JP2003064210A - 微細気泡含有ポリエステルフィルム - Google Patents

微細気泡含有ポリエステルフィルム

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JP2003064210A
JP2003064210A JP2001257423A JP2001257423A JP2003064210A JP 2003064210 A JP2003064210 A JP 2003064210A JP 2001257423 A JP2001257423 A JP 2001257423A JP 2001257423 A JP2001257423 A JP 2001257423A JP 2003064210 A JP2003064210 A JP 2003064210A
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polyester
polyester film
bubble
resin
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JP2001257423A
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Toshiharu Watanabe
俊治 渡辺
Koichi Tamura
浩一 田村
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Polyester Film Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、柔軟性、接着性、印刷性に優れた気
泡含有量の大きな微細気泡含有延伸ポリエステルフィル
ムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂を
実質的に含有せず、不活性粒子を0.001重量%以上
含有する少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステル
フィルムであって、フィルム中の気泡密度が1万個/c
3以上であり、フィルムの見かけ密度が0.01〜
1.2g/cm3であることを特徴とする微細気泡含有
ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、柔軟性、
印刷性、走行性に優れた、気泡含有量の大きな微細気泡
含有延伸フィルムに関するものである。本発明は、特に
表面保護フィルム基材、印字基材、包装用、カード、ラ
ベル、緩衝材などに好適に使用される微細気泡含有延伸
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルムは、その優れた機
械的特性、電気的特性、耐薬品性、耐熱性等を有するこ
とから、各種産業において広く利用されている。とりわ
け二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムは、他
のフイルムに比べ平面性および寸法安定性に優れ、また
比較的安価で市場に提供されることから、包装用び工業
用材料として欠くことのできない素材である。微細気泡
含有フィルムは、ポリエステルに非相溶のポリオレフィ
ン系樹脂、例えばポリプロピレン(例えば、特開平1−
319543号公報)、ポリメチルペンテン(例えば、
特開平2−147641号公報)、ポリスチレン(例え
ば、特開平3−292338号公報)をそれぞれポリエ
ステルに含有させ延伸することにより得ることができる
ことが知られている。
【0003】しかし、ポリエステルに非相溶の熱可塑性
樹脂を含有させて得られた微細気泡含有ポリエステルフ
ィルムは、リサイクルが困難であり、また異種ポリマー
を分離する工程が必要になり、リサイクルコストが高く
なる。また、非相溶樹脂はポリエステルよりも熱分解し
やすいため、押出機を汚し、それに伴うフィルム製品中
への熱分解デポジットの混入によるフィルム製品の品質
低下をもたらす。そのため、製品切り替えに伴うライン
洗浄が必要となり、生産性が悪化する。また、熱分解に
より、フィルムが黄色みを帯びてしまい、白色性を必要
とする用途では、多量の白色顔料や蛍光増白剤の添加が
必須になる。さらに食品や医薬の包装用途では、非相溶
樹脂の熱分解物が残存するため臭気や衛生上の問題を生
じる。
【0004】微細気泡は、製膜時における延伸工程で非
相溶樹脂の周りに生じるため、気泡含有量の大きな低密
度の発泡延伸フィルムをつくるためには延伸倍率を上げ
たり、非相溶樹脂の含有量を上げたりする必要がある
が、このようなフィルムは製膜時に破断しやすく、安定
した気泡含有量の大きなフィルムを作ることはできな
く、フィルム自身の見かけ密度も事実上0.8以下に下
げることは困難であり、紙のような風合いを持った低密
度のフィルムをつくることができない。また、フィルム
延伸時にフィルムにできた空洞の厚み方向の径は小さい
ため、フィルムのクッション性が不十分である。さら
に、ポリオレフィンの界面張力はポリエステルに比べ実
質的に低いため、非相溶樹脂含有フィルムのフィルム表
