JP2003028102A - 切換弁 - Google Patents

切換弁

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JP2003028102A
JP2003028102A JP2001220168A JP2001220168A JP2003028102A JP 2003028102 A JP2003028102 A JP 2003028102A JP 2001220168 A JP2001220168 A JP 2001220168A JP 2001220168 A JP2001220168 A JP 2001220168A JP 2003028102 A JP2003028102 A JP 2003028102A
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Masahiko Ito
雅彦 伊藤
Yoichiro Kotake
洋一郎 小竹
Fumiaki Egawa
史晃 江河
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧ショベル(S)の走行モータ(A)を駆動する
閉回路(1)のメイン高圧Phを受けて、走行モータ(A)を
低速又は高速作動状態に切換える切換弁(3)において、
その切換え時のハンチングを確実に防止するとともに、
切換えのタイミングを大きく変更できるようにして、操
作性の向上を図る。 【解決手段】 ハウジング(8)内に排出位置(低速側位
置)又は供給位置(高速側位置)のいずれかに切換えら
れるように収容したスプール(9)を、スプリング(10)に
より排出位置に向かうように付勢する。該スプール(9)
に第1及び第2貫通路(28,29)を設け、第1貫通路(28)
は、排出位置及び供給位置の両方でPポートに連通し
て、排出位置へ向かうようにメイン高圧Phを受けるも
のとし、一方、第2貫通路(29)は供給位置のみでPポー
トに連通して、供給位置へ向かうようにメイン高圧Ph
を受けるものとする。ハウジング(8)にチャージ圧Pi
を導いて、スプール(9)を供給位置に向かうように押圧
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、建設機械
の走行モータ等のように液圧ポンプからの作動液を受け
て動作する容量可変の液圧式アクチュエータに付設さ
れ、このアクチュエータの可変機構に対する供給液圧を
調整して、アクチュエータの作動状態を低速又は高速の
いずれかに切換える切換弁の構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば実公平7−32222
号公報に開示されるように、この種の切換弁をクローラ
車両の走行駆動液圧回路に適用したものがある。この従
来例のクローラ車両の場合、走行モータはその容量が大
小2段階に切換えられる可変斜板式ピストンモータであ
り、斜板の傾斜角度を大小2段階に切換える傾転シリン
ダを備えている。そして、切換弁は、前記走行モータと
ポンプとを結ぶ閉回路の高圧側からのパイロット圧を受
けて、その液圧が所定の切換圧を超えたとき、即ち走行
モータにかかる負荷が所定以上に大きくなったときに低
速側位置に切換わって、走行モータを低速運転させる一
方、負荷が小さくなれば高速側位置に切換わって走行モ
ータを高速運転させる。つまり、走行モータに作用する
負荷の大きさに応じて切換弁の位置が切換えられること
で、走行モータの運転状態が自動的に負荷の大きさに対
応するものとなる。
【0003】より詳しくは、前記従来の切換弁は、モー
タケーシングの内部に形成したハウジング内にその軸線
方向に摺動するようにスプールを収容したものであり、
このスプールがスプリングによって高速側位置に向かう
ように押圧付勢されるとともに、閉回路の高圧側から導
かれるパイロット圧によって低速側位置に向かうように
押圧されている。そして、クローラの走行中に走行モー
タへの負荷が増大して閉回路の液圧が上昇すると、この
液圧を受けるスプールがスプリングのばね力に抗して低
速側位置に切換わり、これにより走行モータは相対的に
大きなトルクを発生し得る低速運転状態になる。また、
その後、走行モータの負荷が低下すれば、切換弁のスプ
ールはスプリングのばね力によって低速側位置から高速
側位置に切換えられ、これにより、走行モータは相対的
に小さなトルクでもって高速に回転する高速運転状態に
なる。
【0004】ところで、そのようにスプリングによって
スプールを付勢するようにした構造では、該スプリング
のばね力が変位量に略比例することから、スプールの位
置に応じて付勢力が変化することになり、例えば前記従
来例のものでは、スプールが高速側位置にあるときより
も低速側位置にあるときの方がスプリングの圧縮変位量
が大きい分だけそのばね力が大きくなり、これによりス
プールへの付勢力が大きくなる。
【0005】このことを利用して、前記従来例のもので
は、走行モータが低速運転から高速運転に切り換わると
きの切換圧と高速運転から低速運転に切り換わるときの
切換圧との間にヒステリシスを持たせて、運転状態の切
換え動作を安定化させるようにしている。具体的には、
切換弁のスプールにパイロット圧を導く第1ポートに対
して該スプールの外周面のランドをオーバーラップさせ
ることで、低速側位置と高速側位置との間に中立位置を
設け、その中立位置にある間、即ちスプールが第1ポー
トを塞ぎながら移動する間にスプリングのばね力が変化
する分だけ、ばね力に均衡するパイロット圧の大きさを
異ならせている。
【0006】このことで、前記従来例のものでは、切換
弁が高速側位置から低速側位置に切り換わるときの切換
圧(高速側切換圧)がその反対に低速側位置から高速側
位置に切換わるときの切換圧(低速側切換圧)よりも高
くなり、例えば、クローラ車両が走行中に登り坂にさし
かかって走行負荷が増大し、閉回路の液圧が高速側切換
圧を超えると、その液圧をパイロット圧として受ける切
換弁が高速側位置から低速側位置に切り換わって、走行
モータが低速運転状態になる。このとき、走行モータの
容量の変化に伴い、閉回路の液圧は一時的に低下して前
記高速側切換圧よりも低くなるが、低速側切換圧よりも
高い状態であれば、切換弁が直ちに高速側位置に戻るこ
とはない。このように、高速側及び低速側切換圧の間に
ヒステリシスを持たせることで、切換え時の液圧の変動
