JP2003026629A - 2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製方法 - Google Patents
2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製方法Info
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C51/00—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
- C07C51/42—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C51/487—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by treatment giving rise to chemical modification
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 6−フォルミル−2−ナフトエ酸を含む
粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸を、水素を用いて
還元処理する工程;及び還元生成物をアルコールで洗浄
する工程を含む2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製
方法。記還元処理工程は、前記粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸及び水素を液相、特に水相で水素化触媒と
接触させることにより行うことが好ましい。 【効果】 精製装置に対する負担が少なく、コストアッ
プや工程の複雑化をもたらすことなく、高純度の2,6
−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸を、水素を用いて
還元処理する工程;及び還元生成物をアルコールで洗浄
する工程を含む2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製
方法。記還元処理工程は、前記粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸及び水素を液相、特に水相で水素化触媒と
接触させることにより行うことが好ましい。 【効果】 精製装置に対する負担が少なく、コストアッ
プや工程の複雑化をもたらすことなく、高純度の2,6
−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、6−フォルミル−
2−ナフトエ酸を含む粗製ナフタレンジカルボン酸か
ら、ポリエチレンナフタレートやポリブチレンナフタレ
ート等の高機能性樹脂の原料として好適な純度の高い
2,6−ナフタレンジカルボン酸を得る方法に関するも
ので、さらに詳述すると、装置の腐食を抑えることがで
き、且つ後処理が簡易な方法で、高純度の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を得ることができる2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の精製方法に関するものである。
2−ナフトエ酸を含む粗製ナフタレンジカルボン酸か
ら、ポリエチレンナフタレートやポリブチレンナフタレ
ート等の高機能性樹脂の原料として好適な純度の高い
2,6−ナフタレンジカルボン酸を得る方法に関するも
ので、さらに詳述すると、装置の腐食を抑えることがで
き、且つ後処理が簡易な方法で、高純度の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を得ることができる2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ナフタ
レンジカルボン酸は、特に2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸(2,6−NDA)は、ポリエチレンナフタレート
(PEN)やポリブチレンナフタレート(PBN)等の
高機能性樹脂の原料として有用な化合物である。
レンジカルボン酸は、特に2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸(2,6−NDA)は、ポリエチレンナフタレート
(PEN)やポリブチレンナフタレート(PBN)等の
高機能性樹脂の原料として有用な化合物である。
【0003】2,6−ナフタレンジカルボン酸は、一般
に下式で示すように、2,6−ジメチルナフタレン
(2,6−DMN)を気相または液相で酸化することに
より製造される。
に下式で示すように、2,6−ジメチルナフタレン
(2,6−DMN)を気相または液相で酸化することに
より製造される。
【0004】
【化1】
【0005】しかし、このような酸化反応を利用する製
造方法では、メチル基の酸化がアルデヒドの段階で止ま
ってしまった6−フォルミル−2−ナフトエ酸(FN
A)が副産物として製造される。6−フォルミル−2−
ナフトエ酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸から重
縮合によりポリエチレンナフタレートやポリブチレンナ
フタレート等のポリエステルを製造する場合に、重合度
低下の原因となったり、ポリエステルの着色の原因とな
る。このため、ポリエステル製造原料として用いる2,
6−ナフタレンジカルボン酸の純度が高いこと、換言す
ると、不純物たる6−フォルミル−2−ナフトエ酸が含
有しないことが望まれる。
造方法では、メチル基の酸化がアルデヒドの段階で止ま
ってしまった6−フォルミル−2−ナフトエ酸(FN
A)が副産物として製造される。6−フォルミル−2−
ナフトエ酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸から重
縮合によりポリエチレンナフタレートやポリブチレンナ
フタレート等のポリエステルを製造する場合に、重合度
低下の原因となったり、ポリエステルの着色の原因とな
る。このため、ポリエステル製造原料として用いる2,
6−ナフタレンジカルボン酸の純度が高いこと、換言す
ると、不純物たる6−フォルミル−2−ナフトエ酸が含
有しないことが望まれる。
【0006】2,6−ナフタレンジカルボン酸と6−フ
ォルミル−2−ナフトエ酸は、沸点、融点などの物性が
近似しているため、蒸留や晶析等により容易に分離でき
ず、これまでに種々の分離方法が提案されている。例え
ば、液相酸化により得た低純度の2,6−ナフタレンジ
カルボン酸をメタノールとエステル化した(特開昭50
−95253号)後、蒸留(特公昭50−29291
号)するか、または再結晶(特開昭50−111056
号)するかして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルの形で高純度化する方法;粗製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸をアルカリ水溶液に溶解させた
