JP2003027102A - 銀コート金属粉、銀コート金属粉の製造方法、その銀コート金属粉を用いた導電性ペースト、及びその導電性ペーストを用いて形成した導体を含んだプリント配線板 - Google Patents

銀コート金属粉、銀コート金属粉の製造方法、その銀コート金属粉を用いた導電性ペースト、及びその導電性ペーストを用いて形成した導体を含んだプリント配線板

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JP2003027102A
JP2003027102A JP2001205746A JP2001205746A JP2003027102A JP 2003027102 A JP2003027102 A JP 2003027102A JP 2001205746 A JP2001205746 A JP 2001205746A JP 2001205746 A JP2001205746 A JP 2001205746A JP 2003027102 A JP2003027102 A JP 2003027102A
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Takahiko Sakagami
貴彦 坂上
Yasuhide Yamaguchi
靖英 山口
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】銀コート銅粉に代わる銀コート金属粉、銀コー
ト金属粉の製造方法、その製造方法で得られた銀コート
金属粉、その銀コート金属粉を用いた導電性ペースト、
及びその導電性ペーストを用いたプリント配線板を提供
する。 【解決手段】芯材である金属粉の表面に銀コート層を備
えた銀コート金属粉であって、芯材である金属粉は、タ
ングステン又はモリブデンの金属粉であることを特徴と
する銀コート金属粉を用いる。この銀コート金属粉は、
芯材である金属粉の粉粒表面に銀層を形成する銀コート
工程、当該銀コート金属粉の銀層の表面を平滑化するた
めの銀層平滑化工程を備えた製造方法等で製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本件出願に係る発明は、銀コ
ート金属粉、銀コート金属粉の製造方法、その銀コート
金属粉を用いた導電性ペースト、及びその導電性ペース
トを用いたプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から銀コート銅粉が、導電性ペース
トの原料として広く用いられてきた。導電性ペースト
は、その取り扱いの容易さ故に、実験目的の使用から、
電子産業用途に到るまで広範な領域において使用されて
きた。
【0003】中でも、銀層を表面に備えた銀コート銅粉
は、導電性ペーストに加工され、スクリーン印刷法を用
いたプリント配線板の回路形成、各種電気的接点部等に
応用され、電気的導通確保の手段に用いられてきた。即
ち、表面に銀層を備えていない銅粉と比較したときに、
銀コート銅粉は銅よりも電気的伝導性に優れた低抵抗の
銀層が表面を被覆しているため、その銀コート銅粉を用
いた導電性ペーストを用いて、導体形成を行うと低抵抗
の導体の形成が可能となることが知られてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銀コー
ト銅粉は、導電性ペーストに加工したときのペースト粘
度が高く、ペースト製造直後の初期のペースト粘度の経
時変化が起こりやすく、導電性ペーストとしての品質管
理、品質維持に費やす管理が煩雑であり、その使用が拡
大していくための障害ともなっていた。
【0005】これらのことから、導電性ペーストに加工
したときのペースト粘度を低くでき、しかも、導電性ペ
ーストを用いて形成した導体回路のPCT特性を良好と
することのできる導電ペースト用金属粉が、市場で望ま
れてきたのである。
【0006】また、銀コート銅粉は、微細な半田粒と混
合して導電性ペーストとして用いられる場合がある。係
る場合に、半田粒と銀コート銅粉との比重の差が明確に
あることから、比重の高い半田粒が、静置した導電性ペ
ーストの底部に沈降してしまい、混合した銀コート銅粉
と分離する状態が生じていた。
【0007】この問題は、粒単位で考えたときの重量の
問題と考えれば、混合する半田粒と銀コート銅粉との粒
径を調整することで解決可能な場合もある。しかし、比
重の重い半田粒の粒径を小さくして、沈降速度を遅らせ
る事が考えられるが、粒径が小さくなれば、粉粒に与え
られる浮力も小さくなり、結果として、沈降速度を制御
することは困難となり、半田粒と銀コート銅粉とが均一
に分散した状態を長時間維持できる導電性ペーストの提
供は困難となる。
【0008】更に、銀コート銅粉は、導体形成時に導電
性ペーストの有機剤を除去する加熱工程、使用環境等に
よって、芯材である銅粉の領域の酸化が起こりやすく、
電気的抵抗の変化を起こしやすく、この点の改善も求め
られてきた。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本件発明者等
は、まず、半田粒と銀コート金属粉とが均一に分散した
状態を長時間維持できる導電性ペーストの製造の可能
な、銀コート金属粉を得るためには、半田粒に近い比重
を持つ金属粉を用いる必要があると考えた。そして、更
に、上述した酸化の問題を同時に解決するためには、銅
よりも耐酸化性能の高い金属を芯材とし、特定の銀コー
ト状態を呈する銀コート金属粉を用いることに想到した
のである。
【0010】以上に述べた問題を解決するために、請求
項1には、芯材である金属粉の表面に銀コート層を備え
た銀コート金属粉であって、芯材である金属粉はタング
ステン又はモリブデンの金属粉であることを特徴とする
銀コート金属粉としているのである。
【0011】芯材である金属粉に、比重の大きなタング
ステン又はモリブデンの金属粉を用いることにより、銀
コート金属粉としての全体の比重を大きくするのであ
る。この結果、比重の大きな半田粉と混合して導電性ペ
ーストに加工した際の、双方の比重差を軽減し、導電性
ペーストに加工した際の、半田粉が優先沈降を起こさ
ず、半田粉と銀コート金属粉とに分離することの無いよ
うにするのである。タングステン又はモリブデンは、従
