JP2003031215A - アルカリ蓄電池用非焼結式電極、およびこの電極を用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式電極、およびこの電極を用いたアルカリ蓄電池

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浩 福永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属多孔体基板の露出部に端を発する短絡を
防ぐとともに、強度補強用の金属薄板を溶接固着した場
合であっても、かかる金属薄板から金属イオンが溶出す
るのを確実に防止できるようにする。 【解決手段】 金属多孔体基板1の上端部に、活物質を
充填しない露出部4を設け、この露出部4を飽和炭化水
素物7でコーティングする。この飽和炭化水素物7は、
90〜120℃の融点を有するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属多孔体基板に
活物質を充填してなるアルカリ蓄電池用非焼結式電極
と、これを用いたアルカリ蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】ポータブル電源等に汎用されているアル
カリ蓄電池には、本発明に係る図2に示すごとく、シー
ト状の正極10および負極11をこれらの間にセパレー
タ12を配置した状態で渦巻状に捲回してなる捲回体電
極群を電極体として用いたものがある。この種のアルカ
リ蓄電池では、捲回体電極群の上下端部の一部を金属集
電端子23・24と接続して電流を取り出しているが、
例えば電動工具に用いられるアルカリ蓄電池においては
10A以上、場合によっては50A程度の大電流で使用
されることがあるため、その内部抵抗を小さくする必要
がある。
【0003】そこで、Ni−Cd電池などでは、内部抵
抗を小さくするために、捲回体電極群を構成している正
極10および負極11の各所定の端部に集電端子23・
24を5点以上の多数点で溶接する方法が採用されてい
る。これは、電極10・11の捲回方向に対して電流の
取り出し部位を多く設けることにより、電極各部の抵抗
が比較的均一になるからである。
【0004】また、最近では電池の高容量化に対する要
求から、負極11に水素吸蔵合金を用いたニッケル水素
蓄電池が使用されるようになってきている。このアルカ
リ蓄電池では、正極10として多数の空孔を有する金属
多孔体からなる電極基板(金属多孔体基板)を用いたペ
ースト式電極が使用される傾向にある。このように金属
多孔体基板を用いるのは、活物質である水酸化ニッケル
の導電性が劣るので、できるだけ多くの活物質を電極内
に充填するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ蓄電池には、
上述のようなNi−Cd電池やニッケル水素蓄電池を始
め各種のものが知られているが、このうちNi−Cd電
池などでは、負極の基板にパンチングメタル等が用いら
れ、正極にはシンター式電極と呼ばれる内部に穿孔鋼板
を有する電極がそれぞれ用いられる。したがって、その
捲回体電極群の上下端部は、負極がパンチングメタル、
正極が穿孔鋼板の鋼板部分となることから、集電端子と
溶接した場合に強度的に問題が生じることはない。
【0006】問題となるのは、正極として金属多孔体基
板を用いたニッケル水素蓄電池の場合である。すなわ
ち、この種のニッケル水素蓄電池においては、電極がニ
ッケル等の金属多孔体で形成されているため、その目付
け量を多くしても上記のパンチングメタルや鋼板部分の
ような強度を確保することができない。また、金属多孔
体基板は穿孔鋼板と比べて強度が劣るため、集電端子と
溶接した際に、基板の破壊が生じやすく、溶接を確実に
行えない点でも問題がある。
【0007】これを防ぐ手段としては、図3(a)に示
すごとく、金属多孔体基板1の上下端部に金属薄板5を
溶接することが知られており、これによれば、基板1の
強度の向上を図ることができるとともに、溶接性の向上
を図ることができる。しかしながら、金属多孔体基板1
の金属薄板5との溶接部分に活物質3が存在すると、溶
接部分の接触抵抗が大きくなって、激しいスパークを生
じ、溶接端子に金属多孔体基板1や金属薄板5が溶けて
付着し、生産性が低下するなどの問題が生じる。
【0008】かかる溶接部分への活物質の充填を防ぐ方
法としては、図3(b)に示すごとく、活物質3の充填
に先立って、予め金属多孔体基板1の端部にプレス加工
を施して圧縮部2を形成することが知られている。これ
によれば、圧縮部2では金属密度が高くなり、活物質3
の充填量を少なくできるので、接触抵抗を減らして、ス
パークの発生を防ぎ、生産性の向上を図ることができ
る。金属密度が高くなることで、電極それ自身の強度の
向上も期待できる。
【0009】しかしこの場合には、図3(c)に示すご
