JP2003041243A - 掘削安定液用増粘剤、それを用いた掘削安定液、並びにそれを用いた場所打ち地中杭工法及び地中連続壁工法 - Google Patents

掘削安定液用増粘剤、それを用いた掘削安定液、並びにそれを用いた場所打ち地中杭工法及び地中連続壁工法

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JP2003041243A JP2002122380A JP2002122380A JP2003041243A JP 2003041243 A JP2003041243 A JP 2003041243A JP 2002122380 A JP2002122380 A JP 2002122380A JP 2002122380 A JP2002122380 A JP 2002122380A JP 2003041243 A JP2003041243 A JP 2003041243A
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liquid
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stabilization liquid
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Jinichi Oi
甚市 大井
Makoto Kimura
誠 木村
Katsuhisa Abe
勝久 阿部
Eikichi Harada
栄吉 原田
Katsuyuki Kono
克之 河野
Koji Motoyama
厚司 本山
Keiichi Nakamoto
桂一 中元
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Nippon Shokubai Co Ltd
Telnite Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Telnite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐セメント汚染性に優れ、腐敗し難く、操業
上問題となる起泡性が抑制された掘削安定液用増粘剤及
びこれを用いた掘削安定液、並びにこれを用いた場所打
ち地中杭工法及び地中連続壁工法を提供する。 【解決手段】 アルカリ増粘性エマルションを含有する
掘削安定液用増粘剤であって、該増粘剤にアルカリ性物
質を添加したものの強攪拌泡立ち試験において、強撹拌
直後の液の見かけ比重が1.05g/ml以上であり、
かつ、強撹拌10分後の液の見かけ比重が1.10g/
ml以上である掘削安定液用増粘剤を用いて掘削安定液
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、掘削された穴の壁
面の崩れを防止するために用いられる掘削安定液用増粘
剤及びこれを用いた掘削安定液(以下、単に「安定液」
と称することもある)、特に、場所打ち杭工法、地中連
続壁工法等の掘削工法による地下掘削工事に使用する地
下掘削用安定液に関するものであり、詳しくは、掘削に
際し、掘削土やセメント成分及び塩分の掘削安定液への
混入による劣化の抑制と生物化学的(細菌類による)劣
化を抑制することにより掘削安定液の転用率を向上させ
ることのできる掘削安定液及びそれを用いた掘削工法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】地下鉄建設工事など地下建設工事の各方
面では、地中連続壁工法や地中杭工法等の掘削工法が広
く使用されている。例えば、地中連続壁工法は、地下に
コンクリート構造物を築造する時の一般的な工法で、ま
ず、地中を掘削することから始められる。このとき、掘
削穴壁面の崩れを防止しながら掘削を行うために、ベン
トナイト等の粘土鉱物を含む掘削安定液を満たしながら
掘削が行われる。この掘削安定液を用いる掘削工法にお
いて、掘削安定液が掘削壁面に浸透する際、ベントナイ
ト等の粘土鉱物が、土の粒子の隙間に詰まり堆積するこ
とによりマッドケーキと言われる止水層ができ、この止
水層によって壁面の軟弱化が防がれ、掘削安定液の水圧
によって壁面の崩壊が防止されると考えられている。そ
して、地中連続壁工法は、上記のように、掘削穴壁面の
安定化を行いながら掘削した後、構内に鉄筋籠等を挿入
し、コンクリートを打ち込み、連続したコンクリート構
造物とする工法である。また、地中杭工法は、掘削穴壁
面の安定化を行いながら掘削した後、コンクリートを打
ち込み、柱状のコンクリート構造物とする工法である。
コンクリートを打ち込む時に、掘削安定液がコンクリー
トと置換されるが、回収された掘削安定液は、再利用す
ることが望ましい。掘削安定液を用いる掘削工法は、各
種工法に広く使用できるが、特に、地中連続壁工法や地
中杭工法等の掘削安定液をコンクリートと置換する工法
において最も効果を発揮する。
【0003】地中連続壁工法、場所打ち杭工法等の掘削
工法に使用される掘削安定液に求められる機能の第一
は、地山を鉛直に掘削してできた溝(孔)の崩壊を防止
することであり、第二は、掘削した溝(孔)にコンクリ
ートの構造物を作るため掘削安定液中にコンクリートを
打ち込む際、掘削安定液とコンクリートがスムースに置
換し品質の良いコンクリートの打ち込みができるように
することである。このような機能を発揮させる上で、掘
削安定液に、掘削土、地下水、セメント成分などが混入
したり、一般細菌類が増殖したりして、品質劣化のおき
ることが大きな問題であった。
【0004】掘削安定液を用いる掘削工法におけるこれ
らの問題を解決するためや、使用済みの掘削安定液を廃
棄する際の廃泥処理の簡便さ等から、初期のベントナイ
トを主剤とした掘削安定液にかわって、ベントナイトの
含有量を減らした掘削安定液が用いられている。しかし
ながら、掘削安定液中のベントナイトの含有量を減らす
と、掘削安定液の粘度が低下し、壁面の崩れを防止する
性能(濾水性または止水性)が低下したり、ベントナイ
トが沈降してしまい、掘削安定液として用いることがで
きなくなるため、近年、掘削工法に使用される掘削安定
液には、一般にベントナイト等の粘土鉱物を水に分散さ
せた液にカルボキシメチルセルロース(以下「CMC」
という)等の増粘剤を添加した掘削安定液や、CMCを
主剤とした掘削安定液が開発され、掘削安定液の品質劣
化防止技術は進歩を遂げてきた。
【0005】このように、従来の掘削安定液は、ベント
ナイト単独またはベントナイトとCMCを基材とし、そ
れに必要に応じてポリアクリル酸ソーダ等の分散剤やp
H調整剤およびカルシウムイオン等の封鎖剤として炭酸
ソーダや重炭酸ソーダなどの無機処理剤を加えて使用す
るのが主流である。この従来の掘削安定液は、CMCの
土粒子への吸着による保護コロイド効果と電荷による分
散安定機能を有し、さらには、低分子量のポリアクリル
酸ソーダを加えて土粒子表面の電荷密度を高めた分散系
の掘削安定液である。しかしながら、この従来の掘削安
定液は、土粒子表面の界面エネルギーを低下させ、土粒
子表面を水に濡れやすくする湿潤作用に優れているた
め、シルト層や粘土層のような地盤を掘削する際に、混
入した該掘削土が掘削安定液中で微細な土粒子となって
分散してしまう度合いが大きく、短時間で安定液比重が
高くなり、品質劣化に至る等の問題がある。
【0006】また、従来の掘削安定液は、天然のセルロ
ースからなるCMCを基材としているため、一般細菌類
によって生化学的に分解し、腐敗し易いため、掘削安定
液の品質劣化をきたすという問題や、CMCが分散、溶
解し難いために安定した物性の掘削安定液が得られない
という問題がある。カルボキシメチル基の置換率を高め
た高置換度のCMCを用いることによって、または、殺
菌剤との併用によって、ある程度は耐菌性を持たせられ
るが、効果は限定的であり、新しい添加剤の出現が待た
れている。
【0007】更に、掘削の進行とともに掘削安定液中に
微細な土粒子が蓄積したり、コンクリートと置換される
際や、あるいは、掘削中に地下水や海水が混入した場合
において、掘削安定液中のベントナイトやCMCが、セ
メント中のカルシウムイオンや地下水又は海水中の塩分
の作用を受けることによって凝集し、掘削安定液の分散
機能が阻害され、さらに凝集が進むと掘削安定液がゲル
化するため、掘削安定液は直ちに品質劣化をきたし、取
り扱いが困難となったり、壁面の崩れを防止する性能
(濾水性または止水性)が極端に低下してしまったり、
廃棄安定液が多量に発生する等の問題があった。
【0008】このセメント等による汚染の問題の軽減を
目的として、掘削安定液の調製時や、一旦セメント汚染
を受けた掘削安定液の再調整時に、掘削安定液に、ポリ
カルボン酸系、リグニンスルホン酸系等の分散剤や、炭
酸アルカリ等を添加する方法が知られている。しかし、
この方法では、長時間セメント汚染の問題を防ぐことは
難しく、分散剤等の添加剤の量をかなり増やさなければ
ならなかったり、掘削安定液の再利用の度にこれらの添
加剤を常に添加しなければならない等の問題がある。こ
のため、通常、掘削安定液として1回または2回程度し
か再利用されず、掘削安定液自体のコストの上昇、ひい
ては施工コストの上昇につながっているのが現状であ
る。また、上記分散剤は、CMC等の増粘剤の分散性等
を高めるためにも用いられるが、その分子量が低いた
め、増粘剤としての作用は有しない。
【0009】一方、掘削安定液において、各種性能を改
善させるためにエマルションを添加剤として使用するこ
とが知られている。例えば、特開昭60−133084
号公報には、分散性能改善のために、アクリル酸ソーダ
を含む単量体を油中水型乳化重合して得られた油中水型
重合体エマルションをベントナイトの分散液に配合した
泥土化材組成物が開示されている。しかし、この組成物
は、引火性を有するため取り扱い難く、消防法の危険物
の対象となっており、廃泥に油が混入するという問題が
ある。
【0010】また、特開平8−157820号、特開2
000−212551号、同2000−212552
号、同2001−31959号、同2001−5556
5号、同2001−64636号および同2001−6
4637号の各公報には、増粘性能改善又は濾水(止
水)性能改善のために、(メタ)アクリル酸及び(メ
タ)アクリル酸エステルを水中油型乳化重合して得られ
