JP6063722B2 - アルコール及びグリセリンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、油脂を原料としたアルコール及びグリセリンの製造方法に関するものである。
現在、脂肪族アルコールは洗浄剤等の原料である界面活性剤等の合成に原料として使用されている。また、グリセリンは薬品や化粧品等に使用されている。
従来の脂肪族アルコールの工業的製造方法では、油脂をメタノールによりエステル交換し、得られた脂肪酸のメチルエステルを水素化反応することにより脂肪族アルコールを製造している。
油脂を直接水素化反応することで、脂肪族アルコールを得る製造方法は工程が少なく、簡便な方法であると考えられるが、実際には工業的には利用されていない。油脂の直接水素化反応では、油脂から生成するグリセリンが、触媒表面上で水素化される副反応が起こり、高収率でグリセリンを回収することができない為、グリセリンの収率が大幅に低下し、経済的に優位性を示していないことがその理由として挙げられる。
そのため、上記のグリセリンの副反応等を抑制する技術の検討が、種々行われている。
特許文献1には油脂の水素化反応で、水を共存させることにより上記の副反応を抑制させる製造方法が開示されている。
また、特許文献2には油脂の水素化反応で、特定の条件で有機溶媒を共存させることにより、上記の副反応を抑制させる製造方法が開示されている。
特開2006−282661号公報 特開2006−248899号公報
特許文献1及び2でのグリセリンの副反応の抑制は、まだ十分ではなく、グリセリンの収率の低下といった課題があり、更なる抑制技術が望まれている。
したがって、本発明の課題は、油脂からアルコール及びグリセリンを製造する方法であって、グリセリンの副反応を抑制できる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、油脂からアルコール及びグリセリンを製造するに当たって、水を共存させ、所定範囲のSP値(溶解度パラメーター)を有するアルコール(A)を添加することで、グリセリンの副反応を抑制することができ、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(以下、単に「アルコール(A)」ともいう)を添加して油脂の水素化反応を行うアルコール及びグリセリンの製造方法に関する。
本発明のアルコール及びグリセリンの製造方法は、グリセリンの副反応を抑制することができる。このため当該製造方法では、アルコール及びグリセリンを高収率で得られる。
本発明のアルコール及びグリセリンの製造方法は、触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)を添加して油脂の水素化反応を行う。
[反応原料]
<油脂>
本発明で反応原料として用いる油脂は、特に限定されるものではないが、主としてトリグリセリドからなる。油脂はトリグリセリドのほかにジグリセリド、モノグリセリド、脂肪酸を含んでいてもよく、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、及び魚油から選ばれる1種以上、又はこれらの硬化油を使用できる。
また、上記の油脂は、加水分解をして脂肪酸とグリセリンの混合物としてから、本反応の原料として使用できる。なお、原料として脂肪酸とグリセリンの混合物を使用する場合は、脂肪酸の炭素数は界面活性剤の原料になる観点から、その炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上である。そして、界面活性剤の性能の観点から、炭素数は好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
<水>
水素化反応で共存させる水は、水道水、蒸留水、又は脱イオン水が挙げられる。その中でも、蒸留水又は脱イオン水が好ましい。油脂の水素化反応で水を共存させることで、油脂の水素化反応により生成するグリセリンを水相中に溶解させることができ、更なる水素化を防止でき、グリセリンの副反応を抑制できる。
<SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)>
油脂の水素化反応時のグリセリンの副反応を抑制するメカニズムは明確ではないが、油脂の水素化反応により生成するアルコールとは異なるアルコールであって、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)が触媒付近で存在し、グリセリンの触媒表面反応を抑制すると考えられる。
したがって、反応原料中に分散してグリセリンの副反応を抑制する観点から、上記アルコール(A)のSP値(溶解度パラメータ)は16(MPa)1/2以上であり、好ましくは18(MPa)1/2以上、更に好ましくは19(MPa)1/2以上、更に好ましくは20(MPa)1/2以上である。そして、グリセリンの副反応の抑制によるグリセリンの収率向上の観点から、28(MPa)1/2以下であり、好ましくは24(MPa)1/2以下、更に好ましくは23.5(MPa)1/2以下、更に好ましくは23.2(MPa)1/2以下である。
