JPH09127327A - カラーフィルタの製造方法及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法及びそれを用いた液晶表示素子

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JPH09127327A
JPH09127327A JP28615195A JP28615195A JPH09127327A JP H09127327 A JPH09127327 A JP H09127327A JP 28615195 A JP28615195 A JP 28615195A JP 28615195 A JP28615195 A JP 28615195A JP H09127327 A JPH09127327 A JP H09127327A
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convex portion
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JP28615195A
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Takafumi Hasegawa
隆文 長谷川
Akihiko Tashiro
彰彦 田代
Toshihiro Tanuma
敏弘 田沼
Yasushi Nonaka
寧 野中
Hide Nakamura
秀 中村
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェット法でカラーフィルタを形成する
場合に、画素部分で均一な厚みの着色層が得られ、かつ
インクが隣接画素に流れ込まないようにする。 【解決手段】水系インクを用い、画素を区切る凸部2の
上面4の撥インク性を水の接触角で90〜120°と
し、凸部2の側面5の撥インク性を水の接触角で85°
以下とすることにより、色のにじみや画素周辺での色抜
けのないカラーフィルタを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の上面のみを
撥インク性としたブラックマスクによる凸部を形成し、
その凸部に囲まれた凹部である画素部をインクジェット
方式で着色することによるカラーフィルタの製造方法及
びそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子用のカラーフィルタの形成
法は各種の方式が提案されている。特に、基板のセル内
壁側に着色層を形成してカラーフィルタを製造する方法
にはいくつかの方法が知られている。
【0003】例えば、着色インクをオフセット印刷法な
どによりパターン印刷し、着色層を形成する方法がある
が、印刷パターンの精細化には限界があり、生産歩留ま
りの低下などの問題がある。
【0004】また、着色された紫外線硬化性インクを基
板上に全面塗布し、決められたパターンのマスクを用い
て紫外線照射し、不要部分を洗浄溶解することによりカ
ラーフィルタパターンを作成する方法では、赤、緑、青
の三原色のカラーフィルタを作成するためには、塗布、
紫外線照射、現像工程を3回行うことを要し、製造工程
上きわめて煩雑なものとなっている。
【0005】その他、電着塗装法を利用したカラーフィ
ルタの製造方法では、電着塗装される部分にあらかじめ
パターン状の透明電極を作成しておき、3色のカラーフ
ィルタを製造するために、順次それぞれに対応する電極
に通電し、透明電極上にカラーフィルタ膜を形成する。
この方法では3回の電着操作を必要とするうえ、色の重
なりによる混色を防ぐ操作を要し、また、3色に対応す
る透明電極を要するため、最終的な液晶表示セルが電極
の形状の制限をうけることもある。
【0006】これらの問題点を解決した合理的なカラー
フィルタの製造方法として、特開昭59−75205に
はインクジェット方式で着色インクを吹きつけして着色
層を形成することが提案されている。この方法ではガラ
ス基板に対し濡れ性の良いインクを用いる場合にはイン
クに対して濡れ性の悪い物質であらかじめ境界となる凸
部を印刷しておく方法や、ガラスに対して濡れ性の悪い
インクを使う場合には、インクとの濡れ性の良い材料で
あらかじめガラスにパターンを形成しておきインクが定
着するのを助ける方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、単にこの境界
の凸部をインクに対して濡れ性の悪い物質とすると、イ
ンクのはじきが発生するという問題点を生じた。すなわ
ち、凸部の隣接部分でインクがはじかれるために、凸部
に囲まれた画素の中で着色層の厚みに不均一が生じやす
い。これは、このカラーフィルタを液晶表示素子等に用
いた場合、色ムラが生じたり、着色不足による他の色の
光の漏れによるコントラストの低下を生じたりするとい
う問題点を生じた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、基板上に凸部を形成
