JP2003053422A - 金属線材およびその製造方法 - Google Patents

金属線材およびその製造方法

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JP2003053422A JP2001249088A JP2001249088A JP2003053422A JP 2003053422 A JP2003053422 A JP 2003053422A JP 2001249088 A JP2001249088 A JP 2001249088A JP 2001249088 A JP2001249088 A JP 2001249088A JP 2003053422 A JP2003053422 A JP 2003053422A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リンを含まず、リン酸塩複合被膜と同等以上
の潤滑性と耐焼付き性に優れた被膜を有する金属線材お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】 ケイ酸塩カリウムを含有する第1層と、
ステアリン酸ナトリウム:10〜15%、ステアリン酸カル
シウム:10〜15%およびステアリン酸バリウム:10〜15
%を含有し、さらにフッ素系樹脂: 3〜10%および二硫
化モリブデン: 3〜10%のうちの少なくとも1種を含有
し、残部が実質的に水酸化カルシウムからなる第2層と
からなる被膜を備える。金属線材は、母材にケイ酸塩カ
リウムを含有する水溶液を塗布し、次いで、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリ
ン酸バリウムを含有し、さらにフッ素系樹脂および二硫
化モリブデンのうちの少なくとも1種を含有し、残部が
実質的に水酸化カルシウムからなる粉末状の潤滑剤を用
いて冷間伸線加工を施すことにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属線材およびその製
造方法に関する。本発明は、詳しくは、耐焼き付き性お
よび潤滑性に優れ、かつ熱処理時の浸リンを回避するこ
とができる金属線材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷間伸線加工を行って得られる
金属線材は、更に、様々な用途向けに冷間鍛造加工など
の冷間加工が施される。特にナット、ボルト、ベアリン
グ球などは最終製品に至るまでに厳しい冷間加工が施さ
れるために、被加工材である金属材料表面に耐焼き付き
性と潤滑性とを兼ね備えた被膜を形成しておく必要があ
る。
【0003】すなわち、被加工材の表面を被膜で被覆す
ることにより、加工工具と被加工材との金属接触が回避
されるとともに加工発熱が抑制され、これにより焼き付
きの発生が抑制され、さらに被加工材表面の摩擦係数が
低下するため、加工負荷が緩和され、加工エネルギが低
減される。
【0004】ところで、冷間伸線加工用の潤滑剤として
は、ステアリン酸カルシウムなどの金属石けんとキャリ
ア剤として水酸化ナトリウムとを含有した粉末状の潤滑
剤が使用される。
【0005】しかしながら、このような粉末状の潤滑剤
を用いて冷間伸線加工を実施した場合には、冷間伸線加
工後の例えば冷間鍛造加工などの厳しい加工工程におい
て、冷間伸線加工により金属線材の表面に形成された被
膜の潤滑性が不十分で、焼き付きなどの欠陥が発生する
といった問題がある。
【0006】したがって、例えば、冷間鍛造加工用材料
のように、高い潤滑性と耐焼き付き性を有する被膜が要
求される場合には、予め母材表面にリン酸塩化成処理に
て化成被膜を形成し、その上にステアリン酸亜鉛とステ
アリン酸ナトリウムとからなる石けん層を形成して冷間
伸線加工を行い、リン酸塩化成被膜と石けん層とからな
る被膜(以下、この被膜をリン酸塩複合被膜という)を
形成する方法で対応してきた。
【0007】このリン酸塩複合被膜は、冷間鍛造加工の
ように厳しい加工に対して十分に追従できる高い潤滑性
と耐焼き付き性を有するとともに、優れた耐錆性を有し
ており、例えば屋内環境下では1月以上の間、錆の発生
を防ぐ性能を有する。
【0008】しかし、リン酸塩化成処理を施した場合に
は、冷間伸線加工後の最終製品を熱処理する際に、化成
被膜中のリンの拡散(以下、浸リンという)による遅れ
破壊が、例えば、高張力ボルトなどにおいて発生すると
いう問題があった。
【0009】高張力ボルトに関しては、 JIS-B1051で
「12.9級強度区分のおねじ部品には、引張応力が働く表
面に光学顕微鏡で確認できる白色のリン濃化層があって
はならない」と規定されている。この規定は、リンを含
むリン酸塩被膜の使用範囲を実質的に制約する結果とな
っている。
【0010】したがって、例えば、高張力ボルト用の材
料である鋼線には、ステアリン酸ナトリウムと酸化カル
シウムとを混合した水溶液や、ケイ酸塩などの無機塩の
水溶液を鋼線に塗布して被膜を形成して対応している
が、この被膜は、潤滑性、耐焼き付き性、耐湿性および
耐錆性に関し十分な性能を有していないのが現状であ
る。
【0011】なお、リン酸塩化成被膜の形成には、煩雑
な液管理や多くの工程を必要とするほか、廃水処理や設
備投資も含めると多大なコストが必要とされるといった
問題もある。
【0012】このような問題点を解決するため、リンを
含まず、かつ、リン酸塩複合被膜に対して同等以上の耐
焼き付き性と潤滑性の性能を有し、簡便な工程で形成で
きる被膜の開発が試みられている。
