JP2003020038A - 多面体壁を胴部に形成した陽圧缶とその製造方法 - Google Patents

多面体壁を胴部に形成した陽圧缶とその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 缶胴に多面体壁を形成して、開封前はほぼ滑
らかな表面とし、開封後は立体形状を表出する陽圧缶と
その製造方法を提供する。 【解決手段】 金属板の絞りしごき加工により形成され
た缶胴と、缶底と缶胴の上端部に設けられた易開封性口
を有する缶蓋またはキャップとからなる缶であって、缶
胴の少なくとも一部に構成単位面と、構成単位面同士が
接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有
し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的
に缶外側に凸となっており、構成単位面は対向する交叉
部間で窪んだ部分を有し、且つ構成単位面の周方向に隣
り合った缶体軸方向配列が位相差をなしている周状多面
体壁が形成されており、前記構成単位面の窪んだ部分は
内容物を充填し缶の内圧を加えた状態では、内圧により
膨らんでほぼ滑らかで且つ多面体壁を表示する面を形成
し、開封すると窪んだ部分を有する構成単位面からなる
多面体壁を形成することを特徴とする多面体壁を胴部に
形成した陽圧缶とその製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は缶胴に、凹凸を形成
した構成単位面を配列して立体感と剛性を与えた不活性
ガスを含む内容物を充填した陽圧缶に関するものであ
り、より詳細には、缶胴に周状多面体壁を形成すること
により立体感を与えるとともに持ち易く、しかも不活性
ガスを含む内容物を充填することにより内圧で多面体壁
の構成単位面の窪んだ部分が外方に膨らみ、多面体壁を
表示しながらほぼ滑らかな面を形成する不活性ガスを含
む内容物を充填した缶であって、多面体壁を胴部形成し
缶胴の剛性を大きくし、しかも流通時の印刷表示の認識
性を損なわない陽圧缶に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、缶体の側壁に多面体壁を形成し、
付加価値を高めるため多くの提案がなされている。例え
ば、特開昭53−143485号公報及び特公昭54−
710号公報に見られる提案は、缶体の側壁に刻線や凹
凸を設けることにより、缶体の手による屈曲や圧潰を容
易にするというものである。また多面体壁を有する缶に
不活性ガスと飲料を充填した缶が知られており、本発明
者は先に特開平8−26286号公報に示すように、缶
胴に凹凸のある多面体壁を形成しビールを充填し内圧に
よりパネル変形した缶を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者による先の提
案は、充填したビールの内圧によって缶胴パネルが膨ら
み予め形成した多面体壁の窪み深さの小さくなった缶形
状が、開封によって内圧がかからなくなると元の窪み深
さの大きな缶胴パネル形状に復帰し、ビールの泡立ち改
良や、缶外観の変化を楽しむという提案であった。しか
しながら特開平8−26286号公報による提案の缶で
は、ビールは充填後の加熱殺菌がなく缶詰製造時の缶内
圧が低いので、充填時と開封時の窪みや形状の変化が少
なくパネル変形による効果が小さいという欠点があっ
た。
【0004】また従来の飲料用缶、食品缶等は胴部に印
刷等の表示を行っているが、胴部にビードや多面体壁を
形成し、剛性を大きくし缶の軽量化を図ろうとすると、
印刷された表示や図案が歪んで見づらくなり外観や意匠
性が劣る問う問題もあった。さらに、缶詰の流通時には
缶胴がほぼ滑らかで印刷表示が見やすく、しかも飲料時
には多面体壁を配置して立体感を与えたり、手で持った
とき持ち易くしたり、剛性を大きくしたり、滑りを防止
することは知られていない。
【0005】本発明の目的は、缶詰の製造課程でかかる
高い内圧を利用して、缶胴壁に形成した多面体壁の構成
単位面の窪みが外方に膨らんで表面の凹凸が小さくなり
ほぼ滑らかであるが、多面体形状が缶胴部に表示された
独特の外観を与え印刷表示も見やすく、缶が密封されて
いるときは例えば缶の温度が室温に低下して缶内圧が下
がってもこの形状が維持され、開缶すると凹凸が戻って
意匠的な面白さを提供するとともに、缶が持ち易くな
り、薄肉軽量であるが剛性が非常に大きくなって飲用時
に缶が潰れるなどの好ましくない変形を防止した陽圧缶
とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 「1. 金属板の絞りしごき加工により形成されな缶胴
