JP4932986B2 - 有機−無機複合傾斜材料及びその用途 - Google Patents

有機−無機複合傾斜材料及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機−無機複合傾斜材料およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、2種以上の実質上均質な混合金属成分の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、基材との密着性や耐久性に優れ、かつ良好な可撓性を有し、クラックや割れなどが発生しにくく、機能性材料として各種用途に有用な有機−無機複合傾斜材料、該傾斜材料からなる被膜形成用コーティング剤、特に有機基材と光触媒活性材料層との間に介在させる中間膜用として用いられるコーティング剤、および該傾斜材料からなる被膜を表面に有する構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機高分子材料の性能、機能に関する要求の多様化に伴い、単一の高分子化合物では満足させることが困難となり、高分子化合物に異なる性質をもつ異種材料を加え、複合化することが行われている。
【0003】
例えば、強化材を有機高分子材料中に分散させることによる物性改質が広く行われており、具体的には、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維などの有機や無機の繊維状物質、あるいは炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどの粉末状の無機フィラーなどを添加し、均質に分散させることが行われている。
また、異種の高分子化合物を混合し、場合により相溶化剤を介して相溶化させ、ポリマーアロイ化することにより、新しい機能を発現させる研究も盛んに行われている。
【0004】
一方、最近、材料の組成を少しずつ変化させ、表と裏で性質が全く異なる複合材料である傾斜機能材料が注目され、例えばセラミックスの耐熱性と金属の強度を併せもつ金属−セラミックス複合傾斜機能材料が超音速航空機の機体材料などとして開発されている。
【0005】
このような傾斜機能材料は、無機傾斜材料、有機傾斜材料および有機−無機複合傾斜材料に分類され、そして、複数の材料、例えば複数の異種の無機材料同士、複数の異種の有機材料同士、あるいは1種以上の有機材料と1種以上の無機材料を混合し、場所によって異なる分布密度、配向などを制御することで、複数の成分材料の物性を発現させうることから、例えば宇宙・航空分野、自動車分野、エレクトロニクス分野、医療分野、エネルギー分野、さらには放射線や電磁波のシールド分野などにおける利用が期待される。
【0006】
本発明者らは、先に、新規な機能性材料として種々の用途、例えば塗膜や、有機材料と無機または金属材料との接着剤、有機基材と光触媒塗膜との間に設けられ、有機基材の劣化を防止する中間膜や、有機基材と無機系または金属系材料層との密着性を向上させる中間膜などの用途に有用な、厚さ方向に組成が連続的に変化する有機−無機複合傾斜材料を見出した(特願平11−264592号)。
【0007】
この有機−無機複合傾斜材料は、有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、該金属系化合物の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、上記の各種用途に極めて有用な新規な材料である。
【0008】
しかしながら、この有機−無機複合傾斜材料は、高分子部分の基材に対する吸着能を利用して形成させるために、該傾斜材料に用いられる無機成分や有機高分子化合物の種類によっては、ある種の有機基材に対して密着性が必ずしも十分に満足しうるとはいえない場合がある。
【0009】
例えば、前記有機−無機複合傾斜材料においては、アクリル系の有機高分子化合物とシリカからなる無機成分との化学結合物を含むものが好ましく用いられるが、該アクリル系の有機高分子化合物は、一般にポリエチレンテレフタレートなどの有機基材との親和性に乏しいため、十分な密着性が得られない。したがって、該基材に易接着性のプライマーを塗布したり、コロナ放電処理などの前処理を施すことにより、密着性を向上させる処置が通常講ぜられるが、この場合、操作が煩雑となり、コスト高になるのを免れないという問題が生じる。
【0010】
密着性を向上させる別の方法としては、該複合傾斜材料が、前述のように、高分子化合物の有機基材に対する吸着によって形成されることから、基材と直に接している有機成分中に、基材との接着能に優れる高分子化合物を導入することなどによる、有機成分自体の改良が考えられる。一方、基材との密着性には、有機成分の基材に対する親和性ばかりではなく、傾斜材料自体の機械的強度(凝集力)の影響も大きいと考えられる。例えば、一般に膜厚の薄いものは、厚いものに比べて、相対的に凝集力が高いために密着性に優れるといわれる。すなわち、膜の強度向上により、密着性の向上が期待できる。
【0011】
ここで、前記有機−無機複合傾斜材料は、大部分が無機成分で構成されるため、膜強度に対する無機成分の影響は当然大きいと考えられる。該傾斜材料においては、無機成分として主にシリカが用いられており、成膜後にはいわゆる乾燥ゲルの状態として存在している。高温焼成などを施すことにより無機層の強度を増すことができるが、基材が有機系などの理由により現実には不可能な方法である。また、エキシマレーザー処理などでは低温処理が可能であるが、処理に時間がかかるなどの不都合が生じる。したがって、乾燥ゲル状態においても、従来のシリカに比して機械的強度に優れる無機層を形成させることが、密着性を向上させるのに有利な方法と考えられる。この場合、可撓性も考慮し、クラックや割れなどが生じないようにすることが重要である。
【0012】
また、従来無機成分として主に用いられていたシリカは、その原料であるシリコンアルコキシドの反応速度が比較的小さいため、成膜後に未反応アルコキシドや水酸基が塗膜中に多く残存しやすい。したがって、シリコンアルコキシドを原料とする有機−無機複合傾斜材料を、例えば光触媒中間層として使用した場合、光触媒層より発生する活性種に対してのブロック性に劣るほか、経時変化も大きいため耐久性に乏しい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、金属成分の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、基材との密着性や耐久性に優れ、かつ良好な可撓性を有し、クラックや割れなどが発生しにくく、機能性材料として各種用途に有用な有機−無機複合傾斜材料およびその用途、特に光触媒層からの活性種に対する高いブロック特性を達成する材料を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機高分子化合物として、分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有するエチレン性不飽和単量体と、金属を含まないエチレン性不飽和単量体との共重合体を用い、金属酸化物系化合物として、ケイ素のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物とケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物との混合物および/または反応物を用いて形成されたものであって、上記異種金属成分同士が実質上均一に混じり合っている複合傾斜材料が、その目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料であって、上記有機高分子化合物として、(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有するエチレン性不飽和単量体と、(b)金属を含まないエチレン性不飽和単量体とを共重合させてなるものを用いると共に、上記金属酸化物系化合物として、(c)ケイ素のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物と(d)ケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物との混合物および/または反応物を用いて形成させたものであり、かつ上記異種金属成分同士が実質上均一に混じり合っていることを特徴とする有機−無機複合傾斜材料、
