JP2003049396A - 消臭性紙、およびこれを用いる糞尿臭の消臭方法 - Google Patents
消臭性紙、およびこれを用いる糞尿臭の消臭方法Info
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Abstract
悪臭を効率的に消臭する性能を有する消臭紙とそれを用
いる消臭方法を提供する。 【解決手段】 消臭剤を、水溶性紙又は水分散性紙に担
持させた消臭紙である。またこの消臭紙を排便・排尿の
前後に排泄用容器・施設に配置することを特徴とする糞
尿臭の消臭方法である。消臭剤は、4価金属リン酸塩、
ケイ酸アルミニウムより選ばれる少なくとも1種の化合
物Aと、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸
化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト化合物も
しくはその焼成物、銅イオン、亜鉛イオン又はマンガン
イオンの内の、少なくとも1種のイオンを担持させた無
機化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合
物Bとよりなる消臭剤組成物である。
Description
のに有効な消臭性紙とそれを用いた糞尿臭の消臭方法に
関するものである。
レから発する糞尿臭は不快で、効率よく消臭する方法が
求められている。特にポータブルトイレは居室や病室内
で使用される際、室内全体に糞尿臭が臭うため、特に有
効な消臭方法が求められている。トイレやポータブルト
イレの糞尿臭の消臭方法として、消臭効果のある薬剤を
排便後に添加する方法が主に用いられている。使用する
薬剤の形態として、液体、錠剤、およびスプレーといっ
たものが市販されている。液体状のものは、界面活性剤
や塩素系化合物を使用したものが多く、消臭性能が不十
分である。また、消臭性液体そのものにも臭いがあるた
め、使用後に消臭性液体の成分が臭うといった問題もあ
る。
ブルトイレに投入した際に解砕するようになっている
が、投入時はまず底に沈み、そこで解砕が始まるため、
排泄用容器や槽の中にあまり広がらず、効果が十分でな
い。スプレータイプの消臭剤は、排便後に糞尿に向けて
噴霧するため、即効性があるものの、すぐに揮散してし
まい持続性がない。ポータブルトイレで排便後、すぐに
処理できない場合には効果が小さい。また、スプレーで
あれば容器の缶が廃棄物として発生するため、環境、リ
サイクルの面から見ると好ましい商品形態ではない。
消臭剤として、植物抽出油を使った香料系のものや有機
酸を使用したもの等の有機系消臭剤が知られている。特
開平2−277456号公報には、マッシュルームから
の抽出物を有効成分とする消臭剤が、特開平11−22
6099号公報では、ウワウルシの親水性溶媒抽出物を
有効成分とする消臭剤が、また特開平11−31905
1号公報では、リンゴから抽出したポリフェノール成分
を有効成分とする液状消臭剤が提案されている。さら
に、特開平11−114040号公報には、ビグアニジ
ン基を有する特定構造のポリマーを含有するトイレ用消
臭剤が提案されている。これらは、数多くの臭気成分を
含む糞尿臭に対しては十分な消臭効果があるとは言えな
い。
する性能を持つ無機系化合物を主成分とした消臭剤も知
られている。特開平11−319048号公報では、シ
リカを主成分とし酸化ナトリウムなどを副成分とする材
料と、酸化鉄を主成分とし酸化ナトリウム等を副成分と
する無機材料を焼き固めた消臭剤が提案されているが、
焼き固めてあるため、官能基が限定され、消臭性能が十
分とは言えない。また酸化鉄を使用しているため着色し
ており、そのため用途が限定されてしまう。特公平5−
10950号公報では、酸化亜鉛にアルカリ土類金属化
合物などの弱アルカリ性物質の混合物が、また特公平5
−10951号公報では、酸化亜鉛などの亜鉛化合物に
フマル酸ナトリウムやマレイン酸ナトリウム等の脂肪族
ポリカルボン酸塩を混ぜたものが提案されている。しか
し、これらは一部沈殿が生成して不均一な状態となり、
使い勝手の非常に悪い消臭剤であった。そして特開平1
0−328280号公報では、酸化亜鉛及び/または塩
基性炭酸亜鉛とオキシカルボン酸からなり、トリガー容
器に入れてスプレーするのに好適な水に完全に溶解する
