JP2003051215A - 電線、信号線及びケーブル - Google Patents

電線、信号線及びケーブル

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JP2003051215A
JP2003051215A JP2001238076A JP2001238076A JP2003051215A JP 2003051215 A JP2003051215 A JP 2003051215A JP 2001238076 A JP2001238076 A JP 2001238076A JP 2001238076 A JP2001238076 A JP 2001238076A JP 2003051215 A JP2003051215 A JP 2003051215A
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electric wire
wire
biodegradable resin
core wire
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JP2001238076A
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English (en)
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Masanori Hiraishi
政憲 平石
Hiromichi Odajima
博道 小田島
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線、信号線及びケーブルは、使用された電
気製品やコンピュータシステム等が故障や寿命その他の
理由により廃棄される場合、被覆材料が自然界で分解し
ないため、それぞれが分離されて放棄された場合、生物
にとって種々の悪影響を生じている。 【解決手段】 放射線架橋されたポリε−カプロラクト
ン、又はポリε−カプロラクトンとポリブチレンサクシ
ネートの混合物のような生分解性樹脂を使用して芯線を
被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然界に放置され
た場合に有害な廃棄物とならない電線、ケーブル及び信
号線(本発明では、電線、信号線及びケーブルを電線類
という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電線の被覆材料としては、ポリオ
レフィン樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が多く
用いられ、光ファイバーの被覆材料としては、紫外線硬
化型樹脂やポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂が用い
られてきた。
【0003】電線とは、銅などの金属線を芯線として芯
線の周囲を絶縁材料により被覆して短絡を防止したもの
であり、芯線に電流を流すことにより、主に電力及び情
報を伝達する線状素材である。信号線とは、芯線が銅な
どの金属線か、ガラスファイバー或いは樹脂製であり、
被覆材料により、短絡や直接接触が防止され、また芯線
の表面が保護された、主に情報の伝達に供せられる線状
素材を言う。芯線がガラスファイバー或いは樹脂製であ
る場合、光ファイバーに相当する。ケーブルとは、複数
の電線或いは信号線が束ねられ一体化された線状素材を
言う。
【0004】電線類は種々の電気製品やコンピュータシ
ステム等の情報伝達媒体として広く用いられている。電
線類は、使用された製品等が故障や寿命その他の理由に
より製品と共に廃棄される場合や、電線類が分離され放
棄された場合、被覆材料が自然界で分解しないため、生
物にとって種々の悪影響を生じている。近年電気製品の
回収がメーカーの義務とされる動向にあり、回収された
後は、一般に燃焼により被覆材料を廃棄し、銅やガラス
などの芯線材料は再利用される。しかし、従来の被覆材
料は、燃焼時にダイオキシンなどの有毒なガスが発生し
たり、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素を多量に
発生している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、燃焼
による廃棄を必要とせず、また、自然界に放置されても
悪影響を及ぼさない電線類を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、被覆材料として
生分解性樹脂を使用して芯線を被覆することにより、か
かる問題点を解決しうることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】すなわち本発明の第1は、生分解性樹脂で
芯線を被覆してなる電線類を提供する。本発明の第2
