JPH0759326B2 - フランジ付カップの再絞り法 - Google Patents

フランジ付カップの再絞り法

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JPH0759326B2
JPH0759326B2 JP2306699A JP30669990A JPH0759326B2 JP H0759326 B2 JPH0759326 B2 JP H0759326B2 JP 2306699 A JP2306699 A JP 2306699A JP 30669990 A JP30669990 A JP 30669990A JP H0759326 B2 JPH0759326 B2 JP H0759326B2
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具実 小林
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、フランジ付カップの再絞り法に関し、より詳
細には、再絞りに際して成形荷重を低減することが可能
で、しかも成形荷重の過大による耳切れ、塗膜の破損や
糸クズ(エナメルヘヤ)の発生等が解消され、しかも寸
法や形状の精度に優れた絞り・再絞り缶を安定に製造し
得る方法に関する。
[従来の技術] 金属板、特に被覆金属板を絞り・再絞り加工に賦して、
缶高の大きい無継目(シームレス)缶胴を製造すること
は製缶の分野では古くから行われている。
この絞り・再絞り缶の製造は、前段の絞りカップを、カ
ップ内に挿入された環状のしわ押え(カップ保持部材)
と再絞りダイスとで保持し、しわ押え及び再絞りダイス
と同軸に且つしわ押え内を移動し得るように設けられた
再絞りポンチと、再絞りダイスとを互いに噛み合うよう
に相対的に移動させ、前段の絞りカップよりも小径の深
絞りカップに絞り成形することにより行われている。ま
た、この再絞りに際して、再絞りダイスの曲率半径を十
分に小さくすると共に、しわ押えと再絞りダイスとの組
合せ等により加わるバック・テンションを十分に大きく
して、最終カップの側壁部を曲げ伸しにより簿肉化する
ことも既に知られている(特開平01-258822号公報)。
[発明が解決しようとする問題点] 一般に、金属板の絞り成形に際しては、成形後のカップ
にフランジが残留するようにすることが、一定のしわ押
え力が作用する条件下に絞り成形の全てが行われ、成形
カップにしわが入るのが防止され、しかも形状や寸法の
精度に優れた缶を製造するために必要である。
ところが、前段の絞りカップをより小径のカップに再絞
り成形する場合には、前段の絞りカップに残留するフラ
ンジ部がしわ押えと再絞りダイスとのしわ押え面内に引
込まれることが必要であり、このときの成形荷重が著し
く高いものとなる。この成形荷重の増大により素材の耳
切れや、被覆金属板では、塗膜の破損や糸クズ(エナメ
ルヘヤ)等が発生し、缶の歩留り或いは生産性を著しく
低下させる。また、最終缶胴の内、前段絞り缶のフラン
ジ部に相当する部分は、他の部分に比して形状の出現性
に乏しく、しかも寸法の精度にも劣ったものとなり易
い。更に、この残留フランジ部が通過する部分では工具
等の損傷も生じ易いことも確認されている。
従って、本発明の目的は、従来の絞り、再絞り成形法に
おける上記欠点を解消し、再絞り成形に際し、前段絞り
カップの残留フランジ部の絞り成形時の成形荷重を軽減
させ、素材の耳切れや、被覆の損傷乃至糸クズの発生を
防止し、形状と寸法精度とに優れた絞り・再絞り缶を提
供するにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明によれば、前段の絞りカップを、カップ内に挿入
された環状のしわ押えと再絞りダイスとで保持し、しわ
押え及び再絞りダイスと同軸に且つしわ押え内を移動し
得るように設けられた再絞りポンチと再絞りダイスとを
互いに噛み合うように相対的に移動させ、前段の絞りカ
ップよりも小径の深絞りカップに絞り成形する再絞り方
法において、前段成形でフランジ部を残すように成形さ
れたカップを、残留フランジ部がしわ押えとダイスとの
間隙に流入するに先立って、しわ押えと同軸に且つしわ
押え外周面から小間隔をおいてこれを取り囲むように設
けられたフランジ矯正ダイと係合させ、ここでフランジ
矯正ダイを、導入側から次第に内径が減少する作用面を
有し且つ該作用面の接線におけるカップ外周面から作用
面接点迄の距離(a)が作用面の少なくとも導入側の部
分において実質上一定であるものとし、これにより残留
フランジ部を前段絞りカップの側壁面の延長となるよう
に矯正成形することを特徴とする再絞り方法が提供され
る。ここで前段の絞りカップとは再絞り成形前の絞り成
形で得られたカップ或いは多工程からなる再絞り成形に
於けるそれぞれの前工程で得られたカップをいう。ま
た、前段成形とは再絞り成形前の絞り成形或いは多工程
からなる再絞り成形に於けるそれぞれの前工程をいう。
フランジ矯正ダイはトラクトリックスまたはこれに近似
した形状の作用面を有することが好ましい。また、距離
(a)は残留フランジ部の巾とほぼ同じであることが好
ましい。
本発明は、再絞り成形に際して、カップ側壁部を再絞り
ダイスのコーナー部と係合させて、曲げ伸ばしにより側
