JP2003049070A - ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 - Google Patents
ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びそれを用いた成形体Info
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- JP2003049070A JP2003049070A JP2001240181A JP2001240181A JP2003049070A JP 2003049070 A JP2003049070 A JP 2003049070A JP 2001240181 A JP2001240181 A JP 2001240181A JP 2001240181 A JP2001240181 A JP 2001240181A JP 2003049070 A JP2003049070 A JP 2003049070A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 機械的物性に優れる上、バリの発生が少
ない成形品を与えることができるポリフェニレンスルフ
ィド系樹脂組成物及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
及び(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜4
0重量%含むことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂組成物、及び(A)PPS樹脂に、(B)層間
をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性した膨潤性層
状珪酸塩を無機灰分量として、樹脂組成物当たり0.1
〜40重量%の割合で加え、溶融混練するPPS系樹脂
組成物の製造方法である。
ない成形品を与えることができるポリフェニレンスルフ
ィド系樹脂組成物及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
及び(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜4
0重量%含むことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂組成物、及び(A)PPS樹脂に、(B)層間
をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性した膨潤性層
状珪酸塩を無機灰分量として、樹脂組成物当たり0.1
〜40重量%の割合で加え、溶融混練するPPS系樹脂
組成物の製造方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンス
ルフィド系樹脂組成物、その製造方法及びそれを用いた
成形体に関する。さらに詳しくは、本発明は、機械的物
性に優れる上、バリの発生が少ない成形品を与えること
ができ、特に低バリが要求される小型精密部品などの用
途に好適なポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物、こ
のものを効率よく製造する方法、及び該樹脂組成物を射
出成形してなるバリが低減化された成形体に関するもの
である。
ルフィド系樹脂組成物、その製造方法及びそれを用いた
成形体に関する。さらに詳しくは、本発明は、機械的物
性に優れる上、バリの発生が少ない成形品を与えること
ができ、特に低バリが要求される小型精密部品などの用
途に好適なポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物、こ
のものを効率よく製造する方法、及び該樹脂組成物を射
出成形してなるバリが低減化された成形体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェニレンスルフィド(以
下、PPSと略記する。)樹脂は、優れた耐熱性、難燃
性、耐薬品性、寸法安定性、剛性及び電気絶縁性など、
エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有し
ていることから、射出成形用を中心として、各種電気・
電子部品、機械部品及び自動車部品などの用途に使用さ
れている。しかしながら、このPPS樹脂は、成形時の
バリ発生が比較的多く、とりわけ低バリが要求されてい
る小型精密部品などの用途において、使用が制限されて
いる。そこで、成形時のバリ発生を低減化させるため
に、これまで様々な方法、例えば高度に架橋したPPS
樹脂を特性改質剤として配合する方法(特開昭64−9
266号公報)、PPS樹脂にシラン化合物を配合する
方法(特開昭63−251430号公報)、ベースポリ
マーとして特定の直鎖状PPS樹脂と架橋PPS樹脂を
組み合わせて使用し、さらにシランカップリング剤を使
用する方法(特開平3−197562号公報)などが提
案されている。また、無機フィラーを充填剤として併用
することも試みられている。しかしながら、これらの方
法においては、ある程度バリの発生を低減化し得るもの
の、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリアミドなど
の他のエンジニアリングプラスチックに比べると、バリ
の低減化はまだ不充分である上、無機フィラーを加える
ことで機械的物性が低下するという問題もある。したが
って、PPS樹脂本来の優れた機械的物性を維持すると
共に、バリの発生をさらに低減化することのできるPP
S樹脂組成物の開発が望まれていた。
下、PPSと略記する。)樹脂は、優れた耐熱性、難燃
性、耐薬品性、寸法安定性、剛性及び電気絶縁性など、
エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有し
ていることから、射出成形用を中心として、各種電気・
電子部品、機械部品及び自動車部品などの用途に使用さ
れている。しかしながら、このPPS樹脂は、成形時の
バリ発生が比較的多く、とりわけ低バリが要求されてい
る小型精密部品などの用途において、使用が制限されて
いる。そこで、成形時のバリ発生を低減化させるため
に、これまで様々な方法、例えば高度に架橋したPPS
樹脂を特性改質剤として配合する方法(特開昭64−9
266号公報)、PPS樹脂にシラン化合物を配合する
方法(特開昭63−251430号公報)、ベースポリ
マーとして特定の直鎖状PPS樹脂と架橋PPS樹脂を
組み合わせて使用し、さらにシランカップリング剤を使
用する方法(特開平3−197562号公報)などが提
案されている。また、無機フィラーを充填剤として併用
することも試みられている。しかしながら、これらの方
法においては、ある程度バリの発生を低減化し得るもの
の、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリアミドなど
の他のエンジニアリングプラスチックに比べると、バリ
の低減化はまだ不充分である上、無機フィラーを加える
ことで機械的物性が低下するという問題もある。したが
って、PPS樹脂本来の優れた機械的物性を維持すると
共に、バリの発生をさらに低減化することのできるPP
S樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、機械的物性に優れる上、バリの発生が少ない
成形品を与えることができ、特に低バリが要求される小
型精密部品などの用途に好適なPPS系樹脂組成物、及
びこの樹脂組成物を射出成形してなるバリが低減化され
