JP2003043672A - 印刷品質が改良されたフレキソ印刷版 - Google Patents
印刷品質が改良されたフレキソ印刷版Info
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Abstract
樹脂性フレキソ印刷版の提供。 【解決手段】 版表面平均粗さが0.1〜0.6μmで
あることを特徴とするフレキソ印刷版を用いる。
Description
するフレキソ印刷版に関する。
ム鋳造版や感光性樹脂組成物を製版して得られる感光性
樹脂版が広汎に用いられているが、近年、フレキソ印刷
機やインキなどの進歩により、高印刷品質を実現するこ
とが可能となり、従来ではオフセット方式やグラビア方
式で行われてきた印刷もフレキソ印刷方式での印刷が可
能になりつつある。高印刷品質のフレキソ印刷に用いら
れる印刷版としては、細かな画像が再現できることか
ら、感光性樹脂組成物を製版して得られるフレキソ印刷
版が占める割合が多くなっている。このような感光性樹
脂フレキソ印刷版の形成には、ポリエステルフィルムを
支持体とし、少なくとも一種類の、熱可塑性エラストマ
ー、エチレン性不飽和化合物、および放射線に反応する
開始剤、各々からなる感光性樹脂組成物を用いるのが一
般的である。
とは、印刷画像レリーフとして極小点を有しこれによ
り、印刷物におけるハイライト部の表現に優れること、
且つ、ベタ部分では十分なインキが印刷版上に載ること
である。しかしながら、この両者を同時に達成すること
は容易ではなく、種々の克服すべき問題が提起されてい
る。すなわち、十分な量のインキを被印刷体に転移させ
る場合には印刷圧力を上げることが有効であるが、その
圧力によって印刷版レリーフの極小ドットまで過剰な圧
力を受けることになり、そのためにハイライトの極小点
が潰れてしまい、望ましいハイライト部の表現を得るこ
とができない。一方、望ましいハイライト部の表現を得
るために、印刷圧力を低くすると、十分な量のインキが
被印刷体に転移することができず、いわゆるインキ転移
性の低下が起こり、印刷版のベタ部に相当する印刷部分
に印刷ムラが生ずるという、問題があった。
フレキソ印刷物としては、例えば特開2000−155
418で述べられているような方法が開示されている
が、この方法により得られる印刷版は、ベタ部のインキ
転移性については言及されていない。
けるインキ転移性に優れた感光樹脂性フレキソ印刷版を
提供することを課題とする。
題について鋭意検討した結果、印刷版の表面平均粗さを
0.1〜0.6μmとすることで、フレキソ印刷版のベ
タ部のインキ転移性を向上させることができ、特に、従
来、感光性樹脂フレキソ印刷版の感光性樹脂層上にネガ
フィルムとの密着を滑らかにする目的で設置されていた
スリップ層の表面平均粗さを特定の範囲に制御すること
でより効果的に上記課題を達成することができることを
見出し、本発明をなすに至った。
明する。本発明に用いられるフレキソ印刷版としては天
然ゴムを彫刻して得られるフレキソ印刷版や感光性樹脂
を製版することで得られるフレキソ印刷版を使用するこ
とができる。天然ゴムについては必要に応じて過硫など
を行なったものを用いることができる。
均粗さが、0.1〜0.6μmであることが必要であ
る。印刷版表面平均粗さがこの範囲にあるとき、印刷版
が良好なインキ転移性を示し、被印刷体のベタ部におい
ても良好な印刷品質が得られる。好ましくは、0.1〜
0.3μmであり、より好ましくは、0.1〜0.2μ
mである。版表面の粗さは、JIS表面粗さ(B060
1)の中心線平均粗さであるRaを求めることで知るこ
とができる(以下、中心平均粗さを、必要に応じて「R
a」と称する)。Raは市販されている測定器を使用す
ることで求めることができる。測定針を版表面に接触さ
せ、版表面をスキャニングすることで中心線平均粗さを
求めることでき、その他にもレーザー光の反射から表面
の粗さを求めることができる測定器も市販されている。
35dyne/cm以上であることが好ましい。これよ
り高い表面張力で、印刷版表面が十分な濡れ性を有し、
十分な量のインキを版表面に保持することが、一層容易
となり、必要な量のインキを被印刷体へ転写することに
より、インキ転移性を向上させる上で好都合である。よ
り好ましくは、 38dyne/cm以上であり、一層
好ましくは、40dyne/cm以上である。
体の液滴と印刷版表面との接触角を測定することで求め
ることができ、種々の表面張力を持つ液体との接触角を
測定することで得られる。既に表面張力が知られている
液体として水やエタノールなどを挙げることができる。
そのほかに印刷版表面張力を測定する方法として、濡れ
性指示薬を使用することもできる。エチレングリコール
モノエチルエーテルとホルムアミドを混合し、その混合
比を調整することで30〜56dyne/cmの範囲の
指示薬を得ることができる。その指示薬を印刷版表面に