る共重合体を含有する水中油型アルカリ増粘性エマルシ
ョンを含有する掘削安定液組成物が開示されている。
【0011】しかし、上記各公報中の実施例に記載され
ているエマルションを掘削安定液に添加した場合、エマ
ルション中に含まれる上記共重合体および乳化剤が遊離
し、これら共重合体および乳化剤が界面活性を有するた
めに、掘削安定液の起泡性を高め、掘削安定液の調製時
や、掘削安定液を再利用する際の土砂分離時等に、掘削
安定液を発泡させてしまうという問題がある。掘削安定
液の発泡は、操業上、掘削安定液の比重低下により掘削
溝壁との圧力バランスがとれず壁が崩れる、リザーブタ
ンクから泡が溢れ出す、循環ポンプが空回りする、掘削
安定液の比重での管理ができなくなる、超音波測定機を
用いた掘削後の溝壁の観測ができなくなる等の問題を引
き起こす。
【0012】この掘削安定液の発泡の問題を解決するた
め、しばしばさらに消泡剤を添加する方法がとられる
が、この方法では、常時発泡の問題を防ぐことは難し
く、掘削安定液の調製時や再利用時の度にかなりの量の
消泡剤を添加しなければならなくなり、掘削安定液に関
わるコストが増大することとなったり、場合によって
は、分離沈降による水浮き等の掘削安定液の性状低下を
もたらしたりするので好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記従来の状況に鑑み、耐セメント汚染性に優れ、
腐敗し難く、操業上問題となる起泡性が抑制された掘削
安定液用増粘剤及びそれを用いた掘削安定液、並びにそ
れを用いた場所打ち地中杭工法及び地中連続壁工法を提
供することにある。
【0014】本発明の更なる目的は、掘削安定液中に混
入してくる掘削土への湿潤作用を抑え、微細な土粒子の
蓄積による安定液比重の増大を防止し、廃棄される掘削
安定液の量をより小さくするような掘削安定液、並びに
それを用いた場所打ち地中杭工法及び地中連続壁工法を
提供することにある。
【0015】更には、従来の掘削安定液の基材としてい
るCMCを、アルカリ増粘性エマルションを含有する増
粘剤に替えることによって、コンクリート中のセメント
成分や地下水中の塩分混入による品質の劣化および一般
細菌類の生化学的分解による品質の劣化を防止し、掘削
安定液の転用率を高め、再使用の可能な掘削安定液、並
びにそれを用いた場所打ち地中杭工法及び地中連続壁工
法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々の面から鋭意検討を行ったところ、ア
ルカリ増粘性エマルションを含有する掘削安定液用増粘
剤であって、該増粘剤にアルカリ性物質を添加したもの
の強攪拌泡立ち試験において、強撹拌直後の液の見かけ
比重が1.05g/ml以上であり、かつ、強撹拌10
分後の液の見かけ比重が1.10g/ml以上であるこ
とを特徴とする掘削安定液用増粘剤により、掘削安定液
の起泡性が抑制されるという、上記目的が達成されるこ
とを見出したものである。
【0017】上記特定の泡立ち性能を有するアルカリ増
粘性エマルション含有増粘剤は、該増粘剤にアルカリ性
物質を添加したものに対して、例えば強制的に気泡をか
み込ませるような操作(例えば強攪拌や高所からの落下
投入など)を行っても、液中に気泡を含み難い、及び/
又は、液中の気泡が抜けやすいという特性を有してお
り、これを掘削安定液に用いることにより、掘削安定液
の発泡に由来する各種の問題点、すなわち、掘削安定液
の比重低下により掘削溝壁との圧力バランスがとれず壁
が崩れる、リザーブタンクから泡が溢れ出す、循環ポン
プが空回りする、掘削安定液の比重での管理ができなく
なる、超音波測定機を用いた掘削後の溝壁の観測ができ
なくなる等の問題点を解決できることを見出したもので
ある。これにより、地中連続壁工法や地中杭工法等の掘
削工法を安定に操業することができ、掘削面の崩壊を確
実に防止することができる。更に、本発明の増粘剤を含
有する掘削安定液は、他のエマルションや乳化剤等を添
加剤として使用したものに比べて、従来にない優れた低
起泡性を有するため、別途消泡剤を添加しなくても安定
して操業することができる。
【0018】また更に、上記特定の性能を有するアルカ
リ増粘性エマルションを含有する増粘剤を基材にするこ
とによって、微細な土粒子の蓄積による安定液比重の増
大やコンクリート中のセメント成分や地下水中の塩分混
入による品質の劣化および一般細菌類の生化学的分解に
よる品質の劣化を極力抑えることができることを見いだ
したものである。
【0019】この作用のメカニズムの詳細は明らかでは
ないが、従来の掘削安定液では、CMCを基材としてい
るため、掘削安定液中に混入した掘削土は微細な粒子と
なって分散してしまうのに対し、本発明のアルカリ増粘
性エマルションを含有する増粘剤を掘削安定液の成分に
配することによって、掘削土粒子表面にエマルション中
のポリマーが吸着し、保護コロイド効果によって掘削土
が細かな粒子となって分散してしまうのを未然に防止す
るものと考えられる。また、本発明の掘削安定液は、上
記保護コロイド効果に加え、高いイオン性に基づく分散
安定効果によって、コンクリート中のセメント成分や地
下水中の塩分混入による品質の劣化を防止するものと考
えられる。さらに、本発明の掘削安定液は、合成系であ
る本発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘
剤を掘削安定液の基材としているため、天然のセルロー
スからなるCMCを基材とした従来の掘削安定液に比べ
て、一般細菌によって生化学的な分解による掘削安定液
の品質の劣化が防止できるものと考えられる。
【0020】本発明の掘削安定液用増粘剤に含有される
アルカリ増粘性エマルションは、水媒体中にアルカリ増
粘性ポリマーが分散されているエマルション、すなわ
ち、水性エマルションであり、油中水型重合体エマルシ
ョンと比較して、引火し難く、安全性が高いという利点
を有する。また、本発明の増粘剤を含有する掘削安定液
は、CMCを用いたものに比べて耐セメント汚染性に優
れており、腐敗し難く、掘削安定液を何度も再利用です
ることができ、廃泥処理が軽減され、経済的にも有利で
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のアルカリ増粘性エマルシ
ョンを含有する増粘剤に関わる泡立ち性能は、具体的に
は以下の方法に従い測定する。
【0022】掘削安定液用増粘剤に含有される水中油型
アルカリ増粘性エマルション、イオン交換水及び0.5
N−NaOH水溶液を混合し、該エマルションの固形分
(不揮発分)として0.2質量%、pH8.0±0.1
となる水溶液を調製する。この水溶液250.0gを1
Lステンレス製ビーカー(胴径107mm×高さ120
mm;(株)相互理化学硝子製作所製)に入れ、ここ
へ、JIS試験用粉体I,7種(JIS Z8901、
関東ローム、細粒;(社)日本粉体工業技術協会製)5
0.0gを添加し、20℃に保持しながら、撹拌羽根の
先端がビーカーの底から10mmの高さになるようにセ
ットされたディスパー(T.K.オートホモミキサー、
SL型;ステンレス製ホモディスパー用交換羽根、直径
45mm;特殊機化工業(株)製)を用いて、回転速度
8000rpmで3分間撹拌し、ソリッド含有液を得
る。この液をすぐに、200mlガラス製メスシリンダ
ー((株)相互理化学硝子製作所製)に投入し、直後の
見かけ比重を測定する。さらに10分間静置後、消泡剤
(アクアレン3062;共栄社化学(株)製)を0.1
g添加して上部の気泡を消泡させ、見かけ比重を測定す
る。
【0023】上記測定値において、強撹拌直後の液の見
かけ比重が1.05g/ml以上であり、かつ、強撹拌
10分後の液の見かけ比重が1.10g/ml以上であ
る増粘剤が、本発明の特定の泡立ち性能に相当する。
【0024】本発明の特定の泡立ち性能を有する増粘剤
は、下記に挙げる種々の方法を適宜設定することにより
得ることができる。すなわち、掘削安定液の発泡の原因
は、エマルション粒子を形成する共重合ポリマー(増粘
性ポリマー)とエマルションを重合する際に用いられる
乳化剤が界面活性を有しているためであり、これらに関
連する種々の要素を適宜組み合わせて適用することで、
上記特定の泡立ち性能を達成することができる。
【0025】掘削安定液の発泡に関して種々検討した結
果、特に増粘性ポリマーの影響が大きく、増粘性ポリマ
ーの親水性を高くすることが、発泡を低減させるために
有効であることがわかった。これは、増粘性ポリマーの
親水性が低く、疎水性部分が大きいほど、掘削安定液の
調製時や再利用する際の土砂分離時等に、掘削安定液中
に巻き込まれる気泡に疎水配向して、気泡を安定化する
効果が高くなるためと推定される。したがって、この掘
削安定液の発泡の問題を解決するために、増粘性ポリマ
ーの親水性を高くすること、具体的方法としては、共重
合成分としてのカルボキシル基含有重合性単量体量を多
くし、かつ、これと共重合させる単量体としても親水性
の高い非イオン性共重合成分を含有する共重合体を使用
することが有効であることがわかった。
【0026】更に具体的には、アルカリ増粘性エマルシ
ョンにおける増粘性ポリマーとして、カルボキシル基含
有重合性単量体(該カルボキシル基の一部又は全部が塩
である場合を含む)の合計量50質量%以上と、20℃
の水に対する溶解度が3質量%以上の非イオン性重合性
単量体とを共重合成分として含有する共重合体(以下、
この共重合体を特に共重合体〔A〕と称することもあ
る)を用いることが好ましい。特に、アクリル酸及び/
又はメタクリル酸(該カルボキシル基の一部又は全部が
塩である場合を含む)と、上記非イオン性重合性単量体
とを主成分として乳化共重合したアニオン性を呈する乳
化共重合体であることが好ましい。
【0027】ここで、カルボキシル基含有重合性単量体
(該カルボキシル基の一部又は全部が塩である場合を含
む)とは、カルボキシル基を含有する重合性単量体及び
/又はカルボキシル基の塩(2つ以上のカルボキシル基
を有する場合において、1つ以上のカルボキシル基が塩
である場合を含む)を含有する重合性単量体を意味す
る。以下、該重合性単量体を、単に「カルボキシル基及
び/又はその塩を含有する重合性単量体」と称すること
もある。
【0028】上記共重合体〔A〕における重合性単量体
のうち、カルボキシル基及び/又はその塩を含有する重
合性単量体の共重合量については、それらの合計量とし