(2)上記有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を基材上に形成させることを特徴とするコーティング剤、および
(3)上記有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を有することを特徴とする構造体、
を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の有機−無機複合傾斜材料は、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学結合してなる複合体を含む有機−無機複合材料、好ましくは該複合体からなる有機−無機複合材料であって、材料中の金属成分の含有率が、材料表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有している。そして、上記金属成分は、金属元素の異なる実質上均質な混合金属酸化物系化合物からなっている。
【0017】
このような成分傾斜構造の確認は、例えば、有機材からなる基板上に設けた有機−無機複合傾斜材料の塗膜表面に、スパッタリングを施して膜を削っていき、経時的に膜表面の炭素原子と各金属原子の含有率を、X線光電子分光法などにより測定することによって、行うことができる。具体的に例を挙げて説明すると、図1は、後述の実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた厚さ71nmの有機−無機複合材料(金属原子として、ケイ素原子とチタン原子を含む)からなる塗膜における、スパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフであって、この図から分かるように、スパッタリングを施す前の塗膜表面は、ほぼ100%近くチタニアとシリカとの混合物で占められているが、スパッタリングにより膜が削られていくに伴い、チタン原子とシリカ原子の含有率が連続的に減少していくと共に、炭素原子の含有率が増加し、有機成分が現れ、スパッタリング時間が25分間を過ぎた時点から、膜表面はほぼ有機成分のみとなる。
すなわち、この傾斜材料においては、材料中の2種の実質上均質な混合金属酸化物系化合物からなる金属成分の含有率が、表面から基板方向に逐次減少していることが示されている。
【0018】
このような傾斜材料における上記混合金属成分の含有量としては特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5〜98重量%、好ましくは20〜98重量%、特に好ましくは50〜90重量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量としては、製膜化しうるものであればよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の塗膜物性などに応じて適宜選定すればよい。
【0019】
該混合金属成分は、ケイ素原子と、それ以外の異種金属原子1種以上を含むものであり、この異種金属原子としては、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムが好ましく、またケイ素原子以外の異種金属原子の含有量は、金属原子全量に基づき、5〜95モル%の範囲が好ましい。この含有量が5モル%未満では、異種金属原子の導入による密着性および耐久性向上効果が十分に発揮されないし、95モル%を超えると膜が硬くなり可撓性が低下し、クラックが発生するおそれが生じる。密着性および可撓性などを考慮すると、この異種金属原子のより好ましい含有量は20〜80モル%の範囲である。
【0020】
さらに、本発明の傾斜材料は、その厚みが5μm以下、特に0.01〜1.0μmの範囲のものが、傾斜性及び塗膜性能などの点から好適である。
このような有機−無機複合傾斜材料は、以下に示す方法により効率よく製造することができる。
【0021】
まず、(A)(a)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基(以下、加水分解性金属含有基と称すことがある。)を有するエチレン性不飽和単量体と、(b)金属を含まないエチレン性不飽和単量体とを共重合させてなるもの、および(B)(c)ケイ素のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物と(d)ケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物との混合物および/または反応物を含む塗工液を調製する。
【0022】
上記(A)(a)成分である加水分解性金属含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、一般式(I)
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Aはアルキレン基、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは加水分解性基または非加水分解性基であるが、その中の少なくとも1つは加水分解により、(B)成分と化学結合しうる加水分解性基であることが必要であり、また、Rが複数の場合には、各Rはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、Mはケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属原子、mは金属原子Mの価数である。)
で表される基を挙げることができる。
【0025】
上記一般式(I)において、Rのうちの加水分解により(B)成分と化学結合しうる加水分解性基としては、例えばアルコキシル基、イソシアネート基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、アセチルアセトネート基、水酸基などが挙げられ、一方、(B)成分と化学結合しない非加水分解性基としては、例えば低級アルキル基などが好ましく挙げられる。
【0026】
