JP2003043243A - 表示装置用カラーフィルタ - Google Patents

表示装置用カラーフィルタ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブラックマトリックスパターン表面に特別な処
理を行うことなく、ブラックマトリックスパターン表面
を着色液滴が濡れにくくし、画素内に平坦な均一な着色
層が形成された表示装置用カラーフィルタを提供するこ
と。 【解決手段】ブラックマトリックスパターンが樹脂を材
料とし転写プロセスにより形成されたブラックマトリッ
クスパターン2aであって、各画素内に形成された複数
色の着色層3aがインクジェット法により形成され、複
数色の着色層の形成後にブラックマトリックスパターン
2b及び複数色の着色層3bが一括して熱硬化処理され
たこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー液晶ディス
プレイ等の表示装置用カラーフィルタ、特にインクジェ
ット方式を用いて製造された表示装置用カラーフィルタ
に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置用カラーフィルタ(以下CFと
称す)の製造方法として、従来より顔料分散法、染色
法、印刷法、電着法等各種の方法が実現されており、と
りわけ顔料分散法は高品質のCFの大量生産方法として
最も多用されている。顔料分散法は遮光性のブラックマ
トリックスパターン(以下BMパターンと称す)をクロ
ム等の金属または金属と金属酸化物の積層薄膜をフォト
エッチングプロセスによってパターン形成した後、その
開口部に赤(R)緑(G)青(B)の色選択を必要に応
じて行うための各色パターンをフォトリソプロセスによ
ってパターン形成するものが最も一般的である。
【0003】近年、カラー液晶ディスプレイ等の平面表
示装置の需要が増加しており、更なる普及を目指してコ
スト削減が強く望まれている。特に、主要部品となるC
Fについては新たな構造、工程による低コストの製造方
法が求められている。低コストのCFとして提案されて
いる一つの方法は、遮光性のBMパターンを感光性の樹
脂材料で形成することにより、クロム等の金属または金
属と金属酸化物の積層薄膜を不要とするものである。
【0004】しかしながら、工程の主要な部分を占める
赤(R)緑(G)青(B)の着色層の形成において、色
材塗布、露光、現像、熱硬化の一連の工程を各色毎に繰
り返すことは低コスト化の大きな障害になっていた。し
かも設備とその設置スペース、水、色材等の資源の消費
においても近年の基板サイズの大型化に伴ってますます
大きな負担が加わるようになった。
【0005】これらの問題を解決する低コストのCFの
製造方法として、特開昭59−75205号公報には着
色層をインクジェット法で形成することが提案されてい
る。インクジェット法で着色層を形成する場合の着色液
滴径は数十μm程度であり、CFの画素との関係は、着
色液滴径の数十μm程度に対しCFの一画素の大きさは
短辺数十μm、長辺数百μm程度である。
【0006】このため、あらかじめ、基板上に遮光性の
BMパターンをインクジェット法で飛来する着色液滴の
堰の役割を果たす凸部として形成しておき、画素の区画
内に特定の色の着色液滴を広げることにより、均一な着
色層が形成された画素を得ることができる。
【0007】このインクジェット法では、インクジェッ
ト法で使用されるインクの性質は適用するインクジェッ
トヘッドの種類により異なるが、一般に粘度は数十mP
a.s以下であり、それに伴って、固形分比や着色顔料
成分比の制約も発生する。一方、CFとして要求される
特性である膜厚と色特性(分光透過率特性)を満足させ
るためには、熱硬化処理前の着色層の厚さを着色液滴の
堰の役割を兼ねたBMパターンの厚さより厚くすること
も必要になる。このため着色液滴が画素内の基板表面に
は濡れやすいが、堰の役割を兼ねたBMパターン表面に
は濡れにくいようにすることによって、熱硬化処理前に
堰を越えることなく高く盛り上げる工夫をしてみた。
【0008】しかし、BMパターン表面を着色液滴が濡
れにくくするには、BMパターン表面のみを選択的に撥
インク性をもたせるための特別な処理が必要となる。こ
れは、CFの製造工程を複雑にする結果になり、BMパ
ターンの堰構造の中にインクジェット法で各色の着色液
滴を射出して画素を形成するという本来の短縮工程の良
