JP3611620B2 - ネックイン缶体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、缶体形成用金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体の開口端部にネックイン加工を施して得られるネックイン缶体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビールや炭酸飲料の缶容器は、通常、缶用アルミニウム合金板等の金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体の開口端部にネックイン加工を施し、縮径された開口端部に別途製造された缶蓋を巻締めたものが用いられている。
【0003】
前記ネックイン加工として、例えば、特表平3−502551号公報等に記載されている製造方法等が知られている。前記公報記載の製造方法は、図4(a)及び図4(b)に示す絞り加工装置21を用いて、前記金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体1aの開口端部3のネックイン加工を行うものであり、いわゆるスムーズネックイン加工と言われている製造方法である。
【0004】
絞り加工装置21はパンチ22と縮径ダイ23とを備えており、縮径ダイ23はパンチ22の外周部に間隙を存して備えられ、有底筒状缶体1aの縮径された開口端部3と縮径されない缶胴部2との間に滑らかなテーパ部5を形成することができる形状となっている。また、パンチ22は縮径ダイ23の内径に沿って摺動自在になっている。
【0005】
前記ネックイン加工は、支持部材24に支持された前記有底筒状缶体1aの開口端部3を、パンチ22と縮径ダイ23との間隙に圧入することにより行われる。有底筒状缶体1aは例えば真空吸引により支持部材24に支持されている。
【0006】
前記ネックイン加工により、前記有底筒状缶体1aの開口端部3を、パンチ22と縮径ダイ23との間隙に圧入すると、図4(b)示のように、パンチ22が縮径ダイ23の内径に沿って後退し、開口端部3がパンチ22及び縮径ダイ23に係合される。この結果、缶胴部2の直径DA に対して開口端部3の直径DB が縮径され、パンチ22の外径に沿うように絞り加工されると共に、開口端部3と缶胴部2とが接続される部分に滑らかなテーパ部5が形成された有底筒状缶体1bが得られる。
【0007】
前記ネックイン加工は、有底筒状缶体1bに対してさらに、外径が次第に小さくなる複数のパンチ22及びパンチ22に対応する複数の縮径ダイ23を用いて、前記操作を複数回行われる。この結果、図5(a)乃至図5(c)に示すように、缶胴部2の直径DA に対して、開口端部3の直径DB が次第に縮径されると共に、前記テーパ部5が次第に大きく形成され、最終的に図4(c)に示すように開口端部3が所定の直径にスムーズに縮径されたネックイン缶体1cが得られる。
【0008】
尚、図5(a)及び図5(b)は、前記図4(a)及び図4(b)示の操作に続く複数回のネックイン加工の内、それぞれ途中を省略した2つの段階を示すものであり、図4(c)は、前記ネックイン加工の最後の段階を示している。
【0009】
ビールや炭酸飲料の缶容器は、通常、その缶胴部2の直径DA は呼び径211D(211/16インチ)であり、前記製造方法では前記缶胴部2の直径DA に対して、開口端部3の直径DB が呼び径206D(2 6/16インチ)になるように縮径率11.6%で縮径されている。ところが、最近では、缶容器のコストを低減するためにその材料を低減することが望まれ、より小径の缶蓋を巻締めることができるように、さらに縮径率を大きくして開口端部3の直径DB を呼び径204D(2 4/16インチ)〜呼び径200D(2インチ)とすることが検討されている。
【0010】
しかしながら、前記製造方法により、缶胴部2の直径DA が211Dの有底筒状缶体1の開口端部3の直径DB が204D〜200Dとなるように縮径しようとすると、得られた有底筒状缶体1cの開口端部3近傍に該缶体の高さ方向に沿って内面に突出している小さなしわ(プリーツ)が発生して外観品質が低減するばかりか、このようなしわが発生した開口端部3にフランジ部を形成して缶蓋を巻締めようとすると、その巻締部に微小割れ等の不良が発生するとの不都合がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、缶体形成用金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体の開口端部に縮径率の大きなネックイン加工を施したときに、縮径された部分にしわ等が発生することのないネックイン缶体の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明のネックイン缶体の製造方法は、缶体形成用金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体の開口端部を、パンチと該パンチの外周部に間隙を存して備えられた縮径ダイとの間隙に圧入して、該開口端部の内面側を該パンチの外径に沿わせて縮径するとともに、該開口端部から該缶胴部に接続される部分に滑らかなテーパ部を形成するネックイン加工を、次第に外径が小さくなる複数の前記パンチ及び該パンチに対応する複数の前記縮径ダイを用いて複数回行って、前記有底筒状缶体の開口端部の直径を缶胴部の直径に対して16〜26%縮径するネックイン加工工程を備えるネックイン缶体の製造方法において、前記ネックイン加工工程に先立って、前記有底筒状缶体の開口端部の外面側に10〜35μmの厚さの樹脂被覆層を設ける樹脂被覆層形成工程を備えることを特徴とする。