一般式(I)における−M m−1で表される金属含有基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリ−n−プロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリ−n−ブトキシシリル基、トリイソブトキシシリル基、トリ−sec−ブトキシシリル基、トリ−tert−ブトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、トリイソシアナトシリル基、メチルジイソシアナトシリル基など、トリメトキシチタニウム基、トリエトキシチタニウム基、トリ−n−プロポキシチタニウム基、トリイソプロポキシチタニウム基、トリ−n−ブトキシチタニウム基、トリイソブトキシチタニウム基、トリ−sec−ブトキシチタニウム基、トリ−tert−ブトキシチタニウム基、トリクロロチタニウム基、さらには、トリメトキシジルコニウム基、トリエトキシジルコニウム基、トリ−n−プロポキシジルコニウム基、トリイソプロポキシジルコニウム基、トリ−n−ブトキシジルコニウム基、トリイソブトキシジルコニウム基、トリ−sec−ブトキシジルコニウム基、トリ−tert−ブトキシジルコニウム基、トリクロロジルコニウム基、またさらには、ジメトキシアルミニウム基、ジエトキシアルミニウム基、ジ−n−プロポキシアルミニウム基、ジイソプロポキシアルミニウム基、ジ−n−ブトキシアルミニウム基、ジイソブトキシアルミニウム基、ジ−sec−ブトキシアルミニウム基、ジ−tert−ブトキシアルミニウム基、トリクロロアルミニウム基などが挙げられる。
この(a)成分のエチレン性不飽和単量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
一方、上記(b)成分である金属を含まないエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(II)
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは一価の有機基である。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、好ましくは一般式(II−a)
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、Rは前記と同じであり、Rは炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、あるいは上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体と、必要に応じて添加される密着性向上剤としての一般式(III)
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rはエポキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体との混合物を挙げることができる。
【0034】
上記一般式(II−a)で表されるエチレン性不飽和単量体において、Rで示される炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0035】
この一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体において、Rで示されるエポキシ基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン原子としては、塩素原子および臭素原子が好ましく、またアミノ基は遊離のアミノ基、モノアルキル置換アミノ基、ジアルキル置換アミノ基のいずれであってもよい。上記炭化水素基の具体例としては、前述の一般式(II)におけるRの説明において例示した基と同じものを挙げることができる。
【0037】
前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、一般式(II−a)で表される単量体、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メルカプトエチル(メタ)アクリレート、3−メルカプトプロピル(メタ)アクリレート、2−メルカプトプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなどを好ましく挙げることができるが、これら以外にもスチレン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、o−またはp−ブロモスチレン、m−、o−またはp−クロロスチレン、m−、o−またはp−ビニルフェノール、1−または2−ビニルナフタレンなども用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
また、一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体と一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体とを併用する場合は、前者のエチレン性不飽和単量体に対し、後者のエチレン性不飽和単量体を1〜100モル%の割合で用いるのが好ましい。
前記(a)成分の加水分解性金属含有基を有するエチレン性不飽和単量体と(b)成分の金属を含まないエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル共重合させることにより、所望の共重合体が得られる。
【0039】
一方、(B)成分のうちの(c)成分におけるケイ素のアルコキシド化合物としては、例えば炭素数1〜6のアルコキシル基少なくとも2個を有するケイ素化合物を挙げることができるが、特にテトラアルコキシシランが好適である。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
また(B)成分のうちの(d)成分におけるケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物としては、例えば炭素数1〜6のアルコキシル基少なくとも2個を有するチタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物を挙げることができるが、特にテトラアルコキシチタン、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシアルミニウムが好適である。ここで、テトラアルコキシチタンの例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタンなどが、テトラアルコキシジルコニウムの例としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウムなどが、トリアルコキシアルミニウムの例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−イソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウムなどが挙げられる。これらの異種金属のアルコキシド化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明における(B)成分は、前記の(c)成分であるケイ素のアルコキシド化合物の加水分解縮重合物と、(d)成分であるケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物の加水分解縮重合物との混合物および/または反応物であって、この(B)成分の調製方法としては、(1)ケイ素のアルコキシド化合物、該化合物の部分加水分解物およびその縮合物の中から選ばれる少なくとも1種(以下、ケイ素アルコキシドやその部分加水分解・縮合物と称する。)と、ケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物、該化合物の部分加水分解物およびその縮合物の中から選ばれる少なくとも1種(以下、異種金属アルコキシドやその部分加水分解・縮合物と称する。)との混合物を加水分解縮重合させる方法、または(2)ケイ素アルコキシドやその部分加水分解・縮合物と、異種金属アルコキシドやその部分加水分解・縮合物を、それぞれ別個に加水分解縮重合させたのち、両者を混合する方法を好ましく挙げることができる。