に起因するハンチングの防止が図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記の如く
高速側及び低速側切換圧の間にヒステリシスを持たせる
ようにしていても、従来例のものでは、それらの切換圧
の大きさがスプリングのばね力のみによって設定され、
ヒステリシスの幅もスプリングの硬さやスプールの寸法
等に依存しているから、スプリングの個体差によって切
換圧の大きさやヒステリシスの幅にばらつきを生じやす
く、狙い通りにハンチングを防止できないことがある。
【0008】また、ハンチングの防止のためにヒステリ
シスの幅をある程度大きくしようとすると、そのためだ
けにスプリングをかなり硬くしたり、スプールのランド
とポート開口部との間のオーバーラップ量をかなり大き
くしたりしなくてはならず、このことによってスプール
の本来の動作が損なわれたり、切換弁全体の寸法が無用
に大きくなったりするという不具合も生じる。
【0009】さらに、そのようにスプリングの硬さやス
プールの寸法を変更したとしても、それでも尚、切換圧
の大きさやヒステリシスの幅の変更の自由度は小さいか
ら、主機側の仕様に合わせてアクチュエータの運転切換
のタイミングを自由に変更できるとは言い難く、主機の
操作性に不満が残るという実状がある。
【0010】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、液圧式アクチュエー
タの容量を切換えるための切換弁において、特にその弁
体の構造に工夫を凝らし、切換え時のハンチングを確実
に防止するとともに、アクチュエータの運転切換えのタ
イミング等を十分に大きく変更できるようにして、油圧
機器の操作性の向上を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の切換弁(3)は、弁体(9)をパイロット圧によ
り低速側位置に向かうように押圧するとともに、その低
速側位置への押圧力を生じさせるようなパイロット圧の
実効受圧面積が低速側位置にあるときに高速側位置にあ
るときよりも大きくなるようにした。ここで、実効受圧
面積というのは、例えば、パイロット圧が弁体(9)の一
部を低速側位置へ押圧するとともに、弁体(9)の他の部
分を高速側位置へ押圧するように作用するときに、その
低速側位置へ向かうようにパイロット圧を受ける部分の
面積から反対向きにパイロット圧を受ける部分の面積を
差し引いたものである。
【0012】具体的に、請求項1の発明は、容量可変の
液圧式アクチュエータ(A)に付設され、このアクチュエ
ータ(A)の可変機構(a3)に対する供給液圧を調整して、
該可変機構(a3)の作動によりアクチュエータ(A)の作動
状態を相対的に大容量の低速作動状態と相対的に小容量
の高速作動状態とのいずれかになるよう切換える切換弁
(3)であって、前記アクチュエータ(A)への作動液の給排
経路(1)から導かれるパイロット圧を受けて、該アクチ
ュエータ(A)の低速作動状態に対応する低速側位置、及
び該アクチュエータ(A)の高速作動状態に対応する高速
側位置のいずれか一方に切換えられる弁体(9)と、この
弁体(9)を高速側位置に向かうように付勢する付勢手段
(12)とを有し、かつ該弁体(9)を、前記パイロット圧に
より低速側位置に向かうように押圧するとともに、その
押圧力を生じさせるようなパイロット圧の実効受圧面積
を低速側位置において高速側位置よりも所定値以上、大
きくなるように構成したものである。
【0013】前記の構成により、まず、切換弁(3)の弁
体(9)が高速側位置にあるときには、アクチュエータ(A)
は高速作動状態になっていて、給排経路(1)からの作動
油の供給を受けて相対的に小さな出力でもって高速に作
動する。この状態でアクチュエータ(A)に加わる負荷が
増大して、給排経路(1)の液圧が所定以上に大きくなる
と、この液圧をパイロット圧として受ける切換弁(3)の
弁体(9)が、付勢手段(12)の付勢力に抗して低速側位置
に切換えられ、これによりアクチュエータ(A)は相対的
に大きな出力を発生し得る低速作動状態になる。一方、
アクチュエータ(A)が低速作動状態になっているときに
負荷が減少して、給排経路(1)の液圧が低下すると、切
換弁(3)の弁体(9)が付勢手段(12)により高速側位置に切
換えられて、アクチュエータ(A)が高速作動状態にな
る。
【0014】ここで、前記弁体(9)は、低速側位置にあ
るときのパイロット圧の実効受圧面積が高速側位置にあ
るときよりも所定値以上、大きくなるように構成されて
いるから、付勢手段(12)による付勢力が略一定であると
すれば、弁体(9)が低速側位置から高速側位置に切り換
わるときの切換圧(以下、低速側切換圧ともいう)は、
反対に高速側位置から低速側位置に切り換わるときの切
換圧(以下、高速側切換圧ともいう)に比べて前記所定
値の分だけ低い値となる。
【0015】つまり、切換弁(3)の低速側切換圧と高速
側切換圧との間に実効受圧面積の差に対応する幅のヒス
テリシスを持たせることができるから、スプリングの個
体差等の影響を排除して、確実にハンチングを防止する
ことができる。しかも、切換弁(3)全体の無用の寸法増
大を招くこともない。
【0016】さらに、前記のような実効受圧面積の設定
を弁体(9)において行えるようにしているから、例えば
弁体(9)を交換等すれば、弁室には何ら変更を加えるこ
となく、その実効受圧面積を大幅に変更することができ
る。このことで、低速側又は高速側切換圧の大きさやヒ
ステリシスの幅を大きく変更して、アクチュエータ(A)
の運転切換えのタイミングを自由に設定することが可能
となり、これにより、アクチュエータ(A)の操作性を大
幅に向上できる。
【0017】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
ける弁体(9)を、ハウジング(8)の軸線方向に摺動自在に
配設されたスプールとし、前記ハウジング(8)の内周面
にはパイロット圧を導く通路の端部(17)を開口させると
ともに、該ハウジング(8)内に、前記スプール(9)が低速
側位置にあるときと高速側位置にあるときとの両方で前
記通路の開口部(17)に連通して該スプール(9)にパイロ
ット圧を作用させる第1の作用室(28)と、スプール(9)
が高速側位置にあるときにのみ前記開口部(17)に連通し
て該スプール(9)にパイロット圧を作用させる第2の作
用室(29)とをそれぞれ区画形成し、さらに、前記第1の
作用室(28)におけるパイロット圧の実効受圧面積を、第
