本発明の有機−無機複合傾斜材料は、新しい機能性材料として、種々の用途に有用である。
【0045】
本発明はまた、該有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を基材上に形成させるコーティング剤をも提供するものである。
このコーティング剤としては、前記の(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、(B)加水分解により金属酸化物を形成しうると共に、加水分解反応性および金属元素の異なる金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理して得られた塗布液からなるものを好ましく挙げることができる。
【0046】
このコーティング剤は、例えば有機基材に対する塗膜形成用として用いることができる。有機基材上に形成されたコート層は、前述のような成分傾斜構造を有しているので、金属系化合物それぞれを主体とする各層の材質や厚さを適宜選択して、その屈折率を調節することにより、光反射防止層として、あるいは、光や熱線などの高反射層として機能させることができる。
【0047】
また、コート層の表面にチタニ層が形成し、中間部にシリカなどの他の金属系化合物層が形成するようなコーティング剤の場合、有機基材上に直接塗布してコート層を設け、その表面をアナターゼ型に結晶化することにより、光触媒機能を付与することができる。有機基材上にチタニアなどの光触媒活性材料層を設ける場合、該有機基材の光触媒による劣化を抑制するために、通常有機基材と光触媒活性材料層との間に無機プライマー層が設けられる。しかし、前記コーティング剤を用いることにより、コート層の中間部にシリカなどの金属系化合物層が形成されるので、無機プライマー層を設けなくても、有機基材の光触媒による劣化を抑制することができ、しかも無機プライマー層と異なり、有機基材とコート層との密着性は優れたものとなる。
【0048】
次に、本発明のコーティング剤の一般的な用途について説明する。
まず、塗膜としての用途に用いられる。該有機−無機複合傾斜材料は、有機基材に対する接着性に優れており、かつ塗膜表面は金属酸化物などの性質を有することから、例えば各種プラスチックフィルム上に該材料からなるコート層を設けることにより、耐擦傷性や耐熱性などに優れると共に、密着性の良好なハードコートフィルムを得ることができる。
【0049】
本発明は、さらに、前記有機−無機複合傾斜材料を用いてなる基材、および該複合傾斜材料からなるコート層を有する物品をも提供する。
物品の具体例としては、コート層が光反射防止層であるものや、光および/または熱線の高反射層であるものなどを好ましく挙げることができる。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0051】
実施例1
(1)有機高分子化合物(A)を含む溶液の調製
メタクリル酸メチル[和光純薬工業(株)製]11.5gおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製]1.4gを混合し、よく撹拌した後に、これに2,2′−アゾビスイソブチロニトリル[和光純薬工業(株)製]0.2gを添加・溶解させ、撹拌しながら70℃で2.5時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却させた後、アセトンに重合物を溶解させ、有機高分子化合物(A)を2.0g/リットル濃度で含む溶液を調製した。
【0052】
(2)金属含有化合物(B−1)を含む溶液の調製
テトラエトキシシラン[和光純薬工業(株)製][金属含有化合物(B−1)]15gとエタノール10gの混合溶液に、濃塩酸3gとエタノール5gとの混合溶液を撹拌しながら滴下し、室温下で5時間撹拌を続け、金属含有化合物(B−1)を含む溶液を調製した。
【0053】
(3)金属含有化合物(B−2)を含む溶液の調製
チタンテトライソプロポキシド[和光純薬工業(株)製][金属含有化合物(B−2)]15gとエタノール10gの混合溶液に、濃塩酸3gとエタノール5gとの混合溶液を撹拌しながら滴下し、室温下で5時間撹拌を続け、金属含有化合物(B−2)を含む溶液を調製した。
【0054】
(4)有機−無機複合傾斜膜の形成
上記(1)〜(3)で調製した各溶液を、有機高分子化合物(A)と金属含有化合物(B−1)と金属含有化合物(B−2)との体積比が2:1:1になるような割合で混合して塗布液を調製した。この塗布液をスピンコート法(1500rpm、10秒)にて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に塗布・成膜し、70℃にて12時間加熱乾燥処理することによって、厚さ0.12μmの有機−無機複合膜を得た。さらに該薄膜を0.005Nアンモニア水に5分間浸漬させたのち、水洗・乾燥させた。
【0055】
実施例2
実施例1の(2)において、テトラメトキシシラン[和光純薬工業(株)製]15gとエタノール10gの混合溶液に、8N塩酸5gとエタノール5gとの混合溶液を撹拌しながら滴下し、室温下で5時間撹拌を続けた以外は、実施例1と同じ方法で有機−無機複合膜を得た。
【0056】
比較例1
実施例2において、チタンテトラブトキシド[和光純薬工業(株)製]15gとエタノール10gの混合溶液に、濃塩酸3gとエタノール5gとの混合溶液を撹拌しながら滴下し、室温下で5時間撹拌を続けた以外は、実施例2と同じ方法で有機−無機複合膜を得た。
【0057】
〈傾斜性の評価〉
実施例1、実施例2および比較例1で得られた有機−無機複合膜を有するPETフィルムを、XPS装置[PHI−5600:アルバック・ファイ(株)製]を用い、アルゴン・スパッタリング(4kV)を3分間隔で施して、膜を削り、膜表面の炭素原子とケイ素原子およびチタン原子の含有率を、X線光電子分光法により求め、傾斜性を調べた。
【0058】
図1〜3に、それぞれ実施例1、実施例2および比較例1のものにおける、スパッタリング時間(膜の深さに相関する)と、炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係をグラフで示す。
【0059】
実施例1および実施例2においては、図1および図2から分かるように、複合膜表面はシリカ成分であり、次いで膜の表面から深さ方向にスパッタリングしていくと、シリカ成分が連続的に減少していき、反対にチタニア成分が増加しチタニアからなる層が現れる。その後さらにスパッタリングしていくと、チタニア成分が連続的に減少していき、反対に有機成分が現れる。このように1回のコーティングによる層において、表面から、シリカ成分→チタニア成分→有機成分の順に成分が連続的に傾斜して存在することが明らかになった。
【0060】
これに対し、比較例1においては、図3から、上記のような傾向は認められず、複合膜表面近傍の金属酸化物からなる層はシリカ成分とチタニア成分の混合体からなり、次いで膜の表面から深さ方向にスパッタリングしていくと、金属酸化物成分が連続的に減少していき、反対に有機成分が現れる構造を有していることが分かる。
【0061】
〈反射性の評価〉
実施例1および比較例1で得られた有機−無機複合膜を有するPETフィルムの反射率スペクトルを、可視・紫外分光光度計[(株)島津製作所製、UV−2100型]を用い、入射角を0゜として、400〜800nmの波長領域について測定した。その結果を、それぞれ図4および図5に示す。また、PETフィルム自体の反射率スペクトルも同様に測定した。その結果を図6に示す。