【0042】
上記の(1)の方法においては、まず、アルコール、ケトン、エーテルなどの適当な極性溶剤中において、ケイ素アルコキシドやその部分加水分解・縮合物と異種金属アルコキシドやその部分加水分解・縮合物とを、異種金属の含有量が金属全量に基づき、好ましくは5〜95モル%、より好ましくは20〜80モル%の範囲になるように混合したのち、塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂を用い、通常−10〜70℃、好ましくは10〜40℃の温度において、好ましくは5分間以上共加水分解縮重合させ、固体酸を用いた場合には、それを除去し、(B)成分を調製する。この際、共加水分解縮重合反応時間があまり短すぎると、傾斜材料中における各金属成分同士が均一に混じり合わず、相分離や極端な成分むらが生じるおそれがあるので、5分間以上共加水分解縮重合させるのが望ましい。
【0043】
一方、上記(2)の方法においては、ケイ素アルコキシドやその部分加水分解・縮合物と、異種金属アルコキシドやその部分加水分解・縮合物を、それぞれ別個に、アルコール、ケトン、エーテルなどの適当な極性溶剤中において、塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂を用い、通常−10〜70℃、好ましくは10〜40℃の温度において加水分解縮重合させ、固体酸を用いた場合にはそれを除去し、(B)成分調製用として用いる。次いで、両者を、異種金属の含有量が、金属全量に基づき、好ましくは5〜95モル%、より好ましくは20〜80モル%の範囲になるように、好ましくは5分間以上混合撹拌して、(B)成分を調製する。この際、混合撹拌時間があまり短かすぎると、傾斜材料中における各金属成分同士が均一に混じり合わず、傾斜構造をなすおそれがあるので、5分間以上混合撹拌するのが望ましい。
【0044】
塗工液の調製は、この(B)成分と前記(A)成分の共重合体を混合することにより行われるが、該(A)成分を(B)成分に混合する時期については特に制限はなく、前記(1)の方法で(B)成分を調製する場合には、加水分解縮重合反応を行う前の混合液に(A)成分を添加してもよいし、加水分解縮重合反応液に(A)成分を添加してもよい。また、(2)の方法で(B)成分を調製する場合には、加水分解縮重合反応を行う前のいずれかの成分に(A)成分を添加してもよいし、それぞれの加水分解縮重合反応液を混合する前、最中、後のいずれかに(A)成分を添加してもよい。
なお、(A)成分の共重合体は、固体の形態で添加してもよく、溶液の形態で添加してもよい。
このようにして調製された塗工液における固形分濃度としては、該塗工液が塗工可能な粘度になるような濃度であればよく、特に制限はない。
【0045】
次に、このようにして得られた塗工液を用い、有機基材上に、乾燥塗膜の厚さが、通常5μm以下、特に中間膜用途として、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02〜0.7μmの範囲になるように、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の手段により塗膜を形成し、公知の乾燥処理、例えば40〜150℃程度の温度で加熱乾燥処理することにより、本発明の有機−無機複合傾斜材料が得られる。
【0046】
上記有機基材としては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなる基材を挙げることができる。
【0047】
これらの有機基材は、本発明の傾斜材料との密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれる。
【0048】
なお、本発明における有機基材は、有機系材料以外の材料、例えば金属系材料、ガラスやセラミックス系材料、その他各種無機系または金属系材料からなる基材の表面に、有機系塗膜を有するものも包含する。
【0049】
このようにして得られた本発明の有機−無機複合傾斜材料においては、表面層はほとんど材料中の金属成分の含有率がほぼ100%であるが、基材方向に逐次減少していき、基材近傍ではほぼ0%になる。そして、上記金属成分は、金属元素の異なる実質上均質な混合金属酸化物系化合物からなっている。
【0050】
すなわち、本発明の有機−無機複合傾斜材料は、一般に、基材上に形成された膜状物からなり、かつ実質上、該膜状物の基材に当接している面が有機高分子系化合物成分であって、もう一方の開放系面が金属酸化物系化合物成分である。
【0051】
また、無機成分として、一般にケイ素のアルコキシド化合物に比べて、高い反応性を示すチタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの異種金属のアルコキシド化合物を該ケイ素のアルコキシド化合物と併用しているため、乾燥ゲル状態においても機械的強度に優れ、かつ膜がち密化されてなる、金属同士が均一に混じり合った無機層が形成されることから、基材に対する密着性および耐久性に優れる複合傾斜材料が得られ、しかも該複合傾斜材料は可撓性も良好で、クラックが生じにくい。
【0052】
本発明はまた、該有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を基材上に形成させるコーティング剤をも提供するものである。
このコーティング剤としては、前記(A)成分である加水分解性金属含有基を有する共重合体、および(B)成分である、ケイ素のアルコキシド化合物と異種金属のアルコキシド化合物の加水分解縮重合物の混合物および/または反応物を含む塗工液からなるものが用いられる。
【0053】
このコーティング剤は下記の用途に用いることができる。
まず、塗膜としての用途に用いられる。該有機−無機複合傾斜材料は、有機基材に対する接着性に優れており、かつ塗膜表面は金属酸化物の性質を有することから、例えば各種プラスチックフィルム上に該材料からなるコート層を設けることにより、耐擦傷性や耐熱性などに優れると共に、密着性の良好なハードコートフィルムを得ることができる。
【0054】
次に、接着剤としての用途に用いられる。
本発明の傾斜材料は、前記したように有機基材との密着性に優れるとともに、表面は金属酸化物系化合物であるので、無機または金属材料との密着性に優れている。したがって、有機材料と無機または金属材料との接着剤として好適である。
【0055】
さらに、有機基材と、少なくとも無機系または金属系材料を含むコート層との間に介在させる中間膜としての用途に用いられる。
有機基材上に無機系または金属系材料を含むコート層を形成する場合、一般に有機基材と該コート層との密着性が不十分であって、耐久性に劣り、経時により剥離したり、あるいは熱や湿気などにより剥離しやすくなるという問題が生じる。
