JP2003049928A - サイレントチェーン伝動機構 - Google Patents
サイレントチェーン伝動機構Info
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Abstract
クションを解消して振動と騒音を低減でき、チェーン張
力変動を抑制して優れた耐久性を発揮できるサイレント
チェーン伝動機構を提供する。 【解決手段】 歯数の相異なるスプロケットが、内側フ
ランクを連続した形状と概ね相似な歯形を有するホブカ
ッターを用いて、夫々の歯数に応じてスプロケットに進
入するチェーンの噛み合い高さと、スプロケットに巻き
付き着座したチェーンのピッチ円半径とが一致するよう
な転位量で、歯切りされた相異なるスプロケット歯形を
有していると共に、サイレントチェーン20の外側フラ
ンクが、最小歯数のスプロケットに着座した時に接する
ような直線状歯先部Lと、最大歯数のスプロケットに着
座した時に接するような円弧状歯元部R1と、前記直線
状歯先部Lと前記円弧状歯元部R1の双方に接するよう
な円弧状中間部R2とで輪郭形成されているサイレント
チェーン伝動機構。
Description
プロケット間で動力を伝達するサイレントチェーン伝動
機構に関するものであって、特に、4サイクルエンジン
のクランク軸からカム軸やバランサ軸を駆動するような
サイレントチェーン伝動機構に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図10に示すような4サイクルエンジン
のクランク軸から吸気バルブ、排気バルブ、バランサな
どを駆動する場合に用いられるサイレントチェーン伝動
機構は、バルブ駆動用クランク軸スプロケット11a、
吸気バルブ用カム軸スプロケット12a、排気バルブ用
カム軸スプロケット12b、バルブ駆動用サイレントチ
ェーン20a、サイレントチェーン20aに張力を与え
るテンショナTとテンショナレバーL、サイレントチェ
ーン20aの振れを押さえるチェーンガイドG、バラン
サ駆動用クランク軸スプロケット11b、バランサ軸ス
プロケット13a、13b、バランサ駆動用サイレント
チェーン20b、反転用歯車14a、14bなどで構成
されている。 【0003】このような吸気バルブと排気バルブは、カ
ム軸スプロケット12の歯数をバルブ駆動用クランク軸
スプロケット11aの歯数の2倍に設定した減速伝動機
構において、クランク軸が2回転すると、それぞれ1回
作動するようになっている。 【0004】また、バランサ軸は、バランサ軸スプロケ
ット13の歯数をバランサ駆動用クランク軸スプロケッ
ト11bの歯数の1/2に設定した増速伝動機構におい
て、クランク軸の高次不釣り合いを相殺するため、クラ
ンク軸が1回転すると2回転するようになっており、か
つ、反転用歯車14によって互いに逆方向に回転するよ
うになっている。 【0005】そして、このようなサイレントチェーン伝
動機構に用いるバルブ駆動用サイレントチェーン20a
とバランサ駆動用サイレントチェーン20bは、チェー
ン張力を加えて直線状に張ったときにリンクプレートが
有する内側フランクの中央膨出部が直線状の外側フラン
クよりはみ出しており、それぞれのスプロケットに対し
て内側フランクの中央膨出部が一時的に接触した後に外
側フランクで巻き付き着座して動力伝達するものであ
り、両者は形状構造において同一のサイレントチェーン
20を使用している。 【0006】他方、クランク軸スプロケット11、カム
軸スプロケット12、バランサ軸スプロケット13に
は、直線状の外側フランクを連続した形状と概ね相似な
歯形を有するホブカッターによって、夫々の歯数に応じ
て外側フランクで正多角形状に巻き付き着座するような
転位量で歯切りされたインボリュート歯が形成されてい
る。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで、このように構
成された従来のサイレントチェーン伝動機構の基本的な
作動状態を歯数の相異なるそれぞれのスプロケット11
a、11b、12、13のいずれか一つのスプロケット
(以下、スプロケット10という。)に注目して説明す
ると、以下のとおりである。 【0008】従来のサイレントチェーン伝動機構は、サ
イレントチェーン20がこれらのスプロケット10に巻
き付いた時に、外側フランクはスプロケット10の1歯
おきにスプロケット歯面に着座して正多角形状の巻き付
き形態を呈する一方、内側フランクの中央膨出部が直線
状の外側フランクよりはみ出しているために、スプロケ
ット10に進入する内側フランクの中央膨出部がスプロ
ケット歯面と接触して、外側フランクがスプロケット歯
面に巻き付き着座する前にスプロケットに進入するサイ
レントチェーン20を一時的に持ち上げることによっ
て、チェーンがスプロケットに巻き付く際に生じるスプ
ロケット10の正多角形運動に伴うサイレントチェーン
20の上下動、いわゆる、コーダルアクションを抑制し
ようとしている。 【0009】ここで、チェーン・ピッチをP、スプロケ
ット歯数をzとするとき、ピッチ円半径Rc、すなわ
ち、チェーンがスプロケットに正多角形状に巻き付き着
座した時の連結ピン中心からスプロケット中心までの距
離は、 Rc=P/2sin(π/z) また、着座高さV、すなわち、チェーンがスプロケット
に正多角形状に巻き付き着座した時のチェーン・ピッチ
線からスプロケット中心までの距離は、 V=P/2tan(π/z) のような幾何学的関係が成り立つ。したがって、正多角
形運動の大きさ、すなわち、正多角形運動量Δは、スプ
ロケットが半ピッチ角(π/z)回転する毎に、スプロ