た成形体を提供することを目的とするものである。
状況下で、機械的物性に優れる上、バリの発生が少ない
成形品を与えることができ、特に低バリが要求される小
型精密部品などの用途に好適なPPS系樹脂組成物、及
びこの樹脂組成物を射出成形してなるバリが低減化され
た成形体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、PPS樹脂と
特定の膨潤性層状珪酸塩を、特定の割合で溶融混練する
ことにより、流動性及びフィラー分散性が向上し、機械
的物性を低下させることなく、バリの発生を低減化し得
るPPS樹脂組成物が得られることを見出した。本発明
は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
及び(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜4
0重量%含むことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂組成物、及びこのPPS系樹脂組成物を射出成
形してなる成形体を提供するものである。また、前記P
PS系樹脂組成物は、本発明に従えば、(A)ポリフェ
ニレンスルフィド樹脂に、(B)層間をポリカルボン酸
−過酸化物複合体で変性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰
分量として樹脂組成物当たり0.1〜40重量%の割合
で加え、溶融混練することにより、製造することができ
る。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、PPS樹脂と
特定の膨潤性層状珪酸塩を、特定の割合で溶融混練する
ことにより、流動性及びフィラー分散性が向上し、機械
的物性を低下させることなく、バリの発生を低減化し得
るPPS樹脂組成物が得られることを見出した。本発明
は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
及び(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜4
0重量%含むことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂組成物、及びこのPPS系樹脂組成物を射出成
形してなる成形体を提供するものである。また、前記P
PS系樹脂組成物は、本発明に従えば、(A)ポリフェ
ニレンスルフィド樹脂に、(B)層間をポリカルボン酸
−過酸化物複合体で変性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰
分量として樹脂組成物当たり0.1〜40重量%の割合
で加え、溶融混練することにより、製造することができ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のPPS系樹脂組成物にお
いて、(A)成分として用いられるPPS樹脂として
は、一般式(I)
いて、(A)成分として用いられるPPS樹脂として
は、一般式(I)
【0006】
【化1】
【0007】(式中、R1 は炭素数6以下のアルキル
基、アルコキシル基、フェニル基、カルボキシル基もし
くはその金属塩、アミノ基、ニトロ基、及びフッ素、塩
素、臭素等のハロゲン原子から選ばれる置換基であり、
mは0〜4の整数である。また、nは平均重合度を示
し、10〜300の範囲である。)で示される繰り返し
単位を70モル%以上有する重合体が好ましく、より好
ましくは90モル%以上有する重合体である。
基、アルコキシル基、フェニル基、カルボキシル基もし
くはその金属塩、アミノ基、ニトロ基、及びフッ素、塩
素、臭素等のハロゲン原子から選ばれる置換基であり、
mは0〜4の整数である。また、nは平均重合度を示
し、10〜300の範囲である。)で示される繰り返し
単位を70モル%以上有する重合体が好ましく、より好
ましくは90モル%以上有する重合体である。
【0008】当該繰り返し単位が70モル%未満だと結
晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶成分が少な
く、機械的強度が不充分となる場合がある。さらに、P
PS樹脂としては、単独重合体のほか共重合体も用いる
ことができる。その共重合体の構成単位としては、m−
フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド
単位、p,p′−ジフェニレンケトンスルフィド単位、
p,p′−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,
p′−ビフェニレンスルフィド単位、p,p′−ジフェ
ニレンメチレンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレ
ンクメニルスルフィド単位、ナフチルスルフィド単位な
どが挙げられる。これらの単位の含有量は、好ましくは
30モル%以下、より好ましくは10モル%以下であ
る。
晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶成分が少な
く、機械的強度が不充分となる場合がある。さらに、P
PS樹脂としては、単独重合体のほか共重合体も用いる
ことができる。その共重合体の構成単位としては、m−
フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド
単位、p,p′−ジフェニレンケトンスルフィド単位、
p,p′−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,
p′−ビフェニレンスルフィド単位、p,p′−ジフェ
ニレンメチレンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレ
ンクメニルスルフィド単位、ナフチルスルフィド単位な
どが挙げられる。これらの単位の含有量は、好ましくは
30モル%以下、より好ましくは10モル%以下であ
る。
【0009】また、その分子構造は、線状構造、分岐構
造、あるいは架橋構造のいずれでもよいが、好ましくは
リニア型及び又はセミリニア型のものがよい。架橋型の
ものは、吸湿寸法安定性及び機械的強度に劣り、好まし
くない。すなわち、本発明のPPS樹脂としては、実質
的に線状構造を有するポリマー(リニア型)の他に、モ
ノマーの一部分として3個以上の官能基を有するモノマ
ーを少量使用して重合した分岐構造、あるいは架橋構造
を有するポリマー(セミリニア型)も好ましく使用する
ことができる。また、これを前記の実質的に線状構造を
有するポリマーにブレンドして用いてもよい。
造、あるいは架橋構造のいずれでもよいが、好ましくは
リニア型及び又はセミリニア型のものがよい。架橋型の
ものは、吸湿寸法安定性及び機械的強度に劣り、好まし
くない。すなわち、本発明のPPS樹脂としては、実質
的に線状構造を有するポリマー(リニア型)の他に、モ
ノマーの一部分として3個以上の官能基を有するモノマ
ーを少量使用して重合した分岐構造、あるいは架橋構造
を有するポリマー(セミリニア型)も好ましく使用する
ことができる。また、これを前記の実質的に線状構造を
有するポリマーにブレンドして用いてもよい。
【0010】本発明で用いるPPS樹脂の溶融粘度とし
ては、溶融混練が可能であればよく、特に制限はない。
また、当該PPS樹脂は、クロロホルムでソックスレー
抽出した際の抽出量が、2重量%以下が好ましく、より
好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.