【0056】
本発明の傾斜材料を中間膜として、上記有機基材と無機系または金属系材料を含むコート層との間に介在させることにより、該中間膜は前記したように傾斜性を有することから、有機基材との密着性に優れると共に、その上に設けられる無機系または金属系材料を含むコート層との密着性にも優れ、その結果、有機基材上に無機系または金属系材料を含むコート層を極めて密着性よく、形成させることができる。
本発明においては、該中間膜の厚さは、通常5μm以下、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02〜0.7μmの範囲である。
【0057】
前記無機系または金属系材料を含むコート層としては特に制限はなく、様々なコート層を形成することができるが、例えば(1)光触媒活性材料層、(2)無機系または金属系導電性材料層、(3)無機系または金属系材料を含むハードコート層、(4)無機系または金属系光記録材料層または無機系または金属系誘電体層などを好ましく挙げることができる。
【0058】
次に、各無機系または金属系材料を含むコート層について説明する。
(1)光触媒活性材料層:
有機基材表面に、二酸化チタンなどの光触媒活性材料のコート層を設けた場合、その光触媒作用により、有機基材が短時間で劣化するという問題が生じる。したがって、光触媒作用により、劣化しにくい無機バインダーを介して有機基材上に二酸化チタンなどの光触媒活性材料のコート層を設けることが試みられている。しかしながら、無機バインダーは、有機基材との接着力が不十分であり、耐久性に劣るという問題がある。
【0059】
本発明の傾斜材料を中間膜として、有機基材と光触媒活性材料のコート層との間に介在させた場合、有機基材との密着性に優れ、しかも表面はほぼ金属酸化物系化合物であるため、光触媒活性材料のコート層との密着性が良い上、中間膜が光触媒作用により劣化しにくく、有機基材を十分に保護することができる。該有機基材の例としては、遮音壁や窓などの建材、看板、フィルムなどが挙げられる。
【0060】
また、表面に有機系塗膜を有する金属系基材と光触媒活性材料層との間に、本発明の傾斜材料を中間膜として介在させることができる。この中間膜は、上記有機基材の場合と同様に、有機系塗膜との密着性に優れ、しかも光触媒活性材料のコート層との密着性が良い上、光触媒作用により劣化しにくく、有機系塗膜を十分に保護することができる。このような用途としては、特に表面に有機系塗膜を有する自動車用鋼板上に光触媒活性材料層を設ける場合に有用である。
【0061】
表面に有機系塗膜を有する金属系基材としては、例えば冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの金属系基材に有機系塗膜を形成したものを挙げることができる。
本発明の傾斜材料を、このような中間膜として用いる場合、その上に設けられる光触媒活性材料のコート層が光触媒能の高い二酸化チタンである場合に、特に有効である。
【0062】
(2)無機系または金属系導電性材料層:
表面に導電性材料層を有する有機基材、特にプラスチックフィルムは、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、液晶表示素子(LCD素子)、太陽電池などに用いられ、さらに電磁波遮蔽フィルムや帯電防止性フィルムなどとして用いられている。このような用途に用いられる導電性材料としては、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ITO(インジウムチンオキシド)などの金属酸化物や、金、白金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅のような金属などの無機系または金属系導電性材料が用いられる。そして、これらの無機系または金属系導電性材料は、通常真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の手段により、プラスチックフィルムなどの有機基材上に、厚さ50〜2000オングストローム程度の薄膜として形成される。
【0063】
このようにして形成された無機系または金属系導電性材料層は、有機基材との密着性が不十分であるので、本発明の傾斜材料を中間膜として、有機基材と該無機系または金属系導電性材料層との間に介在させることにより、有機基材と無機系または金属系導電性材料層との密着性を向上させることができる。また、透明導電性フィルムが要求される場合においても、本発明の傾斜材料からなる中間膜を介在させることにより、透明性が損なわれることはほとんどない。
【0064】
(3)無機系または金属系材料を含むハードコート層:
表面硬度が良好で、優れた耐擦傷性や耐摩耗性を有するハードコートフィルムは、例えば、車両、建物などの窓ガラスや窓用プラスチックボードなどの表面貼付用として、あるいはCRTディスプレイやフラットパネルディスプレイなどの保護用などとして広く用いられている。
【0065】
一方、プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて、軽量でかつ安全性、加工性、ファッション性などに優れていることから、近年急速に普及してきている。しかしながら、このプラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて傷が付きやすいという欠点を有しており、したがって、その表面をハードコート層で被覆することが行われている。
【0066】
このようなハードコートフィルムやプラスチックレンズに設けられるハードコート層の材料としては、例えばアルキルトリヒドロキシシランおよびその部分縮合物とコロイダルシリカとシリコン変性アクリル樹脂とからなる混合物、オルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合物、アルコキシシラン加水分解縮合物とコロイダルシリカとの混合物、ジルコニウム、アルミニウムおよびチタニウムの中から選ばれる金属とキレート化合物とシリコン変性アクリル樹脂とからなる混合物などの無機系または金属系材料を含むハードコート剤が多用されている。
【0067】
プラスチックフィルムやプラスチックレンズなどの有機基材上にハードコート層を形成するには、前記の無機系または金属系材料を含むハードコート剤を、公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、スプレーコート法などを用いて、乾燥膜厚が1〜30μm程度になるように有機基材上に塗布し、乾燥処理する方法が、通常用いられる。
【0068】
このようにして形成された無機系または金属系材料を含むハードコート層は、有機基材との密着性が不十分であるので、本発明の傾斜材料を中間膜として、有機基材と該ハードコート層との間に介在させることにより、有機基材と無機系または金属系材料を含むハードコート層との密着性を向上させることができる。またプラスチックレンズにおいて、本発明の傾斜材料からなる中間膜を介在させても、該プラスチックレンズの透明性の低下や干渉縞の発生などをもたらすことはほとんどない。
【0069】
(4)無機系または金属系光記録材料層または無機系または金属系誘電体層:
近年、書き換え可能、高密度、大容量の記憶容量、記録再生ヘッドと非接触等という特徴を有する光記録媒体として、半導体レーザー光等の熱エネルギーを用いて磁性膜の磁化反転を利用して情報を記録し磁気光学効果を利用して読み出す光磁気ディスクや結晶から、アモルファスへの相変化を利用した相変化ディスクが開発され、実用化に至っている。