は、生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルである本発明の
第1記載の電線類を提供する。本発明の第3は、生分解
性樹脂がポリε−カプロラクトンである本発明の第1記
載の電線類を提供する。本発明の第4は、生分解性樹脂
がポリε−カプロラクトンとポリブチレンサクシネート
の混合物である本発明の第1記載の電線類を提供する。
本発明の第5は、生分解性樹脂が架橋され、生分解性を
保持しながら耐熱性が向上していることを特徴とする本
発明の第1〜4のいずれか1項に記載の電線類を提供す
る。本発明の第6は、放射線により架橋された本発明の
第5記載の電線類を提供する。本発明の第7は、過冷却
状態で放射線により架橋された本発明の第6記載の電線
類を提供する。本発明の第8は、放射線が電子線又は/
及びγ線である本発明の第6又は7に記載の電線類を提
供する。本発明の第9は、架橋により結晶相が微細化さ
れていることを特徴とする本発明の第5〜8のいずれか
1項に記載の電線類を提供する。本発明の第10は、芯
線が光ファイバーである本発明の第1記載の電線類を提
供する。本発明の第11は、芯線が樹脂製である本発明
の第10記載の電線類を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の電線類は、芯線の被覆材
料が生分解性樹脂で形成される。生分解性樹脂は、生物
によりその食料として消費されるか、生物の分泌物や代
謝物により分解され、特に、土壌や水圏中に存在する細
菌、微生物、かびおよびそれらの活動により発生する酵
素の作用により生分解されやすい。生分解性樹脂として
は、微生物産生樹脂、天然物系樹脂、合成高分子系樹
脂、およびそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
中でも、電線類の工業的な生産面で、合成高分子系樹脂
が最も優れ、次いで天然物系樹脂が優れている。
【0009】微生物産生樹脂としては、ポリヒドロキシ
酢酸、セルロース、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポ
リヒドロキシ酪酸/ヒドロキシ吉草酸(PHB/V)な
どがある。天然物系樹脂としては、デンプン、3−ヒド
ロキシブチレート重合体、3−ヒドロキシブチレート/
3−ヒドロキシバリレート共重合体、セルロースジアセ
テート、セルロースアセテートなどがある。2種以上の
混合物としては、デンプンとCA(セルロースアセテー
ト)、デンプンとPCL(ポリカプロラクトン)などが
ある。合成高分子系としては、ポリカプロラクトン、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレンサクシネート、ポリ
ブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシ
ネート・カーボネート、ポリブチレンサクシネート・ア
ジペート、ポリブチレンテレフタレート・アジペート、
ポリグリコール酸及びこれらの混合物、これらのモノマ
ーの共重合ポリエステル、ポリエステルアミドなどがあ
る。中でも、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポ
リカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが生分解性、
加工性の点で優れている。ポリカプロラクトンの中では
ポリε−カプロラクトンが合成及び高分子化が容易で、
しかも結晶の融解温度が低いので、かなり低温度で芯線
への被覆を行なうことができるため、省エネであると共
に、芯線に高温を付加することがないので無用な芯線の
損傷を防ぐことができる。
【0010】生分解性樹脂を芯線に被覆する方法として
は、通常の電線や光ファイバーの樹脂被覆に用いられて
いる装置を利用することができる。特に合成高分子系は
熱可塑性樹脂であるので、汎用の押出機を用い、押出機
の芯部に芯線を通して、円筒状に融解した生分解性樹脂
を被覆し、冷却すればよい。芯線には、上記の被覆工程
の前工程に、被覆材料である生分解性樹脂との密着性、
或いは接着性を向上するため、接着剤等の前処理剤をコ
ーティングしてもよい。特に芯線がガラスファイバーで
ある場合は、芯線と被覆剤との積層状態がその情報伝送
性能に少なからぬ影響を与えるので、前処理剤のコーテ
ィングが有用である。前処理剤は予め生分解性樹脂に混
合して、前処理工程を省くことも可能である。芯線がP
MMA(ポリメチルメタクリレート)のような樹脂製光
ファイバーの場合は、押出成形による被覆を100℃前
後の低温で実施できるし、芯線がガラスファイバーの場
合は無用な残留熱歪み生じない。生分解性樹脂には、被
覆工程に先立ち、適宣、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、