【0013】
前記缶体形成用金属板としては、アルミニウム合金板または各種錫めっき鋼板、ティン・フリー・スチール等の鋼板が用いられる。
【0014】
前記樹脂被覆層は、合成樹脂の塗装により10〜20μmの厚さに形成されるか、またはポリエステルフィルムが接着剤層を介して接着されて10〜35μmの厚さに形成される。
【0015】
前記樹脂被覆層の形成に用いられる合成樹脂の塗料としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル樹脂、アミノプラスト樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート系化合物、それらに硬化剤や硬化促進剤を単独であるいは併せて用いて得られる熱可塑型あるいは熱硬化型樹脂が用いられる。これらの樹脂には所望により酸化チタン等の顔料を加えてもよい。
【0016】
また、前記合成樹脂の塗装により形成される前記樹脂被覆層としては、従来の印刷層とトップコート層とからなる構成に対し、更にベースコート層を設け、ベースコート層、印刷層及びトップコート層からなる3層構造とすることがプリーツを解消するために望ましく、その際、該ベースコート層は5〜15μmの厚さに形成することが適している。前記ベースコート層の厚さが5μm未満のときには、プリーツ解消効果が期待できない。また、前記ベースコート層には所望により酸化チタン等の顔料を加えてもよい。
【0017】
前記ポリエステルフィルムは、強度及び透明性等に優れているものであって、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合により得られるポリエステルであればどのようなものであってもよいが、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合により得られるポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)であることが特に好ましい。前記ポリエステルフィルムを前記缶体形成用金属板に接着するために、前記接着剤層は、数平均分子量5000〜20000のエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤とを70/30〜99/1の重量比で含む樹脂からなる熱硬化型樹脂系接着剤またはポリエステル樹脂とアミノプラスト樹脂等の硬化剤とを70/30〜90/10の重量比で含む樹脂からなる熱硬化型樹脂系接着剤が適している。また、共重合ポリエステルのような熱可塑型接着剤を用いてもよい。
【0018】
本発明の製造方法では、前記ネックイン加工を6〜16回行うことにより、前記有底筒状缶体の開口端部の直径の缶胴部の直径に対する縮径率が最終的に16〜26%になるようにする。前記ネックイン加工が6回未満では、ネックイン加工1回当たりの縮径率が過大になって、縮径部が損傷する虞れがある。また、前記ネックイン加工は、回数が多くなるほど縮径部に負荷がかかりにくくなるが、16回を超えると工程数が増加し、コスト増となる。
【0019】
尚、前記縮径率は、缶胴部の直径をDA 、開口端部の直径をDB として次式(1)で表される。
【0020】
縮径率(%)=((DA −DB )/DA )×100 …(1)
【0021】
【作用】
かかる手段によれば、有底筒状缶体の開口端部の外面側に10〜35μmの厚さの樹脂被覆層が設けられているので、該有底筒状缶体の開口端部が縮径ダイとパンチとの間隙に圧入される際の衝撃が、前記樹脂被覆層に吸収され、開口端部3近傍に前記しわが発生しにくくなるものと考えられる。
【0022】
前記樹脂被覆層は、合成樹脂の塗装により形成される場合には、その厚さが10μm未満では前記ネックイン加工により縮径された部分にしわ等の発生を防ぐことができず、また20μmより厚くなると塗膜の残留応力の増加によりネックイン加工時に塗膜剥離を起こす虞れがある。
【0023】
前記樹脂被覆層は、ポリエステルフィルムが接着剤層を介して接着されて形成される場合にも、その厚さが10μm未満では前記ネックイン加工により縮径された部分にしわ等の発生を防ぐことができない。また、その厚さが35μmより厚くなるとネックイン加工時にフィルムが剥離して浮く等の不都合がある。
【0024】
本発明の製造方法によれば、前記ネックイン加工を6〜16回行うことにより、有底筒状缶体の開口端部が缶胴部の直径に対して16〜26%の縮径率で無理なく縮径される。
【0025】
【実施例1】
次に、添付の図面を参照しながら本発明のネックイン缶体の製造方法についてさらに詳しく説明する。図1は本実施例の製造方法に用いる有底筒状缶体の説明的断面図であり、図2は図1示の有底筒状缶体に形成される樹脂被覆層の構成を示す説明的断面図であり、図3は本実施例の製造方法により得られるネックイン缶体の説明的断面図であり、図4及び図5は従来の製造方法のネックイン工程を示す説明的断面図である。
【0026】
本実施例の製造方法では、まず、厚さ0.30mmの缶用アルミニウム合金板(3004材)を公知のカッピングプレスを用いて有底筒状に打ち抜き、絞りしごき装置で絞りしごき加工を行って、図1(a)示の有底筒状缶体1を形成した。有底筒状缶体1は缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであり、開口端部3の直径DB は缶胴部2と同一で、まだ縮径されていない。次いで、図1(a)示の有底筒状缶体1の表裏両面を、脱脂、水洗し、化成処理を施した。
【0027】
次に、図1(b)示のように、有底筒状缶体1の缶胴部2の缶外面側に開口端部3まで被覆する厚さ12μmの樹脂被覆層4aを合成樹脂の塗装により形成した。樹脂被覆層4aは、図2(a)示のように、有底筒状缶体1の上に厚さ7μmのベースコート層11が形成され、ベースコート層11上に厚さ1μmの印刷層12と厚さ4μmのトップコート層13とが順次形成された構成となっている。
【0028】
本実施例では、前記ベースコート層11はアクリル樹脂とアミノプラスト樹脂からなり、白色顔料として酸化チタンを樹脂に対して固形分換算で60重量%含有する熱硬化型アクリル樹脂を塗装することにより形成されている。また、印刷層12は顔料を含むポリエステル系樹脂塗料の多色印刷により形成されており、トップコート層13はベースコート層11と同様の熱硬化型アクリル樹脂を用いる仕上げニス塗装によって形成されている。
【0029】
次に、図1(b)示のように、有底筒状缶体1の缶内面側全体に、アクリル系水性塗料を用いて樹脂被覆層4bを形成し、前記樹脂被覆層4a,4bが形成された有底筒状缶体1aを得た。
【0030】
次に、図4及び図5に示す従来公知の絞り加工装置21を用いて、前記樹脂被覆層4a,4bが形成された有底筒状缶体1aの開口端部3のネックイン加工を行った。本実施例では、図4(b)示の有底筒状缶体1bに対してさらに、外径が次第に小さくなる7種類のパンチ22及びパンチ22に対応する7種類の縮径ダイ23を用いて、前記操作を行い、図5(a)及び図5(b)示の操作を含めて合計8回のネックイン加工を行い、最終的に図3に示すネックイン缶体1cが得られた。
【0031】
ネックイン缶体1cは、図3示のように、外面側の缶胴部2が開口端部3を含めて図2(a)示の構成を有する樹脂被覆層4aで被覆されていると共に、内面側の全面がアクリル系水性塗料からなる樹脂被覆層4bで被覆されており、開口端部3と缶胴部2とが接続される部分に滑らかなテーパ部5が形成されている。また、本実施例では前記ネックイン加工における1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%とし、前記のように8回のネックイン加工を行うことにより、最終的な縮径率が16.5%となるようにした。この結果、缶胴部2の直径DA が呼び径211D(211/16インチ)であるのにに対して、開口端部3の直径DB が呼び径204D(2 4/16インチ)となっているネックイン缶体1cが得られた。
【0032】
次に、本実施例の製造方法によりネックイン缶体1cを176個製造し、開口端部3近傍のしわの発生率は3.4%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0033】
【比較例1】
実施例1において、ベースコート層11を形成せず、厚さ1μmの印刷層12と厚さ4μmのトップコート層13により厚さ5μmの樹脂被覆層4aを形成した以外は、実施例1と同様にして縮径率16.5%のネックイン缶体1cを194個製造した。
【0034】
本比較例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は7.2%であった。本比較例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0035】
【実施例2】
実施例1において、パンチ22及びパンチ22に対応する縮径ダイ23を10種類用いて、前記絞り加工装置21によるネックイン加工を1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%として10回行い、最終的な縮径率が20.5%となるようにした以外は、実施例1と同様にしてネックイン缶体1cを837個製造した。
【0036】
この結果、缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであるのに対して、開口端部3の直径DB が呼び径202D(2 2/16インチ)となっているネックイン缶体1cが得られた。本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は4.3%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0037】
【比較例2】
実施例2において、ベースコート層11を形成せず、厚さ1μmの印刷層12と厚さ4μmのトップコート層13とから厚さ5μmの樹脂被覆層4aを形成した以外は、実施例2と同様にして縮径率20.5%のネックイン缶体1cを100個製造した。
【0038】
本比較例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は9.0%であった。本比較例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0039】
【実施例3】
実施例2において、有底筒状缶体1の上に厚さ9μmのベースコート層11が形成され、ベースコート層11上に厚さ1μmの印刷層12と厚さ5μmのトップコート層13とが順次形成された構成の厚さ15μmの樹脂被覆層4aを合成樹脂の塗装により形成し、ベースコート層11を実施例1と同様の組成で白色顔料を含まないクリヤーの熱硬化型アクリル樹脂で形成した以外は、実施例2と同様にして縮径率20.5%のネックイン缶体1cを111個製造した。
【0040】
本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は3.6%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0041】
【実施例4】
実施例3において、パンチ22及びパンチ22に対応する縮径ダイ23を12種類用いて、前記絞り加工装置21によるネックイン加工を1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%として12回行い、最終的な縮径率が25.6%となるようにした以外は、実施例3と同様にしてネックイン缶体1cを192個製造した。
【0042】
この結果、缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであるのに対して、開口端部3の直径DB が呼び径200D(2インチ)となっているネックイン缶体1cが得られた。本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は5.2%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0043】
【実施例5】
図1(b)示のように、有底筒状缶体1aの缶胴部2の缶外面側に開口端部3まで被覆する厚さ21μmの樹脂被覆層4aをポリエチレンテレフタレートフィルムの接着により形成した以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆層4a,4bを備える有底筒状缶体1aを形成した。
【0044】
樹脂被覆層4aは、図2(b)示のように、有底筒状缶体1の上に厚さ7μmの熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤層14を介して厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム15が接着されている。ポリエチレンテレフタレートフィルム15の有底筒状缶体1側には厚さ1μmの印刷層16が形成されており、印刷層16と反対側の面には厚さ1μmの硬化オーバーコート層17が形成されている。
【0045】
本実施例では、前記熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤層14は、ビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応により得られるビスフェノール型エポキシ樹脂で数平均分子量10000のエポキシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤としてグリセロールトリストリメリテート無水物とを95/5の重量比で含む熱硬化型樹脂系接着剤から形成され、さらに白色顔料として前記樹脂成分に対し60重量%の酸化チタンを含んでいる。また、前記印刷層16は、顔料を含むポリエステル系樹脂塗料の多色印刷により形成されており、硬化オーバーコート層17はエポキシ樹脂とアミノプラスト樹脂とからなりリン酸触媒を添加した熱硬化型樹脂により形成されている。
【0046】
次に、前記有底筒状缶体1aに対し、実施例1と同様にして、パンチ22及びパンチ22に対応する縮径ダイ23を8種類用いて、前記絞り加工装置21によるネックイン加工を1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%として8回行い、最終的な縮径率が16.5%のネックイン缶体1cを100個製造した。
【0047】
本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は2.0%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0048】
【実施例6】
実施例5において、パンチ22及びパンチ22に対応する縮径ダイ23を10種類用いて、前記絞り加工装置21によるネックイン加工を1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%として10回行い、最終的な縮径率が20.5%となるようにした以外は、実施例1と同様にしてネックイン缶体1cを100個製造した。
【0049】
この結果、缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであるのに対して、開口端部3の直径DB が呼び径202D(2 2/16インチ)となっているネックイン缶体1cが得られた。本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は2.0%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0050】
【実施例7】
実施例6において、ポリエチレンテレフタレートフィルム15の厚さを25μmとし、樹脂被覆層4aの厚さを34μmとしたした以外は、実施例6と同様にして縮径率20.5%のネックイン缶体1cを300個製造した。
【0051】
本実施例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は1.9%であった。本実施例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0052】
【比較例3】
実施例6において、ポリエチレンテレフタレートフィルム15の厚さを30μmとし、樹脂被覆層4aの厚さを39μmとしたした以外は、実施例6と同様にして縮径率20.5%のネックイン缶体1cを200個製造した。
【0053】
本比較例のネックイン缶体1cでは、開口端部3近傍のしわの発生率は2.0%であったが、ネックイン加工時にフィルムの剥離が生じたものがあった。本比較例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0054】
【参考例】
実施例3において、パンチ22及びパンチ22に対応する縮径ダイ23を10種類用いて、前記絞り加工装置21によるネックイン加工を1回当たりの縮径率を2.0〜3.0%として8回行い、最終的な縮径率が11.6%となるようにした以外は、実施例3と同様にしてネックイン缶体1cを3000個製造した。
【0055】
この結果、缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであるのに対して、開口端部3の直径DB が呼び径206D(2 6/16インチ)となっているネックイン缶体1cが得られた。本参考例のネックイン缶体1cでは、開口端部3の外面側に前記樹脂被覆層4aが設けられている上、前記ネックイン加工1回当たりの縮径率が2.0〜3.0%と低減されているので、前記ネックイン加工における縮径部に対する負荷が軽減され、開口端部3近傍のしわの発生率が0.1%と前記各実施例に対してもさらに低減された非常に低い値となっている。
【0056】
本参考例の製造方法の諸条件及び前記しわの発生率を後記の表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、前記各実施例の製造方法によれば、開口端部3を含む缶胴部2の外面側に12〜34μmの厚さの樹脂被覆層4aを設けた有底筒状缶体1aに前記ネックイン加工を施すことにより、缶胴部2の直径DA が呼び径211Dであるのに対して、開口端部3の直径DB を呼び径204D〜200Dとしても、樹脂被覆層4aの厚さが10μm未満の場合(比較例1,2)に比較して、しわの発生率が低くなることが明らかである。また、樹脂被覆層4aの厚さが35μmを超える場合(比較例3)に比較して、ネックイン加工時のフィルムの浮きが無い。
【0059】
尚、前記各実施例は、開口端部3の直径DB を呼び径204D〜200Dとするネックイン加工について示しているが、本発明の製造方法は開口端部3の直径DB を呼び径206Dとする従来のネックイン加工についても有効であることはもちろんであり、このことは前記参考例から明らかである。
【0060】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明の製造方法によれば、有底筒状缶体の開口端部を縮径ダイとパンチとの間隙に圧入してネックイン加工を行うときに、得られた有底筒状缶体の開口端部のしわの発生を低減することができる。
【0061】
前記本発明の製造方法は、アルミニウム合金板または鋼板からなる缶体形成用金属板に、樹脂被覆層が合成樹脂の塗装により10〜20μmの厚さに形成されているか、或いはポリエステルフィルムが接着剤層を介して接着されて10〜35μmの厚さに形成されているときに前記しわの発生を低減することができる。また、前記ネックイン加工は6〜16回行うことにより、前記しわの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる製造方法に用いる有底筒状缶体の説明的断面図。
【図2】図1示の有底筒状缶体に形成される樹脂被覆層の構成を示す説明的断面図。
【図3】本発明に係わる製造方法のネックイン工程を示す説明的断面図。
【図4】本発明に係わる製造方法のネックイン工程を示す説明的断面図。
【図5】本発明に係わる製造方法により得られるネックイン缶体の説明的断面図。
【符号の説明】
1…有底筒状缶体、 1c…ネックイン缶体、 3…開口端部、
4a…樹脂被覆層、 5…テーパ部、 11,12,13…合成樹脂、
14…接着剤層、 15…ポリエステルフィルム、 22…パンチ、
23…縮径ダイ。
Claims (6)
- 缶体形成用金属板に絞りしごき加工を施して得られた有底筒状缶体の開口端部を、パンチと該パンチの外周部に間隙を存して備えられた縮径ダイとの間隙に圧入して、該開口端部の内面側を該パンチの外径に沿わせて縮径するとともに、該開口端部から該缶胴部に接続される部分に滑らかなテーパ部を形成するネックイン加工を、次第に外径が小さくなる複数の前記パンチ及び該パンチに対応する複数の前記縮径ダイを用いて複数回行って、前記有底筒状缶体の開口端部の直径を缶胴部の直径に対して16〜26%縮径するネックイン加工工程を備えるネックイン缶体の製造方法において、
前記ネックイン加工工程に先立って、前記有底筒状缶体の開口端部の外面側に10〜35μmの厚さの樹脂被覆層を設ける樹脂被覆層形成工程を備えることを特徴とするネックイン缶体の製造方法。 - 前記缶体形成用金属板はアルミニウム合金板または鋼板であることを特徴とする請求項1記載のネックイン缶体の製造方法。
- 前記樹脂被覆層は、合成樹脂の塗装により10〜20μmの厚さに形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のネックイン缶体の製造方法。
- 前記合成樹脂の塗装により形成される前記樹脂被覆層は、ベースコート層、印刷層及びトップコート層からなり、該ベースコート層は5〜15μmの厚さに形成されることを特徴とする請求項3記載のネックイン缶体の製造方法。
- 前記樹脂被覆層は、ポリエステルフィルムが接着剤層を介して接着されて10〜35μmの厚さに形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のネックイン缶体の製造方法。
- 前記ネックイン加工は6〜16回行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のネックイン缶体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03726895A JP3611620B2 (ja) | 1995-02-24 | 1995-02-24 | ネックイン缶体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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