JP2018150689A - 安定液の品質管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定液の凝集に起因する劣化状態の変化を、簡略な方法で、短時間かつ確実に捉えることの可能な、安定液の品質管理方法を提供する。【解決手段】安定液を利用して地盤中に地中コンクリート構造物を構築する際の、安定液の品質管理方法であって、地中コンクリート構造物を構築しつつ安定液の見かけ粘度を測定することにより、見かけ粘度実測値を適時取得し、見かけ粘度実測値に基づいて、安定液の凝集に起因する劣化状態を管理する。【選択図】図5

Description

本発明は、地盤を削孔して地中孔を構築し、該地中孔に地中コンクリート構造物を構築する際に使用する安定液の品質管理方法に関する。
従来より、場所打ちコンクリート杭や連続地中壁等のコンクリート構造物を地盤中に構築するべく掘削工事に行う場合、掘削孔の壁面崩壊の防止だけでなく、掘削土砂の搬送および地中孔への水中コンクリート打設時の置換流体として、安定液を使用する。
安定液は、地中孔内に供給された状態において、掘削土砂の混入やコンクリート打設時のセメント成分との接触によりその性状に変化が生じやすく、劣化を招きやすい。このため、地中孔より回収されるとその性状を把握するべく、品質管理が行われる。
例えば、特許文献1には、施工時の安定液について、4つの管理項目(比重、ファンネル粘度、ろ過水量、pH)各々の数値を計測することにより、当該安定液の劣化要因を把握し、かつ、その劣化状態に応じた再生方法を安定液の再生チャートから選択する方法が開示されている。
特開平11−286930号公報
掘削工事を行う施工対象領域が、海に隣接する地域であったり、既存構造物の施工跡地や埋め戻し土である等自然地盤ではない場合、地盤に様々な化学成分が含有されていることが多い。すると、これらの化学成分により安定液に凝集が生じて劣化を生じることとなる。
この様な中、特許文献1に開示されている4つの管理項目のうち、ろ過水量は安定液の凝集に基づく劣化を把握する管理項目として適している。しかし、ろ過水量を測定するためのろ過試験は、試験に長時間を要するだけでなく、作業手間が煩雑であるとともに経済性にも劣る。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、安定液の凝集に起因する劣化状態を、簡略な方法で、短時間かつ確実に捉えることの可能な、安定液の品質管理方法を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明の安定液の品質管理方法は、安定液を利用して地盤中に地中コンクリート構造物を構築する際の、安定液の品質管理方法であって、前記地中コンクリート構造物を構築しつつ前記安定液の見かけ粘度を測定することにより、見かけ粘度実測値を適時取得し、該見かけ粘度実測値に基づいて、前記安定液の凝集に起因する劣化状態を管理することを特徴とする。
また、本発明の安定液の品質管理方法は、前記安定液にCa成分が混入した際の、ろ過水量と前記見かけ粘度の関係をあらかじめ把握しておき、前記ろ過水量の品質管理基準値に対応する前記見かけ粘度を、見かけ粘度管理値に設定し、該見かけ粘度管理値と前記見かけ粘度実測値とを比較することにより、前記安定液の凝集に起因する劣化状態を管理することを特徴とする。
さらに、本発明の安定液の品質管理方法は、前記見かけ粘度を、B型粘度測定試験にて測定することを特徴とする。
本発明の安定液の品質管理方法によれば、安定液の凝集に起因する劣化状態を見かけ粘度実測値を用いて管理することから、ろ過水量を用いて管理する場合と比較して、測定するための試験に係る作業手間や費用を大幅に削減できる。これにより、迅速かつ経済的に、安定液の凝集に起因する劣化状態を把握することが可能となる。
また、見かけ粘度を測定するための試験方法が簡略かつ経済的であることにより、見かけ粘度実測値が経時的に増加している場合には、測定時期の間隔をより狭めるなどして、見かけ粘度実測値のモニタリング頻度を高めることもできる。
こうすると、安定液の凝集に起因する劣化状態の変動を早期の段階で捉えることができるため、適切な再生処理を施して安定液の性状改善を図り、見かけ粘度管理値を超えるような劣化を未然に防ぐことが可能となる。これにより、廃棄処分となる安定液を大幅に低減できるとともに、安定液の長寿命化を図ることができ、安全かつ経済的に安定液を利用して、地中コンクリート構造物を構築することが可能となる。
