JP3864642B2 - アルコール類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルコール類の製造方法に関するものである。詳しくはカルボン酸あるいはカルボン酸エステルを水素化触媒の存在下水素化反応させてアルコールを製造する際に、水素化反応混合液から目的とするアルコール類を効率的に取得する方法に関し、例えばシクロヘキサンジカルボン酸からシクロヘキサンジメタノール、アジピン酸から1,6−ヘキサンジオールを製造する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルボン酸からアルコール類の製造は古くから広く工業的に実施されている技術である。例えば6個から11個の炭素原子を含む1価の脂肪族アルコールは可塑剤エステルの原料に用いれており、約11個以上の炭素原子を含む高級アルコールの主要な用途は合成清浄剤の製造である。又炭素数4から10のジカルボン酸から製造されるジオールはポリエステル系の合成繊維や合成樹脂、塗料として多量に使用されている。
特許公報2781272号、特公昭53ー33567号、或いは特表平8−510686号に記載されているような従来技術においては、脂肪酸をいったん脂肪酸エステルに変換し、その後水素化反応により目的生成物である脂肪族アルコールを製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したような従来技術においては、原料として用いるカルボン酸に対して耐酸性の優れた水素化触媒がなかったためエステル化工程を経なければならないという問題があった。本発明者等は、先にこれらの水素化触媒の問題点を解決するために直接カルボン酸を水素化できるRuとSnを含む固体触媒を提案した(特開平10−306047号、特願平10−174386号)。
これらの触媒はカルボン酸の水素化反応に対して優れた性能を示すものの、未反応のカルボン酸が残存していると蒸留分離によりアルコール類を取得する際に、カルボン酸と生成したアルコール類とのエステル化反応が進行してしまい、アルコール類の取得収率が低下する。また、カルボン酸としてジカルボン酸を使用した場合、エステルのオリゴマーが生成して蒸留塔底部配管の閉塞が懸念されるという問題があった。すなわち目的物であるアルコール類を蒸留分離する前に、未反応のカルボン酸を含む有機酸類をできるだけ除去しておくことが必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カルボン酸、カルボン酸エステル及びこれらの混合物を水素化して得られたアルコール類を含む水素化反応混合液からアルコール類を回収する方法において、有機溶剤による抽出操作を用いることにより、未反応のカルボン酸類を効率的に除去し、目的とする脂肪族アルコールを効率良く回収でき、しかも安定した運転ができることを見出し、本発明に達した。
【0005】
即ち、本発明の要旨は、カルボン酸、カルボン酸エステル及びこれらの混合物から選ばれる原料化合物を、触媒の存在下で水素化反応させてアルコール類を含む反応混合液を生成させ、この反応混合液からアルコール類を回収することによりアルコール類を製造する方法において、反応混合液中のアルコール類を有機溶剤で抽出し、次いで有機溶剤相をアルカリ水溶液で洗浄した後、蒸留により有機溶剤相からアルコール類を取得することを特徴とするアルコール類の製造方法、に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細を説明する。
(原料化合物)
本発明における原料化合物であるカルボン酸とは、脂肪族又は脂環式の飽和、不飽和またはポリ不飽和のカルボン酸である。これは例えば1個から26個の炭素原子、好ましくは4個から22個の炭素原子を包含する脂肪族又は脂環式のアルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルケニルカルボン酸であり、カルボキシル基を1個以上含む化合物を意味している。又必要とあれば、これらカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル化合物を原料として使用してよい。ここでいう脂肪族アルコールとは脂肪酸の水素化反応により得られたアルコールでもよいし、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール等の低級アルコールでもよい。好ましいカルボン酸エステルはカルボン酸メチルエステルである。
【0007】