塗布し、その濡れ性指示薬の液膜の破れを観察すること
で、印刷版の表面張力を知ることができる。
は、印刷版を構成する熱可塑性エラストマーのブロック
比を適当な割合で混合することで調製することができ
る。一例として、ポリイソプレンとポリスチレンからな
るブロック共重合体やポリブタジエンやポリスチレンの
ブロック共重合体などの使用を挙げることができ、この
場合、ポリイソプレン、ポリブタジエンとポリスチレン
の比率を調整することで、版の表面張力を調整すること
ができる。
理されたフィルムを使用し、フィルムの粗さを印刷版に
転写させることで調整できる。このようなフィルムとし
ては、化学処理及びサンドブラスト処理された、ポリプ
レンフィルムやポリエステルフィルムを用いることがで
きる。また、別法として、支持体層、感光性樹脂層
(a)及びスリップ層(b)を含む感光性樹脂印刷版構
成体を製版プロセスに通すことで版表面平均粗さを調整
したフレキソ印刷版を得ることもできる。
の厚みを持つ寸法安定なポリエステルフィルムを用いる
ことができる。必要に応じてコロナ処理やアルカリ処理
やサンドブラスト処理などを行い、化学的、物理的な処
理を行うことができる。この支持体には必要に応じて接
着剤を塗布しても良い。例えば、特開2000−155
410にあるような方法で塗布できる。感光性樹脂層
(a)は、感光性樹脂組成物を所定の形状に成型するこ
とにより得られる。感光性樹脂組成物としては、その成
分として少なくとも熱可塑性エラストマー、エチレン性
不飽和モノマー、及び光重合開始剤を含むものが一般に
使用される。
芳香族炭化水素と共役ジエンモノマーとの重合により得
られるものが一般的に使用される。該モノビニル置換芳
香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン
等が、また共役ジエンモノマーとしてはブタジエン、イ
ソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−
ブタジエンブロック共重合体などが代用的な例として挙
げられる。
性組成物に使用されているモノマーを使用することがで
き、例えば、t−ブチルアルコールやラウリルアルコー
ルなどのアルコールとアクリル酸とのエステル、ラウリ
ルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマ
レイミドなどのマレイミド誘導体、あるいはジオクチル
フマレートなどのアルコールとフマル酸エステル、さら
にはヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ノナンジ
オール(メタ)アクリレート、トリメチロール(メタ)
アクリレートなどの多価アルコールとアクリル酸、メタ
クリル酸とのエステル等を単独、または組合せて感光性
樹脂組成中に使用することができる。
ベンゾイルエーテル類などの公知のラジカル重合開始剤
を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、ミ
ヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン
エチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α
―メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシ
ベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニ
ルアセトフェノンなどの中から使用することができ、そ
れらを組み合わせても使用できる。
感剤や熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤などを添加するこ
ともできる。上記感光性樹脂組成物を用いて、本発明の
感光性樹脂層(a)は様々な方法で調製することができ
る。例えば上記記載の組成であれば、配合される原料を
適当な溶媒、例えば、クロロホルム、トルエンなどに溶
解させて混合し、型枠の中に流延し、溶媒を蒸発させる
ことで得ることができる。その他にもニーダーやロール
で混練し、押し出し機、射出成形機、プレスなどによ
り、希望の厚みにすることができる。
み性を有するポリアミドと少なくとも1種類以上の熱可
塑性エラストマーを0.1〜30重量%からなるものを
用いることが望ましい。0.1重量%以下ではスリップ
層(b)と樹脂間の密着が必ずしも十分でなく、この範
囲以上の添加では、使用するポリアミドと熱可塑性エラ
ストマーの種類によっては、スリップ層(b)表面が粘
着性になることがある。
してはホットメルト型の接着剤用途して市販されてお
り、本発明においても有効なものを選択することがで
き、例えば、ヘンケルジャパン株式会社製のマクロメル
トシリーズなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーと
してはモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンから
なるエラストマーを使用することができる。その例とし
て旭化成株式会社製のタフプレンシリーズやシェル化学
株式会社製のクレイトンシリーズなどを挙げることがで
きる。
リップ層(b)の過剰な粘着性を抑制するため、必要に
応じて、熱可塑性エラストマーとしてモノビニル置換芳
香族炭化水素と共役ジエンの水素化ブロックからなる熱
可塑性エラストマーを用いることができる、例えば、旭
化成株式会社製のタフテックシリーズを挙げることがで
きる。また、スリップ層の中心線平均粗さを少なくする
点から、予めポリアミドと熱可塑性エラストマーについ
て混練して得られる組成物をスリップ層(b)の主成分
とすることが更に好ましい。ポリアミドと熱可塑性エラ
ストマーの混練は一般に公知の方法で行うことができ、
例えば、一軸型押し出し機や二軸型押し出し機やニーダ
ーなどによって混練することができる。
分を適当な溶剤に溶解させて得られる、樹脂組成物から
形成される。所望のフレキソ印刷版表面平均粗さを得る
ためには、上記樹脂組成物より得られるスリップ層
(b)は、その中心平均粗さが、0.1〜0.6μmの
範囲を有するものを用いるのが好ましい。このスリップ
層(b)は、予め、サンドブラスト処理や化学処理等に
より適度な表面平均粗さに調整されたフィルム、例え
ば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピ
レンフィルム上に、所定量のスリップ層(b)を形成す
る樹脂組成物をバーコーターやグラビアコーター等を用
いて均一に塗布後、乾燥させスリップ層(b)を形成さ
せる。乾燥後の塗布量は通常1〜10g/m2である。
このスリップ層(b)は、フィルムの表面平均粗さから
影響を受けるため、この状態で、フィルムに接している
面と反対の面に所望の表面平均粗さを有しており、その
面を前述した感光性樹脂層(a)に接するように積層さ
せることで得られる印刷版構成体を用いることにより、
本発明の所望の版表面平均粗さを有する印刷版が得られ
る。
(b)は、現像液に可溶であることが望ましい。スリッ
プ層(b)が現像液に不溶な場合は別途、保護膜を除去
する工程が必要となるため、製版効率の観点から望まし
くない。さらに、スリップ層(b)はたわみ性を有する
ことが望ましい。たわみ性を有していない場合、版を運
搬するときのたわみによって皺が入り、その皺が現像後
までも残る場合があるからである。
(b)との間には、製版作業中におけるスリップ層
(b)の剥離が起きない程度の十分な密着力が作用して
いることが望ましい。スリップ層(b)の中心平均粗さ
で0.1μm未満では樹脂との十分な密着が得られない
ことがある。上記印刷版構成体を通常の方法で製版処理
することにより、目的とする印刷版を得ることができ
る。製版処理において用いられる、感光性樹脂を光硬化
させる紫外線露光源として、高圧水銀灯や紫外線蛍光
灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどがある。紫
外線を透明画像担体を通して感光性樹脂を露光すること
により目的の画像を得ることができる。
剤としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、
テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤や、ヘプチルアセ
テート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル
類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類やこ
れらにプロパノール、ブタノール等のアルコール類を混
合したものをあげることができる。未露光部の洗い出し
はノズルからの噴射によって、またはブラシによるブラ
ッシングによて行われる。得られた印刷版はリンス洗浄
し、乾燥後に後露光を実施して印刷版を得る。
本発明の技術的範囲及び実施態様はこれら実施例に限定
されるものではない。
形成する樹脂組成物として表1に示した成分をニーダー
で混練し、感光性樹脂組成物を得た。スリップ層(b)
として、実施例1では厚み100μmの市販のフィル
ム、及び比較例1では、厚み20μmの市販のフィルム
を用い、それ以外の例では、ポリアミドと熱可塑性エラ
ストマーを表2の割合で含む組成物から調製した。該組
成物は、ポリアミド(マクロメルト6900,ヘンケル
ジャパン株式会社製)と熱可塑性エラストマー(タフテ
ックM1913、旭化成株式会社製)を、イソプロピル
アルコール30部、トルエン30部を加えて、均一な溶
液とすることにより調製され、得られた組成物を、12
5μm厚みのポリエステルフィルム上に、乾燥後の重量
が4〜5g/m2となるようにナイフコーターを用いて
塗布した。これを80℃2分間乾燥させ、ポリエステル
フィルム上に積層されたスリップ層
のフィルムに面していない面の中心線平均粗さを東京精
密製Surcomにて測定した。得られたスリップ層
(b)を、その所望の平均粗さを有する面が感光性樹脂
層(a)と接するように感光性樹脂層(a)の上に積層
し1.5mmのスペーサーを用いてプレス機で130℃
の条件で4分間、200kg/cm2の圧力をかけて加
圧成型を行い、フレキソ印刷版用感光性構成体を得た。
1500露光機(旭化成株式会社製)上で370nmに
中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、透明画担体を
通して、6000mJ/cm2の露光を行った。このと
き、露光強度をオーク製作所製のUV照度計MO−2型
機でUV−35フィルターを用いて露光量を測定した。
ついで、テトラクロロエチレン/n−ブタノール(3/
1容積比)を現像液としてAFP1500現像機(旭化
成会社製)にて現像し、60℃1時間乾燥後、後露光を
行ってフレキソ印刷版を得た。現像液に不要なスリップ
層は、現像前に剥離させた後に、現像を行った。
エンス製VF−7500にて測定した。得られた印刷版
の表面張力については市販されているぬれ指数示標準液
(和光純薬工業製)を用いて、測定した。印刷品質につ
いては、水性インキを用いてコート紙に対して印刷テス
トを実施した。被印刷体である、コート紙でのインキか
すれに着目し、被印刷体でのインキのカバー率を基準に
判断した。カバー率95%以上を○とし、それ未満を×
とした。表2に記載されているように、実施例1〜4で
はインキのカバー率95%以上のベタのりが良い、印刷
品質が良好な印刷物が得られた。一方、比較例1〜3で
はインキカバー率が95%未満となり、良好な印刷物が
得られない、もしくは感光性樹脂との十分な密着が得ら
れず、透明画担体を置く前に剥離してしまい評価できな
かった。以上の試験結果を表2にまとめた。
転移性に優れている、印刷品質が良好な印刷物を提供す
る感光性樹脂フレキソ印刷版を得ることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 版表面平均粗さが0.1〜0.6μmで
あることを特徴とするフレキソ印刷版。 - 【請求項2】 版表面張力が35dyne/cm以上で
あることを特徴とする請求項1記載のフレキソ印刷版。 - 【請求項3】 少なくとも1種類以上のモノビニル置換
芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラスト
マー50重量%以上、少なくとも1種類以上のエチレン
性不飽和化合物1〜20重量%、少なくとも1種類以上
の光重合開始剤0.1〜3重量%を含有する感光性樹脂
層(a)の上に、平均表面粗さが0.1〜0.6μmの
粗面を有するスリップ層(b)をこの粗面が層(a)に
接するように積層させる工程を含む、請求項1記載のフ
レキソ印刷版の製造方法。 - 【請求項4】 スリップ層(b)が少なくとも一つのポ
リアミド、及び少なくとも1種以上の熱可塑性エラスト
マーから成り、該熱可塑性エラストマーがスリップ層
(b)全体に対して0.1〜30重量%含むことを特徴
とする請求項3記載のフレキソ印刷版の製造方法。 - 【請求項5】 スリップ層(b)に含まれる熱可塑性エ
ラストマーが、少なくとも1種類の、モノビニル置換芳
香族炭化水素と共役ジエンを含む熱可塑性エラストマ
ー、またはモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエン
の水素化ブロックを含む熱可塑性エラストマー、である
ことを特徴とする請求項4記載のフレキソ印刷版の製造
方法。 - 【請求項6】 スリップ層(b)が、少なくとも1種類
のポリアミドおよび少なくとも1種類の熱可塑性エラス
トマーを含有する組成物から得られることを特徴とする
請求項4および5記載のフレキソ印刷版の製造方法。 - 【請求項7】 スリップ層成分を溶剤に溶解させ、ポリ
エステルフィルムにコーティングし、溶剤を乾燥させて
該フィルム上にスリップ層(b)を形成した後、該スリ
ップ層のポリエステルフィルムに面していない面を感光
性樹脂層(a)に接するようにして、感光性樹脂層
(a)の上にスリップ層(b)を積層させる工程を含む
ことを特徴とする請求項3〜6記載のフレキソ印刷版の
製造方法。 - 【請求項8】 請求項3〜7いずれかに記載の方法によ
り得られた請求項1及び2記載のフレキソ印刷版。
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JP4623455B2 (ja) | 2011-02-02 |
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