面の表面張力は低下し、接着性および印刷性が悪いとい
う欠点を生じ、接着性や印刷性を改良する塗布層やコロ
ナ処理等の表面処理が必要になる。また、ポリエステル
表面には、静電防止性や他の樹脂との易接着性を持たせ
るために塗布層を必要に応じて設けるが、非相溶樹脂含
有フィルムの表面表力は通常のポリエステルフィルムよ
りも低いため、塗布液を共用できなく特別に処方した塗
布液が必要になり生産性が悪化する問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、耐熱性、柔軟性、接着性、
印刷性に優れた気泡含有量の大きな微細気泡含有延伸ポ
リエステルフィルムを提供することを解決課題とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定の構成を有する
ポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決
できることを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明の要旨は、ポリエステルに非相溶の熱可
塑性樹脂を実質的に含有せず、不活性粒子を0.001
重量%以上含有する少なくとも一軸方向に延伸されたポ
リエステルフィルムであって、フィルム中の気泡密度が
1万個/cm 3以上であり、フィルムの見かけ密度が
0.01〜1.2g/cm3であることを特徴とする微
細気泡含有ポリエステルフィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の微細気泡含有フィルムは、不活性粒子を0.0
01重量%以上含有することが必須であり、0.002
重量%以上含有することが好ましい。不活性粒子の含有
量が0.001重量%未満では、フィルム製膜時におけ
るフィルムの走行性が悪化し、フィルムに傷が発生した
り巻取性が悪くなったりして、生産性が悪化する。本発
明において用いる不活性粒子の種類は特に限定しない
が、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機粒子、シリコ−
ン樹脂粒子や架橋高分子粒子などの有機粒子が挙げられ
る。
【0008】また、用いる不活性粒子の平均粒径につい
ても特に限定しないが、通常0.1〜50μmの範囲か
ら選択する。不活性粒子の平均粒径が0.1μm未満で
は、フィルム走行性に有効な高さの表面突起を生成でき
ないことがあり、50μmを超えるとフィルム破断が起
こりやすくなる。本発明の微細気泡含有フィルム中の気
泡密度は1万個/cm3以上であり、好ましくは5万個
/cm3以上である。気泡密度が1万個/1立方センチ
メートル未満では、フィルムの柔軟性が向上しない。
【0009】本発明のフィルムの見かけ密度は、0.0
1〜1.2g/cm3であり、好ましくは0.05〜
1.1g/cm3、さらに好ましくは0.08〜0.8
g/cm3である。フィルムの見掛け密度が0.01g
/cm3未満では、フィルムが破断しすく、1.2g/
cm3を超えるとフィルムの柔軟性が劣る。本発明の微
細気泡含有フィルムには、ポリエステルと非相溶の熱可
塑性樹脂を実質的に含有しない。非相溶樹脂を含有する
フィルムでは、リサイクル性や熱分解デポジットの問題
が生じるとともに、フィルム表面張力が低下してしま
い、フィルムの接着性や印刷性が悪化する。
【0010】さらに本発明の微細気泡含有延伸フィルム
おいて、フィルム長手方向と幅方向の平均気泡径が45
〜2000μm、さらには60〜1500μmの範囲で
あることが好ましい。フィルム長手方向と幅方向の平均
気泡径が45μm未満では、紙のような風合いと柔軟性
を得られない場合がある。一方、フィルム長手方向と幅
方向の平均気泡径が何れも2000μmを超えると、フ
ィルム表面の凹凸が大きくなり、印刷性を損なわれるお
それがあり、またフィルムが破断しやすくなる傾向があ
る。また、フィルム厚み方向の平均気泡径は4.0μm
以上、さらには5.0μm以上であることが好ましい。
フィルム厚み方向の平均気泡径が4.0μm未満では、
フィルムのクッション率が低くなる傾向がある。
【0011】本発明の微細気泡含有延伸フィルムに用い
られるポリエステル樹脂としては、代表的には、ポリエ
チレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。ここで、ポ
リエチレンテレフタレート系樹脂とは、テレフタル酸を
主成分とするジカルボン酸単位とエチレングリコールを
主成分とするジオール単位との重縮合体からなるポリエ
ステルであって、ジカルボン酸成分中におけるテレフタ
ル酸以外のジカルボン酸含有量およびジオール成分中に
おけるエチレングリコール以外のジオール含有量の合計
量が通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下、
さらに好ましくは20モル%以下のものである。
【0012】テレフタル酸以外のジカルボン酸成分また
はエチレングリコール以外のジオール成分が共重合され
ることによって発泡成形性が改良される場合があるが、
50モル%を超えて共重合されている場合は、フィルム