本発明によれば、見かけ粘度を測定することにより安定液の凝集に起因する劣化状態を把握することができるため、ろ過水量を測定して把握する場合と比較して、簡略な試験方法で短時間かつ経済的に安定液の品質管理を行うことが可能となる。
本発明の実施の形態における地中コンクリート構造物を示す図である。 本発明の実施の形態における安定液を使用して地中孔を構築する様子を示す図である。 本発明の実施の形態における安定液の再生処理設備を示す図である。 本発明の実施の形態における地盤掘削機を示す図である。 本発明の実施の形態における安定液のろ過水量と見かけ粘度(B型粘度)との関係を示す図である。 本発明の実施の形態における施工初期段階における見かけ粘度による安定液の凝集に起因する劣化状態を示す図である。 本発明の実施の形態における施工中期段階における見かけ粘度による安定液の凝集に起因する劣化状態を示す図である。 本発明の実施の形態におけるB型粘度計による見かけ粘度(B型粘度)を測定する様子を示す図である。
本実施の形態における安定液の品質管理方法は、地盤中に地中孔を設けて地中コンクリート構造物を構築する施工期間中、孔壁を保護する安定液の凝集に起因する劣化状態を、安定液の品質管理項目の一つであるろ過水量に替えて見かけ粘度を採用して管理する方法である。以下に、安定液の品質管理方法を、図1〜図8を参照して説明する。
図1の平面図で示すように、本実施の形態における地中コンクリート構造物8は、複数の場所打ちコンクリート杭81よりなる杭基礎構造物であり、場所打ちコンクリート杭81は、地中を掘削して地中孔1を構築した後、この地中孔1に水中コンクリートを打設することにより構築される。
そして、水中コンクリートが打設される前の地中孔1には、図2で示すように、孔壁2の崩壊を防止するべく安定液3が充填されている。なお、安定液3は、主材をベントナイトとするベントナイト系安定液、もしくは主材をポリマーとするポリマー系安定液のいずれであってもよい。
安定液3は、地中孔1に供給されると孔壁2から地盤内に浸透し、土粒子の間に安定液3に含有されているベントナイトが付着することにより、孔壁2にマッドケーキを形成する。このような孔壁2にマッドケーキを形成する性能、いわゆる造壁性能を有することで、マッドケーキを介して安定液3の液圧を孔壁2に作用させることができる。これにより、安定液3は、地盤側の土圧や水圧に抵抗して孔壁2の崩壊を防止し、孔壁2の安定性を確保する。
一方で、安定液3は、掘削土砂の排出媒体としても機能するものであり、地中掘削機4による地盤の掘削により生じた掘削土砂とともに揚泥される。揚泥された安定液3は、掘削土砂が混入されることにより性状が変化して劣化が進行しやすい状態となっていることから、図3で示すように、再生処理設備5に供給されて、機能を回復するための物理的処理および再生調合等の再生処理が実施される。
なお、再生処理設備5は一般に、掘削土砂が混入された安定液3から掘削土砂を分離する土砂分離装置51、掘削土砂が分離された安定液3を貯留する貯留槽52、貯留槽52に貯留された安定液3の再生調合を行う調合装置53を備えている。
土砂分離装置51は、例えば、掘削土砂を重力により沈降させる沈殿槽や、機械的に掘削土砂を分離する振動式マッドスクリーン、サイクロン、スクリューデカンタ等が装備されている。また、調合装置53は、安定液3に補充する材料を添加するとともに混合撹拌するための装置が備えられている。
したがって、地中孔1に供給された安定液3は、地中孔1より揚泥されたのち、混入した掘削土砂を土砂分離装置51にて分離する物理的処理、分散剤等を使用した化学的処理、および再生調合等の再生処理が実施される。こうして、孔壁2の安定確保や掘削土砂の排出媒体等の機能が回復された安定液3は、循環使用されるべく再度地中孔1に供給される。
しかし、安定液3には、物理的処理時に用いる土砂分離装置51でも除去できない程度の微細粒分が残留する。また、地中コンクリート構造物8を構築する場合には、以下の工程において化学的劣化が進行しやすい。
まず、図2で示すように、地中孔1の口元付近の保護として流動化処理土6が充填されている場合や地下水7に海水が混ざっているような地盤に対して、安定液3を供給しつつ地盤を掘削して地中孔1を構築する場合、安定液3に流動化処理土や掘削土砂、地下水等が混入するだけでなく、これらから溶出されるCa成分やNa成分も安定液3に混入しする。