【0013】例えば、特開平6-1994号公報には、被鍛材
表面に水溶性無機塩と固体潤滑剤とからなる被膜を形成
することが開示されている。また、特開平10-36876号公
報には、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、
脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ土類金属
塩、固体潤滑剤および水溶性熱可塑性樹脂を含む潤滑剤
が開示されている。
【0014】しかしながら、上記公報に開示された手段
では、被膜の形成にいずれも水溶液を用いているため、
水溶液中に固体潤滑剤を均一に分散させるのが難しく、
したがって、被膜中の固体潤滑剤の分散が不均一となり
易く、均一な被膜形成が困難となり、潤滑むらが発生す
るといった問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の抱える問題点を解決し、リンを含まず、リン
酸塩複合被膜と同等あるいはそれ以上の潤滑性および耐
焼き付き性とに優れた被膜を有する金属線材ならびにこ
の被膜を簡便な方法で形成することができる金属線材の
製造方法を提供することにある。また、本発明の課題
は、さらに、リン酸塩複合被膜と同等あるいはそれ以上
の耐錆性に優れた被膜を有する金属線材ならびにこの被
膜を簡便な方法で形成することができる金属線材の製造
方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究をおこない、下記に示す知見を
得た。なお、以下の化学成分の%表示は質量%を意味す
る。
【0017】(a)通常、冷間鍛造加工では、数セット
のダイを用いて多段成形が行われ、、ダイと被加工材表
面との摩擦により、最大で300〜400℃もしくはそれ以上
の加工発熱が瞬時に発生するが、各段の加工度は同一で
なく、加工発熱による温度上昇量は 150〜 400℃程度の
温度範囲で異なる。被加工材表面に形成させた被膜は、
この加工発熱により軟化、液化、脱落あるいは気化し、
その結果、被膜の潤滑性が低下し、焼き付きが発生する
と考えられる。
【0018】(b)そこで、本発明者らは、潤滑剤の軟
化挙動に着目し、 150〜 400℃もしくはそれ以上の温度
範囲の領域で、潤滑剤の軟化、液化および気化が急激に
生じないように、潤滑剤を構成する成分を種々選択した
試験を実施した結果、その成分の配合を適正化すれば、
冷間鍛造加工などの厳しい加工においても優れた潤滑性
と耐焼き付き性を有する被膜が得られることが判った。
【0019】(c)すなわち、本発明者らは、質量%
で、ステアリン酸ナトリウム:15%、ステアリン酸カル
シウム:15%、ステアリン酸バリウム:10%、フッ素系
樹脂:5%および二硫化モリブデン: 7%を含有し、残
部が水酸化カルシウムからなる粉末状の潤滑剤(潤滑剤
1)と、ステアリン酸ナトリウム:20%を含有し、残部
が水酸化ナトリウムからなる従来の粉末状の潤滑剤(潤
滑剤2)の2種類を熱質量分析し、加熱昇温に伴い生じ
る潤滑剤の質量減少量(以下、加熱減量ともいう)を調
査した。なお、分析装置は(株)リガク製Thermo Plus TG
8120を使用し、加熱条件は室温から1000℃までを10℃/
分で昇温するものとした。
【0020】図1は、加熱温度と加熱減量との関係を示
すグラフである。図1に示すように、潤滑剤2は、 300
℃近傍から急激に減量しはじめ、 400℃では50質量%以
上が気化するのに対し、潤滑剤1は、昇温とともになだ
らかに減量し、 400℃で20質量%未満、 500℃でも40質
量%未満の気化に留まっている。
【0021】すなわち、潤滑剤1は潤滑剤2に比し、温
度上昇に伴う気化がなだらかで、かつ高温域において気
化の程度が低い。したがって、潤滑剤1で形成される被
膜は、高温状態に於いても安定して存在することが判っ
た。
【0022】(d)潤滑性と耐焼き付き性に優れた被膜
を形成するには、被膜中にステアリン酸ナトリウム、ス
テアリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムなど
の金属石けんならびにフッ素系樹脂および二硫化モリブ
デンなどの固体潤滑剤を均一に分散させることが重要で
ある。被膜の形成には、粉末の潤滑剤を用いて伸線加工
することにより被膜を形成する方法(伸線法)と、潤滑
剤を含有する水溶液に浸漬して被膜を形成する方法(浸
漬法)とが考えられるが、伸線法は浸漬法に比べ金属石
けんや固体潤滑剤を均一に分散させることが容易であ
る。
【0023】(e)伸線法にて被膜を形成する際、その
下地処理として、ケイ酸カリウムを含有した水溶液を母
材である被伸線材の表面に塗布する処理を行うことによ
り、金属石けんや固体潤滑剤の付着性が向上し、被膜の
潤滑性が向上する。
【0024】(f)上記水溶液中に、更に、メラミンシ
アヌレートおよびモリブデン酸のアルカリ金属塩を含有
させることにより、被膜の耐錆性を高めることができ
る。 (g)下地処理に用いるケイ酸カリウムの含有量は、質
量%で、水溶液中、 5〜30%であり、メラミンシアヌレ
ートおよびモリブデン酸のアルカリ金属塩の含有量は、
質量%で、それぞれ、 0.2〜 1.5%、 0.1〜 1.0%とす
るのが望ましい。
【0025】(h)上記水溶液による下地処理を行い、
次いで、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシ
ウムおよびステアリン酸バリウムなどの金属石けんを含
