JP2003023233A - 低温焼成セラミック回路基板 - Google Patents

低温焼成セラミック回路基板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ag−Pd系の厚膜抵抗体を形成した低温焼
成セラミック回路基板の信頼性、コスト性、電気的特性
を向上させる。 【解決手段】 低温焼成セラミック基板11の表面に、
Ag導体又はPd含有量が10重量%以下のAg−Pd
導体のペーストを用いて電極導体13を形成し、その上
から、Pd含有量が40〜60重量%のAg−Pd系の
厚膜抵抗体14を形成する。この厚膜抵抗体14は、A
g−Pd導体とガラスとの混合物に低温焼成セラミック
基板11と同種の低温焼成セラミック材料を5重量%以
上添加した抵抗体材料により形成する。焼成時に厚膜抵
抗体14から電極導体13に低温焼成セラミック材料が
拡散し、両者間に低温焼成セラミック材料の中間層が形
成される。この中間層が電極導体13から厚膜抵抗体1
4へのAg拡散を防止する役割を果たし、Ag拡散によ
る電極導体13内部のポーラス化が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ag−Pd導体と
ガラスとの混合物を主成分とする厚膜抵抗体が形成され
た低温焼成セラミック回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】800〜1000℃で焼成する低温焼成
セラミック回路基板は、セラミックと同時焼成する配線
導体として、電気的特性に優れたAg系導体等の低融点
金属を使用できると共に、アルミナ基板と比較して誘電
率が低く、信号処理の高速化に対応できる等の利点があ
る。この低温焼成セラミック回路基板に厚膜抵抗体を形
成する場合は、RuO2 系の厚膜抵抗体ペーストを用い
ることが多いが、温度変化の影響を受けにくい安定した
抵抗特性が要求される回路では、厚膜抵抗体の抵抗温度
係数(TCR)を例えば±100ppm/℃以内にする
ことが要求される場合がある。
【0003】シート抵抗値が50〜300mΩ/□の厚
膜抵抗体を形成する場合、RuO2系の厚膜抵抗体では
上記の要求を満たすことができないため、Ag−Pd導
体とガラスとの混合物からなる抵抗体材料を用いて抵抗
温度係数の小さい厚膜抵抗体を形成するようにしてい
る。
【0004】一般に、Ag−Pd導体の抵抗温度係数
は、Ag又はPdを単独で用いる場合よりも小さくな
り、AgとPdの配合比が、Ag:Pd=50:50の
付近で抵抗温度係数が最も小さくなる。この特性から、
Ag−Pd導体を主導電体成分とする厚膜抵抗体は、A
g:Pd=50:50の付近で用いられる場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、低温焼成セ
ラミック回路基板に形成する電極導体(厚膜配線導体)
は、電気的特性を良くするために、Ag導体、又は、1
0重量%以下のPdを含むAg−Pd導体により形成す
る場合が多い。このような電極導体上にAg−Pd系の
厚膜抵抗体を印刷して焼成すると、電極導体と厚膜抵抗
体とのPd含有量が大きく異なるため、焼成時に電極導
体中のAg原子がAg含有量の少ない厚膜抵抗体中に拡
散して、電極導体内部がポーラス化(多孔質化)する現
象が発生する。その結果、電極導体と低温焼成セラミッ
ク基板との接合強度が弱くなって、信頼性が悪くなると
いう欠点がある。
【0006】この対策として、電極導体と厚膜抵抗体と
の間に、Ag拡散防止のための中間導体層として、両者
の中間的な20〜30重量%のPdを含むAg−Pd導
体層を形成したり、或は、電極導体(厚膜配線導体)に
ガラス成分を多く配合して、電極導体とセラミック基板
との接合強度を大きくするようにしていた。
【0007】しかし、電極導体と厚膜抵抗体との間に、
Ag−Pdの中間導体層を形成する場合は、印刷工程が
増加すると共に、20〜30重量%のPdを含むAg−
Pd導体が新たに必要となり、コストアップするという
欠点がある。また、電極導体(厚膜配線導体)のガラス
含有量を多くすると、電極導体(厚膜配線導体)の導通
抵抗が大きくなり、回路の電気的特性が悪くなってしま
うという欠点がある。
【0008】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、Ag−Pd系の厚膜