1及び第2の両方の作用室(28、29)における合計の実効
受圧面積よりも大きくする。
【0018】この構成では、ハウジング(8)(弁室)内
をスプール(9)が低速側位置と高速側位置との間で摺動
することにより、該ハウジング(8)内の第1及び第2作
用室(28,29)とパイロット圧を導く通路との間の連通状
態が変化し、スプール(9)が低速側位置にあるときには
第1作用室(28)にパイロット圧が供給される一方、高速
側位置にあるときには第1及び第2の両方の作用室(28,
29)にパイロット圧が供給される。従って、その第1作
用室(28)におけるパイロット圧の実効受圧面積が第1及
び第2作用室(28,29)における合計の実効受圧面積より
も大きければ、スプール(9)が低速側位置にあるときの
実効受圧面積を高速側位置にあるときに比べて確実に大
きくすることができ、このことで、請求項1の発明の作
用効果を十分に得ることができる。
【0019】尚、前記第1作用室(28)におけるパイロッ
ト圧の実効受圧面積を第1及び第2作用室(28,29)にお
ける合計の実効受圧面積よりも大きくするためには、例
えば、第1作用室(28)においてはパイロット圧によりス
プール(9)に対し全体として低速側位置へ向かう押圧力
を生じさせるようにし、一方、第2作用室(29)において
はパイロット圧によりスプール(9)に対し全体として高
速側位置へ向かう押圧力を生じさせるようにすればよ
い。
【0020】請求項3の発明では、請求項2の発明にお
けるスプール(9)に、第1又は第2の作用室(28,29)の少
なくとも一方に臨んで、パイロット圧の実効受圧面積を
調整する受圧面積調整部材(32,33)を組み込むものとす
る。このことで、受圧面積調整部材(32,33)によりスプ
ール(9)の第1又は第2作用室(28,29)におけるパイロッ
ト圧の実効受圧面積を調整して、低速側又は高速側切換
圧の大きさやヒステリシスの幅を容易にかつ確実に変更
することができる。
【0021】請求項4の発明では、請求項2又は3のい
ずれかの発明における付勢手段(12)を、液圧源(11)から
の液圧をハウジング(8)内に導いて、スプール(9)を高速
側位置に向かうように押圧付勢するものとし、かつ、前
記ハウジング(8)内に、スプール(9)を低速側位置に向か
うように付勢するばね部材(10)を配設する構成とする。
【0022】この構成では、液圧源(11)からハウジング
(8)に導かれる液圧によりスプール(9)を押圧して、高速
側位置に向かうように付勢することができる一方、その
液圧の導入を遮断すれば、スプール(9)をばね部材(10)
により付勢し、常時、低速側位置に位置付けることがで
きる。このことで、アクチュエータ(A)を常時、低速作
動状態に固定する低速固定モードと、負荷の状態に応じ
て低速又は高速作動状態に自動で切換える自動2速モー
ドとのいずれかに切換えて作動させることができ、利便
性及び操作性がさらに向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る切換弁を、油
圧ショベルの走行モータを駆動する油圧回路に適用した
実施形態について、図面に基いて説明する。
【0024】(油圧ショベルの全体構成)図1に示すよ
うに、油圧ショベル(S)は、車体(S1)の左右両側にそれ
ぞれ配設クローラ(S2,S2)が、また車体(S1)の上部に上
部旋回体(S3)が配設されるとともに、ブーム(S4)、アー
ム(S5)、バケット(S6)、排土プレート(S7)を備えてい
る。また、図示しないディーゼルエンジンにより油圧ポ
ンプ(P)(以下、メインポンプという)を回転駆動して
エンジンの出力を油圧動力に変換し、該メインポンプ
(P)から吐出する作動油を以下の各油圧アクチュエータ
に供給するようになっている。すなわち、メインポンプ
(P)から吐出される作動油は左右一対の走行モータ(A)
(車体左側のもののみを示す)、旋回モータ(B)、ブー
ムシリンダ(C)、アームシリンダ(D)、バケットシリンダ
(F)及びリフトシリンダ(G)に分配供給され、これによ
り、各アクチュエータが作動して、油圧ショベル(S)の
走行や旋回動作或いは掘削等の作業が行える。
【0025】前記各走行モータ(A)は、メインポンプ(P)
からの作動油により正転作動または逆転作動が可能な2
方向回転形のもので、左右のクローラ(S2,S2)をそれぞ
れ正転または逆転させることで、油圧ショベル(S)を前
進、後退等させることができるものである。一方、旋回
モータ(B)は、前記走行モータ(A)と同様に正転作動また
は逆転作動が可能な2方向回転形のもので、油圧ショベ
ル(S)の上部旋回体(S3)を、鉛直方向の回転軸の回りに
左右何れかの側に旋回させるものである。また、前記ブ
ームシリンダ(C)、アームシリンダ(D)、バケットシリン
ダ(F)及びリフトシリンダ(G)は、それぞれ、メインポン
プ(P)からの作動油の供給により進退作動され、ブーム
(S4)、アーム(S5)、バケット(S6)及び排土プレート(S7)
を水平軸の回りに上下方向に回転駆動して、掘削作業等
を行わせる。
【0026】(走行モータの駆動回路)次に、前記走行
モータ(A)を駆動する油圧回路の構成を、車体左側のも
のを例にとって説明する。この走行モータ(A)は、図2
に模式的に示すように、油圧閉回路(1)によりメインポ
ンプ(P)に接続されていて、その閉回路(1)から供給され
る作動油により回転駆動される斜板式アキシャルピスト
ンモータである。この走行モータ(A)は、斜板(a1)の傾
斜角度の調整により容量が大小2段階に変更されるよう
になっていて、斜板(a1)をその傾斜角度が大きくなる向
きに付勢するスプリング(a2)と、閉回路(1)の高圧側の
作動油圧を受けて斜板(a1)をその傾斜角度が小さくなる
向きに傾動させる斜板シリンダ(a3)(可変機構)とを備
えている。
【0027】前記斜板シリンダ(a3)に対し作動油を給排
する経路にはその上流側から順に、閉回路(1)の一対の
通路(1a,1b)のうちの高圧側を選択する高圧優先形のシ
ャトル弁(2)と、このシャトル弁(2)からの作動油を走行
モータ(A)の斜板シリンダ(a3)に対して供給又は遮断す
る切換弁(3)とが介設されている。前記シャトル弁(2)の
2つの作動油取入口はそれぞれ連通路により閉回路(1)
の一対の通路(1a,1b)に個別に連通される一方、作動油
の出口は通路(4)により切換弁(3)のPポートに連通され