消臭剤組成物が紹介されていが、完全に溶解した状態で
は、両者の相互作用により、消臭性能が低下するという
問題がある。
あればそのまま又は溶剤で希釈した後、スフ゜レ―で散布し
て使用され、粉末であれば、袋や容器に充填して悪臭発
生近くに静置する方法で使用され、あるいは各種樹脂成
形体や塗料中に練り込むといった方法等で使用されてい
るが、いずれの方法も前述のように十分な消臭機能を発
揮するものではなかった。
レやポータブルトイレに適用されている消臭手段の欠点
を改良した、糞尿から発する悪臭に対して優れた性能を
有する消臭性紙と、その消臭性紙を用いることを特徴と
する消臭方法を提供することを課題とする。
した結果、消臭剤を水溶性紙又は水分散性紙に担持させ
た消臭性紙が、糞尿臭の消臭を効率よく処理するのに極
めて優れていることを見出した。さらに、本発明の消臭
性紙を、ポータブルトイレやトイレ等の排泄用容器又は
施設に配置することにより、糞尿臭を一層効率的に消臭
できることを見出し、本発明を完成するに到った。
料として製造された紙であり、水に触れると速やかに溶
解する性質を有するものである。具体的な水溶性紙とし
ては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、
ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピル
セルロース、カルボキシルメチルセルロース、カルボキ
シルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビ
ニルアルコール及びこれらの誘導体並びにこれらの混合
物から選択される水溶性ポリマーを繊維原料とする紙で
ある。また、水溶性がないポリマー例えば酸性カルボキ
シメチルセルロース繊維を用いて抄紙した後に、これを
苛性ソーダ、アンモニア液などのアルカリ水溶液で処理
し、水可溶性とした紙も本発明の水溶性紙として使用で
きる。
繊維が速やかに分離し、水中に分散する性質を有する紙
であり、水解性紙又は水解紙とも呼ばれる。水分散性紙
の原料繊維としては、木材パルプ繊維、非木材系パルプ
繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維が挙げられ、こ
れらの繊維からなる水分散性紙は、湿式法や乾式法等の
常法により製造される。
シリカ、ゼオライト、粘土鉱物、活性炭等消臭効果を持
つ物質がすべて使用できるが、特に固形のものが好まし
い。中でも4価金属リン酸塩、ケイ酸アルミニウム、水
和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、塩
基性炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト化合物もしくはその
焼成物、及び銅イオン、亜鉛イオン又はマンガンイオン
を1種以上担持させた無機化合物が特に好ましい。さら
に、、4価金属リン酸塩、ケイ酸アルミニウムより選ば
れる少なくとも1種の化合物Aと、水和酸化ジルコニウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、ハ
イドロタルサイト化合物もしくはその焼成物、及び銅イ
オン、亜鉛イオンまたはマンガンイオンのうち少なくと
も1種に金属イオンを担持させた無機化合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物Bとからなる消臭
剤組成物を使用することが、高い消臭性能が発揮できる
点で一層好ましい。
r、Snなどの4価金属のリン酸塩であり、好ましい具
体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン
酸スズ等がある。これらの化合物には、α型結晶、β型
結晶、γ型結晶等、種々の結晶系を有する結晶質のもの
と非晶質のものがあるが、いずれも使用できる。
ができる化合物であり、結晶質であっても非晶質であっ
ても良いが、非晶質のものが消臭効果が高いことから好
ましい。 Al203・nSiO2・mH2O [1] 但し、式中、nはn≧6の整数であり、mは整数を示
す。又、本発明の珪酸アルミニウムの比表面積は、20
〜800m2/gが好ましく、より好ましくは、200
〜800m2/gである。比表面積が小さすぎると悪臭
ガスの消臭性能が小さくなる為このましくない。なお、
