JP2003033965A - 合成紙の製造方法 - Google Patents

合成紙の製造方法

Info

Publication number
JP2003033965A
JP2003033965A JP2001223911A JP2001223911A JP2003033965A JP 2003033965 A JP2003033965 A JP 2003033965A JP 2001223911 A JP2001223911 A JP 2001223911A JP 2001223911 A JP2001223911 A JP 2001223911A JP 2003033965 A JP2003033965 A JP 2003033965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
synthetic paper
polyester resin
stretched
stretching
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001223911A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Tamura
浩一 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001223911A priority Critical patent/JP2003033965A/ja
Publication of JP2003033965A publication Critical patent/JP2003033965A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および耐薬品性が良好な合成紙を製造
する方法を提供する。 【解決手段】 密度が0.01〜1.1g/cm3であ
る合成紙の製造方法であって、無延伸のポリエステル樹
脂発泡シートを加熱延伸した後、熱固定処理を施すこと
を特徴とする合成紙の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、密度が0.01〜
1.1g/cm3である合成紙を製造する方法に関し、
詳しくは、印刷用紙や包装材料、建材壁紙、表装材、雑
貨類等に好適に使用される合成紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレンテレフタレートに代
表される熱可塑性ポリエステル樹脂からなる延伸フィル
ムは、優れた熱的特性、機械的性質および化学的特性が
注目され、包装分野、工業材料分野をはじめ、各種分野
で使用されている。しかしながら、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂からなる延伸フィルムは紙類と比して機械的強度
が高過ぎるため、白色化するだけでは紙の風合いを代替
し得る材料とはならない。一方、ポリスチレン樹脂やポ
リオレフィン樹脂等を主原料とする合成紙は、発泡化お
よび延伸処理を施すことにより紙類に近い風合いを発現
できることから、ラベル類や名刺などに使用されてい
る。しかしながら、これらの合成紙では、高い耐熱性を
要求される用途や、有機溶剤に曝露/接触するような用
途に安定的に使用することができない。さらには、熱可
塑性ポリエステル樹脂を主原料とし、これに粒子を添加
した無発泡のシートを加熱延伸することによって空隙を
形成させたものが、プリンター用の印画紙等に使用され
ている。しかしながら、このような製造法によるもの
は、耐熱性および耐薬品性は良好であるものの、紙類に
近い風合いを発現しているとは言えない状況である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の現状
に鑑みてなされたもので、耐熱性および耐薬品性が良好
な合成紙を製造する方法を提供することを解決課題とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、優れた特性を有する合成紙の製
造方法を見いだし、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明の要旨は、密度が0.01〜1.1g/cm
3である合成紙の製造方法であって、無延伸のポリエス
テル樹脂発泡シートを加熱延伸した後、熱固定処理を施
すことを特徴とする合成紙の製造方法に存する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の合成紙に用いられるポリエステル樹脂として
は、代表的には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が
挙げられる。ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹
脂とは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸単位
とエチレングリコールを主成分とするジオール単位との
重縮合体からなるポリエステルであって、ジカルボン酸
成分中におけるテレフタル酸以外のジカルボン酸含有量
およびジオール成分中におけるエチレングリコール以外
のジオール含有量の合計量が通常50モル%以下、好ま
しくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以
下のものである。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分
またはエチレングリコール以外のジオール成分が共重合
されることによって発泡成形性が改良される場合がある
が、50モル%を超えて共重合されている場合は、合成
紙の耐熱性、耐薬品性が劣る傾向となる。
【0006】なお、テレフタル酸以外のジカルボン酸成
分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げら
れ、エチレングリコール以外のグリコール成分として
は、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール、ポリエーテルグリコール等の脂肪族グリコール、
シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、芳
香族グリコールなどが挙げられる。さらに、例えば、p
−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が共
重合されていてもよい。これら共重合成分の中では、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジ
メタノールが好適である。
【0007】さらに、本発明のポリエステル樹脂には、
分子中に3個以上のカルボキシル基または水酸基を含有
する化合物が、全ジカルボン酸成分および全ジオール成
分の合計量に対し、通常6モル%以下、好ましくは4モ
ル%以下、さらに好ましくは2モル%以下で共重合され
ていてもよい。分子中に3個以上のカルボキシル基また
は水酸基を含有する化合物を前記範囲で共重合すること
により、発泡成形性が改良される場合があるが、前記範
囲超過の場合は、流動性不足により成形性が悪化する傾
向にある。
【0008】分子中に3個以上のカルボキシル基または
水酸基を含有する化合物としては、例えば、トリメリト
酸、ピロメリト酸、ナフタレンテトラカルボン酸および
それらの無水物、グリセロール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ポリグリセロール(グリセ
ロールが2〜20程度縮合した化合物およびこれらの混
合物)、ポリオール(炭素数2〜4程度のアルキレンオ
キシドが縮合した化合物)等が挙げられ、中で、トリメ
リト酸、ピロメリト酸、およびそれらの無水物、グリセ
ロール、ペンタエリスリトール、ポリオールが好適であ
る。なお、これら化合物は、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。なお、前記の分子内に3個以上のカルボキ
シル基または水酸基を含有する化合物は、通常、ポリエ
ステル樹脂中に共重合されているが、これ以外に、発泡
成形する過程で、分子内に3個以上のカルボキシル基ま
たは水酸基を含有する化合物を含まないポリエステル樹
脂と前記化合物とを成型機に投入し、成型機内部でのエ
ステル交換反応によって共重合化することもできる。
【0009】本発明において、前記の分子内に3個以上
のカルボキシル基または水酸基を有する化合物に加え
て、本発明の効果を損なわない範囲で、1官能や2官能
以上のエポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサ
ゾリン化合物等の反応促進剤を1種または2種以上を併
用してもよい。前記ポリエステル樹脂は、一般に知られ
た溶融重縮合またはそれに続く固相重縮合によって製造
された樹脂原料をそのまま使用する以外に、さらにこれ
らの方法で得られた樹脂と他の化合物とを押出機等で溶
融混合する場合や、さらに加熱処理を施して製造された
原料を使用することもできる。さらには、これら原料を
一度、シート、フィルム、容器、ボトル等に成形加工し
た過程で発生した端材や規格外品、または市場から回収
された成型品等を粉砕したものも使用することもでき
る。これらは、粉砕品をそのまま原料として使用する以
外に、一度溶融してペレット形状等にして使用すること
ができる。
【0010】前記ポリエステル樹脂は、フェノール/
1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比=1/
1)の混合溶媒中、30℃で測定した場合の極限粘度
が、好ましくは0.6dl/g以上、さらに好ましくは
0.8dl/g以上、特に好ましくは1.0dl/g以
上である。ポリエステル樹脂の極限粘度が0.6dl/
g未満の場合には、発泡成形が困難となることがある。
なお、本発明の合成紙には、本発明の効果を損なわない
範囲で、ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル系、
チオエーテル系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードア
ミン系、シアノアクリレート系等の光安定剤、ポリオレ
フィン系、変性ポリオレフィン系、有機低分子塩類、タ
ルクなどの結晶核剤、分子量調整剤、可塑剤、耐加水分
解剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、難燃助
剤、発泡剤、着色剤、分散助剤等の添加剤、および、ガ
ラス繊維、マイカ、カーボンファイバー、チタン酸カリ
ファイバー等の強化材、シリカ、クレー、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム等の充填材等が、ポリエステル樹脂
に対して0.001〜10重量%の範囲で含有されてい
てもよい。
【0011】さらには、本発明の効果を損なわない範囲
で、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂等の他の熱可塑性樹脂、および熱可塑性
エラストマー等が用いられてもよい。これらの添加剤、
充填剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーは、通
常、発泡成形時にポリエステル樹脂や、必要に応じて添
加する分子内に3個以上のカルボキシル基または水酸基
を有する化合物とともに成型機に添加して用いられる
が、予めポリエステル樹脂中に含有されていてもよい。
本発明の合成紙に用いる延伸前の発泡体は、通常、前記
のポリエステル樹脂および発泡剤、および、必要に応じ
て用いる分子内に3個以上のカルボキシル基または水酸
基を有する化合物、添加剤、充填剤、熱可塑性樹脂、熱
可塑性エラストマー等とを発泡成形機に投入することに
より製造される。
【0012】発泡体を成形する際に使用する発泡剤とし
ては、既に知られている各種の発泡剤を用いることがで
きる。例えば、窒素、炭酸ガス、ヘリウム等の不活性ガ
ス、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭
化水素、テトラフロロエタン、フレオン(商品名)等の
ハロゲン化炭化水素などの物理発泡剤、炭酸ナトリウ
ム、重炭酸ナトリウム等の無機塩、クエン酸ナトリウム
などの有機塩、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾンカル
ボンアミド等のアゾ化合物およびその塩、5−フェニル
テトラゾール等のテトラゾール化合物およびその塩など
の化学発泡剤が挙げられ、さらに、これらの発泡剤を複
数併用することもできる。
【0013】本発明の合成紙の製造方法には、安定した
微細な発泡を行うために発泡助剤や発泡核剤を添加する
ことができる。これら発泡助剤や発泡核剤としては、例
えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩化物、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウムな
どの炭酸塩、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど
の酸化物などに代表される無機化合物や、ステアリン酸
ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグ
ネシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢
酸カルシウム、カプリル酸ナトリウム、ミスチリン酸ナ
トリウム、安息香酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウ
ム、イソフタル酸ナトリウム、フタル酸ナトリウムなど
に代表される有機化合物などが例示される。これらは複
数を併用することもできる。
【0014】これら発泡助剤や発泡核剤は、通常、ポリ
エステル樹脂とともに発泡成形機に投入するが、予めポ
リエステル樹脂中に含有されていてもよい。発泡成形の
方法は、得られた発泡体を延伸に供することができるも
のであれば特に制約ないが、一般的な発泡成形法、すな
わち押出成形や射出成形、プレス成形、注入成形等の種
々の成形方法を使用することができる。射出成形、プレ
ス成形、注入成形等で成形する場合は、溶融樹脂と発泡
剤との混合物を冷却金型に注入することにより発泡体が
得られる。押出成形する場合は、通常、発泡剤が導入さ
れ、ダイから押出された溶融樹脂を直ちに冷却すること
により発泡体が得られる。中で、押出発泡成形が特に好
ましく用いられる。
【0015】押出発泡成形機には特に制約はないが、通
常、一軸押出機または二軸押出機、あるいはこれらを直
列に組み合わせたタンデム型押出機等の連続押出機が好
適に使用され、さらには、強制搬送力を持たない連続式
横型反応装置などを組み合わせて使用することもでき
る。本発明の合成紙の製造方法では、発泡成形する際の
樹脂温度は、好ましくは170〜320℃、さらに好ま
しくは190〜310℃、特に好ましくは210〜30
0℃の温度で行う。前記範囲未満では、発泡成形時の溶
融粘度が高いため成型機の出力に問題が生じる傾向とな
り、一方、前記範囲超過では、樹脂の劣化や着色等が生
じやすい傾向となる。ダイから押出す際は、樹脂の固化
する温度以上の範囲において極力冷却しておくことが、
微細な気泡を維持する上で好ましい。
【0016】押出発泡成形する際のダイの形状は任意で
あり、フラットダイやTダイを使用してシート状あるい
は板状にする場合、サーキュラーダイを使用して管状、
あるいはこれを切り開いてシート状にする場合、紐状に
押出した後に溶融状態で接合する場合などがある。さら
にダイから押出された発泡体の冷却を促進するために、
冷却ロールやマンドレル、フォーミングダイ、サイジン
グプレート等を使用することが好ましい。さらに水中冷
却、送風冷却などの冷却方法を使用することができる。
本発明において、物理発泡剤を用いて押出発泡成形する
場合、発泡剤は通常、押出装置のバレルより、発泡剤注
入用の孔を通して溶融樹脂中に導入する。
【0017】本発明において、化学発泡剤を用いて押出
発泡成形する場合は、ポリエステル樹脂および化学発泡
剤を共に原料として押出機に投入するか、あるいは化学
発泡剤を押出機の途中から添加する方法が用いられる。
原料のポリエステル樹脂は、そのまま発泡成形機に投入
することもできるが、予め乾燥して投入することが好ま
しく、この場合、含有水分量を通常、400ppm以
下、好ましくは200ppm以下、特に好ましくは50
ppm以下とする。ポリエステル樹脂を乾燥せずに使用
する場合は、発泡成形機内の樹脂滞留部分を減圧状態に
することが好ましく、通常、2×104Pa以下、好ま
しくは3×103Pa以下とする。ポリエステル樹脂を
乾燥するか、あるいは発泡成形機内の樹脂滞留部分を減
圧状態にすることにより、樹脂の劣化や着色を抑制する
とともに、発泡成形性を高めることができる。
【0018】物理発泡剤を用い、成形機内部を減圧して
押出発泡成形する場合、通常、減圧して樹脂中の水分を
除去した後に物理発泡剤が導入されるように装置を設計
する必要がある。この場合は、L/Dの大きな二軸押出
機あるいはタンデム型の押出機が好適に用いられる。化
学発泡剤を用い、成形機内部を減圧して押出発泡成形す
る場合、通常、減圧して樹脂中の水分を除去する過程の
温度では化学発泡剤は分解せず、水分除去した後に温度
を上昇させることで化学発泡剤が分解するように温度調
節することにより製造される。こうして得られた延伸前
の発泡シートの密度は、好ましくは0.05〜1.1g
/cm3、さらに好ましくは0.08〜0.8g/c
3、特に好ましくは0.1〜0.5g/cm3である。
前記範囲未満では発泡シートを延伸した際に破断する場
合があり、前記範囲超過では発泡シートを延伸しても合
成紙としての風合いが出ない傾向がある。
【0019】本発明の合成紙の製造に用いる延伸前の発
泡シートの形状は、延伸可能な形状であれば特に限定さ
れるものではないが、例えば、薄板状、厚板状、網状、
筒状等の形状のものが使用される。本発明の合成紙は、
無延伸の発泡シートを加熱延伸した後、これを熱処理す
ることにより製造される。延伸方法としては、例えば、
前記の方法により製造した発泡シートを連続的に延伸す
る方法や、これを一度保存した後に延伸する方法等が挙
げられる。ここで無延伸とは、製造工程に延伸過程を含
まないことを意味し、ロール冷却等の際に生じる僅かな
配向や、冷却過程で生じる熱変形歪み等を包含するもの
ではない。
【0020】さらには、発泡するための気体成分が樹脂
中に溶存した状態で無発泡のシートを得、これを延伸す
る際に、同時に発泡させる方法も挙げられる。延伸は1
軸延伸、2軸延伸の何れでもよく、また、逐次延伸、同
時延伸の何れでもよい。延伸後の熱処理は、通常は実施
することが好ましいが、実施せずに使用することもでき
る。前記の押出発泡成形から連続的に延伸する場合は、
通常、押し出された発泡体を、冷却ロールやマンドレ
ル、フォーミングダイ、サイジングプレート等に密着さ
せることにより、冷却、固化させて未延伸のシートとな
した後に再加熱して延伸を行う。延伸前のシートの温度
は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに
好ましくは50℃以下である。延伸前の温度を前記範囲
とした場合、引き続き行われる加熱延伸が良好に行われ
るため好ましい。
【0021】冷却されたシートは通常、延伸ロール、テ
ンター等の延伸装置により、1軸または逐次2軸、同時
2軸等の方法で延伸を施す。延伸温度は通常、60〜1
40℃、好ましくは70〜130℃である。延伸温度が
前記範囲未満であっても、前記範囲超過であっても、得
られた合成紙の耐熱性および耐薬品性が低下する傾向が
ある。また前記の延伸温度は、延伸前のシート温度に対
し、通常10℃以上、好ましくは20℃以上、さらに好
ましくは40℃以上高い温度で行う。延伸前のシート温
度と延伸温度との差が前記範囲未満である場合は、得ら
れた合成紙の耐熱性および耐薬品性が低下する傾向にあ
る。
【0022】本発明の合成紙は、延伸した後、通常12
0〜240℃、好ましくは150〜230℃、さらに好
ましくは180〜225℃の温度で熱固定処理を施す。
熱処理の温度が前記範囲未満であっても、前記範囲超過
であっても、得られた合成紙の耐熱性および耐薬品性が
低下する傾向にあり、熱固定処理を施さない場合は、そ
の傾向が顕著となり、好ましくない。熱固定処理を行っ
ている間は延伸が緩和しない状態であることが好まし
く、通常はロールやテンター等によって端部を把持しつ
つ熱固定処理を行うことが望ましい。ただし、延伸した
後に若干の弛緩を伴って熱固定処理することにより合成
紙の耐熱性が向上する場合がある。
【0023】延伸倍率は、シート面の面積倍率として、
通常1.5〜20倍、好ましくは2〜16倍である。延
伸倍率が前記範囲未満では、機械的強度が不十分となる
傾向があり、前記範囲超過では、延伸過程で破断する場
合がある。本発明の合成紙の製造方法において、前記の
ような連続的延伸を行わず、一度保存した後に延伸する
場合においても、延伸操作としては前記同様の工程で実
施することができる。本発明において、本発明の効果を
損なわない範囲で、延伸前の発泡シート表面および/ま
たは延伸後の合成紙表面に、易滑性、印刷性、塗装性、
接着性、光沢性、マット性、防曇性、帯電防止性、抗菌
性などの機能付与のために、一般に知られている各種の
処理、例えば、コーティングやラミネート、コロナ処理
等を施すことができる。これら処理は、シートおよび/
または合成紙の一方の面のみであっても両面であっても
よい。
【0024】本発明により製造される合成紙の厚みは特
に限定されないが、通常0.005〜3mm、好ましく
は0.01〜2.5mm、さらに好ましくは0.1〜2
mmである。厚みが前記範囲未満では機械的強度が劣る
傾向となり、一方、前記範囲超過では、均一に延伸する
ことが困難な場合がある。本発明の合成紙は、通常、1
50℃程度の温度に長期間保持されても、形状変形しな
いばかりか物理的特性、化学的特性に顕著な劣化は見ら
れないため、耐熱性を要求される用途に使用することが
できる。さらに短時間であれば、200〜230℃程度
の温度条件下でも溶融することなく使用することが可能
である。
【0025】本発明により製造される合成紙は、120
℃下に1分間保持した際の寸法変化率が、通常3%以
下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1.5%以
下であることが望ましい。寸法変化率が前記範囲である
場合、高温条件での使用が可能となるため好ましい。さ
らには、本発明により製造される合成紙は、通常、−4
0℃程度の低温条件下においても脆化することがないた
め、耐寒性が要求される用途に使用することもできる。
本発明により製造される合成紙は、ASTM D285
6に準拠して測定した独立気泡率が、通常70%以上、
好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、
特に好ましくは95%以上であることが望ましい。独立
気泡率が前記範囲である場合、機械的強度が良好となる
ため好ましい。
【0026】本発明により製造される合成紙は、例えば
ペンタン、ヘキサン、テレピン油等の炭化水素液体類、
1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン等
のハロゲン化炭化水素液体類、アセトン、シクロヘキサ
ノン、ジエチルエーテル等のエーテル/ケトン類、メタ
ノール、エタノール等のアルコール類、酢酸等の有機酸
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジオクチ
ルフタレート、ジオクチルアジペート等の可塑剤類など
の一般的な溶剤類、可塑剤類に対する耐性が良好である
ため、これらの液体または蒸気に浸漬、接触、曝露する
ような環境で好適に使用することができる。本発明によ
り製造される合成紙は、表面が平滑かつ印刷インクの接
着性が良好であるため、一般に行われている種々の方法
により、表面に印刷を施す用途に対しても好適に使用す
ることができる。本発明の製造方法で得られる合成紙
は、耐熱性および耐薬品性が良好であるため、例えば印
刷用紙材や包装材料、建材壁紙、表装材、雑貨類等に好
適に使用することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。本発明において採用し
た測定方法は、以下のとおりである。
【0028】(1)寸法安定性 23℃に調整した合成紙100×100mmを切り出
し、これを120℃のオーブン中に1分間保持した。保
持した合成紙を取り出し、23℃で30分間保持した後
に各辺の寸法を測定し、100mmから最も変化の大き
い辺の長さを値とした。測定は同一サンプルについて5
点実施し、平均値を用いて下記式より算出した。 寸法変化=[(100−L)/100]×100(%) (上記式中、Lは熱処理後の寸法(単位mm)である)
【0029】(2)独立気泡率 ASTM D2856に準拠して測定した。
【0030】(3)耐薬品性 合成紙を20×50mmの短冊状に切り出し、これを2
3℃のテトラヒドロフラン中に30分間浸漬させた後に
引き上げ、乾燥した。乾燥後に合成紙の外観を確認し、
変化がない場合は○、表面に若干の外観変化がある場合
を△、溶解または大きく形状変形している場合を×とし
た。
【0031】次に、実施例および比較例において使用し
たポリエステル樹脂原料を以下に示す。 a;ジカルボン酸単位がテレフタル酸99.5モル%、
ピロメリット酸0.5モル%からなり、ジオール単位が
エチレングリコール97.3モル%、ジエチレングリコ
ール2.7モル%からなる、極限粘度1.5dl/gで
ある熱可塑性ポリエステル樹脂。 b;ジカルボン酸単位がテレフタル酸100モル%から
なり、ジオール単位がエチレングリコール97.0モル
%、ペンタエリスリトール0.5モル%、ジエチレング
リコール2.5モル%からなる、極限粘度1.4dl/
gである熱可塑性ポリエステル樹脂。
【0032】c;ジカルボン酸単位がテレフタル酸8
3.0モル%、イソフタル酸17.0モル%、ジオール
単位がエチレングリコール97.1モル%、ペンタエリ
スリトール0.5モル%、ジエチレングリコール2.4
モル%からなる、極限粘度1.4dl/gである熱可塑
性ポリエステル樹脂。
【0033】実施例1 ポリエステル樹脂原料aを、含有水分量が50ppm以
下となるように乾燥した後、これを290℃に設定した
一軸押出機(30mmφ,L/D=40)に投入し、途
中、押出機バレルの後半1/3の部分より、発泡剤とし
てブタンを0.4重量%となるように導入し、ダイから
吐出されるまでに250℃まで冷却した。Tダイから押
出された発泡体を、冷風の送風下、表面温度10℃に設
定したロールに密着させて冷却した後、巻き取りロール
で巻き取ることにより、厚さ1.3mm、密度0.36
g/cm3(外形および質量からの実測計算による)の
発泡シートを得た。外観は白色不透明で光沢はなかっ
た。このポリエステル樹脂発泡シートを表面温度30℃
に調整した後、ロング社製の延伸装置を用いて、表面温
度85℃において、延伸倍率3×3倍(同時2軸延伸)
で延伸した。これを、応力が緩和しない状態で直ちに2
00℃で5秒間の熱処理を行った後、常温に冷却して応
力を解放することにより合成紙を得た。23℃,50%
RHの状態に1日保持した後の合成紙は、厚さ0.13
mm、密度0.38g/cm3、外観は白色不透明で光
沢があった。得られた合成紙について、以下に示す方法
で、寸法安定性、独立気泡率、耐薬品性を評価し、結果
を表1に示す。
【0034】実施例2、3 表1に示すように、ポリエステル樹脂原料の種類を変更
したほかは、実施例1と同様にして合成紙を製造した。
得られた樹脂を実施例1と同様の方法で評価を行った結
果を表1に示す。実施例4発泡剤としてブタンを0.7
重量%となるように導入したほかは、実施例1と同様に
して合成紙を製造した。得られた樹脂を実施例1と同様
の方法で評価を行った結果を表1に示す。
【0035】比較例1 熱固定処理を行わなかったほかは、実施例1と同様にし
て合成紙を製造した。得られた合成紙を実施例1と同様
の方法で評価を行った結果を下記表2に示す。 比較例2 延伸処理および熱固定処理を行わなかったほかは、実施
例1と同様にして合成紙を製造した。得られた合成紙を
実施例1と同様の方法で評価を行った結果を表2に示
す。
【0036】比較例3 ポリエステル樹脂原料cを、含有水分量が50ppm以
下となるように乾燥した後、これを290℃に設定した
一軸押出機(30mmφ,L/D=40)に投入し、発
泡剤を導入せずに、ピニング法にて30℃の冷却ロール
で冷却することにより、厚さ0.80mmの無発泡のシ
ートを得た。このシートを実施例1と同様に延伸、熱固
定処理して、厚さ0.08mmの延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムは透明であり、紙類の風合いを有
していなかった。実施例1と同様の方法で評価を行った
結果を表2に示す。 比較例4 比較例3と同様の方法にて、厚さ0.10mmの無発泡
のシートを得、延伸および熱固定処理を行わなかった他
は比較例3と同様の方法で無発泡のシートを得た。得ら
れたシートは透明であり、紙類の風合いを有していなか
った。実施例1と同様の方法で評価を行った結果を表2
に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性および耐薬品性
が良好な合成紙を提供できるため、例えば印刷用紙材や
包装材料、建材壁紙、表装材、雑貨類等に好適に使用す
ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.01〜1.1g/cm3であ
    る合成紙の製造方法であって、無延伸のポリエステル樹
    脂発泡シートを加熱延伸した後、熱固定処理を施すこと
    を特徴とする合成紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 シートの温度が100℃以下であるポリ
    エステル樹脂シートを、シートの温度より10℃以上高
    い温度で加熱延伸することを特徴とする請求項1記載の
    合成紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 延伸前と比して、シート面の面積倍率が
    1.5〜20倍となるように延伸を施すことを特徴とす
    る請求項1または2記載の合成紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 120℃〜240℃の温度で熱固定処理
    を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の合成紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 発泡成形機から押し出された無延伸の発
    泡シートを連続的に延伸することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の合成紙の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂が、テレフタル酸を主