て50質量%以上が好ましく、50〜90質量%がより
好ましく、55〜80質量%がさらに好ましい。また、
20℃の水に対する溶解度が3質量%以上の非イオン性
重合性単量体の共重合量は、50質量%以下であること
が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜
45質量%がさらに好ましい。この範囲内において、共
重合体〔A〕を含有するアルカリ増粘性エマルションを
含有する増粘剤の泡立ち性能を、本発明の特定の範囲内
に容易に設定することができる。
【0029】上記共重合体〔A〕の必須成分であるカル
ボキシル基及び/又はその塩を含有する重合性単量体の
うち、カルボキシル基を含有する重合性単量体として
は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体が挙げられ
る。また、カルボキシル基の塩を含有する重合性単量体
としては、上記カルボキシル基含有重合性単量体の塩で
あり、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、マンガ
ン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アル
ミニウム、スズ、鉛、銀、セリウム等の金属塩;アンモ
ニウム塩、ヒドロキシアンモニウム塩;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピ
リジン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらのカル
ボキシル基及び/又はその塩を含有する重合性単量体
は、必要に応じて1種用いることも、複数種を併用する
こともできる。上記例示のカルボキシル基及び/又はそ
の塩を含有する重合性単量体のうち、重合安定性とアル
カリ増粘性のバランスが良好である点で、(メタ)アク
リル酸が最も好ましい。
【0030】20℃における水に対する溶解度が3質量
%以上の非イオン性重合性単量体としては、特に限定さ
れるものではなく、例えば、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒド
ロキシプロピル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸
メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、
アクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリ
エチレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコー
ルポリプロピレングリコール、メタクリル酸ポリエチレ
ングリコールポリプロピレングリコール、イソプロペニ
ルオキサゾリン、ポリエチレングリコール(2−(1−
プロペニル)−4−ノニル)フェニルエーテル、ポリエ
チレングリコール(2−(1−プロペニル))フェニル
エーテル、ポリエチレングリコール2−プロペニルエー
テル、ポリエチレングリコール3−メチル−3−ブテニ
ルエーテル、アリルアルコール、ポリオキシエチレンア
リルエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリロ
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド等が挙げられる。これらの20℃に
おける水に対する溶解度が3質量%以上の非イオン性重
合性単量体は、必要に応じて1種類用いることも、複数
種を併用することもできる。20℃における水に対する
溶解度が3質量%以上の非イオン性重合性単量体、すな
わち、親水性の高い単量体を上記カルボキシル基及び/
又はその塩を含有する重合性単量体とともに共重合成分
として用いることにより、本発明の特定の泡立ち性能が
有効に達成される。上記例示の非イオン性重合性単量体
の中でも、共重合性と親水性のバランスが良好である点
で(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体がより好
ましく、その中でもアクリル酸メチルが最も好ましい。
【0031】なお更に、上記重合性単量体以外に、他の
重合性単量体を、ポリマー自体のアルカリ増粘性と低起
泡性が著しく低下しない範囲で共重合しても良い。他の
重合性単量体としては、特に限定されるものではない
が、例えば、メタクリル酸メチル;(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、
等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜18のアルコール
(環式アルコールを除く)とのエステルである(メタ)
アクリル酸エステル系重合性単量体;スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、
クロロメチルスチレン、エチルビニルベンゼン、等のス
チレン系重合性単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、等の
シクロヘキシル基含有重合性単量体;クロトン酸メチ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、などの不飽和エ
ステル類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1、
3−ブタジエン、2−クロル−1、3−ブタジエン、な
どのジエン類;(メタ)アクリル酸とポリプロピレング
リコールとのモノエステル;(メタ)アクリル酸メチル
アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メ
タ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール、等の塩基性重合性単量体類;
ビニルフェノール、等の石炭酸系重合性単量体;(メ
タ)アクリル酸2−アジリジニルエチル、(メタ)アク
リロイルアジリジン、等のアジリジン基含有重合性単量
体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグ
リシジルエーテル、等のエポキシ基含有重合性単量体
類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシ
シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、アリルトリエトキシシラン、等のケイ素原子に直結
する加水分解性ケイ素基含有重合性単量体;フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
等のハロゲン含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸と
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3
−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1、6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール、等の多価アルコールとのエステル化物、等
の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メ
タ)アクリル酸エステル類;ジアリルフタレート、ジア
リルマレート、ジアリルフマレート、等の分子内に重合
性不飽和基を2個以上有する多官能アリル化合物;(メ
タ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル、
ジビニルベンゼン、等の重合性多官能重合性単量体;ト
リアリルシアヌレート、等のシアヌレート類;ビニルス
ルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリ
ル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−3−ス
ルホプロピル、(メタ)アクリル酸−4−スルホブチ
ル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スチレンスルホン酸、等の不飽和スルホン酸類、並
びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩
及び有機アミン塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフ
ェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ルホスフェート、等の酸性リン酸エステル基含有重合性
単量体、等の強酸基含有重合性単量体;等が挙げられ
る。これらの重合性単量体は、必要に応じて1種用いる
ことも、複数種を併用することもできる。
【0032】上記例示された他の重合性単量体のうち、
強酸基含有重合性単量体(例えば、不飽和スルホン酸類
並びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム
塩及び有機アミン塩や、酸性リン酸エステル基含有重合
性単量体等)を共重合成分として用いること、特に乳化
重合の初期重合時に集中的に使用することにより、低起
泡性を維持したまま乳化重合時の安定性を向上させるこ
とができるため好ましい。これは、初期重合において強
酸基を多く含有する水溶性ポリマーが生成され、この水
溶性ポリマーが、後の重合工程において保護コロイドや
乳化剤的な役割を示し、重合安定性に大きく寄与するた
めと推定される。ここで言う初期重合とは、乳化重合方
法を大きく初期重合工程、滴下工程、熟成工程の3段階
の工程に分けた場合の最初の工程であり、水又は乳化剤
水溶液の仕込まれた初期の釜に一定量の重合性単量体を
一括して投入し、一定時間重合を行うものである。この
工程は、乳化重合における粒子数、粒子径、安定性に大
きな影響を与える重要な工程である。なお、この初期重
合で生成する水溶性ポリマーは、カルボキシル基及び強
酸基が多く導入されたポリマーであるため親水性が高
く、該水溶性ポリマー自体の起泡性能に関しては、本発