抵抗体を接続する電極導体(厚膜配線導体)と低温焼成
セラミック基板との接合強度を向上して信頼性を確保し
ながら、コスト低減と電気的特性向上の要求も満たすこ
とができる低温焼成セラミック回路基板を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の低温焼成セラミック回路基板
は、低温焼成セラミック基板の表面に形成された電極導
体と、この電極導体に接合するように形成された厚膜抵
抗体とを備えたものにおいて、前記電極導体を、Ag導
体又はPd含有量が10重量%以下のAg−Pd導体に
より形成し、前記厚膜抵抗体をAg−Pd導体とガラス
との混合物に前記低温焼成セラミック基板と同種の低温
焼成セラミック材料を5重量%以上添加した抵抗体材料
により形成したものである。
【0010】このように、低温焼成セラミック基板と同
種の低温焼成セラミック材料を5重量%以上添加した抵
抗体材料を用いて厚膜抵抗体を形成すれば、焼成時に厚
膜抵抗体から電極導体側に低温焼成セラミック材料が拡
散し、厚膜抵抗体と電極導体との間に低温焼成セラミッ
ク材料の中間層が形成される。この中間層が電極導体か
ら厚膜抵抗体へのAg拡散を防止する役割を果たし、A
g拡散による電極導体内部のポーラス化が防止され、電
極導体と低温焼成セラミック基板との接合強度の低下が
防止される。
【0011】しかも、厚膜抵抗体には、低温焼成セラミ
ック基板と同種の低温焼成セラミック材料が5重量%以
上添加されているので、厚膜抵抗体と低温焼成セラミッ
ク基板との熱膨張係数の差が小さくなり、厚膜抵抗体と
低温焼成セラミック基板との接合部に作用する熱応力が
小さくなる。しかも、焼成時に低温焼成セラミック基板
から厚膜抵抗体側にしみ出したガラス成分と厚膜抵抗体
のガラス成分とが同種であるため、両方のガラス成分が
融合して、厚膜抵抗体と低温焼成セラミック基板との接
合強度が増加する。また、焼成時に低温焼成セラミック
基板の表面にしみ出したガラス成分が電極導体(厚膜配
線導体)を接着する接着剤の役割を果たし、電極導体
(厚膜配線導体)の接合強度も確保される。
【0012】この場合、Ag−Pd系の厚膜抵抗体は、
AgとPdの配合比が、Ag:Pd=50:50の付近
で抵抗温度係数が最小になる特性があることから、請求
項2のように、厚膜抵抗体の全導体の合計含有量に対す
るPd含有量を40重量%以上にすると良い。このよう
にすれば、厚膜抵抗体の抵抗温度係数を最小値に近付け
ることができ、温度変化の影響を受けにくい安定した抵
抗特性を実現することができる。尚、厚膜抵抗体のPd
含有量が多くなって、電極導体と厚膜抵抗体とのPd含
有量の差が大きくなっても、前述したように、焼成時に
厚膜抵抗体から電極導体側に低温焼成セラミック材料が
拡散して、厚膜抵抗体と電極導体との間に低温焼成セラ
ミック材料の中間層が形成されるため、この中間層によ
って電極導体から厚膜抵抗体へのAg拡散が防止され、
Ag拡散による電極導体と低温焼成セラミック基板との
接合強度の低下が防止される。
【0013】また、請求項3のように、低温焼成セラミ
ック材料は、CaO−SiO2 −Al2 3 −B2 3
系ガラス粉末とAl2 3 粉末との混合物を用いるよう
にしても良い。この低温焼成セラミック材料は、低誘電
率、低熱膨張係数の特長があり、信号処理の高速化に対
応した高性能のセラミック回路基板を形成できると共
に、該低温焼成セラミック材料を厚膜抵抗体に5重量%
以上添加しても、厚膜抵抗体の抵抗温度係数が増加せ
ず、温度変化の影響を受けにくい安定した抵抗特性を得
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
に基づいて説明する。低温焼成セラミック基板11は、
800〜1000℃で焼成した低温焼成セラミック材料
で形成され、複数枚の低温焼成セラミックのグリーンシ
ートを積層して焼成した多層基板又は単層基板のいずれ
であっても良い。この低温焼成セラミック基板11を形
成する低温焼成セラミック材料としては、例えばCaO
−SiO2 −Al2 3 −B23 系ガラス粉末:50
〜65重量%(好ましくは60重量%)とAl2 3
末:50〜35重量%(好ましくは40重量%)との混
合物を用いると良い。この他、例えば、MgO−SiO
2 −Al2 3 −B2 3 系ガラス粉末とAl23
末との混合物、SiO2 −B2 3 系ガラス粉末とAl
2 3 粉末との混合物、PbO−SiO2 −B2 3