図4〜図6から明らかなように、実施例1のものは、比較例1のものおよびPETフィルム自体に比べて、600nm付近の反射率が大幅に低下しており、低反射膜として有効であることが分かった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の有機−無機複合傾斜材料は、有機高分子化合物と2種以上の混合金属系化合物との化合結合物を含有するものであって、該金属系化合物の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、混合金属系化合物の部分においても、その組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、反射防止層や、光・熱線などの高反射層などを形成しうる、新規な機能性材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図2】 実施例2で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図3】 比較例1で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図4】 実施例1で得られた有機−無機複合膜を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの反射率スペクトル図である。
【図5】 比較例1で得られた有機−無機複合膜を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの反射率スペクトル図である。
【図6】 ポリエチレンテレフタレートフィルム自体の反射率スペクトル図である。
Claims (15)
- 有機材からなる基板上に設けられた、有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、
有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物が、分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、加水分解により金属酸化物を形成しうる金属元素の異なる、一般式(IV)
M 2 R 5 m …(IV)
(式中、R 5 はアルコキシル基であり、M 2 はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる金属原子、mは金属原子M 2 の価数である)
で表される金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理してなるものであり、
材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、上記金属系化合物が金属元素の異なる2種以上の混合金属系化合物からなり、かつその部分においても、各金属系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料。 - 有機−無機複合材料が、有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物からなるものである請求項1に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 金属系化合物が金属酸化物系化合物である請求項1または2に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 厚みが10μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 加水分解により金属酸化物を形成しうる金属元素の異なる金属含有化合物2種以上の組合せが、それぞれ加水分解反応性の異なる金属含有化合物の混合物である請求項1に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 加水分解反応性の異なる金属含有化合物の混合物が、炭素数2以上のアルコキシル基を有するジアルコキシシラン、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシシランのいずれかを少なくとも含むケイ素含有化合物と、他の金属元素を含む金属含有化合物との混合物である請求項5に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 加水分解反応性の異なる金属含有化合物の混合物が、保護基により加水分解反応速度を低下させた金属含有化合物を含むものである請求項5または6に記載の有機−無機複合傾斜材料。
- 有機材からなる基板上に設けられた、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、材料中の金属酸化物系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、上記金属酸化物系化合物が金属元素の異なる2種以上の混合金属酸化物系化合物からなり、かつその部分においても、各金属酸化物系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合材料を製造する方法であって、
(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する有機高分子化合物と、(B)加水分解により金属酸化物を形成しうると共に、加水分解反応性および金属元素の異なる、一般式(IV)
M 2 R 5 m …(IV)
(式中、R 5 はアルコキシル基であり、M 2 はケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる金属原子、mは金属原子M 2 の価数である)
で表される金属含有化合物2種以上の組合せとの混合物を加水分解処理して塗布液を調製したのち、有機材からなる基板上に上記塗布液からなる塗膜を形成し、次いで加熱乾燥処理することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料の製造方法。 - 乾燥塗膜の厚みが10μm以下である請求項8に記載の方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を基材上に形成させることを特徴とするコーティング剤。
- 有機材からなる基板に対する塗膜形成用として用いられる請求項10に記載のコーティング剤。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の有機−無機複合傾斜材料を用いたことを特徴とする基材。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の有機−無機複合傾斜材料からなるコート層を有することを特徴とする物品。
- コート層が光反射防止層である請求項13に記載の物品。
- コート層が光および/または熱線の高反射層である請求項13に記載の物品。
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