後、脱色処理する方法(特公昭52−20993号、特
公昭52−20994号、特開昭49−133359
号、特開昭50−105639号、特開昭62−212
341号、特開昭62−212342号)、あるいは酸
化処理する方法(特開昭48−68554号、48−6
8555号、特開平62−250849号)、あるいは
水素化処理する方法(特公昭57−36901号)など
がある。
ォルミル−2−ナフトエ酸は、沸点、融点などの物性が
近似しているため、蒸留や晶析等により容易に分離でき
ず、これまでに種々の分離方法が提案されている。例え
ば、液相酸化により得た低純度の2,6−ナフタレンジ
カルボン酸をメタノールとエステル化した(特開昭50
−95253号)後、蒸留(特公昭50−29291
号)するか、または再結晶(特開昭50−111056
号)するかして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルの形で高純度化する方法;粗製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸をアルカリ水溶液に溶解させた
後、脱色処理する方法(特公昭52−20993号、特
公昭52−20994号、特開昭49−133359
号、特開昭50−105639号、特開昭62−212
341号、特開昭62−212342号)、あるいは酸
化処理する方法(特開昭48−68554号、48−6
8555号、特開平62−250849号)、あるいは
水素化処理する方法(特公昭57−36901号)など
がある。
【0007】上記精製方法のうち、メチルエステルの形
で精製を進める方法は、精製に先立ってカルボン酸とメ
タノールとのエステル化反応を行わなければならないた
め、工程が複雑となり、当然にコストも高くなる。ま
た、アルカリや酸を用いる方法も、精製装置の腐食が早
く、また精製後に酸析や中和の工程が必要となるなど、
後処理が煩雑となり経済的に不利である。
で精製を進める方法は、精製に先立ってカルボン酸とメ
タノールとのエステル化反応を行わなければならないた
め、工程が複雑となり、当然にコストも高くなる。ま
た、アルカリや酸を用いる方法も、精製装置の腐食が早
く、また精製後に酸析や中和の工程が必要となるなど、
後処理が煩雑となり経済的に不利である。
【0008】一方、特開平9−151162号に、粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸を水素化触媒存在下
で、水素を作用させて還元処理を行い、続いて低級脂肪
族カルボン酸で洗浄する方法が提案されている。この方
法は、不純物として含まれている6−フォルミル−2−
ナフトエ酸を水素により2−ナフトエ酸にまで還元した
後、混入しているナフトエ酸及び水素還元が不完全なメ
チルナフトエ酸を、低級脂肪族カルボン酸に溶解させ
て、除去する方法である。
2,6−ナフタレンジカルボン酸を水素化触媒存在下
で、水素を作用させて還元処理を行い、続いて低級脂肪
族カルボン酸で洗浄する方法が提案されている。この方
法は、不純物として含まれている6−フォルミル−2−
ナフトエ酸を水素により2−ナフトエ酸にまで還元した
後、混入しているナフトエ酸及び水素還元が不完全なメ
チルナフトエ酸を、低級脂肪族カルボン酸に溶解させ
て、除去する方法である。
【0009】しかしながら、この方法も、洗浄工程で大
量の酸を必要とすること、又はそれに伴い装置の腐食が
激しいという問題がある。
量の酸を必要とすること、又はそれに伴い装置の腐食が
激しいという問題がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、装置に対する負
担が少なく、コストアップや工程の複雑化をもたらすこ
となく、高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸を得
ることができる2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製
方法を提供することにある。
ものであり、その目的とするところは、装置に対する負
担が少なく、コストアップや工程の複雑化をもたらすこ
となく、高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸を得
ることができる2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の精製方法は、6−フォルミル−2−
ナフトエ酸を含む粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸
を、水素を用いて還元処理する工程;及び還元生成物を
アルコールで洗浄する工程を含む。
レンジカルボン酸の精製方法は、6−フォルミル−2−
ナフトエ酸を含む粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸
を、水素を用いて還元処理する工程;及び還元生成物を
アルコールで洗浄する工程を含む。
【0012】前記還元処理工程は、前記粗製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸及び水素を液相で水素化触媒と接
触させることにより行うことが好ましく、前記液相媒体
として水を用いることが好ましい。さらに、前記還元処
理工程は、水媒体内に2,6−ナフタレンジカルボン酸
及び水素ガスを溶解させた後、行うことが好ましい。粗
製2,6−ナフタレンジカルボン酸及び水素を水に溶解
させ、これを水素化触媒と接触させることにより還元処
理工程を行う場合、水素ガス濃度が10〜100ppm
の水素溶解水を用いることが好ましい。
フタレンジカルボン酸及び水素を液相で水素化触媒と接
触させることにより行うことが好ましく、前記液相媒体
として水を用いることが好ましい。さらに、前記還元処
理工程は、水媒体内に2,6−ナフタレンジカルボン酸
及び水素ガスを溶解させた後、行うことが好ましい。粗
製2,6−ナフタレンジカルボン酸及び水素を水に溶解
させ、これを水素化触媒と接触させることにより還元処
理工程を行う場合、水素ガス濃度が10〜100ppm
の水素溶解水を用いることが好ましい。
【0013】前記洗浄工程は、前記還元生成物の2〜2
0倍(質量比)のアルコールを用いて行うことが好まし
い。前記アルコールとしては、エタノールを用いること
が好ましい。
0倍(質量比)のアルコールを用いて行うことが好まし
い。前記アルコールとしては、エタノールを用いること
が好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸の精製方法、すなわち粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸から2,6−ナフタレンジカルボン酸を精
製する方法の概略を図1に示し、これに基づいて説明す
る。
ルボン酸の精製方法、すなわち粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸から2,6−ナフタレンジカルボン酸を精
製する方法の概略を図1に示し、これに基づいて説明す
る。