来の銀コート銅粉の芯材である銅粉に比べると、非常に
大きな比重を持つものである。銅の場合が8.93g/
cm であるのに対し、タングステンが19.1g/
cm、モリブデンが10.2g/cmである。従っ
て、比重という見地から見た場合に、最も効果的に銀コ
ート金属粉の重量を稼ぐ重量的効果を効率よく得ること
ができるのはタングステンである。
【0012】ところが、このタングステン又はモリブデ
ンのそれぞれの0℃における体積抵抗を考えてみると、
銅が1.55Ω・mであるのに対し、タングステンが
4.9Ω・m、モリブデンが5.0Ω・mである。導電
体形成に用いることを前提に、電気抵抗的見地から考え
るに、タングステン又はモリブデンの電気的抵抗も、銅
の電気的抵抗に比べて高くなっている。しかし、それぞ
れの金属粒の表層には、体積抵抗1.47Ω・mの銀よ
りなる銀コート層が存在しているため、全体的に見た電
気抵抗が大きく劣化することはない。但し、重量的効果
を考慮し、電気抵抗確保の安全を考え併せれば、タング
ステン粒を芯材として用いることが、最も適当であると
考えられるのである。
【0013】また、芯材である金属粒の表面に位置する
銀コート層の厚さが薄く、導電性ペーストの形態を経
て、導体に加工する時に銀コート金属粉の粉粒自体が圧
縮応力を受ける場合には、部分的に銀コート層が薄くな
り、芯材の持つ抵抗値が、形成した導体の抵抗値に影響
を与える場合がある。このような場合、芯材である金属
粒が経時的に酸化する場合があり、酸化が進行すると導
体抵抗値が変化することとなり好ましくない。ところ
が、タングステン又はモリブデンは、銅と比べた場合の
耐酸化性能が飛躍的に優れているため、これらを芯材に
用いた銀コート金属粉は、従来の銀コート銅粉に比べ
て、加工プロセス、使用途中での環境による影響等によ
り芯材部分の酸化進行を効果的に防止できるものとなる
のである。従って、形成した導体抵抗の安定確保が可能
となるのである。
【0014】一方で、多層プリント配線板の層間導通を
確保するため、バイアホール、スルーホール内を、銀コ
ート銅粉を用いて製造した導電性ペーストを用いて充填
してプレス成形して用いる場合がある。係る場合プレス
という成型方法を採用することで、バイアホール等に充
填した導電性ペーストの有機剤を揮発させ、残留させた
銀コート銅粉の粉粒同士に圧縮応力を加えることで、粉
粒同士の接触を確実にするのである。このとき銀コート
銅粉の表層に存在する銀コート層が適度に変形して、相
隣接した粉粒同士の接触部位の面積を広く出来るという
圧縮効果が高いことが望ましい。この圧縮効果が高いほ
ど、低圧力での圧縮でも、銀コート金属粉粒同士の接触
を十分に確保できることとなるのである。この点を考え
ると、芯材として、銅よりも硬い材質の金属材を芯材に
用いれば、圧縮応力に応じて銀コート層の変形が容易に
なると考えられる。
【0015】このような観点から考えると、銅に比べ、
タングステン及びモリブデンは非常に材料としての強度
も高く、硬度も高いものであり、本件発明に係る芯材と
しては望ましいものである。具体的に硬度を示すと、銅
は3、タングステン5〜8、モリブデン4〜6である。
【0016】請求項2には、レーザー回折散乱式粒度分
布測定法による平均粒径D50の値が1.0μm〜1
0.0μmである請求項1に記載の銀コート金属粉とし
ている。ここで、銀の比重を考えると、10.5g/c
であり、モリブデンと同等の比重である。従っ
て、芯材を使わず単なる銀粒としても、本件発明と同様
の目的は達成できると言える。しかしながら、コスト面
を考慮すると、銀の使用量は可能な限り低減したいとい
うに過ぎない。従って、銀層の厚さの上限自体は、特に
限定を要する物でないことが理解できる。
【0017】一方、芯材に用いる金属粉は、タングステ
ン粉又はモリブデン粉の粒径の制御が困難であり、一般
にレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D
50の値が0.5μm〜12.0μmの範囲で広範にば
らついたものとして製造される。このとき半田粉と混合
して導電性ペーストの材料として用いられることを考慮
して、半田粉の粉体特性を考え併せることとする。ここ
で用いられる半田粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測
定法による平均粒径D50の値が5.0μm前後(標準
偏差が0.6〜0.7μm)であり、本件発明に係る銀
コート金属粉と組み合わせるものとして考えねばならな
い。
【0018】そこで、元粉に適正なD50を持つタング
ステン粉又はモリブデン粉を芯材として用い、銀コート
した後の銀コート金属粉は、レーザー回折散乱式粒度分
布測定法による平均粒径D50の値が1.0μm〜1
0.0μmの範囲であることが好ましいのである。銀コ
ート金属粉のD50の値が1.0μm〜10.0μmの
範囲とするために用いる元粉の適正なD50は、0.6
μm〜9.0μmの範囲であることが研究の結果得られ
ている。銀コート金属粉のD50の値が1.0μm未満
であると、半田粒と混合して用いるときに必要な銀コー
ト金属粉の比重を得ることが出来ない。一方、D50
値が10.0μmを越えると、半田粒と銀コート金属粉
とを混合して導電性ペーストを製造したときに、半田粒
と銀コート金属粉との比重バランスが逆転し、銀コート
金属粉の方が導電性ペースト中で優先的に沈殿しやすく
なるのである。より厳密には、導電性ペーストに混合す
る半田粒の含有量、粒度分布等を考慮して、タングステ
ン又はモリブデンのいずれの金属粉を芯材と使用するか
によって、使用目的に応じて、D50の値が1.0μm
〜10.0μmの範囲で調整を行う必要があるのであ
る。
【0019】次に、請求項3には、銀コート層は、銀コ
ート金属粉1gあたり0.02g〜0.2gの銀よりな
る請求項1又は請求項2に記載の銀コート金属粉として
いる。銀コート金属粉の場合、粉粒体一つ一つを捉え
て、銀コート層の厚さを何μm等と定義することも不可
能ではない。しかしながら、工業的見地及び実操業上可
能な品質保証的観点から考えて、銀コート金属粉の単位
重量当たりに含まれる銀量として捉えることが最も妥当
であると考えられる。そこで、本件発明者等は、「銀コ
ート層は、銀コート金属粉1gあたり0.02g〜0.