ており、2つの取入口のうちの高圧側のものが選択的に
出口に接続されるとともに、低圧側の取入口が閉止され
るようになっている。
【0028】また、前記切換弁(3)は、PポートとAポ
ートとを互いに連通させかつDrポートを閉止する供給
位置と、該DrポートとAポートとを互いに連通させか
つPポートを閉止する排出位置とを有し、供給位置にあ
るときにはPポートから供給される作動油をAポートに
流通させて、通路(5)により斜板シリンダ(a3)に供給す
る一方、排出位置にあるときには、該通路(5)を介して
斜板シリンダ(a3)から排出された作動油をDrポートか
らドレン通路(6)に流通させて、油タンク(7)に排出させ
る。この切換弁(3)により斜板シリンダ(a3)への作動油
の供給油圧を切換えて、該斜板シリンダ(a3)により斜板
(a1)の傾斜角度を大小いずれかに切換えることで、走行
モータ(A)の運転状態が相対的に大容量の低速運転状態
と相対的に小容量の高速運転状態とのいずれかに切換え
られる。
【0029】すなわち、図示の如く切換弁(3)が排出位
置にあるときには、斜板(a1)はスプリング(a2)のばね力
により傾斜角度の大きい状態に維持されていて、走行モ
ータ(A)は、相対的に容量が大きく低速で大きなトルク
を発生し得る低速運転状態になる。一方、切換弁(3)が
供給位置にあるときには、斜板(a1)は斜板シリンダ(a3)
により傾動されて傾斜角度の小さな高速運転状態になる
から、走行モータ(A)は相対的に容量が小さく、小さな
トルクでもって高速に回転する状態になる。つまり、こ
の実施形態では、前記切換弁(3)における排出位置(図
の上側の位置)が走行モータ(A)の低速運転状態に対応
する低速側位置であり、また、供給位置(図の下側の位
置)が走行モータ(A)の高速運転状態に対応する高速側
位置である。
【0030】前記切換弁(3)は、詳しくは後述するが、
概略円筒状のハウジング(8)内にその長手方向に摺動す
るようにスプール(9)を収容したものであり(図3参
照)、このスプール(9)は、ハウジング(8)内に配設され
たスプリング(10)(ばね部材)のばね力によって排出位
置に向かうように付勢されるとともに、Pポートに供給
される閉回路(1)の高圧側の油圧(請求項1に記載のパ
イロット圧:以下、メイン高圧ともいう)を受けて、同
じく排出位置に向かうように押圧されている。さらに、
前記切換弁(3)には、油圧ショベル(S)のエンジンにより
駆動されるチャージポンプ(11)(液圧源)からのパイロ
ット圧(以下、チャージ圧という)をハウジング(8)内
に導いて、スプール(9)を供給位置に向かうように押圧
するパイロット通路(12)(付勢手段)が接続されてい
る。
【0031】このことで、前記切換弁(3)のスプール(9)
は、スプリング(10)のばね力により排出位置に向かうよ
うに付勢されるとともに、閉回路(1)の高圧側から導か
れるメイン高圧を受けて排出位置に向かうように押圧さ
れる一方、チャージ圧により供給位置に向かうように押
圧されており、それらのばね力、メイン高圧及びチャー
ジ圧の均衡によって、排出位置又は供給位置のいずれか
に切換えられるようになる。これにより、走行モータ
(A)の運転状態がその負荷状態に応じて低速運転状態と
高速運転状態とに切換えられる。
【0032】また、前記切換弁(3)とチャージポンプ(1
1)とを接続する通路には、該切換弁(3)をチャージポン
プ(11)の吐出口又は油タンク(7)のいずれかに切換えて
接続する電磁弁(13)が介設されており、この電磁弁(13)
により切換弁(3)へのチャージ圧の導入が断たれると、
切換弁(3)のスプール(9)がスプリング(10)により供給位
置に付勢されて、走行モータ(A)は常時、低速運転状態
に固定される。
【0033】つまり、電磁弁(13)の作動により、切換弁
(3)へチャージ圧を供給又は遮断することで、走行モー
タ(A)を常時、低速運転状態とする低速固定モードと、
低速又は高速運転状態に自動で切換える自動2速モード
とのいずれかに切換えることができるようになってい
る。
【0034】次に、前記切換弁(3)の構造について詳細
に説明する。前記図3に示すように、切換弁(3)のハウ
ジング(8)は図の左右方向(軸線X方向)に長い円筒状
であり、その軸線Xに沿って略一定の直径(D1)の円
形断面を有するとともに、両端部にそれぞれプラグ(1
4,15)が螺入されて、閉止されている。また、ハウジン
グ(8)の内周面には、長手方向である軸線(X)方向の一側
から他側(図の左側から右側)に向かって、パイロット
通路(12)に連通するPiポート開口部(16)と、通路(4)
に連通するPポート開口部(17)と、通路(5)に連通する
Aポート開口部(18)と、ドレイン通路(6)に連通するD
rポート開口部(19)とが順番に、かつ図の上下に分かれ
て交互に開口されている。さらに、ハウジング(8)の他
端側にはコイルスプリング(10)を配設するための拡径部
(8a)が形成されている。
【0035】一方、スプール(9)の外周には、軸線(X)方
向の一側から他側に向かって順番に第1、第2及び第3
の3つの大径部(20,21,22)が形成されるとともに、スプ
ール(9)の内部には他端側の約1/3の範囲に亘ってス
プリング(10)の収容孔(23)が同心状に形成され、この収
容孔(23)の端部がスプール(9)の他端面に開口してい
る。そして、スプリング(10)の一端部が収容孔(23)の底
面に当接する一方、他端部がプラグ(15)により保持され
ていて、スプール(9)はスプリング(10)により軸線(X)方
向の一側、即ち排出位置に向かうように押圧付勢されて
いる。
【0036】詳しくは、前記プラグ(15)のボス部には同
心状の円形孔部(15a)が形成され、また、プラグ(15)の
本体には前記円形孔部(15a)に連通するように貫通孔(15
b)が形成されている。この貫通孔(15b)には調整ネジ(2
4)が螺入されていて、その一端側が孔部(15a)内に突出
する一方、調整ネジの(24)他端側はプラグ(15)本体から
外方に突出し、ナット(25)により固定されている。ま
た、プラグ(15)の孔部(15a)には、スプリング(10)の他
端側を支持する支持部材(26)と、この支持部材(26)の位
置を前記調整ネジ(24)により調整するための中間部材(2
7)とが配設されており、前記ナット(25)を緩めて調整ネ
ジ(24)を回せば、中間部材(27)を介してスプリング(10)
の他端部の位置を軸線(X)方向に調整することができ、