の耐熱性が劣る傾向にある。なお、テレフタル酸以外の
ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸な
どが挙げられ、エチレングリコール以外のグリコール成
分としては、例えば、プロピレングリコール、トリメチ
レングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエーテルグリコール等の脂肪族グリ
コール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコ
ール、芳香族グリコールなどが挙げられる。さらに、例
えば、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン
酸等が共重合されていてもよい。これら共重合成分の中
では、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジエチ
レングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノールが好適である。
【0013】さらに、本発明のポリエステル樹脂には、
分子中に3個以上のカルボキシル基または水酸基を含有
する化合物が、全ジカルボン酸成分および全ジオール成
分の合計量に対し、通常6モル%以下、好ましくは4モ
ル%以下、さらに好ましくは2モル%以下で共重合され
ていてもよい。分子中に3個以上のカルボキシル基また
は水酸基を含有する化合物としては、例えば、トリメリ
ト酸、ピロメリト酸、ナフタレンテトラカルボン酸およ
びそれらの無水物、グリセロール、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール、ポリグリセロール(グリ
セロールが2〜20程度縮合した化合物およびこれらの
混合物)、ポリオール(炭素数2〜4程度のアルキレン
オキシドが縮合した化合物)等が挙げられ、これらの中
でも、トリメリト酸、ピロメリト酸、およびそれらの無
水物、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリオー
ルが好適である。なお、これらの化合物は、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0014】また、本発明の微細気泡含有フィルムに
は、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェ
ノール系、亜燐酸エステル系、チオエーテル系等の酸化
防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレー
ト系等の光安定剤、ポリオレフィン系、変成ポリオレフ
ィン系、有機低分子塩類、タルクなどの結晶核剤、分子
量調整剤、可塑剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、潤滑
剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、着色剤、分散
助剤等の添加剤、および、ガラス繊維、マイカ、カーボ
ンファイバー、チタン酸カリファイバー等の強化材が含
有されていてもよい。本発明の微細気泡含有フィルム
は、少なくとも1軸に延伸されたフィルムである。この
ように延伸されたフィルムは、引っ張り強度が向上しフ
ィルムが破れにくくなるともに、フィルムにしなやかさ
を生じる。
【0015】本発明の微細気泡含有フィルムにおいて、
フィルムのヤング率が柔軟性の尺度となる。フィルムの
一方向のヤング率が2.5GPa以下、さらには2.2
GPa以下であると、フィルムの柔軟性が良好となり好
ましい。フィルムのヤング率が2.5GPaを超える
と、柔軟性が不足し、例えば表面保護フィルム基材に用
いる場合、対象物の曲面部分で保護フィルムが剥がれや
すくなる。また、合成紙のような印刷基材に用いる場
合、紙のような風合いを出せないことがある。本発明の
微細気泡含有フィルムにおいて、フィルム同士摩擦係数
は特に限定しないが、通常1.0以下であり、より好ま
しくは0.8以下である。摩擦係数が1.0を超えるフ
ィルムでは、フィルム製造時のフィルム巻き上げ時やス
リット時に、いわゆるツブ跡やシワが発生することがあ
り、その結果、歩留まりが低下してコストアップの要因
となったり、各種用途での加工時に傷や蛇行を発生した
りすることがある。
【0016】本発明の微細気泡含有フィルムにおいて、
フィルムの熱収縮率が耐熱性の尺度となり、熱収縮率は
特に限定しないが、150℃、30分の処理条件で通常
10%以下である。熱収縮率が10%を超えると、プリ
ンター等で印字されるとき、文字が不鮮明になる、また
電飾看板の表示板等熱源に近いところで使用される場
合、フィルム全体が収縮し剥がれる等の問題が生じるこ
とがある。また、本発明の微細気泡含有フィルム表面の
濡れ性は、特に限定しないが、水滴との接触角で通常7
0〜75度である。非相溶性の熱可塑性樹脂が含有する
と80度以上になり、水溶性の塗布液とフィルム表面と
の付着力が低下し、塗布液のハジキや塗布ムラの原因と
なる。