ケットに進入するチェーンの噛み合い高さがRcとVの
間で変動することによって生ずるものであり、その大き
さは、 Δ=Rc−V で表わされる。 【0010】しかしながら、正多角形運動の大きさはス
プロケットの歯数によって異なるので、クランク軸スプ
ロケット11aとカム軸スプロケット12との歯数、あ
るいは、クランク軸スプロケット11bとバランサ軸ス
プロケット13との歯数が大きく異なっている場合は、
それぞれのスプロケット10に生じるコーダルアクショ
ンの大きさも大きく異なる。 【0011】したがって、前述したようなリンク歯の内
側フランクがその中央膨出部を有しているサイレントチ
ェーン20を使用した場合には、スプロケット10に進
入するチェーンを持ち上げる高さが一定であるため、ク
ランク軸スプロケット11a、または、11b、カム軸
スプロケット12、バランサ軸スプロケット13のいず
れか一つにおいてコーダルアクションを抑制することは
できるが、全てのスプロケット10においてコーダルア
クションを共に抑制することはきわめて困難である。 【0012】したがって、このようなサイレントチェー
ン伝動機構では、クランク軸スプロケット11a、11
b、カム軸スプロケット12、若しくは、バランサ軸ス
プロケット13のいずれか一つにおいてコーダルアクシ
ョンが抑制されたとしても、サイレントチェーン伝動機
構全体としてみるとコーダルアクションに伴う振動と騒
音を低減したことにはならなず、また、前記リンク歯の
内側フランクに膨出させた中央部がスプロケット歯面と
衝突して、いわゆる、ビーティングモーションを引き起
こし、新たな振動・騒音やチェーンの張力変動を生じる
という厄介な問題があった。 【0013】そこで、本発明の目的は、4サイクルエン
ジンのクランク軸からカム軸やバランサ軸を駆動する場
合に用いられるような、歯数の相異なるスプロケット間
で動力を伝達するサイレントチェーン伝動機構におい
て、全ての歯数のスプロケットにおけるサイレントチェ
ーンのコーダルアクションとビーティングモーションを
完全に解消して、これによって引き起こされるサイレン
トチェーン伝動機構の振動と騒音を低減するとともに、
噛み合い速度の変動によって引き起こされるサイレント
チェーンの張力変動を抑制して優れた耐久性を発揮する
ことができるサイレントチェーン伝動機構を提供するこ
とである。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、一対のリンク
歯と一対の連結ピン穴とを有するリンクプレートをチェ
ーン幅方向に重ね合わせ、連結ピンでチェーン長手方向
に多数連結してなる無端状のサイレントチェーンが、歯
数の相異なるスプロケットに対して前記一対のリンク歯
に形成された内側フランクで噛み合い進入し、前記一対
のリンク歯に形成された外側フランクで巻き付き着座し
て、動力伝達するサイレントチェーン伝動機構におい
て、前記歯数の相異なるスプロケットが、前記サイレン
トチェーンの内側フランクを連続した形状と概ね相似な
歯形を有するホブカッターを用いて、夫々の歯数に応じ
てスプロケットに進入するチェーンの噛み合い高さと、
スプロケットに巻き付き着座したチェーンのピッチ円半
径とが一致するような転位量で、歯切りされた相異なる
スプロケット歯形を有していると共に、前記サイレント
チェーンの外側フランクが、最小歯数のスプロケットに
チェーンが巻き付き着座した時に接するような直線状歯
先部と、最大歯数のスプロケットにチェーンが巻き付き
着座した時に接するような円弧状歯元部と、前記直線状
歯先部と前記円弧状歯元部の双方に接するような円弧状
中間部とで輪郭形成されていることによって、前記課題
を解決した。 【0015】ここで、本発明における「噛み合い高さ」
とは、スプロケットに噛み合い進入するリンクプレート
のチェーン・ピッチ線からスプロケット中心までの相互
間隔を意味し、また、この「チェーン・ピッチ線」と
は、リンクプレートの一対の連結ピン穴に挿通された一
対の連結ピンの中心を相互に結ぶ直線を意味する。 【0016】本発明における「ピッチ円半径」とは、チ
ェーンがスプロケットに正多角形状に巻き付き着座した
時の連結ピン中心からスプロケット中心までの距離を意
味し、チェーン・ピッチをP、スプロケット歯数をzと
するとき、ピッチ円半径Rcは Rc=P/2sin(π/z) で表される。チェーン・ピッチPは、リンクプレートの
連結ピン穴に挿通された一対の連結ピンの中心間隔とし
て定義される。 【0017】なお、本発明に採用する「歯数の相異なる
スプロケット」は、サイレントチェーンに噛み合い得る
歯数を有するスプロケットであれば、同じ歯数もしくは
異なる歯数を問わず、如何なる歯数のスプロケットを組
み合わせて採用しても構わない。また、これらのスプロ
ケットの歯切り加工時に切り下げが生じないためには、
少なくとも16枚以上のスプロケット歯を有するスプロ
ケットであることが望ましい。 【0018】そして、本発明でチェーン長手方向に多数
連結する「リンクプレート」は、全て同一の歯面形状を
有する内側フランクと外側フランクを採用しており、チ
ェーンを直線状に張った時に隣り合うリンクプレートの
それぞれ対応する内側フランクの相互間隔と外側フラン
クの相互間隔は、チェーン・ピッチPとそれぞれ等しく
なっている。 【0019】また、本発明における「内側フランク」
は、スプロケットに噛み合い進入するチェーンとスプロ
ケットとが一般的に良く知られたラックとピニヨンとの
噛み合い関係を呈するために、チェーンを直線状に張っ
た時に多数の内側フランクが台形状連続歯型のラックを
構成し得る概ね直線状の歯面形状を有していると良い。 【0020】他方、本発明における「外側フランク」