これにより、スプリング(10)によるスプール(9)への付
勢力を調整できるようになっている。
【0037】また、前記スプール(9)の内部には、図示
の如く軸線(X)に直交する方向から見て、第2大径部(2
1)の軸線(X)方向両側においてそれぞれスプール(9)を貫
通する2つの貫通路(28,29)が形成されるとともに、こ
のうちの軸線(X)方向他側寄りの第1貫通路(28)の中間
部分から分岐して軸線(X)に沿って他側に伸び、他側の
端部が収容孔(23)の底面に開口する第1中心孔(30)と、
軸線(X)方向一側寄りの第2貫通路(29)の中間部分から
分岐して軸線(X)に沿って一側に伸び、一側の端部がス
プール(8)の一側端面に開口する第2中心孔(31)とが形
成されている。これら第1及び第2中心孔(30,31)はい
ずれも軸線(X)方向に内径が略一定な円形断面を有する
ものであり、第1中心孔(30)の内径(D2)は第2中心
孔(31)の内径(D3)よりも所定値だけ大きくされてい
る。
【0038】さらに、前記2つの中心孔(30,31)にはそ
れぞれ丸棒部材(32,33)が油密に挿入されて、軸線(X)方
向に摺動自在となっており、第1中心孔(30)に挿入され
た第1丸棒部材(32)は、軸線(X)方向の他端側がスプー
ル(9)のスプリング収容孔(23)内に突出して、その端面
がスプリング(10)の支持部材(26)に当接している。ま
た、第2中心孔(31)に挿入された第2丸棒部材(33)は、
軸線(X)方向の一端側がスプール(9)の一側端面に突出し
て、その端面がプラグ(14)のボス部の端面に当接してい
る。
【0039】そして、前記図3に示すように、スプール
(9)がスプリング(10)のばね力により軸線(X)方向一側に
押し付けられて排出位置にあるときには、該スプール
(9)の第1貫通路(28)がPポート開口部(17)に連通され
て、メイン高圧を導入されるとともに、スプール(9)の
第2貫通路(29)がPiポート開口部(16)に連通される。
また、そのPiポート開口部(16)は、第1大径部(20)よ
りも軸線(X)方向一端側のスプール(9)とハウジング(8)
との間の一端側空間部(34)にも連通される。さらに、A
ポート開口部(18)とDrポート開口部(19)とは、第3大
径部(22)よりも軸線(X)方向他端側のスプール(9)外周及
びハウジング(8)内周の間の間隙により互いに連通され
る。このことで、スプール(9)は、第1貫通路(28)の内
部を満たす作動油を介してメイン高圧を受けるととも
に、Piポートにチャージ圧が供給されていればこのチ
ャージ圧を受けることになる。
【0040】この際、前記第1貫通路(28)の軸線(X)方
向一側(図の左側)の壁面にはメイン高圧がスプール
(9)を一側に押圧するように作用し、一方、他側(図の
右側)の壁面にはメイン高圧がスプール(9)を他側に押
圧するように作用する。ここで、前記したが、第1貫通
路(28)の軸線(X)方向他側の壁面には第1中心孔(30)が
開口しているから、第1貫通路(28)全体ではメイン高圧
はスプール(9)を軸線(X)方向一側に押圧するように作用
することになり、かつその押圧力を生じる実質的な受圧
面積(実効受圧面積)は、第1中心孔(30)の断面積(第
1丸棒部材(32)の断面積)と同じになる。
【0041】より具体的に、まず、スプール(9)を排出
位置に向かって押圧する力F1は、スプリング(10)によ
るばね力FsLと第1貫通路(28)におけるメイン高圧P
hによる押圧力とであり、第1中心孔(30)の内径をD2
として、
【0042】
【数1】
【0043】となる。
【0044】また、パイロット通路(12)にチャージ圧が
供給されている場合、このチャージ圧は第2貫通路(29)
及び一端側空間部(34)の両方で、スプール(9)を軸線(X)
方向の他側に押圧するように作用することになり、この
チャージ圧による押圧力F2は、ハウジング(8)の内径
をD1として、
【0045】
【数2】
【0046】となる。
【0047】従って、パイロット通路(12)にチャージ圧
が供給されていなければ、切換弁(3)のスプール(9)は、
前記押圧力F1のみを受けて常に排出位置に位置付けら
れることになり、一方、パイロット通路(12)にチャージ
圧が供給されていれば、スプール(9)は、前記2つの押
圧力F1,F2の均衡によって排出位置又は供給位置の
いずれかに切換えられることになる。この場合に、スプ
ール(9)が排出位置から供給位置に切り換わるときのメ
イン高圧、即ち低速側切換圧Ph1の大きさは、
【0048】
【数3】
【0049】となる。
【0050】これに対し、図4に示すように、スプール
(9)が軸線(X)方向他側の供給位置にあるときには、該ス
プール(9)の第1及び第2貫通路(28,29)がいずれもPポ
ート開口部(17)に連通されて、メイン高圧を導入される
とともに、該第1貫通路(28)はAポート開口部(18)にも
連通され、このことで、Pポートからの高圧の作動油が
第1貫通路(28)を介してAポートに供給される。また、
スプール(9)の第2貫通路(29)は第1大径部(20)によっ
てPiポート開口部(16)から遮断され、このPiポート
開口部(16)は一端側空間部(34)のみに連通される。さら
に、Drポート開口部(19)とAポート開口部(18)とは第
3大径部(22)によって遮断される。
【0051】この状態では、前記第1貫通路(28)におい
て前記排出位置の場合と同様にメイン高圧が全体として
スプール(9)を軸線(X)方向一側に押圧するように作用す
る。また、第2貫通路(29)においては、この貫通路(29)
の軸線(X)方向一側の壁面に対してメイン高圧がスプー
ル(9)を一側に押圧するように作用する一方、軸線(X)方
向他側の壁面に対してはメイン高圧がスプール(9)を他
側に押圧するように作用するが、該一側の壁面には第2
中心孔(31)が開口しているから、第2貫通路(29)全体で
はメイン高圧はスプール(9)を軸線(X)方向他側に押圧す
るように作用することになる。また、そのように軸線
(X)方向他側への油圧力の実効受圧面積は第2中心孔(3
1)の断面積(第2丸棒部材(33)の断面積)と同じにな
る。
【0052】このため、供給位置にあるスプール(9)を
排出位置に向かって押圧する力F3は、スプリング(10)
によるばね力Fshと、第1及び第2貫通路(28),(29)
に作用するメイン高圧Phと、第1中心孔(30)の内径D