5重量%以下である。この抽出量が2重量%を超えるP
PS樹脂では、バリ発生の低減効果が充分に発揮されな
いことがある。なお、前記ソックスレー抽出は、32メ
ッシュパスのPPS樹脂粉末15gを、クロロホルム2
00gを用いて5時間行うものである。
ては、溶融混練が可能であればよく、特に制限はない。
また、当該PPS樹脂は、クロロホルムでソックスレー
抽出した際の抽出量が、2重量%以下が好ましく、より
好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.
5重量%以下である。この抽出量が2重量%を超えるP
PS樹脂では、バリ発生の低減効果が充分に発揮されな
いことがある。なお、前記ソックスレー抽出は、32メ
ッシュパスのPPS樹脂粉末15gを、クロロホルム2
00gを用いて5時間行うものである。
【0011】本発明のPPS系樹脂組成物において、
(B)成分として用いられる膨潤性層状珪酸塩として
は、その層間がポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性
された層状珪酸塩である。上記ポリカルボン酸−過酸化
物複合体を構成するポリカルボン酸としては、例えばポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(3−アセチル
アクリル酸)、ポリクロトン酸などを挙げることができ
るが、これらの中でポリアクリル酸が好適である。これ
らのポリカルボン酸は一種を単独で用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。一方、過酸化物とし
ては、有機系、無機系のいずれでもよいが、特に過酸化
水素が好適である。この過酸化物は、一種を単独で用い
てもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ま
た、前記層状珪酸塩としては、例えばモンモリロナイ
ト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのス
メクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイ
ト、カネマイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウ
ムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ化テニオライト、N
a型フッ化テニオライト、Na型四フッ化雲母などの膨
潤性雲母等を好ましく挙げることができる。
(B)成分として用いられる膨潤性層状珪酸塩として
は、その層間がポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性
された層状珪酸塩である。上記ポリカルボン酸−過酸化
物複合体を構成するポリカルボン酸としては、例えばポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(3−アセチル
アクリル酸)、ポリクロトン酸などを挙げることができ
るが、これらの中でポリアクリル酸が好適である。これ
らのポリカルボン酸は一種を単独で用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。一方、過酸化物とし
ては、有機系、無機系のいずれでもよいが、特に過酸化
水素が好適である。この過酸化物は、一種を単独で用い
てもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ま
た、前記層状珪酸塩としては、例えばモンモリロナイ
ト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのス
メクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイ
ト、カネマイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウ
ムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ化テニオライト、N
a型フッ化テニオライト、Na型四フッ化雲母などの膨
潤性雲母等を好ましく挙げることができる。
【0012】これらの層状珪酸塩をポリアクリル酸−過
酸化水素複合体で変性処理するには、例えばポリアクリ
ル酸を、少量の水中にて過酸化水素と混合し、これに、
前記層状珪酸塩を加え撹拌すればよい。この際、変性に
用いるポリアクリル酸−過酸化水素複合体の量は、層状
珪酸塩の陽イオン変換容量に対して、通常10〜90重
量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは5
0〜70重量%の範囲で選定される。このようにして、
本発明の膨潤性層状珪酸塩を得ることができる。本発明
においては、このように変性処理した膨潤性層状珪酸塩
を使用することにより、得られる樹脂組成物の流動性、
フィラー分散性を向上させることができ、その結果、機
械的物性に優れる上、バリの発生が少ない成形品を得る
ことができる。
酸化水素複合体で変性処理するには、例えばポリアクリ
ル酸を、少量の水中にて過酸化水素と混合し、これに、
前記層状珪酸塩を加え撹拌すればよい。この際、変性に
用いるポリアクリル酸−過酸化水素複合体の量は、層状
珪酸塩の陽イオン変換容量に対して、通常10〜90重
量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは5
0〜70重量%の範囲で選定される。このようにして、
本発明の膨潤性層状珪酸塩を得ることができる。本発明
においては、このように変性処理した膨潤性層状珪酸塩
を使用することにより、得られる樹脂組成物の流動性、
フィラー分散性を向上させることができ、その結果、機
械的物性に優れる上、バリの発生が少ない成形品を得る
ことができる。
【0013】本発明のPPS系樹脂組成物においては、
(B)成分の層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で
変性した膨潤性層状珪酸塩は、無機灰分量として0.1
〜40重量%の範囲で配合される。この量が0.1重量
%未満ではバリ発生の低減化効果が充分に発揮されず、
40重量%を超えると靱性が低下する原因となる。この
(B)成分の好ましい配合量は、無機灰分量として0.
2〜20重量%であり、特に0.5〜10重量%の範囲
が好ましい。なお、前記無機灰分量は、例えば、PPS
樹脂組成物2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて
求めることができる。本発明のPPS系樹脂組成物にお
いては、(B)成分の膨潤性層状珪酸塩を、PPS樹脂
中に単層ないし10層の状態で均質に分散させることが
でき、これにより該組成物は、機械的物性を低下させる
ことなく、バリ発生を低減化させることができる。この
層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性した膨潤
性層状珪酸塩の代わりに、単なる雲母を用いると、約1
00層程度の状態で分散し、一方、アエロジルのような
フィラーを用いるとサブミクロンオーダーで分散するた
め、機械的物性を保持したまま、バリ発生を低減化させ
ることができない。
(B)成分の層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で
変性した膨潤性層状珪酸塩は、無機灰分量として0.1
〜40重量%の範囲で配合される。この量が0.1重量
%未満ではバリ発生の低減化効果が充分に発揮されず、