ガラス粉末とAl2 3 粉末との混合物、コージェライ
ト系結晶化ガラス等の800〜1000℃で焼成できる
低温焼成セラミック材料を用いても良い。
【0015】低温焼成セラミック基板11の表面(又は
裏面)には、Ag導体又はPd含有量が10重量%以下
のAg−Pd導体のペーストを用いて、表層配線導体1
2と電極導体13が印刷・焼成されている。この表層配
線導体12と電極導体13は、低温焼成セラミック基板
11と同時焼成しても良く、或は、低温焼成セラミック
基板11の焼成後に後付けで表層配線導体12と電極導
体13を印刷・焼成しても良い。
【0016】ここで、表層配線導体12や電極導体13
をAg−Pd導体で形成する場合、PdはAgのマイグ
レーションを抑制する役割を果たすが、Pd含有量が1
0重量%よりも多くなると、半田付け性が悪くなった
り、導通抵抗値が大きくなるため、Pd含有量が10重
量%以下(Ag含有量が90重量%以上)とすることが
望ましい。
【0017】また、低温焼成セラミック基板11の表面
(又は裏面)には、一対の電極導体13間に跨がって厚
膜抵抗体14が印刷・焼成されている。この厚膜抵抗体
14は、Ag−Pd導体とガラスとの混合物に低温焼成
セラミック基板11と同種の低温焼成セラミック材料を
5重量%以上添加した抵抗体材料のペーストにより形成
されている。更に、この厚膜抵抗体14は、全導体の合
計含有量に対するPd含有量が40重量%以上に設定さ
れている。この厚膜抵抗体14は、AgとPdの配合比
が、Ag:Pd=50:50の付近で抵抗温度係数が最
小になる特性があることから、厚膜抵抗体14のPd含
有量を40〜60重量%にすれば、厚膜抵抗体14の抵
抗温度係数が最小値近付の値となり、温度変化の影響を
受けにくい安定した抵抗特性が得られる。
【0018】この厚膜抵抗体14は、表層配線導体12
や電極導体13と同時焼成したり、或は、表層配線導体
12や電極導体13の焼成後に、厚膜抵抗体14を印刷
・焼成しても良い。
【0019】例えば、低温焼成セラミック基板11を形
成する低温焼成セラミック材料が、CaO−SiO2
Al2 3 −B2 3 系ガラス粉末とAl2 3 粉末と
の混合物により形成されている場合には、厚膜抵抗体1
4には、CaO−SiO2 −Al2 3 −B2 3 系ガ
ラス粉末とAl2 3 粉末との混合物を5重量%以上添
加すると良い。この際、低温焼成セラミック基板11と
厚膜抵抗体14とで、全く同一の組成・配合比の低温焼
成セラミック材料を用いることが望ましいが、低温焼成
セラミック基板11と厚膜抵抗体14とで、ガラス粉末
とAl2 3 粉末との配合比が少し異なる低温焼成セラ
ミック材料を用いても良いことは言うまでもない。低温
焼成セラミック材料のガラス粉末とAl2 3 粉末との
配合比が少しぐらい異なっても、同じ組成のガラス粉末
とAl2 3 粉末が配合されていれば、低温焼成セラミ
ック材料の性質がほぼ同じになるためである。また、低
温焼成セラミック基板11と厚膜抵抗体14とで、低温
焼成セラミック材料のガラス成分の主成分が同じであれ
ば、そのガラス成分の添加物等が若干異なっていても良
い。
【0020】以上説明した本実施形態の構成では、低温
焼成セラミック基板11と同種の低温焼成セラミック材
料を5重量%以上添加した抵抗体材料を用いて厚膜抵抗
体14を形成したので、焼成時に厚膜抵抗体14から電
極導体13側に低温焼成セラミック材料が拡散し、厚膜
抵抗体14と電極導体13との間に低温焼成セラミック
材料の中間層が形成される。この中間層が電極導体13
から厚膜抵抗体14へのAg拡散を防止する役割を果た
し、Ag拡散による電極導体13内部のポーラス化が防
止され、電極導体12と低温焼成セラミック基板11と
の接合強度の低下が防止される。
【0021】しかも、厚膜抵抗体14には、低温焼成セ
ラミック基板11と同種の低温焼成セラミック材料が5
重量%以上添加されているので、厚膜抵抗体14と低温
焼成セラミック基板11との熱膨張係数の差が小さくな
り、厚膜抵抗体14と低温焼成セラミック基板11との
接合部に作用する熱応力が小さくなる。しかも、焼成時
に低温焼成セラミック基板11から厚膜抵抗体14側に
しみ出したガラス成分と厚膜抵抗体14のガラス成分と
が同種であるため、両方のガラス成分が融合して、厚膜
抵抗体14と低温焼成セラミック基板11との接合強度
が増加する。また、焼成時に低温焼成セラミック基板1
1の表面にしみ出したガラス成分が電極導体13(表層
配線導体12)を接着する接着剤の役割を果たし、電極
導体13(表層配線導体12)の接合強度も確保され
る。
【0022】従って、本実施形態では、厚膜抵抗体14
と電極導体13との間に、両者の中間的な20〜30重
量%のPdを含むAg−Pd導体層を形成しなくても、
電極導体13から厚膜抵抗体14へのAg拡散を防止で
きて、電極導体12と低温焼成セラミック基板11との
接合強度を確保できるので、印刷工程が増加せず、しか
も、中間層を形成する専用のAg−Pd導体ペーストが
不要となり、コストアップせずに済む。しかも、電極導
体13(表層配線導体12)のガラス含有量を多くしな
くても、電極導体12と低温焼成セラミック基板11と
の接合強度を確保できるので、電極導体13(表層配線
導体12)の導通抵抗値が大きくならずに済み、回路の
電気的特性が悪化せずに済む。これにより、回路の信頼
性向上、コスト低減、電気的特性向上の要求を全て満た
すことができる。
【0023】
【実施例】本発明者は、電極導体13のPd含有量、厚
膜抵抗体14のPd含有量、厚膜抵抗体14の低温焼成
セラミック材料添加量の適正範囲を評価する試験を行っ
たので、その試験結果を次の表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】この試験で用いた低温焼成セラミック材料
は、CaO−SiO2 −Al2 3−B2 3 系ガラス
粉末:60重量%とAl2 3 粉末:40重量%との混
合物であり、表1の各サンプル#1〜#18は、焼成後
の低温焼成セラミック基板11に後付けで電極導体13
と厚膜抵抗体14を印刷・焼成したものである。この試
験では、各サンプル#1〜#18を液体窒素に浸して極
低温に冷却した後に、各サンプル#1〜#18を液体窒
素から取り出して抵抗値変化率を測定する液体窒素ディ
ップテストを行い、抵抗値変化率が1%以下のものを合
格(○)とし、抵抗値変化率が1%より大きいものを不
合格(×)とした。
【0026】従来のように、焼成時に電極導体13中の
Ag原子が厚膜抵抗体14中に拡散して、電極導体13
の内部がポーラス化(多孔質化)すると、電極導体13
と低温焼成セラミック基板11との間の接合強度が弱く
なって、液体窒素ディップテストで電極導体13と低温
焼成セラミック基板11との接合部にクラックや剥離が
発生しやすくなり、その結果、抵抗値変化率が1%より
大きくなる。
【0027】表1の各サンプル#1〜#18は、電極導
体13のPd含有量が0重量%、5重量%、10重量%
のいずれかであり、厚膜抵抗体14の全導体の合計含有
量に対するPd含有量が40重量%、50重量%、55
重量%、60重量%のいずれかである。電極導体13の
Pd含有量が10重量%より多くなると、電極導体13
の導通抵抗値が大きくなり過ぎて、回路の電気的特性が
悪くなったり、半田付け性が悪化する。また、厚膜抵抗
体14は、AgとPdの配合比が、Ag:Pd=50:
50の付近で抵抗温度係数が最も小さくなることから、
Pd含有量が40〜60重量%の範囲では、厚膜抵抗体
14の抵抗温度係数が最小値付近の値となり、温度変化
の影響を受けにくい安定した抵抗特性が得られる。
【0028】実施例のサンプル#1〜#12は、厚膜抵
抗体14の低温焼成セラミック材料添加量が5重量%、
10重量%、15重量%のいずれかであり、比較例のサ
ンプル#13〜#18は、厚膜抵抗体14の低温焼成セ
ラミック材料添加量が0重量%又は3重量%である。
【0029】この表1の試験結果から明らかなように、
電極導体13のPd含有量が10重量%以下で、厚膜抵
抗体14のPd含有量が40〜60重量%の範囲では、
厚膜抵抗体14の低温焼成セラミック材料添加量によっ
て抵抗値変化率が変化し、厚膜抵抗体14の低温焼成セ
ラミック材料添加量が増加するに従って、抵抗値変化率
が小さくなり、回路の信頼性が向上する。
【0030】比較例のように、低温焼成セラミック材料
添加量が3重量%以下では、低温焼成セラミック材料添
加量が不足して、合格(○)の判定基準である抵抗値変
化率≦1%の条件を満たさず、不合格(×)となった。
【0031】これに対し、実施例のように、厚膜抵抗体
14の低温焼成セラミック材料添加量が5重量%以上に
なると、抵抗値変化率が0.6%以下となり、合格
(○)の判定基準である抵抗値変化率≦1%の条件を満
たした。この試験結果から、電極導体13のPd含有量
が10重量%以下で、厚膜抵抗体14のPd含有量が4
0〜60重量%の範囲では、厚膜抵抗体14の低温焼成
セラミック材料添加量を5重量%以上に設定することが
適正であることが確認された。
【0032】尚、本発明は、厚膜抵抗体14のPd含有
量が40重量%以下又は60重量%以上でも適用可能で
あり、また、厚膜抵抗体14の低温焼成セラミック材料
添加量を15重量%以上にしても良い。
【0033】その他、本発明は、低温焼成セラミック回
路基板の内層にAg−Pd系の厚膜抵抗体を形成する場
合にも適用できる等、種々変更して実施できる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1の低温焼成セラミック回路基板によれば、電
極導体をAg導体又はPd含有量が10重量%以下のA
g−Pd導体により形成し、厚膜抵抗体をAg−Pd導
体とガラスとの混合物に低温焼成セラミック基板と同種
の低温焼成セラミック材料を5重量%以上添加した抵抗
体材料により形成したので、電極導体と厚膜抵抗体との
間にAg−Pdの中間導体層を形成しなくても、電極導
体から厚膜抵抗体へのAg拡散を防止できて、電極導体
のポーラス化を防止できると共に、厚膜抵抗体と低温焼
成セラミック基板との熱膨張係数の差を小さくできて、
両者間の熱応力を小さくすることができ、信頼性を向上
させながら、コスト低減と電気的特性向上の要求も満た
すことができる。
【0035】また、請求項2では、厚膜抵抗体の全導体
の合計含有量に対するPd含有量の比率を40重量%以
上にしたので、厚膜抵抗体の抵抗温度係数を最小値に近
付けることができ、温度変化の影響を受けにくい安定し
た抵抗特性を実現することができる。
【0036】また、請求項3では、低温焼成セラミック
材料は、CaO−SiO2 −Al23 −B2 3 系ガ
ラス粉末とAl2 3 粉末との混合物を用いるようにし
たので、信号処理の高速化に対応した高性能のセラミッ
ク回路基板を形成できると共に、該低温焼成セラミック
材料を厚膜抵抗体に5重量%以上添加しても、安定した
抵抗特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す低温焼成セラミック
回路基板の主要部の縦断面図
【符号の説明】
11…低温焼成セラミック基板、12…表層配線導体、
13…電極導体、14…厚膜抵抗体。
フロントページの続き Fターム(参考) 4E351 AA07 BB01 BB24 BB31 CC11 CC12 DD05 DD20 GG03 GG04 5E343 AA24 BB25 BB48 BB72 DD02 ER32 ER35 GG16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低温焼成セラミック基板の表面に形成さ
    れた電極導体と、この電極導体に接合するように形成さ
    れた厚膜抵抗体とを備えた低温焼成セラミック回路基板
    において、 前記電極導体は、Ag導体又はPd含有量が10重量%
    以下のAg−Pd導体により形成され、 前記厚膜抵抗体は、Ag−Pd導体とガラスとの混合物
    に前記低温焼成セラミック基板と同種の低温焼成セラミ
    ック材料を5重量%以上添加した抵抗体材料により形成
    されていることを特徴とする低温焼成セラミック回路基
    板。
  2. 【請求項2】 前記厚膜抵抗体は、全導体の合計含有量
    に対するPd含有量が40重量%以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の低温焼成セラミック回路基板。
  3. 【請求項3】 前記低温焼成セラミック材料は、CaO
    −SiO2 −Al23 −B2 3 系ガラス粉末とAl
    2 3 粉末との混合物からなることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の低温焼成セラミック回路基板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005057249A (ja) * 2003-07-23 2005-03-03 Sharp Corp 回路基板及びその製造方法並びに電子装置

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