これにより、安定液3がゲル化した状態となり、その凝集物が地中孔1の孔壁2に付着したり、孔底に沈殿する。このため、構築後の地中孔1に水中コンクリートを打設すると打設不良を引き起こしやすい。
また、構築後の地中孔1に水中コンクリートを打設すると、安定液3が水中コンクリートの表面と接触するため、この接触面近傍において、コンクリートのCa成分と安定液3中に含まれるベントナイトのマイナスイオンとによる化学反応が生じる。すると、安定液3中にフロッグが生じやすい状態となり、これらフロッグが、地中孔1に据え付けられた場所打ちコンクリート杭を構成する鉄筋籠に付着する。これにより、水中コンクリートと鉄筋籠との間に、付着不良が生じかねない。
このように、ゲル化したりフロッグを生じる状態となった安定液3は、その性状が低下し品質が劣化した状態となっている。したがって、劣化した安定液3をそのまま循環使用しても、本来の機能である、孔壁2の崩落を防止する機能、および水中コンクリートを打設するための置換流体としての機能を十分満足できない事態が生じる。このため、施工期間中の安定液3は、あらかじめ設定された管理項目および品質管理基準に基づいて適時、品質管理試験が行われている。
管理項目としては、ろ過水量、粘性、比重、砂分率およびpHが一般に知られている。なかでも、ろ過水量は、先にも述べた孔壁2の崩落防止に寄与する造壁性能を評価する項目であり、ろ過水量が経時的に増加傾向を示す場合には、凝集等に起因する安定液3の劣化により、造壁性能の低下が進行していると推定される。
しかし、ろ過水量を用いた凝集に起因する劣化状態の管理作業は、ろ過試験器が高額であるだけでなく、作業が煩雑であるとともに試験に時間を要することが知られている。このため、劣化状態の変動を早期の段階で捉えることができるよう、迅速に試験を行ったり高頻度で試験を実施する等の、対策を講じることが困難である場合が多い。
このような中、発明者らは鋭意検討の結果、ろ過水量と比較して簡略な試験にて迅速に測定することの可能な見かけ粘度が、安定液3のろ過水量との間に相関性を有するとの知見を得た。ここで、見かけ粘度は、安定液3の品質管理の標準的な管理項目にて粘性として計測されるファンネル粘度とは、全く異なる指標である。
つまり、見かけ粘度とは、ずり応力がずり速度に比例しない液体、いわゆる非ニュートン流体の流動特性を把握する際に用いられる指標で、ずり応力をこれに対応するずり速度で除した値である。なお、ずり応力とは、液体の流れに平行な平面の単位面積当たりの内部摩擦力をいい、ずり速度とは、流体の流れに垂直な方向の速度勾配をいう。
これら安定液3におけるろ過水量と見かけ粘度との相関関係を検証するべく、以下の手順により室内実験を実施した。
まず、安定液3を供給する地中孔1が構築される地盤に対して地盤調査を実施し、柱状図を作成するとともに粒度分布図を作成して、地盤を構成している土粒子の粒径と質量の関係を把握する。この後、粒度分布図に基づいて地盤と近似する土砂を選定し、地盤の土質サンプルを作製する。
次に、安定液3を供給しつつ地中孔1を構築する際に、安定液3中に混入することが予測される掘削土砂の予測混入量を算出し、施工計画に基づいて作液した安定液3に、予測混入量に相当する量だけ土質サンプルを混入する。
ここで、掘削土砂の予測混入量は、地中掘削機4による掘削にて生じる掘削土量に対する、当該掘削土量と地中掘削機4の土砂収納量との差の割合を表した、予測土砂混入率から推定する。
例えば、本実施の形態では地中掘削機4に、図4で示すような、掘削刃を備えた円錐部41とサイドカッター43を備えた円柱部42よりなる、いわゆる掘削バケットを採用している。この地中掘削機4にて地盤を掘削すると地中孔1の孔径R1は、円柱部42の直径とサイドカッター43の突出量を足し合わせた大きさとなる
したがって、地中掘削機4にて地盤を掘削した際の掘削土量は、上記の直径R1の円柱の外容積と前述した円錐部41の外容積を足し合わせた量となる。一方、地中掘削機4は、円柱部42と円錐部41の内方に土砂収納部を有しているから、土砂収容量は、円柱部42の内容積と円錐部41の内容積を足し合わせた量となる。これらの数量を用いることにより、予測土砂混入率を算定して想定される掘削土量から土砂の予測混入量を推定すればよい。
この後、地盤中に流動化処理土6が存在する場合や安定液3が水中コンクリートと接触した場合等を想定し、上記のとおり予測混入量に相当する量だけ土質サンプルを混入させた安定液3に、Ca成分を添加する。本実施の形態では、土質サンプルを混入させた安定液3の試料を10体だけ準備し、セメント添加率を0.1%から1.0%まで0.1%ずつ増加するよう、10種類のセメント系固化材を各々に添加する。
次に、10種類のセメント系固化材を添加された安定液3各々の、ろ過水量と見かけ粘度を測定する。なお、ろ過水量の測定は、従来より実施されているろ過試験器を用いたろ過試験にて実施すればよい。
一方、見かけ粘度の測定は、図8(a)で示すような、B型粘度計(単一円筒形回転粘度計:ブルックフィールド型粘度計)11を用いたB型粘度測定試験にて実施する。B型粘度測定試験は、液体試料100中でB型粘度計11の円筒または円盤等のローター112を回転させたとき、ローター112に働く液体試料100の粘性抵抗トルクを測定する試験であり、見かけ粘度(B型粘度)は、このトルク値と所定の係数に基づいて粘度値に換算したものである。
なお、見かけ粘度の測定は、B型粘度測定試験に限定されるものではない。例えば、円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)や共軸二重円筒形回転粘度計(クェット型粘度計)を用いた測定試験等、安定液3の見かけ粘度を測定できる測定試験方法であれば、いずれの手法を採用してもよい。
上記のセメント添加率を変化させた10種類の安定液3各々から測定したろ過水量と見かけ粘度(B型粘度)をプロットしたグラフの一例を、図5に示す。これを見ると、安定液3へのセメント添加率が増加するにつれて、つまりCa成分の混入量が増加するにつれて、安定液3のろ過水量と見かけ粘度(B型粘度)が共に上昇しており、両者の間には高い相関性があることがわかる。
そこで、本実施の形態では安定液3について、見かけ粘度(B型粘度)を用いて凝集に起因する劣化状態を管理することとし、見かけ粘度(B型粘度)が経時的に上昇傾向を示した場合に、安定液3において凝集に起因する劣化が進行しているものと推定することとした。
そして、一般的な安定液3の品質管理方法では、ろ過水量の管理基準値を30mlに設定し、ろ過水量の実測値がこれら管理基準値を上回った場合に、安定液3は造壁性能を喪失したものと判定される。このため、ろ過水量30mlに対応する見かけ粘度(B型粘度)を見かけ粘度管理値に設定し、安定液3を管理することとした。
以下に、上述する見かけ粘度(B型粘度)を用いて安定液3の凝集に起因する劣化状態の管理を行う、安定液3の品質管理方法を説明する。
なお、本実施の形態では、図1で示すように、地中コンクリート構造物8の構築対象領域に複数の場所打ちコンクリート杭81を構築するにあたり、複数の場所打ちコンクリート杭81のうち、施工初期段階において全体の15%程度を、また、施工中期段階において全体の40〜60%程度を構築する場合を事例とする。
<前処理工程>
前述した方法にて、地中コンクリート構造物8の構築を予定している地盤に対して地盤調査を行って、土質サンプルを作製するとともに掘削土砂の予測土砂混入率を算定しておく。そのうえで、施工計画に基づいて作液された安定液3に予測混入量に相当する量だけ土質サンプルを混入させ、セメント系固化材を添加してろ過水量と見かけ粘度(B型粘度)を測定し、両者の関係からろ過水量30mlに対応する見かけ粘度管理値を設定する。
なお、本実施の形態では、安定液3に土質サンプルを混入するに際し、先に算定した予測土砂混入率に相当する量だけでなく、施工中期に相当する時点で、循環使用することにより安定液3中に蓄積することが予測される量の微細粒分を混入している。これにより、安定液3の凝集に起因する劣化状態に係る品質管理が、過剰管理となることを防止している。
図5を見ると、ろ過水量が30mlのときの見かけ粘度(B型粘度)が45mpasであることから、この数値を見かけ粘度管理値に設定する。そして、適時取得した安定液3の見かけ粘度実測値が45mpasを超えないよう、安定液3を管理する。なお、見かけ粘度(B型粘度)を測定するに際し、B型粘度計11のローター112は60rpmに設定している。
<地中コンクリート構造物の施工工程>
地中コンクリート構造物8は、以下の工程を経て施工される。つまり、地中孔1を構築した後、底浚いおよび一次スライム処理を行い、鉄筋籠の建込むとともにトレミー管の建込み、トレミー管を介して水中コンクリート打設して養生し、場所打ちコンクリート杭81を構築する工程を、構築予定の場所打ちコンクリート杭81の数量だけ繰り返す。