し、その凸部により区切られた凹部にインクジェット方
式によってインクを吹きつけて凹部にインクを堆積させ
て着色層を形成するカラーフィルタの製造方法におい
て、凸部の上面に撥インク処理剤を付与する表面処理が
なされたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法を
提供する。
【0009】また、基板上に凸部を形成し、その凸部に
より区切られた凹部にインクジェット方式によって水系
インクを吹きつけて凹部にインクを堆積させて着色層を
形成するカラーフィルタの製造方法において、凸部の上
面の撥インク性が水の接触角で90〜120°であり、
凸部の側面の撥インク性が水の接触角で85°以下であ
るようにしたことを特徴とするカラーフィルタの製造方
法を提供する。
【0010】さらには、その凸部が、ブラックマスクと
兼用されていることを特徴とする製造方法、及び、その
ブラックマスクによる凸部が、以下の工程を含む工程に
より形成されたことを特徴とするカラーフィルタの製造
方法を提供する。 (1)基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色層
を形成する工程、(2)その黒色層の上面を撥インク処
理剤で表面処理する工程、(3)フォトリソ工程により
所望のブラックマスクパターンに形成する工程。
【0011】また、水系インクを用い、その凸部の上面
に撥インク性を付与する撥インク処理剤が、R−Si
(−X)(−Y)−Z(R−はフッ素原子を含む炭化水
素基を表し、X−、Y−、Z−は夫々独立して水酸基、
メチル基、炭素数が1〜3のアルコキシ基、塩素原子、
イソシアネート基を表す)で表される化合物を含むこと
を特徴とするカラーフィルタの製造方法、及び、水系イ
ンクを用い、その凸部の上面に撥インク性を付与する撥
インク処理剤が、完全フッ素化化合物を溶媒として含む
ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法、及び、水
系インクを用い、そのフォトリソ工程の現像工程に付随
する洗浄工程が温水に浸漬した後直ちに冷水で冷却する
工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方
法、並びに、それらの製造方法により形成されたカラー
フィルタ上を用いた液晶表示素子を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のカラーフィルタの製造方
法は、基板上に上面に適度な撥インク性を付与した凸
部、好ましくはブラックマスクによる凸部をあらかじめ
形成し、凸部により区切られた凹部にインクジェット方
式にて着色インクを吹きつけして着色層を形成し、カラ
ーフィルタを形成するものである。
【0013】図1は本発明のカラーフィルタを模式的に
示す断面図である。図1において、1は基板、2は凸
部、3は凸部と凸部により区切られた凹部、4は凸部の
上面、5は凸部の側面、6は凹部に吹きつけ堆積されて
形成された着色層を示す。一番右端の凹部3のみは説明
をわかりやすくするために、着色層が形成されていない
状態で示してある。
【0014】この図では、わかりやすくするために凸部
を4個、凹部を3個のみ示しているが、これは必要な数
設けられる。例えば、ストライプ状のカラーフィルタの
場合であって、640画素分必要な場合には、1画素当
りRGBの3個のカラーフィルタが必要なので、凸部は
1921個、凹部は1920個必要になる。液晶表示素
子では基板間隙の精密性から表示を行わない表示画素の
周辺までカラーフィルタパターンを形成することもあ
り、その場合にはもっと増えることになる。
【0015】ストライプ状のパターンの場合には、長手
方向には凸部が形成されなくてもよいが、画素の周囲を
完全に凸部で囲むこともある。特に、モザイク状のカラ
ーフィルタの場合には、画素の周囲は凸部で囲まれる。
【0016】本発明で用いられる基板には、一般的には
耐熱性の面からガラス基板が用いられるが、プラスチッ
クも使用できる。また、この基板には通常は透明基板を
用いるが、反射性の基板や白色に着色したような基板で
も本発明は適用できる。この基板は、必要に応じてアル
カリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面
処理を施したものも用いうる。
【0017】本発明で着色層を区切るための凸部は、基
板上に線状や格子状に形成される。この凸部の形状は、
それにより区切られた凹部が画素に対応するようにされ
ればよい。例えば、ストライプ状のカラーフィルタを形
成する場合には線状に形成され、四角の画素に対応させ
るためには格子状に形成される。これは、画素の形状に
より適宜定められるので、放射状、円周状等種々の形状
も考えられる。
【0018】この凸部は、液晶表示素子等ではブラック
マスクを兼用させることが有利である。このため、以下
の説明では、凸部がブラックマスクと兼用される例に基
づいて説明するが、ブラックマスクとしない場合には、
それから黒色の材料や金属遮光層を使用しないようにす
ればよい。
【0019】ブラックマスクによる凸部の形成方法とし
ては、例えば、金属クロム膜や、金属クロムと酸化クロ
ムを積層したもの、又はカーボンブラック等の黒色顔料
と樹脂からなる黒色層を形成し、これらにフォトレジス
トを塗布、画素部のレジストをフォトリソ法で取り除
き、エッチングによって金属クロム等の層を取り除く方
法がある。また、よりコスト的に有利な方法としてカー
ボンブラックなどの黒色顔料と光硬化性樹脂を含む材料
による黒色膜を形成し、これをフォトリソ法によって所
望のパターンにパターン化する方法がある。
【0020】本発明では、ある程度の高さの凸部を所望
のパターンに形成できれば、公知の種々のブラックマス
クの形成法が使用できる。薄膜のブラックマスクと厚膜
の樹脂層とを積層して凸部を形成してもよい。例えば、
上述したような金属クロム等の膜では厚さが足りない場
合に、まずそのようなブラックマスクをパターニング
し、その上に光照射によりエッチング剤により溶けやす
くなる樹脂を付与し、ブラックマスク側から光を照射し
て樹脂をパターニングするというようなことも可能であ
る。
【0021】本発明における凸部は、インクジェット法
によって着色する際に、吹きつけたインクが他の画素に
流れ込んだり滲んだりすることを防止する役割を果た
す。したがって、この凸部の高さはある程度高いことが
好ましいが、カラーフィルタとした場合の全体の平坦性
が高いことも要求されるので、着色層の厚さに近い高さ
が選択される。
【0022】具体的には、所望の着色を得るのに必要な
吹きつけするインクの堆積量によっても異なるが、通常
は0.1〜2μm程度とされる。また、この幅は、通常
は画素間の幅よりもやや広くして、後工程で位置ずれ等
を生じてそれが表示に影響しないようにされる。
【0023】本発明では、この凸部の上面にインクが残
存すると、平坦性や画素間の着色均一性が損なわれるこ
とから、凸部の上面が撥インク性とされている。そし
て、この凸部の側面は上面に比して撥インク性を低くす
る。すなわち、凸部の上面はインクをはじき、側面はイ
ンクをはじきにくくする。
【0024】その撥インク性の程度は、水系インクを用
いた場合、凸部の上面の撥水性が、水によって測定した
接触角が90〜120°であることが好ましい。これが
90°未満では凸部の上面にインクが残存しやすくな
り、120°超では画素の着色が阻害されやすくなる。
特に、100〜115°程度とすることが好ましい。
【0025】本発明では、凸部の側面は上面に比して撥
インク性を低くする。これは、特開平06−34763
7や、特開平07−84122のように、凸部の側面ま
で撥インク性を有すると、吹きつけしたインクが凸部の
側面ではじかれるという問題を生じる。これにより、凸
部に囲まれた画素の中で着色層の厚みに不均一が生じや
すくなる。これは、このカラーフィルタを液晶表示素子
等に用いた場合、色ムラが生じたり、着色不足による他
の色の光の漏れによるコントナストの低下を生じたりす
るという問題点を生じやすい。
【0026】図2は、この状況を模式的に表した断面図
である。図2において、11は基板、12はその上に形
成された凸部、16はその凸部の間の凹部に吹きつけら
れた着色層を示す。この凸部12の全体が強い撥インク
性を有すると、図2に示すように、吹きつけたインクが
凸部によりはじかれ、凹部の中央部分は厚くなるが、周
辺部分は薄くなってしまう。
【0027】このため、この周辺部分は色が薄くなり、
本来の色の光以外の光も透過してしまい、コントラスト
が低下することになる。また、インクのはじき状況によ
っては、画素毎に着色層の厚みが異なることも生じる。
特に、ストライプ状のカラーフィルタの場合には、その
長手方向で色ムラが発生しやすい。
【0028】本発明では、この凸部の上面には撥インク
性を有するが、側面は少なくとも上面より低い撥インク
性とされ、より好ましくは実質的にインクをはじかない
ようにされる。
【0029】本発明において、凸部の上面と側面の撥イ
ンク性を調整するためには、凸部を形成する材料の撥イ
ンク性を考慮して、その上面又は側面の撥インク性を調
整する処理剤で処理すればよい。具体的には、凸部を形
成する材料として撥インク性が低い材料を用い、その上
面のみを撥インク処理剤で処理するとか、逆に凸部を形
成する材料として撥インク性の高い材料を用い、その側
面のみを親インク性の処理剤で処理する方法がある。そ
の他の方法であっても、本発明の効果を損せず、凸部の
上面と側面の撥インク性を調整できる手段であれば使用
できる。
【0030】この撥インク性を調整する方法としては、
あらかじめ凸部自体がそのような撥インク性を生じるよ
うに2種類の材料を積層するなどして形成してもよい。
また、凸部以外の部分をレジストで覆って、凸部の上面
のみ撥インク処理してもよく、あらかじめ全上面を撥イ
ンク処理してから、凸部をパターニングしてもよい。
【0031】凸部を光硬化性樹脂を含む材料で全面塗
布、フォトリソ工程によりパターニングして形成する方
法がある。この場合には、コート液を基板へスピンコー
ト、ロールコート、スプレーコート、ダイコート等の方
法で膜付けする。次いで、この膜の上面を撥インク処理
剤で処理し、その後フォトリソ工程でパターンを形成す
ることにより、容易に凸部の上面のみに撥インク性を付
与できる。
【0032】凸部がブラックマスクと兼用されている場
合には、基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色
層を形成する工程、その黒色層の上面を撥インク処理剤
で表面処理する工程、フォトリソ工程により所望のブラ
ックマスクパターンに形成する工程という工程を含むこ
とになる。
【0033】本発明ではインクジェット方式を着色方法
として用いる。インクジェット方式としては、帯電した
インクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧
電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インク
を加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、
各種の方法を採用できる。
【0034】用いるインクは油性、水性ともに使用で
き、表面張力の関係から水をベースにした水系インクの
使用がより好ましい。また、そのインクに含まれる着色
材は染料、顔料ともに使用でき、耐久性の面からは顔料
の使用がより好ましい。
【0035】本発明のインクには、着色後の工程を考慮
し、加熱によって硬化する、又は紫外線などのエネルギ
ー線によって硬化する成分を添加することもできる。加
熱によって硬化する成分としては各種の熱硬化性樹脂が
広く用いられ、またエネルギー線によって硬化する成分
としては例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート
誘導体に光反応開始剤を添加したものを例示できる。特
に耐熱性を考慮してアクリロイル基、メタクリロイル基
を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのア
クリレート誘導体、メタクリレート誘導体は水溶性のも
のが好ましく使用でき、水に難溶性のものでもエマルシ
ョン化するなどして使用できる。
【0036】本発明に用いられる撥インク処理剤として
は、使用するインクの性質により異なる。水系インクを
用いる場合には、シリコーン化合物、含フッ素化合物が
好ましく用いられ、例えばジメチルポリシロキサン、フ
ッ素系界面活性剤、含フッ素アクリレートあるいはそれ
らを構成要素とするポリマー、含フッ素ケイ素化合物等
があげられる。
【0037】なかでも、撥インク処理後に現像する場
合、その耐久性の面から、フッ素原子とケイ素原子を分
子中に含む化合物が好ましく、具体的には、R−Si
(−X)(−Y)−Zで表される化合物が好ましい。こ
れはケイ素の4本のうでにR−、X−、Y−、Z−の4
種類の基がついているものである。このR−はフッ素原
子を含む炭化水素基を表し、X−、Y−、Z−は夫々独
立して水酸基、メチル基、炭素数が1〜3のアルコキシ
基、塩素原子、イソシアネート基を表す。
【0038】より好ましくは、R−がRf −R1 −であ
り、Rf −はパーフルオロアルキル基、−R1 −はアル
キレン基を表す。特に、−R1 −が−CH2 CH2 −の
化合物が好ましい。このような一般的に含フッ素シラン
カップリング剤又は含フッ素イソシアネートシランと呼
ばれる化合物が、充分な撥インク性と披処理面への密着
性を有することから好ましい。
【0039】含フッ素イソシアネートシランについて
は、被処理面との密着性が高く特に好適である。また、
含フッ素シランカップリング剤においては、基材への反
応、定着性を高めるため、事前に加水分解を行い、末端
のアルコキシ基を水酸基に置換したり、さらに一部縮合
反応を起こさせて縮合体とした形でも用いうる。
【0040】上記のRf −は、水素原子が完全にフッ素
原子で置換されたパーフルオロアルキル基を示してお
り、代表的なものとしてCF3 −、C613−、C8
17−、C1021−等があげられる。また、側鎖構造を有
するものも使用できる。なかでも高い撥水性が得られる
という観点から、C817−が特に好ましい。
【0041】これらの化合物で撥インク処理を施す場
合、溶媒によって希釈してスピンコート、スプレーコー
ト、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の方
法で塗布し、乾燥する方法がとられる。該溶媒には完全
フッ素化化合物を用いることが好ましい。この処理が行
われる工程では、凸部を形成する光硬化性樹脂が未硬化
であり、凸部を形成する樹脂に悪影響を与えないように
する必要がある。このため、光硬化性樹脂に悪影響を与
えないパーフルオロオクタン、パーフルオロ(2−ブチ
ルテトラヒドロフラン)、パーフルオロ(トリブチルア
ミン)等の完全フッ素化化合物の溶媒を用いることが好
ましい。
【0042】また、この処理剤の処理層の厚さは処理剤
1分子から数分子にあたる厚みがあれば充分である。
【0043】本発明において、特に、含フッ素イソシア
ネートシランを用いた場合、非常に高い撥水性が得られ
るが、その高い撥水性によって洗浄が阻害される場合が
ある。すなわち、現像によって剥離した未硬化の凸部形
成材料の不要部分が洗浄液で流されずに、凸部のパター
ン上に再付着する場合がある。これを避ける方法とし
て、現像後の基板を温水中に浸漬し、これを冷水中で冷
却する方法がある。これによって、凸部の表面の撥水性
を一時的に抑制でき、この状態で洗浄を行うことによっ
て良好な洗浄性を確保できる。
【0044】低下した撥水性は、空気中で再度加熱すれ
ば回復する。通常は、引き続いて行われる焼成工程にお
いて、空気中で加熱されることで回復できる。基板を浸
漬する温水の温度は40〜80℃が好ましく、40℃未
満では撥水性抑制の効果が少なく、80℃超では凸部が
膨潤しやすくなる。特に50〜70℃が好ましい。
【0045】本発明では、インクジェット方式で通常は
RGB3色のインクを吹きつけて3色のカラーフィルタ
を形成する。このカラーフィルタは、液晶表示素子、電
気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PL
ZT等と組合せて表示素子として用いられる。カラーカ
メラやその他のカラーフィルタを用いる用途にも使用で
きる。
【0046】図3は、液晶表示素子に使用した場合の例
を示す模式的な断面図である。図3において、21は基
板、22は凸部、23は着色層、24はその表面を覆う
樹脂等による平坦化層、25はIn23 −SnO2
(ITO)、SnO2 等の電極、26はポリイミド、ポ
リアミド、SiO等の配向膜、27は他方の基板、28
は他方の電極、29は配向膜、30はその電極間に挟ま
れる液晶層である。必要に応じて、この液晶セルの外側
に偏光膜、反射板、位相差板、光源等を配置して液晶表
示素子として用いうる。
【0047】
【実施例】
例1 ガラス基板に、黒色に着色されたフォトレジスト(新日
鉄化学社製V−259BK)をスピンコート法により目
標膜厚1.5μmとなるように塗布し、80℃で5分間
加熱処理した。C817−C24 −Si(−OCH
33 (東芝シリコーン社製TSL−8233)をメタ
ノールで希釈し、若干量の水分を加えた。
【0048】これを一晩放置した後、パーフルオロ(2
−ブチルテトラヒドロフラン)で有効成分を抽出し、
0.25重量%に希釈し、フォトレジスト膜上にスピン
コート法により塗布し、100℃で5分間加熱した。こ
の基板にフォトマスクを介して100mJ露光し、指定
現像液に30秒浸漬し、冷水で洗浄後、230℃で1時
間ポストキュアを行い、ブラックマスク兼用の高さが約
1.5μm、幅が約30μmの凸部を有する基板を得
た。
【0049】この基板の凸部に囲まれた凹部に対し、イ
ンクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行
いストライプ状のRGBのカラーフィルタを得た。この
結果を表1に示す。
【0050】例2 撥インク処理剤をC817−C24 −Si(−NC
O)3 をパーフルオロ(トリブチルアミン)で0.05
重量%に希釈して用いた他は例1と同様にしてカラーフ
ィルタを形成した。この結果を表1に示す。
【0051】例3 例2の現像工程後に、60℃の温水に30秒浸漬し、直
ちに冷水で冷却した後、冷水で洗浄し、230℃で1時
間ポストキュアを行い、カラーフィルタを形成した。こ
の結果を表1に示す。例2では洗浄時に剥離部分の再付
着現象が見られ、歩留まりが例3に比して低いものであ
った。
【0052】例4 比較例として、撥インク処理をしない以外は例1と同様
の方法でカラーフィルタを形成した。この結果を表1に
示す。凸部上面へのインク付着や隣接凹部(隣接画素)
へのインク流出も見られた。
【0053】例5 比較例として、例4で凸部を形成後、全体をC817
24 −Si(−OCH33 (東芝シリコーン社製
TSL−8233)をメタノールで希釈し、若干量の水
分を加えた撥インク剤をスピンコート法により塗布し、
150℃で30分間加熱してカラーフィルタを形成し
た。この結果を表1に示す。凹部周辺でのはじきによ
り、画素周辺からの色抜けが生じることがあった。
【0054】
【表1】
【0055】なお、表1の結果において、「○」はいず
れもそれらの欠点のないもの(良品)を、「×」はその
ような欠点を生じたもの(不良品)を表す。
【0056】例1〜例3のカラーフィルタ上に樹脂の平
坦化層を形成し、ITOを形成し、それをパターニング
し、さらに樹脂の配向膜を形成し、ラビングして第1の
基板を形成した。次いで、ガラス基板上にITOを形成
し、それをパターニングし、さらに樹脂の配向膜を形成
し、ラビングして第2の基板を形成した。この第1の基
板と第2の基板とを電極面が相対向するように配置し
て、周辺をシールして空セルを形成した。