とく、この圧縮部2に補強用の金属薄板5を溶接してか
ら、電極の端部に金属集電端子23を溶接すると、金属
集電端子23から受ける圧力により、金属薄板5が溶接
されていない露出部分4aが座屈し易く、座屈した基板
1がセパレータ12(図2参照)を貫通して短絡を引き
起こすおそれがある。また、電池組み立て後、外力を受
けた際に、前記露出部分4aが座屈するおそれもある。
さらに、組み立て直後には、短絡を生じなくとも、電池
の使用に伴う電極の膨潤により、座屈した露出部分4a
がセパレータ12(図2参照)を貫通するおそれもあ
る。圧縮により生じた電極の段差部の角1aにより、セ
パレータ12を傷つけて、短絡しやすい点でも問題があ
る。また、圧縮部2付近の電極は、活物質の充填性が劣
るため、表面の金属多孔体板が露出しやすく、短絡が生
じやすい。
【0010】また、補強用の金属薄板5としては、鉄を
素材とするものが剛性等の観点から好適であり、特に鉄
にニッケルメッキを施して(以下、Fe−Niメッキと
称す)、鉄イオンの電池内への溶出を防ぎ得るようにし
たものが好適である。しかし、Fe−Niメッキ金属薄
板5を用いると、溶接箇所、あるいはFe−Niメッキ
金属薄板5の切断面から、電池内のアルカリ性、および
正極の酸化性によって、鉄イオンが溶出して、正極の利
用率が低下することは避けられず、サイクル特性悪化を
引き起こす。
【0011】電極強度の向上を図る他の方法としては、
特開平10−321222号公報のごとく、電極板と集
電端子との接合部分にPP樹脂や6−ナイロン等のプラ
スチック樹脂を含浸させて、当該接合部分にプラスチッ
ク樹脂膜をつくることが考えられる。しかし、プラスチ
ック樹脂を含浸させると電極の柔軟性が低下するため、
多大な捲回圧が必要となり、捲回構造がいびつになりや
すく、生産性(歩留まり)の低下を招く。また、プラス
チック樹脂をホットプレス等で含浸させる場合は、12
0℃以上の高温で処理するか、樹脂膜そのものを非常に
薄くする必要があるが、前者の場合では、熱により活物
質の分解や変性が起こって、その利用率が低下する。後
者の場合では、樹脂膜が破れ易くなり、短絡防止効果や
金属イオン溶出防止効果が期待できない。
【0012】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、金属多孔体基板の露出部の座屈
を防いで、生産性(歩留まり)に優れるアルカリ蓄電池
用非焼結電極を得るにある。本発明の目的は、圧縮部に
強度補強用の金属薄板を溶接固着した場合であっても、
かかる金属薄板から金属イオンが溶出するのを確実に防
止でき、リサイクル特性を向上させ得るアルカリ蓄電池
用非焼結電極を得るにある。本発明の他の目的は、これ
らアルカリ蓄電池用非焼結電極を備えたアルカリ蓄電池
を得るにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属多孔
体基板の上端部に、活物質を充填しない露出部を設け、
この露出部を特定の飽和炭化水素物でコーティングすれ
ば、露出部の機械的強度を良好に保って、その座屈を防
ぐことができるともに、金属薄板を固着した場合でも、
かかる金属薄板から金属イオンが溶出するのを確実に防
ぐことができることを見出して本発明に至った。
【0014】すなわち、本発明は、図1(f)・(g)
及び図2に示すごとく、金属多孔体基板1の上端部が、
活物質3を充填されることなく露出された露出部4とさ
れているアルカリ蓄電池用非焼結式電極を対象とする。
そして、前記露出部4が、融点が90〜120℃(90
℃以上、120℃以下)である飽和炭化水素物7でコー
ティングされていることを特徴とする。
【0015】このように、露出部4を飽和炭化水素物7
でコーティングすることにより、金属多孔体基板1の露
出部分の強度の向上を図って座屈を防ぐことができると
ともに、活物質の脱落に伴う短絡の発生を抑えることが
できる。融点を120℃以下の低温とすることにより、
従来のプラスチック樹脂のごとく、ホットプレス加工時
の熱により活物質の分解や変性が起こって、その利用率
が低下することもない。
【0016】図1(f)・(g)及び図2に示すごと
く、前記露出部4の上端部には、圧縮加工により厚みを
減じて圧縮部2を形成し、この圧縮部2には、強度補強
用の金属薄板5を溶接固定する。そして、前記圧縮部2
を含む露出部4と金属薄板5の全体を、前記飽和炭化水
素物7でコーティングする。このように、圧縮部2を形
成することにより、金属多孔体基板1の孔を潰して、活
物質3が充填され難くすることができるので、露出部4
を容易に形成できる。金属薄板5を圧縮部2に固定する
ことにより、強度の向上を図ることができるとともに、
集電体電極23との溶接が容易となる。金属薄板5を含
めて、露出部4全体を飽和炭化水素物7でコーティング
することにより、金属薄板5からの金属イオンの溶出も