ここで、SP値とは、疎水性溶媒の溶解度パラメーターであり、すなわち、液体分子凝集エネルギーとEと分子容Vから(E/V)1/2(MPa)1/2で与えられる物質定数である。SP値は、各種の方法で求めることができ、本発明におけるSP値は、J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th 」(JOHN WILEY & SONS,INC 1999年発行)、VII688〜694項に示された値を用いることができ、そこに記載のないものについてはFedorsの方法に従い、 J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th 」(JOHN WILEY & SONS,INC 1999年発行)、VII685〜686項に示されるパラメーターを用いて算出した値を用いることができる。
また、アルコール(A)の炭素数は、触媒表面近傍に存在する場合に、グリセリンの副反応を抑制しグリセリンの収率を向上させる観点から、好ましくは6以上、より好ましくは7以上であり、更に好ましくは8以上である。そして、触媒表面付近に存在し、グリセリンの副反応を阻害する観点から、アルコール(A)の炭素数は好ましくは20以下、より好ましくは16以下であり、更に好ましくは13以下である。
また、アルコール(A)は、グリセリンの副反応を抑制する観点から、好ましくは2級若しくは3級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、より好ましくは2級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは分岐型若しくは環型の2級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは分岐型若しくは環型の2級アルコール、又は分岐型若しくは環型のフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは環型の2級アルコール又はフッ素置換アルコール、更に好ましくは環型の2級アルコールである。
環型の2級アルコールとしては、炭素数5〜8の環状脂肪族炭化水素基を2つ有するメタノールが挙げられる。
アルコール(A)の具体例としてはシクロドデカノール、2−ドデカノール、ペンタデカフルオロオクタノール、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロヘキシルメタノール、トリフェニルメタノール、3−エチル−3−ペンタノール、4−プロピル−4−ヘプタノールが挙げられ、より好ましくはジシクロヘキシルメタノール、シクロドデカノールが挙げられ、更に好ましくはジシクロヘキシルメタノールである。
<触媒>
本工程で用いられる触媒は、公知のアルコール製造に用いられる水素化触媒でよく、特に限定されるものではない。一般的な脂肪酸水添触媒として、金属酸化物からなる触媒前駆体に活性化処理を施して得られる固体水素化触媒が使用されることが好ましい。より具体的には、例えば、Coを含有する酸化物、又はCuを含有する酸化物が、水素化触媒前駆体として使用できる。その他にRe系、Ru系、Rh系及び白金等の貴金属系触媒を使用することができる。Coを含有する酸化物として、Co並びにZr、Y、La、Ce、Si、Al、Sc、及びVから選ばれる1種以上の元素との複合酸化物が好ましく、Pt、Pd、Ru、及びMoから選ばれる1種以上の元素を更に含有することがより好ましい。これらの中では、水素化触媒前駆体としては、具体的にはCoを含有する酸化物が好ましく、Co及びZrを含有する複合酸化物の触媒前駆体がより好ましく、Co、Zr及びYを含有する複合酸化物の触媒前駆体が更に好ましく、Co、Zr、Y及びPdを含有する複合酸化物の触媒前駆体が更に好ましく、Co、Zr、Y、Pd及びMoを含有する複合酸化物の触媒前駆体が更に好ましい。
触媒前駆体の形状は特に限定されるものではなく、反応器の形式によって粉末、顆粒、錠剤、ヌードル、薄膜状、モノリス等の形態から適宜選択すればよい。
上記触媒前駆体は、例えば特開2009−142781号公報に記載の方法により調製できる。さらに同公報に記載の方法(還元処理)により上記触媒前駆体に活性化処理を施して得られたものを水素化触媒として使用できる。
<アルコール及びグリセリンの製造方法>
本発明のアルコール及びグリセリンの製造方法は、触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)を添加して油脂の水素化反応を行う工程(以下「反応工程」ともいう)を少なくとも有する。
本発明では、生成するアルコール及びグリセリンの品質の観点から油脂の精製を行うことが好ましい。