2gの銀よりなる」としているのである。本件明細書に
おいては、銀コートモリブデン粉の場合には硝酸と硫酸
とを含んだ溶液に全溶解させ、銀コートタングステン粉
の場合には硝酸と硫酸とフッ化水素酸とを含んだ溶液に
全溶解させ、その溶液中に含まれた銀量をイオンプラズ
マ発光分光分析法(ICP法)等により分析し、銀コー
ト金属粉1g当たりの含有銀量として検出し、これを換
算して算出したものである。
【0020】ここで、銀コート金属粉1gあたり銀が
0.02g未満の場合には、上述したD50の値が1.
0μm〜10.0μmの芯材である金属粒を均一に被覆
できず、導電性ペーストを経て、導体形成したときの導
体抵抗を上昇させる要因となる可能性が高いのである。
一方、上述したD50の値が1.0μm〜10.0μm
の芯材である金属粒を用いて製造した銀コート金属粉1
gあたり銀が0.2gを越えた場合には、銀が高価であ
るため経済性が損なわれると共に、湿式法を用いて製造
する場合の銀コート層の形成時に、粉粒同士が凝集しや
すくなるのである。
【0021】次に、本件発明に係る銀コート金属粉を用
いて、導電性ペーストとしたときのペースト粘度に与え
る影響を精査した。そして、銀コート金属粉の粉粒表面
を凹凸のない滑らかな形状とすること、これらが導電性
ペーストに加工した場合のペースト粘度を低くするため
に必要であると判断したのである。このことを背景に、
以下に述べる発明を完成したのである。
【0022】請求項4に記載した発明は、タングステン
又はモリブデンの金属粉を芯材として用い、その表面に
銀コート層を備えた銀コート金属粉の製造方法であっ
て、芯材の表面に銀層を形成する銀コート工程、当該銀
コート金属粉の粉粒表面の平滑化を行う銀層平滑化工程
を備えたことを特徴とする銀コート金属粉の製造方法で
ある。
【0023】ここに述べた、銀コート金属粉の製造方法
を、より簡単に言い表わすとすれば、金属粉の表面を銀
を用いてコートし、銀コート金属粉を製造し、そして、
得られた銀コート金属粉の表面を平滑化させる処理を行
うのである。以下、製造工程を順を追って説明するが、
現在の技術レベルで製造可能なタングステン粉、モリブ
デン粉を、銅粉と比較したときには、銅粉に比べて粒度
分布が広い製品となるのが一般的である。即ち、銅粉と
同等のレベルの粒度分布を得ることは困難と言えるので
ある。従って、いかに銅粉を芯材として用いた場合の値
に近づけるかがポイントとなるのである。このことにつ
いては、実施形態を通じて対比可能なように示すものと
する。
【0024】芯材の表面に銀層を形成する銀コート工程
は、金属粉を銀の置換メッキ可能な溶液中に入れ、攪拌
することで金属粉の表面に銀を析出させる電気化学的手
法を採用することができる。また、物理的手法として、
金属粉をチャンバー内で揺動させつつ、スパッタリング
法を用いて金属粉の表面に銀を着地付着させ、銀コート
層を形成することも可能であり、銀コート層の表面の酸
化を可能な限り防止するという意味においては好ましい
手法である。即ち、銀コート工程における金属粉表面へ
の銀層の形成手段は、特に限定を要するものではない。
銀コートの終了した段階の銀コート金属粉は、芯材に用
いた金属粉に比べ、粒度分布は広く、比表面積も大きく
なっている。即ち、粒径の成長にバラツキがあり、表面
形状が粗くなっているのである。しかも、凝集した2次
構造体となっているのが一般的である。
【0025】次に、銀層平滑化工程で、銀コート工程で
得られた銀コート金属粉の表面の平滑化が行われるので
ある。この表面の平滑化工程で採用する手法としては、
いわゆるジェットミル、ディスインテグレータ、ハイブ
リタイザー等の衝突摩擦式粉砕装置を用いて、各々の銀
コート金属粉の粉粒同士を衝突させることで、粉粒表面