    成分とするジカルボン酸単位とエチレングリコールを主
    成分とするジオール単位との重縮合体からなるポリエス
    テルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の合成紙の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリエステル樹脂が、分子中に3個以上
    のカルボキシル基または水酸基を含有する化合物を、全
    ジカルボン酸成分および全ジオール成分の合計量に対し
    6モル%以下で共重合したものであることを特徴とする
    請求項6記載の合成紙の製造方法。
JP2001223911A 2001-07-25 2001-07-25 合成紙の製造方法 Pending JP2003033965A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001223911A JP2003033965A (ja) 2001-07-25 2001-07-25 合成紙の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001223911A JP2003033965A (ja) 2001-07-25 2001-07-25 合成紙の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003033965A true JP2003033965A (ja) 2003-02-04

Family

ID=19057163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001223911A Pending JP2003033965A (ja) 2001-07-25 2001-07-25 合成紙の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003033965A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0372846B1 (en) Process for producing polyester resin foam
JP4794335B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂製発泡シート製容器の製造方法
JP3473714B2 (ja) 乳酸系ポリマーから成る耐熱性シート及び成形品の製造方法
WO2007083720A1 (ja) ポリエステル発泡シート及びその製造方法
JP2003160675A (ja) 透明な耐衝撃性ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法
JP5145695B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂フィルムの製造方法
JP5058473B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル系樹脂発泡フィルム
JP2003033965A (ja) 合成紙の製造方法
JP4583160B2 (ja) 生分解性積層発泡シート及びその成形体
JP3482743B2 (ja) 乳酸系ポリマーから成るシュリンクフィルム
JP4568043B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物、該樹脂組成物からなる熱収縮性ポリエステル系フィルム、成形品および容器
JP3150441B2 (ja) 延伸安定性に優れたチューブラ二軸延伸フィルム用ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物
JP2003165190A (ja) 微細気泡含有積層延伸ポリエステルフィルム
JP4543743B2 (ja) 成形用二軸延伸ポリ乳酸フィルムおよび容器
JPH06170999A (ja) 複合発泡ポリエステルシート
JP2003064210A (ja) 微細気泡含有ポリエステルフィルム
JPH06220237A (ja) 複合発泡ポリエステルシート
JP2003025421A (ja) 延伸ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法
JP3983508B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法
JP2005225992A (ja) 帯電防止性ポリ乳酸系二軸延伸フィルム
JP2003128797A (ja) 生分解性樹脂製品
JP2003127222A (ja) 微細気泡含有ポリエステルフィルム
JP2000345019A (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体とその製造方法
JP3073914B2 (ja) 多層構造ポリエステルシート
JP2003245971A (ja) 乳酸系ポリマーから成る耐熱性シート及び成形品の製造方法