は、後に詳述するように、チェーンを直線状に張った時
に隣り合うリンクプレートの概ね直線状の内側フランク
よりも歯先側に向かってすぼまった概ねS字形曲線状の
歯面形状を呈しており、チェーン張力によって直線状に
引っ張られた状態では、隣り合うリンクプレートの内側
フランクの内側に隠れるようになっている。 【0021】 【作用】本発明のサイレントチェーン伝動機構は、4サ
イクルエンジンのクランク軸からカム軸やバランサ軸を
駆動するような、歯数の相異なるスプロケットに対して
動力伝達するものであって、その最も特徴とする作用は
以下のとおりである。 【0022】本発明のサイレントチェーン伝動機構は、
歯数の相異なるスプロケットが、内側フランクを連続し
た形状と概ね相似な歯形を有するホブカッターを用い
て、夫々の歯数に応じてスプロケットに進入するチェー
ンの噛み合い高さと、スプロケットに巻き付き着座した
チェーンのピッチ円半径とが一致するような転位量で、
歯切りされた相異なるスプロケット歯形を有しているこ
とによって、スプロケットに進入するチェーンの噛み合
い高さはスプロケットの歯数にかかわらず、常にスプロ
ケットに巻き付き着座したチェーンのピッチ円半径に等
しく一定に保たれる。このため、リンク歯に形成された
内側フランクとスプロケット歯面はあたかもラック・ピ
ニオンの如き噛み合い動作を奏し、従来のようなサイレ
ントチェーンがスプロケットに巻き付く際に生じる正多
角形運動に伴う上下動、いわゆる、コーダルアクション
や噛み合い速度の変動を発生しない。 【0023】本発明のサイレントチェーン伝動機構は、
外側フランクの直線状歯先部が、最小歯数のスプロケッ
トにチェーンが巻き付き着座した時にスプロケット歯形
に接するような直線で輪郭形成された歯面形状を有して
いることによって、最小歯数のスプロケットにおいてサ
イレントチェーンがスプロケットに正多角形状に巻き付
き着座することができる。 【0024】また、外側フランクの円弧状歯元部が、最
大歯数のスプロケットにチェーンが巻き付き着座した時
にスプロケット歯形に接するような円弧で輪郭形成され
た歯面形状を有していることによって、最大歯数のスプ
ロケットにおいてサイレントチェーンがスプロケットに
正多角形状に巻き付き着座することができる。 【0025】さらに、外側フランクの円弧状中間部が、
前記直線状歯先部と前記円弧状歯元部の双方に接するよ
うな円弧で輪郭形成された歯面形状を有していることに
よって、最小歯数と最大歯数の間の任意の歯数を有する
スプロケットにおいては、それぞれの歯数に応じてサイ
レントチェーンがスプロケットに正多角形状に巻き付き
着座することができる。 【0026】したがって、スプロケットの歯数にかかわ
らず、内側フランクでスプロケットに噛み合い進入した
着座直前の連結ピン中心の位置と、外側フランクでスプ
ロケットに巻き付き着座した直後の連結ピン中心の位置
が完全に一致するので、従来のような外側フランクがス
プロケットに着座する際に生じる衝突、いわゆる、ビー
ティングモーションを発生しない。 【0027】すなわち、本発明のサイレントチェーン伝
動機構は、同じ歯数もしくは異なる歯数を問わず、如何
なる歯数のスプロケットを組み合わせて伝動機構を構成
しても、サイレントチェーンがスプロケットに噛み合い
進入してから巻き付き着座し終わるまでの間、伝動機構
を構成する全てのスプロケットにおけるサイレントチェ
ーンのコーダルアクションとビーティングモーションを
完全に解消することができるので、伝動機構全体とし
て、これらのコーダルアクションとビーティングモーシ
ョンによって引き起こされるサイレントチェーン伝動機
構の振動と騒音を低減するとともに、噛み合い速度の変
動によって引き起こされるサイレントチェーンの張力変
動を抑制する。 【0028】なお、本発明のサイレントチェーン伝動機
構が、歯数が同一である複数個のスプロケットを備えた
伝動機構である場合は、当然に、サイレントチェーンの
コーダルアクションとビーティングモーションが解消さ
れる。 【0029】 【実施例】以下、本発明の一実施例である歯数の相異な
る複数個のスプロケットを備えたサイレントチェーン伝
動機構を、図面に基づいて説明する。 【0030】まず、本実施例におけるサイレントチェー
ン伝動機構は、図10に示された従来例と同様に自動車
エンジンの吸気バルブと排気バルブをクランク軸の2回
転につき1回転作動させるためにバルブ駆動用サイレン
トチェーン20aによって動力伝達されるバルブ駆動用
クランク軸スプロケット11a、吸気バルブ・カム軸ス
プロケット12a、排気バルブ・カム軸スプロケット1
2bを備えた減速伝動機構と、バランサをクランク軸の
1回転につき2回転させるためにバランサ駆動用サイレ
ントチェーン20bによって動力伝達されるバランサ駆
動用クランク軸スプロケット11b、バランサ軸スプロ
ケット13a、13bを備えた増速伝動機構とを組み合
わせたものから構成されており、前記バルブ駆動用サイ
レントチェーン20aとバランサ駆動用サイレントチェ
ーン20bとは、これらの形状構造において同一のサイ
レントチェーン20を使用している。 【0031】そこで、本実施例のサイレントチェーン伝
動機構で用いたサイレントチェーン20について以下の
とおり詳説する。なお、図1は、サイレントチェーンの
リンクプレートの外形を示す図であり、図2は、サイレ
ントチェーンの編成状態を示す図である。 【0032】本実施例に用いたサイレントチェーン20
は、一対のリンク歯と一対の連結ピン穴とを有するリン
クプレート23a、23b、23c、・・・をチェーン
幅方向に重ね合わせ、連結ピン22a、22b、22