触媒存在下、油脂を水素化反応させると、油脂は加水分解し脂肪酸とグリセリンの混合物が得られ、更に当該脂肪酸が水素化されアルコールが生成する。このことから、脂肪酸とグリセリンの混合物を原料として水素化反応を行う場面においても同様の効果が期待できる。
水は、原料と共に添加したもの、原料を反応装置に充填した後に添加したもの、又は原料由来の水である。
ここで共存させる水は、グリセリド骨格1モルに対して、グリセリン選択性の向上の観点から、0.5モル倍以上が好ましく、1モル倍以上がより好ましく、5モル以上が更に好ましく、10モル倍以上が更に好ましい。またエネルギー消費の観点から、10000モル倍以下が好ましく、1000モル倍以下がより好ましく、100モル倍以下が更に好ましく、50モル倍以下が更に好ましい。
グリセリド骨格とは、グリセリン、又はグリセリン誘導体中のグリセリンに由来する部分を意味する。本発明に係るグリセリド骨格には、ジグリセリド、モノグリセリド、グリセリン等の他、未反応のトリグリセリド由来のグリセリド骨格も含まれる。
また、脂肪酸の水素化反応により水が生成するため仕込む油は油脂をそのまま、又は加水分解を行いグリセリンと脂肪酸の混合物でもよい。その場合仕込む脂肪酸は特に限定されず、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、若しくは魚油由来の脂肪酸、又はこれらの混合物を使用できる。
本工程において水素化反応の温度は、120〜300℃が好ましく、150〜280℃が更に好ましい。
また水素化反応の圧力は絶対圧力で、1〜50MPaが好ましく、2〜30MPaが更に好ましい。
本工程で使用するアルコール(A)の添加量は、グリセリンの副反応抑制の観点から原料の油脂に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。また添加剤の回収の観点から原料の油脂に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
また、本工程で使用する触媒は、バッチ式反応器を用いた反応において反応性の観点から触媒量が原料の油脂に対して好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
本工程に用いられる反応器としては、水素化反応が可能であれば特に限定されるものではなく、通常用いられる公知のものでよい。例えば、触媒を流体に分散させて水素化反応を行う懸濁床反応器、触媒層全体が重力で徐々に落下する間に流体を供給することで水素化反応を行う移動床反応器、触媒を充填固定化し流体を供給することで水素化反応を行う固定床反応器、触媒層温度を等温にできる多管式固定床反応器、あるいは槽に触媒、原料、水及び添加剤を仕込み、水素化反応を行うバッチ式反応器が挙げられる。
<グリセリンの分離>
本発明の反応工程後、生成したグリセリンを、分離・回収する工程を有する。分離・回収方法としては、水層及び油層の静置分離若しくは遠心分離による方法や、蒸留等による方法を使用することができる。
<蒸留>
本発明では、反応工程で生成したアルコールの精製の観点から蒸留を行うことが好ましい。
<生成物>
本発明で生成するアルコールは、原料の油脂、脂肪酸由来であり、炭素数6〜22の脂肪族アルコールである。
本発明で生成するグリセリンは、原料の油脂由来である。
本明細書においては、以下のアルコール及びグリセリンの製造方法を開示する。
<1> 触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)を添加して油脂の水素化反応を行う、アルコール及びグリセリンの製造方法。
<2> アルコール(A)のSP値が、16(MPa)1/2以上であり、好ましくは18(MPa)1/2以上、更に好ましくは19(MPa)1/2以上、更に好ましくは20(MPa)1/2以上であり、28(MPa)1/2以下であり、好ましくは24(MPa)1/2以下、更に好ましくは23.5(MPa)1/2以下、更に好ましくは23.2(MPa)1/2以下である、<1>に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<3> アルコール(A)が、油脂の水素化反応により生成するアルコールとは異なるアルコールである、<1>又は<2>に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<4> アルコール(A)の炭素数が、6以上20以下、より好ましくは7以上16以下であり、更に好ましくは8以上13以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<5> アルコール(A)が、2級若しくは3級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、より好ましくは2級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは分岐型若しくは環型の2級アルコール、又はフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは分岐型若しくは環型の2級アルコール、又は分岐型若しくは環型のフッ素置換アルコールであり、更に好ましくは環型の2級アルコール又はフッ素置換アルコール、更に好ましくは環型の2級アルコールである、<1>〜<4>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<6> アルコール(A)が、シクロドデカノール、2−ドデカノール、ペンタデカフルオロオクタノール、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロヘキシルメタノール、トリフェニルメタノール、3−エチル−3−ペンタノール、及び4−プロピル−4−ヘプタノールから選ばれる1種以上、好ましくはジシクロヘキシルメタノール、シクロドデカノール、トリシクロヘキシルメタノール、トリフェニルメタノール、3−エチル−3−ペンタノール、及び4−プロピル−4−ヘプタノールから選ばれる1種以上、より好ましくはジシクロヘキシルメタノール及びシクロドデカノールから選ばれる1種以上、更に好ましくはジシクロヘキシルメタノールである、<1>〜<5>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<7>水の共存量が、グリセリド骨格1モルに対して、0.5モル倍以上10000モル倍以下、より好ましくは1モル倍以上1000モル倍以下、更に好ましくは5モル以上100モル倍以下、更に好ましくは10モル倍以上50モル倍以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<8>水素化反応の温度は、120〜300℃、より好ましくは150〜280℃である、<1>〜<7>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<9>水素化反応の圧力は絶対圧力で、1〜50MPa、より好ましくは2〜30MPaである、<1>〜<8>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<10> アルコール(A)の添加量が、原料の油脂に対して0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%以下、更に好ましくは2質量%以上7質量%以下、更に好ましくは3質量%以上5質量%以下である、<1>〜<9>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<11> 触媒の量が、バッチ式反応器を用いた反応において、原料の油脂に対して0.1〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である、<1>〜<10>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<12>油脂がヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、及び魚油から選ばれる1種以上、又はこれらの硬化油である、<1>〜<11>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<13>触媒前駆体がCoを含有する酸化物である触媒前駆体に活性化処理を施して得られたものである、<1>〜<12>のいずれかに記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
<14>触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下のアルコール(A)を添加してグリセリン及び脂肪酸の水素化反応を行う、アルコール及びグリセリンの製造方法。
<触媒の調製法>
(1)触媒前駆体の調製
コバルト対イットリウム対パラジウムの原子比が、Co/Y/Pd=100/5/0.08である硝酸コバルト、硝酸イットリウム(n水和物)、硝酸パラジウムの混合水溶液と炭酸アンモニウム水溶液を室温で攪拌混合した。生ずる沈殿物を十分水洗した後、110℃で乾燥した。乾燥後にコバルト対モリブデンの原子比がCo/Mo=100/1となるように7モリブデン酸6アンモニウム4水和物の水溶液を室温で攪拌混合しエバポレーターで蒸発乾固したのち、600℃で4時間焼成を行い、Co−Y−Pd−Mo酸化物を得た。得られた焼成触媒前駆体は原子比が、Co/Y/Pd/Mo=100/2.5/0.07/1.1となっていた。
(2)触媒の活性化
焼成皿へ乗せた焼成触媒前駆体(酸化物)を、還元雰囲気が可能な電気炉内へセットした。窒素で希釈した水素4%[v/v]を流通し、500℃まで昇温し、5時間その温度を保持した。次に系内を窒素置換するとともに、室温まで冷却した。次に還元触媒の表面を酸化安定化するため、窒素で希釈した空気(酸素濃度[1% v/v])を流通した。酸素吸収が認められなくなるまで酸化安定化処理を行った。
<分析方法>
実施例及び、比較例において反応終了後に得られたサンプルを油相と水相に分離し、各々を以下の条件のガスクロマトグラフィーにて分析し、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比より解析を行い、炭化水素及びグリセリンの収率を解析した。結果を表1に示す。炭化水素の生成率及びアルコールの収率は、原料脂肪酸のモル数に対する生成物のモル数に基づく値である。グリセリンの収率は、原料グリセリンのモル数に対する残存したグリセリンのモル数に基づく値である。
《油相》
装置:HP-6890
カラム:Frontier ULTRA ALLOY(内径250.00μm、長さ15.0m、膜厚0.15μm)
キャリアガス:ヘリウム、28.0mL/min
注入温度:300℃
検出:FID方式、350℃
カラム温度条件:60℃(2分保持)→10℃/min→350℃(15分保持)
《水相》
装置:HP-6850
カラム:13-0732E DB-1701(内径320.00μm、長さ30.0m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム、20.0mL/min
注入温度:230℃
検出:FID方式、250℃
カラム温度条件:40℃(3分保持)→10℃/min→230℃(5分保持)
<実施例1>
容積500ml、SUS316の回転攪拌式オートクレーブに、原料としてラウリン酸、及びグリセリンをモル比3:1、触媒として、上記触媒の調製法(1)及び(2)を経て得られた酸化ジルコニウムに担持したCo、Y、Pd及びMoを含有した複合酸化物の触媒を原料に対し10質量%、水はグリセリンの量に対して20mol倍、ジシクロヘキシルメタノールはラウリン酸とグリセリンの合計量に対して4.3質量%で仕込み、230℃に昇温後、ゲージ圧力で24.5MPa、攪拌回転数900r/minの条件で4時間接触水素化反応を行った。尚、ラウリン酸は花王社製のルナック L-98、グリセリンは和光純薬株式会社製、ジシクロヘキシルメタノールはシグマアルドリッチ社製の試薬を用いた。上記のラウリン酸及びグリセリンは油脂を加水分解し、その後精製することにより得ることができる。なお、油脂を用いた場合にも、油脂が加水分解された後に同様の反応系となるため、上記実施例と同様にグリセリンの副反応を防ぐことができる。
<実施例2>
ジシクロヘキシルメタノールの代わりに、シクロドデカノールを仕込んだこと以外は実施例1と同様の条件にて反応を行った。
<実施例3>
ジシクロヘキシルメタノールの代わりに、ペンタデカフルオロオクタノールを仕込んだこと以外は実施例1と同様の条件にて反応を行った。
<比較例1>
ジシクロヘキシルメタノールを添加してないこと以外は、実施例1と同様の条件にて反応を行った。
<比較例2>
ジシクロヘキシルメタノールと水を添加していないこと以外は、実施例1と同様の条件にて反応を行った。
Figure 0006063722

Claims (7)

  1. 触媒存在下、水を共存させ、SP値が16(MPa)1/2以上28(MPa)1/2以下で、炭素数が8以上13以下のアルコール(A)を添加して油脂の水素化反応を行う方法であって、
    アルコール(A)の添加量が、原料の油脂に対して0.1質量%以上10質量%以下である
    アルコール及びグリセリンの製造方法。
  2. アルコール(A)の添加量が、原料の油脂に対して0.1質量%以上質量%以下である、請求項1に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
  3. アルコール(A)の添加量が、原料の油脂に対して0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
  4. 水の共存量が、原料の油脂に対して0.5モル倍以上10000モル倍以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
  5. 油脂がヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、及び魚油から選ばれる1種以上、又はこれらの硬化油である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
  6. 触媒がCoを含有する酸化物である触媒前駆体に活性化処理を施して得られたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
  7. アルコール(A)が、2級若しくは3級アルコール、又はフッ素置換アルコールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコール及びグリセリンの製造方法。
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