比表面積は、窒素吸着量から算出するBET法により、
容易に測定できる。
ム 水和酸化ジルコニウムはオキシ水酸化ジルコニウム、水
酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、酸化ジルコ
ニウム水和物と同義の化合物であり、結晶質、非晶質の
いづれであってもよいが、高い消臭性能を発揮させるた
めには非晶質が好ましい。水和酸化ジルコニウムは、オ
キシ塩化ジルコニウム水溶液などのジルコニウム含有溶
液を、水やアルカリ溶液で加水分解することにより作製
することができる。酸化ジルコニウムは、結晶質、非晶
質のいづれであってもよいが、より高い消臭性能を持つ
非晶質が好ましい。本発明に用いる酸化ジルコニウムは
市販品をそのまま使用しできる。そして上記の水和酸化
ジルコニウムを焼成したものでもよい。
使用でき、例えば電機亜鉛地金を蒸気酸化して得られる
ものや、硫酸亜鉛、塩化亜鉛のような水溶性塩の水溶液
を中和して得られる水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、
シュウ酸亜鉛等を焼成して得られるもの等、特に限定さ
れない。より高い消臭性能を得るためには、比表面積が
50m2/g以上である酸化亜鉛が好ましく用いられ
る。比表面積が50m2/g以下であると、硫化水素等
の硫黄系の悪臭に対する消臭性能が低下する。また、酸
化亜鉛を表面処理したものも用いることができる。表面
処理の具体例としては、オルガノポリシロキサンで表面
処理したものや、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム
又はスズの酸化物あるいは水酸化物で表面を被覆したも
のがあるが、オルガノポリシロキサン等の有機系材料で
表面処理する方が無機系材料で表面処理するよりも、硫
化水素等の硫黄系臭気に対する消臭性能が高いので好ま
しい。
るいは複塩を指す。市販のものをそのまま用いることも
でき、あるいは、亜鉛塩の水溶液を炭酸アルカリ、重炭
酸アルカリ、水酸化アルカリ等に注加して析出させても
のも使用できる。
焼成物 本発明に用いるハイドロタルサイト化合物は、下記一般
式〔2〕で表されるハイドロタルサイト構造を有する化
合物である。マグネシウム−アルミニウムハイドロタル
サイト、亜鉛−アルミニウムハイドロタルサイトなどが
あるが、最も好ましくはマグネシウム−アルミニウムハ
イドロタルサイトである。 M1(1-x)M2x (OH)2An- (x/n)・mH2O 〔2〕 (M1 は2価の金属であり、M2 は3価の金属であり、
xは0より大きく0.5以下の数であり、An-は炭酸イ
オン、硫酸イオン等のn価の陰イオンであり、mは正数
である。) ハイドロタルサイト焼成物は、ハイドロタルサイト化合
物を約500℃以上で焼成し、炭酸根や水酸基が脱離す
ることにより得られる化合物である。
ンの内少なくとも1種の金属イオンを担持させた無機化
合物 本発明において銅イオン、亜鉛イオン又はマンガンイオ
ンのうち少なくとも1種の金属イオンを担持させる無機
担体としては、4価金属リン酸塩、ゼオライと及び多孔
質二酸化珪素等がある。これらの無機化合物に担持させ
る金属イオンの中で、消臭性能が高いことから、銅イオ
ン又は亜鉛イオンが好ましい。
Aと化合物Bからなる消臭剤組成物における両化合物の
混合割合は、その両者が含まれていれば特に制限はない
が、糞尿臭に対する優れた消臭性能を得るためには、質
量比がA/B=20/80〜80/20の範囲であるこ
とが好ましい。
せる方法に特に限定はない。例えば、予め水溶性ポリマ
ーに消臭剤を練り込みこれを繊維状にした後、抄紙する
方法、パルプなどの繊維を分散させたスラリーに消臭剤
を添加し抄紙する方法、消臭剤を分散させたスラリー
を、噴霧、コーティング、パディング、ディッピング等
により水溶性紙に後加工する方法などがある。消臭剤の
担持量には特に限定はない。一般に担持量が多いほど消
臭効果は大きいが、抄紙作業に不都合なほど、また生成
した紙の強度が極めて小さくなるほど多量に加えること
はできない。
トイレやポータブルトイレなどの排泄容器、排泄施設に
配置するだけで消臭効果を発揮できる。紙を1枚配置す
るだけで済むため、誰にでも手軽に行なうことができ
る。悪臭源となる糞尿の臭気を他に逃がさないために
は、排便・排尿直後に糞尿の上に配置することがより好