防ぐことができるので、サイクル特性の向上も図り得
る。
【0017】前記飽和炭化水素物7が、分岐を有しない
飽和炭化水素物、あるいは分岐を有する飽和炭化水素物
のいずれか一種のみであってもよいし、又はこれら2種
の飽和炭化水素物を混合したものであってもよい。要
は、コーティング剤となる飽和炭化水素物7の融点が、
90〜120℃の範囲内にあればよい。
【0018】前記飽和炭化水素物は、分岐を有する飽和
炭化水素物を含むものであることが好ましい。そうする
ことで、飽和炭化水素物に良好な接着性を与えることが
できる。
【0019】全飽和炭化水素物に対して、分岐を有しな
い飽和炭化水素物を20〜50%(20%以上、50%
以下)含むものであることが好ましい。このように、分
岐を有しない飽和炭化水素物を20〜50%含ませるこ
とで、溶融した飽和炭化水素物の性状に流動性を与え
て、薄く塗布することが可能となる。飽和炭化水素物が
塊状になることを防ぐことができる点でも有利である。
【0020】前記金属薄板がニッケルメッキ鋼板である
ことが好ましい。これにより、安価で、生産性に優れた
で電極を提供できる。
【0021】また、本発明は、図2に示すごとく、正・
負極10・11をセパレータ12を介して渦巻状に捲回
した渦巻状電極体が、電解液13とともに電池ケース1
4内に収容されているアルカリ蓄電池を対象とする。そ
こでは、前記渦巻状電極体の正極10の上端部は、正極
集電体23に溶接接続されており、前記渦巻状電極体の
負極11の下端部は、負極集電体24に溶接接続されて
いる。そして、前記正極10および負極11のいずれか
一方を、上記アルカリ蓄電池用非焼結式電極とすること
を特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において、電極基板として
用いられる金属多孔体基板とは、発泡金属層を有する基
板を意味する。その代表的な作製方法としては、発泡状
の樹脂にニッケルメッキを施し、次いで樹脂を燃焼除去
した後、焼鈍する方法が挙げられる。
【0023】金属多孔体基板の目付け量としては、当該
基板の単位面積当たりの重量を300g/m2 以上、8
00g/m2 以下とすることが好ましく、400g/m
2 以上、600g/m2 以下とすることがより好まし
い。300g/m2 以上、800g/m2 以下とするこ
とにより、活物質の充填量を増加できるとともに、金属
板集電体との溶接予定部である上端部での金属量を増加
させて、金属多孔体基板の強度を確保できる。
【0024】本発明では、金属多孔体基板として、金属
板あるいは穿孔した金属板の両面を発泡金属層により挟
み込んだものも用いることができる。その場合、ウレタ
ンフォームに電解ニッケルメッキ(ニッケル以外の金属
メッキでもよい)を施し、このニッケルメッキを施した
ウレタンフォームを熱分解させた後、焼結することによ
って、基材となる金属板または穿孔した金属板に発泡金
属層を有する上記のような金属多孔体基板を得ることが
できる。
【0025】金属多孔体基板の幅方向(上下方向)の全
範囲にわたって活物質が充填されていると、集電端子や
金属薄板と溶接する際にスパークが生じるので、幅方向
端部には活物質が充填されていない部位、すなわち、活
物質が充填されずに金属多孔体自身が露出している露出
部を形成しておく必要がある。これは、基板の幅方向端
部の金属密度を上げて孔を少なくすることや、活物質充
填に先立って、金属多孔体基板の幅方向端部にプレス加
工を施して圧縮幅狭部を形成し、基板中の空孔を潰し
て、活物質が充填され難くすることで実現できるが、後
者の手段が生産性等の観点から好ましい。この圧縮幅狭
部の厚さとしては、30μm以上、300μm以下であ
ることが好ましく、30μm以上、200μm以下であ
ることがより好ましい。300μmより厚くすると、空
孔の圧縮が不十分となって、活物質の充填を抑えること
ができず、スパークが発生する。30μmよりも薄い
と、基板に伸びが生じるとともに、強度が不十分とな
る。これに対して、200μm以下とすると、活物質の
充填を完全に防ぐことが可能となる。これは特に、後述
のごとく、金属薄板を溶接する場合に好適である。
【0026】金属薄板の材料としては、電気抵抗が低
く、電池内で安定なニッケルが好適であるが、ニッケル
は硬度が低く、溶接時に電極棒に貼り付くなどの不良を
生じるおそれがあるため、硬度の高いFe−Niメッキ
材(ニッケルメッキ鋼板)を用いることが好ましい。F
e−Niメッキ材は、ニッケル材に比べ、安価である点
でも有利である。
【0027】金属多孔体基板の捲回端部のコーティング
材としては、飽和炭化水素物を用いる。かかる飽和炭化
水素物は、炭素−炭素単結合および炭素−水素結合のみ
からなるため、電池反応に関与せず、耐アルカリ性、耐
酸化性に優れており、電池内で安定である。また、一般
的なプラスチック樹脂に比べて安価である点でも有利で