さが失われることになる。このため、製造工程を複雑に
することなくBMパターン表面のみを着色液滴が濡れに
くくする方法が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要望を
適えるためになされたものであり、形成されたBMパタ
ーン表面のみを選択的に撥インク性をもたせるために、
BMパターン表面に特別な処理を行うことなく、即ち、
CFの製造工程を複雑にすることなく、BMパターン表
面を着色液滴が濡れにくくし、画素内に均一に平坦な着
色層が形成された表示装置用カラーフィルタを提供する
ことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に画素
を分割する遮光性のブラックマトリックスパターンが形
成され、次いで各画素内に複数色の着色層が形成された
表示装置用カラーフィルタにおいて、ブラックマトリッ
クスパターンが樹脂を材料とし転写プロセスにより形成
されたブラックマトリックスパターンであって、各画素
内に形成された複数色の着色層がインクジェット法によ
り形成され、複数色の着色層の形成後にブラックマトリ
ックスパターン及び複数色の着色層が一括して熱硬化処
理されたことを特徴とする表示装置用カラーフィルタで
ある。
【0011】また、本発明は、上記発明による表示装置
用カラーフィルタにおいて、前記複数色の着色層の熱硬
化処理後の高さが、ブラックマトリックスパターンの熱
硬化処理後の高さとほぼ同一であることを特徴とする表
示装置用カラーフィルタである。
【0012】また、本発明は、上記発明による表示装置
用カラーフィルタにおいて、前記複数色の着色層の形成
に使用されるインクが、色素として顔料を用い、主とし
てUV光又は電子線(EB)により硬化されるインクで
あることを特徴とする表示装置用カラーフィルタであ
る。
【0013】また、本発明は、上記発明による表示装置
用カラーフィルタにおいて、前記転写プロセスがレーザ
ー描画タイプの熱転写方式であることを特徴とする表示
装置用カラーフィルタである。
【0014】また、本発明は、上記発明による表示装置
用カラーフィルタにおいて、前記転写プロセスに用いる
転写用媒体として、転写フィルムに塗布される遮光材層
の下にあらかじめ撥インク材層を塗布形成した転写用媒
体を用いることを特徴とする表示装置用カラーフィルタ
である。
【0015】また、本発明は、上記発明による表示装置
用カラーフィルタにおいて、前記基板がフレキシブルな
フィルムであることを特徴とする表示装置用カラーフィ
ルタである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明による表示装置用カ
ラーフィルタを、その一実施形態に基づいて説明する。
本発明による表示装置用カラーフィルタは、あらかじ
め、基板上に画素を分割する区画部としての遮光性と、
画素内で着色液滴の堰としての機能を兼ね備えるBMパ
ターンを樹脂を材料とする転写プロセスにより形成し、
各画素内に赤(R)緑(G)青(B)等の着色液滴を選
択的にインクジェット法で射出埋め込み、全ての画素を
各着色液滴で塗り分けた後に、基板全体を熱硬化処理す
ることにより製造される。
【0017】図1(イ)、(ロ)は、本発明によるCF
の熱硬化処理前と熱硬化処理後を模式的に示す断面図で
ある。(イ)は、樹脂を材料としたBMパターンを堰と
して各画素内に赤(R)緑(G)青(B)等の着色液滴
を選択的にインクジェット法で射出埋め込んだ直後の状
態(熱硬化処理前)を示す。(ロ)は、赤(R)緑
(G)青(B)等の全着色層の形成後に熱硬化処理を施
して、BMパターン、赤(R)緑(G)青(B)等の各
着色層の高さをほぼ同じに揃えた状態を示す。ここで、
(イ)から(ロ)への膜厚変化は第一次近似で、各色イ
ンクの固形分比に比例する膜厚まで減少する。従って、
熱硬化処理前の状態(イ)におけるBMパターンを含め
た各色の膜厚は減少分を見込んだ膜厚を形成する必要が
ある。BMパターン(2a)は、遮光層(2a’)と撥
インク層(2a’’)とで構成されている。
【0018】インクジェット法により、図1(イ)の状
態を作るにあたり、熱硬化処理前の着色層の厚さを着色
液滴の堰の役割を兼ねたBMパターン(2a)の厚さよ
り厚くすることも必要になる。このため着色液滴が画素
内の基板表面には濡れやすいが、堰の役割を兼ねたBM
パターン(2a)表面には濡れにくいようにすることに
よって、熱硬化処理前に堰を越えることなく高く盛り上