加工助剤、滑剤、着色剤、充填剤、分散剤、相溶化剤、
軟化剤或いは強度向上のための微粒子を、その生分解性
を著しく損じない範囲で用いることができる。
【0011】生分解性樹脂組成物の機械的強度や耐熱性
を向上させるために、樹脂を架橋させてもよい。架橋方
法としては、化学架橋又は放射線架橋を行なうことがで
きる。化学架橋は、有機過酸化物やシランカップリング
剤を生分解性樹脂に添加し、得られた生分解性樹脂組成
物を、押出機により樹脂被覆工程で樹脂組成物を高温に
して融解する工程及び冷却後に熱処理する工程を付加し
てその架橋を達成することができる。
【0012】放射線架橋による架橋の方法としては、コ
バルト60からのγ線や加速器からの電子線を上記の被
覆工程で生分解性樹脂組成物に照射することにより達成
することができる。これらの照射は、並列又は同時に行
なわれてもよい。放射線架橋の際に、架橋助剤として、
トリアクリレート類やトリイソシアヌレート類を添加し
てもよい。放射線架橋においては、芯線に押出機により
被覆される生分解性樹脂の溶融時に照射する場合の他、
照射前に冷却ししてから照射してもよい。生分解性樹脂
が脂肪族ポリエステル、特にポリブチレンサクシネート
やポリカプロラクトンの場合は結晶性を有する生分解性
樹脂であるが、その被覆工程の冷却時の過冷却状態のタ
イミングで放射線を照射すると、生分解性を保持しなが
ら、耐熱性及び高温での機械的強度が著しく増大する。
【0013】このように、放射線を架橋する工程で、被
覆樹脂を適度に冷却する方法としては、特開平9−12
9054号公報に示された方法等を用いることができ
る。即ち、シールド室内を通過した直後に被覆された電
線等を通過させ、その冷却槽内で過冷却状態になるよう
冷却温度条件を設定し、その槽に放射線を照射すればよ
い。但し、本発明はそのような方法に限定されない。
【0014】生分解性樹脂がポリε−カプロラクトンの
場合、その結晶相の融点が約60℃であるので、融点が
約130℃の他の樹脂と比較してかなり低い溶融温度
で、押出機により芯線に被覆することができるので、製
造時の省エネ効果が非常に良好である。又、溶融状態で
の芯線への被覆後、60℃以下に急速に冷却し、過冷却
状態(60℃以下ではあるがまだ結晶は発生していない
状態)で放射線を照射すれば、その耐熱性が140℃以
上の高温にまで向上する。従って、光ファイバーの被覆
に好適であり、特に耐熱性の低い芯線がポリマーの光フ
ァイバーに好適である。生分解性樹脂がポリε−カプロ
ラクトンとポリブチレンサクシネートの混合物の場合、
ポリε−カプロラクトンの過冷却温度の60℃以下に冷
却して放射線により架橋すれば、耐熱性の著しく高い被
覆材料を得ることができる。
【0015】放射線を芯線の生分解性樹脂製の被覆材料
に均等に照射するために、従来用いられている被覆線が
2本ロール間で何回も往復する間に照射する方法を採用
することができるが、本発明はその方法に限定されな
い。生分解性樹脂による被覆材料をその過冷却温度の状
態で放射線を照射し、適切な架橋を発生させるために、
上記の2本ロールのゾーンに入る前に過冷却温度に冷却
する前冷却ゾーンを設置し、2本ロール間で照射する間
に温度が上昇しないよう、該2本ロールを冷却ロールと
するとともに、必要な場合追加の冷却器を設置する。
【0016】架橋された生分解性樹脂による芯線の被覆
材料部分は、その微細構造として、照射しない場合より
かなり小さい微結晶と、適度に架橋された構造をもつ。
結晶が微結晶となっているので、細菌、微生物、かび及
びそれらが発生する酵素により、架橋されない場合にく
らべ、生分解性は同等か或いは向上するとともに、架橋
構造により著しく耐熱性を向上することができる。
【0017】本発明では、放射線照射処理する場合、生
分解性樹脂は単独で又は他の少なくとも1の構成成分と
共に、電線類の被覆工程で放射線照射処理される。ま
た、初めに低線量で照射し、電線類の被覆工程での溶融
樹脂の流動性を改良するため、ゲル分率0.01〜10
%、好ましくは0.05〜1.0%になるように電線類
の被覆工程の前に照射しておいてもよい。また、電線類
の被覆工程後のオフ・ラインで放射線照射をしてもよい
し、追加されてもよい。これにより、橋かけが高い確率
で起こり、耐熱性が向上するとともに、引張強度、引裂
強度が向上し、粘着性が低下する。本発明では、予めポ
リε−カプロラクトン単独に所定の放射線照射処理を
し、これに合成脂肪族ポリエステル樹脂を混合したり、
さらに脂肪酸アミド等を添加して得られる樹脂組成物の
他、ポリε−カプロラクトンと合成脂肪族ポリエステル
樹脂又は脂肪酸アミドを混合して同様の放射線照射処理
をした後に残成分を混合して得られる樹脂組成物、ポリ
ε−カプロラクトン、合成脂肪族ポリエステル樹脂及び
脂肪酸アミドを混合して上記低線量の放射線照射処理を
してもよい。
【0018】本発明に係る放射線照射処理に使用される
放射線源としては、α線、β線、γ線、X線、電子線、