【0017】また、必要に応じ、本発明のポリエステル
フィルムの片面または両面に易滑性、離型性、帯電防止
剤、易接着性等を付与する目的のコーティング処理を行
うこともできる。次に本発明のフィルムの製造方法を具
体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、
以下の例示に特に限定されるものではない。本発明の微
細気泡含有延伸フィルムは、不活性粒子を含有するポリ
エステルと必要に応じて不活性粒子を含有しないポリエ
ステルを混合し、所定の不活性粒子濃度に調整したポリ
エステルを乾燥した後、押出機に投入し溶融させる。溶
融状態のポリエステルに発泡剤を発泡剤注入孔から溶融
樹脂中に導入する、発泡剤は溶融樹脂中に溶解しTダイ
の口金部で発泡する。口金部は樹脂の固化する温度以上
の範囲において極力冷却しておくことが、微細気泡を発
生させるために好ましい。
【0018】発泡させたシートは、キャストドラム上で
冷却した後、1軸または2軸方向に延伸し、次いで熱処
理を施し、微細気泡含有延伸フィルムを得ることができ
る。使用する押出機には特に制約はないが、通常、一軸
押出機または二軸押出機、あるいはこれらを直列に組み
合わせたタンデム型押出機等の連続押出機が好適に使用
される。
【0019】発泡剤としては、既に知られている各種の
発泡剤を用いることができる。例えば、窒素、炭酸ガ
ス、ヘリウム等の不活性ガス、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン等の飽和炭化水素、テトラフロロエタ
ン、フレオン(商品名)等のハロゲン化炭化水素などの
物理発泡剤を例示することができる。発泡剤の注入場所
は、押出機からダイまでの溶融樹脂流路の任意の場所で
よいが、押出機の樹脂滞留部分またはできるだけ押出機
に近い場所であること、また溶融樹脂の圧力は使用する
発泡剤の臨界圧力以上であることが発泡剤を溶融樹脂中
に完全溶解させるために好ましい。溶融樹脂の圧力を臨
界圧力以上にするためには、押出機やギヤポンプの回転
数を制御し、口金のリップギャップの幅を調整すること
で可能となる。なお、発泡剤が完全に溶解しないでダイ
より押し出された場合は、シート中に大きな気泡を発生
させ延伸工程での破断の原因となる。
【0020】また安定した微細な発泡を行うために発泡
助剤や発泡核剤を添加することができる。これら発泡助
剤や発泡核剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化
カリウムなどの塩化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸アルミニウムなどの炭酸塩、酸化マグネシウ
ム、酸化アルミニウムなどの酸化物などに代表される無
機化合物や、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸ナトリ
ウム、モンタン酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸亜
鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、カプリル酸ナ
トリウム、ミリスチン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウ
ム、テレフタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウ
ム、フタル酸ナトリウムなどに代表される有機化合物な
どが例示される。これらは複数を併用することもでき
る。これら発泡助剤や発泡核剤は、通常、ポリエステル
樹脂とともに発泡成形機に導入するが、予めポリエステ
ル樹脂中に含有されていてもよい。
【0021】本発明において、口金より吐出されたシー
トは、速やかに冷却ドラム上で急冷固化させることが重
要である。急冷固化が遅いと気泡が成長し大きな気泡と
なる共に気泡密度が下がる。かくして得られた未延伸フ
ィルムは、次の延伸工程に供される。延伸工程におい
て、フィルムは、通常、Tg−10℃からTc−10℃
の温度範囲で、面積倍率にして通常1.1〜50倍、好
ましくは6〜30倍の範囲で長手方向(縦方向)および
/または幅方向(横方向)に延伸される。延伸方法とし
ては、用途に応じて一軸延伸でもよいし、二軸延伸でも
よい。二軸延伸を行う場合には、逐次二軸配向延伸、同
時二軸配向延伸、それらを組み合わせた延伸、いずれで
あってもよい。なお、逐次二軸延伸の場合は、一般には
縦方向に延伸した後、横方向に延伸する方法が好ましく
採用される。縦および横方向に延伸する際、各々一段延
伸でもよいが、多段で延伸したり多段延伸であってもよ
い。
【0022】本発明において、延伸した後、通常150
〜230℃の温度で熱固定処理を施す。熱固定処理を施
さない場合、熱収縮率が大きくなり耐熱性に劣る傾向が
ある。熱固定処理を行っている間は延伸が緩和しない状
態であることが好ましく、通常はロールやテンター等に
よって端部を把持しつつ熱固定処理を行うことが望まし
い。ただし、延伸した後に若干の弛緩を伴って熱固定処