げることができる。本発明におけるCFのBMパターン
(2a)は、遮光層(2a’)と撥インク層(2
a’’)とで構成され、撥インク層(2a’’)を上層
としてあるので、着色液滴がBMパターン(2a)上に
這い上がること無く、従って隣り合う異なる色の着色層
同士が混じり合うことが無くなる。
【0019】図2は、図1に示す撥インク層(2
a’’)を上層として有するBMパターン(2a)を基
板(1)上に形成する手段として用いる、レーザー描画
タイプの熱転写方式の転写用媒体の説明図である。図2
(イ)は、撥インク層を必要としない一般的な場合の転
写用媒体の断面構造を模式的に表したものである。この
転写用媒体を用いて基板上にレーザー描画熱転写する場
合、基板上に遮光材層(40)の面で密着された転写用
媒体の支持体フィルム(10)の側から描画のためのレ
ーザー光を選択的に照射し、光/熱吸収層(20)の加
熱された領域の局部的な温度上昇により、分解等の物質
変化の作用で剥離層(30)を介して遮光材層(40)
の該当領域のみを基板側に転写する。
【0020】図2(ロ)は、撥インク層(2a’’)を
設ける場合の転写用媒体の断面構造を模式的に表したも
のである。剥離層(30)と遮光材層(40)との間に
撥インク層(41)をあらかじめ形成した転写用媒体を
用意しておき、上記と同様の手段でレーザー描画熱転写
すると、選択照射された領域の遮光材層(40)と撥イ
ンク材層(41)とが同時に基板側に転写し、図1
(イ)の遮光層(2a’)と撥インク層(2a’’)を
形成する。
【0021】撥インク層(2a’’)を構成する材料と
しては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ
素樹脂やシリコンゴム等を含むものがあるが、各色の着
色層の構成材料により最適化すれば良い。
【0022】インクジェット法で使用されるインクのタ
イプは種々あるが、着色物質としては顔料を用いる方が
CFの形成に適している。その理由は、第1に最終製品
として顔料の方が染料より耐熱性に優れていることであ
る。第2に色特性の面で近年の材料開発の成果により、
顔料が染料に劣らなくなったこと、むしろインクジェッ
ト法では現行の顔料分散法とは異なり露光/現像特性を
要求されないため、材料選択の自由度が増すことが挙げ
られる。第3に染料を受容層に染み込ませる場合とは異
なり、顔料を用いたインクを直接BMパターンの堰構造
内部に満たす方式の方が製造工程が短縮される。
【0023】さらに、インクはUV光による硬化タイプ
であることが望ましい。これは図1を用いて説明したと
おり、最終的に加熱硬化処理を施して信頼性の高いCF
を得る場合に膜厚の減少割合が小さいことが求められる
ためである。即ち、膜厚減少が大きいタイプでは堰を形
成するBMパターンに対して相対的に厚くインクを盛る
必要が生じ、安定な生産を損なう恐れがある。また、他
の理由からもUV硬化タイプのインクが望ましい。即
ち、各着色層は専用のヘッドからインクを射出するが、
生産性からも品質保証面からも各色はできるだけ時間を
空けないで形成したい。しかるに堰を形成するBMパタ
ーンからある程度の高さに盛り上がる色層が硬化不充分
な状態で接近して存在することは、撥インク性であって
も品質トラブルの原因になる。UV硬化性を有するイン
クであれば、短時間のUV光照射により乾燥硬化がある
程度進み、他の色との接近を恐れる必要が無くなる。
尚、上記と同様の理由により、電子線(EB)硬化タイ
プのインクを用いることも容易に考えられる。
【0024】さらに、CFの基板としては、透明性と剛
性を兼ね備えたガラス基板を用いることが多いが、平面
表示装置の求められる特性により、金属等の非透明性基
板であっても、またプラスチック等の柔軟な基板であっ
ても適用できる。特に、基板がフレキシブルなフィルム
状のものであれば、製造工程の全体にわたって、ロール
フィルムの巻き取り方式を適用できる。転写プロセスを
前提とする本発明においては特にフィルム状の形態を適
用することが生産性を高める上で最適となる。
【0025】
【発明の効果】本発明は、ブラックマトリックスパター
ンが樹脂を材料とし転写プロセスにより形成されたブラ
ックマトリックスパターンであって、各画素内に形成さ
れた複数色の着色層がインクジェット法により形成さ
れ、複数色の着色層の形成後にブラックマトリックスパ
ターン及び複数色の着色層が一括して熱硬化処理された
表示装置用カラーフィルタであるので、BMパターン表