有し、さらにフッ素系樹脂および/または二硫化モリブ
デンを含有する粉末状の潤滑剤を用いて冷間伸線加工を
行うことにより、被伸線材の表面にケイ酸カリウムを含
有する第1の層と、その第1の層の上に前記潤滑剤から
構成される第2の層が形成される。第1の層と第2の層
とからなる被膜は、耐焼き付き性と潤滑性に優れる。
【0026】(i)第1の層と第2の層の合計の付着量
を適正量とすることにより、耐焼き付き性を高めること
ができる。本発明は、上記知見に基づいて完成されたも
ので、その要旨は以下のとおりである。
【0027】(1)母材表面に形成された第1の層と、
第1の層の上に形成された第2の層とを有し、第1の層
がケイ酸カリウムを含有し、第2の層が、質量%で、ス
テアリン酸ナトリウム:10〜15%、ステアリン酸カルシ
ウム:10〜15%およびステアリン酸バリウム:10〜15%
を含有し、さらにフッ素系樹脂: 3〜10%および二硫化
モリブデン: 3〜10%のうちの少なくとも1種を含有
し、残部が実質的に水酸化カルシウムからなることを特
徴とする金属線材。
【0028】(2)更に、第1の層が、メラミンシアヌ
レート: 2〜15%およびモリブデン酸のアルカリ金属
塩: 1〜10%のうちの少なくとも1種を含有することを
特徴とする前記(1)項に記載の金属線材。
【0029】(3)前記残部の一部に代えて、質量%
で、硼砂: 0.5〜 7%およびフッ化炭素 0.5〜 2.0%の
うち少なくとも1種を含有することを特徴とする前記
(1)項または(2)項に記載の金属線材。
【0030】(4)第1の層と第2の層の合計の付着量
が 6〜15g/m2であることを特徴とする前記(1)項〜
(3)項のいずれかに記載の金属線材。 (5)母材表面に、質量%で、ケイ酸カリウム: 5〜30
%を含有する水溶液を塗布してケイ酸カリウムを含有す
る層を形成し、次いで、質量%で、ステアリン酸ナトリ
ウム:10〜15%、ステアリン酸カルシウム:10〜15%お
よびステアリン酸バリウム:10〜15%を含有し、さらに
フッ素系樹脂: 3〜10%および二硫化モリブデン: 3〜
10%のうちの少なくとも1種を含有し、残部が水酸化カ
ルシウムからなる粉末状の潤滑剤を前記層の表面に供給
して冷間伸線加工を行うことを特徴とする金属線材の製
造方法。
【0031】(6)前記水溶液は、質量%で、メラミン
シアヌレート: 0.2〜 1.5%およびモリブデン酸のアル
カリ金属塩: 0.1〜 1.0%のうちの少なくとも1種を含
有することを特徴とする前記(5)項に記載の金属線材
の製造方法。
【0032】(7)前記潤滑剤は、前記残部の一部に代
えて、質量%で、硼砂: 0.5〜 7%およびフッ化炭素
0.5〜 2.0%のうち少なくとも1種を含有することを特
徴とする前記(5)項または(6)項に記載の金属線材
の製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明に係る金属線材およびその
製造方法の実施の形態を図面を参照して説明する。以下
の説明では、第1の層が、ケイ酸カリウム、メラミンシ
アヌレートおよびモリブデン酸のアルカリ金属塩を含有
する層であり、第2の層が、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムを
含有し、さらにフッ素系樹脂および二硫化モリブデンを
含有し、残部が実質的に水酸化カルシウムからなる層で
ある場合を例にとる。以下、化学成分の含有量を示す%
は、質量%を意味する。
【0034】図2は、本実施形態に係る金属線材の表面
に形成された被膜の構成を示す模式図である。符号1は
金属線材、2は母材、3は第1の層(以下、第1層とい
う)、4は第2の層(以下、第2層という)を表す。
【0035】図2に示すように、金属線材1は、母材2
の表面に形成された第1層3と第1層の上に形成された
第2層4とからなる被膜を備える。 第1層:第1層はケイ酸カリウムを含有し、更に、メラ
ミンシアヌレートおよびモリブデン酸のアルカリ金属塩
を含有する。
【0036】ケイ酸カリウム:金属線材との密着性が高
い、硬質な結晶被膜である第1層を構成する必須成分で
ある。この結晶は、表面が凹凸状であり、内部が多孔性
であるため、アンカー効果により第2層の付着性を高め
る作用と、被加工材と加工工具との直接的な接触を防止
し、加工発熱や焼き付きの発生を抑制する作用がある。
【0037】ケイ酸カリウムの含有量が過小では、上記
効果が不十分となる。なお、ケイ酸カリウム以外に上記
結晶構造を有する成分としては、カリウムの硼酸塩や硫
酸塩、あるいはナトリウムのケイ酸塩、硼酸塩および硫
酸塩などがあるが、これらの無機塩は、いずれも吸湿性
が高く、耐錆性に劣る。したがって、ケイ酸カリウムの
含有量が過小で、上記無機塩を含有させた場合には、耐
錆性も不十分となることがある。
【0038】したがって、好ましくは、第1層における
ケイ酸カリウムの含有量は50%以上である。より好まし
くは、ケイ酸カリウムの含有量は80%以上であり、更に
好ましくは90%以上である。
【0039】ケイ酸カリウムとしては、化学式がK2O・nS
iO2で表され、n= 2〜 4のものが好ましい。さらに好ま
しくは n= 3.0〜 3.5である。メラミンシアヌレートと
モリブデン酸のアルカリ金属塩:メラミンシアヌレート
とモリブデン酸のアルカリ金属塩は、第1層の防湿性を
高め、耐錆性を高める作用がある。したがって、耐錆性
が要求される場合は、メラミンシアヌレートおよび/ま
たはモリブデン酸のアルカリ金属塩を第1層に含有させ
るのがよい。
