JP2016011378A - 地下層処理用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維を含有する地下層処理用組成物を、地下層の処理のために用いる泥水に配合する。本発明はまた、坑井処理の際に用いられる種々の流体を提供する。本発明はさらに、地下層の処理方法、例えば試掘井、評価井、探鉱井、探掘井、開発井、生産井、圧入井、観測井、サービス井等の掘削;セメンチング;フラクチャリング;ならびに石油資源の生産方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明の課題は、耐塩性の高い、優れた止水性を有する地下層処理用組成物を提供することにある。
[1] カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維を含有する、地下層処理用組成物。
[2] 微細セルロース繊維の繊維幅が200nm以下である、1に記載の組成物。
[3] アルカリ性の地下層処理用流体に添加して使用するための、1または2に記載の組成物。
[4] 耐塩性を有する、1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
[5] 止水性を有する、1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
[6] フラクチャリング流体、泥水、セメンチング流体、 ウェルコントロール流体(well control fluid)、ウェルキル流体(well kill fluid)、酸フラクチャリング流体(acid fracturing fluid)、酸分流流体(acid diverting fluid)、刺激流体(stimulation fluid)、サンドコントロール流体(sand control fluid)、仕上げ流体(completion fluid)、ウェルボーン石化流体(wellbore consolidation fluid)、レメディエーション処理流体(remediation treatment fluid)、スペーサー流体(spacer fluid)、掘削流体(drilling fluid)、フラクチャリングパッキング流体(frac-packing fluid)、水適合流体(water conformance fluid)、または砂利パッキング流体(gravel packing fluid)に添加して使用するための、1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
[7] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含み、セルロース繊維の固形分濃度が0.05〜2質量%である、地下層処理用流体。
[8] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物、ならびに加重材、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、逸泥防止剤、pH制御剤、摩擦低減剤、水和膨張制御剤、乳化剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、温度安定剤、樹脂コート剤、亀裂支持材、塩、およびプロパントからなる群から選択されるいずれかを含む、地下層処理用流体。
[9] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物、およびアニオン性の添加剤を含む、地下層処理用流体。
[10] アニオン性の添加剤が鉱物である、9に記載の地下層処理用流体。
[11] フラクチャリング流体、泥水またはセメンチング流体である、7〜10のいずれか1項に記載の流体。
[12] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物、または7〜11のいずれか1項に記載の流体を用いる、地下層の処理方法。
[13] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物、または7〜11のいずれか1項に記載の流体を用いる、石油資源の生産方法。
[14] カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維の水分散液を流体に添加する工程を含む、地下層処理用流体の製造方法。
[15] 微細セルロース繊維の分散液を濃縮、または乾燥させ、得られた濃縮液または乾燥物を水系溶媒に再分散させて再分散液を得る工程を含む、1〜7のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
[16] 濃縮が、濃縮剤および/または乾燥機により実施される、15に記載の製造方法。
[1] カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維を含有する組成物の、地下層の処理における使用。
[2] 微細セルロース繊維の繊維幅が200nm以下である、1に記載の使用。
[3] 組成物をアルカリ性の地下層処理用流体に添加して使用する、1または2に記載の使用。
[4] 組成物が耐塩性を有する、1〜3のいずれか1項に記載の使用。
[5] 組成物が止水性を有する、1〜4のいずれか1項に記載の使用。