40重量%を超えると靱性が低下する原因となる。この
(B)成分の好ましい配合量は、無機灰分量として0.
2〜20重量%であり、特に0.5〜10重量%の範囲
が好ましい。なお、前記無機灰分量は、例えば、PPS
樹脂組成物2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて
求めることができる。本発明のPPS系樹脂組成物にお
いては、(B)成分の膨潤性層状珪酸塩を、PPS樹脂
中に単層ないし10層の状態で均質に分散させることが
でき、これにより該組成物は、機械的物性を低下させる
ことなく、バリ発生を低減化させることができる。この
層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性した膨潤
性層状珪酸塩の代わりに、単なる雲母を用いると、約1
00層程度の状態で分散し、一方、アエロジルのような
フィラーを用いるとサブミクロンオーダーで分散するた
め、機械的物性を保持したまま、バリ発生を低減化させ
ることができない。
【0014】本発明のPPS系樹脂組成物には、本発明
の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキ
シドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エス
テル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、有機リン
化合物、ポリエーテルエーテルケトン等の結晶核剤、ポ
リオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪
族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド化合物などの離
型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、酸化防止剤、熱
安定剤、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニ
ウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡
剤など通常の添加剤、さらには繊維状補強材を加えるこ
とができる。
の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキ
シドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エス
テル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、有機リン
化合物、ポリエーテルエーテルケトン等の結晶核剤、ポ
リオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪
族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド化合物などの離
型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、酸化防止剤、熱
安定剤、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニ
ウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡
剤など通常の添加剤、さらには繊維状補強材を加えるこ
とができる。
【0015】また、該PPS系樹脂組成物は、本発明の
効果を損なわない範囲で、ポリエステル、ポリアミド、
ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリ
エチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポ
リイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、
ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、A
BS樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラ
ストマー、ポリアルキレンオキシド、あるいはカルボキ
シル基、エポキシ基等を含有するオレフィン系共重合体
等の樹脂を含んでいてもよい。
効果を損なわない範囲で、ポリエステル、ポリアミド、
ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリ
エチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポ
リイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、
ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、A
BS樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラ
ストマー、ポリアルキレンオキシド、あるいはカルボキ
シル基、エポキシ基等を含有するオレフィン系共重合体
等の樹脂を含んでいてもよい。
【0016】さらに、本発明においては、(B)成分の
膨潤性層状珪酸塩と共に、エポキシ基、アミノ基、イソ
シアネート基、水酸基、メルカプト基及びウレイド基の
中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するアルコ
キシシラン化合物を併用することにより、バリ発生をさ
らに低減化させることも可能である。本発明のPPS系
樹脂組成物は、本発明の方法によれば、前記(A)成分
のPPS樹脂に、前記(B)成分の層間をポリカルボン
酸−過酸化物複合体で変性した膨潤性層状珪酸塩を無機
灰分量として,樹脂組成物当たり0.1〜40重量%の
割合で加え、溶融混練することにより、製造することが
できる。
膨潤性層状珪酸塩と共に、エポキシ基、アミノ基、イソ
シアネート基、水酸基、メルカプト基及びウレイド基の
中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するアルコ
キシシラン化合物を併用することにより、バリ発生をさ
らに低減化させることも可能である。本発明のPPS系
樹脂組成物は、本発明の方法によれば、前記(A)成分
のPPS樹脂に、前記(B)成分の層間をポリカルボン
酸−過酸化物複合体で変性した膨潤性層状珪酸塩を無機
灰分量として,樹脂組成物当たり0.1〜40重量%の
割合で加え、溶融混練することにより、製造することが
できる。
【0017】溶融混練方法としては特に制限はなく、P
PS樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行うことができれ
ば良い。具体的な混練装置としては押出機、特に二軸押
出機が好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や低
分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設ける
ことが好ましい。二軸押出機を用いる場合には、(A)
PPS樹脂と(B)膨潤性層状珪酸塩を予めブレンダー
等で混合しておき、それを押出機のフィード口から供給
する方法や、(A)成分を押出機の上流側からフィード
し、(B)成分を下流側のフィード口から供給するなど
の方法が考えられるが、特に制限はない。押出機のスク
リューアレンジにも特に制限はないが、層状珪酸塩を微
分散化させるために、ニーディングゾーンを設けること