c、・・・でチェーン長手方向に無端状に多数連結して
なるものであって、離間配置された複数個のスプロケッ
ト10に対して内側フランクで噛み合い進入した後に外
側フランクで巻き付き着座して動力伝達するようになっ
ている。 【0033】図1に示すように、前記サイレントチェー
ン20の内側フランクは、チェーン・ピッチ線から内側
フランク・ピッチ線までの相互間隔をHc、内側フラン
ク・圧力角 をαcとして輪郭形成された直線状歯面を
有している。ここで、前記直線状歯面の上限は、概ね、
連結ピンの中心Cから直線状歯面を形成する直線Mに降
ろした垂線の足Hまでとし、相対する内側フランクの直
線状歯面の上限と円弧状に接続されている。また、前記
直線状歯面の下限は、後述する外側フランクの下限とこ
れに接続する円弧部によって必然的に決定される。 【0034】なお、ここで意味する「内側フランク・ピ
ッチ線」とは、内側フランクとの交点同志の距離がチェ
ーン・ピッチの1/2となるような位置でチェーン・ピ
ッチ線に平行な直線のことでり、「内側フランク・圧力
角」とは、内側フランク直線の傾き角度のことである。 【0035】他方、前記サイレントチェーン20の外側
フランクは、最小歯数のスプロケットにチェーンが巻き
付き着座した時にスプロケット歯形に接するような直線
状歯先部と、最大歯数のスプロケットにチェーンが巻き
付き着座した時にスプロケット歯形に接するような円弧
状歯元部と、前記直線状歯先部と前記円弧状歯元部の双
方に接するような円弧状中間部で輪郭形成された歯面形
状を有している。 【0036】ここで、この外側フランクは以下のような
具体的な決定手順によって輪郭形成される。 【0037】すなわち、図3に示すように、チェーン・
ピッチをP、スプロケット歯数をzとするとき、着座高
さV、すなわち、チェーンがスプロケットに正多角形状
に巻き付き着座した時のチェーン・ピッチ線からスプロ
ケット中心までの距離は、 V=P/2tan(π/z) で表される。 【0038】そこで、図3に示すように、最小歯数のス
プロケット10aと最大歯数のスプロケット10bそれ
ぞれの着座高さVにリンクプレート23を配置する。つ
ぎに、図5に示すように、リンクプレート23上に最小
歯数のスプロケット10aにチェーンが巻き付き着座し
た時にスプロケット歯形に接するような直線状歯先部L
と、最大歯数のスプロケット10bにチェーンが巻き付
き着座した時にスプロケット歯形に接するような円弧状
歯元部R1と、前記直線状歯先部Lと前記円弧状歯元部
R1の双方に接するような円弧状中間部R2を描き、こ
の輪郭を外側フランクの歯面形状として採用するもので
ある。 【0039】ここで、図4は、外側フランクの歯面形
状、および、スプロケットの歯形曲線と外側フランクの
歯面形状との関係を示すものであり、図5は、外側フラ
ンクの輪郭決定手順を示す図である。なお、図4および
図5に示したzは、スプロケット歯数でる。外側フラン
クの歯面形状は、図5において、以下に述べるような手
順で輪郭決定する。 【0040】まず、図5において、外側フランクの直線
状歯先部Lは、最小歯数z1のスプロケット10aにリ
ンクプレート23が着座高さVで着座した時に、該スプ
ロケット歯形に接するように描かれている。また、外側
フランクの直線状歯先部Lの下限は、概ね、遠い方の連
結ピンの中心C1から直線状歯先部Lに降ろした垂線の
足Kまでとして、相対する内側フランクの直線状歯面を
形成する直線Mと円弧状に接続されており、内側フラン
クの直線状歯面の下限は、これによって必然的に決定さ
れる。また、これによって、リンクプレート歯先の円弧
部とスプロケットの歯面との干渉が避けられる。外側フ
ランクの直線状歯先部Lの傾き角度αfは、内側フラン
クの直線状歯面を形成する直線Mの傾き角度αcと異な
る角度であっても良い。 【0041】つぎに、前記外側フランクの円弧状歯元部
R1は、最大歯数z2のスプロケット10bにリンクプ
レート23が着座高さVで着座した時に、該スプロケッ
ト歯形に接し、かつ、一端がリンクプレート23肩部の
曲線に接するように描かれている。ここで、リンクプレ
ート23肩部の曲線は、一例として、近い方の連結ピン
の中心C2から、サイレントチェーン20を直線状に張
った時に隣接するリンクプレートの内側フランクの直線
状歯面を形成する直線Mに接するような半径Rsの円弧
であっても良い。 【0042】そして、外側フランクの円弧状中間部R2
は、一端が前記直線状歯先部Lに接し、かつ、他端が前
記円弧状歯元部R1に接するように描かれている。 【0043】このようにして輪郭決定された外側フラン
クは、サイレントチェーン20を直線状に張った時に隣
接するリンクプレートの内側フランクの直線状歯面を形
成する直線Mよりも歯先側に向かってすぼまった概ねS
字形曲線状の歯面形状を呈している。 【0044】そこで、図5における最小歯数z1のスプ
ロケット10aと最大歯数z2のスプロケット10bの
歯形曲線を見ると、サイレントチェーン20の外側フラ
ンクは、最小歯数のスプロケット10aと最大歯数のス
プロケット10bのいずれの歯形にも接触することがで
きるので、いずれのスプロケットにも着座高さVで正多
角形状に着座することができる。 【0045】また、図4における最小歯数z1と最大歯
数z2の間のスプロケット歯形曲線群を見ると、何れか
の曲線が他の曲線を完全に覆い隠すことはなく、また、
何れの曲線も外側フランクの歯面形状に極めて接近して
いるので、サイレントチェーン20の外側フランクは、
実質上、いかなる歯数を有するスプロケットにも着座高
さVで正多角形状に着座することができる。 【0046】また、このように輪郭形成された外側フラ
ンクの歯面形状が、チェーンを直線状に張った時に隣り
合うリンクプレートの概ね直線状の内側フランクよりも
歯先側に向かってすぼまったS字形曲線状の歯面形状を
呈していることから、図2に示すように、チェーン張力
によって直線状に引っ張られた状態においては、外側フ
ランクは内側フランクの陰に隠れるような状態になるの
で、サイレントチェーン20がスプロケット10に進入
する時に、外側フランクが内側フランクの噛み合いを妨
げることはない。 【0047】以上のようにして輪郭形成された一対のリ
ンク歯を有するリンクプレートは、図2に示すように、
全て同一形状のものを採用しており、隣り合うリンクプ
レートにおいてそれぞれ対応する内側フランクの相互間
隔は、前述したチェーン・ピッチと等しくなっている。 【0048】次に、本実施例のサイレントチェーン伝動
機構で用いたスプロケットについて以下のとおり詳説す
る。なお、図6は、ホブカッターの外形を示す図であ
り、図7は、スプロケット歯切り加工の概念を示す図で
ある まず、図6に示すように、クランク軸スプロケット1
1、カム軸スプロケット12、バランサ軸スプロケット
13を歯切り加工するホブカッターは、サイレントチェ
ーン20のリンク歯に形成された直線状内側フランクを
連続した形状と概ね相似な台形歯形を有しており、いず
れのスプロケット11、12、13に対しても同一のホ
ブカッターで歯切りすることができる。 【0049】すなわち、ホブカッターのピッチと圧力角
は、チェーン・ピッチP、リンクプレートの内側フラン
ク・圧力角αcにそれぞれ等しく、デデンダムHdはリ
ンクプレートの内側フランク・ピッチ線から内側フラン
クの歯底までの距離よりも正多角形運動量Δだけ小さ
く、また、アデンダムHaは内側フランク・ピッチ線か
らリンク歯先までの距離よりも正多角形運動量Δだけ大
きく形成されている。ここで、正多角形運動量Δは、ス
プロケットが半ピッチ角(π/z)回転する毎に、スプ
ロケットに進入するチェーンの噛み合い高さがRcとV
の間で変動することによって生ずるものであり、その大
きさは、 Δ=Rc−V =(P/2)[1/sin(π/z)−1/2tan(π/z)] で表わされる。上式から明らかなように、正多角形運動
量Δはスプロケット歯数zによって異なり、スプロケッ
ト歯数が小さいほど正多角形運動量は大きい。したがっ
て、デデンダムHd、および、アデンダムHaを決定す
る際には、対象とするサイレントチェーン伝動機構にお
いて起こり得る最大の正多角形運動量、すなわち、最小
歯数z1のスプロケット10aにおける正多角形運動量 Δ1=(P/2)[1/sin(π/z1)−1/2t
an(π/z1)] を採用する。これによって、いずれのスプロケット1
1、12、13に対してもスプロケットの歯先と内側フ
ランク上端の円弧部との干渉、あるいは、スプロケット
の歯底とリンクプレート歯先の円弧部との干渉が避けら
れるので、全てのスプロケットは同一のホブカッターで
歯切りすることができる。 【0050】そして、図7に示すように、クランク軸、
カム軸、バランサ軸の歯数が相異なるそれぞれのスプロ
ケット11、12、13は、内側フランクを連続した形
状と概ね相似な歯形を有するホブカッターを用いて、そ
れぞれのスプロケット歯数に応じて、スプロケットに進
入するチェーンの噛み合い高さと、スプロケットに巻き
付き着座したチェーンのピッチ円半径とが一致するよう
な転位量Xで歯切りされるので、それぞれのスプロケッ
トには、ピッチP、圧力角αc、デデンダムHd、アデ
ンダムHaからなる同一のホブカッターを用いて、スプ
ロケット歯数毎に相異なるスプロケット歯形が形成され
る。 【0051】ここで、これらのスプロケット歯数毎に相
異なるスプロケットの歯切り加工時の転位量は、以下の
ような具体的算出方法によって決定される。すなわち、
図7に示すように、ホブのピッチをP、スプロケット歯
数をz、スプロケット10の歯切りピッチ円直径をDp
とすれば、周知のように Dp=P×z/π である。ここに、歯切りピッチ線は、スプロケット中心
からDp/2だけ離れた直線であり、転位量Xは、歯切
りピッチ線からホブの歯形中心線までの距離として定義
される。 【0052】一方、チェーン・ピッチをP、スプロケッ
ト歯数をzとするとき、サイレントチェーンがスプロケ
ットに正多角形状に巻き付き着座した時の連結ピン中心
からスプロケット中心までの距離、すなわち、ピッチ円
半径Rcは Rc=P/2sin(π/z) で表される。そこで、歯切り加工時の転位量は、チェー
ンの内側フランク・ピッチ線とホブの歯形中心線とが一
致し、かつ、スプロケットに進入するチェーンの噛み合
い高さとスプロケットに巻き付き着座したチェーンのピ
ッチ円半径とが一致するよう設定すれば、容易に求める
ことができる。 【0053】すなわち、チェーン・ピッチ線から内側フ
ランク・ピッチ線までの相互間隔をHc、転位量をXと
すると、図7から明らかなように X=Hc−[Rc−Dp/2] となり、それぞれのスプロケット歯数に応じて歯切り加
工時の転位量が一義的に定まる。 【0054】したがって、歯数の相異なるそれぞれのス
プロケット11、12、13は、スプロケット歯数毎に
異なったスプロケット歯形で内側フランクと噛み合いな
がら、スプロケットに進入するサイレントチェーン20
の噛み合い高さを、明らかに、チェーンのピッチ円半径
に等しく保つことができる。 【0055】このように構成された本実施例のサイレン
トチェーン伝動機構の基本的な作動状態を歯数の相異な
るそれぞれのスプロケット11、12、13のいずれか
一つのスプロケット(以下、スプロケット10とい
う。)に注目して説明すると、以下のとおりである。 【0056】図8は、リンクプレート23aがスプロケ
ット10に着座した瞬間、すなわち、スプロケット10
の中心と連結ピン22aとスプロケット10に進入する
サイレントチェーンとが直角を成す場合の噛み合い状態
を示す。なお、図中の22a、22b、22c・・・
は、サイレントチェーンを構成する連結ピンであり、2
3a、23b、23c・・・は、サイレントチェーンを
構成するリンクプレートである。 【0057】まず、リンクプレート23aは、外側フラ
ンクの形状が、最小歯数のスプロケットにチェーンが巻
き付き着座した時に接するような直線状歯先部Lと、最
大歯数のスプロケットにチェーンが巻き付き着座した時
に接するような円弧状歯元部R1と、前記直線状歯先部
と前記円弧状歯元部の双方に接するような円弧状中間部
R2で輪郭形成されているので、最小歯数から最大歯数
までの全てのスプロケット10において、サイレントチ
ェーン20は正多角形状に巻き付き着座することができ
る。 【0058】また、リンクプレート23bに後続するチ
ェーンは、チェーン張力によって直線状に引っ張られた
状態となっているため、噛み合い高さはピッチ円半径に
一致する。 【0059】したがって、このリンクプレート23bに
後続するチェーンは、チェーン張力によって直線状に引
っ張られた状態において、外側フランクが内側フランク
の輪郭よりも内側に隠れているため、スプロケット10
をピニオンとした場合に多数の内側フランクで構成され
た台形状連続歯型のラックと見做すことができ、スプロ
ケット10に進入するチェーンとスプロケット10と
は、一般的に良く知られたラックとピニヨンとの噛み合
い関係を呈する。 【0060】次に、図9は、図8の噛み合い状態からス
プロケット10がピッチ角の1/2だけ回転してリンク
プレートがピッチの1/2だけ進んだ状態を示す。 【0061】そこで、リンクプレート23cは、内側フ
ランクでスプロケット10の歯面と噛み合っており、ス
プロケット10歯数の相異なるスプロケットが、スプロ
ケットに進入するチェーンの噛み合い高さと、スプロケ
ットに巻き付き着座したチェーンのピッチ円半径とが一
致するような転位量に設定して歯切りされているから、
スプロケット10の中心からリンクプレート23cのチ
ェーン・ピッチ線までの距離、いわゆる、噛み合い高さ
は、当然ピッチ円半径と一致する。 【0062】また、リンクプレート23cに後続するチ
ェーンは、チェーン張力によって直線状に引っ張られた
状態において、外側フランクが内側フランクの輪郭より
も内側に隠れているため、スプロケット10をピニオン
とした場合に多数の内側フランクで構成された台形状連
続歯型のラックと見做すことができ、スプロケット10
に進入するチェーンとスプロケット10とは、一般的に
良く知られたラックとピニヨンとの噛み合い関係を呈す
る。 【0063】すなわち、図9において、リンクプレート
23cの内側フランクがスプロケット10に噛み合い始
めてから、連結ピン22bが連結ピン22aの存在して
いた位置まで1ピッチ進む間、スプロケット中心からリ
ンクプレート23cのチェーン・ピッチ線までの距離、
いわゆる、噛み合い高さは、常にピッチ円半径と等しく
保たれる。 【0064】このリンクプレート23cが1ピッチ進む
間、リンクプレート23bの内側フランクは、連結ピン
22aを中心とする屈曲運動によってスプロケット10
から離れ、他方、リンクプレート23bの外側フランク
は、まだ、スプロケット10と接触しないので、リンク
プレート23bは、連結ピン22aと連結ピン22bに
支持されてスプロケット10に滑らかに噛み込んでい
く。 【0065】したがって、カム軸スプロケット12がク
ランク軸スプロケット11aに対して2倍の歯数を備
え、あるいは、バランサ軸スプロケット13がクランク
軸スプロケット11bに対して1/2の歯数を備えてい
る場合であっても、スプロケットの歯数にかかわらずス
プロケット10に進入するサイレントチェーン20のチ
ェーン・ピッチ線は常にピッチ円半径と等しい高さにあ
り、スプロケットに進入するサイレントチェーンの噛み
合い高さが、スプロケットに巻き付く際に生じ得る正多
角形運動の最高点となるように、常に一定に保たれる。
このため、チェーンの内側フランクとスプロケット歯面
は、あたかもラック・ピニオンの如き噛み合い動作を奏
し、従来のようなサイレントチェーンがスプロケットに
巻き付く際に生じる正多角形運動に伴う上下動、いわゆ
る、コーダルアクションが解消され、また、サイレント
チェーンの噛み合い速度の変動が発生しない。 【0066】また、本実施例のサイレントチェーン伝動
機構は、外側フランクが最小歯数のスプロケットにチェ
ーンが巻き付き着座した時にスプロケット歯形に接する
ような直線状歯先部Lと、最大歯数のスプロケットにチ
ェーンが巻き付き着座した時にスプロケット歯形に接す
るような円弧状歯元部R1と、前記直線状歯先部Lと前
記円弧状歯元部R1の双方に接するような円弧状中間部
R2で輪郭形成された歯面形状を有していることによっ
て、カム軸スプロケット12がクランク軸スプロケット
11aに対して2倍の歯数を備え、あるいは、バランサ
軸スプロケット13がクランク軸スプロケット11bに
対して1/2の歯数を備えている場合であっても、外側
フランクがそれぞれの歯数に応じて正多角形状に巻き付
き着座することができる。このため、内側フランクでス
プロケットに噛み合い進入した着座直前の連結ピン中心
の位置と、外側フランクでスプロケットに巻き付き着座
した直後の連結ピン中心の位置がスプロケット歯数の大
小に係わらず一致し、全てのスプロケット11、12、
13においてサイレントチェーン20外側フランクがス