【0040】メラニンシアヌレートの含有量が過小で
は、耐錆性を高める効果が不十分で、過剰に含有して
も、その効果は飽和する。したがって、第1層中、メラ
ミンシアヌレートの含有量の下限は 2%で、上限は15%
とするのが望ましい。更に、好ましくは、含有量の下限
は、 4%である。
【0041】モリブデン酸のアルカリ金属塩の含有量が
過小では、耐錆性を高める効果が不十分で、過剰に含有
しても、その効果は飽和する。したがって、第1層中、
モリブデン酸のアルカリ金属塩の含有量の下限は、 1%
で、上限は、10%とするのが望ましい。更に好ましく
は、含有量の下限は、 2%である。
【0042】モリブデン酸のアルカリ金属塩としては、
モリブデン酸ナトリウムやモリブデン酸カリウムなどを
挙げることができるが、好ましくはモリブデン酸ナトリ
ウムである。
【0043】第1層は、上記成分以外に、上記効果を損
なわない範囲で他の成分、例えば、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸リチ
ウムなどの金属石けんや、二硫化モリブデン、黒鉛、硼
砂、フッ化炭素および雲母などの固体潤滑剤や、ポリビ
ニルアルコール、ポリエチレングリコール、アクリル系
樹脂、ウレタン樹脂およびフェノール系樹脂などの樹脂
を含有させてもよい。但しその含有量は、合計で15%未
満とするのが望ましい。
【0044】第1層の付着量:第1層の付着量が過小で
は、第2層の付着性を高める効果や耐焼き付き性を高め
る効果が不十分となり、一方、第1層の付着量が過剰で
は、その効果が飽和する。したがって、第1層の付着量
の下限は、3g/m2 で、上限は、 8g/m2 とするのが望ま
しい。
【0045】第2層:第2層は、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウ
ムを含有し、さらにフッ素系樹脂および/または二硫化
モリブデンを含有する。
【0046】ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸バリウム:ステアリン酸ナトリ
ウムは、第2層を構成する必須成分で、軟化温度が 260
℃であり、耐熱性を高める作用がある。ステアリン酸カ
ルシウムは、第2層を構成する必須成分で、軟化温度
が、 150℃であり、低温域での潤滑性と展伸性を高める
作用がある。ステアリン酸バリウムは、第2層を構成す
る必須成分で、軟化温度が 240℃であり、被膜の耐熱性
を高めるとともに、被膜の展伸性を高める作用がある。
【0047】なお、展伸性とは、例えば、冷間鍛造加工
時の被加工材表面の面積拡大や冷間伸線加工時の被加工
材表面の伸線方向の伸びに対し、被膜が被加工材表面か
ら離れることなく付着したまま追従する性能であり、被
加工材表面と加工工具との間の直接的な接触を防ぎ、加
工発熱や焼き付きの発生を抑制する為に必要な特性であ
る。
【0048】ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウムおよびステアリン酸バリウムなどの金属石けん
は、いずれも摩擦係数が小さく、これらを適正量配合す
ることにより、 150〜 300℃程度までの温度域における
潤滑性を高めることができる。
【0049】ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウムおよびステアリン酸バリウムのそれぞれの含有
量が、10%未満では潤滑性を高める効果が小さく、ま
た、展伸性が不十分となり、一方、15%を超えて含有さ
せても潤滑性の改善効果が飽和するとともに、潤滑剤の
粘性が高くなり、例えば冷間伸線性が劣化して伸線能率
の低下や表面疵の発生といった問題が発生しやすい。
【0050】特に、ステアリン酸カルシウムは、軟化温
度が低いので、過剰に含有させると被膜に塊状の潤滑剤
の残存(ガミー)が発生し、潤滑性が低下するいった問
題がある。
【0051】したがって、ステアリン酸ナトリウム、ス
テアリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムの含
有量は、それぞれ10〜15%である。好ましくは、ステア
リン酸ナトリウムおよびステアリン酸カルシウムの含有
量はそれぞれ12〜15%であり、ステアリン酸バリウムの
含有量は10〜12%である。
【0052】フッ素系樹脂および二硫化モリブデン:フ
ッ素系樹脂および二硫化モリブデンは、自己潤滑性を有
する固体潤滑剤であり、高温域での潤滑性と耐焼き付き
性を向上させる成分である。
【0053】すなわち、ステアリン酸ナトリウム、ステ
アリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムなどの
金属石けんだけでは、 300〜 400℃以上の高温域まで潤
滑性を保つことが難しいが、フッ素系樹脂や二硫化モリ
ブデンを含有させることにより高温域での潤滑性と耐焼
き付き性を向上させることができる。
【0054】フッ素系樹脂は軟化温度が高く、耐熱性に
優れていること、摩擦係数が低いこと等の特徴を有して
おり、高温域において潤滑性を高めることができる。フ
ッ素系樹脂としては、例えば、3フッ化エチレンや4フ
ッ化エチレンを挙げることができる。なお、2フッ化エ
チレンは潤滑性に乏しいため適さない。
【0055】フッ素系樹脂の含有量が 3%未満では高温
域での潤滑性を高める効果が小さく、一方、10%を超え
て含有させても上記効果が飽和する。二硫化モリブデン
は、軟化温度が高く、第2層中に安定して存在し、その
