JP2003033975A - タイヤ用コード補強層の形成方法および装置 - Google Patents

タイヤ用コード補強層の形成方法および装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コード補強層のコードの、円周線分に対する
交角の変化等を簡単かつ容易に、しかも正確に実現す
る。 【解決手段】 回転支持体２の回動下で、コードストリ
ップ３を、その支持体２の軸線方向に変位させながら、
回転支持体の周面２ａ上にコードストリップ３を貼着す
るに当って、コードストリップ３を、上記周面２ａの一
側縁Ｅ１から他側縁Ｅ２まで貼着させる間に、支持体２
の周速と、コードストリップ３の変位速度との相対関係
を一回以上変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、少なくともタイ
ヤトレッド部に配設されるコード補強層、なかでも、補
強層コードの、タイヤ円周線分に対する交角を、それの
延在方向の一個所以上で変化させてなるまたは、それの
延在方向の全体にわたって前記交角を実質的に一定とし
てなるコード補強層の、正確にして簡易な形成を可能と
するタイヤ用コード補強層の形成方法および装置に関す
るものである。
【０００２】
【従来の技術】たとえば、タイヤのトレッド部に配設さ
れるベルト層のコードの、タイヤ円周線分に対する交角
を、ベルト層の幅方向中央域とそれぞれの側部域との間
で変化させる従来技術としては、特開平４−１９９６７
６号公報、特開平４−２７１４６４号公報等に開示され
たものがあり、コードの、ベルト層中央域における交角
を、側部域のそれより大きくする前者の提案技術では、
乗心地性能を悪化させることなく、耐偏摩耗性を高め、
高速耐久性を向上させることができるとしている。ま
た、上述したとは逆に、コードの、ベルト層側部域にお
ける交角を、中央域のそれより大きくする後者の提案技
術では、ベルトの発熱および転がり抵抗が低減できて燃
費が向上するとしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】このように、ベルト層
コードの、タイヤ円周線分に対する交角をその延在位置
によって変化させることには各種の利点があるものの、
現実には、生タイヤの成型工程または、ベルト層の予め
の形成工程において、ベルト層コードの円周線分交角を
所期した通りに正確に設定することは極めて困難であっ
た。
【０００４】この発明は、従来技術が抱えるこのような
問題点を解決することを課題とするものであり、それの
目的とするところは、コード補強層の、ベルト層コード
をも含む補強層コードの、所期した通りの角度変化等を
簡単かつ容易に、しかも正確に行わせることができるタ
イヤ用コード補強層の形成方法および装置を提供するに
ある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】この発明に係るタイヤ用
コード補強層の形成方法は、回転支持体を回動変位させ
るとともに、たとえば、被覆ゴム内に１〜２０本程度の
コードを平行に配設してなる所定長さのコードストリッ
プをその回転支持体の軸線方向に変位させながら、回転
支持体の周面上に直接的もしくは間接的にそのコードス
トリップを貼着配置して、少なくともタイヤトレッド部
に配設されるコード補強層を形成するに当って、コード
ストリップを、回転支持体の周面の一方の側縁から他方
の側縁まで貼着させる間に、回転支持体の周速、より正
確には、回転支持体上に予め積層成型等された最外層の
周速と、コードストリップの変位速度との相対関係を、
一回以上急激にまたは漸次に変化させるものである。
【０００６】ここで回転支持体は、製品タイヤの内周面
形状と対応する外周面形状を有する高剛性のコア、ベル
ト・トレッドバンドの成型のためのベルト・トレッドド
ラム、軸線方向の中央部分を膨出変形させることができ
るタイヤ成型ドラムとすることができ、このタイヤ成型
ドラムを回転支持体とするときは、中央部分を膨出変形
させた、カーカスバンド等のシェーピング状態下で、前
記コードストリップの貼着が行われることになる。
【０００７】また、コアを回転支持体とするときは、タ
イヤのトレッド部を横切って延びるカーカスプライの形
成を目的としてコードストリップが貼着される場合の
他、予め貼着配置されたカーカスの外周側に、ベルト層
の形成を目的として前記のゴムストリップが貼着される
場合がある。
【０００８】コード補強層のこのような形成方法に従え
ば、回転支持体の全周にわたってコードストリップを貼
着配置するためには、コードストリップの幅に応じた繰
り返しの貼着配置が必要となるも、各貼着配置に際して
は、コードストリップ内の全てのコードにつき、回転支
持体の周速と、コードストリップの変位速度との相対関
係の、所要に応じた選択に基づき、各コードの、タイヤ
円周線分に対する交角を、所要の位置で、所期した通り
に正確に変化等させることができるので、この方法を、
たとえばベルト層の形成に用いた場合には、従来技術で
いうような作用効果の確実なる発揮を十分に担保するこ
とができる。
【０００９】なおここで、上記相対関係を急激に変化さ
せる場合には、前記交角をもまた、所定の位置を境とし