明の特定の泡立ち性能に対して悪影響を及ぼすことはな
い。従って、併用する乳化剤の量を例えば全重合性単量
体100質量部に対して2質量部以下にまで低減して
も、十分に有効な重合安定性向上効果を有する。
【0033】上記強酸基含有重合性単量体は、1種のみ
を含有させてもよく、また2種以上を含有させてもよ
い。上記強酸基含有重合性単量体のうち、特に不飽和ス
ルホン酸類が重合安定性が良好である点で好ましく、更
に、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)
アクリル酸−3−スルホプロピル、(メタ)アクリル酸
−4−スルホブチル、2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、並びにそれ
らの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機
アミン塩が、共重合性が良好である点で更に好ましい。
【0034】また、これらの重合性単量体の他に、エマ
ルション粒子を形成するポリマーの分子量を調節した
り、乳化重合時の重合安定性を向上させたりする目的と
して、連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤と
しては、特に限定されるものではなく、例えば、メルカ
プトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシ
ルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;四塩化炭
素;イソプロピルアルコール;トルエン;等の連鎖移動
係数の高い化合物が挙げられる。これらの連鎖移動剤
は、必要に応じて1種用いることも、複数種を併用する
こともできる。これらの連鎖移動剤は、乳化重合の各工
程に用いることができるが、特に上記強酸基含有重合性
単量体と合わせて乳化重合の初期重合時に集中的に使用
することが、乳化重合時の安定性がより向上するため、
好ましい。
【0035】更に好ましくは、初期重合反応液中におけ
る重合性単量体濃度を5〜45質量%とし、滴下工程に
おいてもプレエマルション作成時の水の量を多くし、重
合性単量体濃度を50質量%以下にして滴下することに
よって、乳化重合時の安定性を更に向上させることがで
きる。
【0036】上記カルボキシル基含有重合性単量体と、
20℃の水に対する溶解度が3質量%以上の非イオン性
重合性単量体との共重合は、従来公知の通常の乳化重合
方法に従って、すなわち、単量体成分を水中で乳化重合
させる水中油型乳化重合方法に従って容易に行うことが
できる。この乳化重合方法は、高分子量のポリマーを高
濃度で重合できる上、取り扱い粘度も低くでき、生産コ
ストも安いため、好ましい。また、乳化重合法で得られ
た共重合体は、分子量が大きく、増粘性が高いので、こ
れを用いた掘削安定液は優れた濾水性を有する。
【0037】この乳化重合は、通常、乳化剤や重合開始
剤、還元剤、連鎖移動剤等を用いて行われる。乳化剤と
しては、特に限定されるものではなく、例えば、アニオ
ン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界
面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤やこれら
の反応性界面活性剤を用いることができる。これらは、
必要に応じて1種用いることも、複数種を併用すること
もできるが、場合によっては乳化剤を一切使用せずに重
合することもできる。乳化剤の使用量については、全重
合性単量体100質量部に対して2質量部以下が好まし
く、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が
さらに好ましい。
【0038】アニオン界面活性剤としては、例えば、ナ
トリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサル
フェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアル
キルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコー
ルエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエー
ト、スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネー
ト;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカ
リフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフ
ェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレ
エート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸
塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリ
オキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポ
リオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポ
リオキシエチレン置換フェニルエーテル硫酸エステル
塩;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸エステル塩;アルキルアリルポリエーテル
硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン
酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェー
ト塩等の二重結合を有した反応性アニオン乳化剤等を挙
げることができ、これらは、必要に応じて1種用いるこ
とも、複数種を併用することもできる。
【0039】ノニオン系界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エス
テル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;
グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセラ
イド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;
エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸と
の縮合生成物等を挙げることができ、これらは、必要に
応じて1種用いることも、複数種を併用することもでき
る。
【0040】高分子界面活性剤としては、例えば、ポリ
ビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル
酸系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等を挙
げることができ、これらは、必要に応じて1種用いるこ
とも、複数種を併用することもできる。
【0041】本発明の掘削安定液用増粘剤に用いるアル
カリ増粘性エマルションにおいては、単量体成分を乳化
共重合する際の乳化剤の含有量を通常より低く抑えるこ
とにより、及び/又は、起泡力の低い乳化剤を使用する
ことにより、本発明の特定の泡立ち性能をより有効に達
成することができる。
【0042】本発明においては、特に、乳化重合する際
の乳化剤のうち、特に下記の起泡性能を有する乳化剤を
選択することが、本発明の特定の泡立ち性能を達成する
上で有効である。すなわち、乳化剤の種類については、
上記例示の各種乳化剤のうち、その起泡性能に関して、
特に、その1質量%水溶液の25℃におけるロスマイル
ス法(JIS K 3362)による起泡力試験におい
て、落下直後の泡高が200mm以下であり、かつ、落
下5分後の泡高が100mm以下であるものが好まし
い。乳化剤の起泡性能が上記性能の範囲内であり、ま
た、乳化剤の使用量が2質量部以下である場合に、上述
したように、得られたアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を掘削安定液に用いた際、エマルションに
含まれる乳化剤が遊離して、掘削安定液の起泡性を高
め、掘削安定液の調製時や、掘削安定液を再利用する際
の土砂分離時等に、掘削安定液を発泡させてしまう等の
問題が生じにくく、好ましい。このような乳化剤は、特
に上記特定の共重合体〔A〕と組み合わせて適用するこ
とが好ましい。
【0043】乳化重合を行う際の重合開始剤としては、
熱または、酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子
を発生させるものが用いられ、特に、水溶性の開始剤を
使用することが好ましい。例えば、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の
水溶性アゾ系化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;
過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオ
キサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過
硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドック
ス系重合開始剤等を挙げることができ、これらは、必要
に応じて1種用いることも、複数種を併用することもで
きる。
【0044】乳化重合を行う際の重合温度は、特に限定
する必要はないが、一般に0〜100℃が好ましく、さ
らに好ましくは40〜95℃である。重合時間も、特に
限定する必要はないが、一般に2〜15時間が好まし
い。また、乳化重合を行う際、重合安定性や得られる増
粘性ポリマーの物性に悪影響を及ぼさない範囲で、親水
性溶媒や添加剤等を加えることができる。
【0045】重合性単量体成分を乳化重合反応系に添加
する方法としては、特に限定する必要はなく、単量体滴