【0015】本発明で原料として用いる粗製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸は、一般に、2,6−ジメチルナ
フタレンの酸化生成物が用いられ、不純物として、6−
フォルミル−2−ナフトエ酸(FNA)が混入してい
る。粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸における6−
フォルミル−2−ナフトエ酸の含有率は、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の製造方法等により異なるが、一般
に0.1〜1.0質量%程度である。
フタレンジカルボン酸は、一般に、2,6−ジメチルナ
フタレンの酸化生成物が用いられ、不純物として、6−
フォルミル−2−ナフトエ酸(FNA)が混入してい
る。粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸における6−
フォルミル−2−ナフトエ酸の含有率は、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の製造方法等により異なるが、一般
に0.1〜1.0質量%程度である。
【0016】2,6−ジメチルナフタレンの酸化生成物
としての粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸として
は、不純物として、他に触媒残渣などが含有され得る
が、これらは、予め酢酸洗浄等により除去しておくこと
が好ましい。
としての粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸として
は、不純物として、他に触媒残渣などが含有され得る
が、これらは、予め酢酸洗浄等により除去しておくこと
が好ましい。
【0017】粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸の水
素を用いた還元処理工程は、水素化反応触媒存在下で、
粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸と水素を接触させ
ることにより行う。
素を用いた還元処理工程は、水素化反応触媒存在下で、
粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸と水素を接触させ
ることにより行う。
【0018】水素化反応触媒としては、周期律表第VII
I族の貴金属、すなわちパラジウム、ロジウム、ルテニ
ウム、オスミウム、イリジウム、及び白金よりなる群か
ら選ばれる1種または2種以上を用いることができる
が、好ましくはパラジウム、ロジウム、ルテニウム、白
金触媒であり、より好ましくはパラジウムである。この
ような貴金属触媒は、適当な担体に担持して使用するこ
とが好ましい。担体としては、活性炭、黒鉛、アルミ
ナ、ゼオライト、シリカなどを使用できる。これらのう
ち、活性炭は、安価で細孔表面積が大きいことから好ま
しく用いられる。
I族の貴金属、すなわちパラジウム、ロジウム、ルテニ
ウム、オスミウム、イリジウム、及び白金よりなる群か
ら選ばれる1種または2種以上を用いることができる
が、好ましくはパラジウム、ロジウム、ルテニウム、白
金触媒であり、より好ましくはパラジウムである。この
ような貴金属触媒は、適当な担体に担持して使用するこ
とが好ましい。担体としては、活性炭、黒鉛、アルミ
ナ、ゼオライト、シリカなどを使用できる。これらのう
ち、活性炭は、安価で細孔表面積が大きいことから好ま
しく用いられる。
【0019】水素ガスは、水素ガスを気相媒体または液
相媒体に希釈した状態で供給することができるが、液相
媒体が好ましく用いられ、より好ましくは水が用いられ
る。気液固−3相混液状態で水素還元反応を行うより
も、水素と2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解した
均一系で還元反応を行わせる方が反応効率がよいからで
ある。また、3相混相状態の場合は、余分の水素ガスの
回収を行う必要があり、制御系が必要になるなど、装置
が複雑化する。一方、液相の場合、後処理が簡単で、反
応器のエロージョンが少なくて済むので好ましく用いら
れる。
相媒体に希釈した状態で供給することができるが、液相
媒体が好ましく用いられ、より好ましくは水が用いられ
る。気液固−3相混液状態で水素還元反応を行うより
も、水素と2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解した
均一系で還元反応を行わせる方が反応効率がよいからで
ある。また、3相混相状態の場合は、余分の水素ガスの
回収を行う必要があり、制御系が必要になるなど、装置
が複雑化する。一方、液相の場合、後処理が簡単で、反
応器のエロージョンが少なくて済むので好ましく用いら
れる。
【0020】水媒体中に水素ガスを溶解させた状態で供
給する場合、還元処理に供される供給水中の水素ガス濃
度を10〜100ppmとすることが好ましい。10p
pm未満では、水素還元反応に不十分であり、100p
pmを超える量では、水素濃度が過剰となって副反応を
併発するおそれがあるからである。
給する場合、還元処理に供される供給水中の水素ガス濃
度を10〜100ppmとすることが好ましい。10p
pm未満では、水素還元反応に不十分であり、100p
pmを超える量では、水素濃度が過剰となって副反応を
併発するおそれがあるからである。
【0021】粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸は常
温で固体であるため、液相媒体に溶解して用いることが
好ましく、水素還元反応は、高温の水で溶解させた状態
で行うことが好ましい。この場合、還元処理に供される
供給水中の粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸の濃度
は、5〜30質量%とすることが好ましい。粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸を高温の水で溶解させ、さら
に水素還元に用いる水素を水に溶解させた状態で供給す
る場合、水素用の液相媒体(水)と粗製2,6−ナフタ
レンジカルボン酸溶解用の水を兼用することができるの
で好ましい。この場合、水素を溶解した水と2,6−ナ
フタレンジカルボン酸を溶解した水とを混合して還元触
媒と接触させるようにしてもよいし、水素を溶解させた
水に2,6−ナフタレンジカルボン酸を添加してもよい
し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を含有する水媒体
中に水素ガスを注入して溶解させてもよい。
温で固体であるため、液相媒体に溶解して用いることが
好ましく、水素還元反応は、高温の水で溶解させた状態
で行うことが好ましい。この場合、還元処理に供される
供給水中の粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸の濃度
は、5〜30質量%とすることが好ましい。粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸を高温の水で溶解させ、さら
