JP2003043416A - 光アイソレータ - Google Patents

光アイソレータ

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JP2003043416A
JP2003043416A JP2001229030A JP2001229030A JP2003043416A JP 2003043416 A JP2003043416 A JP 2003043416A JP 2001229030 A JP2001229030 A JP 2001229030A JP 2001229030 A JP2001229030 A JP 2001229030A JP 2003043416 A JP2003043416 A JP 2003043416A
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Japan
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adhesive
substrate
optical isolator
faraday rotator
thermal expansion
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Gakushi Shoda
学史 庄田
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光アイソレータにおいて、より耐熱性に優れ、
且つ良好な光学特性を得ることを目的とする。 【解決手段】少なくとも1以上のファラデー回転子の両
側に2以上の偏光子を配置して互いに接着剤で固定した
複合素子を、さらに接着剤を用いて基板上に固定した光
アイソレータにおいて、接着剤のガラス転移温度を11
0℃以上160℃以下とし、かつ基板材質の熱膨張係数
を前記ファラデー回転子の熱膨張係数α(1/℃)に対
し、α±10×10-7(1/℃)の範囲内とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源から出射され
た光を各種光学素子や光ファイバに導入する際に生じる
戻り光を除去するために用いられる光アイソレータに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光源等の光源から出射した光
は、各種光学素子や光ファイバに入射されるが、入射光
の一部は各種光学素子、光ファイバを透過する際、反射
や散乱を起こす。反射や散乱した光の一部は光源側に戻
るが、この戻り光を遮断するため、光アイソレータが用
いられる。
【0003】図7は従来の小型化された光アイソレータ
13の構成を示す図である。図7に示すように、光アイ
ソレータ13は偏光子14,15とファラデー回転子1
6を光学的に透明な接着剤17により互いに接着一体化
した複合素子18と、ファラデー回転子16に飽和磁界
を印可するための磁石19を、さらに接着剤17により
基板20上に固定した構成となっている。
【0004】ここで偏光子14,15は透過する光の一
方向の偏波成分を吸収し、その偏波成分に直交する偏波
成分を透過する機能を有し、また、ファラデー回転子1
6は飽和磁界強度において所定波長の光の偏波面を約4
5度回転する機能を有する。また2つの偏光子14,1
5は、それぞれの吸収あるいは透過偏波方向が約45度
ずれるように配置されている。図中の矢印は透過偏波方
向を表し、偏光子14の透過偏波方向は基板20底面に
対して平行方向であり、これに対し偏光子14の透過偏
波方向は約45度傾いている。
【0005】図8は従来の光アイソレータの製造方法を
示す図である。
【0006】まず図8(a)に示すように、偏光子基板
21とファラデー回転子基板23と偏光子基板22を接
着剤17により接着一体化し、光アイソレータ用素子基
板24とする。ここで偏光子基板21の透過偏波方向
は、ある1辺に平行な方向に設定されている。また、偏
光子基板22は偏光子基板21の一辺に対し約45度回
転した状態で接着される。ここで、光アイソレータに高
いアイソレーションが要求される場合は、ファラデー回
転子23の偏波回転角度45+α度に対し、偏光子基板
21と偏光子基板23の回転ズレを45−α度に精密に
調整する必要がある。具体的には光を逆方向から(偏光
子基板22側から)入射し、透過してくる光が最も小さ
くなるように偏光子基板21と偏光子基板22を回転調
整する。
【0007】次に図8(b)に示すように、光アイソレ
ータ用素子基板24を小さなチップ状の多数の複合素子
18に加工する。
【0008】さらに図8(c)に示すように複合素子1
8及び磁石19を基板20上に接着剤17を用いて固定
する。なお、複合素子18は入射側の偏光子14の透過
偏波方向を基板20底面に対し平行となるよう固定す
る。その後磁石19に着磁を行い、光アイソレータ13
が作製される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】光アイソレータをレー
ザモジュール内に接着固定するためには熱硬化性接着
剤、または半田等を用いる。この際、光アイソレータは
高温環境下におかれるため、耐熱性を持たねばならな
い。
【0010】但し、光アイソレータの耐熱性を向上させ
るため、接着剤の耐熱性を向上させると、これに従い接
着剤のガラス転移温度も上昇する。ガラス転移温度の上
昇に従い、光アイソレータの構成部材に加わる熱応力も
増加する。特に光アイソレータを構成する各部材の熱膨
張係数間の差異が大きい場合、構成部材に大きな熱応力
が生じクラックの発生や、光学特性の劣化が生じる。
【0011】ここで従来の光アイソレータの構成を考え
ると、レーザモジュール内に光アイソレータを半田固定
する場合を考慮し、基板に用いる材料としては金メッキ
を容易に施すことが出来るアルミナを選択していた。
【0012】しかしながら、アルミナの熱膨張係数は7
1×10-7(1/℃)であり、特にファラデー回転子の
熱膨張係数105×10-7(1/℃)と差が大きく、互
いにに大きな熱応力が生じる。アルミナは、粒度が粗く
脆いため、熱応力が生じることでカケ、クラックを生じ
易く、さらに多くの気孔が存在し、粒界での乱反射によ
り白濁しているためクラックが生じていても目視で確認
することが困難である。またファラデー回転子に熱応力
が生じると、これを透過する光の消光比が劣化し、光ア
イソレータの諸特性、特に逆方向損失特性が劣化する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記に鑑みて本発明は、
少なくとも1以上のファラデー回転子の両側に2以上の
偏光子を配置して互いに接着剤で固定した複合素子を、
さらに接着剤を用いて基板上に固定した光アイソレータ
において、上記各接着剤のガラス転移温度を110℃以
上160℃以下とし、かつ前記ファラデー回転子の熱膨
張係数α(1/℃)に対し、基板の熱膨張係数をα±1
0×10-7(1/℃)の範囲内としたことを特徴とす
る。
【0014】また、光ファイバーを内装したフェルール
中央部に前記光ファイバーを分断するよう溝を形成し、
少なくとも1以上のファラデー回転子の両側に2以上の
偏光子を配置して互いに接着剤で固定した複合素子を前
記溝部に接着剤を用いて埋設した光アイソレータにおい
て、上記各接着剤のガラス転移温度を110℃以上16
0℃以下とし、かつ前記ファラデー回転子の熱膨張係数
α(1/℃)に対し、前記フェルールの熱膨張係数をα
±10×10-7(1/℃)の範囲内としたことを特徴と
する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明による光アイソレー
タについて説明する。
【0016】図1は本発明の請求項1に示す光アイソレ
ータ1の実施形態を示す構成図である。複合素子6は偏
光子2、3とファラデー回転子4を光学的に透明な接着
剤5により互いに接着一体化したものであり、2枚の偏
光子基板とファラデー回転子基板を接着一体後チップ状
に切削加工されたものである。この複合素子6と磁石7
は基板8上に整列固定されて、本発明の光アイソレータ
1は構成される。このように1つの基板上に光学素子を
固定する構成をとることにより、光アイソレータを構成
するホルダ等の部品点数を削減することができ、さらに
光アイソレータの小型化が実現する。
【0017】次に光アイソレータ1の動作について説明
する。光軸Lに示す矢印方向を順方向とし、角度は右回
転方向を+とする。LDから出射した光は順方向に進行
し、その光は一般にTEモード発振となり、基板8の上
面に平行な偏波方向で光アイソレータ1に入射する。L
Dから出射した光は偏光子2を透過し、ファラデー回転
子4でその偏波方向を−45度回転させ、偏光子3に入
射する。偏光子3の透過偏波方向は基板8の上面対し−
45度の角度となるように配置されているため、順方向
に進む光は偏光子4を透過する。
【0018】逆方向から入射する反射戻り光は、不確定
な偏波を有するが、偏光子3では−45度の偏波方向を
有する光のみが透過し、他は遮断される。偏光子3を透
過した逆方向の光は、ファラデー回転子4でその偏波方
向をさらに−45度回転させ、偏光子2に入射する。こ
こで偏光子2に入射する逆方向光は、−90度の偏波方
向であり、偏光子2とはクロスニコルとなるため、偏光
子2で遮断され、反射戻り光はLDに戻らない。このよ
うに、偏光子2と偏光子3の透過偏波方向を45度ずら
して配置することにより、光アイソレータとして機能す
る。
【0019】偏光子2および偏光子3は、例えば楕円体
形の金属粒子がガラス内に分散された構造の偏光ガラス
からなる。この偏光ガラスは長く延伸された金属粒子を
ガラス自身の中に一方向に配列させることにより偏光特
性を持たせたガラスであり、金属粒子の延伸方向に垂直
な偏波面を持つ光が透過し、平行な偏波面を持つ光は吸
収される。ここで偏光子2の透過偏波方向は、矢印で示
すように基板8の上面に対し略平行に配置され、偏光子
3の透過偏波方向は、基板8の上面に対し略−45度の
角度を持つように配置されている。
【0020】ファラデー回転子4は、例えばビスマス置
換ガーネット結晶等で、その厚みは入射光線の偏光面が
45度回転する様に設定する。一般に、偏波面を回転さ
せるためには、入射光線の光軸L方向に十分な磁界を印
可することが必要である。また、自己バイアス型のファ
ラデー回転子を用いれば磁石なしでも光アイソレータは
動作するため、磁石は不要となる。
【0021】また、各光学素子同士の固定や複合素子6
と基板8との固定に用いる接着剤5は、光学的に透明な
熱硬化性接着剤等を用い、例えばエポキシ系接着剤やア
クリル系接着剤等を選択する。但しシリコーン系の接着
剤は経年変化やレーザモジュール内での高温保持等の条
件下において未硬化成分(低分子シロキサン)が揮発
し、パッケージ内の光学部品表面に付着し、光学的な損
失を引き起し、レーザモジュールの諸特性を劣化させる
ため、相応しくない(特開2000−252552)。
【0022】ここで、光アイソレータ1は熱硬化性接着
剤、または半田等によりレーザモジュール内に固定され
る。ここで、光アイソレータ1の固定時に加わる温度は
熱硬化性接着剤の場合最大で約150℃、半田にて固定
を行う際には約250℃にも達するため、光アイソレー
タ1の部材を固定するための接着剤5にも耐熱性が要求
される。
【0023】いま、接着剤5の分解開始温度をその耐熱
温度とするならば、これが高くなるに従い、ガラス転移
温度も上昇することが知られている。図2に代表的なエ
ポキシ系接着剤における耐熱性とガラス転移温度との関
係を示す。なお、図2中では横軸にガラス転移温度、縦
軸に耐熱温度を示す。ここで各接着剤のガラス転移温度
と耐熱温度の関係を○印で示し、各点を直線近似した結
果も同時に示す。ここで分かるように耐熱性に優れた接
着剤ほどガラス転移温度が高い傾向を持ち、一般的なエ
ポキシ系熱硬化性接着剤では分解開始温度150℃程度
の接着剤のガラス転移温度は約110℃程度である。但
し、ガラス転移温度が高すぎる場合耐熱性は向上するも
のの、伸びや剥離強度が低下し、硬化物は堅く脆くなる
ため使用が制限される。およそ160℃以上のガラス転
移温度をもつ接着剤は光学部品用として適していない。
本発明では以上の条件、つまりガラス転移温度が110
℃以上160℃以下であることを満たす接着剤5を用い
る。このような接着剤としては例えばエポキシテクノロ
ジー社製Epo−Tek353NDやEpo−Tek3
54等が挙げられる。
【0024】ここで、熱硬化性接着剤による部材の固定
時に生じる熱応力に関し示す。接着剤が液体から固体へ
と硬化するに従って、接着剤の体積は収縮し、この収縮
によって接着面に熱応力が発生する。ここで図3を用い
て加熱硬化したときの接着剤の体積変化を示す。図3
中、状態Aでは接着剤は液体であり、加熱されて状態B
となり硬化反応が開始する。その後、接着剤5はゲル化
した状態Cとなり、硬化反応が完了し状態Dとなる。冷
却を開始しガラス転移温度である状態Eを通過した後、
室温の状態Fとなる。ここで、状態Dから状態Eまでの
収縮は接着剤の弾性率が小さいため熱応力の発生はな
く、状態Eから状態Fまでの熱収縮が大きな熱応力の発
生要因となる。
【0025】なお、熱硬化性接着剤を用いて2つの被着
材を接着する際、被着材の界面に生じる熱応力Pは以下
のように表される。 P=K×Δα×(t2―t1)+E・・・(式1) なお、Kは各部材の弾性率等に基づく係数、Δαは被着
材間の熱膨張係数差、t 2は接着剤のガラス転移温度、
1は室温、Eは他の要因による応力を示す。
【0026】このように被着材に加わる熱応力は被着材
間の熱膨張係数差、及び接着剤のガラス転移温度に比例
し、これらが大きいと、被着材に加わる熱応力も増加す
ることになる。
【0027】光アイソレータ1において、構成部材に熱
応力が生じるとクラックの発生、光学特性の劣化が生じ
る。特にファラデー回転子4部に熱応力が生じると、こ
れを通過する直線偏光の消光比に劣化が生じ、光アイソ
レータ1のアイソレーション特性が劣化する。図1に従
いこれを説明する。逆方向から入射する反射戻り光は偏
光子3を透過し、直線偏光となる。ファラデー回転子4
を透過した直線偏光は−45度回転するが、同時にこれ
に対し直交する偏光成分も生じる。消光比に劣化が生じ
ると、この直交する偏波成分が増加するが、これは偏光
子2を透過するため、アイソレーション特性の劣化とな
る。
【0028】ここでファラデー回転子4に加わる応力と
消光比の関係を図4に示す。なお図4中では横軸に応
力、縦軸にファラデー回転子4透過光の消光比を示す。
ここで分かるように応力が加わっていない状態では、透
過光の消光比が47dBと良好であっても、応力が増加
するに従い透過光の消光比は劣化し、3kgf/mm2
(29.4MPa)以上では光アイソレータの一般的な
特性下限設定値である25dBを下回ることがわかる。
【0029】このようなファラデー回転子4の特性劣化
を防ぐため本発明では基板8に用いる材料の熱膨張係数
をファラデー回転子4の熱膨張係数α(1/℃)に対
し、α±10×10-7(1/℃)の範囲内とする。な
お、一般的なファラデー回転子つまりビスマス置換ガー
ネット結晶の熱膨張係数は105×10-7(1/℃)程
度であるため、基板材質の熱膨張係数は95×10
-7(1/℃)から115×10 7(1/℃)であるも
のを使用する。これを満たす材料としてはジルコニア
(熱膨張係数105×10 7(1/℃))、フォルス
テライト(熱膨張係数98×10 7(1/℃))等の
セラミックやSUS430(熱膨張係数104×10
7(1/℃))等のフェライト系ステンレス、SUS4
03(熱膨張係数99×10 7(1/℃))等のマル
テンサイト系ステンレス、50Ni−Fe(熱膨張係数
98×10 7(1/℃))が挙げられる。
【0030】なお、ジルコニアは光強度、高靭性を持つ
ため、熱応力や取扱時に生じるクラックを防止すること
が可能である。さらに光アイソレータをレーザモジュー
ル内に半田を用いて固定する場合、基板底面に金メッキ
を施す必要があるが、ジルコニアにおいてもモリブデン
・マンガンによる表面処理を行うことにより、金メッキ
を施すことは可能である。
【0031】このように基板8の材料の熱膨張係数を一
定範囲とすることによりファラデー回転子4に生じる熱
応力を減少させるが、この効果を示す手法として熱応力
の数値解析を行った。基板8の材質をアルミナ、ジルコ
ニアとした従来の光アイソレータで生じる熱応力解析結
果、及び基板8を接着しなかったときの熱応力解析結果
も同時に示す。解析条件としては、偏光子2,3の熱膨
張係数を65×10-7(1/℃)、ファラデー回転子4
の熱膨張係数を105×10-7(1/℃)、磁石7の熱
膨張係数を98×10-7(1/℃)とし、接着剤5のガ
ラス転移温度を110℃、室温を25℃と想定した。ま
たジルコニアの熱膨張係数を105×10-7(1/
℃)、アルミナ製基板の熱膨張係数を71×10-7(1
/℃)とした。解析結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】ここで、表1におけるファラデー回転子部
上の検討位置を示すため、図5(a)乃至(b)に光ア
イソレータの構成図を示す。なお図5(a)では図1と
同様に2,3は偏光子、4はファラデー回転子、5は接
着剤、7は磁石、8は基板を示す。図5(b)では2,
3は偏光子、4はファラデー回転子、5は接着剤を示
す。基板が接着されている場合、最大熱応力の発生する
箇所は図5(a)のA部、つまりファラデー回転子4と
偏光子2、磁石6、基板8との接合部となり、基板なし
の場合、最大熱応力の発生する箇所は図5(b)のB
部、つまり偏光子2との接合面上の外周部となる。な
お、光学素子中央部は各図中C部として示す。
【0034】表1から分かるように、基板8の材質をア
ルミナとした場合は、ジルコニアとした場合と比較して
最大熱応力は約2倍となる。また、光学素子中央部つま
り光アイソレータにおける光線通過部において、基板8
の材質をジルコニアとした場合の熱応力は基板がない状
態とほぼ等しく、基板8を固定した事による熱応力の増
加は殆ど見られない。しかしながら基板8をアルミナと
した場合、基板8がない状態と比較して熱応力は約1.
5倍となり、さらにその絶対値を取っても3kgf/m
2を上回る結果となった。このように基板8材質の熱
膨張係数をファラデー回転子4の熱膨張係数に近づける
ことで、ファラデー回転子4に加わる熱応力を低下させ
ることが可能となる。なお、上記解析結果をもとに式1
に従い、熱応力が3kgf/mm2以上となる場合の熱
膨張係数差を算出すると、7.9×10-7(1/℃)で
あった。従って、基板の熱膨張係数はファラデー回転子
の熱膨張係数に対して約±10×10-7(1/℃)程度
の許容範囲があるといえる。
【0035】図6は本発明の請求項2に示す光アイソレ
ータの構成図である。
【0036】光ファイバ10はフェルール11に保持固
定されており、その中央部には溝12が加工されてい
る。なお溝12は光ファイバ10も共に切削されてお
り、加工と同時に光ファイバ10の両端面は研磨されて
いる。また溝12には偏光子2、3及びファラデー回転
子4からなる複合素子6が固定されている。
【0037】ここで複合素子6、光ファイバ10の間の
空隙は、反射を少なくし、また製品信頼性、あるいは作
り易さの点から、光学的に透明な接着剤5を充填する。
また、光ファイバ10は通常のシングルモードファイバ
の他、より光ファイバ間の結合損失を小さくしたい場合
は、光ファイバの先端のコア径を拡大した光ファイバ
や、レンズ機能を先端に付加した光ファイバを用いる。
【0038】この実施形態で示した光アイソレータ9に
おいても熱硬化性接着剤、または半田等によりレーザモ
ジュール本体に固定されるため、耐熱性が要求される。
従って接着剤5は図1に示す光アイソレータ1と同様、
ガラス転移温度が110℃以上160℃以下であること
を満たすものを用いる。
【0039】また、接着剤5の硬化によって発生する熱
応力も図1に示す光アイソレータ1と同様であり、2つ
の被着材を接着する際、被着材に加わる熱応力は被着材
間の熱膨張係数差、及び接着剤のガラス転移温度に比例
し、これらが大きいと、被着材に加わる熱応力も増加す
ることになる。そして、図6に示した光アイソレータ9
においてもファラデー回転子4に応力が加わるとこれを
通過する直線偏光の消光比が劣化するため、アイソレー
ション特性の劣化が生じる。
【0040】そこで、図6に示した光アイソレータ9の
構成を元に図1に示した光アイソレータ1と同様の、熱
応力の数値解析を行ったところ、ファラデー回転子4に
加わる熱応力の値は表1に示された値とほぼ同様の計算
結果となった。従って図6に示した光アイソレータ9に
おいてはフェルール10の熱膨張係数をファラデー回転
子4の熱膨張係数α(1/℃)に対し、α±10×10
-7(1/℃)の範囲内とすることで、ファラデー回転子
に加わる熱応力を減少させ、優れた光学特性を得ること
が出来る。
【0041】
【実施例】本発明の光アイソレータの実施例とし図1に
示した光アイソレータの試作を行った。
【0042】偏光子2,3の厚みは0.5mm、ファラ
デー回転子4の厚みは0.4mm、基板8の厚みを0.
5mm、その材質はジルコニアとした。複合素子6の作
製の際、つまり偏光子2,3とファラデー回転子4の接
着に用いた接着剤5、さらにチップ化された複合素子と
基板との接着に用いた接着剤5としてはEpo−Tek
353NDを用いた。なお、接着剤の耐熱温度は180
℃、ガラス転移温度は124℃である。また比較例とし
て基板材質をアルミナとし、その他寸法等を本発明の製
品と等しくした製品も同時に作製した。
【0043】上記の条件で作製した光アイソレータのア
イソレーション特性を表2に示す。また、完成した製品
をレーザモジュールのスクリーニングにならい、温度サ
イクル試験に投入した。試験前後でのアイソレーション
特性変動量を同時に示す。
【0044】なお、温度サイクル試験の試験条件として
は、温度幅125℃(低温側保持温度−40℃、高温側
保持温度85℃)、保持時間各30分、推移時間5分、
繰り返し回数20サイクルとした。
【0045】
【表2】
【0046】表2に示すように、ジルコニア基板を用い
た製品は、アルミナ基板を用いた製品と比べてアイソレ
ーション特性が著しく改善されており、さらに温度サイ
クル試験投入後の特性変動も小さくなった。
【0047】
【発明の効果】上述のように本発明による光アイソレー
タは、少なくとも1以上のファラデー回転子の両側に2
以上の偏光子を配置して互いに接着剤で固定した複合素
子を、さらに接着剤を用いて基板上に固定した光アイソ
レータにおいて、接着剤のガラス転移温度を110℃以
上160℃以下とし、かつ基板材質の熱膨張係数を前記
ファラデー回転子の熱膨張係数α(1/℃)に対し、α
±10×10-7(1/℃)の範囲内とすることにより耐
熱性に優れ、且つ良好な光学特性を得ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光アイソレータの実施形態を示す斜視
図である。
【図2】エポキシ系熱硬化性接着剤のガラス転移温度に
対する耐熱温度特性を示す図である。
【図3】エポキシ樹脂の硬化時における温度と体積の関
係を示す図である。
【図4】ファラデー回転子における応力に対する消光比
特性を示す図である。
【図5】(a)(b)は光アイソレータの熱応力解析結
果の検討箇所を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】従来の光アイソレータの構成を示す斜視図であ
る。
【図8】(a)〜(c)は従来の光アイソレータの製造
方法を示す図である。
【符号の説明】
1、9、13:光アイソレータ 2、3、14、15:偏光子 4、16:ファラデー回転子 5、17:接着剤 6、18:複合素子 7、19:磁石 8、20:基板 10:光ファイバ 11:フェルール 12:溝 21、22:偏光子基板 23:ファラデー回転子基板 24:光アイソレータ用素子基板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1以上のファラデー回転子の両
    側に2以上の偏光子を配置して互いに接着剤で固定した
    複合素子を、さらに接着剤を用いて基板上に固定した光
    アイソレータにおいて、上記各接着剤のガラス転移温度
    を110℃以上160℃以下とし、かつ前記ファラデー
    回転子の熱膨張係数α(1/℃)に対し、基板の熱膨張
    係数をα±10×10-7(1/℃)の範囲内としたこと
    を特徴とする光アイソレータ。
  2. 【請求項2】光ファイバーを内装したフェルール中央部
    に前記光ファイバーを分断するよう溝を形成し、少なく
    とも1以上のファラデー回転子の両側に2以上の偏光子
    を配置して互いに接着剤で固定した複合素子を前記溝部
    に接着剤を用いて固定した光アイソレータにおいて、上
    記各接着剤のガラス転移温度を110℃以上160℃以
    下とし、かつ前記ファラデー回転子の熱膨張係数α(1
    /℃)に対し、前記フェルールの熱膨張係数をα±10
    ×10-7(1/℃)の範囲内としたことを特徴とする光
    アイソレータ。
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