そして、安定液3の品質管理は、上記の工程のうち一次スライム処理後の安定液3に対して適時実施する。地中孔1に供給された安定液3は、一次スライム処理の工程において、スライム処理機(図示せず)の安定液排出口を介して地上に揚泥され、再生処理設備5に供給される。そこで、安定液排出口を介して地上に揚泥された安定液3から試料を採取し、この試料を用いて安定液3の凝集に起因する劣化状態を把握する。
<施工初期段階>
施工初期段階、つまり複数の場所打ちコンクリート杭81のうち全体の15%程度を構築するまでの間は、B型粘度測定試験を複数回行って見かけ粘度実測値を取得し、凝集に起因する劣化状態を管理するだけでなく、経時変化を捉える。
具体的には、見かけ粘度実測値が、前処理工程で設定した見かけ粘度管理値を超えておらず、かつ経時的な変動が認められない場合には、安定液3が健全な状態にあるものと判断し、再生調合を実施することなくそのまま循環使用する。
また、見かけ粘度実測値が見かけ粘度管理値を超えていないものの、経時的に増加傾向にある場合、安定液3において凝集に起因する劣化が進行しているものと推定できる。したがって、見かけ粘度管理値を超える手前の段階で、貯留槽52に貯留された安定液3を調合装置53に供給し、分散剤や炭酸ソーダ等の添加剤を添加する等の再生調合を行って、安定液3の再生処理を行う。
一方、見かけ粘度実測値が、見かけ粘度管理値を超えている場合には、凝集に基づく劣化の進行により、安定液3において造壁性能が喪失しているものと推定できる。したがって、上述するような安定液3の再生処理を実施するものの、再生処理を行っても機能回復が見込めない場合には、安定液3を循環利用することなく廃棄処分とする。
施工初期段階で、見かけ粘度実測値を2回測定した結果を示す図6のグラフをみると、見かけ粘度実測値はいずれも、15mpasと35mpasで見かけ粘度管理値を超えていない。これにより、安定液3は造壁性能の喪失に至っていないものの、凝集に起因する劣化が進行している様子がわかる。したがって、安定液3の再生処理を行い、上述の方法にて安定液3の性状改善を図るとよい。
<施工中期段階>
施工中期段階、つまり複数の場所打ちコンクリート杭81のうち全体の40〜60%程度を構築するまでの間は、施工初期段階と同様に、B型粘度測定試験による見かけ粘度実測値を取得して、凝集に起因する劣化状態の管理と、経時変動の把握を行うだけでなく、ろ過試験によるろ過水量の測定も実施する。
これは、見かけ粘度(B型粘度)を用いて安定液3の凝集に起因する劣化状態を管理する品質管理方法の信頼性を確保するべく、前処理段階で設定した見かけ粘度管理値が、ろ過水量の管理規定値に対応していることを確認するためである。
施工中期段階で、見かけ粘度実測値およびろ過水量を5回測定した結果を示す図7のグラフを見ると、少なくとも見かけ粘度実測値が40mpasのときにろ過水量が約35mlを示しており、前処理段階で設定した見かけ粘度管理値45mpasが、ろ過水量の管理基準値30mlに対応していない可能性が高い。
そこで、安全を考慮して見かけ粘度管理値の見直しを図ることとし、以降の施工中期段階では、見かけ粘度管理値を40mpasとした。なお、B型粘度測定試験およびろ過試験を複数回行ったすべての結果において、見かけ粘度実測値が45mpas以下の場合においてろ過水量が30mlに満たない場合には、見かけ粘度管理値の修正は不要である。
<施工後期段階>
施工後期段階では、すべての場所打ちコンクリート杭81の施工が終了するまで施工初期段階と同様に、B型粘度測定試験を複数回行って見かけ粘度実測値を取得し、凝集に起因する劣化状態の管理と、経時変動を把握する。なお、見かけ粘度管理値は、施工中期段階で見直しを図った数値を採用する。
上記の通り、安定液3の品質管理方法に、見かけ粘度(B型粘度)を用いることにより、ろ過水量を用いる場合と比較して、簡略な試験で迅速、かつ経済的に安定液3の凝集に起因する劣化状態を把握することが可能となる。
また、見かけ粘度(B型粘度)を測定するための試験方法が簡略かつ経済的であることにより、見かけ粘度実測値が経時的に増加している場合には、測定期間の間隔を狭めるなどして見かけ粘度実測値のモニタリング頻度を高めることもできる。こうすると、安定液3の凝集に起因する劣化状態の変動を早期の段階で捉えることができるため、適切な再生処理を施して安定液3の性状改善を図り、見かけ粘度管理値を超えるような劣化を未然に防ぐことが可能となる。