紫外線等を使用することができるが、コバルト60から
のγ線、電子線、X線がより好ましく、中でもγ線、電
子加速器の使用による電子線照射処理が高分子材料の橋
かけ構造導入には最も便利である。照射量は、電線類に
被覆される生分解性樹脂の橋かけ構造導入の目安になる
樹脂のゲル分率を一つの尺度として決められる。生分解
性樹脂は電線類に被覆される前に放射線照射処理を施す
必要は特にない。しかし、電線類に被覆される生分解性
樹脂が、その被覆工程に供され溶融する際の成形性又被
覆性を考慮して、電線類に被覆される前にゲル分率が
0.05〜10%程度になるよう放射線照射処理するこ
とが好ましい場合もあり、例えば本発明の製造方法に係
るペレットでは0.1〜1%程度が好ましい。なお、電
線類の被覆工程で放射線処理し、オフ・ラインでさらに
放射線処理を追加すると、生分解性樹脂のゲル分率は9
0%程度まで高くすることができる。通常、ゲル分率を
10%以上にする場合、橋かけは電線類に被覆される生
分解性樹脂の非結晶領域を中心にして起こるため、室温
付近での照射処理では例えば200kGyといった大線
量を要し、融点近傍での処理では多数のボイドが発生し
て強度を低下させる傾向を有する。従って、このような
場合の解決法として本発明者らは、生分解性樹脂を融点
(ポリε−カプロラクトンでは60℃)以上で融解後結
晶化に至らない温度(ポリε−カプロラクトンでは50
〜35℃)まで電線類の被覆工程で冷却した状態(過冷
却状態)で放射線処理を行えば、上記のような欠点を生
じずに橋かけが行われることを発見した。この過冷却状
態で上記処理をすることにより、極めて高いゲル分率の
ものが得られる。ここに言う「結晶化に至らない状態」
とは、正確には特定できなが、架橋が非結晶部で起こる
ため、非結晶状態であることが優位である状態をいう。
室温状態におけるよりも結晶化度が低ければ、それに応
じた照射効果はある。なお、ポリε−カプロラクトン単
独での処理ではなくて、他の成分とからなる種々の組成
物での処理の場合においてもポリε−カプロラクトン成
分の溶融状態のみを考慮すれば充分である。勿論、溶融
させずに高ゲル分率迄照射することもできる。
【0019】ゲル分率の測定 架橋樹脂から厚み約5mmの薄板を切り出し、200メ
ッシュのステンレス金網に包み、アセトンに24時間浸
漬し、ゲル分率(不溶分の割合であり、橋かけ度を表
す。)を次式により求めた。 ゲル分率(%)=(W2/W1)×100 (ここで、W1は浸漬前の架橋樹脂の乾燥重量を表し、
2は浸漬後の乾燥重量を表す。)
【0020】本発明における樹脂の放射線処理の効果に
ついて観察した結果、架橋度合いについてゲル分率を測
定したところ、放射線照射線量が10kGyに達した時
点で効果が出始め、ゲル分率は100kGyで急激な立
ち上がりが見られ、それ以上の線量では安定する傾向が
見られる。生分解性については、汚泥中での測定をした
ところ、放射線照射線量が高いほど分解率は向上するほ
か、4〜5日間の浸漬で生分解が開始された。その他、
機械的特性(引張強度、引張伸度、引裂強度、衝撃強
度)、ニップロールに対するフィルムのアンチブロッキ
ング性等の向上も見られた。
【0021】生分解組成物により被覆された電線類は、
自然界に放置された場合、それが土中や土上であれ、ま
た水中や水上であれ、細菌、微生物、かび及びそれらが
発生する酵素により、まず部分的に分解されることによ
り被覆が剥がれていく。そして、次第にすべての被覆材
料部分が低分子化合物に分解され、ついには炭酸ガスや
水、或いは微生物の食料となり、芯線から完全に消失す
る。芯線は銅等の金属材料やガラスなどであるので、自
然界に放置状態になってもほとんど害とはならない。
【0022】そのように、被覆材料が消失されてから回
収し、再利用のため溶融され、再度芯線として使用され
る場合、有害なガスや地球温暖化の原因物質である二酸
化炭素を発生しない。さらに、生分解させることなく廃
棄された電線類を再利用する場合、特に脂肪族ポリエス
テルの場合、酸素をそれ自身含有する材料であるので、
発生する二酸化炭素の量が被覆材料として一般に用いら
れているポリオレフィンに比較して約1/2程度と少な
く環境負荷が著しく低いと同時に、燃焼における発熱量
も前記のポリオレフィンの約10,000kcal/k
gに対し、約4,000〜6,000kcal/kgで
あり、かなり小さい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。生分
解特性は活性汚泥を使用する日本工業規格、JIS K
6950(活性汚泥による好気的生分解度試験方法)に
従い評価した。表1では、分解率70%になる日数を表
記した。耐熱性は100℃の高温での引張試験により評
価した。
【0024】[実施例1]ポリε−カプロラクトンとして
セルグリーンPH7(ダイセル化学工業製、融点60
℃、比重1.4、MFR(190℃・2160g)1.
