JP4944856B2 - サイレントチェーン伝動装置 - Google Patents
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Description
また、かかる構成によれば、スプロケットホイールの各歯部に形成された内股着座部に、リンクプレートの内股部が着座するとともに、同じ歯部の外股着座部に、先行するリンクプレートの外股部が着座することとなる。換言すれば、一のリンクプレートの外股部が、スプロケットホイールの歯部の外股着座部で支持されるとともに、同じリンクプレートの内股部が、スプロケットホイールの先行する歯部の内股着座部に支持されることとなる。そのため、リンクプレート及びスプロケットホイールの各歯部に係る荷重が分散されるので、スプロケットホイール及びリンクプレートの歯部の磨耗を抑制することができる。
また、かかる構成によれば、内股着座部が外股着座部の歯先側に連続して形成されているので、外股着座部よりも先に、内股着座部がリンクプレートの内股部に接触し、内股着座部と内股部が接触した状態を保ったまま、外股着座部にリンクプレートの外股部が着座することとなる。そのため、スプロケットホイール及びリンクプレートの歯部の磨耗を抑制することができることに加え、リンクプレートがスプロケットホイールに着座する際の騒音を低減することができる。
また、かかる構成によれば、リンクプレートの内股部がスプロケットホイールの内股着座部にすべり接触するとともに、リンクプレートの外股部がスプロケットホイールの外股着座部にすべり接触するので、リンクプレートがスプロケットホイールに着座する際の騒音を極めて小さくすることができる。
図1は、本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置の側面図である。図2は、リンクプレートの側面図である。
なお、従動側スプロケットホイールは、スプロケットホイール2と略同一の構造であるので、詳細な説明を省略する。
各リンクプレート5は、図2に示すように、サイレントチェーン3の駆動前後方向に離間して、側面視で略三角形状の一対の歯部51,51を有している。歯部51の外股部(外側フランク面)51aは、直線状に形成されている。歯部51の内股部(内側フランク面)51bは、外向きに膨らんだ曲線状(円弧状)に形成されている。
また、各リンクプレート5は、サイレントチェーン3の駆動前後方向に離間して、一対のピン孔52,52を有している。ピン孔52の内径は、連結ピン6を遊嵌できるように、連結ピン6の外径よりも若干大きく構成されている。
各リンクプレート5は、歯部51を内側に向けた状態で、連結ピン6により、連鎖状かつ無端状に連結されている。
なお、連結ピン6の両端部には、図示しないガイドプレート(図9参照)が装着されている。
図3は、スプロケットホイールの歯部を創成するための工具の説明図であり、(a)は仮想の外股リンクプレートの側面図、(b)は仮想の外股リンクプレートを直線状に並べた状態の側面図、(c)は外股用ラックの側面図、である。
図4は、スプロケットホイールの歯部を創成するための工具の説明図であり、(a)は仮想の内股リンクプレートの側面図、(b)は仮想の外股リンクプレートを直線状に並べた状態の側面図、(c)は内股用ラックの側面図、である。
図5は、駆動側スプロケットホイールの歯部の拡大側面図である。
このような外形を有する複数の仮想の外股リンクプレート7を直線状に並べた際の歯部外形形状が、図3(b)に示されている。
そして、創成の第1段階においてスプロケットホイール2を創成する外股用ラック70は、図3(c)に示すように、外股リンクプレート7を直線状に並べた際の歯部外形形状と同一形状を有している。
外股用ラック70による歯切りは、外股用ラック70と平行で、外股用ラック70の歯部厚さと外股用ラック70の歯部間距離が等しくなる直線上の外股用ラック70の歯部間距離の中点Cを外股用ラック70の回転中心として行われる。
このようにして外股用ラック70で歯切りして得られる歯部21の歯部形状、すなわち、後記する外股着座部21a(図5参照)の歯部形状は、外股用ラック70の歯部の内股部及び外股部が直線状であるので、インボリュート曲線となる。
このような外形を有する複数の仮想の内股リンクプレート8を直線状に並べた際の歯部外形形状が、図4(b)に示されている。
そして、創成の第2段階においてスプロケットホイール2を創成する内股用ラック80は、図4(c)に示すように、内股リンクプレート8を直線状に並べた際の歯部外形形状と同一形状を有している。
内股用ラック80による歯切りは、内股用ラック80と平行で、内股用ラック80の歯部厚さと内股用ラック80の歯部間距離が等しくなる直線上の内股用ラック80の歯部間距離の中点Cを内股用ラック80の回転中心として行われる。
このようにして内股用ラック80で歯切りして得られる歯部21の歯先側の歯部形状、すなわち、後記する内股着座部21b(図5参照)の歯部形状は、内股用ラック80の歯部の内股部及び外股部が外向きに膨らんだ曲線状であるので、円弧状となる。
なお、本実施形態においては、スプロケットホイール2の歯部21のピッチを、リンクプレート5の歯部51のピッチよりも小さく設定している。
図6(a)は、駆動側スプロケットホイールとサイレントチェーンとの噛み合い始めの状態を示した側面図であり、(b)は(a)に示したX部の拡大図である。
図7(a)は、駆動側スプロケットホイールとサイレントチェーンとの噛み合いが進んだ状態を示した側面図であり、(b)は(a)に示したY部の拡大図である。
図8(a)は、駆動側スプロケットホイールとサイレントチェーンとの噛み合いがさらに進んだ状態を示した側面図であり、(b)は(a)に示したZ部の拡大図である。
以下の説明においては、スプロケットホイール2に対して噛み合いを開始した直後のリンクプレート5Aと、このリンクプレート5Aに対して一駒分だけ先行するリンクプレート5Bに着目して説明する。
このとき、図6(b)に示すように、直線状に形成されたリンクプレート5Bの後側の外股部51Baは、曲線状に膨らんで形成されたリンクプレート5Aの内股部51Abよりも内側に位置しているので、スプロケットホイール2の歯部21Aには接触していない。
なお、図6(a)に示すように、リンクプレート5Bの前側の内股部51Bbは、スプロケットホイール2の歯部21Aに一つ先行する歯部21Bの内股着座部21Bbに接触している。
これにより、リンクプレート5Bは、歯部21Aの外股着座部21Aaによって後側の外股部51Baを支持されるとともに、歯部21Bの内股着座部21Bbによって前側の内股部51Bbを支持されることとなる。
なお、このとき、リンクプレート5Aの後側の外股部51Aaは、歯部21Aよりも一つ後方の歯部21Cには接触していない。
これにより、リンクプレート5Aは、歯部21Cの外股着座部21Caによって後側の外股部51Aaを支持されるとともに、歯部21Aの内股着座部21Abによって前側の内股部51Abを支持されることとなる。
本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置1によれば、各リンクプレート5が、外股部51aと内股部51bの2箇所で、スプロケットホイール2に着座する。そのため、従来に比較して接触面積を増やすことができるため、接触面圧を分散し、リンクプレート5の歯部51又はスプロケットホイール2の歯部21の早期磨耗を抑制することが可能となる。
換言すれば、リンクプレート5は、始めに、前側の内股部51bがスプロケットホイール2の歯部21の内股着座部21bに接触し、その後、スプロケットホイール2の回転に伴い、内股部51bの接触状態を維持したまま、このリンクプレート5よりも一つ前方に連結されているリンクプレート5の後側の外股部51aが、前記内股着座部21bの歯元側に連続して形成された外股着座部21aに着座する。
つまり、サイレントチェーン伝動装置1は、スプロケットホイール2にサイレントチェーン3が巻き付く動きを利用して、内股部51bの接触状態を維持したまま、外股部51aを着座させるので、サイレントチェーン3の多角形運動を抑制して滑らかに着座させることが可能となり、着座時の騒音を低減することができる。
図9は、実施例及び比較例に用いたサイレントチェーンを示す図面であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は分解斜視図、である。
図9に示すように、2枚のリンクプレート12,12を隣接配置してリンク列13を構成するとともに、リンク列13の両外側に1枚のリンクプレート15と1枚のガイドプレート14とをそれぞれ配置してガイド列16を構成し、これらのリンク列13とガイド列16をピン17で連鎖状に連結して実施例1に用いるサイレントチェーン11を構成した。
リンク列13のリンクプレート12とガイド列16のリンクプレート15とは、厚さ寸法が異なる点を除いて同一の形状に形成した。リンク列13のリンクプレート12の厚さ寸法は、2.6mmとした。また、ガイド列16のリンクプレート15の厚さ寸法は、1.4mmとした。