【0070】
このような光記録媒体は、一般に、透光性樹脂基板(有機基材)、例えばポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどの基板上に光記録材料層、誘電体層、金属反射層、有機保護層などが順次積層された構造を有しており、また、基板と光記録材料層との間に、誘電体下地層を設ける場合もある。
【0071】
基板上に設けられる光記録材料層には、例えばTb−Fe、Tb−Fe−Co、Dy−Fe−Co、Tb−Dy−Fe−Coなどの無機系の光磁気型記録材料、あるいはTeOx、Te−Ge、Sn−Te−Ge、Bi−Te−Ge、Sb−Te−Ge、Pb−Sn−Te、Tl−In−Seなどの無機系の相変化型記録材料が用いられる。また、所望により、基板と光記録材料層との間に設けられる誘電体下地層には、例えばSiN、SiO、SiO、Taなどの無機系材料が用いられる。
前記無機系の光記録材料層や誘電体下地層は、通常真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の手段によって形成される。
【0072】
このようにして形成された無機系または金属系光記録材料層または無機系誘電体下地層は、透光性樹脂基板との密着性が不十分であるので、本発明の傾斜材料を中間膜として、透光性樹脂基板と該光記録材料層または該誘電体下地層との間に介在させることにより、基板と光記録材料層または誘電体下地層との密着性を向上させることができる。
【0073】
その他無機系または金属系材料を含むコート層としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの無機系赤外線吸収剤層、メタル蒸着された磁性層などが挙げられる。
【0074】
本発明は、さらに、上記有機−無機複合傾斜材料からなる被膜を有する構造体をも提供する。
このような構造体としては、例えば本発明の有機−無機複合傾斜材料を中間膜として介在させ、かつ少なくとも無機系または金属系材料を含むコート層を有する有機基材、あるいは、本発明の有機−無機複合傾斜材料を中間膜として介在させ、かつ光触媒活性材料層を有する、表面に有機系塗膜が設けられた金属系基材など、さらには該複合傾斜材料を中間膜として介在させ、かつ少なくとも無機系または金属系材料を含むコート層を有する物品などを挙げることができる。
【0075】
上記物品の具体例としては、少なくとも無機系または金属系材料を含むコート層が、(1)光触媒活性材料層、(2)無機系または金属系導電性材料層、(3)無機系または金属系材料を含むハードコート層、および(4)無機系または金属系光記録材料層または無機系または金属系誘電体層であるものなどを好ましく挙げることができる。
【0076】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0077】
なお、各例で形成した膜の諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)傾斜性
XPS装置「PHI−5600」[アルバック・ファイ(株)製]を用い、アルゴンスパッタリング(4kV)を3分間隔で施して膜を削り、膜表面の炭素原子と金属原子の含有率を、X線光電子分光法により測定し、傾斜性を調べた。
【0078】
(2)可撓性
径6mmのステンレス鋼製ロッドを用い、塗工面を外側にして曲げ、10秒間保持したのち、屈曲部位を光学顕微鏡で観察し、割れや剥がれの有無を調べ、下記の判定基準に従って、可撓性を評価した。
○:割れおよび剥がれの発生なし。
×:割れの発生が認められる。
【0079】
(3)密着性
JIS K5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ(ニチバン製、登録商標)を圧着させたのち、30,000mm/minの速度で90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより、密着性の評価を行った。
【0080】
(4)光触媒耐久性
有機−無機複合傾斜材料上に、光触媒層として日本曹達(株)製「ビストレーターL・NSC−200C」のイソプロパノール10重量倍希釈液を1500rpm、20秒間でスピンコートし、80℃で1時間エージングすることにより試験サンプルを得た。その後、JIS B7753に準ずるカーボンアーク灯式サンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製、サンシャインウエザーメーターS300)による促進耐候試験により塗膜の耐久試験を行い、促進試験後の表面状態観察、試験片のヘイズ値(曇り度)測定および水接触角測定により光触媒耐久性の評価を行った。
【0081】
ヘイズ値測定はJIS K7361に準拠し日本電色(株)製ヘイズメーター「NDH2000」にて行い、透明性が損なわれる5%を評価の目安とした。また、水接触角測定は2mW/cmの紫外線を2時間照射した後に行い、超親水性(5°以下)が発現するか否かを評価の目安とした。
【0082】
なお、光触媒耐久性試験において、基材がポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)あるいはポリカーボネート(以下、PCと略記する。)の場合は促進耐候試験600時間経過後に、アクリル樹脂の場合は同試験1500時間経過後に評価を行った。
【0083】
実施例1〜3
(1)無機成分液の調製
チタンテトライソプロポキシド12gとエタノール10gの混合溶液に、エタノール5gと濃塩酸2.5gと水0.5gの混合溶液を水浴中で滴下、撹拌したのち、室温で5時間反応させて、無機成分液▲1▼を調製した。
別途、テトラエトキシシラン12gとエタノール10gの混合溶液に、エタノール5gと1モル/リットル濃度の硝酸水溶液0.1ミリリットルと水12.5gの混合溶液を水浴中で滴下、撹拌したのち、室温で5時間反応させて、無機成分液▲2▼を調製した。
【0084】
(2)有機成分溶液の調製
メチルメタクリレート10.9gおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.36gの混合溶液に、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを溶解させたのち、撹拌しながら75℃で3時間反応させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量が約6万の共重合体を得た。この共重合体0.1gをアセトン10ミリリットルに溶解させ、10g/リットル濃度の有機成分溶液▲3▼を調製した。
【0085】
(3)塗工液の調製および膜の評価
アセトンおよびエタノールを希釈剤として用い、表1に示す割合で各成分を混合し、25℃で10分間撹拌して塗工液を調製した。
次に、厚み50μmのPETフィルム「テトロンHB3」[帝人デュポンフィルム(株)製]上に、上記塗工液を1500rpmで20秒間スピンコートし、80℃で一晩乾燥させることにより、表2に示す膜厚のシリカに対するチタニア含有率の異なる膜を形成した。
【0086】
各膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図1〜図3に、スパッタリング時間と、炭素原子、チタン原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