[6] 組成物を、フラクチャリング流体、泥水、セメンチング流体、 ウェルコントロール流体(well control fluid)、ウェルキル流体(well kill fluid)、酸フラクチャリング流体(acid fracturing fluid)、酸分流流体(acid diverting fluid)、刺激流体(stimulation fluid)、サンドコントロール流体(sand control fluid)、仕上げ流体(completion fluid)、ウェルボーン石化流体(wellbore consolidation fluid)、レメディエーション処理流体(remediation treatment fluid)、スペーサー流体(spacer fluid)、掘削流体(drilling fluid)、フラクチャリングパッキング流体(frac-packing fluid)、水適合流体(water conformance fluid)、または砂利パッキング流体(gravel packing fluid)に添加して使用する、1〜5のいずれか1項に記載の使用。
[7] 1〜6のいずれか1項に定義された組成物の、地下層処理用流体における使用であって、流体中のセルロース繊維の固形分濃度が0.05〜2質量%である、使用。
[8] 1〜6のいずれか1項に定義された組成物の、加重材、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、逸泥防止剤、pH制御剤、摩擦低減剤、水和膨張制御剤、乳化剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、温度安定剤、樹脂コート剤、亀裂支持材、塩、およびプロパントからなる群から選択されるいずれかとの、地下層処理用流体における使用。
[9] 1〜6のいずれか1項に定義された組成物と、アニオン性の添加剤との、地下層処理用流体における使用。
[10] アニオン性の添加剤が鉱物である、9に記載の使用。
[11] 流体が、フラクチャリング流体、泥水またはセメンチング流体である、7〜9のいずれか1項に記載の使用。
[1] カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維を含有する組成物で、地下層を処理する、地下層の処理方法。
[2] 微細セルロース繊維の繊維幅が200nm以下である、1に記載の方法。
[3] 組成物をアルカリ性の地下層処理用流体に添加して使用する、1または2に記載の方法。
[4] 組成物が耐塩性を有する、1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[5] 組成物が止水性を有する、1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[6] 組成物を、フラクチャリング流体、泥水、セメンチング流体、 ウェルコントロール流体(well control fluid)、ウェルキル流体(well kill fluid)、酸フラクチャリング流体(acid fracturing fluid)、酸分流流体(acid diverting fluid)、刺激流体(stimulation fluid)、サンドコントロール流体(sand control fluid)、仕上げ流体(completion fluid)、ウェルボーン石化流体(wellbore consolidation fluid)、レメディエーション処理流体(remediation treatment fluid)、スペーサー流体(spacer fluid)、掘削流体(drilling fluid)、フラクチャリングパッキング流体(frac-packing fluid)、水適合流体(water conformance fluid)、または砂利パッキング流体(gravel packing fluid)に添加して使用する、1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[7] 1〜6のいずれか1項に定義された組成物を含み、セルロース繊維の固形分濃度が0.05〜2質量%である流体で、地下層を処理する、地下層の処理方法。
[8] 1〜6のいずれか1項に記載の組成物、ならびに加重材、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、逸泥防止剤、pH制御剤、摩擦低減剤、水和膨張制御剤、乳化剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、温度安定剤、樹脂コート剤、亀裂支持材、塩、およびプロパントからなる群から選択されるいずれかを含む流体で、地下層を処理する、地下層の処理方法。
[9] 1〜6のいずれか1項に定義されたの組成物、およびアニオン性の添加剤を含む流体で、地下層を処理する、地下層の処理方法。
[10] アニオン性の添加剤が鉱物である、9に記載の地下層の処理方法。
[11] 流体が、フラクチャリング流体、泥水またはセメンチング流体である、7〜10のいずれか1項に記載の方法。
範囲「X〜Y」は、両端の値を含む。「%」は、特に記載した場合を除き、質量に基づく割合を表す。
本発明においては、セルロース原料を化学的処理および解繊処理することによって得られる、カチオン基を有する微細セルロース繊維を使用することができる。
セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましいが、特に限定されない。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)が挙げられる。また、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましいが、特に限定されない。セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
セルロース原料の化学的処理の方法は、微細繊維を得ることができる方法である限り特に限定されない。例えば、セルロースまたは繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられるがこれらに限定されない。
(カチオン化反応工程)
本実施形態におけるカチオン化反応工程は、パルプにカチオン化剤およびアルカリ化合物を添加して反応させて、カチオン化パルプを得る工程である。具体的には、パルプに含まれるセルロースのヒドロキシ基にカチオン化剤をアルカリ化合物共存下で反応させて、カチオン化パルプを得る。
カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としては、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
アルカリ化合物の量はアルカリ化合物の種類に応じて異なるが、例えば、パルプ絶乾質量に対して1〜10質量%の範囲内とされる。
カチオン化反応時のパルプの固形分濃度を前記範囲にするためには、例えば、固形分濃度が高い(すなわち、水分が少ない)パルプを用いればよい。また、カチオン化剤およびアルカリ化合物の溶液に含まれる溶媒量を少なくすることが好ましい。
カチオン化反応の時間は、パルプやカチオン化剤の種類、パルプ固形分濃度、反応温度等によって異なるが、通常、0.5〜3時間の範囲内である。
洗浄工程は、カチオン化パルプを洗浄して、残留したカチオン化剤およびアルカリ化合物やパルプの分解物を除去する工程である。
具体的に、洗浄工程では、パルプを洗浄するために通常使用される各種洗浄機、例えば、フィルター洗浄機、ドラム洗浄機、ベルト洗浄機、ディフューザー洗浄機、フィルタープレス、スクリュープレスなどを用いることができる。これらのうちでも、洗浄後の脱水性に優れることから、フィルタープレス、スクリュープレスなどのプレス洗浄機が好ましい。
酸添加工程は、洗浄工程において洗浄したカチオン化パルプに酸を添加して作用させる工程である。酸添加工程を有すると、微細化工程における解繊性がより高くなって、微細セルロース繊維の収率がより高くなる。
カチオン化パルプに添加する酸は無機酸であってもよいし、有機酸であってもよい。 無機酸の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸等のカルボン酸、およびメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸等のスルホン酸等が挙げられる。 酸添加工程によってカチオン化パルプのpHを1〜9にすることが好ましく、3〜5にすることがより好ましい。pHを前記上限値以下にすると、酸添加による解繊性向上効果をさらに向上させることができる。また、pHを前記上限値以下にすると、酸の添加量が多くなり、セルロースに導入されたカチオン基に、酸を形成するアニオンが対イオンとして付加しやすくなる。セルロースに導入されたカチオン基に、酸を形成するアニオンが付加すると、セルロース同士の静電的な反発力がより大きくなり、その点からも、解繊性がより高くなると思われる。
一方、pHを前記下限値未満にすると、微細化に使用する装置を腐食させるおそれがある。
また、酸添加工程において、過剰の酸を加えた場合は、後述する微細化工程の前に、もう一度洗浄工程を含んでもよい。
前記で得られた化学的処理した微細繊維を、解繊処理工程で解繊処理することができる。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。
希釈するための分散媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物が挙げられる。
上記実施形態の製造方法では、洗浄工程、酸添加工程を有していたが、洗浄工程、酸添加工程は任意の工程であり、少なくとも一方を省略しても構わない。すなわち、カチオン化工程の後に微細化工程をおこなってもよいし、洗浄工程の後に微細化工程をおこなってもよいし、カチオン化工程の後に酸添加工程をおこなってもよい。
本発明に用いるセルロース繊維におけるカチオン基の導入量は特に限定されない。セルロース繊維1g(乾燥重量)当たり、例えば0.1〜2.0mmol/gとすることができ、0.15〜1.8mmol/gが好ましい。このような量であれば、高塩濃度の地下層処理用流体に添加した場合においても凝集が抑制され、分散された状態を保つことができるからである。なお、カチオン基の導入量は、セルロース繊維に含まれる窒素量を、微量窒素分析装置(例えば、ダイアインスツルメンツ製 TN-110)を用いて測定することで定量することができる。この場合、単位質量あたりのカチオン基物質量(mmol/g)は、カチオン基を含有する微細セルロース繊維1gあたりの窒素含有量(g)をカチオン基に含まれる窒素原子数と窒素の原子量で除することで求められる。
前記で得られたカチオン基を有する微細セルロース繊維を含有する地下層処理用組成物は、高い耐塩性を有し、優れた止水性を有する。
地下層処理用組成物が耐塩性を有するとは、塩を含んだ坑井処理流体と混合した場合に、流体の粘度を維持できることをいう。維持される泥水の粘度は、下記の方法で測定した際の測定値が、850mPa・s以上であることをいう。粘度は、好ましくは950mPa・s以上であり、より好ましくは20000mPa・s以上である。
繊維固形分が0・4質量%となるように水で希釈し、希釈液1000mLに対してベントナイト(例えば、クニゲルV1、クニミネ工業株式会社)を50g添加して十分に攪拌後、静置し、十分に水和した泥水を作液する。次いで、NaCl 15質量%、CaCl2 2質量%となるように添加し、さらに水酸化ナトリウムをpH12になるように添加し、繊維固形分が0・4質量%の、高塩濃度・アルカリ性の泥水得る。得られた液について、25℃にてB型粘度計(例えば、BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて、回転数3rpm(3分)で粘度を測定する。
上述の、繊維固形分が0・4質量%の高塩濃度・アルカリ性の泥水200mLを、25℃にてAPI規格による濾過試験器を使用して、室温下で30分間、3kg/cm2Gの加圧を行ったときの濾水量を測定する。
<組成物としての用途>
本発明の、カチオン基を有する微細セルロース繊維を含有する地下層処理用組成物(単に、「本発明の微細セルロース繊維を含有する地下層処理用組成物」または「本発明の組成物」ということもある。)は、流体に添加することにより流体の特性を種々に改変しうるので、そのような特性を活かした種々の目的において使用することができる。本発明の微細セルロース繊維を含有する組成物の使用目的(用途)は、地下層処理に関連する限り、特に限定されないが、例えば下記を挙げることができる。
本発明の組成物は、上述のように、増粘、逸泥防止、脱水調節、乳化、坑壁形成、セメンチング調節のために使用でき、また温度、酸、アルカリ、塩に対して耐性があるため、地下層処理、例えば、坑井掘削において使用される各種の流体に添加して使用することができる。このような流体には、フラクチャリング流体、泥水、セメンチング流体、ウェルコントロール流体(well control fluid)、ウェルキル流体(well kill fluid)、酸フラクチャリング流体(acid fracturing fluid)、酸分流流体(acid diverting fluid)、刺激流体(stimulation fluid)、サンドコントロール流体(sand control fluid)、仕上げ流体(completion fluid)、ウェルボーン石化流体(wellbore consolidation fluid)、レメディエーション処理流体(remediation treatment fluid)、スペーサー流体(spacer fluid)、掘削流体(drilling fluid)、フラクチャリングパッキング流体(frac-packing fluid)、水適合流体(water conformance fluid)、砂利パッキング流体(gravel packing fluid)等が含まれる。
本発明により提供される流体は、本発明の微細セルロース繊維を含有する組成物のほか、従来の地下層処理のための流体に添加される各種の成分を含有し得る。添加される成分の例として、鉱物、加重材、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、逸泥防止剤、脱水調節剤、pH制御剤、摩擦低減剤、水和膨張制御剤、乳化剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、温度安定剤、樹脂コート剤、亀裂支持材、塩およびプロパントを挙げることができるが、これらに限定されない。また、添加される成分は、一種のみならず、二種以上であってもよい。
好ましい実施態様の一つは、本発明の微細セルロース繊維を含有する組成物を含む、坑井掘削の際に使用される泥水である。泥水におけるセルロース繊維の含有量は、意図した効果が発揮される限り特に限定されない。泥水は、セルロース繊維を固形分濃度で(セルロース繊維の総量として)、例えば0.004〜40質量%含有し、0.04〜4質量%含有することが好ましく、0.08〜2質量%含有することがより好ましい。
好ましい実施態様の一つは、本発明の微細セルロース繊維を含有する組成物を含む、水圧破砕において使用されるフラクチャリング流体である。フラクチャリング流体は地層の崩壊を防ぐため、高濃度の塩が添加されている。さらにグァーガム等の増粘剤の架橋反応を促進するため、高アルカリ性に調整されることがある。本発明の微細セルロース繊維は耐塩性、耐アルカリ性に優れるため、フラクチャリング流体には好適である。フラクチャリング流体におけるセルロース繊維の含有量は、意図した効果が発揮される限り特に限定されない。フラクチャリング流体は、セルロース繊維を固形分濃度で(セルロース繊維の総量として)、例えば0.002〜20質量%含有し、0.02〜2質量%含有することが好ましく、0.04〜1質量%含有することがより好ましい。
好ましい実施態様の一つは、本発明の微細セルロース繊維を含有する組成物を含む、セメンチング流体である。セメンチング流体におけるセルロース繊維の含有量は、意図した効果が発揮される限り特に限定されない。セメンチング流体は、セルロース繊維を固形分濃度で(セルロース繊維の総量として)、例えば0.001〜40質量%含有し、0.01〜20質量%含有することが好ましく、0.05〜5質量%含有することがより好ましい。
本発明はまた、本発明の組成物または上述の流体を用いた、地下層の処理方法を提供する。地下層(地層ということもある。)には、海底の地下層も含まれる。
・セメンチング:主として坑井を掘った後、ケーシングと坑壁との隙間にセメントを充填してケーシングを固定するために行われる。
・坑井調査、検層作業(well logging): これには、泥水検層が含まれる。泥水検層は、循環している掘削泥水中の、ガスや掘り屑を観察、分析するものであり、それにより油ガス層を早期に察知し、また掘削中の岩相を知ることができる。
・石油資源の回収:これには、水攻法(water flooding)、ケミカル攻法(chemical flooding)が含まれる。
・坑井刺激:坑壁や坑井周辺の貯留層の性状を改善し、生産性の向上を図ること等を目的に行われる。これには、塩酸等を用いて洗浄する、酸処理(acidizing)、貯留層に亀裂を生じさせて流体の流路を確保する水圧破砕(hydraulic fracturing、hydrofracturing、fracking)が含まれる。さらに、砂層からの生産の場合の、砂の坑井への流入や砂を含む流体がチュービングや設備に被害を与えることを防止するための、砂対策(sand control)、樹脂を含む流体を地下層に圧入して砂岩を固める樹脂強化(plastic consolidation)等が含まれる。
・水系泥水、油系泥水、ケミカル・フルイド(chemical fluid)またはブライン(brine))を用いた坑井仕上げ。
・浸透率の低いタイトな地下層に通り道(割れ目、フラクチャ)を作るための、高圧のフラクチャリング流体を使用したフラクチャリング。
・坑井改修(well workover)。
・廃坑処理。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を抄き上げたシート(固形分濃度90質量%)を絶乾質量で4.0g相当分取した。ハンドミキサー(大阪ケミカル製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20,000rpmで15秒処理して綿状のフラッフィングパルプ(固形分濃度90質量%)にした。
次いで、カチオン化剤(カチオマスターG、四日市合成株式会社製、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、純分73.1質量%、含水率20.2質量%)0.4gと1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液2.8gとを混合した。得られたカチオン化剤混合液を、スプレーを用いて、前記フラッフィングパルプに添加し、ポリ塩化ビニリデン製の袋の中に入れ、その袋を手で揉むことにより、混合液をパルプに均一に浸透させて、反応用試料を調製した。この反応用試料のpHは25℃で13であった。
その後、袋内の空気を除去し、80℃で1時間反応させて、カチオン化パルプを得た。 得られたカチオン化パルプに400mlのイオン交換水を加え、攪拌しながら洗浄した後、脱水した。その洗浄・脱水の処理を4回繰り返し、4回目の脱水の後、洗浄したカチオン化パルプに0.1N塩酸とイオン交換水を添加して、pH4、固形分濃度0.5質量%のカチオン化パルプ分散液を得た。 次いで、そのカチオン化パルプ分散液を、高速回転解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、カチオン化微細セルロース繊維1を得た。
カチオン化剤混合液を、カチオン化剤0.6gと1.3Nの水酸化ナトリウム水溶液3.2gとを混合して得たものに変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン化微細セルロース繊維2を得た。
カチオン化剤混合液を、カチオン化剤4.0gと1.3Nの水酸化ナトリウム水溶液3.2gとを混合して得たものに変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン化微細セルロース繊維3を得た。
カチオン化剤混合液を、カチオン化剤6.0gと1.3Nの水酸化ナトリウム水溶液3.2gとを混合して得たものに変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン化微細セルロース繊維4を得た。
カチオン化剤混合液を、カチオン化剤15.0gと1.3Nの水酸化ナトリウム水溶液15.0gとを混合して得たものに変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン化微細セルロース繊維5を得た。
製造例1で製造したカチオン化微細セルロース繊維1を含有する懸濁液を、繊維固形分濃度が0.4質量%となるように希釈した。希釈液1000mLに対してベントナイト(クニゲルV1、クニミネ工業株式会社)を50g添加して3000rpmで60分間攪拌後、24時間静置して十分に水和した泥水を作液した。その後、NaCl濃度が、15質量%、CaCl2濃度が、2質量%となるように添加し、水酸化ナトリウムをpH12になるように添加して、下記の方法(粘度の測定)で粘度を測定した。また、得られた泥水を用いて下記の方法(止水性試験)で濾水量を測定した。結果を表1に示す。
実験例1において、カチオン化微細セルロース繊維1の代わりに製造例2で製造したカチオン化微細セルロース繊維2を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。