に水素還元に用いる水素を水に溶解させた状態で供給す
る場合、水素用の液相媒体(水)と粗製2,6−ナフタ
レンジカルボン酸溶解用の水を兼用することができるの
で好ましい。この場合、水素を溶解した水と2,6−ナ
フタレンジカルボン酸を溶解した水とを混合して還元触
媒と接触させるようにしてもよいし、水素を溶解させた
水に2,6−ナフタレンジカルボン酸を添加してもよい
し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を含有する水媒体
中に水素ガスを注入して溶解させてもよい。
【0022】還元処理工程を、粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸と水素を、液相で水素化触媒と接触させる
ことにより行う場合、接触方法は特に限定しないが、水
素化触媒を固定した反応器に、粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸及び水素を含む液体を流通させる流通式固
定層法を用いることが、コスト面、メインテナンス面か
ら好ましい。
ジカルボン酸と水素を、液相で水素化触媒と接触させる
ことにより行う場合、接触方法は特に限定しないが、水
素化触媒を固定した反応器に、粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸及び水素を含む液体を流通させる流通式固
定層法を用いることが、コスト面、メインテナンス面か
ら好ましい。
【0023】還元処理工程は、280〜350℃で行う
ことが好ましい。2,6−ナフタレンジカルボン酸は、
室温では基本的には水に難溶ないし不溶であるため、高
温の水でなければ液相反応に十分量の2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸を溶解させることができないからであ
る。さらに、上記範囲のような高温で水相を維持するた
めには、飽和蒸気圧以上(150〜250気圧)でなけ
ればならない。この点、水素を水に溶解させた状態で用
いる場合、装置の劣化を防止できる。すなわち、水媒体
に2,6−ナフタレンジカルボン酸を溶解させた状態で
水素ガスを供給して水素還元を行う場合、このような高
温高圧の水素ガスの使用は反応器の水素脆化をもたらす
ことになり、これを避けるためには高価な耐圧装置を用
いる必要がある。
ことが好ましい。2,6−ナフタレンジカルボン酸は、
室温では基本的には水に難溶ないし不溶であるため、高
温の水でなければ液相反応に十分量の2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸を溶解させることができないからであ
る。さらに、上記範囲のような高温で水相を維持するた
めには、飽和蒸気圧以上(150〜250気圧)でなけ
ればならない。この点、水素を水に溶解させた状態で用
いる場合、装置の劣化を防止できる。すなわち、水媒体
に2,6−ナフタレンジカルボン酸を溶解させた状態で
水素ガスを供給して水素還元を行う場合、このような高
温高圧の水素ガスの使用は反応器の水素脆化をもたらす
ことになり、これを避けるためには高価な耐圧装置を用
いる必要がある。
【0024】水素還元条件は、水素化触媒1gに対する
1時間あたりの水素及び2,6−ナフタレンジカルボン
酸を含有する反応液量が12〜200WHSV/hrと
なるように行うことが好ましい。Pd系触媒を用いた場
合、反応器内の触媒と反応液の接触時間は、1/WHS
Vで5分以下が好ましく、より好ましくは3分以下であ
る。好ましい下限は0.3分以上である。接触時間を長
くしすぎると、2,6−ナフタレンジカルボン酸の還元
反応も進み、収率低下の原因となるからである。
1時間あたりの水素及び2,6−ナフタレンジカルボン
酸を含有する反応液量が12〜200WHSV/hrと
なるように行うことが好ましい。Pd系触媒を用いた場
合、反応器内の触媒と反応液の接触時間は、1/WHS
Vで5分以下が好ましく、より好ましくは3分以下であ
る。好ましい下限は0.3分以上である。接触時間を長
くしすぎると、2,6−ナフタレンジカルボン酸の還元
反応も進み、収率低下の原因となるからである。
【0025】水素還元を液相で行った場合、還元反応生
成物は液体状態にあるため、次のアルコール洗浄工程前
に還元生成物を晶析する必要がある。晶析は冷却により
行うことができるが、冷却媒体を用いて冷却してもよい
し、圧力を下げることにより冷却してもよい。いずれの
冷却方法においても、徐冷することが好ましい。水素還
元が不完全なメチルナフトエ酸は、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸に比べて高温高圧水に対する溶解度が高い
ので、2,6−ナフタレンジカルボン酸を優先的に析出
させることにより、不純物のうち、メチルナフトエ酸の
大部分、さらには2−ナフトエ酸の一部も取り除くこと
ができるからである。
成物は液体状態にあるため、次のアルコール洗浄工程前
に還元生成物を晶析する必要がある。晶析は冷却により
行うことができるが、冷却媒体を用いて冷却してもよい
し、圧力を下げることにより冷却してもよい。いずれの
冷却方法においても、徐冷することが好ましい。水素還
元が不完全なメチルナフトエ酸は、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸に比べて高温高圧水に対する溶解度が高い
ので、2,6−ナフタレンジカルボン酸を優先的に析出
させることにより、不純物のうち、メチルナフトエ酸の
大部分、さらには2−ナフトエ酸の一部も取り除くこと
ができるからである。
【0026】次にアルコール洗浄工程について説明す
る。
る。
【0027】洗浄用に用いられるアルコールとしては、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等
の炭素数が1〜5の低級アルコールが好ましく用いられ
る。これらのアルコールは安価であり、腐食等の装置の
損傷に対する影響が少なくて済み、また洗浄後に回収し
たアルコールの後処理は簡便だからである。さらに低級
アルコールの沸点は低く、得られた精製物の乾燥も容易
である。上記低級アルコールのうち、特にエタノールは
無害で蒸発も早いので、好ましく用いられる。
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等
の炭素数が1〜5の低級アルコールが好ましく用いられ
る。これらのアルコールは安価であり、腐食等の装置の
損傷に対する影響が少なくて済み、また洗浄後に回収し
たアルコールの後処理は簡便だからである。さらに低級
アルコールの沸点は低く、得られた精製物の乾燥も容易
である。上記低級アルコールのうち、特にエタノールは
無害で蒸発も早いので、好ましく用いられる。
【0028】アルコール洗浄は、常温で行えばよい。一
般に、温度が高くなるにつれてアルコールに対する溶解
度は増加するため、高温にしすぎると、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸自体のアルコールに対する溶解度も上
がり、精製が十分に行えないばかりか、生産量の低下の