7)を用い、40℃で10時間乾燥した後、120℃に
保持された40mm押出機を用いて、銅芯線(外径0.
32mm)の外周上に厚さ0.4mmで被覆した。融解
したポリε−カプロラクトン樹脂で被覆された電線を急
冷して、該樹脂を過冷却し約50℃の温度とし、その急
冷ゾーンで200kGy(グレイ)の電子線を照射して
被覆電線を作成した。被覆電線は、生分解性と耐熱性を
有し、被覆状態は良好であった。
【0025】[比較例1]ポリエチレンとしてハイゼック
ス5305E(三井化学製、密度0.945/cm3
MI0.80g/10分、)を用い、200℃に保持さ
れた40mm押出機を用いて、銅芯線(外径0.32m
m)の外周上に厚さ0.4mmで被覆し、冷却して被覆
電線を作成した。被覆状態は良好であったが、耐熱性は
不十分であった。
【0026】[実施例2]実施例1のPH7(ポリε−カ
プロラクトン)と、ビオノーレ3000(昭和高分子製
ポリブチレンサクシネート)を1:1重量比に配合し、
ブラベンダ押出機を用い40℃で10時間乾燥した後、
200℃に保持された40mm押出機を用い銅芯線(外
径0.32mm)の外周上に厚さ0.4mmで被覆し、
冷却して被覆電線を作成した。被覆電線は、生分解性と
耐熱性を有し、被覆状態は良好であった。
【0027】[実施例3]芯線として線径0.24mmの
ガラスファイバーを用い、実施例1と同様にして生分解
性樹脂で被覆された線型0.4mmの光ファイバーを作
成した。被覆電線は、生分解性と耐熱性を有し、被覆状
態は良好であった。
【0028】[比較例2]芯線として実施例3のガラスフ
ァイバーを用い、比較例1と同じ樹脂で被覆した光ファ
イバーを作成した。被覆状態は良好であったが、耐熱性
は不十分であった。
【0029】[実施例4]芯線として線径0.24mmの
PMMAを主成分とする樹脂製光ファイバーを用い、実
施例1と同様にして生分解性樹脂で被覆された線径0.
4mmのポリマー光ファイバーを作成した。被覆電線
は、生分解性と耐熱性を有し、被覆状態は良好であっ
た。
【0030】[比較例3]芯線として実施例4で使用した
樹脂製光ファイバーを用い、比較例1と同じ樹脂で被覆
した光ファイバーを作成した。耐熱性試験時、樹脂製光
ファイバーのPMMAが軟化し、少し変形していた。
【0031】[実施例5]実施例1で急冷せずに徐冷し
て、被覆樹脂温度が80℃の温度で電子線を照射して生
分解性樹脂で被覆された電線を作成した。被覆電線は、
耐熱性試験時の強度は実施例1と比較してやや弱いが、
生分解性と、被覆状態は良好であった。
【0032】[実施例6]実施例1で徐冷して電子線を照
射しないで生分解性樹脂で被覆された電線を作成した。
生分解性と、被覆状態は良好であったが、耐熱性試験時
に被覆樹脂が融解した。
【0033】
【表1】
【0034】本発明の電線類はその被覆材料が生分解性
樹脂で形成される。従って、電気製品や光ファイバーな
どのコンピュータシステムの情報伝達媒体に使用されて
いる場合は分解せず正常に使用されるが、それらが廃棄
されたり、或いは回収処理される時に、それらが1部廃
棄されたとしても該電線類が自然界で自然に消滅してい
くので自然界に悪影響を及ぼさない。自動車の自動シス
テムの情報伝達手段として本発明の電線類を用いた場合
も同様である。また、自動車や各種電気製品の駆動関係
の電力パワー伝達手段として本発明の電線及びケーブル
を用いた場合も同様である。本発明の電線類は、被覆材
料が生分解性であるため、自然界に放置された場合、時
間とともに分解し、消滅していく。生物が分解するた
め、燃焼する場合に比較し、有害なガスや二酸化炭素を
ほとんど発生しない。残った芯線は銅やガラス(SiO
2)であるため、露出しても、自然界に悪影響を及ぼさ
ない。また芯線がプラスチックの光ファイバーの場合、
被覆材料が生分解して消失するため、回収再利用が容易
となる。生分解性樹脂として脂肪族ポリエステルを選択
した場合、従来使用されているポリオレフィンに比較
し、発生する熱量や二酸化炭素の量が少ない。架橋され
た生分解性樹脂を使用した場合、生分解性を保持しなが
ら、被覆材料として必要な特性である耐熱性が向上す
る。脂肪族ポリエステルの架橋は、過冷却状態で放射線
を照射することにより、有効な架橋構造を形成し、高温
での力学特性を改善することができる。被覆材料として
ポリε−カプロラクトンを使用した場合、押出成形によ
る被覆を100℃前後の低温で実施できるので、芯線が
ガラスファイバーの場合無用な残留熱歪み生じない。芯
線がPMMA等の樹脂製光ファイバーの場合、過剰な温
度負荷をかけないので、芯線の形状変化や残留歪みが発
生しにくくなる。そして該ポリε−カプロラクトンを過
冷却状態で放射線により架橋すれば、生分解性を保持し
ながら耐熱性を向上した光ファイバーが得られる。
【0035】
【発明の効果】本発明の電線類は、被覆樹脂が生分解性
であるため、自然界に放置された場合に、被覆樹脂が時
間とともに分解し、消滅していく。また、該電線類を燃
焼する場合、有害ガスをほとんど発生せず、また二酸化
炭素発生量及び発熱量も低減される。本発明の電線類が
使用された電気製品やコンピュータシステムのような情
報伝達媒体等が廃棄されたり、回収処理時に一部廃棄さ
れたとしても、該電線類の被覆樹脂は自然に消滅してい
くので、被覆樹脂により自然界に悪影響を及ぼさない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/04 C08L 67/04 G02B 6/44 301 G02B 6/44 301A Fターム(参考) 2H050 AB02Z AB42Z BA17 BB02W BB13W BB34W BD00 BD03 4F070 AA47 GA04 GC05 HA04 HB01 HB09 4J002 CF03X CF19W GQ01 4J029 AA02 AB01 AE02 EG09 5G309 MA18 RA15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性樹脂で芯線を被覆してなる電線
    類。
  2. 【請求項2】 生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルであ
    る請求項1記載の電線類。
  3. 【請求項3】 生分解性樹脂がポリε−カプロラクトン
    である請求項1記載の電線類。
  4. 【請求項4】 生分解性樹脂がポリε−カプロラクトン
    とポリブチレンサクシネートの混合物である請求項1記
    載の電線類。
  5. 【請求項5】 生分解性樹脂が架橋され、生分解性を保
    持しながら耐熱性が向上していることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の電線類。
  6. 【請求項6】 放射線により架橋された請求項5記載の
    電線類。
  7. 【請求項7】 過冷却状態で放射線により架橋された請
    求項6記載の電線類。
  8. 【請求項8】 放射線が電子線又は/及びγ線である請
    求項6又は7に記載の電線類。
  9. 【請求項9】 架橋により結晶相が微細化されているこ
    とを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の電
    線類。
  10. 【請求項10】 芯線が光ファイバーである請求項1記
    載の電線類。
  11. 【請求項11】 芯線が樹脂製である請求項10記載の
    電線類。
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