て大きく変化させることができ、それを漸次に変化させ
る場合には、その交角を緩やかに変化させることができ
る。
【００１０】ところで、補強層コードの、上述したよう
な交角の変化は、回転支持体の周速と、コードストリッ
プの変位速度との相対関係の選択に基づいて所要に応じ
て行うことができ、この場合には、コード補強層の展開
姿勢で、コード補強層の中央域に延在するコード部分
の、タイヤ円周線分に対する交角を、コード補強層の両
側部部分に延在するコード部分のそれより大きくするこ
とも、小さくすることもできる。
【００１１】またとくに、横断面形状がクラウン部を有
する回転支持体、たとえば、高剛性のコア、シェーピン
グ姿勢のタイヤ成型ドラム等の周面上にコードストリッ
プを貼着させる場合には、上記相対関係の選択に基づい
て、コード補強層の展開姿勢で、コード補強層の中央域
に延在するコードの、タイヤ円周線分に対する交角を、
コード補強層の両側部部分に延在するコードのそれとほ
ぼ等しくすることもできる。
【００１２】すなわち、クラウン部を有する回転支持体
の周面に、その一側縁から他側縁にわたってコードスト
リップを貼着する場合には、回転支持体の周面に周速差
が存在するため、コードストリップの変位速度を一定と
したときは、半径距離が短くて周速の遅い側縁近傍部分
では前述したコード交角が大きくなり、周速の速い中央
部分ではコード交角が小さくなるところ、上記相対関係
の漸次の変化をもたらすことで、そのコード交角を、一
側縁から他側縁にわたって、容易にほぼ一定とすること
ができる。
【００１３】この発明に係るタイヤ用コード補強層の形
成装置は、供給されるコードストリップを所定の長さに
わたって間欠送りする定尺送り手段を設けるとともに、
間欠送りされたコードストリップの切断手段を設け、ま
た、切断されたコードストリップを、回動変位される回
転支持体の周面上へ送給する搬送手段および、この搬送
手段の先端にあって、コードストリップを回転支持体の
周面上に押圧する貼付ローラを設け、そして、これらの
それぞれの手段および貼付ローラを、回転支持体の軸線
方向に一体的に変位させる往復動手段を設けたものであ
る。
【００１４】これによれば、所定の長さに切断されたコ
ードストリップの、回転支持体周面への所要に応じた貼
着を、その回転支持体それ自体の回転速度と、上記往復
動手段による、構成各部の一体変位速度との相対関係の
選択をもって簡易に行うことができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に示すところに基づいて説明する。図１，２および３
は、この発明に係る装置の実施形態を示す正面図、平面
図および側面図であり、図中１は、コード補強層の形成
装置を、２は回転支持体をそれぞれ示す。
【００１６】ここでは、供給される長尺のコードストリ
ップ３を所定の長さにわたって間欠送りする定尺送り手
段４を設けるとともに、この定尺送り手段４の前方側
に、間欠送りされたコードストリップ３を定尺切断する
切断手段５を設け、また、切断された定尺ストリップ３
を回転支持体２の周面上へ送給する搬送手段６を設け、
そして、この搬送手段６の先端に、ストリップ３の先端
ガイド７を介して進退変位可能に貼付ローラ８を設け、
さらに、これらのそれぞれの手段その他を一体として回
転支持体２の軸線方向に変位させる往復動手段９を設け
ることで補強層形成装置１を構成している。
【００１７】この装置１では、定尺切断され、搬送手段
６をもって回転支持体２の周面上へ送給されたコードス
トリップ３の先端部を、進出姿勢の貼付ローラ８をもっ
てその周面に押圧しつつ、回転支持体１の回動変位と、
往復動手段９の作用に基づくコードストリップ３の、図
２に矢印で示す方向の横行変位とを行わせることによ
り、そのコードストリップ３を、回転支持体１の周面の
一側縁から他側縁にわたって、その周面がクラウン部を
有すると否とにかかわらず、確実にかつ迅速に貼着配置
することができる。
【００１８】このようにして所定長さの一本のコードス
トリップ３の貼着配置を終えた後は、装置１を、往復動
手段９により、貼付ローラ８を後退姿勢とした状態で元
位置に復帰させるとともに、回転支持体２を、コードス
トリップ３の次の貼着位置まで逆転させ、そこで、搬送
手段６からの次のコードストリップ３の送給に基づく貼
着作業の再開を待機し、以後同様の工程を、コードスト
リップ３が、回転支持体１の全周にわたって貼着配置さ
れるまで繰り返す。
【００１９】ところで、各コードストリップ３をこのよ
うにして貼着させるに当って、そのコードストリップ３
の長さ方向の途中で、回転支持体２の周速および、コー
ドストリップ３の横行速度の少なくとも一方を変化させ
た場合には、たとえば、被覆ゴム中に１〜２０本程度の
補強層コードを平行に配設してなるそのコードストリッ
プ内の各コードを、所要の位置で、所要の方向へ所要量
だけ確実に折曲げ変形等させることができる。
【００２０】図４はこのことを、回転支持体の周面を展
開姿勢として模式的に示す説明図であり、その回転支持
体２の周面２ａの、一方の側縁Ｅ１から他方の側縁Ｅ２
にわたってコードストリップ３を貼着配置するに当っ
て、コードストリップ３の貼着位置を、回転支持体２の
軸線方向へ一定速度で変化させる一方で、回転支持体２