【0057】この空セル内にネマチック液晶を注入し、
注入口を封止して液晶セルを形成した。この液晶セルの
両側に位相差板と偏光板を配置してFSTN型の液晶表
示素子を製造した。この液晶表示素子は美しいカラー表
示が可能であった。
【0058】
【発明の効果】本発明は、生産性の良いインクジェット
方式でインクを吹きつけてカラーフィルタを製造する際
に、凸部の上にインクが付着しにくく、かつ隣接画素の
凹部にインクが流出しにくい。かつ、その画素内でのイ
ンクのはじきによる画素周辺での着色層の厚みの低下が
生じにくく、色抜けを生じにくい。
【0059】画素内での着色層の厚みが均一にしやすい
ので、カラーフィルタの平坦性が向上し、液晶セルにし
た際に、基板間隙を均一にしやすい。これは、液晶表示
素子としての表示性能を向上させうる。
【0060】特に、凸部のパターニング前に撥インク処
理剤処理を行い、その後フォトリソ工程によりパターニ
ングすることにより、凸部の上面のみに撥インク処理を
した凸部を容易に形成でき、生産性が良い。本発明は、
本発明の効果を損しない範囲内で種々の応用が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの模式的な断面図。
【図2】従来例のインク吹きつけ時の状況を示す模式的
な断面図。
【図3】本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示素子
の模式的な断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野中 寧 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 中村 秀 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に凸部を形成し、その凸部により区
    切られた凹部にインクジェット方式によってインクを吹
    きつけて凹部にインクを堆積させて着色層を形成するカ
    ラーフィルタの製造方法において、凸部の上面に撥イン
    ク処理剤を付与する表面処理がなされたことを特徴とす
    るカラーフィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】基板上に凸部を形成し、その凸部により区
    切られた凹部にインクジェット方式によって水系インク
    を吹きつけて凹部にインクを堆積させて着色層を形成す
    るカラーフィルタの製造方法において、凸部の上面の撥
    インク性が水の接触角で90〜120°であり、凸部の
    側面の撥インク性が水の接触角で85°以下であるよう
    にしたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】凸部が、ブラックマスクと兼用されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のカラーフィルタ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】ブラックマスクによる凸部が、以下の工程
    を含む工程により形成されたことを特徴とする請求項3
    記載のカラーフィルタの製造方法。 (1)基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色層
    を形成する工程、(2)その黒色層の上面を撥インク処
    理剤で表面処理する工程、(3)フォトリソ工程により
    所望のブラックマスクパターンに形成する工程。
  5. 【請求項5】水系インクを用い、凸部の上面に撥インク
    性を付与する撥インク処理剤が、R−Si(−X)(−
    Y)−Z(R−はフッ素原子を含む炭化水素基を表し、
    X−、Y−、Z−は夫々独立して水酸基、メチル基、炭
    素数が1〜3のアルコキシ基、塩素原子、イソシアネー
    ト基を表す)で表される化合物を含むことを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造
    方法。
  6. 【請求項6】水系インクを用い、凸部の上面に撥インク
    性を付与する撥インク処理剤が、完全フッ素化化合物を
    溶媒として含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】水系インクを用い、フォトリソ工程の現像
    工程に付随する洗浄工程が温水に浸漬した後直ちに冷水
    で冷却する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載
    のカラーフィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法
    により形成されたカラーフィルタを用いた液晶表示素
    子。
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