劈開性に基づいて、高い荷重が作用した際の潤滑性を高
める成分である。二硫化モリブデンの含有量が 3%未満
では潤滑性を高める効果が小さく、一方、10%を超えて
含有させても上記効果が飽和する。
【0056】したがって、第2層は、フッ素系樹脂およ
び二硫化モリブデンのうちの少なくとも1種を含有し、
フッ素系樹脂を含有させる場合には、その含有量を 3〜
10%とし、二硫化モリブデンを含有させる場合には、そ
の含有量を 3〜10%とする。好ましくは、フッ素系樹脂
の含有量は、 4〜 6%であり、二硫化モリブデンの含有
量は、 4〜 6%である。
【0057】第2層は、硼砂および/またはフッ化炭素
を含有するのが望ましい。 硼砂(ボラックス):硼砂は、軟化温度はそれほど高く
ないが、第2層中に安定して存在し、その劈開性に基づ
いて、高い荷重が作用した際の潤滑性を高める作用があ
る。硼砂の含有量が 0.5%未満では潤滑性を高める効果
が小さく、一方、 7%を超えて含有させても上記効果が
飽和するとともに、吸湿性が高いため錆が発生しやす
い。したがって、硼砂を含有させる場合には、その含有
量は 0.5〜7%とするのが望ましい。
【0058】フッ化炭素:フッ化炭素は、摩擦係数が低
く、高温域での潤滑性を高める成分であり、ナトリウム
とともに高温で保持されても分解せずに被膜中に安定し
て存在する。フッ化炭素の含有量が 0.5%未満では潤滑
性を高める効果が小さく、一方、 2%を超えて含有させ
ても潤滑性を高める効果が飽和する。したがって、フッ
化炭素を含有させる場合には、フッ化炭素の含有量を
0.5〜 2%とするのが望ましい。
【0059】上記以外は、実質的に水酸化カルシウムで
ある。水酸化カルシウムは、第2層を形成する際に、金
属石けんや固体潤滑剤を巻き込み、これらを均一に分散
させる、いわゆるキャリア剤としての作用がある。な
お、実質的にとの意味は、潤滑性と耐焼き付き性を損な
わない範囲で、他の成分を含有させてもよいことを意味
する。但し、水酸化カルシウムの含有量が過小では、上
記効果が小さいので、水酸化カルシウムの含有量の下限
は、20%とするのが望ましい。
【0060】第1層の付着量と第2層の付着量の合計:
合計の付着量が、 6g/m2よりも過小では耐焼き付き性が
不十分で、一方、合計で、15g/m2を超えると、耐焼き付
き性が飽和するとともに、例えば、冷間鍛造加工の際
に、第1層と第2層の剥離量が増加して、鍛造工具が破
損し易くなる。したがって、合計の付着量は、 6g/m2
上、15g/m2以下とするのが望ましい。
【0061】次に、本実施形態の金属線材の製造方法に
ついて説明する。本実施形態では、ケイ酸カリウムを含
有し、更にメラミンシアヌレートおよびモリブデン酸の
アルカリ金属塩を含有する水溶液を母材表面に塗布した
後、これを乾燥することにより第1層を形成する。
【0062】母材:母材は、熱間圧延線材、冷間加工線
材のいずれを用いてもよい。熱間圧延線材を用いる場合
には、表面のスケールを除去したものを用いる。表面粗
さは、Rmaxで10〜30μmとするのが望ましい。
【0063】水溶液:ケイ酸カリウムの含有量が、水溶
液中、5%未満では第1層の密着性が不十分で、30%を
超えて含有しても密着性を高める効果が飽和する。した
がって、ケイ酸カリウムの含有量の下限は、 5%で、上
限は30%である。
【0064】メラミンシアヌレートの含有量が、水溶液
中、 0.2%未満では耐錆性を高める効果が小さく、一
方、 1.5%を超えて含有させてもその効果が飽和する。
モリブデン酸のアルカリ金属塩の含有量が、 0.1%未満
では耐錆性を高める効果が小さく、一方、 1.0%を超え
て含有させてもその効果は飽和する。したがって、耐錆
性が要求される場合には、メラミンシアヌレート: 0.2
〜 1.5%および/またはモリブデン酸のアルカリ金属
塩: 0.1%〜 1.0%を含有する水溶液とするのが望まし
い。
【0065】水溶液の塗布:水溶液の塗布は、上記化学
成分を含有した水溶液中に母材を浸漬する方法(浸漬
法)や上記水溶液を母材の表面に散布する方法のいずれ
でも可能である。浸漬法は、簡便で塗布むらが少なく好
適である。水溶液の温度は、例えば、60℃〜90℃の
温度範囲とされる。乾燥は、乾燥炉などを用いて強制乾
燥する方法、放置して自然乾燥する方法のいずれでもよ
い。
【0066】上記方法により第1層を形成後、上述した
第2層と同じ化学組成を有する粉末状の潤滑剤を第1層
の表面に供給しながら冷間伸線加工を行う。 冷間伸線加工:冷間伸線加工は、特に限定されるもので
なく、公知のダイスなどの伸線用工具を用い、例えば、
ダイスを収納したダイスボックスに上記潤滑剤を充填し
て行うことができる。
【0067】この冷間伸線加工により、第1層と第1層
の上に形成された第2層とからなる被膜を有する金属材
料が得られる。この被膜は、りんを含まず、リン酸塩複
合被膜に対して同等以上の優れた潤滑性、耐焼き付き性
および耐錆性を備える。したがって、この金属線材は、
例えば、冷間鍛造加工に用いる金属線材である冷間伸線
材として好適である。
【0068】本発明に係る金属線材は、その直径が 5〜
50mm、断面形状は特に限定されないが丸状や異形状のも
のを用いることができる。また、材質は、特に限定され
ないが、炭素鋼、ボロン添加鋼、合金鋼(Cr鋼、 Cr-Mo
鋼、Ni-Cr-Mo鋼)、軸受鋼、ステンレス鋼、非鉄金属
(アルミニウム、銅、チタンおよびその合金)などが例
示され、好ましくは、炭素鋼、ボロン鋼、合金鋼、軸受
鋼である。
【0069】また、本発明では、第1層の上にステアリ