理を行ってもよい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。本発明で用いた測定法
および用語の定義は次のとおりである。
【0024】(1)平均気泡径 低温灰化プラズマ装置にて、フィルム表面から厚さ方向
に向かって、2μmの深さに灰化した後、走査型電子顕
微鏡にて観察し、少なくとも100個の気泡について長
手方向の径の平均値(Lx)および幅方向の径の平均値
(Ly)を求めた。それら相加平均値を平均気泡径とし
た。次に、フィルムの長手方向またはその垂直方向に切
った断面より観察される少なくとも100個以上の気泡
径についてフィルム厚み方向の気泡径の平均値(Lz)
を求めた。
【0025】(2)見かけ密度 フイルムの任意の部分から10cm×10cmのサイズ
の正方形を切出し、マイクロメータで任意の点9点の平
均厚みを測定して体積を求めた後、当該切出しフイルム
の重量を計量して、1cm3当たりの重量を見かけ密度と
した。測定は5つのサンプルについて行い、その平均値
を測定値とした。
【0026】(3)気泡密度(個/cm3) 下記式に従ってフィルムの気泡密度を算出した。 (d1−d2)÷(d1×Lx×Ly×Lz)×1012 …… なお、気泡径については、長手方向の径(Lx)、幅方
向の径(Ly)およびフィルム厚み方向の径(Lz)の
単位をそれぞれμmとし、ポリエステルの密度をd1、
フィルムの見かけ密度をd2とした。
【0027】(4)ヤング率 引張試験機((株)インテスコ社製「インテスコモデル
2001型」)を使用し、温度23℃ 湿度50%RH
に調節された室内において、長さ300mm、幅20m
mの試料フィルムを、10%/分の歪み速度で引張り、
引張応力−歪み曲線を求め、初めの直線部分を用いて次
式によって計算した。 E=Δσ/Δε …… (上記式中、Eはヤング率(GPa)、Δσは直線上の
2点間の元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点
間のひずみ差を表す)
【0028】(5)摩擦係数 平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切
り出したフィルム同士を2枚重ね、その上にゴム板を載
せ、さらにその上に重りを載せ、2枚のフィルムの接圧
を2g/cm2として、10mm/分でフィルム同士を
滑らせて摩擦力を測定した。なお、測定は、温度23℃
±1℃、湿度50%±5%の雰囲気下で行い、2mm滑
らせた点での値を摩擦係数とした。
【0029】(6)印刷鮮明性 温度23℃、湿度50%RHの室内において、(株)キ
ーエンス社製カラービデオプリンターVH−P20を用
いて、試料に画像をプリントし、プリントされた画像を
目視観察し、以下のランクに分けた。 ○:画像が鮮明(実用的に問題の無いレベル) △:画像がやや鮮明(実用的に問題の無いレベル) ×:画像が不鮮明(実用的に問題のレベル)
【0030】(7)クッション性 Mitutoyo製厚み計を使って、測定子上に50g、500
gの重りを載せ、シート厚みt1、t2を測定した。こ
れらの値を使って次式によりクッション率を計算し
た。 クッション率(%)=100×(t1−t2)/t1 …… (上記式中、t1は50gの荷重を載せたときの厚み、
t2は100gの荷重を載せたときの厚みである)
【0031】(8)熱収縮率 フィルム縦方向および横方向について、幅2cmで長さ
100cmの試料を各5本ずつ切り出し、無張力状態で
150℃の雰囲気中で30分間熱処理し、その前後のサ
ンプルの長さを測定し、フィルム縦方向(SMD)、横方
向(STD)を下記式にて計算し、各5本の平均値で表
した。 熱収縮率(%)=(I0−I1)/I0×100 …… (上記式中、I0は熱処理前のサンプル長さ(mm)、
I1は熱処理後のサンプル長さ(mm)である) なお、I0<I1(膨張の場合)は、熱収縮率を−(マイ
ナス)で表した。
【0032】実施例および比較例において使用したポリ
エステル樹脂原料を以下に示す。 ・ポリエステル樹脂原料a:ジカルボン酸単位がテレフ
タル酸99.5モル%、ピロメリット酸0.5モル%か
らなり、ジオール単位がエチレングリコール97.3モ
ル%、ジエチレングリコール2.7モル%からなる、極
限粘度1.5dl/gである熱可塑性ポリエステル樹
脂。 ・ポリエステル樹脂原料b:ジカルボン酸単位がテレフ
タル酸83.0モル%、イソフタル酸17.0モル%、
ジオール単位がエチレングリコール97.1モル%、ペ
ンタエリスリトール0.5モル%、ジエチレングリコー
ル2.4モル%からなる、極限粘度1.4dl/gであ
る熱可塑性ポリエステル樹脂。 ・ポリエステル樹脂原料c:平均粒径2μmの無定型シ
リカ粒子を1重量%含有する極限粘度が0.8dL/gポリ
エチレンテレフタレート樹脂。 ・ポリエステル樹脂原料d:極限粘度が0.7dL/gのポ
リエチレンテレフタレート樹脂。
【0033】実施例1 ポリエステル樹脂原料aを90重量%とポリエステル樹
脂原料cを10重量%混合した樹脂を170℃3時間乾
燥した後、これを290℃に設定した一軸押出機に投入
し、途中、押出機バレルの後半1/3の部分より、発泡