2と、第2中心孔(31)の内径D3とを用いて、
【0053】
【数4】
【0054】となる。ここで、スプール(9)が供給位置
にあるときには、排出位置に比べてスプリング(10)の変
位量が大きいので、ばね力Fsh>FsLである。
【0055】一方、チャージ圧Piは一端側空間部(34)
のみでスプール(9)に作用することになり、この場合は
第2丸棒部材(33)の一側端面を除いたスプール(9)の一
側端面にチャージ圧Piが作用することになるから、ス
プール(9)を供給位置に向かって押圧する力F4は、
【0056】
【数5】
【0057】となる。
【0058】従って、スプール(9)が供給位置から排出
位置に切り換わるときのメイン高圧、即ち高速側切換圧
Ph2の大きさは、
【0059】
【数6】
【0060】となり、前記(式3)、(式6)に基づい
て、高速側切換圧Ph2と低速側切換圧Ph1との間の
圧力差ΔPは、
【0061】
【数7】
【0062】となる。この(式7)から明らかなよう
に、高速側切換圧Ph2と低速側切換圧Ph1との間の
圧力差ΔPは、スプリング(10)の変位量の相違によって
生じるばね力Fsの相違だけではなく、主に供給位置及
び排出位置における油圧の実効受圧面積の相違によっ
て、生じている。言い換えると、第1及び第2中心孔(3
0,31)の内径D2,D3の設定によって、低速側及び高
速側切換圧Ph1,ph2の間に確実にヒステリシスを
持たせることができ、さらに、そのヒステリシスの幅を
自由に変更することができる。
【0063】換言すれば、この実施形態では、前記第1
貫通路(28)により、スプール(9)が排出位置にあるとき
と供給位置にあるときとの両方でPポート開口部(17)に
連通して該スプール(9)にメイン高圧を作用させる第1
の作用室が構成され、また、前記第2貫通路(29)によ
り、スプール(9)が供給位置にあるときにのみPポート
開口部(17)に連通して該スプール(9)にメイン高圧を作
用させる第2の作用室が構成される。
【0064】また、前記第1及び第2丸棒部材(32,33)
により、それぞれ、第1及び第2貫通路(28,29)に臨ん
で、メイン高圧の実効受圧面積を調整する受圧面積調整
部材が構成されている。この第1丸棒部材(32)の断面積
が第2丸棒部材(33)の断面積よりも大きいことで、スプ
ール(9)が供給位置にあるときに第1及び第2貫通路(2
8,29)の両方でスプール(9)に作用するメイン高圧Ph
は、該スプール(9)を排出位置に向かって押圧するもの
となる。また、第2貫通路(29)のみで見れば、メイン高
圧Phはスプール(9)を供給位置に向かうように押圧す
るものであり、結局、スプール(9)が排出位置にあると
きに第1貫通路(28)においてスプール(9)に排出位置に
向かうように作用する押圧力F1は、スプール(9)が供
給位置にあるときに第1及び第2貫通路(28,29)の両方
において作用する押圧力F3よりも大きくなる。これ
は、前記第1貫通路(28)においてスプール(9)を排出位
置に向かうように押圧するメイン高圧Phの実効受圧面
積が、第1及び第2の両方の貫通路(28,29)における合
計の実効受圧面積よりも大きいからである。
【0065】(切換弁の動作)次に、前記の如き構成の
切換弁(3)の動作について説明すると、まず、図2に示
す走行モータ(A)の駆動回路(1)において電磁弁(13)が図
示の如くオフ状態とされているときには、チャージポン
プ(11)からのチャージ圧が切換弁(3)に供給されず、こ
のときには前記図3に示すように切換弁(3)のスプール
(9)が排出位置にあって、スプリング(10)によるばね力
FsLと第1貫通路(28)に作用するメイン高圧Phによ
る押圧力とをいずれも軸線(X)方向一側に受けることに
なる。従って、切換弁(3)のスプール(9)は常に排出位置
に位置付けられ、このことで、走行モータ(A)は常時、
低速運転状態となる。
【0066】これに対し、前記電磁弁(13)のソレノイド
に所定の電流を印加して、切換弁(3)のPiポートにチ
ャージ圧Piを供給するようにした状態では(自動2速
モード)、このチャージ圧Piと閉回路(1)のメイン高
圧Phとスプリング(10)のばね力Fsとの均衡によっ
て、スプール(9)の位置が切換えられるようになる。具
体的には、例えば油圧ショベル(S)の発進加速時には、
図5に一例を示すように、走行モータ(A)の負荷が大き
くなり、このときには切換弁(3)のスプール(9)が排出位
置にあって、走行モータ(A)は低速運転状態になる。ま
た、このとき、走行モータ(A)に作用する相対的に大き
な走行負荷に対応して、閉回路(1)のメイン高圧Phは
低速側切換圧Ph1よりも高くなる。
【0067】続いて、油圧ショベル(S)が略一定速度で
走行するようになり、走行負荷が減少してメイン高圧P
hが低速側切換圧Ph1よりも低くなると(t=t
1)、この低くなったメイン高圧Phによる押圧力に抗
して、スプール(9)がチャージ圧Piにより供給位置に
切換えられる。この切換弁(3)の切換によって走行モー
タ(A)の斜板シリンダ(a3)にメイン高圧Phが供給さ
れ、斜板(a1)が傾動されて走行モータ(A)の容量が減少
される。すなわち、走行モータ(A)は相対的に容量の小
さな高速運転状態に切換えられて、相対的に高回転速度
で運転されるようになる。
【0068】その際、走行モータ(A)への負荷が一定で
あるとすると、低速運転状態から高速運転状態への切換
えに伴うモータ容量の変化によって一時的に閉回路(1)
のメイン高圧Phが上昇することになるが、このときに
メイン高圧Phが高速側切換圧Ph2を超えることはな
いので、切換弁(3)のスプール(9)が直ちに低速側位置に
戻ることはない。つまり、前記したように低速側及び高
速側切換圧Ph1,Ph2の間に十分な幅のヒステリシ
スを持たせているので、切換え時のメイン高圧Phの変
動に起因するハンチングを確実に防止できる。
【0069】その後、油圧ショベル(S)が例えばに登り
坂にさしかかって、走行負荷が再び増大すると(t=t
2)、これに伴い閉回路(1)のメイン高圧Phも上昇す
ることになるが、このメイン高圧Phが高速側切換圧P
h2を超えると(t=t3)、この油圧力を受けるスプ
ール(9)がチャージ圧Piの押圧力に抗して排出位置に
切換えられ、これにより走行モータ(A)が低速運転状態
になって、負荷の増大に対応して大トルクを発生できる
ようになる。このときには、高速運転から低速運転への