下法、プレエマルション法、一括添加法、均一添加法、
多段滴下法、パワーフィード法、シード法等を用いるこ
とができる。これらの方法のうち、プレエマルション法
を用いることにより、上述したように、乳化重合時の安
定性が向上するため好ましい。乳化重合反応後に得られ
るエマルション中の不揮発分(増粘性ポリマー)は、6
0質量%以下であるのが好ましく、不揮発分が60質量
%を超えると、エマルションの粘度が高すぎたり、分散
安定性が保てず、凝集の起こる恐れがある。
【0046】本発明の掘削安定液用増粘剤に含有される
エマルションは、上記の乳化重合法で得られたもの以外
に、例えば、マイクロサスペンション重合法や溶液重合
法等の他の方法で共重合させて得たものを、必要に応じ
て乳化剤等を用いて、再分散させたもの等であってもよ
い。
【0047】本発明の掘削安定液用増粘剤に含有される
アルカリ増粘性エマルションが増粘する機構は、アルカ
リ性物質によりエマルション中の増粘性ポリマーの親水
性が高まり、水中に増粘性ポリマーの粒子の一部または
全部が溶解するか、増粘性ポリマーの粒子が膨潤する
か、または、その両方が起こることによると推定され
る。本発明の増粘剤に用いられる増粘性ポリマーの重量
平均分子量は、特に限定的ではないが、一般に10万〜
300万であるものが好ましく、20万〜150万であ
るものが更に好ましい。ポリマーの重量平均分子量が1
0万未満であると、ポリマーが増粘剤として働かず、結
果的に掘削安定液の粘度が下がり、充分な濾水性が得ら
れない。
【0048】エマルションにおける増粘性ポリマーの粒
子の平均粒径は、特に限定するものではないが、一般に
50nm〜50μmが好ましく、さらに好ましくは10
0nm〜30μmである。増粘性ポリマーの平均粒径が
上記範囲内において、増粘性ポリマー製造時において、
良好な重合安定性が得られ、適度の粘度を有するエマル
ションが得られ、好ましい。また、本発明のアルカリ増
粘性エマルションを含有する増粘剤を含有する掘削安定
液にアルカリ性物質を添加した際に、速やかに増粘して
適度な粘度を発現し、安定した物性の掘削安定液を得る
ことができる。
【0049】本発明の掘削安定液用増粘剤に含有される
アルカリ増粘性エマルションは、アルカリ性物質を添加
した際に速やかに増粘性ポリマーが溶解または膨潤して
増粘するが、上記エマルションを適宜、予め所定の濃度
に調整しておくことにより、所望の粘度を有するポリマ
ー水溶液を調製することができる。
【0050】本発明の掘削安定液用増粘剤に含有される
アルカリ増粘性エマルションは、その製造由来にかかわ
らず、これを希釈してその固形分を1質量%に調整され
た水溶液の粘度が1〜1000mPa・s、望ましくは
1〜500mPa・s、さらに望ましくは1〜100m
Pa・sであり、上記固形分1質量%に調整された水溶
液にアルカリ性物質を添加してpHを9に調整したとき
の粘度が、アルカリ性物質添加前の2〜10000倍、
望ましくは2〜8000倍、さらに望ましくは2〜50
00倍となる増粘特性を示すものが好ましい。
【0051】本発明の掘削安定液は、掘削安定液の調製
時や施工直前等の任意の時点で、粘土鉱物をさらに配合
することができる。また、アルカリ性物質や消泡剤、分
散剤、CMC、界面活性剤類、逸泥防止剤類等の他の添
加剤等については、これらを添加しなくても掘削安定液
として十分な性能を発現することができるが、必要に応
じてさらにこれらの添加剤を補助的に適宜配合すること
もできる。また、水等も同様に配合することができる。
本発明の掘削安定液に配合することができる粘土鉱物、
アルカリ性物質、消泡剤、分散剤等の添加剤等として
は、従来から掘削安定液に使用されているものを適宜用
いることができる。
【0052】上記粘土鉱物は、掘削安定液に基本的な粘
度特性と濾水性とを付与するために配合するものであ
り、例えば、セピオライト、アタパルジャイト、エント
リガイト、ベントナイト、カオリンクレー、モンモリロ
ナイト、クリストバライト、エクトライト、サポナイ
ト、バイデライト、ゼオライト、パリゴスカライト、雲
母等が挙げられる。これらは、必要に応じて1種用いる
ことも、複数種を併用することもできる。これらのうち
でも、セピオライト、アタパルジャイト、エントリガイ
ト、ベントナイト、カオリンクレー、モンモリロナイ
ト、クリストバライト等が濾水性が高いので好ましく、
更にベントナイト、カオリンクレー、モンモリロナイト
が特に好ましい。
【0053】上記アルカリ性物質は、必要に応じて配合
することができる添加剤であり、増粘性ポリマーの親水
性を高め、エマルションをより速やかに増粘させるため
に配合するものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア
(水)、アミン類等が挙げられる。これらは、必要に応
じて1種用いることも、複数種を併用することもでき
る。
【0054】また、上記消泡剤も必要に応じて配合する
ことができる添加剤であり、例えば、シリコーン系消泡
剤、プロルニック型消泡剤、脂肪族アルコール系消泡
剤、脂肪酸系消泡剤、鉱物油系消泡剤、トリブチルホス
フェート等が挙げられる。これらは、必要に応じて1種
用いることも、複数種を併用することもできる。なお、
本発明の掘削安定液は、上記に詳述したように、従来に
ない優れた低起泡性能を有しているため、消泡剤を配合
しない場合でも十分取り扱い可能である。さらにまた、
上記分散剤等の添加剤の例としては、ポリ(メタ)アク
リル酸塩、リグニンスルホン酸塩、ヘキサメタリン酸
塩、トリポリリン酸塩等の分散剤;CMC、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等の
添加剤が挙げられる。
【0055】本発明の掘削安定液を調製するに当たり、
掘削安定液を構成する各構成成分の配合量については、
特に限定はないが、本発明のアルカリ増粘性エマルショ
ンを含有する増粘剤と粘土鉱物の配合量は、掘削安定液
100質量部中、エマルションの固形分として0.01
〜20質量部、粘土鉱物0〜20質量部が好ましく、よ
り好ましくはエマルションの固形分として0.01〜1
0質量部、粘土鉱物0.1〜20質量部であり、さらに
好ましくはエマルションの固形分として0.05〜10
質量部、粘土鉱物0.5〜10質量部であり、特に好ま
しくはエマルションの固形分として0.05〜5質量
部、粘土鉱物1〜5質量部である。エマルションの固形
分が上記範囲内において、掘削安定液の適度な粘度と濾
水性が得られ、取り扱いやすいが、特に20質量部を超
えると、掘削安定液の粘性が適正値を超え、掘削土砂の
分離が阻害される場合があり、好ましくない。また、粘
土鉱物が上記範囲内において、掘削安定液の適度な粘度
と濾水性が得られ、好ましい。特に粘土鉱物の配合量が
20質量部を超えると、掘削安定液の粘度が高くなりす
ぎ、取り扱いが困難となるおそれがある。
【0056】また、アルカリ性物質の配合量は、掘削安
定液のpHが6以上となる量が好ましく、掘削安定液の
pHが6〜13となる量がさらに好ましい。掘削安定液
のpHが6以上となるように設定することにより、掘削
安定液に適した粘度が得られ、好ましい。また掘削安定
液のpHが13以下において、掘削安定液の濾水性が良
好である。
【0057】消泡剤等の添加剤の配合量は、掘削安定液
の濾水性を低下させない範囲で、必要に応じて適宜選択
すれば良いが、消泡剤の配合量は、一般に、掘削安定液
100質量部中、3質量部以下が好ましく、0.01〜
1質量部がさらに好ましい。消泡剤の配合量が3質量部
を超えると、消泡剤が分離してしまうか、濾水性が低下
する恐れがある。
【0058】本発明の掘削安定液に含まれる水の量は、
特に限定されないが、一般に、掘削安定液100質量部
中、80〜99.9質量部が好ましく、90〜99質量
部がさらに好ましい。この範囲内において、掘削安定液
の適度な粘度と濾水性を保つことができる。
【0059】本発明の掘削安定液の調製方法は、特に限
定的ではなく、例えば、本発明のアルカリ増粘性エマル
ションを含有する増粘剤に、上記で挙げたアルカリ性物
質や粘土鉱物、水、消泡剤等の各構成成分を任意の順番
で配合することにより容易に得ることができる。
【0060】本発明の掘削安定液は、地中連続壁工法ま
たは地中杭工法の掘削工法において、掘削された穴の壁
面等の崩れを防止するために好適に用いることができ
る。すなわち、本発明の掘削安定液を用いて、掘削穴内
壁面の崩壊を防止しながら地中を掘削する地中連続壁工
法または地中杭工法の掘削工法を適用することにより、
掘削面の崩壊を確実に防止することができる。
【0061】本発明の掘削安定液を用いた地中連続壁工
法または地中杭工法による掘削工法では、ドリル、BW
掘削機、バケット式、ハイドロフレーズ、エレクトロミ
ル等の掘削機を用いて地中にトンネル等の掘削穴を形成
しながら、掘削安定液をこの掘削穴に満たすと、掘削壁
面に掘削安定液が浸透して、掘削壁面の表面近傍にマッ
ドケーキと呼ばれる止水性の泥壁層が形成されるように
なる。この泥壁層は止水性が高く、掘削壁面を補強し、
掘削安定液の水圧が地下水圧よりも大きいために、土の
自立高さを越える場合や地下水圧等による掘削穴内壁面
の崩壊は、防止されるようになる。また、掘削に用いて
使用済みとなった本発明の掘削安定液は、その廃棄に際
し、従来の掘削安定液の廃棄に際しての脱水処理法によ
り、容易に水分と固形分とに分離することができる。本
発明の増粘剤を含有する掘削安定液は何度も再利用でき
るため、廃泥処理が軽減され、経済的にも有利である。
【0062】本発明の掘削安定液は、地下掘削の際に、
地盤の自立性が良く、掘削に際して水だけ用いても支障
のない条件下においては、掘削安定液の成分として、本
発明の掘削安定液用増粘剤のみを単独で、または、本発
明の掘削安定液用増粘剤とアルカリ性物質とを併用し
て、水に加え使用してもよい。この場合は、掘削機のカ
ッターヘッドへの掘削土砂の張付き防止などの目的で使
用される。
【0063】
【実施例】以下に、実施例および比較例によりさらに具
体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限
定されるものではない。以下において、「%」は「質量
%」、「部」は「質量部」のことである。
【0064】エマルションの製造例1 滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷却器