これにより、廃棄処分となる安定液3を大幅に低減できるとともに、安定液3の長寿命化を図ることができ、安全かつ経済的に安定液3を利用して地中コンクリート構造物8の構築を実施することが可能となる。
本発明の安定液3の品質管理方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、施工初期段階では見かけ粘度実測値を2回取得し、施工中期段階では5回にわたって見かけ粘度実測値およびろ過水量を測定した。しかし、必ずしも測定回数はこれに限定されるものではない。特に、施工中期段階では、これらの測定を毎月実施してもよいし、場所打ちコンクリート杭81を構築するごとに1体ずつ行ってもよい。
また、本実施の形態では、地中コンクリート構造物8に複数の場所打ちコンクリート杭81を備えた杭基礎構造物を採用したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、地中連続壁等、地盤中に構築される場所打ちコンクリート造の構造物であれば、いずれの地中コンクリート構造物8であってもよい。
さらに、見かけ粘度(B型粘度)を測定するためのB型粘度試験は、一般に、図8(a)で示すように、規格ビーカー12に試料100を500ml注入する。その後、B型粘度計11に備えた浸漬マーク111の間に試料100の液面が位置するまで、B型粘度計11に備えたローター112を挿入し、測定を開始する。
この試験方法は、規格ビーカー11に注入された液体試料100が、深さ方向に一様な濃度を示す液体である場合を想定した方法である。したがって、規格ビーカー12の底部とローター112の先端との間に、大きな間隔が生じることから、安定液3のように規格ビーカー11に注入した後、時間の経過につれて高さ方向に濃度の変化が生じるような材料である場合、必ずしも見かけ粘度(B型粘度)を測定するに最適な試験方法とは言えない。
そこで、B型粘度計11に備えたガイドレール113が、規格ビーカー12の底部に近接するまでローター112を安定液3に挿入するべく、規格ビーカー12への安定液3の注入量を従来の500mlより減少させる。例えば、図8(b)で示すように、B型粘度計11のローター112を挿入して浸漬マーク111に安定液3の液面が位置した時に、液面が450mlとなる量の安定液3を規格ビーカー12に注入する。
こうすると、B型粘度計11のローター112が規格ビーカー12の底部近傍まで挿入されるため、ローター112の回転により規定ビーカー12内の安定液3全体が均一に撹拌され、より正確な見かけ粘度(B型粘度)を測定することが可能となる。
1 地中孔
2 孔壁
3 安定液
4 地中掘削機
41 円錐部
42 円筒部
43 サイドカッタ
5 再生処理装置
51 土砂分離装置
52 貯留槽
53 調合装置
6 流動化処理土
7 地下水
8 地中コンクリート構造物
81 場所打ちコンクリート杭
11 B型粘度計
111 浸漬マーク
112 ローター
113 ガイドレール
12 規格ビーカー
100 液体試料

Claims (3)

  1. 安定液を利用して地盤中に地中コンクリート構造物を構築する際の、安定液の品質管理方法であって、
    前記地中コンクリート構造物を構築しつつ前記安定液の見かけ粘度を測定することにより、見かけ粘度実測値を適時取得し、
    該見かけ粘度実測値に基づいて、前記安定液の凝集に起因する劣化状態を管理することを特徴とする安定液の品質管理方法。
  2. 請求項1に記載の安定液の品質管理方法において、
    前記安定液にCa成分が混入した際の、ろ過水量と前記見かけ粘度の関係をあらかじめ把握しておき、
    前記ろ過水量の品質管理基準値に対応する前記見かけ粘度を、見かけ粘度管理値に設定し、
    該見かけ粘度管理値と前記見かけ粘度実測値とを比較することにより、前記安定液の凝集に起因する劣化状態を管理することを特徴とする安定液の品質管理方法。
  3. 請求項1または2に記載の安定液の品質管理方法において、
    前記見かけ粘度実測値を、B型粘度測定試験にて測定することを特徴とする安定液の品質管理方法。
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