原因となるからである。また、アルコールの蒸発も起こ
るためである。
般に、温度が高くなるにつれてアルコールに対する溶解
度は増加するため、高温にしすぎると、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸自体のアルコールに対する溶解度も上
がり、精製が十分に行えないばかりか、生産量の低下の
原因となるからである。また、アルコールの蒸発も起こ
るためである。
【0029】洗浄は、被洗浄物である還元生成物の2〜
20倍量(質量比)のアルコールを用いて行うことが好
ましい。
20倍量(質量比)のアルコールを用いて行うことが好
ましい。
【0030】アルコール洗浄は、還元生成物にアルコー
ルを注いで吸引濾過するような方法で行うこともできる
し、密閉容器にアルコールと還元生成物を入れて攪拌混
合することにより行ってもよい。上記範囲のアルコール
量を用いる場合、5〜60分間、アルコールと混合攪拌
することが好ましい。
ルを注いで吸引濾過するような方法で行うこともできる
し、密閉容器にアルコールと還元生成物を入れて攪拌混
合することにより行ってもよい。上記範囲のアルコール
量を用いる場合、5〜60分間、アルコールと混合攪拌
することが好ましい。
【0031】2,6−ナフタレンジカルボン酸の水素化
生成物のうち、不純物として含まれている2−ナフトエ
酸のアルコール溶解度は、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸のアルコールに対する溶解度と比べて高い。具体的
には、2−ナフトエ酸のアルコールに対する室温での溶
解度は2〜15質量%程度、エタノールでは10質量%
程度溶解するのに対し、2,6−ナフタレンジカルボン
酸は、アルコールにほとんど溶解しない。また、メチル
ナフトエ酸もアルコールに溶解する。従って、アルコー
ル洗浄により、還元生成物に含まれる不純物、すなわち
2−ナフトエ酸、メチルナフトエ酸を溶解除去し、2,
6−ナフタレンジカルボン酸の純度を高めることができ
る。
生成物のうち、不純物として含まれている2−ナフトエ
酸のアルコール溶解度は、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸のアルコールに対する溶解度と比べて高い。具体的
には、2−ナフトエ酸のアルコールに対する室温での溶
解度は2〜15質量%程度、エタノールでは10質量%
程度溶解するのに対し、2,6−ナフタレンジカルボン
酸は、アルコールにほとんど溶解しない。また、メチル
ナフトエ酸もアルコールに溶解する。従って、アルコー
ル洗浄により、還元生成物に含まれる不純物、すなわち
2−ナフトエ酸、メチルナフトエ酸を溶解除去し、2,
6−ナフタレンジカルボン酸の純度を高めることができ
る。
【0032】アルコール洗浄後、さらにイオン交換水で
洗浄してもよいが、エタノールのように沸点の低い揮発
性のアルコールで洗浄を行った場合には乾燥するだけで
よい。
洗浄してもよいが、エタノールのように沸点の低い揮発
性のアルコールで洗浄を行った場合には乾燥するだけで
よい。
【0033】洗浄後、乾燥すれば、不純物が極めて少な
い高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸が選られ
る。本発明の方法により、純度99.95%以上の2,
6−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
い高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸が選られ
る。本発明の方法により、純度99.95%以上の2,
6−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
【0034】次に、本発明の方法を実施する装置システ
ムの一実施態様について、図2に基づいて説明する。
ムの一実施態様について、図2に基づいて説明する。
【0035】ホッパー1から粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸を、フィーダー2を用いて第1攪拌器3に一
定量注入する。ここで注入する2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸は、水素還元反応を行わせる温度で完全に溶解
する量とする。第一攪拌器3には水が入っていて、一定
量の粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸が添加された
後、混合した水を攪拌して、粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸スラリーを調製する。このスラリーを第2攪
拌器4に導入するとともに、水素ボンベから加圧水素を
第2攪拌器4に注入して、水素ガスを水に溶解させる。
このときの水素圧力は、5〜100気圧とすることが好
ましい。水素及び粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸
を含むスラリーは、熱交換器5で280℃〜350℃程
度に加温される。これにより、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸は5〜30質量%程度溶解させることができ
る。加温した溶液は、反応器6に導かれる。反応器6に
は、水素化触媒が充填されていて、ここに水素及び粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解した水が導入さ
れる。反応器6内を流れる間、水素還元触媒と接触して
水素還元反応が起こる。反応器6内では、水素と粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解しているので、
水相で均一に還元反応が進む。つまり、反応器6内に
は、高温の水素ガスが存在しないので、反応器6の腐食
が少なくて済む。
カルボン酸を、フィーダー2を用いて第1攪拌器3に一
定量注入する。ここで注入する2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸は、水素還元反応を行わせる温度で完全に溶解
する量とする。第一攪拌器3には水が入っていて、一定
量の粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸が添加された
後、混合した水を攪拌して、粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸スラリーを調製する。このスラリーを第2攪
拌器4に導入するとともに、水素ボンベから加圧水素を
第2攪拌器4に注入して、水素ガスを水に溶解させる。
このときの水素圧力は、5〜100気圧とすることが好
ましい。水素及び粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸
を含むスラリーは、熱交換器5で280℃〜350℃程
度に加温される。これにより、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸は5〜30質量%程度溶解させることができ
る。加温した溶液は、反応器6に導かれる。反応器6に
は、水素化触媒が充填されていて、ここに水素及び粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解した水が導入さ
れる。反応器6内を流れる間、水素還元触媒と接触して
水素還元反応が起こる。反応器6内では、水素と粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解しているので、
水相で均一に還元反応が進む。つまり、反応器6内に
は、高温の水素ガスが存在しないので、反応器6の腐食
が少なくて済む。
【0036】還元生成物は、多段の断熱フラッシュ装置
7で徐々に減圧され降温される。図2に示す断熱フラッ
シュ装置は、2段の減圧器7a,7bで構成されている
が、さらに多段のフラッシュ装置を用いてもよい。減圧
により水が蒸発するため、減圧器内に適宜水を添加し、
これにより、溶媒たる水の減量による急激な晶析を防止
している。ゆっくり晶析させることにより、水相中に2
−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を溶解
残存させつつ、析出した固相部の2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の含有率を高めることができる。
7で徐々に減圧され降温される。図2に示す断熱フラッ
シュ装置は、2段の減圧器7a,7bで構成されている
が、さらに多段のフラッシュ装置を用いてもよい。減圧
により水が蒸発するため、減圧器内に適宜水を添加し、
これにより、溶媒たる水の減量による急激な晶析を防止
している。ゆっくり晶析させることにより、水相中に2
−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を溶解
残存させつつ、析出した固相部の2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の含有率を高めることができる。
【0037】冷却により得られたスラリーを遠心分離器
8にかけて固液分離を行う。遠心分離による固液分離
は、加圧下で操作することもできる。水相部分には、水
に対する溶解度が高いメチルナフトエ酸、2−ナフトエ
酸が溶解しており、固相部分には2,6−ナフタレンジ
カルボン酸が高濃度で含まれている。しかしながら、こ
の段階では若干の2−ナフトエ酸がなおも不純物として
混入している。
8にかけて固液分離を行う。遠心分離による固液分離
は、加圧下で操作することもできる。水相部分には、水
に対する溶解度が高いメチルナフトエ酸、2−ナフトエ
酸が溶解しており、固相部分には2,6−ナフタレンジ
カルボン酸が高濃度で含まれている。しかしながら、こ
の段階では若干の2−ナフトエ酸がなおも不純物として
混入している。
【0038】次に、分離により得られた固相部分を、フ
ィーダー9により一定量、洗浄器10に入れる。洗浄器
10にはエタノールが入っていて、ここでアルコールと
ともに混合攪拌した後、遠心分離器11で固液分離を行
い、アルコールを回収するとともに、得られた精製2,
6−ナフタレンジカルボン酸を乾燥器12で乾燥させ
る。乾燥器は流動層型、横型攪拌型、又はキルン型であ
ってもよいし、エタノールのように常温で揮発するアル
コールで洗浄した場合には、窒素気流下又は減圧下で乾
燥することもできる。
ィーダー9により一定量、洗浄器10に入れる。洗浄器
10にはエタノールが入っていて、ここでアルコールと
ともに混合攪拌した後、遠心分離器11で固液分離を行
い、アルコールを回収するとともに、得られた精製2,
6−ナフタレンジカルボン酸を乾燥器12で乾燥させ
る。乾燥器は流動層型、横型攪拌型、又はキルン型であ
ってもよいし、エタノールのように常温で揮発するアル
コールで洗浄した場合には、窒素気流下又は減圧下で乾
燥することもできる。
【0039】本発明の2,6−ナフタレンジカルボン酸
の精製方法は、精製に用いる薬剤(アルコール、水素ガ
ス、反応媒体)の後処理が不要で、しかも装置の腐食を
進めるような要因がないので、耐食性に優れた高価な材
料を用いた装置でなくても適用できる。
の精製方法は、精製に用いる薬剤(アルコール、水素ガ
ス、反応媒体)の後処理が不要で、しかも装置の腐食を
進めるような要因がないので、耐食性に優れた高価な材
料を用いた装置でなくても適用できる。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の精製方法を適用した実施例
について説明する。
について説明する。
【0041】尚、組成2,6−ナフタレンジカルボン酸
としては、表1に示す組成を有する2種類の原料を用い
た。
としては、表1に示す組成を有する2種類の原料を用い
た。
【0042】
【表1】
【0043】〔実施例1〕水素還元工程は、図3に示す
装置を用いて行った。
装置を用いて行った。
【0044】すなわち、水素ボンベ21から5MPaの
水素ガスを、水槽22から水を、夫々攪拌機23に供給
し、攪拌して水素ガスを溶解させた。尚、水素ガスの消
耗を少なくするために、攪拌機23に水素を注入する前
に、水素ガス供給ラインに窒素ガスを流入させて、空気
を窒素ガスと交換した。
水素ガスを、水槽22から水を、夫々攪拌機23に供給
し、攪拌して水素ガスを溶解させた。尚、水素ガスの消
耗を少なくするために、攪拌機23に水素を注入する前
に、水素ガス供給ラインに窒素ガスを流入させて、空気
を窒素ガスと交換した。
【0045】この水素溶解水をポンプ24で加熱器25
に導入し、330℃に昇温した。昇温された水素溶解水
を、第1容器26a,第2容器26bに導入した。第1
容器26a及び第2容器26bには粗製2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の粉末が充填されていて、加熱された
水素溶解水が流入することにより、この熱水に粗製2,
6−ナフタレンジカルボン酸の一部が溶解する。
に導入し、330℃に昇温した。昇温された水素溶解水
を、第1容器26a,第2容器26bに導入した。第1
容器26a及び第2容器26bには粗製2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の粉末が充填されていて、加熱された
水素溶解水が流入することにより、この熱水に粗製2,
6−ナフタレンジカルボン酸の一部が溶解する。
【0046】水素と粗製2,6−ナフタレンジカルボン
酸が溶解した熱水(供給水)は、続いて反応器27に導
かれる。供給水中の水素濃度は80ppmである。この
反応器27には、水素還元触媒(Pdを2〜3質量%担
持した活性炭)5.2gが充填されていて、粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸と水素を含有する熱水(供給
水)がここを通過する間に、粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸中に含まれる6−フォルミル−2−ナフトエ
酸が水素還元される。ここで反応器27内の圧力は25
MPaとした。1時間あたりの触媒に対する反応液量
(質量比)は11.5であり、触媒との接触時間は5.
2分とした。
酸が溶解した熱水(供給水)は、続いて反応器27に導
かれる。供給水中の水素濃度は80ppmである。この
反応器27には、水素還元触媒(Pdを2〜3質量%担
持した活性炭)5.2gが充填されていて、粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸と水素を含有する熱水(供給
水)がここを通過する間に、粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸中に含まれる6−フォルミル−2−ナフトエ
酸が水素還元される。ここで反応器27内の圧力は25
MPaとした。1時間あたりの触媒に対する反応液量
(質量比)は11.5であり、触媒との接触時間は5.
2分とした。
【0047】反応器27を通過した反応液は、高圧(1
5MPa)下、冷却器28で冷却した後、固液分離を行
った。水相を回収するとともに、析出した還元生成物を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて組成
分析した。
5MPa)下、冷却器28で冷却した後、固液分離を行
った。水相を回収するとともに、析出した還元生成物を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて組成
分析した。
【0048】次いで、この還元生成物を、5倍量(質量
比)のエタノール中に添加し、室温でマグネチックスタ
ーラーを用いて10分間攪拌した。攪拌後吸引濾過によ
り、固液分離を行った。固体分に、吸引しながら、さら
に2倍量のエタノールを注いで洗浄した後、多量のイオ
ン交換水で洗浄した。洗浄後、オーブンにて105℃で
3時間乾燥し、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)にかけて組成分析した。
比)のエタノール中に添加し、室温でマグネチックスタ
ーラーを用いて10分間攪拌した。攪拌後吸引濾過によ
り、固液分離を行った。固体分に、吸引しながら、さら
に2倍量のエタノールを注いで洗浄した後、多量のイオ
ン交換水で洗浄した。洗浄後、オーブンにて105℃で
3時間乾燥し、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)にかけて組成分析した。
【0049】組成分析の結果を、製造条件とともに表2
に示す。
に示す。
【0050】〔実施例2〜6〕組成NDAの種類、水素
還元条件、あるいは洗浄アルコールの量を表2に示すよ
うに変えた以外は、実施例1と同様にして、粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸の精製を行った。水素還元後
に得られた試料及びアルコール洗浄後に得られた試料の
分析結果を表2に示す。尚、表2中、N.D.とあるの
は、検出限界(20ppm)以下であることを示す。
還元条件、あるいは洗浄アルコールの量を表2に示すよ
うに変えた以外は、実施例1と同様にして、粗製2,6
−ナフタレンジカルボン酸の精製を行った。水素還元後
に得られた試料及びアルコール洗浄後に得られた試料の
分析結果を表2に示す。尚、表2中、N.D.とあるの
は、検出限界(20ppm)以下であることを示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2に示すように、水素還元後の粗製2,
6−ナフタレンジカルボン酸からは6−フォルミル−2
−ナフトエ酸が検出されず、2−ナフトエ酸に還元され
たことがわかる。ここで、水素還元工程を長くする程、
還元生成物における2,6−ナフタレンジカルボン酸の
割合が低下し、2,6−ナフタレンジカルボン酸の還元
反応が起こっていると考えられる。よって、6−フォル
ミル−2−ナフトエ酸の水素還元を完了することがで
き、且つ2,6−ナフタレンジカルボン酸の収率を高く
するためには、触媒接触時間(1/WHSV)を3分以
下とすることが好ましい。
6−ナフタレンジカルボン酸からは6−フォルミル−2
−ナフトエ酸が検出されず、2−ナフトエ酸に還元され
たことがわかる。ここで、水素還元工程を長くする程、
還元生成物における2,6−ナフタレンジカルボン酸の
割合が低下し、2,6−ナフタレンジカルボン酸の還元
反応が起こっていると考えられる。よって、6−フォル
ミル−2−ナフトエ酸の水素還元を完了することがで
き、且つ2,6−ナフタレンジカルボン酸の収率を高く
するためには、触媒接触時間(1/WHSV)を3分以
下とすることが好ましい。
【0053】アルコール洗浄後には、2−ナフトエ酸の
含有量が低下し、2,6−ナフタレンジカルボン酸の含
有率が高くなっている。すなわち、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸が精製され、純度99.7%以上の2,6
−ナフタレンジカルボン酸を得られることがわかる。
含有量が低下し、2,6−ナフタレンジカルボン酸の含
有率が高くなっている。すなわち、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸が精製され、純度99.7%以上の2,6
−ナフタレンジカルボン酸を得られることがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明の精製方法は、水素還元生成物中
に含まれる6−フォルミル−2−ナフトエ酸の除去を、
アルコールを用いて行うので、装置の腐食が少なくて済
み、洗浄液の後処理も簡単である。
に含まれる6−フォルミル−2−ナフトエ酸の除去を、
アルコールを用いて行うので、装置の腐食が少なくて済
み、洗浄液の後処理も簡単である。
【0055】また、水素を用いた還元処理工程を2,6
−ナフタレンジカルボン酸及び水素を溶解した水相で行
うことにより、反応器の劣化を防止できる。
−ナフタレンジカルボン酸及び水素を溶解した水相で行
うことにより、反応器の劣化を防止できる。
【図1】 本発明の2,6−ナフタレンジカルボン酸の
精製方法を説明するための図である。
精製方法を説明するための図である。
【図2】 本発明の精製方法を実施する装置システムの
概略模式図である。
概略模式図である。
【図3】 実施例で用いた装置システムの概略模式図で
ある。
ある。
3,4 攪拌器
5 熱交換器
6 反応器
7 断熱フラッシュ装置
8 遠心分離器
10 洗浄器
23 攪拌機
25 加熱器
27 反応器
フロントページの続き
(72)発明者 田中 丈晴
神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会
社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
(72)発明者 濱口 眞基
神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会
社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Fターム(参考) 4H006 AA02 AD17 AD31 BA22 BA23
BA24 BA25 BA26 BA55 BB14
BC35 BE20 BJ50 BS30
4H039 CB20 CB40 CD40
Claims (7)
- 【請求項1】 6−フォルミル−2−ナフトエ酸を含む
粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸を、水素を用いて
還元処理する工程;及び還元生成物をアルコールで洗浄
する工程を含む2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製
方法。 - 【請求項2】 前記還元処理工程は、前記粗製2,6−
ナフタレンジカルボン酸及び水素を液相で水素化触媒と
接触させることにより行う請求項1に記載の2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の精製方法。 - 【請求項3】 前記還元処理工程は、前記液相媒体とし
て水を用いる請求項2に記載の2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸の精製方法。 - 【請求項4】 前記還元処理工程は、水媒体内に2,6
−ナフタレンジカルボン酸及び水素ガスを溶解させた
後、行う請求項3に記載の2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の精製方法。 - 【請求項5】 前記還元処理工程は、水素ガス濃度が1
0〜100ppmの水素溶解水を用いる請求項3又は4
に記載の2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製方法。 - 【請求項6】 前記洗浄工程は、前記還元生成物の2〜
20倍(質量比)のアルコールを用いて行う請求項1〜
5のいずれかに記載の2,6−ナフタレンジカルボン酸
の精製方法。 - 【請求項7】 前記アルコールとしてエタノールを用い
る請求項1〜6のいずれかに記載の2,6−ナフタレン
ジカルボン酸の精製方法。
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JP2001214142A JP2003026629A (ja) | 2001-07-13 | 2001-07-13 | 2,6−ナフタレンジカルボン酸の精製方法 |
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Publications (1)
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---|---|
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EP (1) | EP1275634A1 (ja) |
JP (1) | JP2003026629A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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KR100770516B1 (ko) * | 2004-12-30 | 2007-10-25 | 주식회사 효성 | 벤즈알데히드 디하이드로게나제를 발현하는 형질전환체의제조방법 및 이를 이용한 2,6-나프탈렌 디카르복실산의정제방법 |
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KR20080044418A (ko) * | 2006-11-16 | 2008-05-21 | 주식회사 효성 | 선택적 수소 반응을 통한 고순도2,6-나프탈렌디카르복실산의 제조 방법 |
CN112521272B (zh) * | 2019-09-18 | 2023-04-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 粗2,6-萘二甲酸的加氢纯化方法 |
CN114426480B (zh) * | 2020-10-14 | 2024-03-26 | 中国石油化工股份有限公司 | 粗2,6-萘二甲酸的加氢精制方法 |
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US5256817A (en) * | 1992-06-18 | 1993-10-26 | Amoco Corporation | Method for purifying a naphthalenedicarboxylic acid |
JPH09151162A (ja) * | 1995-11-30 | 1997-06-10 | Sekiyu Sangyo Kasseika Center | ナフタレンジカルボン酸の精製法 |
-
2001
- 2001-07-13 JP JP2001214142A patent/JP2003026629A/ja not_active Withdrawn
-
2002
- 2002-07-12 US US10/193,231 patent/US6756509B2/en not_active Expired - Fee Related
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- 2002-07-12 EP EP02254916A patent/EP1275634A1/en not_active Withdrawn
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KR100841600B1 (ko) | 2006-12-29 | 2008-06-26 | 주식회사 효성 | 고순도 2,6-나프탈렌디카르복실산의 세정공정 및 회수공정 |
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