スプロケットホイールは、SCM(クロムモリブデン鋼)材に浸炭焼入れ熱処理を施したもので形成されている。また、スプロケットホイールの直径は、歯元でφ79.515mm(歯先でφ87.525mm)である。
スプロケットホイールの直径を歯元でφ34.54mm(歯先でφ42.06mm)とし、歯数を18本としたこと以外は、実施例1と同様にして、計測を行った。
スプロケットホイールをアイドラーギヤに適用したこと以外は、実施例1と同様にして、計測を行った。
比較例1は、(1)リンクプレート12,15の内股部を直線状に形成した点、及び、(2)スプロケットホイールの歯部の噛合面全体をインボリュート形状に形成した点、を除いて、実施例1と同様にして計測を行った。
なお、このようなサイレントチェーン伝動装置では、特許文献2に記載のように、リンクプレートの内股部が接触した後、リンクプレートの外股部のみがスプロケットホイールの歯部に噛み合う(着座する)こととなる。
比較例2は、(1)リンクプレート12,15の内股部を直線状に形成した点、及び、(2)スプロケットホイールの歯部の噛合面全体をインボリュート形状に形成した点、を除いて、実施例2と同様にして計測を行った。
比較例3は、(1)リンクプレート12,15の内股部を直線状に形成した点、及び、(2)スプロケットホイールの歯部の噛合面全体をインボリュート形状に形成した点、を除いて、実施例3と同様にして計測を行った。
図11(a)は実施例2に係るスプロケットホイールの歯部の磨耗量を示す断面図であり、(b)は比較例2に係るスプロケットホイールの歯部の磨耗量を示す断面図である。
図12(a)は実施例3に係るスプロケットホイールの歯部の磨耗量を示す断面図であり、(b)は比較例3に係るスプロケットホイールの歯部の磨耗量を示す断面図である。
なお、図10(a)は、縦方向の縮尺を図10(b)の十倍にしてある。図11、図12も同様である。
これは、両端部に配置されたガイド列16のリンクプレート15の方が、中央部に配置されたリンク列13のガイドプレート12よりも厚さ寸法が小さいためであると考えられる。
これは、実施例1乃至実施例3では、スプロケットホイールの一つの歯部の噛合面に、4つのリンクプレートが同時に接触するのに対し、比較例1乃至実施例3では、スプロケットホイールの一つの歯部の噛合面に、2つのリンクプレートしか接触せず、接触面圧が高いためであると考えられる。
2 スプロケットホイール
21 歯部
21a 外股着座部
21b 内股着座部
3 サイレントチェーン
5 リンクプレート
51 歯部
52 ピン孔
51a 外股部
51b 内股部
6 連結ピン
7 外股リンクプレート
8 内股リンクプレート
70 外股用ラック
80 内股用ラック
Claims (2)
- 駆動前後方向に、一対の歯部と、連結ピンが遊嵌される一対のピン孔とが形成された複数のリンクプレートを、前記連結ピンにより連鎖状に連結して形成されるサイレントチェーンと、
前記サイレントチェーンの歯部と噛み合う歯部を外周部に複数有するスプロケットホイールと、からなるサイレントチェーン伝動装置であって、
前記スプロケットホイールの歯部の噛合面に、前記リンクプレートの内股部が着座する内股着座部と、前記リンクプレートの外股部が着座する外股着座部と、が形成され、
前記内股着座部は、前記外股着座部の歯先側に連続して形成され、
前記外股着座部は、内股部及び外股部の形状を前記リンクプレートの外股部と同一形状に形成した仮想の外股リンクプレートを直線状に並べた際の歯部外形形状と同一形状を有する外股用ラックを用いて創成された形状を有し、
前記内股着座部は、内股部及び外股部の形状を前記リンクプレートの内股部と同一形状に形成した仮想の内股リンクプレートを直線状に並べた際の歯部外形形状と同一形状を有する内股用ラックを用いて創成された形状を有する
ことを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。 - 請求項1に記載のサイレントチェーン伝動装置であって、
前記サイレントチェーンと前記スプロケットホイールとの噛み合いは、前記リンクプレートの歯部の内股部と前記内股着座部との接触から開始され、
前記スプロケットホイールの回転に伴い、前記リンクプレートの内股部と前記内股着座部との接触が維持された状態で、先行する前記リンクプレートの外股部が、前記外股着座部に着座することを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。
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