と、缶底と缶胴の上端部に設けられた易開封性口を有す
る缶蓋またはキャップとからなる缶であって、缶胴の少
なくとも一部に構成単位面と、構成単位面同士が接する
境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有し、該境
界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的に缶外側
に凸となっており、構成単位面は対向する交叉部間で窪
んだ部分を有し、且つ構成単位面の周方向に隣り合った
缶体軸方向配列が位相差をなしている周状多面体壁が形
成されており、前記構成単位面の窪んだ部分は内容物を
充填し缶の内圧を加えた状態では、内圧により膨らん
で、次の式(1)、 0mm<h≦0.2mm (1) (式中hは内容物を充填し内圧を加えた状態での窪み
の最大深さを示す)を満足する、ほぼ滑らかで且つ多面
体壁を表示する面を形成し、開封すると次の式(2)、 0.5mm<h≦1.5mm (2) (式中hは開封後の窪みの最大深さを示す)を満足す
る、窪んだ部分を有する構成単位面からなる多面体壁を
形成することを特徴とする多面体壁を胴部に形成した陽
圧缶。 2. 缶の構成単位面の窪んだ部分は次の式(3) 0.8mm≦h≦1.7mm (3) (式中hは内容物を充填する前の窪みの最大深さを示
す)を満足する、1項に記載された、多面体壁を胴部に
形成した陽圧缶。 3. 陽圧缶が、内容物を充填後、缶内圧の最大値が4
Kg/cm以上7Kg/cm以下の範囲となる加熱
処理を行う缶である、1項又は2項に記載された多面体
壁を胴部に形成した陽圧缶。 4. 陽圧缶が、内容物として炭酸ガス含有飲料を充填
し、充填後に加熱殺菌する缶である、1項ないし3項の
いずれか1項に記載された多面体壁を胴部に形成した陽
圧缶。 5. 陽圧缶が、窒素ガスを充填したものである、1項
ないし3項のいずれか1項に記載された多面体壁を胴部
に形成した陽圧缶。 6. 金属板の絞りしごき加工により形成された缶胴
に、多面体の頂部に対応した突起と境界稜線に対応した
凸条と構成単位面の窪んだ凹面に対応する凹面が形成さ
れた表面を有する内型を挿入し、多面体の交叉部及び境
界稜線に対応した溝と、構成単位面の窪んだ凹面に対応
する凸面の配列が形成された表面を有する外型を外方か
ら当て、缶胴部を挟んで内型と外型を回転して押圧し缶
胴部に多面体壁を形成した缶に、不活性ガスを含む内容
物を充填し密封後、缶内圧の最大値が4Kg/cm
上7Kg/cm以下の範囲となる加熱処理を行って構
成単位面の窪んだ部分を外方に膨らませて胴部表面に多
面体壁を表示したほぼ滑らかな面とすることを特徴とす
る、多面体壁を胴部に形成した陽圧缶の製造方法。」に
関する。
【0007】本発明においては、前記構成単位面の窪ん
だ部分は、下記式(1)および(2)を満足するもので
あることが、缶の外観特性を高め持ち易さと剛性を向上
する点で重要である。すなわち、前記構成単位面の窪ん
だ部分は内容物を充填し缶内圧を加えた状態では、内圧
により膨らんで次の式(1)、 0mm<h≦0.2mm (1) (式中hは内容物を充填し内圧を加えた状態での窪み
の最大深さを示す)を満足する、より好適には0mm<
≦0.15mmを満足する、ほぼ滑らかで且つ多面
体壁を表示する面を形成することが、缶胴の印刷表示が
認識しやすく、独特の外観を与え意匠性に優れるという
効果を奏している。また缶胴表面の凹凸が小さいので、
缶の搬送にも適している。hが0mm以下となると開
封時の窪みの大きい状態へのパネルの復元性が悪くな
り、hが0.2mmより大きいと、開封時の窪みの変
化量が少なくなり、形状の変化の面白さに劣るし、開封
前の印刷が見づらくなったり、搬送性に劣る。一方、前
記構成単位面の窪んだ部分は、開封後は次の式(2)、 0.5mm<h≦1.5mm (2) (式中hは開封後の窪みの最大深さを示す)を満足す
る、より好適には0.6mm<h≦1.0mmを満足
する、窪んだ部分を有する構成単位面からなる多面体壁
を形成することによって、h1とh2の差が大きくなり
開封前後の窪みの変化量が大きくなるので、形状の変化
による面白さに優れるという効果を奏する。そして飲用
時には窪みのある多面体壁を配置して立体感を与えた
り、手で持ったとき持ち易くしたり、剛性を大きくした
り、滑りを防止するという点でも優れている。h
0.5mm未満であると開封前後での窪みの変化量が小
さく、形状変化の面白さに劣る。hが1.5mmを越
えると多面体パターンの成形が難しくなり、また開封後
の印刷表示の外観に劣る。
【0008】また、前記構成単位面の窪んだ部分は次の
式(3) 0.8mm≦h≦1.7mm (3) (式中hは内容物を充填する前の窪みの最大深さを示
す)を満足する、より好適には0.8mm≦h≦1.
1mmを満足する、ことが好ましい。hが0.8mm
より小さいと、開封後の窪みの深さhが小さくなって
しまい形状変化の面白さが少なくなる傾向がある。h
が1.7mmを越えると多面体パターンの成形が難しく
なり、また開封後の印刷表示の外観に劣る。
【0009】また本発明の陽圧缶は、内容物充填後、缶
内圧の最大値あ4Kg/cm以上7Kg/cm
下、より好適には4.5Kg/cm以上6.5Kg/
cm以下、の範囲となる加熱処理を行うことが好まし
い。この範囲の内圧がかかることにより、缶胴に形成し
た構成単位面の窪みが外方に膨らみ凹凸が小さくなりほ
ぼ滑らかな多面体形状が発現する。缶内圧の最大値が4
Kg/cm未満であると窪みの張り出し量が少なく滑
らかな形状が得にくい。一方、缶内圧の最大値が7Kg
/cmを越えると、缶底のバックリングが発生しな
り、缶の耐圧性に問題を生じる場合がある。なお、内容
物を充填後、加熱処理によって、缶内圧の最大値が4K
g/cm以上7Kg/cm以下の範囲となると、缶
胴に形成した構成単位面の窪みが外方に膨らみ凹凸が小
さくなりほぼ滑らかな多面体形状が発現するが、一旦こ
のパネルが膨らんだ状態になると、加熱が終了し缶温が
下がり、缶の内圧が1Kg/cm程度にまで下がって
も、パネルは膨らんだままで構成単位面の窪みは元の深
い状態に戻らず、窪みの浅いほぼ滑らかな状態を維持す
る。開封によって、一気に内圧が抜けると窪みの深い状
態に復元する。
【0010】また本発明の陽圧缶は、内容物として炭酸
ガス含有飲料を充填し、充填後に加熱殺菌するものが、
製造工程で高い缶内圧が得られるので、缶胴パネルが張
り出しやすく好ましい。さらに本発明の陽圧缶は、窒素
ガスを充填したものであってもよい。この場合、内容物
自身が炭酸ガス等の不活性ガスを含有しないものでも、
窒素ガスの圧力によって、高い缶内圧が得られるのでパ
ネルを変形させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、缶胴部に形成された
周状多面体壁のパネリング変形を利用して、不活性ガス
と内容物を充填し内圧のかかる陽圧缶の胴部の形状を充
填後の密封状態と開封時で変化させ、形状の変化で注目
を引くとともに立体感を表出し、持ち易さと剛性を向上
させるものである。即ち、この周状多面体壁は、容器内
側に向かう多数の窪んだ部分を有するものであるが、缶
構成材がアルミニウム板やスチール板であり、しかも絞
りしごき加工により胴部厚みが0.080〜0.150
mmに薄肉化されているため、不活性ガスを含む内容物
の充填とその後の加熱殺菌による缶内圧の上昇によっ
て、この窪んだ部分が容器外方に変形し、ほぼ滑らかな
缶胴表面まで深さが減少し、缶胴全体としては膨張した
形状になり加熱後室温に温度が低下してもこの状態に保
持される。この状態で容器蓋に形成されている易開封性
口の開封を行うと、容器外方に膨らんで滑らかな状態に
ある缶胴の多数の窪んだ部分が内容物の充填前の窪みの
深い状態に復帰する。この復帰により、内容物が炭酸ガ
スのような不活性ガスを含む飲料の場合には、飲料に含
まれている不活性ガスの気化が促進される。このよう
に、表面が滑らかな状態から窪みの深い状態まで缶胴を
積極的に変形させ、缶胴の立体感を変化させて形状の変
化を楽しみまた注目をひくとともに、飲用時に多面体壁
を現出させて持ち易さと剛性を向上させるのである。例
えば内容物が飲料すなわち飲料缶では、飲料をそのまま
缶から飲む場合も、コップ等に注いで飲む場合にも、特
に缶が冷えている場合は結露によりすべり易いので持ち
易くすることは重要であり、また缶が変形してこぼれる
ことも防止しなければならない。一方、開封前は多面体
壁の窪みを小さくし、印刷表示を見やすくしたり搬送性
を高めることも大切である。
【0012】また、本発明による陽圧缶は、不活性ガス
が充填され密封後の加熱により製造課程で高い缶内圧と
なる陽圧缶であって、缶内圧の最大値が3.5Kg/c
のビールに比べ高い内圧となる陽圧缶が好ましい。
この高い内圧であると、充填とその後の加熱によって缶
胴がほぼ滑らかで多面体壁が表出された状態となり、加
熱後常温に戻り缶内圧が低下してもこの状態が保持され
る。したがって本発明で使用する缶は、充填時と開封後
の形状は大きく変形し、剛性、グリップ性等が向上す
る。
【0013】本発明で使用する缶の缶胴部に形成された
周状多面体壁について説明すると、この周状多面体壁
は、構成単位面と、構成単位面同士が接する境界稜線及
び境界稜線同士が交わる交叉部からなる。構成単位面と
は、周状多面体壁の軸方向(容器高さ方向)及び/また
は周方向に反復して現れる単位面であり、この面は屈曲
面、屈折面或いは複数の面の集合体である。構成単位面
相互は、軸方向及び周方向に境界稜線を介して接してお
り、この境界稜線同士が交わる位置に交叉部、即ち頂点
が存在する。
【0014】本発明で使用する缶は、境界稜線及び交叉
部を構成単位面に比べて相対的に容器外側に突出させ且
つこれと合い補うように構成単位面の少なくとも一部を
容器内側に窪ましたこと及び構成単位面の周方向に隣合
った容器軸方向配列を位相差をなした配列としなことが
重要な特徴である。
【0015】周状多面体壁の上記配置では、周方向及び
軸方向の任意の方向に、境界稜線及び交叉部から成る凸
部と、構成単位面の少なくとも一部から成る凹部とが必
ず交互になるような配置、即ち凸部−凹部−凸部−凹部
といった繰り返し配置となっている。しかも、これらの
凸部及び凹部は、構成単位面がガッチリしかも隙間無し
に噛み合って形成されているため、缶体の胴壁が著しく
薄肉であるにもかかわらず、剛性が大きく器壁の変形に
対する抵抗も大きく、不活性ガスと飲料の充填による内
圧及び缶の開封による減圧に際しても、器壁の変形(特
に凹部)が缶の商品価値を損なわないばかりかむしろ商
品価値を高める良好な変形となり、しかもこの凹部の変
形は周状多面体壁全体にわたって生じるため、缶胴部は
内圧により多面体壁を表示した滑らかな面となり開缶す
ると持ち易い凹凸が形成される。
【0016】図面に基づいて具体的に説明する。図1は
本発明で用いる缶の基本構造及び形状の一例を示す。図
1は本発明の缶の側面図、図2は図1の缶をA−A′線
で切断した部分側面断面図、図3は図1の缶をB−B′
線で切断した水平断面図である。缶10は、アルミ板の
絞りしごき加工で形成されて上部開口の側壁部6及び閉
塞底部7と、上端に巻締めにより設けられた蓋体8とか
ら成っている。この側壁部6には周状に多面体壁が形成
されており、この多面体壁は、構成単位面1と、構成単
位面同士が接する境界稜線2及び境界稜線同士が交わる
交叉部3を有し、該境界稜線2及び交叉部3は構成単位
面に比べて相対的に容器外側に凸、構成単位面1の少な
くとも一部5は相対的に容器内側に凹となっている。ま
たこの多面体壁では、構成単位面1の隣合った容器軸方
向配列が位相差をなした配列となっている。
【0017】図4は構成単位面の説明図であって、容器
胴部に形成されている多面体壁中の1個の構成単位面を
取り出して示したものであり、図5は構成単位面の中央
部の垂直断面を示す図である。図1の構成単位面1は、
周方向に隣合った容器軸方向配列が丁度1/2の位相差
をなして配列されている。図4における各辺ab、b
c、cd、daは容器側面に形成される境界稜線2に相
当する辺であり、外向きに凸となる頂点a、b、c、d
が交叉部3に該当する。
【0018】上方頂点aと下方頂点cとは同一径の円周
面上に位置しており、左方頂点bと右方頂点dとは同一
径の円周面上に位置している。配列が1/2の位相差を
なしている場合、全ての頂点は同一径の円周面上に位置
しており、図3に示す通り、これら頂点に対応する容器
胴部内半径は、最大半径rである。一方、各稜線ab、
bc、cd、daは交差点でもあるa、b、c、dで径
外方に最も突出しているが、交差点と交差点の中間に行
くに従い容器の中心軸からの距離、即ち径が減少する。
周方向の対角線bdの中点の径sはrより小さく、図3
の場合最小内径を与える。図4において構成単位面の頂
点a、bは容器胴部の軸線に沿った同一直線上に配置さ
れており、頂点b、Cは容器胴部の同面の同一曲線上に
配置されている。そして、対角線a、cは、対角線bc
より径外方向に位置しており、四角形abcdは対角線
が最も径内方に凹んだ滑らかに湾曲した面となってい
る。
【0019】また図4において、構成単位面としての菱
形寸法は、周方向対角線bdの長さをwとし、軸方向対
角線acの高さをLとすると、w及びLはそれぞれ構成
単位面の周方向最大巾及び軸方向の最大長さとなる。軸
方向対角線の長さac(高さL)に比して、実際の構成
単位面上のac断面での長さは長く、このac断面は容
器内側に滑らかに窪んだ曲線となっている。構成単位面
上のac断面の長さは、窪みの曲率半径Rが大きくなる
にしたがって短くなる。
【0020】さらに各構成単位面において、周方向対角
線bdの長さ(w)と、実際の構成単位面上のbd断面
での長さとが異なる場合がある。例えば図3では周方向
対角線bdと実際の構成単位面上のbd断面とが一致し
ていて、それらの長さが等しいが、この断面における辺
acの中点は、周方向対角線bdの位置よりも径外方向
に位置していたり、径内方向に位置している場合があ
る。
【0021】例えば図3及び図5に示す例では、ac断
面が滑らかに湾曲しており、bc断面は実質上ストレー
トであるが、他の具体例を示す図6においては、ac断
面もbd断面も共に内方に滑らかに窪むように湾曲して
いるので長さが大きくなる。
【0022】本発明で使用する缶において、上述した周
状多面体壁は缶胴の開口部近傍と底部近傍、つまり胴部
の上部と下部を除いて胴部全面に配置されているが、缶
胴の少なくとも25%以上、特に60%以上の割合で形
成されていることが好ましい。80%〜25%形成され
ていることがさらに好ましい。この周状多面体壁が缶胴
を占める割合が上記範囲よりも小さいと、缶の開封に際
してのパネリング変形が小さくなり、缶胴に表出される
多面体壁による形状の変化が少なくなって、立体感と剛
性及び持ち易さの効果が劣化する。缶胴の上部と下部に
多面体壁を配置しないのは缶の製造工程、移送工程で胴
部の上部と下部が治具に挾持されるので、この部分には
多面体壁がない方が好ましい。
【0023】また容器胴部の周に存在する構成単位面の
数は、少なくとも4以上であることが好ましい。即ち、
この構成単位面の数が4よりも少ないと缶の開封に際し
てのパネリング変形による効果が小さくなるし、また多
面体壁を胴部に形成する際に胴部面での曲げが激しくな
るため、塗膜の耐腐食性が著しく低下し、外観も悪くな
る。まな胴部に形成される多面体壁による模様も単調と
なり、剛性や缶の持ち易さも向上しない。このように多
面体壁の形状変化による効果が小さくなる。
【0024】また一般的に言って、前記構成単位面の缶
体軸方向最大長さL及び缶周方向最大長さwは、それぞ
れ1乃至3cm、特に1.5乃至2.5cmの範囲にあ
ることが好適である。これらの長さL及びwが、上記範
囲よりも小さい場合には、前述した缶の開封に際しての
パネリング変形を生じにくく、また上記範囲よりも大き
いと、パネリング変形による効果が小さくなり、立体
感、剛性及び持ち易さが向上しないおそれがある。
【0025】本発明においては、上述した缶の開封に際
してのパネリング変形は、缶素材金属としてアルミニウ
ムやスチール等の金属板を使用し、金属板の絞りしごき
加工により形成された薄肉の缶胴に多面体壁を形成する
ことにより生じるものであるが、このパネリング変形に
よる不活性ガスを充填した陽圧缶の効果を促進させるた
めに、陽圧缶開封前の構成単位面の窪んだ部分の最大深
さと、陽圧缶の開封後の構成単位面の窪んだ部分の最大
深さとの間に次の関係を満足させることが重要である。
【0026】即ち、図5に示す構成単位面の中央部の垂
直断面図において、不活性ガスと内容物が充填密封され
た陽圧缶の開封前における構成単位面の窪んだ部分の最
大深さをh、開封後の缶における構成単位面の窪んだ
部分の最大深さをhとしたとき、両者はそれぞれ、前
記式(1)、(2)で規定する範囲内、すなわち 0mm<h≦0.2mm (1) 且つ 0.5mm<h≦1.5mm (2) にあることが重要である。より好適には、それぞれ0m
m<h≦0.15mm、0.6mm<h≦1.0m
mの範囲にあることが好ましい。
【0027】このhとh差は、缶の開封に際しての
缶胴の変形の度合に相当するものであり、例えばh
上記範囲よりも大きいか、hが上記範囲よりも小さく
とhの差が小さい場合には、缶の開封に際しての
胴壁の窪み部分の戻りが小さくなるため、缶胴のパネリ
ング変形による効果が小さくなる。またhが上記範囲
よりも小さいと、不活性ガスの充填による缶胴の膨張が
大きくなり過ぎて開封時のパネルの窪みの戻り変形が起
こり難くなる。またhが上記範囲より大きくなると、
多面体パターンの成形が困難となる。すなわち、上記範
囲内にh、hがある場合には、パネリング変形によ
る効果が極めて高いものとなるばかりか、不活性ガスと
内容物を充填密封した状態において、これ等を充填した
陽圧缶に特異な立体感と美観とが付与され、商品価値も
極めて高いものとなる。通常、缶胴側壁に窪みが深く屈
折した部分があると、この部分が陰影となり易く、表面
の印刷画像等を見ずらくし、装飾効果が低下して商品価
値が損なわれる。一方、本発明にしたがって形成される
多面体パターンでは、構成単位面が規則正しく組み合わ
され、しかも不活性ガスと内容物の充填状態において、
構成単位面はごく平面に近い状態で滑らかに窪んだもの
となるため、商品価値の極めて高いものとなるのであ
る。
【0028】また本発明による陽圧缶では、不活性ガス
や内容物を充填する前における構成単位面の窪んだ部分
の最大深さをhとしたとき、hは前記式(3)で規
定する範囲内、すなわち0.8mm≦h0≦1.7mm
の範囲、より好適には0.8mm≦h≦1.1mmを
満足する範囲にあることが望ましい。このhも間接的
に缶の開封に際しての缶胴の変形度合に影響するもので
あり、hが0.8mmより小さいと、開封後の窪みの
深さhが小さくなってしまい形状変化の面白さが少な
くなる傾向がある。hが1.7mmを越えると多面体
パターンの成形が難しくなり、また開封前の印刷表示の
外観に劣る。
【0029】上述した式(1)、(2)を満足するよう
な変形を生じさせるためには、缶胴側壁6の厚みを0.
150mm以下、特に0.080乃至0.150mmと
することが好ましく、さらに不活性ガスを含む内容物を
充填前の状態において形成されている構成単位面の窪ん
だ部分の曲率半径R(mm)が、下記式(4): 0.1≦R≦0.5 (4) 特に下記式(5) 0.2≦R≦0.4 (5) を満足するように周状多面体壁を缶胴に形成することが
望ましい。即ち、缶胴側壁6の厚みが上記範囲よりも厚
い場合には、前述したパネリング変形を有効に生じない
おそれがある。また窪んだ部分の曲率Rが、前記式で規
定する範囲よりも小さいと、その窪みに加工時の折れ目
が形成されるため、缶の外観が損なわれるばかりか、該
折れ目にて側壁が折れ込む等の変形を生じ易くなり、さ
らに曲率Rが前記式で規定する範囲よりも大きいと、窪
みの深さが浅くなって局部的な変形低効力が小さくなる
ため、前述した式(1)、(2)を満足するような適度
な変形を生じさせることが困難となる。
【0030】また、本発明で使用する缶においては、構
成単位面は四辺形に限定されず、特に菱形であることが
好ましいが、他の多角形とする事ももちろん可能であ
り、例えば六角形とすることができる。図7は構成単位
面が六角形である例を示す。この場合でも多面体の基本
的構成は前述した場合と同じである。
【0031】本発明で使用する缶は、金属素材としてア
ルミニウム板やスチール板を使用し、金属板の絞りしご
き加工により、薄肉の側壁部を有する缶体を成形し、こ
れに周状多面体の刻設を行った後、飲料を充填後、巻締
め加工により易開封性口を有する缶蓋を設けることによ
り製造される。
【0032】金属素材のアルミニウムとしては、所謂純
アルミニウム以外にもアルミニウム合金を使用すること
ができる。特に耐食性と加工性の点で優れたアルミニウ
ム合金は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.
8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、C
u:0.15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を
有するものである。これらアルミニウム乃至アルミニウ
ム合金は、金属クロム換算で、クロム量が3乃至300
mg/mとなるようなクロム酸/リン酸処理が行われ
ることが望ましい。スチールとしては冷延鋼板ないし箔
に、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、ク
ロム酸処理等の表面処理の一種又は二種以上行ったもの
等を用いることができる。
【0033】上記の金属素材を用いての缶体の成形は、
素板をしぼりダイスとポンチとの間で一段乃至多段の絞
り加工に付して側面無継目の有底缶胴を成形し、この胴
部にしごきポンチとダイスとの間で一段乃至多段のしご
き加工を行うことにより行われる。この絞りしごき加工
は、最終的に薄肉化される胴部壁の厚みが前述した範
囲、即ち0.150mm以下、特に0.080乃至0.
150mmの範囲となるように行うことが好ましい。一
般的には、総絞り比が、1.8乃至2.5、特に2.0
乃至2.3の範囲にあるのがよく、また下記式: R=100×(t−t)/t 式中、tはしごき加工前の壁厚であり、tはしごき
加工後の壁厚である、で現されるしごき率(R)が5
0乃至80%、特に60乃至70%の範囲とするのがよ
い。
【0034】上記で形成された蓋を取り付ける前の缶体
胴部への周状多面体の形成は、缶体胴部を、内型と外型
とで型押して前記多面体を形成することにより行う。使
用する内型は、前記多面体の頂点及び稜線に対応する突
起を表面に有するものであり、一方使用する外型は、前
記多面体の谷に対応する突起を表面に有するものであ
り、これらの内型及び外型を容器胴部を介して噛み合わ
せることにより、多面体の形成が行われる。
【0035】図8は、缶体胴部への多面体刻設の方法を
示す説明図であるが、理解が容易なように缶体胴部の一
部を切り欠いた状態で示してある。この例では構成単位
面が四辺形の場合を示したが、構成単位面が四辺形以外
の場合でも原理的にこれと変わりがない。缶体胴部10
は内型11及び外型12に挟まれた状態で回転される。
内型11の表面には、多面体の頂点に対応した突起13
及び境界稜線に対応した突条14と、構成単位面に対応
する窪んだ凹面15とが形成されている。一方、外型1
2の表面には、多面体の交叉部及び境界稜線に対応した
溝16と、構成単位面に対応する凸面17が形成されて
いる。
【0036】これらの内型11と外型12とを缶体胴部
10を介して噛み合わせ、且つこれらを同期した速度で
回転させることにより、容器胴部への多面体の刻設が行
われる。尚、回転に際して一部に噛み合わせがずれる場
合には内型或いは外側の回転軸が若干上下動するように
してもよい。
【0037】図8に示す具体例において、内型11及び
外型12は、缶体胴部10よりも小さい径を有している
が、内型11と外型12の表面における基本面構成単位
の周方向への配置数は缶体胴部周囲のそれに比べて1個
或いは複数個少ないものとして構成単位面の配列の開始
点部と終点部で配列がオーバーラップして成形されるの
で凹凸が明確となる。内型11と外型12とを離すこと
により、多面体刻設缶体胴部の取り出しが容易に行われ
る。オーバーラップさせることにより開始点部と終点部
も確実に成形され、凹凸が設けられない継ぎ部は生じな
い。
【0038】本発明で使用する缶は、多面体刻設に先立
った何れかの段階或いは多面体パターン刻設後に、素材
金属板或いは缶体に樹脂の保護被覆を施すことができ
る。保護被覆の形成は、保護塗料を設けることにより、
或いは熱可塑性樹脂フイルムをラミネートすることによ
り行われる。
【0039】保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性
樹脂からなる任意の保護塗料:例えばフェノール−エポ
キシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗
料:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキ
シアミノ変性−或いはエポキシフェノール変性−ビニル
塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料:アクリル樹脂系
塗料:スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系
塗料等の単独または2種以上の組合せが使用される。
【0040】これらの塗料は、エナメル或はラッカー等
の有機溶剤溶液の形で、或は水性分散液または水溶液の
形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗
装、電気泳動塗装等の形で金属素材に施す。勿論、前記
樹脂塗料が熱硬化性の場合には、必要により塗料を焼付
ける。保護塗膜は、耐腐食性と加工性との見地から、一
般に乾燥状態で2乃至30μm、特に3乃至20μmの
厚みを有することが望ましい。また、加工性を向上させ
るためには、塗膜中に、各種滑剤を含有させておくこと
ができる。
【0041】ラミネートに用いる熱可塑性樹脂フイルム
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等
のオレフィン系樹脂フイルム、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタ
レート/イソフタレート共重合体等のポリエステルフイ
ルム:ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナ
イロン12等のポリアミドフイルム:ポリ塩化ビニルフ
イルム:ポリ塩化ビニリデンフイルム等を挙げることが
できる。これらのフイルムは未延伸のものでも、二軸延
伸のものでもよい。その厚みは、一般に3乃至50μ
m、特に5乃至40μmの範囲にあることが望ましい。
フイルムの金属素材への積層は、熱融着法、ドライラミ
ネーション、押出コート法等により行われ、フイルムと
金属箔との間に接着性(熱融着性)が乏しい場合には、
例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オ
レフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリ
エステル系接着剤を介在させることができる。
【0042】蓋体としては、缶体と同じアルミニウム製
のものが使用され、また蓋体の形状等は従来公知のもの
であり、例えばスコアにより易開封性口が形成され、タ
ブ等により易開封性口の開封を行うものである。またキ
ャップとしては、アルミニウム製やプラスチック製のも
のが好適に使用でき、形状等は従来公知のものでよい。
かくして形成される不活性ガスと内容物を充填した陽圧
缶においては、充填された不活性ガスの缶内圧により、
周状多面体の構成単位面における窪み部分が、不活性ガ
スの充填前に比して缶外方に膨張変形しているが、この
変形部分は缶の開封により不活性ガスと内容物充填前の
状態にパネリング変形して復帰する。本発明で不活性ガ
スと充填する内容物としては、例えば炭酸飲料、炭酸ガ
ス含有の焼酎、酎ハイ、スピリッツ、リキュール類等の
アルコール飲料等が挙げられる。これらの炭酸ガス含有
飲料は2.0G.V.〜2.7G.V.のガスボリュー
ムで充填され、4Kg/cm以上7Kg/cm以下
の範囲となる加熱処理を行うものが好ましい。加熱処理
としては、例えば60℃〜75℃の加熱殺菌が挙げられ
る。これ等の加熱処理により、缶内圧が上昇し、構成単
位面の窪んだ部分の膨出がなされる。また他の不活性ガ
スと内容物の例としては、窒素ガス充填した果汁飲料、
茶飲料、水等が挙げられる。
【0043】
【実施例】実施例1 板厚0.32mmのアルミ板を絞りしごき加工に付し
(絞り比=2.13、しごき率=64.7%)、内容量
350ml、半径r32.88mm、高さH122.2
0mm、胴部厚みt0.113mmの有底缶胴を成形し
た。この有底缶胴に、常法により外面印刷をほどこした
後、図8に示す方法で周状多面体パターンを刻設した。
このパターンにおける構成単位面は四辺形であり、w=
15.94mm、L=15.94、R=0.2mm及び
h0=0.9mmとした。この有底缶胴にガスボリュー
ム2.5G.V.の炭酸ガス入り酎ハイを充填し、易開
封性口を有するアルミ製缶蓋を巻締めにより設け、酎ハ
イ詰め陽圧缶を得た。この酎ハイ詰め陽圧缶をパストラ
イザーにて65℃−10分の加熱殺菌を行った後、常温
まで冷却した。このときのhは約0.1mmであっ
た。図9は、この陽圧缶の缶内圧Pと構成単位面の窪ん
だ部分の最大深さhの関係を示したものである。充填前
に窪んだ部分の深い状態であったものが、加熱により缶
内圧が上昇すると、図の曲線Aに沿って窪みの深さが減
少する。そして65℃の殺菌中は缶内圧が約6.5Kg
/cmまで上昇し、このときの窪みの深さhは約0,
05mmまで減少し、ほぼ滑らかな缶胴壁となる。つい
に殺菌が終了し、缶の温度が下がり缶内圧が下がってく
ると、窪みの深さは今度は曲線Bに沿って変化する。す
なわち窪みの深さは圧力が下がるにつれ、やや深くはな
るもののその変化量はわずかであって、hは0.1m
m程度に留まり、ほぼ滑らかな多面体壁が保持される。
開封前の陽圧缶の窪みの深さはh=0.09mmであ
った(缶温20℃、缶内圧2.0Kg/cm)。上記
で得られた陽圧缶について、開封前の印刷図柄ゆがみ等
の外観と、開封時の窪みの深い状態への復元性を評価
し、その結果を表1に示した。上記陽圧缶を開封すると
缶胴壁には窪みの深い多面体壁が現出し、開封後の窪み
の深さはh=0.7mmであった。
【0044】実施例2、3 アルミ板の元板厚を0.30mm、胴部厚みtを0.1
05mmとした以外は実施例1と同様にして酎ハイ詰め
陽圧缶を製造し、開封前の外観と開封後の窪みの復元性
の評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】比較例1 板厚0.30mmのアルミ板を絞りしごき加工に付し
(絞り比=2.13、しごき率=65.7%)、内容量
350ml、半径r32.88mm、高さH122.2
0mm、胴部厚みt0.103mmの有底缶胴を成形し
た。この有底缶胴に、常法により外面印刷をほどこした
後、図8に示す方法で周状多面体パターンを刻設した。
このパターンにおける構成単位面は四辺形であり、w=
18.78mm、L=18.78、R=0.2mm及び
=1.23mmとした。この有底缶胴にガスボリュ
ーム2.6G.V.のビールを充填し、易開封性口を有
するアルミ製缶蓋を巻締めにより設け、ビール詰め陽圧
缶を得た。これをウォーマーにて約40℃に加熱した
後、常温まで冷却した。このときのhは0,35mm
であった。この缶を開封すると窪みの深い多面体壁が現
出し、持ち易い缶となった。しかし開封前後での窪みの
形状変化が少なく面白さに欠けるものであった。開封後
の窪みの最大深さはh=0.8mmであった。結果を
表1に示す。
【0046】比較例2 比較例1の缶に、内容物として実施例1と同じ炭酸ガス
入り酎ハイを充填し65℃で加熱殺菌した後、常温まで
冷却した。このときの開封前の窪みの深さはh=0.
06mmであった。この缶を開封したところ、缶内圧が
かからなくなっても缶胴の多面体壁は窪みの深い状態に
戻らなかった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】(註) 開封前の外観及び開封後の窪みの復元性は目視で評
価した。評価基準は以下の通りである。 ○:優れている △:多少劣っている ×:劣っている nは、缶胴周方向の構成単位面の数である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、缶胴に特定の周状多面
体を形成するのみで、缶詰の製造課程でかかる高い内圧
を利用して、缶胴壁に形成した多面体壁の構成単位面の
窪みが外方に膨らんで表面の凹凸が小さくなり独特の外
観を与え印刷表示も見やすく装飾効果を高め、開缶する
と凹凸が戻って意匠的な面白さを提供するとともに、缶
が持ち易くなり、薄肉軽量であるが剛性が大きくなって
飲用時に缶が潰れるなどの好ましくない変形が防止さ
れ、商品価値も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】四辺形を構成単位面とする周状多面体を設けた
本発明の缶の側面図である。
【図2】図1に示した缶の縦断面図である。
【図3】図1に示した缶の水平縦断面図である。
【図4】図1の容器の側面に形成された多面体壁の構成
単位面の平面図である。
【図5】図1に示した構成単位面の垂直断面図である。
【図6】図1とは異なる多面体壁を設けた缶の例を示す
図である。
【図7】六角形の構成単位面とする多面体壁を設けた缶
の例を示す図である。
【図8】缶胴部への多面体刻設の方法を説明する斜視図
である。
【図9】缶内圧と構成単位面の窪みの最大深さとの関係
を示す図である。
【符号の説明】
1 構成単位面 2 境界稜線 3 交叉部 5 構成単位面の凹部 6 側壁部 7 閉塞底部 8 蓋体 10 缶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森下 直 神奈川県横浜市鶴見区矢向1−1−70 東 洋製罐株式会社技術本部内 (72)発明者 伊福 威人 神奈川県横浜市鶴見区下野谷町1−8 東 洋製罐株式会社技術本部鶴見分室内 Fターム(参考) 3E033 AA02 BA09 BB08 DD01 EA07 EA09 EA10 FA01 GA02 3E061 AA16 AB06 AB08 AC01 AD05 BA01 BB02 BB07 DA08 DA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の絞りしごき加工により形成され
    た缶胴と、缶底と缶胴の上端部に設けられた易開封性口
    を有する缶蓋またはキャップとからなる缶であって、缶
    胴の少なくとも一部に構成単位面と、構成単位面同士が
    接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有
    し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的
    に缶外側に凸となっており、構成単位面は対向する交叉
    部間で窪んだ部分を有し、且つ構成単位面の周方向に隣
    り合った缶体軸方向配列が位相差をなしている周状多面
    体壁が形成されており、前記構成単位面の窪んだ部分は
    内容物を充填し缶の内圧を加えた状態では、内圧により
    膨らんで、次の式(1)、 0mm<h≦0.2mm (1) (式中hは内容物を充填し内圧を加えた状態での窪み
    の最大深さを示す)を満足する、ほぼ滑らかで且つ多面
    体壁を表示する面を形成し、開封すると次の式(2)、 0.5mm<h≦1.5mm (2) (式中hは開封後の窪みの最大深さを示す)を満足す
    る、窪んだ部分を有する構成単位面からなる多面体壁を
    形成することを特徴とする多面体壁を胴部に形成した陽
    圧缶。
  2. 【請求項2】 缶の構成単位面の窪んだ部分は次の式
    (3) 0.8mm≦h≦1.7mm (3) (式中hは内容物を充填する前の窪みの最大深さを示
    す)を満足する、請求項1に記載された、多面体壁を胴
    部に形成した陽圧缶。
  3. 【請求項3】 陽圧缶が、内容物を充填後、缶内圧の最
    大値が4Kg/cm以上7Kg/cm以下の範囲と
    なる加熱処理を行う缶である、請求項1又は2に記載さ
    れた多面体壁を胴部に形成した陽圧缶。
  4. 【請求項4】 陽圧缶が、内容物として炭酸ガス含有飲
    料を充填し、充填後に加熱殺菌する缶である、請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載された多面体壁を胴部に
    形成した陽圧缶。
  5. 【請求項5】 陽圧缶が、窒素ガスを充填したものであ
    る、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された多面
    体壁を胴部に形成した陽圧缶。
  6. 【請求項6】 金属板の絞りしごき加工により形成され
    た缶胴に、多面体の頂部に対応した突起と境界稜線に対
    応した凸条と構成単位面の窪んだ凹面に対応する凹面が
    形成された表面を有する内型を挿入し、多面体の交叉部
    及び境界稜線に対応した溝と、構成単位面の窪んだ凹面
    に対応する凸面の配列が形成された表面を有する外型を
    外方から当て、缶胴部を挟んで内型と外型を回転して押
    圧し缶胴部に多面体壁を形成した缶に、不活性ガスを含
    む内容物を充填し密封後、缶内圧の最大値が4Kg/c
    以上7Kg/cm以下の範囲となる加熱処理を行
    って構成単位面の窪んだ部分を外方に膨らませて胴部表
    面に多面体壁を表示したほぼ滑らかな面とすることを特
    徴とする、多面体壁を胴部に形成した陽圧缶の製造方
    法。
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