ましくい。また、使用者や介護者が就寝前や外出前など
にポータブルトイレ等に本発明の消臭紙を投入しておく
など、排便、排尿に備えて予め配置しておくことも好ま
しい使用方法である。また粉末ではないため、散布時に
粉が立ったり、こぼして周囲を汚す恐れもない。さら
に、配置時に水表面に浮き、徐々に沈みながら紙が溶解
あるいは分散していくので、水の中に比較的均一に消臭
剤成分が分散するため、消臭効率が高い。
トイレの糞尿臭に対して有効であるが、特にこの用途に
限定されることはなく、居室、ゴミ箱内、冷蔵庫内など
身の回りの悪臭発生源の近傍に置いたり、貼り付けたり
して使用することもできる。
溶の繊維状カルボキシメチルセルロース100質量部を水
1000質量部に分散させた。これにカチオン系凝集剤
を5質量部添加し凝集させた後、抄紙機で抄紙した。得
られた紙をシリンダードライヤーにより120℃で乾燥
させた。引き続き、含浸機で水酸化ナトリウムを5%を
含む50%メタノール水溶液に浸漬させ、90℃で乾燥
することにより消臭性水溶性紙を得た。
溶性紙を用いて次の試験を行なった。ポータブルトイレ
に水道水2リットルを入れ、次に浄化槽より採取したし
尿を1リットルを注加した。引き続き、し尿の上に消臭
性水溶性紙を1枚配置した。ポータブルトイレの蓋を被
せて3分間静置後、蓋を開け、官能評価した結果を表1
に示した。尚、官能評価は、6人が嗅ぎ、その臭気強度
を、0(臭わない)、1(やっと感知できる臭い:検知
閾値)、2(何の臭いかが判る弱い臭い:認知閾値)、
3(楽に感知できる臭い)、4(強い臭い)、5(強烈
な臭い)の6段階で評価した。上下2人の数値をカット
し、残り4人の平均値を試験結果とした。
ルの代わりに表1に記載した各種消臭剤を用いる他は、
実施例1と全く同一の方法で消臭紙を調製し、実施例1
と同じ官能評価を行なって実施例2〜5とし、その結果
を表1に示した。また比較として、消臭剤を担持せず実
施例1の方法で抄紙し、処理した紙を用いた場合を比較
例1とし、実施例1と同じ官能評価を行った結果を、同
じく表1に記載した。なお、空試験とは紙を配置しなか
った場合である(以下の空試験についても同様であ
る)。
た配合割合で調製した消臭剤スラリーを用い、消臭剤と
して50g/m2担持するように実施例1と同じ水溶性
紙に塗布した後、110℃で素早く乾燥して消臭性水溶
性紙を得た(実施例6、7)。この消臭性水溶性紙を10
cm四方に切断し、実施例1と同様に試験した結果を表3
に示した。また比較として消臭剤を使用しないで実施例
6,7と同一の方法で処理した水溶性紙を用いた場合を
比較例2とし、その官能評価結果を同じく表3に示し
た。
用いる替りに、ポリエステル繊維からなる水分散性紙を
用いた以外は、実施例6、7及び比較例2と同様の方法
で処理した紙を用いて官能評価を行なった結果を表3に
併せて示した。また、消臭剤を使用せず実施例8、9と
同じ方法で処理した紙の場合を比較例3とし、その結果
を表3に示した。
の消臭方法を使用することにより、排泄後に居住空間に
発生する糞尿臭を効果的に消臭することができ、快適な
空間が得られる。
Claims (3)
- 【請求項1】 消臭剤を、水溶性紙又は水分散性紙に
担持させたことを特徴とする消臭性紙。 - 【請求項2】 消臭剤が、4価金属リン酸塩、ケイ酸
アルミニウムより選ばれる少なくとも1種の化合物A
と、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜
鉛、塩基性炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト化合物もしく
はその焼成物、銅イオン、亜鉛イオン又はマンガンイオ
ンの内の、少なくとも1種のイオンを担持させた無機化
合物よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物B
とよりなる消臭剤組成物であることを特徴とする請求項
1記載の消臭性紙。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の消臭性紙
を、ポータブルトイレやトイレ等の排泄用容器又は施設
に配置することを特徴とする糞尿臭の消臭方法。
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