の微細な凹凸を消失させることができる。また、単なる
攪拌翼を備えた攪拌機内で銀コート金属粉を攪拌する方
法、銀コート金属粉を溶液中に入れ溶液攪拌を行う方
法、ボールミルの如きメカニカルな手法等を用いること
も可能である。
【0026】このような手法を採用することで、銀コー
ト金属粉の粉粒表面の微細な凹凸形状を消失させるとと
もに、銀層と金属粉との境界の接合安定性を高め、銀コ
ート工程で生じていた銀コート金属粉の凝集状態を破壊
して、凝集した粉粒の分離を行い、導電性ペーストに加
工した際の銀コート金属粉の分散性を高めることが出来
るという効果が、重畳して同時に得られるのである。従
って、表面平滑化工程を経て得られる銀コート金属粉を
用いて製造される導電性ペーストは、ペースト粘度が低
く、しかも、導電性ペースト中での分散性が高いため電
子産業分野で微細回路の形成に用いても、良好な結果が
得られるのである。
【0027】以上に述べた内容から理解できるように、
請求項4に記載した銀コート金属粉の製造方法で得られ
た製品は、単に、タングステン又はモリブデンのいずれ
かの金属粉を芯材として銀コート層を形成した状態の金
属粉とは、全く異なった製品品質を備えることとなる。
本件発明者等は、請求項3に記載の製造方法で得られた
銀コート金属粉の品質評価に、レーザー回折散乱式粒度
分布測定法による平均粒径D50と粒度分布の標準偏差
SDとの関係式SD/D50×100で表される工程変
動指数CV値、タップ充填密度、及び、比表面積という
特性を用いることとした。これらの値については、実施
形態の中で説明することとする。
【0028】ここで「レーザー回折散乱式粒度分布測定
法による平均粒径D50と粒度分布の標準偏差SDとの
関係式SD/D50×100で表される工程変動指数C
V値」とは、粉体の粒度分布の測定に用いるレーザー回
折散乱式粒度分布測定法を用いて測定した結果として得
られる「レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均
粒径D50」と「標準偏差SD」とを用いて算出される
ものであり、このCV値の値が小さいほど、粉粒の粒径
が揃っており、大きなバラツキをもっていないことを意
味している。一例を示せば、銀コート層の平滑化を行わ
なかった場合の銀コートタングステン粉では、このCV
値が45%以上の値を示していた。そして、銀コート層
の平滑化を行わなかった場合の銀コートモリブデン粉で
は、このCV値が65%以上の値を示していた。ところ
が、請求項4に記載の製造方法をもって得られた銀コー
トタングステン粉のCV値は40%以下、銀コートモリ
ブデン粉のCV値は60%以下と小さくなり、粒度分布
のバラツキが小さくなるのである。
【0029】「タップ充填密度」は、その値が大きいほ
ど、一定の空間に対する銀コート金属粉の充填量が高い
ことを意味する。このとき表面が平滑で滑らかな銀コー
ト金属粉と、表面に凹凸の存在する粗れた表面を持つ銀
コート金属粉とでは、前者のタップ充填密度の値の方が
高くなるのが一般的である。また、「比表面積」とは、
BET法により得られる実測の表面積のことである。従
って、この比表面積の値が小さいほど、滑らかで平滑な
表面を持つ銀コート金属粉であると言えるのである。即
ち、タップ充填密度と比表面積との値を、銀コート金属
粉の表面の平滑さを推測するための指標として用いるこ
とが出来るのである。
【0030】本件発明に係る銀コート金属粉には、導電
性ペーストに加工した際のペースト粘度を低くするた
め、上述したタップ充填密度が高く、且つ、比表面積が
小さいという特性が求められる。銀コート処理しただけ
で、表面平滑化処理を行っていない銀コート金属粉で
は、タップ充填密度は、銀コートタングステン粉は5.