実験例1において、カチオン化微細セルロース繊維1の代わりに製造例3で製造したカチオン化微細セルロース繊維3を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。
実験例1において、カチオン化微細セルロース繊維1の代わりに製造例4で製造したカチオン化微細セルロース繊維4を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。
実験例1において、カチオン化微細セルロース繊維1の代わりに製造例5で製造したカチオン化微細セルロース繊維5を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。
微細セルロース繊維の代わりにカルボキシメチルセルロース(500.0〜900.0 mPa・s(2 質量%、 溶媒:水、25 ℃)、東京化成工業株式会社)を添加して0.4質量%の希釈液を用いた以外は実験例1と同様の方法で試験した。
<カチオン基量の測定>
得られた泥水について、25℃にてB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3rpm(3分)で粘度を測定した。
得られた泥水200mLを25℃にてAPI規格による濾過試験器を使用して、室温下30分間、3kg/cm2Gの加圧を行ったときの濾水量を測定した。すなわち濾水量が少ないほど、止水性能が良好であるといえる。
Claims (16)
- カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維を含有する、地下層処理用組成物。
- 微細セルロース繊維の繊維幅が200nm以下である、請求項1に記載の組成物。
- アルカリ性の地下層処理用流体に添加して使用するための、請求項1または2に記載の組成物。
- 耐塩性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 止水性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 泥水、フラクチャリング流体、セメンチング流体、 ウェルコントロール流体(well control fluid)、ウェルキル流体(well kill fluid)、酸フラクチャリング流体(acid fracturing fluid)、酸分流流体(acid diverting fluid)、刺激流体(stimulation fluid)、サンドコントロール流体(sand control fluid)、仕上げ流体(completion fluid)、ウェルボーン石化流体(wellbore consolidation fluid)、レメディエーション処理流体(remediation treatment fluid)、スペーサー流体(spacer fluid)、掘削流体(drilling fluid)、フラクチャリングパッキング流体(frac-packing fluid)、水適合流体(water conformance fluid)、または砂利パッキング流体(gravel packing fluid)に添加して使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含み、セルロース繊維の固形分濃度が0.05〜2質量%である、地下層処理用流体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物、ならびに加重材、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、逸泥防止剤、pH制御剤、摩擦低減剤、水和膨張制御剤、乳化剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、温度安定剤、樹脂コート剤、亀裂支持材、塩、およびプロパントからなる群から選択されるいずれかを含む、地下層処理用流体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物、およびアニオン性の添加剤を含む、地下層処理用流体。
- アニオン性の添加剤が鉱物である、請求項9に記載の地下層処理用流体。
- フラクチャリング流体、泥水またはセメンチング流体である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の流体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物、または請求項7〜11のいずれか1項に記載の流体を用いる、地下層の処理方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物、または請求項7〜11のいずれか1項に記載の流体を用いる、石油資源の生産方法。
- カチオン基を0.15〜1.8mmol/g有する微細セルロース繊維の水分散液を流体に添加する工程を含む、地下層処理用流体の製造方法。
- 微細セルロース繊維の分散液を濃縮、または乾燥させ、
得られた濃縮物または乾燥物を水系溶媒に再分散させて再分散液を得る
工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。 - 濃縮が、濃縮剤および/または乾燥機により実施される、請求項15に記載の製造方法。
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