が好ましい。
PS樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行うことができれ
ば良い。具体的な混練装置としては押出機、特に二軸押
出機が好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や低
分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設ける
ことが好ましい。二軸押出機を用いる場合には、(A)
PPS樹脂と(B)膨潤性層状珪酸塩を予めブレンダー
等で混合しておき、それを押出機のフィード口から供給
する方法や、(A)成分を押出機の上流側からフィード
し、(B)成分を下流側のフィード口から供給するなど
の方法が考えられるが、特に制限はない。押出機のスク
リューアレンジにも特に制限はないが、層状珪酸塩を微
分散化させるために、ニーディングゾーンを設けること
が好ましい。
【0018】このようにして、PPS樹脂が本来有する
熱安定性、電気特性、機械的特性などを損なうことな
く、バリ発生を低減化し得るPPS系樹脂組成物を製造
することができる。このようにして得られた本発明のP
PS系樹脂組成物は公知の射出成形、押出成形、ブロー
成形、チューブ成形、トランスファー成形、圧縮成形な
どの任意の成形に供することにより、射出成形品、シー
ト、フィルム、パイプ、繊維、棒状体などの押出成形
品、トランスファー成形品、圧縮成形品とすることがで
きるが、良好なバリ特性を活かして射出成形に供するこ
とが好ましい。また、本発明のPPS系樹脂組成物はマ
スターバッチの状態で使用してもよい。すなわち、一例
として(A)PPS樹脂の一部と(B)膨潤性層状珪酸
塩からなるマスターバッチペレットと(A)PPS樹脂
の残部のペレットを配合して溶融成形して直接成形体品
とする方法などが挙げられる。
熱安定性、電気特性、機械的特性などを損なうことな
く、バリ発生を低減化し得るPPS系樹脂組成物を製造
することができる。このようにして得られた本発明のP
PS系樹脂組成物は公知の射出成形、押出成形、ブロー
成形、チューブ成形、トランスファー成形、圧縮成形な
どの任意の成形に供することにより、射出成形品、シー
ト、フィルム、パイプ、繊維、棒状体などの押出成形
品、トランスファー成形品、圧縮成形品とすることがで
きるが、良好なバリ特性を活かして射出成形に供するこ
とが好ましい。また、本発明のPPS系樹脂組成物はマ
スターバッチの状態で使用してもよい。すなわち、一例
として(A)PPS樹脂の一部と(B)膨潤性層状珪酸
塩からなるマスターバッチペレットと(A)PPS樹脂
の残部のペレットを配合して溶融成形して直接成形体品
とする方法などが挙げられる。
【0019】本発明はまた、前述のPPS系樹脂組成物
を射出成形してなる成形体をも提供するものである。該
成形体は、例えばコネクター、コイルを始めとして、セ
ンサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケー
ス、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリ
コンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変
成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカ
ー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気
ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FD
Dキャリッジ、FDDシャーシ、モータブラシホルダ
ー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代
表される電子部品に適している他、発電機、電動機、変
圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継
電器、電力用接点、開閉器、遮断器、ナイフスイッチ、
多極ロッド、電子部品キャビネットなどの電気機器部品
用途、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘヤードラ
イヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オー
ディオ、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトデ
ィスク、DVD等の音声映像機器部品、照明部品、冷蔵
庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプ
ロセッサー部品等に代表される事務・電気製品部品、オ
フィスコンピューター関連部品、ファクシミリ関連部
品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライ
ター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、
顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機
器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オ
ルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライト
ディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ
等の各種バルブ、燃料関係、排気系、吸気系各種パイ
プ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマ
ニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、
キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサ
ー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパット、ウェアーセンサー、スロットルポ
ジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサ
ー、エアコン用サーモスタッドベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラシュ
ホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイ
ン、ワイパーモーター関連部品、ディストリビュータ
ー、スタータースイッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドーウォッシャ
ーノズル、エアコンパネル用コネクター、ホーンターミ
ナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラ
ンプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジン
グ、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオ
イルフィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連
部品など、各種用途に適用できる。
を射出成形してなる成形体をも提供するものである。該
成形体は、例えばコネクター、コイルを始めとして、セ
ンサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケー
ス、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリ
コンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変
成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカ
ー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気
ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FD
Dキャリッジ、FDDシャーシ、モータブラシホルダ
ー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代
表される電子部品に適している他、発電機、電動機、変
圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継
電器、電力用接点、開閉器、遮断器、ナイフスイッチ、
多極ロッド、電子部品キャビネットなどの電気機器部品
用途、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘヤードラ
イヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オー
ディオ、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトデ
ィスク、DVD等の音声映像機器部品、照明部品、冷蔵
庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプ
ロセッサー部品等に代表される事務・電気製品部品、オ
フィスコンピューター関連部品、ファクシミリ関連部
品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライ
ター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、
顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機
器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オ
ルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライト
ディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ
等の各種バルブ、燃料関係、排気系、吸気系各種パイ
プ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマ
ニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、
キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサ
ー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパット、ウェアーセンサー、スロットルポ
ジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサ
ー、エアコン用サーモスタッドベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラシュ
ホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイ
ン、ワイパーモーター関連部品、ディストリビュータ
ー、スタータースイッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドーウォッシャ
ーノズル、エアコンパネル用コネクター、ホーンターミ
ナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラ
ンプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジン
グ、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオ
イルフィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連
部品など、各種用途に適用できる。
【0020】
【実施例】次に、本発明を、実施例によりさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限
定されるものではない。なお、各例で得られた樹脂組成
物を射出成形し、下記方法でフィラー分散状態の測定、
スパイラルフロー長さの測定(流動性の評価)及びバリ
長さの測定を行った。 (1)フィラー分散状態の測定 試験片として、厚み約130nmの超薄切片を用いた。
透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−101
0」)を用い、加速電圧100kVで倍率4万倍〜10
0万倍にてフィラ−の分散状態を観測撮影した。100
個以上の分散粒子が存在する領域を選択し、粒子数、層
厚及び層長を、目盛り付きの定規を用いた手計測また
は、必要に応じて米国立衛生研究所のNIH Imag
e V.1.57を用いて処理することにより測定し
た。 (2)スパイラルフロー長さの測定 射出成形機としては、30トン射出成形機(東芝機械
製)を用い、厚み1mmのスパイラル成形品をシリンダ
ー温度320℃、金型温度135℃、射出圧力100M
Paで成形し、長さ(SFL)を測定した。 (3)バリ長さの測定 射出成形機としては、50トン射出成形機(日本製鋼所
社製)を用い、厚み3.2mm、幅12.4mm、長さ12
6mmの成形品をシリンダー温度320℃、金型温度1
35℃、最小充填圧の1.1倍の圧力で射出成形し、流動
末端の10μmのガスベントクリアランスに発生したバ
リ長さを万能投影機で測定した。
に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限
定されるものではない。なお、各例で得られた樹脂組成
物を射出成形し、下記方法でフィラー分散状態の測定、
スパイラルフロー長さの測定(流動性の評価)及びバリ
長さの測定を行った。 (1)フィラー分散状態の測定 試験片として、厚み約130nmの超薄切片を用いた。
透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−101
0」)を用い、加速電圧100kVで倍率4万倍〜10
0万倍にてフィラ−の分散状態を観測撮影した。100
個以上の分散粒子が存在する領域を選択し、粒子数、層
厚及び層長を、目盛り付きの定規を用いた手計測また
は、必要に応じて米国立衛生研究所のNIH Imag
e V.1.57を用いて処理することにより測定し
た。 (2)スパイラルフロー長さの測定 射出成形機としては、30トン射出成形機(東芝機械
製)を用い、厚み1mmのスパイラル成形品をシリンダ
ー温度320℃、金型温度135℃、射出圧力100M
Paで成形し、長さ(SFL)を測定した。 (3)バリ長さの測定 射出成形機としては、50トン射出成形機(日本製鋼所
社製)を用い、厚み3.2mm、幅12.4mm、長さ12
6mmの成形品をシリンダー温度320℃、金型温度1
35℃、最小充填圧の1.1倍の圧力で射出成形し、流動
末端の10μmのガスベントクリアランスに発生したバ
リ長さを万能投影機で測定した。
【0021】製造例1
ポリアクリル酸(和光純薬社製)7.5gを、容積1.