ある。
【0028】一般的に、この種の飽和炭化水素物の膜強
度および融点は、炭素数を増減させることで調整でき
る。すなわち、この種の飽和炭化水素物は、炭素数を少
なくすると、膜強度および融点が低下する傾向にあり、
炭素数を多くすると、膜強度および融点(炭素数が大き
くなると、軟化点と呼ばれることもある)が上昇する傾
向にある。本発明における飽和炭化水素には、金属多孔
体基板の露出部が座屈しないだけの強度を与え得るこ
と、電極の捲回を妨げないだけの柔軟性を有すること、
電池の温度上昇によっても溶出しないこと、活物質を分
解させないほどに融点が低いことなどが求められる。
【0029】以上の知見より、本発明に係る飽和炭化水
素物は、融点が90℃以上、120℃以下とする。融点
を90℃以上とするためには、その炭素数が35以上必
要であり、また、融点を120℃以下とするためには、
炭素数が120以下であることが必要である。すなわ
ち、本発明に係る飽和炭化水素物を別形態で特定する
と、炭素数が35以上、120以下で、融点が90℃以
上、120℃以下の飽和炭化水素物となる。
【0030】融点が90℃未満では、電池の使用中に溶
出するおそれがあり、本発明の効果が期待できない。1
20℃を超えると、コーティングした際に活物質の分解
が生じるおそれがある。また電池の化成条件によって
は、環境温度を80℃にすることがあるため、上記飽和
炭化水素物の融点は、90℃以上であることが好まし
い。電池活物質の酸化などの変性を完全に防ぐために
は、120℃以下であることが好ましい。
【0031】炭素数を35未満とすると、融点が90℃
未満となって上述のような不都合が生じる他、得られた
高分子膜の強度が弱く、金属板集電端子を捲回体極群の
捲回端部に溶接する際に、金属多孔体基板の露出部が座
屈して、この座屈した基板がセパレータを貫通して短絡
を引き起こす。また、外力や電池使用時の電極膨潤によ
っても、露出部が座屈してしまう点でも不利がある。逆
に炭素数が120を超えると、融点が120℃を超える
他、得られた膜硬度が高く、柔軟性に欠けたものとなる
ため、電極の捲回時に多大な捲回圧が必要となり、捲回
構造がいびつになりやすく、生産性(歩留まり)の低下
を招く。これに対して、炭素数が35以上、120以下
であると、金属多孔体基板の露出部の座屈を防ぎ得ると
ともに、柔軟性にも優れた飽和炭化水素膜を得ることが
できる。
【0032】また、この炭素数範囲の飽和炭化水素物
は、溶融させたときの粘度が低く、活物質の充填密度の
低い部分の活物質および金属多孔体基板の隙間に毛細管
現象により浸透するため、長期に渡って、電極強度の向
上効果と短絡防止の効果を発揮する。つまり、圧縮部2
(図1参照)においては、活物質が吸引や吹き飛ばしに
より除去されているため、圧縮部2の近傍であるA部分
では活物質の充填密度が低く、A部分の基板1が露出し
て短絡の原因となりやすい。これに対して本発明におい
ては、当該A部分に毛細管現象で必要最小限の飽和炭化
水素物を含浸させることにより、A部分の露出に起因す
る短絡を確実に防止できる。
【0033】上記飽和炭化水素物は、分岐を有しない飽
和炭化水素物、あるいは分岐を有する飽和炭化水素物の
いずれか一種のみ、又はこれら2種の飽和炭化水素物を
混合したものであってもよい。特に、飽和炭化水素物が
分岐していると、結晶性が低下して、柔軟性が向上す
る。
【0034】上述のごとく、飽和炭化水素物は、分岐を
有しない飽和炭化水素物あるいは分岐を有する飽和炭化
水素物のいずれか一種のみであってもよいが、特にこれ
ら2種の飽和炭化水素物の混合物であることが好まし
く、この場合には分岐を有しない飽和炭化水素物が、全
飽和炭化水素物に対して20%以上、50%以下の範囲
で混合させることが好適である。分岐のない飽和炭化水
素物を20%以上含ませると、塗布前に溶解した飽和炭
化水素物の性状に流動性を与えて、粘度を低くできるた
め、薄く塗布できる。塊状になり難い点でも有利であ
る。50%を超えると、結晶性が上がって硬くなり、捲
回時に割れるおそれがある。20%以下では、流動性の
向上効果が得られない。
【0035】この飽和炭化水素物は、市販のパラフィン
ワックスを混合して、調製したものを使用できる。
【0036】本発明に係るアルカリ蓄電池用非焼結式電
極の作製方法の一例について、図1および図2を参照し
て説明する。まず、一枚板の金属多孔体基板1を用意
し、この基板1の金属集電端子23・24(図2参照)
の溶接予定箇所である上端部にプレス加工を施して、そ
の厚み幅を減じて圧縮部2を形成する(図1(a)・
(b))。次に図1(c)に示すごとく、金属多孔体基
板1に対して活物質3を充填する。このとき、圧縮部2
の空孔は潰れているので、活物質3が充填されにくく、
当該圧縮部2は、金属多孔体が露出した露出部4とな
る。次に図1(d)に示すごとく、圧縮部2の側面にF