【0087】
図1〜図3から、チタニアとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、いずれも良好な密着性を示すと共に、可撓性も良好で、割れは見られず、光触媒耐久試験では、促進耐候試験600時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0088】
実施例4
(1)無機成分液の調製
チタンテトラ−n−ブトキシド6gとテトラエトキシシラン4gとエタノール10gの混合溶液に、エタノール5gと濃塩酸2.5gと水0.5gの混合溶液を水浴中で滴下、撹拌したのち、室温で5時間反応させて、シリカに対するチタニア含有率がモル比で約50%の無機成分液▲4▼を調製した。
【0089】
(2)塗工液の調製および膜の評価
実施例1〜3の(2)で調製した有機成分溶液▲3▼および上記(1)で調製した無機成分液▲4▼を用い、表1に示す割合で各成分を混合し、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
【0090】
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図4に、スパッタリング時間と、炭素原子、チタン原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
図4から、チタニアとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、この膜は良好な密着性を示すと共に、可撓性も良好で、割れは見られず、光触媒耐久試験では、促進耐久試験600時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0091】
実施例5
(1)無機成分液の調製
ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド2gとテトラエトキシシラン5gとエタノール6gの混合溶液に、エタノール2.5gと濃塩酸1.5gと水0.1gの混合溶液を水浴中で滴下、撹拌したのち、室温で5時間反応させて、シリカに対するジルコニア含有率がモル比で約50%の無機成分液▲5▼を調製した。
【0092】
(2)塗工液の調製および膜の評価
実施例1〜3の(2)で調製した有機成分溶液▲3▼および上記(1)で調製した無機成分液▲5▼を用い、表1に示す割合で各成分を混合し、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
【0093】
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図5に、スパッタリング時間と、炭素原子、ジルコニウム原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
図5から、ジルコニアとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、この膜は良好な密着性を示すと共に、可撓性も良好で、割れは見られず、光触媒耐久試験では、促進耐久試験600時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0094】
実施例6
(1)無機成分液の調製
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド1.5gとテトラエトキシシラン5gとエタノール6gの混合溶液に、エタノール2.5gと濃塩酸1.5gと水0.1gの混合溶液を水浴中で滴下、撹拌したのち、室温で5時間反応させて、シリカに対するアルミナ含有率がモル比で約50%の無機成分液▲6▼を調製した。
【0095】
(2)塗工液の調製および膜の評価
実施例1〜3の(2)で調製した有機成分溶液▲3▼および上記(1)で調製した無機成分液▲6▼を用い、表1に示す割合で各成分を混合し、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
【0096】
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図6に、スパッタリング時間と、炭素原子、アルミニウム原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
図6から、アルミナとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、この膜は良好な密着性を示すと共に、可撓性も良好で、割れは見られず、光触媒耐久試験では、促進耐久試験600時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0097】
実施例7
基材に厚み2mmのアクリル樹脂シート(三菱レイヨン(株)製、アクリライトL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてアクリル樹脂シート上に表2に示す厚みの膜を形成した。この膜の密着性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図7に、スパッタリング時間と、炭素原子、チタン原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
図7から、チタンとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、この膜はアクリル樹脂シートに対して良好な密着性を示し、かつ光触媒耐久試験では、促進耐候試験1500時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0098】
実施例8
基材に厚み5mmのPCシート(筒中プラスチック工業(株)製、ポリカエース)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPCシート上に表2に示す厚みの膜を形成した。この膜の密着性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図8に、スパッタリング時間と、炭素原子、チタン原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
図8から、チタンとシリカが均一分散状態で存在し、かつ傾斜性を有することが確認できた。また、この膜はPCシートに対して良好な密着性を示し、かつ光触媒耐久試験では、促進耐候試験600時間経過後も表面状態が良好で、ヘイズ値にして5%以下で透明性を保ち、かつ水接触角は5°以下で超親水性を示した。
【0099】
比較例1
実施例1〜3の(3)において、無機成分液として、無機成分液▲1▼のみを用い、表1に示す割合で各成分を混合した以外は、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図9に、スパッタリング時間と、炭素原子およびチタン原子の含有率との関係をグラフで示す。
この膜は密着性および光触媒耐久性は良好であったが、可撓性試験において割れがみられた。
【0100】
比較例2
実施例1〜3の(3)において、無機成分液として、無機成分液▲2▼のみを用い、表1に示す割合で各成分を混合した以外は、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図10に、スパッタリング時間と、炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
この膜は可撓性試験において割れはみられなかったが、密着性に乏しく、光触媒耐久性では塗膜の剥離がみられた。
【0101】
比較例3
実施例1〜3の(3)において、各成分を表1に示す割合で混合し、30秒間撹拌した以外は、実施例1〜3の(3)と同様にして塗工液を調製したのち、PETフィルム上に表2に示す厚みの膜を形成した。
この膜の密着性、可撓性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図11に、スパッタリング時間と、炭素原子、チタン原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
この膜は、図11から、膜表面側より順に、シリカ/チタニア/炭素の三成分二傾斜構造をなしていることが分かった。また、可撓性試験では割れはみられなかったが、密着性および光触媒耐久性に乏しかった。
【0102】
比較例4
基材に厚み2mmのアクリル樹脂シート(三菱レイヨン(株)製、アクリライトL)を用いた以外は、比較例2と同様にしてアクリル樹脂シート上に表2に示す厚みの膜を形成した。この膜の密着性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図12に、スパッタリング時間と、炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
この膜はアクリル樹脂に対しての密着性および光触媒耐久性に乏しかった。
【0103】
比較例5
基材に厚み5mmのPCシート(筒中プラスチック工業(株)製、ポリカエース)を用いた以外は、比較例2と同様にしてPCシート上に表2に示す厚みの膜を形成した。この膜の密着性および光触媒耐久性の評価を表2に示すと共に、傾斜性については、図13に、スパッタリング時間と、炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係をグラフで示す。
この膜はPCに対しての密着性および光触媒耐久性に乏しかった。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
(注1)アクリル樹脂、PCはシート上のため、未測定
(注2)PET及びPCは促進耐候試験600時間経過後、アクリル樹脂は同試験1500時間経過後の結果
【0107】
【発明の効果】
本発明の有機−無機複合傾斜材料は、2種以上の実質上均質な混合金属成分の含有率が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有すると共に、基材との密着性や耐久性に優れ、かつ良好な可撓性を有し、クラックや割れなどが発生しにくく、機能性材料として各種用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図2】実施例2で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例3で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図4】実施例4で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例5で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびジルコニウム原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図6】実施例6で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびアルミニウム原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図7】実施例7で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図8】実施例8で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図9】比較例1で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図10】比較例2で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図11】比較例3で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子、ケイ素原子およびチタン原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図12】比較例4で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係を示すグラフである。
【図13】比較例5で得られた有機−無機複合膜におけるスパッタリング時間と炭素原子およびケイ素原子の含有率との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜材料からなる厚みが5μm以下の被膜を有機基材上に有する構造体であって、上記被膜が、上記有機高分子化合物として、(A)分子中に加水分解により金属酸化物と結合しうる金属含有基を有する、一般式(I)
    (式中、Rは水素原子またはメチル基、Aはアルキレン基、Rは加水分解性基または非加水分解性基であるが、その中の少なくとも1つは加水分解により、(B)成分と化学結合しうる加水分解性基であることが必要であり、また、Rが複数の場合には、各Rはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、Mはケイ素原子、mはケイ素原子Mの価数4である。)
    で表されるエチレン性不飽和単量体と、(b)金属を含まないエチレン性不飽和単量体とを共重合させてなるものを用いると共に、上記金属酸化物系化合物として、(c)ケイ素のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物と(d)チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる、ケイ素以外の異種金属のアルコキシド化合物および/またはその加水分解縮重合物との混合物および/または反応物を用いて形成されたものであり、かつ上記異種金属成分同士が混じり合っている有機−無機複合傾斜材料からなることを特徴とする構造体。
  2. ケイ素原子以外の異種金属原子の含有量が金属原子全量に基づき、5〜95モル%である請求項1に記載の構造体。
  3. 有機基材上に形成された膜状物が、実質上、該膜状物の有機基材に当接している面が有機高分子系化合物成分であって、もう一方の開放系面が金属酸化物系化合物成分である成分傾斜構造を有する請求項1または2に記載の構造体。
  4. 有機−無機複合傾斜材料からなる被膜上にさらに光触媒活性材料層を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体。
  5. 光触媒活性材料層が二酸化チタンを含む請求項4に記載の構造体。
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