ン酸ナトリウムと酸化カルシウムとを混合した水溶液を
例えば水溶液中に被伸線材を浸漬する方法などにより塗
布した後、上記潤滑剤を用いて冷間伸線加工を行うのが
望ましい。上記水溶液を塗布することにより、水溶液中
の水酸化カルシウムが伸線用工具と被伸線材との間に供
給され、伸線用工具と被伸線材との間の潤滑がコロ潤滑
状態となり、伸線用工具と被伸線材との間の金属接触が
抑制され、冷間伸線性が向上するとともに、被膜の付着
性が向上する。なお、冷間伸線性の向上効果を高めるた
め、酸化カルシウムの平均粒子径は4μm 以下とするの
が望ましい。
【0070】本実施形態では、第1の層が、ケイ酸カリ
ウム、メラミンシアヌレートおよびモリブデン酸のアル
カリ金属塩を含有するものであり、第2の層が、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムおよびステ
アリン酸バリウムを含有し、さらにフッ素系樹脂および
二硫化モリブデンを含有し、残部が水酸化カルシウムか
らなるものである例を示したが、本発明は、この形態に
限定されるものでない。すなわち、第1の層は、メラミ
ンシアヌレートおよびモリブデン酸のアルカリ金属塩の
いずれも含有せず、あるいはいずれか一方を含有し、か
つ、ケイ酸カリウムを含有する水溶液を塗布して形成さ
れた層とすることができる。また、第2層は、残部の一
部に代えて硼砂および/またはフッ化炭素を含有させた
潤滑剤を用いて形成された層とすることができる。
【0071】
【実施例】本発明の実施例を比較例と共に挙げることに
よって、本発明をその効果と共にさらに具体的に説明す
る。
【0072】(A)供試材の調整:熱間圧延後の線材鋼
種:SCM435、線外径:12.3mm)を 760℃で球状化焼鈍し
て断面硬度: Hv170前後に調整し、その後、脱スケール
処理を施して供試材とした。
【0073】実施例1〜18及び比較例1〜6について
は、前記供試材をケイ酸カリウムを含有した種々の水溶
液(85℃)に10分間浸漬する方法で下地処理を行い、従
来例1については、ステアリン酸ナトリウム: 5%と酸
化カルシウム:20%とを混合した水溶液(60℃)に3分
間浸漬する方法で下地処理を実施した。
【0074】次いで、実施例1〜18、比較例1〜6お
よび従来例1については、80℃で 3分間の乾燥を行った
後、成分の異なる種々の潤滑剤を用いて、ダイスによる
冷間伸線加工を行い、線外径: 11.75mmの鋼線を得た。
【0075】表1に、下地処理に用いた水溶液の組成、
潤滑剤の組成、第1層の組成ならびに被膜(第1層+第
2層)の付着量を示す。なお、第2層の組成は、潤滑剤
の組成と同じであり省略する。
【0076】
【表1】
【0077】表1に示すように、実施例1〜18および
比較例1〜6の鋼線には、ケイ酸塩を80%以上含有す
る第1層と、潤滑剤と同じ組成を有する第2層とからな
る被膜が形成された。従来例1の鋼線には、ステアリン
酸塩を含有する第1層とステアリン酸ナトリウムと水酸
化カルシウムとを含有する第2層とからなる被膜が形成
された。実施例1〜18の鋼線の表面に形成された被膜
の付着量は、 6〜15g/m2 の範囲であり、断面硬度は約
Hv200 であった。なお、実施例1〜18における第1層
の付着量は、冷間伸線加工前で 3〜 8g/m2 の範囲であ
った。
【0078】従来例2については、前記供試材を市販の
リン酸亜鉛(日本パーカライジング(株)製、商品名:パ
ルボンド 181X)の濃度:90g/Lの溶液(80℃)に10
分間浸漬する方法で化成処理を施した後、湯洗し、その
後、市販の石けん(日本パーカライジング(株)、商品
名:パルーブ 235)の濃度: 70g/Lの溶液(80℃)に
5分間浸漬した後、80℃で3分間の乾燥処理を施して
リン酸塩複合被膜を形成させた。次いで、このリン酸塩
複合被膜を有する供試材にダイスによる冷間伸線加工を
施し、線外径: 11.75mmの鋼線を得た。鋼線に形成さ
れた被膜の付着量は、およそリン酸亜鉛被膜:7.2g/
m2 、石けん被膜:4.7g/m2 であり、断面硬度はHv200程
度であった。
【0079】(B)冷間前方押出し試験:前記(A)の冷
間伸線加工で得られた鋼線をマイクロカッタにより切断
し、長さ50mmの押出し試験用の試片を得た。なお切
断面は長手方向に対しほぼ垂直とし、面取りは行わずバ
リ取り程度にとどめた。この試片を用いて合計3パスの
冷間前方押出し試験を実施し、そのときの押出し荷重
(以下、成形荷重ともいう)を測定し、潤滑性を評価し
た。
【0080】図3は、冷間前方押出し試験に用いたダイ
の形状を示す模式図である。符号11は押し台、12は
ダイ、13は試片を表す。図3に示すように、ダイは加
工度が3パス合計で減面率:32.6%(線外径:加工前1
1.75mm→加工後9.65mm)となるように製作した。押出し
には、300Tonの油圧プレスを用い、平均押出し速度は10
mm/秒とした。
【0081】さらに、上記冷間押出し試験により得られ
た線外径:9.65mmの試片を用いてバウデン試験を実施し
た。バウデン試験は、試片の長手方向を摺動方向とし、
試験温度:常温、試験荷重:30N、試験硬球径: 2.0m
m、摺動長さ:10mmで、摩擦係数μが0.20になるまでの
摺動回数を測定し、付着滑り性すなわち耐焼き付き性を
評価した。
【0082】この前方押出し試験は、軸絞り加工のみで
加工発熱があまり発生しない場合を想定したものであ
る。 (C)フランジボルト冷間鍛造試験:前記(A)の冷間伸
線加工で得られた鋼線をマイクロカッタにより切断し、