e−ニッケルメッキ材を素材とする金属薄板5を溶接固
着する。最後に、溶融された飽和炭化水素物7で満され
たバット6内に金属多孔体基板1の上端部を漬け(図1
(e))、当該高分子7を乾燥させることにより、図1
(f)に示すごとく、金属薄板5および圧縮部2が飽和
炭化水素物7でコーティングされた本発明に係るアルカ
リ蓄電池用非焼結式電極を得る。なお、それ以後に図1
(g)に示すごとく、金属多孔体基板1等を所定の厚み
に圧延してもよいし、また、図1(c)に示すごとく、
活物質を充填した後に圧延を行って、最終的に図1
(g)のごとくとしてもよい。なお、圧縮部2に金属薄
板5を溶接固定してからこれらを圧延し、次いで活物質
3を充填し、最後に圧縮部2および金属薄板5に付着の
余分な活物質3を圧縮エアー等で除去した場合にも、図
1(g)と同構成の電極を得ることができる。
【0037】このようにしてなるアルカリ蓄電池用非焼
結式電極では、以下の利点がある。電池側の金属集電
端子23・24との溶接予定部を、活物質3が充填され
てない露出部4としたので、金属薄板5や金属集電端子
10を溶接した際にスパークが発生し難く、生産性(歩
留まり)が向上する。露出部4の全体を飽和炭化水素
物7でコーティングして、露出部4を補強したので、露
出部4の座屈をよく防ぐことができる。特に、図3
(c)に示したごとく、補強用の金属薄板5が固着され
てない部位4aは、金属薄板5が固着されている部位と
比して剛性が小さく座屈し易いが、上述のごとく飽和炭
化水素物7でコーティングすることにより、座屈を抑え
ることができる。従って、座屈した基板1がセパレータ
12(図2参照)を貫通して短絡するなどの不具合が生
じることはない。圧縮により生じた電極の段差部の角1
a(図3(c)参照)により、セパレータ12を傷つけ
て、短絡を引き起こすこともない。金属薄板5も含め
て露出部4全体を飽和炭化水素物7でコーティングした
ことにより、金属薄板5からの金属イオンの溶出、およ
び露出部4からの活物質の脱落を防ぐことができるの
で、サイクル特性の向上や、短絡を防止できる。特に、
毛細管現象により、圧縮部2の近傍であるA部分に飽和
炭化水素物を含浸させることにより、当該A部分の露出
に起因する短絡を確実に防止できる。
【0038】(アルカリ蓄電池の構造)本発明は、例え
ば図2に示すような非水二次電池に適用される。この二
次電池は、上面が開口する筒形の電池ケース14と、電
池ケース14内に装填した、正・負の電極10・11
と、電池ケース14の開口を封止する封口構造とからな
る。正極10と負極11は、セパレータ12を介して渦
巻状に捲回された渦巻状捲回構造の電極体として電解液
13とともに電池ケース14内に収容されている。この
電池では、正極10として水酸化ニッケル正極を用いて
おり、負極11としては図1に示したような本発明のア
ルカリ蓄電池用非焼結式電極を渦巻状に捲回したものを
用いている。なお、正・負極10・11の両方に、本発
明に係るアルカリ蓄電池用非焼結式電極を適用すること
も勿論可能である。
【0039】封口構造は、外面に露出する端子板19
と、端子板19の下部にあって中央にガス通口25を有
する封口板16と、封口板16および端子板19の周縁
に被さる環状ガスケット21とからなる。電池ケースの
先端には、一段窪んだ溝部20が形成されており、環状
ガスケット21は溝部20から先の部分を内方に締め付
けることによって狭圧されている。端子板19は圧延鋼
製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状にな
った断面ハット状をしており、その周面二箇所にスリッ
ト19aが形成されている。封口板16は表面にニッケ
ルメッキが施された圧延鋼を素材とし、環状ガスケット
21はナイロンを素材とする。尚、符号26は、封口板
16と、渦巻電極体との間に設けられた絶縁体を示す。
【0040】端子板19と封口板16との間には、ガス
通口25を密閉するゴム弁体18が配置されている。ゴ
ム弁体18は、圧縮変形された状態で端子板19と封口
板16との間に配置されて、通常時はその下面が封口板
16と密着している。そして、電池ケース14の内圧が
所定値を超えると、封口板16から押し上げられてガス
通口25を開放し、端子板19のスリット19aからガ
スを放出する。
【0041】リード体22はニッケルまたは表面にニッ
ケルメッキが施された圧延鋼製で、前記封口板16と正
極10とを集電端子(正極集電端子)23を介して接続
する。負極11と電池ケース14の底部とはニッケル製
の集電端子(負極集電端子)24で接続されている。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を記載して、より具体
的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例のみ
に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない
範囲内で適宜変更可能であることはいうまでもない。な
お、以下の実施例において、部とあるのは重量部を意味
し、また、濃度や固溶量などを示す%は、特にその単位
を付記しないかぎり重量%である。
【0043】(実施例1)水酸化ニッケル粉末100部
に、水酸化コバルト粉末1部、カルボキシメチルセルロ
ース粉末0.2部および60%ポリテトラフルオロエチレ
ン1部を添加し、混合して正極用ペーストを調整した。
金属多孔体基板として、厚さが1.30mm,幅が120m
m、長さが640mmの三次元多孔性発泡ニッケル材を用
意し、幅方向端部の端(上方端)から3mm幅を50μm
に圧縮し、圧縮部に幅1.5mm、厚さ150μmのFe−
Niメッキリボン(本発明で言うところの金属薄板)を
抵抗溶接した。この基材上に上記正極用ペーストを塗布
し、85℃で乾燥したのち、総厚が230μmとなるよ
うにプレスして、シート状物とした後、幅41mmに裁断
した。また、リボン溶接部の余分な活物質については、
圧縮エアーで除去した。
【0044】コーティング材としては、炭素数43、融
点96℃、分岐数1個の分岐を有する飽和炭化水素物
(A)と、炭素数44、融点99℃の分岐を有しない飽
和炭化水素物(B)と、炭素数173、軟化点54℃、
分岐数5〜10個の分岐を有する飽和炭化水素物(C)
の混合物を用いた。混合比率は、(A)50%、(B)
40%、(C)10%とした。この飽和炭化水素物をバ
ット中で100℃に加熱して、溶解させ、上記電極シー
トのリボン溶接側3mm幅を一秒間浸漬後、引き上げた。
また、他の3辺の端部も飽和炭化水素物の液面に漬け
て、引き上げた。この電極を常温まで冷却し、アルカリ
蓄電池用非焼結式電極とした。
【0045】負極は以下のようにして作製した。市販の
Mm(La、Ce、Nd、Prを含有する)、Ni、C
o、Mn、Al(いずれも純度99%以上)の各試料
を、MmNi3.9Co0.6、Mn0.35Al0.25の組
成になるように高周波溶解炉によって加熱溶解して、水
素吸蔵合金を得た。この水素吸蔵合金を機械的に粉砕す
ることにより、平均粒子径が35μmの水素吸蔵合金粉
末を得た。この水素吸蔵合金粉末100部に、カルボニ
ルニッケル粉末1部、5%ポリ−N−ビニルアセトアミ
ド水溶液10部および40%スチレン−2−エチルヘキ
シルアクリレート共重合体1.7部を添加し混合して、負
極合剤含有ペーストを調整した。この負極合剤含有ペー
ストをパンチングメタルからなる多孔性基材に塗布、充
填し、乾燥して負極合剤層を形成した後、加圧成形し、
その後、所定サイズに裁断してシート状の負極を作製し
た。
【0046】前記の正極と負極をナイロン不織布からな
るセパレータを介して捲回し、得られた捲回体電極群の
正極端面及び負極端面に集電体ニッケル板を抵抗溶接
し、捲回体を得た。この捲回体を単2サイズの電極缶に
入れ、これにアルカリ電解液(30重量%の水酸化カリ
ウム水溶液1リットルにLiOHを17gと酸化亜鉛3
3gを溶解させた水溶液)を注入したのち、密閉し、4
0℃で6時間保存し、72mAで6時間充電した後、7
20mAで6時間充電し、720mAで放電した。この
放充電サイクルを放電容量が一定になるまで繰り返し
て、ニッケル水素蓄電池を作製した。
【0047】(比較例1)飽和炭化水素物の塗着を行わ
なかった以外は、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄
電池を作製した。
【0048】(比較例2)三次元多孔性発泡ニッケル材
を圧縮せずに、Fe−Niメッキリボンを抵抗溶接し、
コーティング材として、飽和炭化水素物の代わりに、ポ
リプロピレン樹脂を用い、これで三次元多孔性発泡ニッ
ケル材のみをコーティングした。それ以外は実施例1と
同様にして、ニッケル水素蓄電池を作製した。
【0049】上記の実施例1及び比較例1・2のニッケ
ル水素蓄電池を1000個作製した際の、各工程の不良
率は表1に示すとおりであった。
【0050】
【表1】
【0051】実施例1では、不良は発生しなかった。比
較例1では、捲回時に金属多孔体露出部による短絡、お
よび集電溶接時に前記露出部分の座屈による短絡、化成
時に電極が膨潤し、金属多孔体露出部分による短絡が見
られた。比較例2では、金属多孔体露出部分にFe−N
iリボンを溶接する際、および金属集電板を溶接する際
にスパークが見られた。捲回時に巻きずれによる不良も
見られた。さらに、化成時に前記露出部分と活物質充填
部分との境界である、活物質充填密度の小さい部分で短
絡が発生した。
【0052】このことから、実施例1のごとく、金属薄
板が溶接された圧縮部分を含む金属多孔体露出部分及び
金属薄板、及び電極端部裁断面を飽和炭化水素物でコー
ティングすれば、前記露出部分に端を発する短絡を防ぎ
得ることがわかる。また、前記露出部分を圧縮すれば、
当該露出部への活物質の充填を防いで、金属薄板溶接時
および金属板集電体溶接時のスパークによる不良を抑え
得ることがわかる。柔軟性に富んだ飽和炭化水素物でコ
ーティングしたことで、捲回時の巻きずれの発生を抑え
得ることわかる。
【0053】次に、上記の実施例1及び比較例1,2の
作製した1000個のニッケル水素蓄電池の中から、そ
れぞれ10セルを無作為に抜粋し、3600mAで−Δ
V5mVまで充電し、次いで3600mAで1.0Vまで
放電した。この充放電を放電容量が電池容量が2500
mAh以下に低下するまで行った。各10個の平均の結
果を図4に示す。
【0054】図4より、実施例1は比較例1、2と比較
してサイクル寿命が延びており、Fe−Niメッキリボ
ンを飽和炭化水素物で被覆することで、電池内へのFe
イオンの溶出を抑えて、正極の利用率低下を防いだこと
がわかる。
【0055】また、各10セルをサイクル試験終了後、
室温で一週間放置した後、電圧が0Vまで低下したセル
数を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2により、実施例1では電圧が0Vまで
低下したセルは皆無であったが、比較例1・2では電圧
が0Vまで低下したセルがあった。この不具合が生じた
セルを分解して観察してみると、比較例1では、金属多
孔体露出部分、該露出部分と活物質充填部分との境界で
ある活物質充填密度の小さい部分、および電極裁断面で
短絡が見られた。また、比較例2では、露出部分と活物
質充填部分との境界部分である活物質充填密度の小さい
部分、および、電極裁断面で短絡が見られた。このこと
から、実施例1では、上記のごとく、金属多孔体露出部
分等を飽和炭化水素物でコーティングすることにより、
サイクル後に電極が膨潤した場合に起こる金属多孔体露
出部分に端を発する短絡を防ぎ、サイクル寿命に優れた
アルカリ電池を得られることがわかった。
【0058】次に、実施例2〜10、および比較例3〜
10を使って、本発明に係る飽和炭化水素物の炭素数、
融点、分岐の有無などの臨海的意義を明らかにする。 (実施例2〜13)飽和炭化水素水素を表3のごとくと
した以外は、実施例1と同様にして、アルカリ蓄電池用
非焼結式電極を得た。
【0059】
【表3】
【0060】(比較例3〜10)飽和炭化水素を表4の
ごとくとした以外は、実施例1と同様にして、アルカリ
蓄電池用非焼結式電極を得た。
【0061】
【表4】
【0062】実施例2〜13、比較例3〜13に係る飽
和炭化水素物について、強度、柔軟性、被覆性、浸透性
について評価を行った。
【0063】強度は、電極、セパレータ、対極、セパレ
ータ、電極、セパレータといった具合に積層したものを
一組として、その端面に金属集電板を抵抗溶接し、金属
集電端子を溶接したときに座屈が認められるか否かを目
視にて確認した。評価は以下のごとくとした。 ○ 座屈は認められない。 △ 僅かだが座屈が認められる。 × 大きな座屈が認められ、セパレータを傷つけるおそ
れがある。
【0064】柔軟性は、電極をセパレータを介して対極
と捲回した際の巻きずれの生じ具合を目視にて確認し、
以下のごとく評価した。 ○ 巻きずれは一切認めらない。 △ 僅かに巻きずれが生じていることが認められる。 × 大きな巻きずれが認められる。
【0065】被覆性は、電極をセパレータと介して対極
と捲回し、その後、捲回体をほどいたときの様子を観察
し、含浸コートした高分子にひび割れが入っているか否
かを目視にて確認し、以下のごとく評価した。 ○ 割れは一切認めらない。 △ 僅かにひびが生じていることが認められる。 × 大きなひび割れが認められる。
【0066】浸透性は、活物質充填部と露出部との境界
部分への飽和炭化水素物の浸透度合いを目視にて確認
し、以下のごとく評価した。 ○ 十分に浸透している。 △ 浸透は不十分である。 × 全く浸透していない。 以上の各項目についての評価結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】表5より、実施例2〜10は、強度、柔軟
性、被覆性、浸透性ともほぼ良好であった。これに対し
て、炭素数が35未満で、融点が90℃未満である比較
例3・4では、強度に問題が生じた。炭素数が120を
超えて、融点が120℃を超える比較5・6では、柔軟
性に欠け、巻きずれが生じた。比較例7・9より、分岐
のない飽和炭化水素物の混合量が20%未満では、浸透
性が不十分であることが確認された。比較例8・10よ
り、分岐のない飽和炭化水素物の混合量が50%を超え
ると、得られた飽和炭化水素物膜の結晶性が上がって硬
くなり、捲回時にひび割れが生じ、被覆性に劣ることが
確認された。
【0069】上記実施例では、融点が90℃〜120℃
の2種の飽和炭化水素物(分岐を有するもの、分岐を有
しないもの)を混合したものをコーティング材とした