プロケットに着座する際に生じる衝突、いわゆる、ビー
ティングモーションが解消される。 【0067】以上のようにして得られた本実施例のサイ
レントチェーン伝動機構は、従来のサイレントチェーン
伝動機構と比較すると、伝動機構を構成する全てのスプ
ロケット11、12、13において、サイレンチェーン
20がスプロケット11、12、13に噛み合い始めて
から着座し終わるまでの噛み合い動作の全過程でスプロ
ケット中心からチェーン・ピッチ線までの距離を一定に
維持することができるため、伝動機構全体としてサイレ
ントチェーン20のコーダルアクションとビーティング
モーションを解消することができる。 【0068】 【発明の効果】本発明のサイレントチェーン伝動機構
は、4サイクルエンジンのクランク軸からカム軸やバラ
ンサ軸を駆動するような、歯数の相異なるスプロケット
に対して動力伝達するものであって、以下のような特有
の効果を奏することができる。すなわち、 (1)歯数の相異なるスプロケットが、内側フランクを
連続した形状と概ね相似な歯形を有するホブカッターを
用いて、夫々の歯数に応じてスプロケットに進入するチ
ェーンの噛み合い高さと、スプロケットに巻き付き着座
したチェーンのピッチ円半径とが一致するような転位量
で、歯切りされた相異なるスプロケット歯形を有してい
ることによって、スプロケットの歯数にかかわらず、ス
プロケットに進入するサイレントチェーンの噛み合い高
さが、ピッチ円半径とが一致するように常に一定に保た
れるため、チェーンの内側フランクとスプロケット歯面
は、あたかもラック・ピニオンの如き噛み合い動作を奏
し、従来のようなサイレントチェーンがスプロケットに
巻き付く際に生じる正多角形運動に伴う上下動、いわゆ
る、コーダルアクションや噛み合い速度の変動を発生し
ない。 【0069】(2)外側フランクが、最小歯数のスプロ
ケットにチェーンが巻き付き着座した時に接するような
直線状歯先部と、最大歯数のスプロケットにチェーンが
巻き付き着座した時に接するような円弧状歯元部と、前
記直線状歯先部と前記円弧状歯元部の双方に接するよう
な円弧状中間部とで輪郭形成されていることによって、
スプロケット歯数の大小に係わらず、外側フランクはそ
れぞれの歯数に応じて正多角形状に巻き付き着座するこ
とができるため、内側フランクでスプロケットに噛み合
い進入した着座直前の連結ピン中心の位置と、外側フラ
ンクでスプロケットに巻き付き着座した直後の連結ピン
中心の位置がスプロケット歯数の大小に係わらず一致
し、従来のような外側フランクがスプロケットに着座す
る際に生じる衝突、いわゆる、ビーティングモーション
を発生しない。 【0070】(3)したがって、同じ歯数もしくは異な
る歯数を問わず、如何なる歯数のスプロケットを組み合
わせて伝動機構を構成しても、サイレンチェーンがスプ
ロケットに噛み合い進入してから巻き付き着座し終わる
までの間、伝動機構を構成する全てのスプロケットにお
けるサイレントチェーンのコーダルアクションとビーテ
ィングモーションを完全に解消することができるので、
伝動機構全体として、これらのコーダルアクションとビ
ーティングモーションによって引き起こされるサイレン
トチェーン伝動機構の振動と騒音を低減するとともに、
噛み合い速度の変動によって引き起こされるサイレント
チェーンの張力変動を抑制して優れた耐久性を発揮する
ことができる。
状態図。 【図3】 本発明における外側フランク形成方法の概念
図。 【図4】 歯数の異なるスプロケットの歯形を投影した
部分図。 【図5】 外側フランクの輪郭決定手順を示した図。 【図6】 スプロケット歯切りに用いるホブカッターの
一部断面図。 【図7】 本発明におけるスプロケット歯切り加工の概
念図。 【図8】 本発明における噛み合い状態図。 【図9】 図8の噛み合い状態からピッチ角の半分回転
した時の噛み合い状態図。 【図10】 従来のサイレントチェーン伝動機構の全体
概要図。 【符号の説明】 10 ・・・・ スプロケット 10a ・・・ 最小歯数のスプロケット 10b ・・・ 最大歯数のスプロケット 11a ・・・ カム軸駆動用クランク軸スプロケット 11b ・・・ バランサ軸駆動用クランク軸スプロケ
ット 12 ・・・・ カム軸スプロケット 13 ・・・・ バランサ軸スプロケット 20 ・・・・ サイレントチェーン 20a ・・・ カム軸駆動用サイレントチェーン 20b ・・・ バランサ軸駆動用サイレントチェーン 22a,22b,22c ・・・ 連結ピン 23a,23b,23c ・・・ リンクプレート αc ・・・・ 内側フランクの圧力角 αf ・・・・ 外側フランクの圧力角 P ・・・・・ チェーン・ピッチ z ・・・・・ スプロケットの歯数 z1 ・・・・ スプロケットの最小歯数 z2 ・・・・ スプロケットの最大歯数 Rc ・・・・ チェーンをスプロケットに正多角形状
に巻き付けた時のスプロケット中心ら連結ピンまでの中
心間隔 V ・・・・・ チェーンをスプロケットに正多角形状
に巻き付けた時のスプロケット中心らチェーン・ピッチ
線までの相互間隔 Dp ・・・・ スプロケットのピッチ円直径 Hc ・・・・ チェーン・ピッチ線から内側フランク
・ピッチ線までの相互間隔 X ・・・・・ 転位量
【手続補正書】 【提出日】平成13年8月6日(2001.8.6) 【手続補正1】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図5 【補正方法】変更 【補正内容】 【図5】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成13年12月18日(2001.12.
18) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0034 【補正方法】変更 【補正内容】 【0034】なお、ここで意味する「内側フランク・ピ
ッチ線」とは、内側フランクとの交点同士の距離がチェ
ーン・ピッチの1/2となるような位置でチェーン・ピ
ッチ線に平行な直線のことでり、「内側フランク・圧力
角」とは、内側フランク直線の傾き角度のことである。 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0059 【補正方法】変更 【補正内容】 【0059】したがって、このリンクプレート23bに
後続するチェーンは、チェーン張力によって直線状に引
っ張られた状態において、外側フランクが内側フランク
の輪郭よりも内側に隠れているため、スプロケット10
をピニオンとした場合に多数の内側フランクで構成され
た台形状連続歯型のラックと見做すことができ、スプロ
ケット10に進入するチェーンとスプロケット10と
は、一般的に良く知られたラックとピニオンとの噛み合
い関係を呈する。 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0066 【補正方法】変更 【補正内容】 【0066】また、本実施例のサイレントチェーン伝動
機構は、外側フランクが最小歯数のスプロケットにチェ
ーンが巻き付き着座した時にスプロケット歯形に接する
ような直線状歯先部Lと、最大歯数のスプロケットにチ
ェーンが巻き付き着座した時にスプロケット歯形に接す
るような円弧状歯元部R1と、前記直線状歯先部Lと前
記円弧状歯元部R1の双方に接するような円弧状中間部
R2で輪郭形成された歯面形状を有していることによっ
て、カム軸スプロケット12がクランク軸スプロケット
11aに対して2倍の歯数を備え、あるいは、バランサ
軸スプロケット13がクランク軸スプロケット11bに
対して1/2の歯数を備えている場合であっても、外側
フランクがそれぞれの歯数に応じて正多角形状に巻き付
き着座することができる。このため、内側フランクでス
プロケットに噛み合い進入した着座直前の連結ピン中心
の位置と、外側フランクでスプロケットに巻き付き着座
した直後の連結ピン中心の位置がスプロケット歯数の大
小に係わらず一致し、全てのスプロケット11、12、
13においてサイレントチェーン20の外側フランクが
スプロケットに着座する際に生じる衝突、いわゆる、ビ
ーティングモーションが解消される。 【手続補正4】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0067 【補正方法】変更 【補正内容】 【0067】以上のようにして得られた本実施例のサイ
レントチェーン伝動機構は、従来のサイレントチェーン
伝動機構と比較すると、伝動機構を構成する全てのスプ
ロケット11、12、13において、サイレントチェー
ン20がスプロケット11、12、13に噛み合い始め
てから着座し終わるまでの噛み合い動作の全過程でスプ
ロケット中心からチェーン・ピッチ線までの距離を一定
に維持することができるため、伝動機構全体としてサイ
レントチェーン20のコーダルアクションとビーティン
グモーションを解消することができる。 【手続補正5】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0070 【補正方法】変更 【補正内容】 【0070】(3)したがって、同じ歯数もしくは異な
る歯数を問わず、如何なる歯数のスプロケットを組み合
わせて伝動機構を構成しても、サイレントチェーンがス
プロケットに噛み合い進入してから巻き付き着座し終わ
るまでの間、伝動機構を構成する全てのスプロケットに
おけるサイレントチェーンのコーダルアクションとビー
ティングモーションを完全に解消することができるの
で、伝動機構全体として、これらのコーダルアクション
とビーティングモーションによって引き起こされるサイ
レントチェーン伝動機構の振動と騒音を低減するととも
に、噛み合い速度の変動によって引き起こされるサイレ
ントチェーンの張力変動を抑制して優れた耐久性を発揮
することができる。 【手続補正7】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図5 【補正方法】変更 【補正内容】 【図5】 【手続補正8】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図8 【補正方法】変更 【補正内容】 【図8】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 一対のリンク歯と一対の連結ピン穴とを
有するリンクプレートをチェーン幅方向に重ね合わせ、
連結ピンでチェーン長手方向に多数連結してなる無端状
のサイレントチェーンが、歯数の相異なるスプロケット
に対して前記一対のリンク歯に形成された内側フランク
で噛み合い進入し、前記一対のリンク歯に形成された外
側フランクで巻き付き着座して、動力伝達するサイレン
トチェーン伝動機構において、 前記歯数の相異なるスプロケットが、前記サイレントチ
ェーンの内側フランクを連続した形状と概ね相似な歯形
を有するホブカッターを用いて、夫々の歯数に応じてス
プロケットに進入するチェーンの噛み合い高さと、スプ
ロケットに巻き付き着座したチェーンのピッチ円半径と
が一致するような転位量で、歯切りされた相異なるスプ
ロケット歯形を有していると共に、 前記サイレントチェーンの外側フランクが、最小歯数の
スプロケットにチェーンが巻き付き着座した時に接する
ような直線状歯先部と、最大歯数のスプロケットにチェ
ーンが巻き付き着座した時に接するような円弧状歯元部
と、前記直線状歯先部と前記円弧状歯元部の双方に接す
るような円弧状中間部とで輪郭形成されていることを特
徴とするサイレントチェーン伝動機構。
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