の周速を、コードストリップ３の貼着位置Ｐ１，Ｐ２の
それぞれで、図４（ｂ）に示すようにステップ状に急激
に増速させそして減速させることで、それらの両位置間
に延在するコード部分の、円周線分に対する交角θ１
を、両側部部分の同様の交角θ２より小さくしたもので
ある。またこのことは、回転支持体２の周速を一定とす
る一方で、コードストリップ３の変位速度を、上記両位
置間で遅くすることによっても実現することができる。
【００２１】そして、相対速度を上述したところとは逆
に変化させた場合には、交角θ１を交角θ２より大きく
することもでき、これらのいずれの場合にも、交角θ
１，θ２を、０°を越えて９０°未満の範囲内で所要に
応じて選択することができる。
【００２２】なお図に示すところでは交角θ１，θ２を
急激に変化させているも、両速度の相対関係を緩やかに
変化させる場合には、交角を次第に変化させることがで
きる。また、交角の変化は、コードストリップ３の貼着
変位の一個所だけで、または三個所以上で行わせること
もできる。
【００２３】図５は、回転支持体の周面がクラウン部を
有するときに、その周面の展開姿勢の下で、補強層コー
ドの、円周線分への交角を、一方の側縁から他方の側縁
にわたって一定とする場合についても示すものであり、
この場合には、回転支持体周面の、中心軸線からの半径
距離が小さくて周速が遅くなるその周面の側部部分に対
しては、図５（ｂ）に示すように、コードストリップの
変位速度を遅くし、その変位速度を、半径距離が長く周
速が速い周面中央部分に向けて、その周速差に応じて次
第に速めることにより、補強層コードの円周交角をその
全長にわたってほぼ一定とすることができる。
【００２４】そしてこのことは、コードストリップの変
位速度を一定とする一方で、そのコードストリップの貼
着位置の周速が一定となるように、回転支持体２の回動
速度をコントロールすることによってもまた実現するこ
とができる。
【００２５】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、コード補
強層のコードの円周線分に対する交角の変化等を、回転
支持体の周速と、それの軸線方向へのコードストリップ
の変位速度との相対関係の変化に基づいて、簡単かつ容
易に、しかも確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 発明装置の実施形態を示す正面図である。
【図２】 図１の平面図である。
【図３】 図１の側面図である。
【図４】 補強層コードの、円周線分に対する交角の変
化の態様を例示する図である。
【図５】 補強層コードの、円周線分に対する交角を一
定とする場合について示す図である。
【符号の説明】
１ コード補強層形成装置 ２ 回転支持体 ２ａ 周面 ３ コードストリップ ４ 定尺送り手段 ５ 切断手段 ６ 搬送手段 ７ 先端ガイド ８ 貼付ローラ ９ 往復動手段 Ｐ１，Ｐ２ 貼着位置 θ１，θ２ 交角 Ｅ１ 一側縁 Ｅ２ 他側縁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 回転支持体を回動変位させるとともに、
    コードストリップをその回転支持体の軸線方向に変位さ
    せながら、回転支持体の周面上にコードストリップを貼
    着配置して、タイヤトレッド部に配設されるコード補強
    層を形成するに当り、 コードストリップを、回転支持体の周面の一方の側縁か
    ら他方の側縁まで貼着させる間に、回転支持体の周速
    と、コードストリップの変位速度との相対関係を一回以
    上変化させることを特徴とするタイヤ用コード補強層の
    形成方法。
  2. 【請求項２】 前記相対関係を、コード補強層の展開姿
    勢で、コード補強層の中央域に延在するコードの、タイ
    ヤ円周線分に対する交角が、コード補強層の両側部部分
    に延在するコードのそれより大きくまたは小さくなるよ
    う選択することを特徴とする請求項１に記載のタイヤ用
    コード補強層の形成方法。
  3. 【請求項３】 横断面形状がクラウン部を有する回転支
    持体の周面上にコードストリップを貼着させるに際し、
    前記相対関係を、コード補強層の展開姿勢で、コード補
    強層の中央域に延在するコードの、タイヤ円周線分に対
    する交角が、コード補強層の両側部部分に延在するコー
    ドのそれとほぼ等しくなるよう選択することを特徴とす
    る請求項１に記載のタイヤ用コード補強層の形成方法。
  4. 【請求項４】 供給されるコードストリップを所定の長
    さにわたって間欠送りする定尺送り手段と、間欠送りさ
    れたコードストリップの切断手段と、切断されたコード
    ストリップを、回動される回転支持体の周面上へ送給す
    る搬送手段と、この搬送手段の先端にあって、コードス
    トリップを回転支持体の周面上に押圧する貼付ローラ
    と、これらのそれぞれの手段および貼付ローラを、回転
    支持体の軸線方向に一体的に変位させる往復動手段とを
    具えてなるタイヤ用コード補強層の形成装置。
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