剤としてブタンを0.2重量%となるように注入し、ダ
イから吐出される迄に250℃まで冷却した。Tダイか
ら押出された発泡体を、Tダイリップから3cm下に位
置する表面温度20℃に設定した冷却ロールに密着させ
て冷却固化した。かくして得られた未延伸発泡フィルム
を縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃
(IRヒーター付与)で2.5倍延伸した後、さらに9
7℃(IRヒーター付与)で1.2倍延伸し、テンター
に導き120℃で横方向に3.0倍延伸して二軸配向フ
ィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱
固定ゾーンに導き、200℃で5秒間幅方向に3%弛緩
させながら熱固定した。得られたフィルムの厚みは、8
0μmであった。
【0034】実施例2 ダイリップから冷却ロールまでの距離を6cmとなるよ
うに注入したほかは実施例1と同様にし、厚み100μ
mのフィルムを得た。 実施例3 ダイリップから冷却ロールまでの距離を6cmとし、発
泡剤としてブタンを0.4重量%となるように注入した
ほかは実施例1と同様にし、厚み100μmのフィルム
を得た。 実施例4 ポリエステル樹脂原料bを90重量%とポリエステル樹
脂原料cを10重量%混合した樹脂を使用したほかは実
施例2と同様にし、厚み100μmのフィルムを得た。
【0035】比較例1 ポリエステル樹脂原料aを100重量%使用したほかは
実施例1と同様にし、厚み80μmのフィルムを得た。 比較例2 ブタンを注入しない以外は実施例1と同様にし、厚み4
0μmのフィルムを得た。
【0036】比較例3 ポリエステルと非相溶のメルトフローインデックスが5
の結晶性ポリプロピレンホモポリマーを10重量%とポ
リエステル樹脂原料dを90重量%を混合した原料を使
用し、発泡剤を使用せず、またダイから吐出されるまで
の温度は290℃に保ったほかは実施例1と同様にし、
厚み70μmのフィルムを得た。 比較例4 実施例3で、冷却固定した厚み1.0mm未延伸フィル
ムを比較例4とした。当該フィルムはしなやかさがな
く、印刷鮮明性の評価はできなかった。以上、得られた
実施例のフィルムの物性、性能を下記表1に、比較例の
フィルムの物性、性能を下記表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、柔軟性、印刷
性、走行性に優れた気泡含有量の大きな微細気泡含有延
伸フィルムが得られ、本発明のフィルムは、特に表面保
護フィルム基材、印字基材、包装用、カード、ラベル、
緩衝材などに好適に使用することができ、その工業的価
値は高い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 田村 浩一 三重県四日市市東邦町 1番地 三菱化学 株式会社内 Fターム(参考) 4F074 AA66 BA32 BA33 BA36 BA37 BA39 BA40 BA53 CA02 CC02Y DA02 DA33 DA45 DA54 4F210 AA24 AB02 AB20 AG01 AG20 QC06 QG01 QG18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂を
    実質的に含有せず、不活性粒子を0.001重量%以上
    含有する少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステル
    フィルムであって、フィルム中の気泡密度が1万個/c
    3以上であり、フィルムの見かけ密度が0.01〜
    1.2g/cm3であることを特徴とする微細気泡含有
    ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルム長手方向と幅方向の平均気泡径
    が45〜2000μmでかつフィルム厚み方向の平均気
    泡径が4.0μm以上であることを特徴とする請求項1
    記載の微細気泡含有ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの一方向のヤング率が2.5G
    Pa以下であることを特徴とする請求項1または2記載
    の微細気泡含有ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007100004A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Mitsubishi Chemicals Corp 熱収縮性ポリエステル系樹脂発泡フィルム

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JP2007100004A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Mitsubishi Chemicals Corp 熱収縮性ポリエステル系樹脂発泡フィルム

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