面に特別な処理を行うことなく、BMパターン表面を着
色液滴が濡れにくくし、画素内に均一に平坦な着色層が
形成された表示装置用カラーフィルタとなる。これによ
り、インクジェット法が本来持っている種々の利点、即
ち、フォトマスクが不要、工程短縮されるドライプロセ
スであること、設備の設置スペースも大幅に削減される
こと、色材や水の資源節約が実現するばかりでなく、熱
処理を各色一括で行うことによる更なる工程短縮と省エ
ネルギーが達成される。しかも、高品質のCFが得ら
れ、また、UV又はEB硬化タイプの顔料インクを使う
ことにより、色特性が良好で連続して色形成できる生産
性の高いCFとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は、BMパターンを堰として着色液滴を
インクジェット法で射出埋め込んだ直後の状態(熱硬化
処理前)を模式的に示す断面図である。(ロ)は、全着
色層の形成後に熱硬化処理を施して、BMパターン及び
各着色層の高さをほぼ同じに揃えた状態を模式的に示す
断面図である。
【図2】(イ)は、撥インク層を必要としない一般的な
場合の転写用媒体の断面構造を模式的に表したものであ
る。(ロ)は、撥インク層を設ける場合の転写用媒体の
断面構造を模式的に表したものである。
【符号の説明】
1…基板 2a…熱硬化処理前のBMパターン 2a’…遮光層 2a’’…撥インク層 2b…熱硬化処理後のBMパターン 3a…熱硬化処理前の着色層 3b…熱硬化処理後の着色層 10…支持体フィルム 20…光/熱吸収層 30…剥離層 40…遮光材層 41…撥インク層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 BA11 BA43 BA47 BA64 BB01 BB02 BB24 BB28 BB42 2H091 FA02 FB04 FB13 FC01 FC22 FC23 FC29 FC30 FD04 FD17 FD24 GA01 LA02 LA11 LA12 LA15 LA16 4J039 BE01 BE02 EA03 EA06 EA08 EA15 EA16 EA20 GA24 5C094 AA08 AA43 CA19 CA24 EB02 ED03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に画素を分割する遮光性のブラック
    マトリックスパターンが形成され、次いで各画素内に複
    数色の着色層が形成された表示装置用カラーフィルタに
    おいて、ブラックマトリックスパターンが樹脂を材料と
    し転写プロセスにより形成されたブラックマトリックス
    パターンであって、各画素内に形成された複数色の着色
    層がインクジェット法により形成され、複数色の着色層
    の形成後にブラックマトリックスパターン及び複数色の
    着色層が一括して熱硬化処理されたことを特徴とする表
    示装置用カラーフィルタ。
  2. 【請求項2】前記複数色の着色層の熱硬化処理後の高さ
    が、ブラックマトリックスパターンの熱硬化処理後の高
    さとほぼ同一であることを特徴とする請求項1記載の表
    示装置用カラーフィルタ。
  3. 【請求項3】前記複数色の着色層の形成に使用されるイ
    ンクが、色素として顔料を用い、主としてUV光又は電
    子線(EB)により硬化されるインクであることを特徴
    とする請求項1、又は2記載の表示装置用カラーフィル
    タ。
  4. 【請求項4】前記転写プロセスがレーザー描画タイプの
    熱転写方式であることを特徴とする請求項1、2、又は
    3記載の表示装置用カラーフィルタ。
  5. 【請求項5】前記転写プロセスに用いる転写用媒体とし
    て、転写フィルムに塗布される遮光材層の下にあらかじ
    め撥インク材層を塗布形成した転写用媒体を用いること
    を特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の表示装置
    用カラーフィルタ。
  6. 【請求項6】前記基板がフレキシブルなフィルムである
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5記載の
    表示装置用カラーフィルタ。
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