5リットルの大型自動乳鉢(島津製作所製)に採取し、
精製水75ミリリットルに溶解させた。この中にNa型
四フッ化雲母(コープケミケル社製「NE−100」)
75gをかき混ぜながら投入し、固まりを生じないよう
に充分に分散させて、ペースト状の粘土組成物を得た。
この組成物を乳鉢でかき混ぜながら、35重量%過酸化
水素水(純正化学社製)8.9ミリリットルを室温で滴
下し、さらに撹拌速度80rpmで30分間かき混ぜ
た。過酸化水素処理を終えたペーストをシャーレに移
し、減圧下に室温でパウダーとなるまで凍結乾燥し、変
性処理Na型四フッ化雲母を得た。その無機灰分含有量
は85重量%であった。
5リットルの大型自動乳鉢(島津製作所製)に採取し、
精製水75ミリリットルに溶解させた。この中にNa型
四フッ化雲母(コープケミケル社製「NE−100」)
75gをかき混ぜながら投入し、固まりを生じないよう
に充分に分散させて、ペースト状の粘土組成物を得た。
この組成物を乳鉢でかき混ぜながら、35重量%過酸化
水素水(純正化学社製)8.9ミリリットルを室温で滴
下し、さらに撹拌速度80rpmで30分間かき混ぜ
た。過酸化水素処理を終えたペーストをシャーレに移
し、減圧下に室温でパウダーとなるまで凍結乾燥し、変
性処理Na型四フッ化雲母を得た。その無機灰分含有量
は85重量%であった。
【0022】実施例1
PPS樹脂6000gと、製造例1で得られた変性処理
Na型四フッ化雲母を、無機灰分量で75gとなる量で
ドライブレンダーで予備混合したのち、シリンダー温度
を300℃に設定したベント付き二軸押出機(東芝機械
社製「TEM−37B」)で溶融混練し、チョップドグ
ラスファイバー4000gを二軸押出機の中にサイドフ
ィードした。溶融状態の樹脂組成物をストランドとして
直ちに水中に導き、カッター付きの引き取り機でペレッ
ト化した。このペレットを120℃で12時間乾燥した
のち、射出成形してフィラー分散状態の測定、スパイラ
ルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行った。スパ
イラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に示す。フィラ
ー分散状態については、フィラー(変性処理Na型フッ
化雲母)は層厚1nm、層長約600nmであるが、剥
離は3〜5層程度まで進行し、マトリックスのPPS樹
脂中に均一に分散している状態が観測できた。
Na型四フッ化雲母を、無機灰分量で75gとなる量で
ドライブレンダーで予備混合したのち、シリンダー温度
を300℃に設定したベント付き二軸押出機(東芝機械
社製「TEM−37B」)で溶融混練し、チョップドグ
ラスファイバー4000gを二軸押出機の中にサイドフ
ィードした。溶融状態の樹脂組成物をストランドとして
直ちに水中に導き、カッター付きの引き取り機でペレッ
ト化した。このペレットを120℃で12時間乾燥した
のち、射出成形してフィラー分散状態の測定、スパイラ
ルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行った。スパ
イラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に示す。フィラ
ー分散状態については、フィラー(変性処理Na型フッ
化雲母)は層厚1nm、層長約600nmであるが、剥
離は3〜5層程度まで進行し、マトリックスのPPS樹
脂中に均一に分散している状態が観測できた。
【0023】比較例1
実施例1において、変性処理Na型四フッ化雲母の代わ
りに、未変性Na型四フッ化雲母を用いた以外は、実施
例1と同様な操作を行い、フィラー分散状態の測定、ス
パイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行っ
た。スパイラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に示
す。フィラー分散状態については、フィラー(未変性N
a型四フッ化雲母)は層厚1nm、層長約500nmで
あるが、剥離は生じておらず(約100層)、マトリッ
クスのPPS樹脂中に分散しているものの、固まって局
在している状態が観測できた。
りに、未変性Na型四フッ化雲母を用いた以外は、実施
例1と同様な操作を行い、フィラー分散状態の測定、ス
パイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行っ
た。スパイラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に示
す。フィラー分散状態については、フィラー(未変性N
a型四フッ化雲母)は層厚1nm、層長約500nmで
あるが、剥離は生じておらず(約100層)、マトリッ
クスのPPS樹脂中に分散しているものの、固まって局
在している状態が観測できた。
【0024】比較例2
実施例1において、変性処理Na型四フッ化雲母の代わ
りに、層状珪酸塩ではないアエロジルを用いた以外は、
実施例1と同様な操作を行い、フィラー分散状態の測
定、スパイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を
行った。スパイラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に
示す。フィラー分散状態については、フィラー(アエロ
ジル)は、マトリックスのPPS樹脂中にサブミクロン
オーダーで分散していた。 比較例3 実施例1において、変性処理Na型四フッ化雲母を用い
なかったこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、ス
パイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行っ
た。結果を第1表に示す。
りに、層状珪酸塩ではないアエロジルを用いた以外は、
実施例1と同様な操作を行い、フィラー分散状態の測
定、スパイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を
行った。スパイラルフロー長さ及びバリ長さを第1表に
示す。フィラー分散状態については、フィラー(アエロ
ジル)は、マトリックスのPPS樹脂中にサブミクロン
オーダーで分散していた。 比較例3 実施例1において、変性処理Na型四フッ化雲母を用い
なかったこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、ス
パイラルフロー長さの測定及びバリ長さの測定を行っ
た。結果を第1表に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、流動性、フィラー分散
性が向上し、この結果、機械的物性に優れる上、バリの
発生が少ない成形品を与えることができ、特に低バリが
要求される小型精密部品などの用途に好適なPPS系樹
脂組成物を提供することができる。
性が向上し、この結果、機械的物性に優れる上、バリの
発生が少ない成形品を与えることができ、特に低バリが
要求される小型精密部品などの用途に好適なPPS系樹
脂組成物を提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 坪倉 豊
千葉県市原市姉崎海岸1番地1
Fターム(参考) 4F071 AA62 AB26 AC08 AC09 AD05
BA01 BB05
4F206 AA34 AM33 JA07 JQ81
4J002 CN011 DJ006 FA016 FB086
GM00 GN00 GQ00
Claims (5)
- 【請求項1】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
及び(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜4
0重量%含むことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)成分のポリフェニレンスルフィド
樹脂が、クロロホルムでソックスレー抽出した際の抽出
量が2重量%以下のものである請求項1記載のポリフェ
ニレンスルフィド系樹脂組成物。 - 【請求項3】 (B)成分の膨潤性層状珪酸塩が、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂中に単層ないし10層の状態
で均一に分散してなる請求項1又は2に記載のポリフェ
ニレンスルフィド系樹脂組成物。 - 【請求項4】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
に、(B)層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変
性した膨潤性層状珪酸塩を無機灰分量として樹脂組成物
当たり0.1〜40重量%の割合で加え、溶融混練する
ことを特徴とするポリフェニレンスルフィド系樹脂組成
物の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載のポ
リフェニレンスルフィド系樹脂組成物を射出成形してな
る成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001240181A JP2003049070A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001240181A JP2003049070A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003049070A true JP2003049070A (ja) | 2003-02-21 |
Family
ID=19070834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001240181A Pending JP2003049070A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003049070A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009263476A (ja) * | 2008-04-24 | 2009-11-12 | Otsuka Chem Co Ltd | 高熱伝導性樹脂組成物 |
CN104441875A (zh) * | 2014-12-22 | 2015-03-25 | 永新电子常熟有限公司 | 耐高温的电子插件 |
-
2001
- 2001-08-08 JP JP2001240181A patent/JP2003049070A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009263476A (ja) * | 2008-04-24 | 2009-11-12 | Otsuka Chem Co Ltd | 高熱伝導性樹脂組成物 |
CN104441875A (zh) * | 2014-12-22 | 2015-03-25 | 永新电子常熟有限公司 | 耐高温的电子插件 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20041126 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |