JP3850045B2 - 泡立ち性に優れたビール詰め缶 - Google Patents

泡立ち性に優れたビール詰め缶 Download PDF

Info

Publication number
JP3850045B2
JP3850045B2 JP16800294A JP16800294A JP3850045B2 JP 3850045 B2 JP3850045 B2 JP 3850045B2 JP 16800294 A JP16800294 A JP 16800294A JP 16800294 A JP16800294 A JP 16800294A JP 3850045 B2 JP3850045 B2 JP 3850045B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
beer
structural unit
unit surface
filling
circumferential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16800294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0826286A (ja
Inventor
直 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP16800294A priority Critical patent/JP3850045B2/ja
Publication of JPH0826286A publication Critical patent/JPH0826286A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3850045B2 publication Critical patent/JP3850045B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
  • Details Of Rigid Or Semi-Rigid Containers (AREA)
  • Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は泡立ち性に優れたビール詰め缶に関するものであり、より詳細には、缶胴に周状多面体壁を形成することによりビールの泡立ち性が向上したビール詰め缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビールは、きめ細かな泡が発生しているものが口当たりがよく美味であることが周知である。このため、缶ビールにおいても、ビールの泡立ちを良くするために多くの提案がなされている(実公平5−47074号公報、実公平1−9438号公報、特公平3−43148号公報、特開平5−97149号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上述した先行技術の提案は、何れも缶内部或いは缶外部に格別の泡発生用の器具等を設けるというものであるため、ビールの泡立ち性はともかくとして、生産工程が煩雑となったり、製品コスト等の点での不利益を免れない。
【0004】
また、種々の目的で容器側壁に多面体壁を形成することが知られている。例えば、特開昭53−143485号公報及び特開昭54−710号公報に見られる提案は、缶体の側壁に刻線や凹凸を設けることにより、缶体の手による屈曲や圧潰を容易にするというものである。従って、このような多面体壁が形成されている缶は、ビールの如き炭酸飲料が充填されているアルミ缶には、缶の変形を生じ易いため全く適用されていない。
【0005】
しかして本発明者等は、缶ビールを充填しているアルミ缶の缶胴に一定の多面体壁を形成させたものは、格別の泡発生用の器具等を用いずともビールの泡立ちが著しく促進されることを見いだした。
【0006】
従って本発明の目的は、格別の泡発生用の器具等を用いずにビールの泡立ち性が促進されたビール詰め缶を提供することにある。
本発明の他の目的は、缶胴に多面体壁が形成されたアルミ製缶体にビールが充填され、ビールの泡立ち性が促進されたビール詰め缶を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アルミ板の絞りしごき加工により形成された有底缶胴と、該缶胴の上
端部に巻締め加工により設けられた易開封性口を有する缶蓋とから成る缶体にビールが充填されているビール詰め缶において、
前記缶胴には少なくとも25%以上の割合で周状多面体壁が形成されており、
該多面体壁は胴部の周に存在する4以上の缶体軸方向最大長さL及び缶周方向最大幅wは、それぞれ1乃至3cmの範囲にある構成単位面と、構成単位面同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的に容器外側に凸となっており、構成単位面は対向する交叉部間で窪んだ部分を有し、且つ構成単位面の周方向に隣合った缶体軸方向配列が位相差をなしていると共に、
前記構成単位面の窪んだ部分は、ビールを充填した状態では、ビール充填前に比して缶体外側方向に変形した状態となり、缶蓋の易開封性口を開封により、この変形部分は、ビール充填前の状態に復帰することを特徴とする泡立ち性に優れたビール詰め缶が提供される。
【0008】
本発明においては、前記構成単位面の窪んだ部分は、下記式(1):
0.2≦h1 /h0 ≦0.5 (1)
式中、h0 は、構成単位面中央部の垂直断面図でみて、ビール充填前における
窪みの最大深さを示し、
1 は、構成単位面中央部の垂直断面図でみて、ビール充填後における
窪みの最大深さを示す、
を満足するものであることが、ビールの泡立ち性を良好とし、しかも缶の外観特性を高める点で好適である。
【0009】
【作用】
本発明では、缶胴部に形成された周状多面体壁のパネリング変形を利用して、ビールの泡立ちを促進させるものである。即ち、この周状多面体壁は、容器内側に多数の窪んだ部分を有するものであるが、缶構成材がアルミニウム板であり、しかも絞りしごき加工により胴部厚みが薄肉化されているため、ビールの充填による缶内圧によって、この窪んだ部分が容器外方に変形し、缶胴全体としては膨張した形状に保持される。この状態で容器蓋に形成されている易開封性口の開封を行うと、容器外方に形成されている缶胴の多数の窪んだ部分がビール充填前の状態に復帰する。この復帰により、缶内に充填されているビールが押圧されて攪拌され、この結果としてビールに溶解している炭酸ガスの気化が促進され、ビールの泡立ちが良好となるのである。このように、缶胴を積極的に変形させ、しかもこの変形を利用してビールの泡立ちを促進させたものは従来には全くみられなかった。
【0010】
本発明において、容器胴部に形成された周状多面体壁について説明すると、この周状多面体壁は、構成単位面と、構成単位面同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部からなる。構成単位面とは、周状多面体壁の軸方向(容器高さ方向)及び/または周方向に反復して現れる単位面であり、この面は屈曲面、屈折面或いは複数の面の集合体である場合が普通である(これに付いては後述する)。構成単位面相互は、軸方向及び周方向に境界稜線を介して接しており、この境界線同士が交わる位置に交叉部、即ち頂点が存在する。
【0011】
本発明では、境界稜線及び交叉部を構成単位面に比べて相対的に容器外側に突出させ且つこれと合い補うように構成単位面の少なくとも一部を容器内側に窪ましたこと及び構成単位面の周方向に隣合った容器軸方向配列を位相差をなした配列としたことが重要な特徴である。
【0012】
周状多面体壁の上記配置では、周方向及び軸方向の任意の方向に、境界稜線及び交叉部から成る凸部と、構成単位面の少なくとも一部から成る凹部とが必ず交互になるような配置、即ち凸部−凹部−凸部−凹部といった繰り返し配置となっている。しかも、これらの凸部及び凹部は、構成単位面がガッチリしかも隙間無しに噛み合って形成されているため、アルミ製缶体の胴壁が著しく薄肉であるにもかかわらず、器壁の変形に対する抵抗が大きく、ビールの充填及び缶の開封による減圧に際しても、器壁の変形(特に凹部)が缶の商品価値を損なわないばかりかむしろ商品価値を高める様な僅かな変形となり、しかもこの凹部の変形は周状多面体壁全体にわたって生じるため、ビールの攪拌効果が極めて大きく、ビールの泡立ちを有効に促進することが可能となるものである。
【0013】
(缶の基本構造及び形状)
本発明のビール詰め缶の一例を示す図1において、(A)はこの缶の側面図、(B)は部分側面断面図、(C)は水平断面図である。この缶10は、アルミの絞りしごき加工で形成された上部開口の側壁部6及び閉塞底部7と、上端に巻締めにより設けられた蓋体8とから成っている。この側壁部6には周状に多面体壁が形成されており、この多面体壁は、構成単位面1と、構成単位面同士が接する境界稜線2及び境界稜線同士が交わる交叉部3を有し、該境界稜線2及び交叉部3は構成単位面に比べて相対的に容器外側に凸、構成単位面1の少なくとも一部5は相対的に容器内側に凹となっている。またこの多面体壁では、構成単位面1の隣合った容器軸方向配列が位相差をなした配列とされている。
【0014】
図2は構成単位面の説明図であって、(A)は図1の容器胴部に形成されている多面体壁面中の1個の構成単位面を取り出して示したものであり、(B)は構成単位面の中央部の垂直断面を示す図である。
この図2(A)に示す通り、図1の構成単位面1は、四辺形(菱形)abcdから成っており、構成単位面1の周方向に隣合った容器軸方向配列が丁度1/2の位相差をなして配列されている。菱形における各辺ab、bc、cd、daは容器側面に形成される境界稜線2に相当する辺であり、外向きに凸となる頂点a、b、c、dが交叉部3に該当する。
【0015】
上方頂点aと下方頂点cとは同一径の円周面上に位置しており、左方頂点bと右方頂点dとは同一径の円周面上に位置している。配列が1/2の位相差をなしている場合、全ての頂点は同一径の円周面上に位置しており、図1(C)に示す通り、これら頂点に対応する容器胴部内半径は、最大半径rである。一方、各稜線ab、bc、cd、daは端で径外方に最も突出しているが、中間に行くに従って容器中心軸からの距離、即ち径が減少するようになっている。周方向の対角線bdの中点の径sをとると、この径sはrよりも小さく、図1(C)の場合最小内半径を与える。容器胴上の単位面を軸方向に投影したとき、頂点acは重なるが、軸方向の対角線acは、周方向の対角線bdとは重ならずに対角線bdよりも径外方向に位置しており、四辺形abcdは滑らかに湾曲した面となっている。
【0016】
また図2(A)において、構成単位面としての菱形寸法は、周方向対角線bdの長さをwとし、軸方向対角線acの高さをLとすると、w及びLはそれぞれ構成単位面の周方向最大巾及び軸方向の最大長さとなる。軸方向対角線の長さac(高さL)に比して、実際の構成単位面上のac断面での長さは長く、このac断面は容器内側に滑らかに窪んだ曲線となっている。構成単位面上のac断面の長さは、窪みの曲率半径Rが大きくなるにしたがって短くなる。
【0017】
さらに各構成単位面において、周方向対角線bdの長さ(w)と、実際の構成単位面上のbd断面での長さとが異なる場合がある。例えば図1の(C)では周方向対角線bdと実際の構成単位面上のbd断面とが一致していて、それらの長さが等しいが、この断面における辺acの中点は、周方向対角線bdの位置よりも径外方向に位置していたり、径内方向に位置している場合がある。
【0018】
例えば図1及び図2に示す例では、ac断面が滑らかに湾曲しており、bc断面は実質上ストレートであるが、他の具体例を示す図3においては、ac断面もbd断面も共に内方に滑らかに窪むように湾曲している。
【0019】
本発明において、上述した周状多面体壁は、缶胴の少なくとも25%以上、特に60%以上の割合で形成されていることが好ましい。この周状多面体壁が缶胴を占める割合が上記範囲よりも小さいと、缶の開封に際してのパネリング変形による攪拌効果が小さくなり、ビールの泡立ちを十分に促進することが困難となるおそれがある。
【0020】
また容器胴部の周に存在する構成単位面の数は、少なくとも4以上であることが好ましい。即ち、この構成単位面の数が4よりも少ないと、缶の開封に際してのパネリング変形による攪拌効果が小さくなるし、また多面体壁を胴部に形成する際に胴部面での曲げが激しくなるため、塗膜の耐腐食性が著しく低下し、外観も悪くなる。
【0021】
また一般的に言って、前記構成単位面の缶体軸方向最大長さL及び缶周方向最大長さwは、それぞれ1乃至3cm、特に1.5乃至2.5cmの範囲にあることが好適である。これらの長さL及びwが、上記範囲よりも小さい場合には、前述した缶の開封に際してのパネリング変形を生じにくく、また上記範囲よりも大きいと、パネリング変形による攪拌効果が小さくなり、ビールの泡立ちを十分に促進することが困難となるおそれがある。
【0022】
本発明においては、上述した缶の開封に際してのパネリング変形は、缶素材金属としてアルミニウムを使用し、アルミニウム板の絞りしごき加工により形成された薄肉の缶胴に多面体壁を形成することにより生じるものであるが、このパネリング変形によるビールの攪拌効果を効果的なものとしてビールの泡立ちを促進させるために、ビール充填前の構成単位面の窪みの最大深さと、ビール充填後の構成単位面の窪みの最大深さとの間に次の関係を満足させることが特に好適である。
【0023】
即ち、図2(B)に示す構成単位面の中央部の垂直断面図において、ビール充填前における構成単位面の窪んだ部分の最大深さをh0 、ビール充填後における最大深さをh1 としたとき、両者の比h1 /h0 は、前記式(1)で規定する範囲内、即ち、0.2乃至0.5の範囲にあることが望ましく、最も好適には0.3乃至0.4の範囲とするのがよい。
【0024】
このh1 /h0 は、缶の開封に際しての缶胴の変形の度合に相当するものであり、例えばh1 /h0 が上記範囲よりも大きい場合には、缶の開封に際しての胴壁(窪み部分)の戻りが小さくなるため、缶胴のパネルリング変形による攪拌効果が小さくなり、ビールの泡立ち促進を有効に行うことが困難となる。またh1 /h0 が上記範囲よりも小さくなると、ビール充填による缶胴の膨張が大きくなり過ぎてビール詰め缶の外観が損なわれ、その商品価値が低下する。即ち、上記範囲内にh1 /h0 がある場合には、パネリング変形によるビールの泡立ち促進効果が極めて高いものとなるばかりか、ビール充填状態において、ビール詰め缶に特異な立体感と美観とが付与され、商品価値も極めて高いものとなる。通常、缶胴側壁に窪みが深く屈折した部分があると、この部分が陰影となり易く、表面の印刷画像等を見ずらくし、装飾効果が低下して商品価値が損なわれる。一方、本発明にしたがって形成される多面体パターンでは、構成単位面が規則正しく組み合わされ、しかもビールの充填状態において、構成単位面はごく平面に近い状態で滑らかに窪んだものとなるため、商品価値の極めて高いものになるのである。
【0025】
上述した式(1)を満足するような変形を生じさせるためには、缶胴側壁6の厚みを0.150 mm以下、特に0.080 乃至0.150 mmとすることが好ましく、さらにビール充填前の状態において形成されている構成単位面の窪んだ部分の曲率半径R(mm)が、下記式(2):
0.1≦R≦0.5 (2)
特に下記式(3):
0.2≦R≦0.4 (3)
式中、tは缶胴の厚み(mm)、rは缶胴の半径(mm)である、
を満足するように周状多面体壁を缶胴に形成することが望ましい。即ち、缶胴側壁6の厚みが上記範囲よりも厚い場合には、前述したパネリング変形を有効に生じないおそれがある。また窪んだ部分の曲率Rが、前記式で規定する範囲よりも小さいと、その窪みに加工時の折れ目が形成されるため、缶の外観が損なわれるばかりか、該折れ目にて側壁が折れ込む等の変形を生じ易くなり、さらに曲率Rが前記式で規定する範囲よりも大きいと、窪みの深さが浅くなって局部的な変形抵抗力が小さくなるため、前述した式(1)を満足するような適度な変形を生じさせることが困難となる。
【0026】
また、本発明においては、構成単位面は四辺形に限定されず、特に菱形であることが好ましいが、他の多角形とする事も勿論可能であり、例えば六角形とすることができる。図4は構成単位面が六角形である例を示す。この場合でも多面体の基本的構成は前述した場合と同じである。
【0027】
(製造法)
本発明のビール詰め缶は、金属素材としてアルミニウムを使用し、アルミニウム板の絞りしごき加工により、薄肉の側壁部を有する缶体を成形し、これに周状多面体の刻設を行った後、ビールを充填した後、巻締め加工により易開封性口を有する缶蓋を設けることにより製造される。
【0028】
(金属素材)
金属素材のアルミニウムとしては、所謂純アルミニウム以外にもアルミニウム合金を使用することができる。特に耐腐食性と加工性の点で優れたアルミニウム合金は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、Cu:0.15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものである。これらアルミニウム乃至アルミニウム合金は、金属クロム換算で、クロム量が3乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われることが望ましい。
【0029】
(缶体の成形)
上記のアルミニウム素材を用いての缶体の成形は、素板を絞りダイスとポンチとの間で一段乃至多段の絞り加工に付して側面無継目の有底缶胴を成形し、この胴部にしごきポンチとダイスとの間で一段乃至多段のしごき加工を行うことにより行われる。この絞りしごき加工は、最終的に薄肉化される胴部壁の厚みが前述した範囲、即ち0.150 mm以下、特に0.080 乃至0.150 mmの範囲となるように行うことが好ましい。一般的には、総絞り比が、1.8乃至2.5、特に2.0乃至2.3の範囲にあるのがよく、また下記式:
I =100×(tO −tI )/tO
式中、tO はしごき加工前の壁厚であり、
I はしごき加工後の壁厚である、
で表されるしごき率(RI )が72乃至82%、特に74乃至80%の範囲とするのがよい。
【0030】
(周状多面体の刻設)
上記で形成された蓋を取り付ける前の缶体胴部への周状多面体の形成は、缶体胴部を、内型と外型とで型押して前記多面体を形成することにより行う。使用する内型は、前記多面体の頂点及び稜線に対応する突起を表面に有するものであり、一方使用する外型は、前記多面体の谷に対応する突起を表面に有するものであり、これらの内型及び外型を容器胴部を介して噛み合わせることにより、多面体の形成が行われる。
【0031】
図5は、缶体胴部への多面体刻設の方法を示す説明図であるが、理解が容易なように缶体胴部の恥部を切り欠いた状態で示してある。この例では構成単位面が四辺形の場合を示したが、構成単位面が四辺形以外の場合でも原理的にこれと変わりがない。
缶体胴部10は内型11及び外型12に挟まれた状態で回転される。内型11の表面には、多面体の頂点に対応した突起13及び境界稜線に対応した突条14と、構成単位面に対応する窪んだ凹面15とが形成されている。一方、外型12の表面には、多面体の交叉部及び境界稜線に対応した溝16と、構成単位面に対応する凸面17とが形成されている。
【0032】
これらの内型11と外型12とを缶体胴部10を介して噛み合わせ、且つこれらを同期した速度で回転させることにより、容器胴部への多面体の刻設が行われる。尚、回転に際して一部に噛み合わせがずれる場合には内型或いは外型の回転軸が若干上下動するようにしてもよい。
【0033】
図5に示す具体例において、内型11及び外型12は、缶体胴部10よりも小さい径を有しているが、内型11と外型12の表面における基本面構成単位の周方向への配置数は缶体胴部周囲のそれに比べて1個或いは複数個少ないものとしているが、実用上多面体の形成には問題はない。内型11と外型12とを離すことにより、多面体刻設缶体胴部の取り出しが容易に行われる。
【0034】
(保護被覆)
本発明では、多面体刻設に先立った何れかの段階或いは多面体パターン刻設後に、素材アルミニウム板或いは缶体に樹脂の保護被覆を施すことができる。保護被覆の形成は、保護塗料を設けることにより、或いは熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより行われる。
【0035】
保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性樹脂からなる任意の保護塗料:例えばフェノール−エポキシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキシアミノ変性−或はエポキシフェノール変性−ビニル塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料:アクリル樹脂系塗料:スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の単独または2種以上の組合せが使用される。
【0036】
これらの塗料は、エナメル或はラッカー等の有機溶媒溶液の形で、或は水性分散液または水溶液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気泳動塗装等の形で金属素材に施す。勿論、前記樹脂塗料が熱硬化性の場合には、必要により塗料を焼付ける。保護塗膜は、耐腐食性と加工性との見地から、一般に2乃至30μm、特に3乃至20μmの厚み(乾燥状態)を有することが望ましい。また、加工性を向上させるために、塗膜中に、各種滑剤を含有させておくことができる。
【0037】
ラミネートに用いる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステルフィルム:ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム:ポリ塩化ビニルフィルム:ポリ塩化ビニリデンフィルム等を挙げることができる。これらのフィルムは未延伸のものでも、二軸延伸のものでもよい。その厚みは、一般に3乃至50μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望ましい。フィルムの金属箔への積層は、熱融着法、ドライラミネーション、押出コート法等により行われ、フィルムと金属箔との間に接着性(熱融着性)が乏しい場合には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤を介在させることができる。
【0038】
(ビール詰め缶)
上記により多面体パターンが形成された缶体にビールを充填して巻締め加工により蓋体を設けることにより、本発明のビール詰め缶が製造される。
蓋体としては、缶体と同じアルミニウム製のものが使用され、また蓋体の形状等は従来公知のものであり、例えばスコアにより易開封性口が形成され、タブ等により易開封性口の開封を行うものである。
かくして形成されるビール詰め缶においては、充填されたビールの内圧により、周状多面体の構成単位面における窪み部分が、ビール充填前に比して缶外方に膨張変形しているが、この変形部分は缶の開封によりビール充填前の状態にパネリング変形して復帰する。この復帰に際して、缶内のビールが攪拌されて炭酸ガスの気化が促進されるため、ビールの泡立ち性が極めて良好なものとなっている。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
板厚 0.30mm のアルミ板を絞りしごき加工に付し(絞り比=2.13,しごき率=78.3%)、半径r 32.88 mm 、高さH 122.20mm 、胴部厚みt 0.103mmの有底缶胴を成形した。
この有底缶胴に、図5に示す方法で周状多面体パターンを刻設した。このパターンにおける構成単位面は四辺形であり、w=18.78mm,L=18.78mm,R=0.2mm 及びh0 =1.23mmとした。
この有底缶胴にビールを充填し、易開封性口を有するアルミ製缶蓋を巻締めにより設け、ビール詰め缶を得た。このビール詰め缶のh1 は 0.35mm であった。上記で得られたビール詰め缶の装飾効果及びビールの泡立ち性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0040】
尚、装飾効果及びビールの泡立ち性は目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:非常に優れている
○:優れている
△:多少劣っている
×:劣っている
【0041】
(実施例2,3)
多面体パターンの構成単位面の大きさ等を表1に示すものに変更した以外は実施例1と全く同様にしビール詰め缶を製造し、その装飾効果及びビールの泡立ち性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1)
多面体パターンを形成しない以外は実施例1と全く同様にしビール詰め缶を製造し、その装飾効果及びビールの泡立ち性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003850045
*nは、缶胴周方向の構成単位面の数である。
変形比は、h1 /h0 である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、格別の器具を缶に付加することなく、缶胴に特定の周状多面体を形成するのみで、ビールの泡立ち性を著しく高めることができる。しかも、本発明のビール詰め缶は装飾効果も高く、商品価値も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】四辺形を構成単位面とする周状多面体を設けた本発明のビール詰め缶の一例を示し、(A)は側面図、(B)は縦断面図、(C)は水平断面図である。
【図2】図1の容器の側面に形成された多面体壁の構成単位面の一例を示し、(A)は平面図、(B)は垂直断面図である。
【図3】図1とは異なる多面体壁を設けたビール詰め缶の例を示す図である。
【図4】六角形を構成単位面とする多面体壁を設けたビール詰め缶の例を示す図である。
【図5】缶胴部への多面体刻設の方法を説明する斜視図である。

Claims (2)

  1. アルミ板の絞りしごき加工により形成された有底缶胴と、該缶胴
    の上端部に巻締め加工により設けられた易開封性口を有する缶蓋とから成る缶体にビールが充填されているビール詰め缶において、
    前記缶胴には少なくとも25%以上の割合で周状多面体壁が形成されており、
    該多面体壁は胴部の周に存在する4以上の缶体軸方向最大長さL及び缶周方向最大幅wは、それぞれ1乃至3cmの範囲にある構成単位面と、構成単位面同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的に容器外側に凸となっており、構成単位面は対向する交叉部間で窪んだ部分を有し、且つ構成単位面の周方向に隣合った缶体軸方向配列が位相差をなしていると共に、
    前記構成単位面の窪んだ部分は、ビールを充填した状態では、ビール充填前に比して缶体外側方向に変形した状態となり、缶蓋の易開封性口を開封により、この変形部分は、ビール充填前の状態に復帰することを特徴とする泡立ち性に優れたビール詰め缶。
  2. 前記構成単位面の窪んだ部分は、下記式(1):
    0.2≦h/h≦0.5 (1)
    式中、hは、構成単位面中央部の垂直断面図をみて、ビール充填前における窪みの最大深さを示し、
    は、構成単位面中央部の垂直断面図をみて、ビール充填後における窪みの最大深さを示す、を満足するものである請求項1に記載のビール詰め缶。
JP16800294A 1994-07-20 1994-07-20 泡立ち性に優れたビール詰め缶 Expired - Fee Related JP3850045B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16800294A JP3850045B2 (ja) 1994-07-20 1994-07-20 泡立ち性に優れたビール詰め缶

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16800294A JP3850045B2 (ja) 1994-07-20 1994-07-20 泡立ち性に優れたビール詰め缶

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004115013A Division JP2004256178A (ja) 2004-04-09 2004-04-09 多面体壁を胴部に形成した飲料(ビールを除く)用缶およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0826286A JPH0826286A (ja) 1996-01-30
JP3850045B2 true JP3850045B2 (ja) 2006-11-29

Family

ID=15859987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16800294A Expired - Fee Related JP3850045B2 (ja) 1994-07-20 1994-07-20 泡立ち性に優れたビール詰め缶

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3850045B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4206754B2 (ja) * 2002-12-27 2009-01-14 東洋製罐株式会社 多面体壁を有する金属缶
JP2004256178A (ja) * 2004-04-09 2004-09-16 Toyo Seikan Kaisha Ltd 多面体壁を胴部に形成した飲料(ビールを除く)用缶およびその製造方法
JP7064334B2 (ja) * 2018-01-11 2022-05-10 ユニバーサル製缶株式会社 缶体の製造装置及び製造方法
JP7346909B2 (ja) * 2019-05-22 2023-09-20 東洋製罐株式会社 陽圧缶

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53143485A (en) * 1977-05-20 1978-12-13 Shigeo Suzuki Collapsible wasteful can
JPH01226550A (ja) * 1988-03-02 1989-09-11 Toyo Seikan Kaisha Ltd 容器胴体
JPH07102417B2 (ja) * 1989-08-31 1995-11-08 東洋製罐株式会社 缶詰用缶及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0826286A (ja) 1996-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5100017A (en) Packing can
EP0542552B1 (en) Thickness-reduced draw-formed can
US5139889A (en) Thickness-reduced draw-formed can
US5105645A (en) Method of redrawing metal cup
US5626049A (en) Draw-process systems for fabricating one-piece can bodies
US5433099A (en) Method of draw-forming a metal sheet having an organic film
JPH07102417B2 (ja) 缶詰用缶及びその製造方法
US5111679A (en) Method for forming barrel for two-piece can
CN1041188C (zh) 容器端盖
US20230302517A1 (en) Tapered cup and method of forming the same
JP3915450B2 (ja) 多面体壁を胴部に形成した陽圧缶とその製造方法
JP2010047308A (ja) 発泡インキ印刷模様を設けた金属缶体
JP3850045B2 (ja) 泡立ち性に優れたビール詰め缶
US5228588A (en) Thickness-reduced deep-draw-formed can
US5083449A (en) Method of redrawing flanged cup
JPH075128B2 (ja) 耐変形性及び装飾効果に優れた薄肉金属容器
JPH04327128A (ja) 缶詰用缶
JP2004256178A (ja) 多面体壁を胴部に形成した飲料(ビールを除く)用缶およびその製造方法
JPH0759326B2 (ja) フランジ付カップの再絞り法
JP2504164B2 (ja) 薄肉化深絞り缶の製造方法
JP2002200900A (ja) 3次元的ホログラム付缶
JP2001294251A (ja) キャップ付き金属容器及びその製造方法
JP3611620B2 (ja) ネックイン缶体の製造方法
JPH10235443A (ja) 容器缶体及びその製造方法
WO2000007750A1 (en) Aerosol container

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040803

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040915

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041222

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050107

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20050128

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20060517

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130908

Year of fee payment: 7

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130908

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees