JP2004317815A - 光アイソレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1以上の平板状のファラデー回転子と、1以上の平板状の偏光子からなる光アイソレータにおいて、前記ファラデー回転子と平板状の偏光子を当接させ、かつ緩衝材を介して金属ホルダで挟持固定する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源から出射された光を各種光学素子や光ファイバに導入した際に生じる戻り光を除去するために用いられる光アイソレータ用素子とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信用モジュール等において、レーザ光源等の光源から出射した光は、各種光学素子や光ファイバに入射されるが、入射光の一部は各種光学素子や光ファイバの端面や内部で反射されたり散乱されたりする。この反射や散乱した光の一部は、戻り光として光源に戻ろうとするが、この戻り光を防止するために光アイソレータが用いられる。
【0003】
従来、この種の光アイソレータは、2枚の偏光子の間に平板状のファラデー回転子を設置し、これら3つの部品を筒状の磁石内に部品ホルダを介して収納することにより構成されていた。通常、ファラデー回転子は飽和磁界内において所定の波長をもつ光の偏光面を45°回転する厚みに調整され、また2つの偏光子はそれぞれの透過偏光方向が45°回転方向にずれるように回転調整されて構成されている。
【0004】
このような構成の光アイソレータは、ファラデー回転子と2つの偏光子が別部品で各素子にホルダが必要であり、そのため部品点数が多くなり組立工数が多くなるばかりか、各部品間の光学上の調整作業が煩雑で、コスト高を招いていた。また小型化が難しかった。
【0005】
このため、平板状のファラデー回転子の両面にそれぞれ平板状の偏光子を接着一体化した構成の光アイソレータ用素子を、筒状の磁石内中央部に配置した光アイソレータも提案されている。
【0006】
特許文献1には図6に示す従来の小型化された光アイソレータ15が示されており、以下にその構成について説明する。
【0007】
光アイソレータ15はファラデー回転子16、偏光子17、18を光透過性が良く屈折率が制御されている光学接着剤19で接着した光アイソレータ用素子20と筒状の磁石21とからなる。ここで偏光子17、18は透過する光の一方向の偏波成分を吸収し、その偏波成分に直交する偏波成分を透過する機能を有し、また、ファラデー回転子16は飽和磁界強度において所定波長の光の偏波面を約45度回転する機能を有する。また2つの偏光子17、18は、それぞれの透過偏波方向が約45度ずれるように配置されている。
【0008】
図7は従来の光アイソレータ用素子20の製造方法を示す図である。
【0009】
まず図7(a)(b)に示すように、10mm角程度の偏光子基板22とファラデー回転子基板23と偏光子基板24を接着一体化する。ここで偏光子22の透過偏波方向はある1辺に平行な方向に設定されており、偏光子24の透過偏波方向は、ある1辺に45度の方向に設定されている。各光学基板の固定は、偏光子22とファラデー回転子23、および偏光子24は互いの1辺が平行になるよう接着される。また、各光学素子の接着一体化には、前述したように光学的に透明な樹脂が接着剤として用いられ、一般的にエポキシ系、アクリル系の有機系接着剤が使用されている。
【0010】
ここで、光アイソレータに高いアイソレーションが要求される場合は、ファラデー回転子の偏波回転角度45+α度に対し、偏光子22と偏光子24の回転ズレを45−α度に精密に調整する必要がある。具体的には光を逆方向から(偏光子基板24側から)入射し、透過してくる光が最も小さくなるように偏光子22と偏光子24を回転調整する。
【0011】
次に図7(c)(d)に示すように、光アイソレータ用素子基板25を、ダイシング等で小さなチップ状の多数の光アイソレータ用素子20に加工する。
【0012】
この光アイソレータ用素子20を作製する場合には、大型の偏光子基板とファラデー回転子基板を交互に積層して、接着完了後にこれをカットして多数個の光アイソレータ用素子20を得るといった方法を用いることにより、作業性や生産量を高くし、さらに部品点数を削減することができる。なお、前記光学接着剤19としては、一般的にエポキシ系、アクリル系の有機系接着剤が使用されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平4−338916号
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようにファラデー回転子16の両面に板状の偏光子17、18を接着剤19により一体化した光アイソレータ用素子20において接着剤19が有機系接着剤の場合は、耐湿性が劣り、特に高温高湿条件下での使用が制限される問題がある。また、長時間あるいは高出力のレーザ光中の使用では接着剤19の変質の危険があり、信頼性に問題がある。
【0015】
また、光アイソレータ用素子20をレーザモジュールに組み込む際、光アイソレータ15は高温下に曝されるが、接着剤19として有機系接着剤を用いた場合はこれが分解し、気泡の発生、部材の脱落等が生じる。さらに、有機系接着剤19からのアウトガスはレーザチップやレンズなどの光学部品表面上に付着し、光学特性を劣化させる危険がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、1以上の平板状のファラデー回転子と、1以上の平板状の偏光子からなる光アイソレータにおいて、前記ファラデー回転子と偏光子は当接しており、かつ金属ホルダと緩衝材で挟持固定したことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記ファラデー回転子と平板状の偏光子の当接面の最大表面粗さRmaxは50nm以下であり、かつ前記ファラデー回転子の前記偏光子の当接面には、対偏光子の反射防止膜が施されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記ファラデー回転子と偏光子を挟持固定する押圧力Pは以下の条件を満足することを特徴とするものである。
【0019】
Rmax(nm)/100≦P(kgf/mm2)≦3
さらに、前記ホルダはヤング率が11×1010Pa以上の硬質材料からなることを特徴とするものであり、前記緩衝材はヤング率が10×1010Pa未満の軟質材料からなることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0021】
図1は、本発明の光アイソレータの実施形態を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、光アイソレータ1はホルダ8内に偏光子3、ファラデー回転子2、偏光子4の光学素子を互いに当接させて配置し、これらの周囲に筒状の磁石6を備え、前記各光学素子は緩衝リング5およびホルダ7により挟持固定されている。
【0023】
ファラデー回転子2は、例えばビスマス置換ガーネット結晶等で、その厚みは所定の波長をもつ入射光線の偏光面が45度回転する様に設定する。一般に、偏波面を回転させるためには、入射光線の光軸L方向に十分な磁界を印可することが必要である。また、自己バイアス型のファラデー回転子を用いれば磁石なしでも光アイソレータ1は動作し、磁石6は不要となる。
【0024】
2枚の偏光子3、4は、入射する光の1方向の偏光成分を吸収する機能を有する吸収型偏光子、あるいは入射する光の1方向の偏光成分を分離または合成する複屈折性偏光子で構成される。例えば、ファラデー回転子2が入射する光の偏光面を45゜光軸まわりに回転させるもので、偏光子3、4として吸収型偏光子を用いた場合、偏光子3の透過偏光方向を偏光子4の透過偏光方向に対して45゜光軸まわりにずらした構成とすればよい。
【0025】
本実施例においては、偏光子3とファラデー回転子2、およびファラデー回転子2と偏光子4は密着しており、接着剤等の異種材料や空気層は存在しない。
【0026】