0〜5.8g/cm、銀コートモリブデン粉は2.9
〜3.7g/cm程度となる。そして、比表面積は、
銀コートタングステン粉は0.62〜0.90m
g、銀コートモリブデン粉は0.80〜1.0m/g
程度である。ところが、請求項3に記載の製造方法をも
って得られた銀コート金属粉である、銀コートタングス
テン粉のタップ充填密度は9.0g/cm以上、比表
面積は0.2m /g以下となり、銀コートモリブデン
粉のタップ充填密度は4.0g/cm以上、比表面積
は0.6m/g以下となるのである。
【0031】次に、請求項5には、もう一つの製造方法
として、タングステン、モリブデンのいずれかの金属粉
を芯材として用い、その表面に銀コート層を備えた銀コ
ート金属粉の製造方法であって、金属粉の粉粒表面を平
滑化するための金属粉粒平滑化工程、この金属粉の平滑
表面に銀層を形成する銀コート工程、当該銀コート金属
粉の銀層の表面を平滑化するための銀層平滑化工程を備
えたことを特徴とする銀コート金属粉の製造方法として
いる。
【0032】この製造方法は、まず、銀コート層を形成
する前の金属粉の段階で、その粉粒表面を平滑化するた
めの金属粉粒平滑化工程を設けている。この金属粉の粉
粒表面を平滑化する手段としては、前述した銀層平滑化
手段で用いたと同様の手法を採用することができる。こ
のように銀コート層を形成する前の金属粉の段階で、当
該粉粒の表面を一旦平滑化しておけば、その後に形成す
る銀コート層を、請求項4に記載した製造方法の場合と
比べても、バラツキのない均一な厚さで形成することが
可能となるのである。
【0033】そして、銀コート工程で、金属粉粒平滑化
工程が終了した金属粉の粉粒の表面に銀層を形成するの
である。ここでの銀コート層の形成方法は、請求項1の
製造方法で用いる手法と同様の手法が採用できるため、
ここでの重複した説明は省略する。
【0034】更に、銀コート層を形成した金属粉を、銀
層平滑化工程により、請求項1に記載の銀コート金属粉
の場合と同様に、粉粒表面の微細な凹凸形状を消失させ
るとともに、銀層と金属粉との境界の接合安定性を高
め、銀コート工程で生じていた銀コート金属粉の凝集状
態を破壊して、凝集した粉粒の分離を行い、導電性ペー
ストに加工した際の銀コート金属粉の分散性を高めるこ
とが出来るという効果が、重畳して同時に得られるので
ある。
【0035】以上に述べた内容から理解できるように、
請求項5に記載した銀コート金属粉の製造方法で得られ
た製品は、請求項4に記載した製造方法で得られた銀コ
ート金属粉よりも、更に安定した品質を示すこととな
る。特に、この方法で得られた銀コート金属粉は、導電
性ペーストに加工し、多層プリント配線板の層間導通を
確保するための、層間導体を形成するのに適したものと
なる。即ち、銀層を備えているため、低抵抗の導体を形
成することが出来る。しかも、銀層が均一に金属粉の表
面を被覆しているため、電気的導通性能にバラツキが無
くなるのである。
【0036】この請求項5に記載の銀コート金属粉の製
造方法で得られた銀コート金属粉は、レーザー回折散乱
式粒度分布測定法による平均粒径D50と粒度分布の標
準偏差SDとの関係式SD/D50×100で表される
工程変動指数CV値が、銀コートタングステン粉は37
%以下、銀コートモリブデン粉は56%以下と更に小さ
くなり、粒度分布のバラツキが小さくなったのである。
また、銀コートタングステン粉のタップ充填密度は9.
2g/cm以上、比表面積は0.15m/g以下と
なり、銀コートモリブデン粉のタップ充填密度は4.5
g/cm以上、比表面積は0.5m/g以下とする
ことが可能となるのである。
【0037】ここで「レーザー回折散乱式粒度分布測定
法による平均粒径と粒度分布の標準偏差SDとの関係式
SD/D50×100で表される工程変動指数CV
値」、「タップ充填密度」等の用語の持つ意味は、上述
したと同様であるため、重複した記載を避けるため、こ
こでの説明は省略する。
【0038】更に、上述した銀コート金属粉を用いて製
造した導電性ペーストも、そのバインダー樹脂の組成さ
え同一であれば、従来の銀コート金属粉を用いた場合よ
りも、低いペースト粘度を備え、且つ、経時変化の少な
いものとすることが可能となるのである。これらのこと
から、請求項6には、請求項1〜請求項3のいずれかに
記載の銀コート金属粉を用いて製造した導電性ペースト
としているのである。
【0039】請求項7には、請求項6に記載の導電性ペ
ーストを用いて製造したプリント配線板としている。近
年は、電子産業の分野でも、特にプリント配線板用途に
おいての需要が増加してきている。今日のプリント配線
板業界に対しては、我国の電機業界が厳しい国際価格競
争に晒されていることもあり、コストダウン要求が一層
厳しさを増すこととなっている。このような市場の動向
を受け、近年は、4層以上の多層プリント配線板におい
て、層間導電性を確保する手段として、スルーホールメ
ッキ法、バイアホール形成法等に変わって、導電性ペー
ストを用いて多層プリント配線板の層間導通を確保する
手法が行われるようになってきた。
【0040】これは、予め基材に層間導通部を形成する
穴を形成し、この穴に導電性ペーストを充填して硬化さ
せ、その表層に銅箔を張り付けた銅張積層板を用いてプ
リント配線板を製造する方法や、予め銅箔の基材との接
着面に層間導通部となる突起を導電性ペーストを硬化さ
せることで形成し、これを基材と積層して張り付ける方
法等により銅張積層板製造時に層間導通を確保する等の
種々の方法が採用されていおり、安定した層間導通性能
の確保は必要最低限の条件となる。本件発明に係る導電
性ペーストを用いると、その粘度が低いため、穴への導
電性ペーストの充填性を良好にすることでき、導電性ペ
ーストを用いて層間導通部となる突起を銅箔表面に形成
する等の作業が容易となるのである。
【0041】このとき導電性ペーストの原料に銀コート
金属粉を使用し、この導電性ペーストを用いて多層プリ
ント配線板の層間導通の形成用に用いると、層間抵抗を
低く維持することが可能となる。特に、配線回路の形成
に用いた銅箔が亜鉛等の無機防錆層を備えていると、そ
の部分での電気抵抗が上昇する傾向にあり、その銅箔回
路と接触して層間導通を得るための硬化した導電性ペー
スト部の抵抗が低いことは、トータル的に見たプリント
配線板の電気的導電性を良好な状態に保ち、電子機器の
誤動作を防止するものとなるのである。
【0042】また、上述した導電性ペースト粘度の経時
変化が小さいと言うことは、導電性ペーストとしての粘
度管理が容易になり、導電性ペーストの品質変動が小さ
いと言うことになる。このような導電性ペーストを用い
ると、製造する回路の厚さ、幅、回路エッジの直線性等
に高い精度のプリント配線板が得られることになるので
ある。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態を通じ
て、比較例と対比しつつ、本件発明に関し、より詳細に
説明する。
【0044】第1実施形態: 本実施形態では、請求項
4に記載した製造方法を用いて、銀コート金属粉を製造
し、その銀コート金属粉を用いて導電性ペーストを製造
し、導電性ペーストの粘度の変化率を測定したのであ
る。更に、従来の銀コート銅粉との比較を行った。
【0045】最初に、本実施形態で用いた芯材としての
金属粉について説明する。即ち、タングステン粉、モリ
ブデン粉を用いた。ここでは、これらを「元粉」と称し
て説明に用いるものとする。そして、銀コート処理する
前の粉体としての特性値は、表1に示した通りである。
更に、図1には、元粉の走査電子顕微鏡観察像を示して
いるが、銅粉の場合と異なり、粉体の粒子が全く揃って
いないことが分かる。
【0046】次に、元粉の表面に銀コート層を形成する
銀コート処理のプロセスについて説明する。元粉0.5
kgを、水10リットルにEDTA85gを溶解させた
溶液中に分散させ、このスラリーに硝酸銀溶液1200
mlを添加し、30分間の攪拌を行った。このときの硝
酸銀溶液とは、アンモニア水溶液110mlに硝酸銀9
0gを溶解させ、水を添加して1200mlとして調整
したものである。その後、更に、ロッシェル塩70gを
添加して、30分間攪拌を継続し、銀コート金属粉を得
た。そして、吸引濾過することで、銀コート金属粉と溶
液とを濾別し、水洗し、当該銀コート金属粉を70℃の
温度で5時間の乾燥を行った。この銀コート処理の終了
した段階における銀コート金属粉の粉体特性については
表1に掲載した(表1では、「平滑化前銀コート金属
粉」としている。)。
【0047】図2には、この平滑化前銀コート金属粉の
走査電子顕微鏡観察像を示しているが、図1に示す元粉
以上に、銀コート後の粉体の粒子が揃っていないことが
分かる。これは、銅粉を芯材として用いた場合と比べ、
タングステン粉、モリブデン粉を芯材として用いた場合
の銀の置換析出速度が大きく、元粉の形状により受ける
析出効果が、粉粒体の箇所により異なるため、元粉の粒
度分布のバラツキをより強調した結果となるためと考え
られる。従って、このままで導電性ペーストの構成材料
として使用しても増粘化する事となるのである。
【0048】銀コート工程にて得られた銀コート金属粉
を、銀層平滑化工程で、銀コート金属粉粒の表面凹凸を
消失させ、滑らかな表面を持つ銀コート金属粉とした。
銀層平滑化工程として、ハイブリタイザーを用いて、回
転数6000rpmで、5分間の処理を行った。この段
階の銀コート金属粉の形状は、図3に示した如き、平滑
な表面を持つ粉粒が得られている。このことは、図2と
対比することで、より明確に理解できるものとなるので
ある。ここで得られた銀コート金属粉の粉体特性は、表
1に掲載した(表1では、「平滑化後銀コート金属粉」
としている。)。
【0049】
【表1】
【0050】この表1に記載した内容から分かるよう
に、元粉自体の粉体特性もかなりばらつきのあるもので
あり、これに銀コート処理すると、更にバラツキが強調
されてしまうことが分かる。そして、銀層平滑化処理を
施すと、元粉と比べても、優れた粉体特性を備えるもの
となることが分かるのである。従って、銀層平滑化処理
は、本件発明に係る銀コート金属粉にとっては必要不可
欠の処理であると考えられるのである。
【0051】本件明細書における「タップ充填密度の測
定」には、試料重量を120gとして、パウダーテスタ
ーPT−E(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測
定し、た。レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平
均粒径の測定は、銀コート金属粉0.1gをSNディス
パーサント5468の0.1%水溶液(サンノプコ社
製)と混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製
US−300T)で5分間分散させた後、レーザー回
折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac H
RA 9320−X100型(Leeds+North
rup社製)を用いて行った。比表面積は、試料2.0
0gを75℃で10分間の脱気処理を行った後、モノソ
ーブ(カンタクロム社製)を用いてBET1点法で測定
したものである。
【0052】続いて、この滑らかな表面を持つ銀コート
金属粉を用いて、第1エポキシ系導電性ペーストを製造
した。エポキシ樹脂には油化シェル社製のエピコート8
28を3重量部、もう一つのエポキシ樹脂には東都化成
株式会社製のYD−171を9重量部、エポキシ樹脂硬
化剤として味の素株式会社製のアミキュアMY−24を
3重量部として、銀コート金属粉を混合して30分間の
混錬を行って第1エポキシ系導電性ペーストを得たので
ある。このときの銀コート金属粉の混合量は、上述した
樹脂組成の残部である85重量部を銀コート銅粉を用い
た場合と同じ体積となるように、銀コートタングステン
粉又は銀コートモリブデン粉を用いた。即ち、銀コート
タングステン粉を用いた第1エポキシ樹脂系導電性ペー
ストは、銀コートタングステン粉が164g、エピコー
ト828を3g、YD−171を9g、アミキュアMY
−24を3gの組成とした。銀コートモリブデン粉を用
いた第1エポキシ樹脂系導電性ペーストは、銀コートモ
リブデン粉が95g、エピコート828を3g、YD−
171を9g、アミキュアMY−24を3gの組成とし
た。
【0053】以上のようにして得られた第1エポキシ系
導電性ペーストの製造直後の粘度を測定すると、銀コー
トタングステン粉を用いた第1エポキシ樹脂系導電性ペ
ーストは150Pa・s、銀コートモリブデン粉を用い
た第1エポキシ樹脂系導電性ペーストは145Pa・s
という結果が得られている。なお、本件明細書における
粘度の測定には、東機産業社製の粘度計であるRE−1
05Uを用いて、0.5rpmの回転数で測定したもの
である。
【0054】また、上述したと同様の樹脂バインダー組
成(エポキシ樹脂には油化シェル社製のエピコート82
8を3重量部、もう一つのエポキシ樹脂には東都化成株
式会社製のYD−171を9重量部、エポキシ樹脂硬化
剤として味の素株式会社製のアミキュアMY−24を3
重量部)を持ち、半田粉を30重量部とし、そこに銀コ
ート金属粉を入れた第2エポキシ系導電性ペーストを製
造した。即ち、ここでも銀コート金属粉の混合量は、上
述した樹脂組成の残部である55重量部を銀コート銅粉
を用いた場合と同じ体積となるように、銀コートタング
ステン粉又は銀コートモリブデン粉を用いた。具体的に
示せば、銀コートタングステン粉を用いた第2エポキシ
樹脂系導電性ペーストは、銀コートタングステン粉が1
04g、半田粉が30g、エピコート828を3g、Y
D−171を9g、アミキュアMY−24を3gの組成
とした。銀コートモリブデン粉を用いた第2エポキシ樹
脂系導電性ペーストは、銀コートモリブデン粉が61
g、半田粉が30g、エピコート828を3g、YD−
171を9g、アミキュアMY−24を3gの組成とし
た。
【0055】そして、この第2エポキシ系導電性ペース
トを30分間、平面上に静置して、銀コート金属粉と半
田粉とが2層に分離するか否かを調べた(以下、「静置
試験」と称する。)。その結果、従来の銀コート銅粉を
用いた場合に、当業者間で指摘されていたような2層に
分離するという現象は確認できなかった。なお、ここで
用いた半田粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法に
よる平均粒径D50が5.3μm、粒度分布の標準偏差
SDが0.63μmという特性を備えたものを用いた。
【0056】更に、本件発明者等は、上述した本実施形
態の効果を確認するため、比較に用いる実施形態とし
て、以下の内容を実施した(以下、「比較例1」と称す
る。)。比較例として、表面平滑化処理を行っていない
銀コート金属粉を用いて、上述したと同様の第1エポキ
シ系導電性ペーストを製造した。このときの銀コート金
属粉の粉粒は、図4に示した通りであり、表面が滑らか
な状態にはなっていない。
【0057】そして、これらの粘度を測定した。その結
果、表面平滑化処理を行っていない銀コート金属粉を用
いて得られたエポキシ系導電性ペーストの製造直後の粘
度を測定すると1000Pa・sであり、本実施形態の
場合と比較して粘度が非常に大きいことが分かる。ま
た、上述したと同様の組成で、半田粉と混ぜて、静置試
験を行った所、半田粉が沈殿し、2層分離した状態が確
認できた。
【0058】第2実施形態: 本実施形態では、請求項
5に記載した製造方法を用いて、銀コート金属粉を製造
し、その銀コート金属粉を用いて導電性ペーストを製造
し、導電性ペーストの粘度の変化率を測定したのであ
る。更に、従来の銀コート金属粉との比較を行った。元
粉には、第1実施形態と同様のものを用いた。また、第
2実施形態における各段階における粉体の走査電子顕微
鏡観察像を示していないが、第1実施形態で示したと同
様の傾向を示すことを明記しておく。
【0059】最初に、元粉1kgを、金属粉粒平滑化工
程として、ハイブリタイザーを用いて、回転数6000
rpmで、5分間の処理を行い、金属粉粒の表面の平滑
化を行った。平滑化した後の元粉の粉体特性は、表2に
掲載している(表2では、「平滑化後元粉」と称してい
る。)次に、平滑化処理した元粉0.5kgを用いて、
金属粉粒の表面に銀層を形成するのであるが、銀コート
工程のプロセスは、第1実施形態の場合と同様であるた
め、重複した記載を避けるため、ここでの説明は省略す
る。この銀コート処理の終了した段階における銀コート
金属粉の粉体特性については表2に掲載した(表2で
は、「平滑化前銀コート金属粉」としている。)。
【0060】そして、銀コート工程にて得られた銀コー
ト金属粉を、銀層平滑化工程で、銀コート金属粉の表面
凹凸を消失させ、滑らかな表面を持つ銀コート金属粉と
するのであるが、このときの条件も第1実施形態と同様
であるため、ここでの記載を省略する。この銀層平滑化
処理の終了した段階における銀コート金属粉の粉体特性
については表2に掲載した(表2では、「平滑化後銀コ
ート金属粉」としている。)。
【0061】
【表2】
【0062】この表2に記載した内容から分かるよう
に、元粉自体の粉体特性もかなりばらつきのあるもので
あり、これを金属粉平滑化処理することで、かなりバラ
ツキが少なくなっている。この状態で銀コート処理する
と、一旦、粉体特性のバラツキが強調されてしまうこと
になる。しかし、銀層平滑化処理を施すと、元粉と比べ
ても、第1実施形態で得られた銀コート金属粉と比べて
も、優れた粉体特性を備えるものとなることが分かるの
である。
【0063】続いて、ペースト粘度に与える影響を調べ
るため、この銀コート金属粉を用いて、第1エポキシ系
導電性ペーストを製造したのであるが、この製造方法も
第1実施形態と同様であるため、ここでの記載を省略す
る。以上のようにして得られたエポキシ系導電性ペース
トの製造直後の粘度を測定すると、銀コートタングステ
ン粉を用いた第1エポキシ樹脂系導電性ペーストは11
0Pa・s、銀コートモリブデン粉を用いた第1エポキ
シ樹脂系導電性ペーストは112Pa・sという結果が
得られている。この値は、第1実施形態で製造した銀コ
ート金属粉の粘度よりも低いものとなっている。
【0064】更に、静置試験を行うため、この銀コート
金属粉と第1実施形態で用いた半田粉とを用いて、第2
エポキシ系導電性ペーストを製造したのであるが、この
製造方法も第1実施形態と同様であるため、ここでの記
載を省略する。以上のようにして得られたエポキシ系導
電性ペーストの静置試験を行ったが、第1実施形態の場
合と同様に、従来の銀コート銅粉を用いた場合に、当業
者間で指摘されていたような2層に分離するという現象
は確認できなかった。
【0065】
【発明の効果】本件発明に係る製造方法を用いて得られ
る銀コート金属粉は、芯材にタングステン粉又はモリブ
デン粉を用いているにもかかわらず、その粉粒表面の形
状が滑らかである。そのため、その銀コート金属粉を用
いて製造した導電性ペーストは、ペースト粘度が低くで
きる。しかも、ペースト中での銀コート金属粉の分散性
に優れたものとすることが可能となるため、導電性ペー
ストとしての品質管理が非常に容易なものとなる。そし
て、比重の大きな半田粉と混合して導電性ペーストに加
工した際の、双方の比重差を軽減し、導電性ペーストに
加工した際の、半田粉が優先沈降を起こさず、半田粉と
銀コート金属粉とに分離することの無いようになるた
め、ペースト管理が容易になるのである。従って、プリ
ント配線板の層間導通部の穴部への充填性及び接続信頼
性の確保が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査型電子顕微鏡で観察した元粉。
【図2】走査型電子顕微鏡で観察した平滑処理前の銀コ
ート金属粉。
【図3】走査型電子顕微鏡で観察した平滑処理後の銀コ
ート金属粉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/09 H05K 1/09 B (72)発明者 山口 靖英 東京都品川区大崎1丁目11番1号 三井金 属鉱業株式会社機能材料事業本部機能粉事 業部内 Fターム(参考) 4E351 AA00 BB01 BB24 BB31 CC11 DD05 DD17 DD52 DD56 DD58 EE02 EE03 GG11 4K018 BA09 BC22 BD04 5G301 DA03 DA09 DA14 DA42 DA57 DD01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材である金属粉の表面に銀コート層を
    備えた銀コート金属粉であって、 芯材である金属粉はタングステン又はモリブデンの金属
    粉であることを特徴とする銀コート金属粉。
  2. 【請求項2】 レーザー回折散乱式粒度分布測定法によ
    る平均粒径D50の値が1.0μm〜10.0μmであ
    る請求項1に記載の銀コート金属粉。
  3. 【請求項3】 銀コート層は、銀コート金属粉1gあた
    り0.02g〜0.2gの銀よりなる請求項1又は請求
    項2に記載の銀コート金属粉。
  4. 【請求項4】 タングステン又はモリブデンの金属粉を
    芯材として用い、その表面に銀コート層を備えた銀コー
    ト金属粉の製造方法であって、 芯材である金属粉の粉粒表面に銀層を形成する銀コート
    工程、 当該銀コート金属粉の銀層の表面を平滑化するための銀
    層平滑化工程を備えたことを特徴とした請求項1〜請求
    項3のいずれかに記載の銀コート金属粉の製造方法。
  5. 【請求項5】 タングステン又はモリブデンの金属粉を
    芯材として用い、その表面に銀コート層を備えた銀コー
    ト金属粉の製造方法であって、 芯材である金属粉の粉粒表面を平滑化するための金属粉
    粒平滑化工程、 この芯材である金属粉の平滑表面に銀層を形成する銀コ
    ート工程、 当該銀コート金属粉の銀層の表面を平滑化するための銀
    層平滑化工程を備えたことを特徴とする請求項1〜請求
    項3のいずれかに記載の銀コート金属粉の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    銀コート金属粉を用いて製造した導電性ペースト。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の導電性ペーストを用い
    て形成した導体を含んだプリント配線板。
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