本発明のカルボン酸の例としては、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ペンタデカン酸、オレイン酸、ヒドロキシオクタデセン酸、ヒドロキシカプロン酸等のモノカルボン酸、ココナツ油、菜種油、パーム油、ラード油のように天然に存在するトリグリセリドの加水分解によって得られる脂肪酸の混合物、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸等のポリカルボン酸等を挙げることができる。本発明においては、オリゴマー化を抑制できるという効果が顕著であるという点で、原料化合物として、ジカルボン酸又はそのエステル類を用いるのが好ましく、中でもマレイン酸、コハク酸、アジピン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸及びそのエステル類から選ばれる原料化合物を使用するのが最も好ましい。
【0008】
本発明では、上述した原料化合物を、触媒の存在下で水素化反応させてアルコール類を含む反応混合液を生成させる。
(水素化触媒)
水素化触媒としては、例えば少なくとも1種の第8族元素を活性成分として含む触媒が使用できるが、中でもRu、特にはRu及びSnを活性成分として含む触媒を使用するのが好ましい。Ru及びSn成分以外に更にPtを共存させると触媒活性の向上が認められる。これら活性成分は多孔質担体上に担持して用いる事が好ましい。多孔質担体としては、活性炭、珪藻土、アルミナ、シリカ、チタニア等多くの多孔質担体を単独又は2種以上組み合わせて用いる事ができ、中でも、特に活性炭がより好ましい。
【0009】
担体に前記触媒活性成分である金属成分を担持する方法に特に制限はなく、浸漬法、イオン交換法、ゾルーゲル法など通常担持型触媒の調製法で採用されているいずれの方法も適用可能である。その中でも特に簡便な方法としては、浸漬法が採用される。浸漬法によるときは、例えば、担持する金属の原料化合物を溶解可能な溶媒、例えば、水に溶解して金属化合物の水溶液とし、この溶液を別途調製した多孔質担体に浸漬して担体に触媒成分を担持させる。
担体に各金属成分を担持する順序については特に制限がなく、全ての金属成分を1度に同時に担持してもよいし、各成分を個別に1つずつ担持しても、または成分のいくつかを組み合わせて複数回にわたって担持しても本発明の効果は達成される。しかしその中でも特に、まずRuとSnを先に担持して乾燥、還元処理し、その後必要とあればPtを追加して担体に担持すると本発明の効果をさらに高めることができる。
【0010】
金属成分の溶液を担体に浸漬、担持した後には(複数回に亘って浸漬担持する場合はその都度)、通常乾燥を行う。乾燥は200 ℃以下の温度で、減圧下、もしくは空気や不活性ガス等の乾燥ガスを通気しながら行う。その後、必要に応じて焼成、還元処理を行う。焼成処理を行う場合には、通常100 〜600 ℃の温度範囲で空気や窒素等の不活性ガスを通気して行う。又、還元処理を行う場合には、公知の液相還元法、気相還元法が採用され、気相還元法の場合、通常100 〜600 ℃の温度範囲、好ましくは200 〜500 ℃の温度範囲が選択される。還元ガスとしては水素、不活性ガスに希釈した水素あるいはメタノール等が適宜選択される。
【0011】
還元した触媒は取り扱い易さの観点から希釈酸素で不動態化したのち保管することができる。RuおよびSnの担持量はその金属ベースで担体に対して、それぞれ0.5 〜50重量%、好ましくは1 〜20重量%の範囲である。又、PtはRuに対して、通常0.1 〜5 重量倍量共存させるのが、活性向上の観点から好ましい。尚、Ru、Ptの貴金属成分とSnの原料化合物としてはそれらの金属の硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸塩が一般的に使用されるが、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、酸化物又は、一般に知られている有機金属化合物や錯塩も使用することができる。
【0012】
(水素化反応)
水素化反応の反応条件に関して、温度は、通常50〜350 ℃、好ましくは100 〜250 ℃、反応圧は、通常0.1 〜30MPa 、好ましくは1 〜25MPa が採用される。水素化反応に使用される水素は特に純水素である必要はなく、窒素、ヘリウム、アルゴンあるいは炭酸ガス等の不活性ガスで希釈した水素を用いてもよい。反応の形式は、回分式、連続式のいずれでもよく、反応器の形式も攪拌懸濁床方式、固定床式、流動床式などの任意の形式のものを用いることができる。通常は固定床を用いて連続的に反応を行うのが工業的に有利である。以下、固定床を用いたアジピン酸の連続水素化反応を例を挙げて具体的に述べる。
【0013】
水素化反応は無溶媒で行ってもよいし、必要に応じて、反応に悪影響を与えない反応溶媒を使用してもよい。例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、デカリン等の炭化水素類を例示することができる。カルボン酸の水素化反応では相当するアルコールと共に常に水が副生する事から、特にこれらの溶媒の中で水が好ましい。原料化合物の濃度に関して特に規定はなく、反応速度、反応熱、後段の分離工程を考慮して適宜決めることができる。通常、原料化合物の濃度として5重量%から90重量%の範囲、好ましくは20重量%から50重量%の範囲が採用される。
【0014】
以下、アジピン酸の連続水素化反応を例に挙げて具体的に述べるが、アジピン酸以外の他の原料化合物でも同様に適用できるものである。
[反応形式の概要]
反応形式は任意であるが、例えばアジピン酸を原料化合物として用いる場合には以下のような反応形式を用いることができる。固定床型反応器に固定化触媒を収容しておき、水、アジピン酸及び水素含有ガスを連続的に反応器に供給し、同時に生成した1、6ーヘキサンジオールと未反応のアジピン酸等を含む反応混合液を連続的に取り出す。取り出した反応混合液はガス分離塔でガスを分離し、分離したガスは反応器へ再循環される。一方、取り出した反応混合液は本発明の特徴である抽出工程へ導かれる。
【0015】
[原料供給方法]
1.反応の開始時
反応開始後の反応器中には水素化触媒、水、アジピン酸、水素を含むガスが少なくとも存在するが、反応器の初期充填の段階でこれら反応原料等を加える順番に特に制約はない。しかしながら、触媒の性能安定性を保持するためには、水素非存在下でアジピン酸と水素化触媒とが接触するのを避けた方が好ましい。具体的な添加順序としては、次のような手順を用いるのが好ましい。
反応器に水素化触媒を入れた後、水素を含むガスを供給し、次いで水を供給しながら、所定の反応温度に昇温する。所定温度に達したのち、アジピン酸を供給して反応を開始させる。
【0016】
2.反応継続時
水素化反応が進行するにつれ、反応器内のアジピン酸及び水素が減少するため、これらを補充しながら連続的に反応するのが好ましい。これら原料の反応器への供給方法として、
(2−1):反応器に間断なく連続的に供給する方法
(2−2):ある間隔時間をおいて間欠的に供給する方法
があるが、反応を安定化させるために(2−1)の方法をとるのが好ましい。
水素とアジピン酸の供給モル比は4〜5000、好ましくは10〜500、更に好ましくは12〜100の間で行うのが良い。原料の供給速度は触媒の性能、目的生成物の分離後の未反応物の反応器への循環量等で適宜決めることができるが、一般にアジピン酸の供給速度としては、0.1から1000kg/kg-cat ・hr、好ましくは0.2から50kg/kg-cat ・hr、水素の供給速度としては、GHSVで50から5000/hr 、好ましくは100から2000/hr の範囲で設定される。
【0017】
[抽出工程]
水素化反応工程から取り出した反応生成物はガス分離塔でガスを分離し、分離したガスは水素化反応工程へ再循環される。一方、取り出した反応混合液は本発明の特徴である抽出工程へ導かれる。本発明では、目的生成物であるアルコール類を含む反応混合液の液相(例えば水相)を有機溶剤と接触させ、有機溶剤側にアルコール類を抽出する。この場合、目的化合物を溶解する様々な有機溶剤を抽剤として用いることができるが、水素化反応工程において上述した反応溶媒を用いる場合には、有機溶剤は反応溶媒と2相に分離する溶剤を用いる。また、抽出分離後の液相(例えば水相)側は水素化反応工程に循環することから、液相(例えば水相)側に1部溶解した抽剤の変質を防ぐために水素化反応条件に安定な抽剤を選定する必要がある。
【0018】
抽出時の温度は任意だが、室温から水素化工程で採用されている反応温度の間で行うのが好ましい。目的とするアルコール類を抽出する好ましい有機溶剤としては炭素数3〜18の脂肪族又は脂環式のアルコール類、エステル類を挙げることができる。有機溶剤は、目的生成物であるアルコール類と同じであっても異なる化合物でも良い。異なる有機溶剤を使用する際は目的生成物であるアルコール類と有機溶剤の沸点差が少なくとも10℃以上となるような有機溶剤であるのがよい。具体的にはペンタノール、シクロペンタノール、ノルマルヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ドデカノール、ヘキサデカノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、カプロン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル等のエステル類を挙げられる。これらの中でも2−エチルヘキサノール、酢酸エチル又はオクタノールを使用するのが最も好ましい。
【0019】
これら抽剤(有機溶剤)の反応混合液に対しての使用量は特に限定はなく、抽出効率を考慮して任意の量を使用することができるが、反応混合液に対して0.1から100の重量比、好ましくは0.5から5の重量比の範囲で使用する。又、抽出方法は回分抽出あるいは連続抽出のどちらも採用することができる。尚抽出分離後の液相(例えば水相)側は水素化反応工程に循環される。目的生成物を含む有機溶剤相は後段のアルカリ洗浄工程に導かれる。
【0020】
[アルカリ洗浄]
抽出工程を経て得られた目的化合物を含む有機溶剤相はアルカリ水溶液で洗浄することにより未反応のカルボン酸、あるいは副生した有機酸成分が除去される。未反応のカルボン酸等が残存していると蒸留分離によりアルコール類を取得する際にエステル化反応が進行してしまい、アルコール類の取得収率が低下する。また、カルボン酸としてジカルボン酸を使用した場合、エステルの高沸オリゴマーが生成して蒸留塔底部配管の閉塞が懸念されるという問題があり、蒸留工程に入る前にこれら有機酸成分を除いておく必要がある。
【0021】
塩基は水溶液としてアルカリ性を示す化合物であればどのようなものも使用可能である。具体的にはアンモニアあるいはLiOH,NaOH、KOH、水酸化カルシュム、炭酸ナトリウム,NaOMe等のアルカリ、アルカリ土類金属塩または必要とあればトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の有機アミンを用いることができる。中でもアンモニア水、NaOH又はKOHが最も好ましい。
これら塩基の使用量は少なくとも有機溶剤相に含まれるカルボン酸及びカルボン酸エステル化合物から算出される酸価及びエステル価の総量以上の塩基が必要である。具体的には酸価及びエステル価の総量に対して1から1000等量、好ましくは1から100等量の塩基を使用する。これら塩基を水に溶解してアルカリ水溶液として、抽出工程を経て得られた目的化合物を含む有機溶剤相を洗浄する。有機溶剤相に対するアルカリ水溶液の使用量は任意であるが、通常0.01から100の重量比、好ましくは0.1から5の重量比の範囲で使用する。
【0022】
又、アルカリ水溶液で洗浄の際、目的化合物であるアルコール類が水相に移送することによる損失を防ぐために、アルカリ水溶液中にアルカリ塩を存在させてもよい。アルカリ塩としては一般に塩析の効果のあるものであればどのような化合物でもよく、例えば硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、塩化マグネシュム、硝酸カルシュム等が挙げられる。なかでも硫酸ナトリウムあるいは酢酸ナトリウムが好ましい。その使用量も任意であり、アルカリ水溶液に対して0.1〜90wt%、好ましくは10〜70wt%の範囲で適宜選択できるが、析出等の問題からアルカリ水溶液に対して飽和溶解度以下の濃度で使用するのが好ましい。
アルカリ洗浄を経た目的化合物を含む有機溶剤相は後段の蒸留工程に導かれる。
【0023】
[蒸留工程]
本発明では、目的生成物であるアルコール類を取り出すために蒸留工程を用いるのが好ましい。アルカリ洗浄工程から得たアルコール類を含む有機溶剤相は蒸留により有機溶剤とアルコール類に分離される。蒸留分離で得た有機溶剤は抽出工程に循環される。一方アルコール類は、必要とあれば更に蒸留等の通常の精製を行い製品として取得される。
【0024】
【実施例】
次に本発明方法を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
(水素化反応)
1インチφ×1mの固定床反応器に、活性炭に担持したRu,PtおよびSnからなる触媒を95g充填し、反応圧12MPa、反応温度250℃の条件で、20wt% のシクロヘキサンジカルボン酸水溶液を250g /hの速度で供給して水素化反応を行った。気液分離後、取り出した反応混合液の液組成は13.47wt% の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2.3wt%の1,4-シクロヘキサンヒドロキシメチルカルボン酸(CHMA)および0.6wt%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含んでいた。
(抽出操作)
上記の水素化反応で得られた反応混合液10gに2−エチルヘキサノール(2EH)10gを加え室温下1時間攪拌したのち静置し、有機相(2EH相)と水相に分離した。有機相(2EH相)には、1.11gのCHDM,0.115gのCHMAおよび0.04gのCHDAが含まれ、水相側には0.195gのCHDM,0.015gのCHMAおよび0.01gのCHDAが含まれていた。
【0026】
実施例2〜9
実施例1の反応混合液と類似の組成である、13.26wt%のCHDMおよび0.73%のCHDAを含む調製液を作り、2−エチルヘキサノール(2EH)を加え室温下1時間攪拌したのち静置し、有機相と水相に分離した。抽出検討を行った結果を表1にまとめた。
【0027】
【表1】
【0028】
反応混合液中のCHDMは上述した抽出操作により80wt%以上を有機相(2EH相)に移送できることが判明した。
【0029】
実施例10
2−エチルヘキサノール(2EH)の代わりに抽剤として酢酸エチルを用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、酢酸エチル相には0.78gのCHDMおよび0.06gのCHDAが移送しており、水相には0.52gのCHDM、0.002gのCHDAが残留していた。
【0030】
(アルカリ洗浄操作)
実施例3および実施例4で得られた有機相(2EH相)をアルカリ水溶液により洗浄することにより、2EH相に残留する有機酸が除去できるかどうかを検討した。実施例3および実施例4で得られた有機相(2EH相)にNaOH水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した後静置し、有機相と水相を分離した後の各相を分析した結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
表2から明らかなように、有機相をアルカリ水溶液で洗浄することにより、有機相中の有機酸量を低減でき、特に有機酸の当量以上のアルカリで洗浄することにより、有機相に残留している有機酸を全て水相に移送することができる。また、アルカリ水溶液に亡硝のようなアルカリ塩を添加しておくことにより目的化合物であるCHDMの水相への移送を防ぐことができ、本操作における目的物の損失を最小限にすることができる。
また、実施例1、2、5〜10の抽出操作により得られた有機相についても、同様にアルカリ水溶液で洗浄することにより、有機酸を除去することができる。
【0033】
実施例11
(水素化反応)
シクロヘキサンジカルボン酸の代わりに20wt%アジピン酸水溶液を原料に用いて実施例1と同様に水素化反応を実施した。得られた水素化生成物を分析すると14.06wt%の1,6−ヘキサンジオール、1.23wt%のカプロラクトンおよび0.11wt%のアジピン酸を含有していた。
(抽出操作)
上記の水素化反応で得られた反応液30gに2−エチルヘキサノール(2EH)30gを加え室温下1時間攪拌した後静置し、有機相と水相に分離した。その結果、33.9gの有機相(2EH相)には2.657gのCHDM,0.253gのカプロラクトンおよび0.029gのアジピン酸が含まれ、26.0gの水相側には1.507gの1,6−ヘキサンジオール,0.110gのカプロラクトンおよび0.002gのアジピン酸が含まれていた。
【0034】
(アルカリ洗浄操作)
上記抽出操作により得た有機相(2EH相)12gを、1N−NaOH水溶液0.8gと0.5gのNa2SO4を含む1.74gの水溶液により実施例12と同様の方法で洗浄した。その結果、98wt%の1,6−ヘキサンジオールおよび90wt%のカプロラクトンが有機相に残留しており、アジピン酸は全て水相側に移送していた。
【0035】
【発明の効果】
本発明の方法により、カルボン酸類又はカルボン酸エステル類を水素化して得られるアルコール類を含む反応混合液から、目的物であるアルコール類を効率的に取得することが可能となり、未反応のカルボン酸を容易に除去することが可能となり、カルボン酸と生成したアルコール類とのエステル化反応やジカルボン酸エステルのオリゴマー化等の副反応を防ぐことが可能となるため、工業的な利用価値が高い。
Claims (7)
- カルボン酸、カルボン酸エステル及びこれらの混合物から選ばれる原料化合物を、触媒及び水の存在下で水素化反応させてアルコール類を含む反応混合液を生成させ、この反応混合液からアルコール類を回収することによりアルコール類を製造する方法において、反応混合液中のアルコール類を有機溶剤で抽出し、次いで有機溶剤相をアルカリ水溶液で洗浄した後、蒸留により有機溶剤相からアルコール類を取得することを特徴とするアルコール類の製造方法。
- 原料化合物が、炭素数4から22のカルボン酸あるいはそのエステルである請求項1に記載のアルコール類の製造方法。
- 触媒が、Ru及びSnを含有する不均一触媒である請求項1又は2に記載のアルコール類の製造方法。
- 水素化反応を反応溶媒の存在下で行い、反応溶媒として水を用いる請求項1〜3のいずれかに記載のアルコール類の製造方法。
- アルコール類を抽出する有機溶剤が、炭素数3から18の脂肪族又は脂環式のアルコール類、或いはエステル類である請求項1〜4のいずれかに記載のアルコール類の製造方法。
- 原料化合物が、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸から選ばれるものである請求項2に記載のアルコール類の製造方法。
- 有機溶剤相をアルカリ水溶液で洗浄する際に、有機溶剤中に残留するカルボン酸及びカルボン酸エステルから算出される酸価及びエステル価の総量以上の当量のアルカリで洗浄する請求項1〜6のいずれかに記載のアルコール類の製造方法。
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