が、融点が範囲外の異なる2種の飽和炭化水素物を混合
してもよい。要は、混合物の融点が90℃〜120℃の
範囲であればよい。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、金属
多孔体基板の活物質を含有しない露出部を圧縮し、ある
いはさらに、該圧縮部分上に、金属薄板を溶接し、前記
圧縮部を含む露出部あるいは金属薄板が溶接された圧縮
部を含む露出部及び金属薄板を、飽和炭化水素物でコー
ティングしたので、露出部に原因を発する短絡を防ぎ、
さらにFe−Ni薄板を用いた際に発生するFeイオン
の溶出を低減し、長時間で安価な大電流放充電に適した
アルカリ蓄電池を歩留まりよく提供することができる。
この飽和炭化水素物は、炭素−炭素単結合および炭素−
水素結合のみからなるため、電池反応に関与せず、耐ア
ルカリ性、耐酸化性に優れており、電池内で安定である
点でプラスチック樹脂よりも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルカリ蓄電池用非焼結式電極の
作製方法を示す図である。
【図2】本発明に係るアルカリ蓄電池の一例を模式的に
示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、従来のアルカリ蓄電池用非
焼結式電極の問題点を説明するための図である。
【図4】実施例1および比較例1・2の充放電特性を示
す図である。
【符号の説明】
1 金属多孔体基板 2 圧縮部 3 活物質 4 露出部 5 金属薄板 7 飽和炭化水素物 10 正極 11 負極 12 セパレータ 13 電解液 23 金属集電端子 24 金属集電端子
フロントページの続き (72)発明者 大西 益弘 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5H017 AA02 AS02 BB06 BB08 BB11 BB12 CC05 CC28 DD06 DD08 EE01 EE04 HH01 5H028 AA05 BB04 BB05 BB06 BB07 CC13 EE01 EE06 EE10 HH08 5H050 AA07 AA19 BA11 CA03 CB16 DA12 DA19 EA02 FA05 FA13 GA03 GA07 GA09 GA10 GA22 HA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属多孔体基板の端部が、活物質を充填
    されることなく露出された露出部とされているアルカリ
    蓄電池用非焼結式電極であって、 前記露出部が、融点が90〜120℃である飽和炭化水
    素物でコーティングされていることを特徴とするアルカ
    リ蓄電池用非焼結式電極。
  2. 【請求項2】 前記露出部の端部には、圧縮加工により
    厚みを減じて圧縮部が形成されており、 前記圧縮部には、強度補強用の金属薄板が溶接固定され
    ており、 前記圧縮部を含む露出部と金属薄板の全体が、前記飽和
    炭化水素物でコーティングされている請求項1記載のア
    ルカリ蓄電池用非焼結式電極。
  3. 【請求項3】 前記飽和炭化水素物が、分岐を有しない
    飽和炭化水素物、あるいは分岐を有する飽和炭化水素物
    のいずれか一種のみ、又はこれら2種の飽和炭化水素物
    を混合したものである請求項1又は2記載のアルカリ蓄
    電池用非焼結式電極。
  4. 【請求項4】 前記飽和炭化水素物が、分岐を有しない
    飽和炭化水素物と分岐を有する飽和炭化水素物の混合物
    であり、 全飽和炭化水素物に対して、分岐を有しない飽和炭化水
    素物を20〜50%含む請求項3又は4記載のアルカリ
    蓄電池用非焼結式電極。
  5. 【請求項5】 前記金属薄板がニッケルメッキ鋼板であ
    る請求項2乃至4のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用
    非焼結式電極。
  6. 【請求項6】 正・負極をセパレータを介して渦巻状に
    捲回した渦巻状電極体が、電解液とともに電池ケース内
    に収容されているアルカリ蓄電池であって、 前記渦巻状電極体の正極の上端部は、正極集電体に溶接
    接続されており、 前記渦巻状電極体の負極の下端部は、負極集電体に溶接
    接続されており、 前記正極および負極の少なくともいずれか一方が、請求
    項1乃至5のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用非焼結
    式電極であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
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