長さ98mmの試片を得た。切断面は長手方向に対しほぼ垂
直とし、面取りは行わずバリ取り程度にとどめた。この
試片を用いて、合計3パスでM12フランジボルトを模
擬したボルト状部材に成形する冷間鍛造試験を実施し、
そのときの鍛造荷重(以下、成形荷重ともいう)を測定
し、潤滑性を評価した。なお、冷間鍛造試験は、500Ton
クランクプレスを用い、加工速度は最大100mm/秒とし
た。
【0083】図4は、M12フランジボルトの形状を示
す模式図である。図中の数字は寸法(mm)を表わす。
次いで、上記冷間鍛造試験で得られたボルト状部材の軸
径:11.0mmの平行部から試片を切り出し、この試片を用
いてバウデン試験を実施した。バウデン試験は、試片の
長手方向を摺動方向とし、上記(B)のバウデン試験と
同様の条件で摺動回数を測定し、付着滑り性すなわち耐
焼き付き性を評価した。なお、この鍛造試験は、高荷
重、高速で加工発熱が発生する実際の製造ラインでのボ
ルト鍛造を想定したものである。
【0084】(D)浸リン評価:上記(C)の冷間鍛造試
験で得られたボルト状部材に油焼入れ−焼き戻し処理を
施した。油焼入れ温度は、 870℃(炭素ポテンシャルCp
値: 0.2%雰囲気)で、焼戻し温度は 500℃とした。こ
のようにして油焼入れ−焼き戻し処理を施したボルト状
部材の頭部(外径19.0mm)と軸部(外径11.0mm)とから
試片を採取し、これを、ミクロマウントに埋め込み、研
磨、琢磨後にステッド試薬で腐食し、顕微鏡観察試験片
を作成した。これを光学顕微鏡を用いて倍率100〜500倍
で観察し、浸リン状況を調査した。浸リンの評価は、表
層部に白層が観察された場合には、浸リンの発生有りと
判断した。
【0085】(E)耐錆性評価:上記(A)の伸線加工で
得られた鋼線をマイクロカッタにより切断し、長さ:15
0mmの試験片を得た。
【0086】この試験片を湿潤試験装置に挿入し、相対
湿度:95%以上、試験温度:49± 1℃、空気流量: 88
6.5± 110.5L/時の湿潤環境下で24時間保持した後、目
視及び拡大鏡にて観察し、赤錆の発生面積(X)を調査
し、表面積全体(Y)に対する赤錆発生面積の割合(X
/Y:赤錆面積率)で耐錆性を評価した。なお、湿潤試
験装置は、スガ試験機(株)製 CT-3H型を使用した。
【0087】表2に上記試験結果を示すとともに、表3
に各試験の評価基準を示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】表3に示すように、前方押出し試験では、
3パス合計の成形荷重により潤滑性を評価し、合計の成
形荷重が 105kN未満のものを潤滑性が良好と判断した。
鍛造試験では、3パス合計の成形荷重により潤滑性を評
価し、合計の成形荷重が1250kN未満のものを潤滑性が良
好と判断した。バウデン試験では、摺動回数が50回より
大きいものを耐焼き付き性が良好と判断した。また、湿
潤試験では、赤錆発生面積率が30%未満のものを耐錆
性が良好と判断した。
【0091】表2に示すように、実施例1〜実施例13
は、冷間前方押出し試験、フランジボルト冷間鍛造試験
および湿潤試験で耐焼付き性、潤滑性および耐錆性のい
ずれも良好であり、耐焼き付き性、潤滑性および耐錆性
に関し比較例2に対して同等以上の性能が得られること
が判った。
【0092】また、実施例14〜18は、冷間前方押出
し試験およびフランジボルト冷間鍛造試験で耐焼付き性
および潤滑性のいずれも良好であり、耐焼き付き性およ
び潤滑性に関し比較例2に対して同等以上の性能が得ら
れることが判った。
【0093】さらに、当然のことながら、実施例1〜実
施例18は、焼き入れ−焼き戻し処理後において浸リン
の発生が認められず良好であった。一方、金属石けんの
含有量が過小である比較例1、2は、第1層と第2層の
合計の付着量が、 6g/m2未満であり、いずれも、フラン
ジボルト冷間鍛造試験において、耐焼き付き性に劣る結
果となった。
【0094】ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウムおよびステアリン酸バリウムの少なくともいず
れか一つの含有量が10%未満である比較例3〜比較例5
は、フランジボルト冷間鍛造試験において、耐焼き付き
性に劣る結果となった。これは、それぞれの金属石けん
が適正量配合されていないため、低荷重から高荷重の全
領域、ならびに、低温から高温の全領域において、十分
な耐焼き付き性と潤滑性が得られないためと推察され
る。
【0095】4フッ化エチレンと二硫化モリブデンの含
有量を双方とも 3%未満とした比較例6は、フランジボ
ルト冷間鍛造試験において、成形荷重が特に高く、耐焼
き付き性に劣る結果となった。これはフッ素系樹脂と二
硫化モリブデンの含有量が共に過小であるため、高温域
や高荷重域において潤滑性が劣化したためと推察され
る。
【0096】従来例1では、浸リンの発生は認められな
かったが、耐焼き付き性と潤滑性の双方とも不良であっ
た。従来例2は、耐焼き付き性と潤滑性とも良好であっ
たが高張力ボルトで問題となる浸リンが発生した。
【0097】
【発明の効果】本発明の金属線材は、その被膜が従来の
リン酸亜鉛処理+石けん処理で形成されるリン酸塩複合
被膜に対し同等以上に優れた耐焼き付き性および潤滑性
を備える。
【0098】また、本発明の金属線材は、その被膜が従
来のリン酸亜鉛処理+石けん処理で形成されるリン酸塩
複合被膜に対し同等以上に優れた耐焼き付き性、潤滑性
および耐錆性を備える。したがって、例えば、冷間鍛造
加工に用いる冷間伸線材として有用である。
【0099】また、本発明の金属線材は、その被膜が全
くリンを含まないために、熱処理時の浸リンの発生を回
避できる。したがって、高張力ボルト用の冷間伸線材と
して有用である。
【0100】さらに、本発明の金属線材の製造方法は、
従来のリン酸塩法のように廃棄物を生じず、特別な設備
も必要としないので産業上の利用価値も極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱温度と加熱減量との関係を示すグラフであ
る。
【図2】本実施形態に係る、冷間伸線加工後の被伸線材
の表面に形成された被膜の構成を示す模式図である。
【図3】冷間前方押出し試験に用いたダイの形状を示す
模式図である。
【図4】M12フランジボルトの形状を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1:金属線材、 2:母材、 3:第1層、 4:第2層、 11:押し台、 12:ダイ、 13:試片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 125/10 C10M 125/10 125/18 125/18 125/26 125/26 129/38 129/38 133/42 133/42 173/02 173/02 C22C 38/00 301 C22C 38/00 301Y C23C 22/62 C23C 22/62 // C10N 10:02 C10N 10:02 10:04 10:04 10:12 10:12 30:06 30:06 30:12 30:12 40:24 40:24 Z 50:02 50:02 (72)発明者 平田 幸四郎 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地 株 式会社住友金属小倉内 Fターム(参考) 4E096 EA02 EA12 EA14 JA06 JA08 JA10 JA12 4H104 AA01Z AA05A AA05C AA11C AA13C AA19A AA21C AA26C BB17C BE28C CD02A FA01 FA02 FA06 LA03 LA06 PA28 QA01 QA08 QA11 4K026 AA02 AA24 BA02 BA12 BB04 CA15 CA27 CA29 CA36 CA39 CA41 DA02 DA03 DA06 DA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材表面に形成された第1の層と、第1
    の層の上に形成された第2の層とを有し、第1の層がケ
    イ酸カリウムを含有し、第2の層が、質量%で、ステア
    リン酸ナトリウム:10〜15%、ステアリン酸カルシウ
    ム:10〜15%およびステアリン酸バリウム:10〜15%を
    含有し、さらにフッ素系樹脂: 3〜10%および二硫化モ
    リブデン: 3〜10%のうちの少なくとも1種を含有し、
    残部が実質的に水酸化カルシウムからなることを特徴と
    する金属線材。
  2. 【請求項2】 更に、第1の層が、質量%で、メラミン
    シアヌレート: 2〜15%およびモリブデン酸のアルカリ
    金属塩: 1〜10%のうちの少なくとも1種を含有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の金属線材。
  3. 【請求項3】 前記残部の一部に代えて、質量%で、硼
    砂: 0.5〜 7%およびフッ化炭素 0.5〜 2.0%のうち少
    なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1また
    は2に記載の金属線材。
  4. 【請求項4】 第1の層と第2の層の合計の付着量が 6
    〜15g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の金属線材。
  5. 【請求項5】 母材表面に、質量%で、ケイ酸カリウ
    ム: 5〜30%を含有する水溶液を塗布してケイ酸カリウ
    ムを含有する層を形成し、次いで、質量%で、ステアリ
    ン酸ナトリウム:10〜15%、ステアリン酸カルシウム:
    10〜15%およびステアリン酸バリウム:10〜15%を含有
    し、さらにフッ素系樹脂: 3〜10%および二硫化モリブ
    デン: 3〜10%のうちの少なくとも1種を含有し、残部
    が水酸化カルシウムからなる粉末状の潤滑剤を前記層の
    表面に供給して冷間伸線加工を行うことを特徴とする金
    属線材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記水溶液は、質量%で、メラミンシア
    ヌレート: 0.2〜 1.5%およびモリブデン酸のアルカリ
    金属塩: 0.1〜 1.0%のうちの少なくとも1種を含有す
    ることを特徴とする請求項5に記載の金属線材の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記潤滑剤は、前記残部の一部に代え
    て、質量%で、硼砂:0.5〜 7%およびフッ化炭素 0.5
    〜 2.0%のうち少なくとも1種を含有することを特徴と
    する請求項5または6に記載の金属線材の製造方法。
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