切換えに伴うモータ容量の変化によって、一時的に閉回
路(1)のメイン高圧Phが低下することになるが、メイ
ン高圧Phは低速側切換圧Ph1よりも低くなることは
ないので、切換え時のハンチングは確実に防止できる。
【0070】したがって、この実施形態に係る切換弁
(3)によると、スプール(9)を貫通する2つの貫通路(28,
29)を設けて、この各貫通路に対し閉回路(1)から導かれ
るメイン高圧Phをそれぞれ作用させるとともに、該各
貫通路(28,29)におけるメイン高圧Phの実質的な作用
面積を調整するようにそれぞれ丸棒部材(32,33)を配設
して、スプール(9)が排出位置(低速側)にあるときの
メイン高圧Phによる実効受圧面積が供給位置(高速
側)にあるときよりも所定以上、大きくなるようにした
ので、スプリング(10)のばらつき等による影響を除い
て、切換弁(3)の排出位置から供給位置への切換えと供
給位置から排出位置への切換えに、即ち、走行モータ
(A)の低速及び高速運転の相互の切換えに十分な幅のヒ
ステリシスを持たせることができ、これにより、ハンチ
ングを確実に防止できる。
【0071】しかも、前記スプール(9)及び丸棒部材(3
2,33)を一緒に交換して、第1及び第2中心孔(30,31)の
断面積を異ならせることで、ハウジング(8)には何ら変
更を加えることなく、該スプール(9)の各貫通路(28,29)
における実効受圧面積を調整して、低速側又は高速側切
換圧Ph1,Ph2の大きさやヒステリシスの幅を容易
にかつ自由に変更することができるから、油圧ショベル
(S)の走行モータ(A)の低速・高速の切換えタイミングを
十分に大きく変更することが可能となり、これにより、
操作性を大幅に向上できる。
【0072】また、この実施形態の切換弁(3)では、低
速側又は高速側切換圧Ph1,Ph2の大きさやヒステ
リシスの幅を、スプリング(10)のばね力とメイン高圧P
hとチャージ圧Piとの均衡によって設定しているか
ら、チャージポンプ(11)からのチャージ圧Piを変更す
れば、そのことによっても走行モータ(A)の切換えタイ
ミングを変更することができる。さらに、スプリング(1
0)のばね力は調整ネジ(24)により外部から容易に調整で
きるようになっているので、このことによっても走行モ
ータ(A)の切換えタイミングを調整可能である。
【0073】加えて、そのように走行モータ(A)の運転
状態を走行負荷の大きさによって自動的に高低2段階に
切換える自動2速モードと、走行モータ(A)を常時、低
速運転状態に固定する低速固定モードとを、電磁弁(13)
によって切換えることができるから、利便性及び操作性
は極めて高いものである。
【0074】(他の実施形態)尚、本発明の構成は、前
記実施形態のものに限定されることはなく、その他の種
々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形
態では、本願発明に係る切換弁(3)を油圧ショベル(S)の
走行モータ(A)に適用しているが、これに限らず、旋回
モータ(B)やそれ以外のアクチュエータに適用してもよ
い。また、油圧ショベル以外の他の建設機械や産業用車
両は勿論、それ以外の油圧機器全般にも適用可能であ
る。
【0075】また、前記実施形態では、電磁弁(13)によ
り切換弁(3)へのチャージ圧Piを供給又は遮断できる
ようにしているが、これは常時、供給するようにしても
よい。すなわち、例えば図6に示すように、走行モータ
(A)の油圧駆動閉回路(1)に低圧側の油圧を選択するシャ
トル弁(35)を接続して、閉回路(1)の一対の通路(1a,1
b)のうちの低圧側の油圧をパイロット通路(12)により切
換弁(3)のPiポートに導くようにすればよい。
【0076】さらに、前記実施形態の切換弁(3)では、
スプール(9)をスプリング(10)のばね力とメイン高圧P
hとチャージ圧Piとの均衡によって排出位置又は供給
位置に切換えるようにしているが、これに限らず、スプ
ール(9)に対するチャージ圧Piの供給は行わないよう
にしてもよい。すなわち、例えば、前記実施形態とは反
対にスプリングを、スプール(9)を供給位置へ向かって
付勢するように配設し、このスプリングのばね力とメイ
ン高圧Phとの均衡によって、スプール(9)を排出位置
又は供給位置のいずれかに位置付けるようにすればよ
い。
【0077】つまり、本発明のスプールの構成は前記実
施形態のスプール(9)に限定されることはなく、要する
に、スプールに対して、アクチュエータの低速作動状態
に対応する低速側位置に向かうように油圧力を作用させ
るとともに、その油圧力を受けるスプールの実効受圧面
積が低速側位置に置いて反対の高速側位置よりも大きく
なるように構成すればよいのである。
【0078】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る切換弁(1)によると、容量可変の液圧式アクチュ
エータ(A)の可変機構(a3)に対する供給液圧を自動的に
切換えて、該アクチュエータ(A)を低速作動状態及び高
速作動状態のいずれかになるよう切換えるものにおい
て、弁体(9)を、アクチュエータ(A)への作動液の給排経
路(1)から導かれるパイロット圧によって低速側位置に
向かうように押圧させるとともに、その低速側位置への
押圧力を生じさせるようなパイロット圧の実効受圧面積
が低速側位置にあるときに高速側位置にあるときよりも
大きくなるようにしたので、該切換弁(3)の弁体(9)が低
速側位置から高速側位置に切り換わるときの低速側切換
圧を、反対に高速側位置から低速側位置に切り換わると
きの高速側切換圧よりも十分に低い値として、それらの
切換圧の間に実効受圧面積の差に対応する幅のヒステリ
シスを持たせることができ、このことで、ハンチングを
確実に防止することができる。
【0079】しかも、弁室(8)には何ら変更を加えるこ
となく、弁体(9)の交換等によって、実効受圧面積を大
幅に変更することができるから、低速側又は高速側切換
圧の大きさやヒステリシスの幅を自由に変更して、アク
チュエータ(A)の運転切換えのタイミングを自由に設定
することが可能となり、もって、その操作性を大幅に向
上できる。
【0080】請求項2の発明によると、請求項1の発明
における弁体をハウジング(8)の軸線(X)方向に摺動する
スプール(9)とし、このハウジング(8)内にパイロット圧
を導く通路の端部(17)を開口させるとともに、該通路と
の連通状態が前記スプール(9)の移動に伴い変化する第
1及び第2作用室(28,29)を設けることで、スプール(9)
が低速側位置にあるときと高速側位置にあるときとでパ
イロット圧の実効受圧面積を変更して、請求項1の発明
の効果を十分に得ることができる。
【0081】請求項3の発明によると、請求項2の発明
におけるスプール(9)に受圧面積調整部材(32,33)を組み
込むことで、低速側又は高速側切換圧の大きさやヒステ
リシスの幅を容易にかつ確実に変更できる。
【0082】請求項4の発明によると、スプール(9)を
低速側位置に向かうように付勢するばね部材(10)を配設
するとともに、該スプール(9)を液圧源(11)からの別の
パイロット圧により高速側位置に向かうように押圧する
ようにしたので、その別のパイロット圧を導入又は遮断
することで、アクチュエータ(A)を低速固定モードと自
動2速モードとに切換えて運転でき、これにより、利便
性及び操作性をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧ショベルにおける油圧機器の全体構成を示
す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る走行モータ駆動閉回路
の構成図である。
【図3】実施形態に係る切換弁の構成を示す断面図であ
る。
【図4】スプールが供給位置にあるときの図3相当図で
ある。
【図5】油圧ショベルの走行に伴い、走行モータが高速
運転及び低速運転の間で切り換わるときのメイン高圧の
変化を示すタイムチャート図である。
【図6】走行モータを常時、自動2速モードで運転する
ようにした他の実施形態に係る図2相当図である。
【符号の説明】
A 走行モータ(アクチュエータ) a3 斜板シリンダ(可変機構) 1 走行駆動閉回路(給排通路) 3 切換弁 8 ハウジング(弁室) 9 スプール(弁体) 10 スプリング(ばね部材) 11 チャージポンプ(液圧源) 12 パイロット通路(付勢手段) 17 Pポート開口部(パイロット圧を導く通
路の端部) 28 第1貫通路(第1の作用室) 29 第2貫通路(第2の作用室) 32,33 丸棒部材(受圧面積調整部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江河 史晃 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 Fターム(参考) 3H067 AA17 CC44 DD05 DD12 FF17 GG15 GG22 3H089 AA21 AA60 BB10 CC09 DA03 DB37 DB46 DB48 DB76 EE15 EE22 GG02 JJ02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容量可変の液圧式アクチュエータ(A)に
    付設され、このアクチュエータ(A)の可変機構(a3)に対
    する供給液圧を調整して、該可変機構(a3)の作動により
    アクチュエータ(A)の作動状態を相対的に大容量の低速
    作動状態と相対的に小容量の高速作動状態とのいずれか
    になるよう切換える切換弁(3)であって、 前記アクチュエータ(A)への作動液の給排経路(1)から導
    かれるパイロット圧を受けて、該アクチュエータ(A)の
    低速作動状態に対応する低速側位置と、該アクチュエー
    タ(A)の高速作動状態に対応する高速側位置とのいずれ
    か一方に切換えられる弁体(9)と、 前記弁体(9)を高速側位置に向かうように付勢する付勢
    手段(12)とを有し、 前記弁体(9)が、前記パイロット圧により低速側位置に
    向かうように押圧されるとともに、その押圧力を生じさ
    せるようなパイロット圧の実効受圧面積が低速側位置に
    おいて高速側位置よりも所定値以上、大きくなるように
    構成されていることを特徴とする切換弁。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 弁体(9)はハウジング(8)の軸線方向に摺動自在に配設さ
    れたスプールであり、 前記ハウジング(8)の内周面にはパイロット圧を導く通
    路の端部(17)が開口され、 前記ハウジング(8)内には、前記スプール(9)が低速側位
    置にあるときと高速側位置にあるときとの両方で前記通
    路の開口部(17)に連通して該スプール(9)にパイロット
    圧を作用させる第1の作用室(28)と、スプール(9)が高
    速側位置にあるときにのみ前記開口部(17)に連通して該
    スプール(9)にパイロット圧を作用させる第2の作用室
    (29)とがそれぞれ区画形成され、 前記第1の作用室(28)におけるパイロット圧の実効受圧
    面積が、第1及び第2の両方の作用室(28,29)における
    合計の実効受圧面積よりも大きいことを特徴とする切換
    弁。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 スプール(9)には、第1又は第2の作用室(28,29)の少な
    くとも一方に臨んで、パイロット圧の実効受圧面積を調
    整する受圧面積調整部材(32,33)が組み込まれているこ
    とを特徴とする切換弁。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3のいずれかにおいて、 付勢手段(12)は、液圧源(11)からの液圧をハウジング
    (8)内に導いて、スプール(9)を高速側位置に向かうよう
    に押圧付勢するものであり、 前記ハウジング(8)内には、スプール(9)を低速側位置に
    向かうように付勢するばね部材(10)が配設されているこ
    とを特徴とする切換弁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007050392A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Sanyo Kiki Co Ltd 方向切換弁
WO2023171706A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 Kyb株式会社 液圧モータの2速切換弁

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