を備えたフラスコに、イオン交換水189.0部と、3
0%乳化剤水溶液(日本乳化剤(株)製、商品名;ニュ
ーコール707SF)の9.8部、スチレンスルホン酸
ナトリウム11.7部を仕込み、75℃で撹拌しながら
フラスコ内を窒素置換した。滴下ロートより、別途にメ
タクリル酸164.3部、アクリル酸メチル117.4
部、30%乳化剤水溶液(同上)9.8部、イオン交換
水460.5部を強撹拌して得たプレエマルションの内
の52.6部を投入し、5分撹拌した。次いで、5%過
硫酸アンモニウム水溶液13.7部を投入し、内温75
℃に保ちながら20分間撹拌を続け、初期重合を行っ
た。フラスコ内の反応混合物に、上記プレエマルション
の残り699.4部を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、イオン交換水10.1部を用いて滴下ロートを洗浄
し、この洗液をフラスコ内に投入した。内温を75℃に
保ちながら30分間撹拌を続けた後、後添加触媒として
0.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液13.7部を添加
し、さらに60分間重合させた。反応混合物を冷却し
て、重合を終了し、ポリマー(1)を含有するエマルシ
ョン(1)(不揮発分濃度30.1%)を得た。配合組
成を表1に示した。
【0065】エマルションの製造例2 滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷却器
を備えたフラスコに、イオン交換水192.7部と、ス
チレンスルホン酸ナトリウム11.9部を仕込み、フラ
スコ内を窒素置換した。一方、メタクリル酸179.4
部と、アクリル酸メチル107.6部を、30%乳化剤
水溶液(日本乳化剤(株)製、商品名;ニューコール7
07SF)1.0部をイオン交換水467.2部に溶解
した乳化剤水溶液に添加し、強撹拌してプレエマルショ
ンを調製した。そして、該プレエマルションを滴下ロー
トに仕込んだ。このプレエマルションの52.9部をフ
ラスコに投入し、75℃まで撹拌しながら昇温した。次
いで、1%β−メルカプトプロピオン酸水溶液2.0部
をフラスコ内に一括投入し、続いて、5%過硫酸アンモ
ニウム水溶液14.0部を一括投入し、内温75℃に保
ちながら20分間撹拌を続け、初期重合を行った。フラ
スコ内の反応混合物に、上記プレエマルションの残り7
02.3部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、イオ
ン交換水10.2部を用いて滴下ロートを洗浄し、この
洗液をフラスコ内に投入した。内温を75℃に保ちなが
ら30分間撹拌を続けた後、後添加触媒として0.5%
亜硫酸水素ナトリウム水溶液14.0部を添加し、さら
に60分間重合させた。反応混合物を冷却して、重合を
終了し、ポリマー(2)を含有するエマルション(2)
(不揮発分濃度29.9%)を得た。配合組成を表1に
示した。
【0066】エマルションの製造例3 滴下ロート、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、およ
び還流冷却器を取り付けたフラスコに、イオン交換水2
39.3部、スチレンスルホン酸ナトリウム12.0
部、メタクリル酸28.7部、および、30%乳化剤水
溶液(日本乳化剤株式会社製、商品名;ニューコール7
07SF)0.1部とを仕込み、フラスコ内を窒素ガス
で置換しつつ、75℃まで攪拌しながら昇温した。一
方、メタクリル酸150.4部と、アクリル酸メチル1
07.3部と、t−ドデシルメルカプタン0.5部と
を、30%乳化剤水溶液(日本乳化剤株式会社製、商品
名;ニューコール707SF)0.9部をイオン交換水
420.5部に溶解した乳化剤水溶液に添加し、激しく
攪拌することによりプレエマルションを調製した。次い
で、2%β−メルカプトプロピオン酸水溶液2.0部を
フラスコに一括投入し、続いて、重合開始剤としての5
%過硫酸アンモニウム水溶液14.0部を一括投入し、
75℃で20分間攪拌することにより、初期重合を行っ
た。その後、反応温度を75℃に保ちながら、滴下ロー
トからプレエマルション(679.6部)を3時間かけ
て滴下した。滴下ロートからの滴下終了後、イオン交換
水10.3部を用いて滴下ロートを洗浄し、この洗液を
フラスコに投入した。さらに30分間重合させた後、後
添加触媒として0.5%亜硫酸水素ナトリウム14.0
部を一括添加し、さらに60分間重合させた。得られた
反応液を冷却して、重合を終了し、ポリマー(3)を含
有するエマルション(3)(不揮発分濃度30.1%)
を得た。配合組成を表1に示した。
【0067】エマルションの製造例4 滴下ロート、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、およ
び還流冷却器を取り付けたフラスコに、イオン交換水2
39.3部、スチレンスルホン酸ナトリウム12.0
部、メタクリル酸28.7部、および、30%乳化剤水
溶液(日本乳化剤株式会社製、商品名;ニューコール7
07SF)0.1部とを仕込み、フラスコ内を窒素ガス
で置換しつつ、75℃まで攪拌しながら昇温した。一
方、メタクリル酸150.6部と、アクリル酸メチル1
07.6部とを、30%乳化剤水溶液(日本乳化剤株式
会社製、商品名;ニューコール707SF)0.9部を
イオン交換水420.5部に溶解した乳化剤水溶液に添
加し、激しく攪拌することによりプレエマルションを調
製した。次いで、2%β−メルカプトプロピオン酸水溶
液2.0部をフラスコに一活投入し、続いて、重合開始
剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液14.0部を
一括投入し、75℃で20分間攪拌することにより、初
期重合を行った。その後、反応温度を75℃に保ちなが
ら、滴下ロートからプレエマルション(679.6部)
を3時間かけて滴下した。滴下ロートからの滴下終了
後、イオン交換水10.3部を用いて滴下ロートを洗浄
し、この洗液をフラスコに投入した。さらに30分間重
合させた後、後添加触媒として0.5%亜硫酸水素ナト
リウム14.0部を一括添加し、さらに60分間重合さ
せた。得られた反応液を冷却して、重合を終了し、ポリ
マー(4)を含有するエマルション(4)(不揮発分濃
度30.0%)を得た。配合組成を表1に示した。
【0068】エマルションの製造例5 滴下ロート、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、およ
び還流冷却器を取り付けたフラスコに、イオン交換水2
39.3部、スチレンスルホン酸ナトリウム12.0
部、メタクリル酸28.7部、および、30%乳化剤水
溶液(日本乳化剤株式会社製、商品名;ニューコール7
07SF)0.1部とを仕込み、フラスコ内を窒素ガス
で置換しつつ、70℃まで攪拌しながら昇温した。一
方、メタクリル酸150.6部と、アクリル酸メチル1
07.6部とを、30%乳化剤水溶液(日本乳化剤株式
会社製、商品名;ニューコール707SF)0.9部を
イオン交換水420.5部に溶解した乳化剤水溶液に添
加し、激しく攪拌することによりプレエマルションを調
製した。次いで、2%β−メルカプトプロピオン酸水溶
液2.0部をフラスコに一括投入し、続いて、重合開始
剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液14.0部を
一括投入し、70℃で20分間攪拌することにより、初
期重合を行った。その後、反応温度を70℃に保ちなが
ら、滴下ロートからプレエマルション(679.6部)
を4時間かけて滴下した。滴下ロートからの滴下終了
後、イオン交換水10.3部を用いて滴下ロートを洗浄
し、この洗液をフラスコに投入した。さらに30分間重
合させた後、後添加触媒として0.5%亜硫酸水素ナト
リウム14.0部を一括添加し、反応温度を80℃まで
昇温してさらに60分間重合させた。得られた反応液を
冷却して、重合を終了し、ポリマー(5)を含有するエ
マルション(5)(不揮発分濃度29.8%)を得た。
配合組成を表1に示した。
【0069】エマルションの製造例6 滴下ロート2基、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水326.1部、
ハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製、商品
名)2.9部を仕込み、75℃で撹拌しながらハイテノ
ールN−08を完全溶解させた。ハイテノールN−08
を含む水溶液を75℃に保ちながら、フラスコ内を窒素
置換した後、滴下ロートより、別途にメタクリル酸の1
02.2部、アクリル酸メチルの189.8部、ハイテ
ノールN−08の5.8部、イオン交換水の276.2
部を撹拌して得たプレエマルションの内の57.4部を
投入し、5分撹拌した。次いで、1%亜硫酸水素ナトリ
ウム水溶液3部および1%過硫酸アンモニウム水溶液
6.7部を投入し、内温75℃に保ちながら20分間撹
拌を続け、初期重合を行った。フラスコ内の反応混合物
に、上記プレエマルションの残り516.6部と1%過
硫酸アンモニウム水溶液60.3部をそれぞれ2時間お
よび3時間かけて滴下した。滴下終了後、イオン交換水
10.0部を用いて滴下ロートを洗浄し、この洗液をフ
ラスコ内に投入した。内温を75℃に保ちながら30分
間撹拌を続けた後、後添加触媒として1.0%ロンガリ
ット水溶液17.0部を30分かけて滴下し、さらに3
0分間重合させた。反応混合物を冷却して、重合を終了
し、ポリマー(6)を含有するエマルション(6)(不
揮発分濃度29.6%)を得た。配合組成を表1に示し
た。
【0070】エマルションの製造例7 滴下ロート2基、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水336.1部、
ハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製、商品
名)4.4部を仕込み、68℃で撹拌しながらハイテノ
ールN−08を完全溶解させた。ハイテノールN−08
を含む水溶液を撹拌しながら、フラスコ内を窒素置換し
た後、滴下ロートより、別途にメタクリル酸の174.
2部、アクリル酸エチルの116.2部、ハイテノール
N−08の4.4部、イオン交換水の269.1部を撹
拌して得たプレエマルションの内の28.2部を投入
し、72℃に保ちながら、5分撹拌した。次いで、5%
亜硫酸水素ナトリウム水溶液1部および1%過硫酸アン
モニウム水溶液3.4部を投入し、内温72℃に保ちな
がら20分間撹拌を続け、初期重合を行った。フラスコ
内の反応混合物に、上記プレエマルションの残り53
5.7部と1%過硫酸アンモニウム水溶液64.7部を
それぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後、イオン交
換水26.5部を用いて滴下ロートを洗浄し、この洗液
をフラスコ内に投入した。内温を72℃に保ちながら1
時間撹拌を続け、反応混合物を冷却して、重合を終了
し、ポリマー(7)を含有するエマルション(7)(不
揮発分濃度29.4%)を得た。配合組成を表1に示し
た。
【0071】
【表1】
【0072】実施例1 上記製造例1で得たエマルション(1)、イオン交換水
及び0.5N−NaOH水溶液を混合し、該エマルショ
ンの固形分(不揮発分)として総量の0.2%、pH
8.0±0.1に調整した水溶液を得た。この水溶液2
50.0gを1Lステンレス製ビーカーに入れ、JIS
試験用粉体I,7種(関東ローム、細粒;(社)日本粉
体工業技術協会製)50.0gを添加し、20℃に保持
しながら、ディスパーを用いて回転速度8000rpm
で3分間撹拌し、ソリッド含有液(1a)を得た。この
液を、200mlガラス製メスシリンダーに投入し、直
後の見かけ比重を測定した。さらに10分後、消泡剤
(アクアレン3062;共栄社化学(株)製)を0.1
g添加して上部の気泡を消泡させ、見かけ比重を測定し
た。結果を表2に示した(3回の試験の平均値)。
【0073】実施例2 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(2)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(2a)を得、実施例1と同様にし
て、その強撹拌直後および10分後の液の見かけ比重を
測定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均
値)。
【0074】実施例3 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(3)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(3a)を得、実施例1と同様にし
て、その強攪拌後および10分後の液の見かけ比重を測
定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均値)。
【0075】実施例4 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(4)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(4a)を得、実施例1と同様にし
て、その強攪拌直後および10分後の液の見かけ比重を
測定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均
値)。
【0076】実施例5 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(5)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(5a)を得、実施例1と同様にし
て、その強攪拌直後および10分後の液の見かけ比重を
測定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均
値)。
【0077】比較例1 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(6)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(6a)を得、実施例1と同様にし
て、その強撹拌直後および10分後の液の見かけ比重を
測定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均
値)。
【0078】比較例2 実施例1において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(7)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ソリッド含有液(7a)を得、実施例1と同様にし
て、その強撹拌直後および10分後の液の見かけ比重を
測定した。結果を表2に示した(3回の試験の平均
値)。
【0079】
【表2】
【0080】実施例6 上記製造例1で得たエマルション(1)を、ポリマー
(1)として総量の0.2%となるように計量してステ
ンレスのカップに入れ、これにイオン交換水を加えて、
総量で600gとした。次に、ベントナイト(浅間印)
を総量の3%加え、ハミルトンビーチミキサーを用いて
回転速度1200rpmで攪拌しながら、無水炭酸ナト
リウムを総量の0.14%加えて30分間撹拌した。こ
れを24時間放置した後、再度ハミルトンビーチミキサ
ーで5分攪拌して掘削安定液(1b)を得た。この掘削
安定液の調製時において、攪拌中の発泡は非常に少な
く、安定にかつ問題なく調製できた。この掘削安定液に
ついて、以下に示すAMERICAN PETROLE
UMINSTITUTE(API)の試験方法に準じた
方法で、ファンネル粘度および濾水量を測定した。結果
を表3に示した。
【0081】[ファンネル粘度測定法]漏斗型のファン
ネル粘度計に掘削安定液を500ml採り、その全量が
流出するまでの時間を測定する。
【0082】[濾水量測定法]濾水量測定装置のシリン
ダー内に掘削安定液を290ml入れ、直径9cmの東洋
濾紙No.4を置き、ドレン付の蓋をセットする。シリ
ンダーを所定位置に固定し、メスシリンダーをセットし
た後に窒素ボンベを用いてシリンダー内を3kg/cm
2となるように圧力をかけ、30分間に流出する水の量
(ml)をメスシリンダーで測定する。
【0083】実施例7 実施例6において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(2)を用いた以外は、実施例6と同様にし
て、掘削安定液(2b)を得た。この掘削安定液の調製
時において、攪拌中の発泡は非常に少なく、安定にかつ
問題なく調製できた。この掘削安定液について、ファン
ネル粘度および濾水量を測定した。結果を表3に示し
た。
【0084】実施例8 実施例6において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(4)を用いた以外は、実施例3と同様にし
て、掘削安定液(4b)を得た。この掘削安定液の調製
時において、攪拌中の発泡は非常に少なく、安定にかつ
問題なく調製できた。この掘削安定液について、ファン
ネル粘度および濾水量を測定した。結果を表3に示し
た。
【0085】比較例3 実施例6において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(6)を用いた以外は、実施例6と同様にして
掘削安定液を調製したところ、攪拌中に激しく発泡し、
ステンレスのカップから掘削安定液が溢れ、安定して調
製することができなかった。
【0086】比較例4 実施例6において、エマルション(1)の代わりにエマ
ルション(6)を用い、エマルション(6)にイオン交
換水を加えて総量を600gとした後、さらに、シリコ
ーン系消泡剤であるアクアレン3062(共栄社化学
(株)製、商品名)を総量の0.1%加えた以外は、実
施例6と同様にして掘削安定液(6b)を得、そのファ
ンネル粘度および濾水量を測定した。結果を表3に示し
た。
【0087】
【表3】
【0088】実施例9及び比較例5 エマルション(3)、(4)及び(5)を使用した本発
明の掘削安定液A、B及びCと、従来配合の掘削安定液
a、b及びcを、表4に示すような掘削安定液配合でそ
れぞれ作液し、掘削の際に掘削安定液に対する掘削土の
混合度合を比較した。
【0089】なお、エマルション(3)、(4)および
(5)に関し、ポリマー(3)、(4)および(5)の
重量平均分子量については、固形分で0.15%となる
ようにテトラヒドロフランを用いて各エマルションを溶
解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GP
C)で、ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
結果を以下に示す。
【0090】エマルション(3)中のポリマー(3):
分子量 30万。 エマルション(4)中のポリマー(4):分子量 80
万。 エマルション(5)中のポリマー(5):分子量120
万。
【0091】
【表4】
【0092】掘削安定液に対する掘削土の混入度合は、
次の方法で測定した。表4に示した本発明の安定液A、
B、C及び従来配合の安定液a、b、cの各30リット
ルに対して、掘削現場から採取したシルト質粘土層(含
水比45質量%)を20%添加し、ラボスターラー(φ
75mm×4枚羽根、回転数700rpm)で30分間
攪拌後、遠心分離機(遠心効果:G=200)で1分間
遠心分離したあと、掘削安定液の上液を採取して、比
重、ファンネル粘度(FV)、ろ過水量(WL)を測定
した。さらに、採取した掘削安定液の上液に対して同様
な要領でシルト質粘土層の添加試験を8回(合計9回)
繰返し行い、その挙動をみた。
【0093】
【表5】
【0094】表5の結果から明らかなように、本発明の
安定液A、B、Cは、従来の安定液a、b、cよりシル
ト質粘土層の分離効果が大きく、繰返し添加を重ねても
安定液の比重の増加が少ない。脱水量(WL)も増加度
合いが小さい。このことは、掘削安定液に混入したシル
ト質粘土の表面にエマルションポリマーが吸着し、保護
コロイド効果(高分子被覆効果)によって、掘削安定液
中から分離除去し易いことを示している。
【0095】実施例10及び比較例6 エマルション(4)を使用した本発明の掘削安定液D、
Eと従来配合の安定液d、eを、表6に示すような掘削
安定液配合でそれぞれ作液し、掘削の際に安定液に混入
するセメント成分の影響による品質の劣化度合を比較し
た。
【0096】
【表6】
【0097】掘削安定液に対するセメント成分の影響に
よる品質の劣化度合は、次の方法で測定した。表6に示
した本発明の安定液D、E及び従来配合の安定液d、e
の各1リットルに対して、普通ポルトランドセメントの
0.5g/mlのセメントスラリーを24時間攪拌し続
けたものを、掘削安定液にセメント固形質量で、1%、
2%、3%を添加し、ラボスターラー(φ45mm×4
枚羽根、回転数700rpm)で10分攪拌後、ファン
ネル粘度(FV)、みかけ粘度(BV)、ろ過水量(W
L)を測定し、掘削安定液の品質の劣化度合をみた。
【0098】
【表7】
【0099】表7の結果から明らかなように、本発明の
掘削安定液D、Eは、従来配合の掘削安定液d、eに比
べてセメントの混入に対する品質の劣化度合が極端に小
さいことを示している。
【0100】実施例11及び比較例7 エマルション(4)を使用した本発明の掘削安定液Fと
従来配合の掘削安定液fを、表8に示すような掘削安定
液配合でそれぞれ作液し、掘削の際に掘削土中の微生物
による掘削安定液の品質の劣化度合を比較した。
【0101】
【表8】
【0102】掘削安定液に対する微生物の影響による劣
化度合は、次の方法で測定した。表8に示した本発明の
掘削安定液F及び従来配合の掘削安定液fの各1リット
ルに対して、植種液を2%添加し、37℃の恒温槽内で
養生しながら所定日数ごとに掘削安定液を採取し、ファ
ンネル粘度(FV)、みかけ粘度(BV)、ろ過水量
(WL)を測定しながら、90日間掘削安定液の品質の
挙動をみた。なお、植種液は、シルト質粘土層100部
に水46部を加えたものに、グアガムを水に対して0.