ここでファラデー回転子2の両面は偏光子3および偏光子4の屈折率に対する反射防止膜が施されており、偏光子3および偏光子4は反射防止膜を施さない。通常、偏光子とファラデー回転子が密着していない場合は、両者の間に空気層が存在するため、偏光子、ファラデー回転子とも屈折率n=1に対する反射防止膜を施す必要があるが、本実施例においては偏光子とファラデー回転子が密着しているため、中間の空気層は無視できるほどの厚みであり、ファラデー回転子に対偏光子の反射防止膜を施すことにより、各光学素子端面からの反射を防止することができる。一般に吸収型の偏光子の屈折率n=1.5であり、ファラデー回転子の両面にはn=1.5に対する反射防止膜を施すことが望ましい。あるいは、偏光子3および4とファラデー回転子2との密着性を良くするために、各光学素子の当接面にSiO2等からなる薄膜をコートしても良い。
【0027】
ホルダ8およびホルダ7は硬質材料からなり、ホルダ8は上端開口の円筒状のボックス形で、底部中央に光が通過する穴8aを開けてある。ホルダ8の底部内壁には塑性変形可能で軟質材料からなる緩衝リング5が敷いてある。軟質材料からなる緩衝リング5は、その中央に光が通過する穴を開けてある。
【0028】
硬質材料とは、押圧力印加時にホルダ形状の変形が少ない材料を示し、ヤング率Eが11×1010Pa(N/m2)以上の材料が望ましい。たとえば鉄やニッケル、白金や、これらを主成分とする合金(ステンレスやパーマロイ)の金属、あるいはアルミナ等のセラミックがあげられる。軟質材料とは、押圧力印加時にホルダ形状の変形が大きい材料を示し、ヤング率Eが10×1010Pa(N/m2)未満の材料が望ましい。たとえば、鉛、錫、アルミニウム、金、銀等の単一金属やハンダ、ウッドメタル等の合金、あるいはエポキシ系やナイロン系の樹脂であり、押え体により圧力をかけたき、塑性変形し光学部材に割れや欠けなどの損傷を与えないという機能を有する。
【0029】
下方の緩衝リング5上には偏光子4とファラデー回転子2と偏光子3が位置し、さらに偏光子3の上部に上方の緩衝リング5とホルダ7が配置されている。これら光学素子はホルダ7からの押圧力により緩衝ホルダ5の接触部で少し食込まれているために、位置保持されている。ホルダ7はホルダ8と同様に硬質材料であって、中央部に穴7aを開けてあり、ホルダ8の蓋を兼用している。ホルダ7は、光学素子上からホルダ8の底部内壁に向けて押圧力をかけてこの光学素子をホルダ8の底部内壁との間で挟持固定するためのものである。そしてホルダ7とホルダ8は、挟持状態のままレーザ溶接固定や、低融点ガラスによる封止固定や、金属半田固定によって互いに接合されている。
【0030】
次に、光学部材を固定する手順について説明する。まず、ホルダ8の底部内壁に緩衝リング5を敷き、この緩衝リング5に光学素子を載せて、さらにその外周には磁石6を配置し、光学素子の上面から緩衝リング5とホルダ7を被せ、矢印方向からホルダ7上に所定の押圧力を加える。ここで緩衝リング5とホルダ7に接触しないように筒状磁石の長さと内径を設定しておくことにより、この押圧力は、光学素子を通じて緩衝リング5の受面にかかるので、位置保持部材は塑性変形して光学部材の底部が緩衝リング5面に食込まれ、このために光学部材は位置保持される。その後、ホルダ8の外周を数箇所レーザ溶接して、所定の押圧力を維持したままホルダ7とホルダ8を結合固定する。
【0031】
本実施例においては、緩衝リング5を光学素子の上下側に配置している例を示しているが、上側又は下側のいずれか一方のみに配置してもよい。
【0032】
偏光子3と偏光ファラデー回転子2、およびファラデー回転子2と偏光子4の密着状態は、密着面の反射減衰量にて評価することができ、これらは緩衝リング5とホルダ7を介して各光学素子に負荷される圧力Pと、偏光子3、4とファラデー回転子2の密着面における表面粗さRmaxの条件によって制御できることが下記実験により判明した。
【0033】
図2は密着面の反射減衰量測定系の構成を示す図である。
【0034】
図2を用いて反射減衰量の測定方法について説明する。被測定物31は2枚の同質のガラス平板32(厚みt=0.2mm、1mm角、屈折率n=1.5)を用い、それぞれのガラス平板32の光の入出射面には予め対空気(n=1)の反射防止膜33を施した。また2枚のガラス平板32は密着面34で密着され、この密着面における最大表面粗さをRmaxとする。2枚のガラス板32はホルダ38と緩衝リング35上に配置され、さらに緩衝リング35、ホルダ37上から矢印方向に所定の押圧力Pを加える。被測定物31の両側にはファイバコリメータ39が配置され、光の入射側のファイバコリメータ39はプレシジョンリフレクトメータ40に、光の出射側のファイバコリメータ39は光パワーメータ41に接続されている。また、ファイバコリメータ39はパワーメータ41の受光パワーが最大となるように位置調芯し、プレシジョンリフレクトメータにより反射減衰量の測定を行う。プレシジョンリフレクトメータは各反射面の反射減衰量を測定することができ、ここではガラス平板32の密着面34の反射減衰量Rを測定する。
【0035】
ホルダ37は押圧力測定用にプッシュゲージと自動昇降機が取り付けられており(図示せず)押圧力Pの測定が可能となっている。
【0036】
図3は押圧力と表面粗さと反射減衰量の関係を測定した図である。
【0037】
図は密着面におけるガラス平板の表面最大粗さRmax=5nm、25nm、50nm、75nm、100nmにおける、押圧力Pと密着面における反射減衰量Rの関係を示す。ここで、表面最大粗さRmaxとはJIS規格B0601に規定されており、粗さの断面曲線をその平均線に平行な2直線で挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定した値であり、原子間力顕微鏡等で観察、測定される。また、反射減衰量は密着面における最大値を測定した。
【0038】
測定の結果、表面最大粗さRmaxが小さいほど、最大反射減衰量は大きくなり、Rmax=5nmでは微小の押圧力で大きな反射減衰量を得ることができた。また、Rmaxが100nmではいくら押圧力を大きくしても反射減衰量は改善されないことがわかった。ここで反射防止膜の反射率0.1%以下(反射減衰量R≧30dB)を反射減衰量の基準値とすると、反射減衰量R≧30dBを実現するには表面最大粗さRmax≦50nmが必要であることが判明した。
【0039】
また、押圧力Pは表面最大粗さRmaxに対して(1)式を満足する必要がある。
【0040】
P(kgf/mm2)≧Rmax(nm)/100 −(1)
光学素子の表面粗さを小さくするための研磨工程は、化学的な腐食作用のある液体に、セラミックスやダイヤモンドの研磨砥粒を混ぜて研磨するCMP(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる方法等を用いることが望ましい。上記の研磨方法は数nm単位で研磨が可能で研磨層の下部にほとんどダメージを与えない。CMPは、ポリッシュと洗浄からなる。例えば、ポリッシュは、光学素子を超純水中でポリッシングパッドを用いてポリッシュした後、平均粒径30nmのSiO2粒子をNaOH溶液に懸濁させたコロイダルシリカ中でポリッシュする。洗浄は、(イ)アルコールによる超音波バス、(ロ)超純水による超音波バス、(ハ)スピンドライヤーにて乾燥する。なお各工程間は超純水でリンスされる。
【0041】
図4はファラデー回転子に加わる応力と消光比の関係を示す図である。
【0042】
なお図4中では横軸に応力、縦軸にファラデー回転子2透過光の消光比を示す。ここで分かるように応力が加わっていない状態では、透過光の消光比が47dBと良好であっても、応力が増加するに従い透過光の消光比は劣化し、3kgf/mm2以上では光アイソレータの一般的な特性下限設定値である25dBを下回ることがわかる。従って、本発明における押圧力Pはアイソレータの特性上、3kgf/mm2以下とする必要があることがわかる。
【0043】
なお、本発明におけるホルダおよび緩衝リングの形状は、必ずしも円筒形である必要はなく、例えばホルダの外形や内形は四角形状でもよく、光学素子にかかる押圧力を相対的に受けたり、保持できるものであればよい。
【0044】
図5は、本発明の光アイソレータの第2の実施形態を示す断面図である。
【0045】
図5に示すように、光アイソレータ1はホルダ8内に偏光子3とファラデー回転子2と偏光子4の光学素子と、筒状の磁石6が配置され、緩衝リング5およびホルダ7により固定されている。さらに3枚の光学素子の基準辺の方向を一致させるために、基準ホルダ9が筒状の磁石6内と光学素子の間に配置されている。基準ホルダ9の形状は円筒形を円形方向から切断した形状で、切断平面に光学素子の基準辺が接触するように配置されている。
【0046】
ここで偏光子3の透過偏波方向はある1辺(これを基準辺と呼ぶ)に平行な方向に設定されており、他方の偏光子4の透過偏波方向は、ある1辺(基準辺)に45度の方向に設定されている。ファラデー回転子は常温において入射した光の偏波方向が45度回転する厚みに調整されている。また、光アイソレータに高いアイソレーションが要求される場合は、ファラデー回転子の偏波回転角度45+α度に対し、偏光子3と偏光子4の回転ズレを45−α度に精密に調整する必要があり、光を逆方向から(偏光子4側から)入射し、透過してくる光が最も小さくなるように偏光子2を回転調整する方法がある。
【0047】
その際、光アイソレータを1個1個回転調整することは非常に煩雑である。そこで、10mm角程度の偏光子基板とファラデー回転子基板と偏光子基板を、上述の方法で光学調整し、水溶性接着剤等で仮止め一体化する。この仮止め一体化された状態で1mm角程度のチップ状に加工し、加工時に基準辺を決めておく。たとえばダイシングにより長方形に加工する場合は、加工時、基準辺に段差加工を施しておくことや、超音波加工等により所望のチップ状に加工する場合は、Dカット形状としておき、基準辺を明確にしておく。このように、基準辺を作製しチップ加工した後に、仮止めをはずし、各光学素子を洗浄しておくことが望ましい。
【0048】
光アイソレータを組み立てる方法は図1に示す実施例とほぼ同様である。緩衝リング5に光学素子を載せる際に、基準ホルダ9を円筒の磁石6内と光学素子の間に挿入し、基準ホルダ9の平面部に各光学素子の基準辺が接触するように配置し、接触状態を保持したまま、光学素子の上面から緩衝リング5とホルダ7を被せ、矢印方向からホルダ7上に所定の押圧力を加える。この押圧力は、光学素子を通じて緩衝リング5の受面にかかるので、位置保持部材は塑性変形して光学部材の底部が緩衝リング5面に食込まれ、このために光学部材は位置保持される。その後、ホルダ8の外周を数箇所レーザ溶接して、所定の押圧力を維持したままホルダ7を結合固定する。
【0049】
このように、光学素子に基準辺をもうけ、ある平面と接触させた状態で押圧力を加え、固定することで、光アイソレータの個別の光学素子の調整が不要となり、工数が削減できる。
【0050】
なお本実施例では基準ホルダ9は円筒形を円形方向から切断した形状としたが、本発明はこれに限ることなく、偏光子3と偏光子4の基準辺が共通の平面に平行に接触していればよく、たとえば平板形状としても良い。
【0051】
以上説明したように、本発明では光学素子同士の接合に接着剤等の有機物は一切用いていないため耐湿性に優れた光アイソレータを得ることが出来る。
【0052】
また、光アイソレータにはLD光源からの高出力光が通過するが、光学素子同士を接着剤により接合した場合は、接着剤部分が劣化し透過率が増加することにより、光アイソレータの挿入損失特性の劣化が懸念される。しかしながら本発明では、接着剤等の有機物は一切用いていないため耐光性のある光アイソレータを得ることが出来る。
【0053】
さらに、光アイソレータをレーザモジュールに組み込む場合の固定方法としては、半田の溶融固着、またはYAGレーザによる固定、さらには熱硬化型の接着剤を用いた接合などが考えられるが、いずれの場合も光アイソレータは高温下に曝されることになる。しかしながら本発明では、接着剤等の有機物は一切用いていないため、高温下に於いても樹脂の劣化は生じず、耐熱性のある光アイソレータを得ることが出来る。
【0054】
【実施例】
本発明の実施例として図1に示した光アイソレータを試作し、特性の評価および信頼性試験を行った。各部品と構成について以下に説明する。
【0055】
偏光子は、コーニング社製のポーラコア(製品名)を用い、サイズは10mm角で厚み0.2mmのものを、互いの透過偏波方向は45度ずらして光学調整の後に、1mm角に切り出した。ファラデー回転子はビスマス置換ガーネットを用い、サイズは10mm角で厚み0.4mmのものを、1mm角に切り出した。飽和磁界強度中における偏波回転角は45.0度であった。いずれも波長1.55μmの光に対して動作する素子であり、偏光子の一面には対空気(n=1)の反射防止膜を施し、他の一面にはコートをせず、ファラデー回転子の両面には対偏光子(n=1.5)の反射防止膜が施されている。
【0056】
まず偏光子とファラデー回転子の密着面の研磨は、ケミカルメカニカルポリシングにて行った。研磨液には化学的な腐食作用のある硫酸過酸化水素混合液を用いた。これにより各光学素子の面粗さはRmax=10nmとなった。
【0057】
次に、ステンレス製(SUS304)の下側ホルダの内底面に錫−銀−銅の合金からなる緩衝リングを配置し、円筒形のマグネットを配置した後、緩衝リングの上面に偏光子とファラデー回転子と偏光子を配置した。その際、2枚の偏光子はその基準面が互いに平行となるように配置した。
【0058】
次に、偏光子とファラデー回転子の上面から上述の緩衝リングと上側ホルダを配置し、0.5kgfの押圧力で加圧し、その状態のまま下側ホルダと上側ホルダをレーザ溶接により12ポイント溶接固定した。
【0059】
このようにして50個の光アイソレータを作製し、特性を測定した。その結果、すべての光アイソレータは、挿入損失が0.3dB以下、アイソレーションが40dB以上、光学素子の密着面における反射減衰量が40dB以上の、良好で均一な特性を有することを確認した。
【0060】
次に作製した光アイソレータの信頼性評価を行った。試験は、Telcordia1221に示される振動試験、衝撃試験、温度サイクル試験、高温保持試験、低温保持試験、高温高湿試験を実施し、すべての試験において、挿入損失の変化量が±0.2dB以下、アイソレーションの変化量が±3dB以下と良好な結果を得ることができた。
【0061】
以上の試作により、工数の削減が実現し、かつ長期安定性に優れ、樹脂フリーの光アイソレータが実現した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、1以上の平板状のファラデー回転子と、1以上の平板状の偏光子とを当接させるとともに、緩衝材を介してホルダで挟持固定した構成としたことで、光路上に樹脂がなく、長期信頼性に優れ、耐光性、耐熱性、アイソレーション特性に優れ、かつ組立工数、部品点数も少なく、また均一な品質の光アイソレータが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光アイソレータの実施形態を示す断面図である。
【図2】密着面の反射減衰量測定系の構成を示す図である。
【図3】押圧力と表面粗さと反射減衰量の関係を測定した図である。
【図4】ファラデー回転子に加わる応力と消光比の関係を示す図である。
【図5】本発明の光アイソレータの第2の実施形態を示す断面図である。
【図6】従来の小型化された光アイソレータの構成を示す図である。
【図7】(a)〜(d)は従来の光アイソレータ用素子の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1、15:光アイソレータ
2、16:ファラデー回転子
3、4、17、18:偏光子
5、13:緩衝リング
6、21:磁石
7、8、37、38:ホルダ
9:基準ホルダ
20:光アイソレータ用素子
25:光アイソレータ素子基板
22、24:偏光子基板
23:ファラデー回転子基板
31:被測定物
32:ガラス平板
33:反射防止膜
34:密着面
39:ファイバコリメータ
40:プレシジョンリフレクトメータ
41:光パワーメータ
Claims (5)
- 1以上の平板状のファラデー回転子と、1以上の平板状の偏光子とを当接させるとともに、緩衝材を介してホルダで挟持固定したことを特徴とする光アイソレータ。
- 前記ファラデー回転子と偏光子の当接面の最大表面粗さRmaxが50nm以下であり、かつ前記ファラデー回転子の前記偏光子側の当接面には、対偏光子の反射防止膜が施されていることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
- 前記ファラデー回転子と偏光子は、以下の条件を満足する押圧力Pによって挟持固定されていることを特徴とする請求項2に記載の光アイソレータ。
Rmax(nm)/100≦P(kgf/mm2)≦3 - 前記ホルダは、ヤング率が11×1010Pa以上の硬質材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
- 前記緩衝材はヤング率が10×1010Pa未満の軟質材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
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