5部加えて混合し、37℃の恒温槽で5日間養生して植
種液を調整した。
【0103】
【表9】
【0104】表9の結果から明らかなように、本発明の
安定液Fと従来配合の安定液fを比べると、本発明の掘
削安定液は、ファンネル粘度とみかけ粘度は上昇傾向に
あり、ろ過水量ほとんど一定の値を示している。従来配
合の掘削安定液は、ファンネル粘度とみかけ粘度は低下
傾向にあり、ろ過水量は増加している。この一連の挙動
から、本発明の掘削安定液は、微生物による生物化学的
な掘削安定液の品質劣化が小さいことを示している。こ
のことは、天然のセルロースを基材にしたCMCにくら
べて、本発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する
増粘剤は、合成による高分子剤を基材としているため
に、掘削土中の細菌類の繁殖に伴って生成される分解酵
素の影響を受けにくいことを示している。
【0105】本発明のアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を用いた地下掘削用安定液は、掘削土が混
入しても分離効果がよく安定液比重の増加も小さい。さ
らに、セメントの混入による品質の劣化や微生物による
生物化学的な品質の劣化にも強く、掘削安定液の繰返し
使用による転用率の向上が可能である。
【0106】実施例12 本発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤
を用いた掘削安定液で、某場所打ち杭現場で使用した実
績を下記に述べる。表10に工事の概要を、表11に本
発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤を
用いた安定液の成分を示す。
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】本発明のアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を用いた掘削安定液の作液は、20m3
作液タンクに真空吸引式ポンプで掘削安定液材料を投入
し、ポンプ循環で攪拌をして作液した。作液した本発明
のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤を用い
た掘削安定液を循環タンクに移し、ポンプで掘削孔に満
たしながら計画の深度まで掘削をおこなった。掘削が終
了したあとは、鉄筋籠を孔内に設置し、トレミー管を挿
入してコンクリートを打設し、孔内に満たした掘削安定
液は、20m3のタンクに回収した。回収した掘削安定
液は、順次、25m3と30m3の循環タンクに移し、次
の杭の掘削に使用した。
【0110】本発明のアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を用いた掘削安定液の品質は、循環タンク
から掘削孔に掘削安定液を満たす供給口から採取し、比
重、砂分、ファンネル粘度、ろ過水量を測定して、掘削
安定液の品質をみた。表12に、本発明のアルカリ増粘
性エマルションを含有する増粘剤を用いた掘削安定液の
品質を示す。
【0111】
【表12】
【0112】表12の結果から明らかなように、実現場
において本発明のアルカリ増粘性エマルションを含有す
る増粘剤を使用した結果、掘削安定液を繰り返し使用し
ても比重、砂分、ファンネル粘度及びろ過水量の極端な
増加もなく、掘削安定液の品質は良好であった。
【0113】さらに、掘削安定液中に混入した掘削土の
沈降も良く、掘削終了時点に行われる底さらいも容易に
でき、コンクリート打設時に回収された掘削安定液中の
砂分の量も1%以下であった。
【0114】掘削安定液の繰り返し使用の指標となる転
用率は、総掘削土量703m3に対して、本発明の掘削
安定液の総作液量は175m3で、転用率も4.0と、
高い転用効率で掘削を終了することができた。
【0115】実施例13 本発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤
を用いた掘削安定液で、某地中連続壁現場で使用した実
績を下記に述べる。表13に工事の概要を、表14に本
発明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤を
用いた安定液の成分を示す。
【0116】
【表13】
【0117】
【表14】
【0118】本発明のアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を用いた掘削安定液の作液は、6m3の真
空吸引式ジェットミキサーで掘削安定液材料を投入し、
ミキシングポンプで攪拌をして作液した。作液した本発
明のアルカリ増粘性エマルションを含有する増粘剤を用
いた安定波を、230m3の循環槽に移し、ポンプで掘
削溝に満たしながら計画深度まで掘削をおこなった。掘
削が終了したあとは、掘削溝底の底さらいをおこない、
鉄筋籠を溝内に設置し、トレミー管を挿入してコンクリ
ートを打設し、溝内に満たした掘削安定液は、230m
3の回収槽に回収した。回収した掘削安定液は、土砂分
離機(サンドスクリーンとサイクロン)とスーパーデカ
ンターで掘削安定液中に混入した掘削土砂を除去したあ
と、必要量を循環槽に移しながら、次のエレメントの掘
削に使用した。
【0119】本発明のアルカリ増粘性エマルションを含
有する増粘剤を用いた掘削安定液の品質は、循環槽から
掘削溝に掘削安定液を満たす供給口から採取し、比重、
砂分、ファンネル粘度、ろ過水量を測定して、掘削安定
液の品質をみた。表15に、本発明のアルカリ増粘性エ
マルションを含有する増粘剤を用いた掘削安定液の品質
を示す。
【0120】
【表15】
【0121】表15の結果から明らかなように、地中連
続壁工事において本発明のアルカリ増粘性エマルション
を含有する増粘剤を使用した結果、掘削地盤が粘土、シ
ルト、泥岩などの細粒地盤にもかかわらず、掘削安定液
中に混入した掘削土砂の分離効率もよく、掘削安定液を
繰返し使用しても、比重、砂分、ファンネル粘度、ろ過
水量の増加もなく、掘削安定液の品質は良好であった。
【0122】さらに、掘削安定液中に混入した掘削土砂
は、土砂分離機による分離効率がよいため、掘削終了時
点に行われる底さらいも短時間にでき、コンクリート打
設時に回収された掘削安定液中の砂分の量も1%以下で
あった。
【0123】掘削安定液の繰返し使用の指標となる転用
率は、総掘削土量7330m3に対して、本発明の掘削
安定液の総作液量は2700m3で、転用率も2.7
と、従来の地中連続壁工事の転用率1.5〜1.9を上
回り、高い転用効率で掘削を終了することができた。
【0124】
【発明の効果】本発明の掘削安定液用増粘剤は、従来に
ない低起泡性が達成され、それ故、これを含有する掘削
安定液は、従来のエマルションや乳化剤等を配合したも
のとは異なって、別途消泡剤を添加しなくても安定して
操業することができる。また、本発明の掘削安定液用増
粘剤を含有する掘削安定液は、耐セメント汚染性に優れ
ており、CMCを用いたものに比べ腐敗し難く、何度も
再利用することができる。さらに、本発明の掘削安定液
用増粘剤を含有する掘削安定液を使用して地中連続壁工
法または地中杭工法に利用した際、掘削面の崩壊を確実
に防止することができると共に、掘削安定液を何度も再
利用できて、廃泥処理が軽減され、経済的にも有利であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220:14) (72)発明者 木村 誠 埼玉県吉川市木売3丁目6番 株式会社テ ルナイト東京技術センター内 (72)発明者 阿部 勝久 東京都渋谷区幡ヶ谷1丁目7番5号 株式 会社テルナイト本社内 (72)発明者 原田 栄吉 山形県酒田市大浜1丁目2番14号 株式会 社テルナイト技術研究所酒田分室内 (72)発明者 河野 克之 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 本山 厚司 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 中元 桂一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 2D041 EA04 EB10 2D049 EA13 GC05 4J100 AD03Q AE18Q AE26Q AJ01P AJ02P AJ08P AJ09P AK02P AK03P AK07P AK08P AK12P AK13P AK20P AK21P AK24P AK32P AL03Q AL08Q AL09Q AL29Q AM02Q AM15Q AM21Q AQ08Q AQ15Q BA03Q BA08Q BA14Q BC43Q CA04 DA37 DA38 JA15 JA67

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ増粘性エマルションを含有する
    掘削安定液用増粘剤であって、該増粘剤にアルカリ性物
    質を添加したものの強攪拌泡立ち試験において、強撹拌
    直後の液の見かけ比重が1.05g/ml以上であり、
    かつ、強撹拌10分後の液の見かけ比重が1.10g/
    ml以上であることを特徴とする、掘削安定液用増粘
    剤。
  2. 【請求項2】 上記エマルションが、カルボキシル基含
    有重合性単量体(該カルボキシル基の一部又は全部が塩
    である場合を含む)の合計量50質量%以上と、20℃
    の水に対する溶解度が3質量%以上の非イオン性重合性
    単量体とを共重合成分として含有する共重合体を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の掘削安定液用増粘
    剤。
  3. 【請求項3】 上記20℃の水に対する溶解度が3質量
    %以上の非イオン性重合性単量体が、アクリル酸メチル
    であることを特徴とする、請求項2記載の掘削安定液用
    増粘剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の掘削安
    定液用増粘剤を含有することを特徴とする掘削安定液。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の掘削安定液を使用し
    て、地下掘削を行うことを特徴とする場所打ち地中杭工
    法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の掘削安定液を使用し
    て、地下掘削を行うことを特徴とする地中連続壁工法。
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