壁部を薄肉化する方法に特に有用である。
[作用] 本発明では先ず、前段の絞りカップにフランジ部が残留
するようにすることが必須不可欠であり、これは、前段
の絞り成形が一定のしわ押え力が作用する条件下に行わ
れるようにすること、成形カップにしわの発生が生じな
いようにすること、及び前絞りカップの形状出現性及び
寸法精度をよくすることのためであり、前段の絞りカッ
プに不良部分があると、後段の再絞り成形ではもはやこ
れを矯正することが困難であることに留意すべきであ
る。
本発明によれば、前段の絞り成形でフランジ部を残すよ
うに成形されたカップを、残留フランジ部がしわ押えと
ダイスとの間隙に流入するに先立って、しわ押えと同軸
に且つしわ押え外周面から小間隔をおいてこれを取り囲
むように設けられたフランジ矯正ダイと係合させるが、
フランジ矯正ダイとして、導入側から次第に内径が減少
する作用面を有ししかも該作用面の接線におけるカップ
外周面から作用面接点迄の距離が作用面の少なくとも、
導入側の部分において実質上一定であるものを使用す
る。
上記作用面を有するフランジ矯正ダイを使用すると、残
留フランジと作用面とが常に作用面の接点において垂直
に接することから、残留フランジに対する曲げモーメン
トが有効に伝達され、残留フランジ部を前段絞りカップ
の側壁面の延長となるように成形するための成形荷重を
軽減することができる。更に、この作用面の接線におけ
るカップ外周面から作用面接点迄の距離(a)が一定で
あることから、フランジの矯正力(曲げモーメント)が
加わる位置がフランジの同じ位置に規制されるため、フ
ランジの矯正操作が安定且つ円滑に行われることも本発
明の利点である。
本発明においては、フランジに対してフランジ矯正ダイ
スの作用面から印加される矯正力の位置が一定している
ことから、フランジへの矯正力の印加位置を残留フラン
ジの最外線とする(即ち距離(a)と残留フランジの巾
とほぼ等しくする)こともでき、こうすることによりフ
ランジの矯正に必要な成形荷重を最小の範囲とすること
ができる。
本発明によれば、このように比較的小さい成形荷重で残
留フランジ部を予じめ前段絞りカップの側壁面の延長と
なるように矯正成形し、この状態でしわ押えと再絞りダ
イスとのしわ押え面に供給することにより、素材の耳切
れや、被覆の損傷或いは糸クズ、(エナメルヘア)の発
生を防止し、更に形状出現性及び寸法精度に優れた絞り
・再絞り缶を生産性よく安定に製造することが可能とな
る。また、工具の損耗等も改善される。
本発明の再絞り法を説明するための第1図(再絞り開始
前)、第2図(再絞り中)、及び第3図(フランジ矯正
成形中)において、被覆金属板から形成された前絞りカ
ップ1は、側壁2、底壁3及び側壁上端に連なる残留フ
ランジ4とを有する。
この前絞りカップ1、1′を、このカップ内に挿入され
た環状のしわ押え5とその下に位置する再絞りダイス6
とで保持する。即ち、環状のしわ押え5はカップ底壁3
と当接する底部7、コーナー部8、カップ側壁2とゆる
く係合している外周部9及び内周部10を有しており、一
方再絞りダイス6は平面部11と再絞り用の作用コーナー
部12とを有しており、しわ押え底部7と再絞りダイス平
面部11との間でカップ底部3が保持されている。
しわ押え5及び再絞りダイス6と同軸に且つしわ押え内
周部10よりも内側にしわ押え5内を移動し得るように再
絞りポンチ12が設けられる。再絞りポンチ12には底部1
3、コーナー部14及びしわ押え内周部よりも小径の外周
部15を備えている。
本発明によれば、再絞りダイスの平面部11の上方で且つ
しわ押えの外周部9よりも外方にフランジ矯正ダイ16を
配置する。このフランジ矯正ダイ16はしわ押えと同軸
で、しかもしわ押え外周面9よりも小間隔、即ち前絞り
カップの側壁2の厚みよりも若干大きい間隔をおいて配
置されている。この矯正ダイ16は、導入側から次第に内
径が減少する作用面17を有し、この作用面17はその接線
におけるカップ外周面から作用面接点迄の距離(a)が
実質上一定となるようなものである。作用面17の下に
は、ストレートなダイス面18が接続されてもよい。第1
図に示す具体例では、ストレートなダイス面18とダイス
平面部11との間に、絞り成形時に生じる角出しをダイス
平面部11にスムースに案内するための案内コーナー部19
が形成されている。
フランジ矯正ダイ16の作用面17の形状を説明するための
第4図において、この線図におけるx軸はフランジ矯正
ダイスの先端面(導入側端面)を現わし、Y軸は前絞り
カップ1の外周面を表わし、座標値xは前絞りカップ外
周面から水平方向への距離、座標値yは導入面から垂直
方向への距離を表わす。本発明の条件を満足する作用面
17に対して接線を引き、この接線と作用面との接点を
P、この接線とY軸との交点をQとすると、式 ▲▼=a(一定) …(1) が成立する。
上記式(1)を常に満足する曲線は、下記式 従って …(3) を満足するものであり、この曲線はトラクトリックスと
して知られている。
本発明において、フランジ矯正ダイ16の作用面17は、上
述したトラクトリックス形状とするのが理想的である
が、これに近似した形状でもよく、例えば曲率の異なる
複数のRをつないで近似させたものや、これらのRとテ
ーパーとをつないで近似させたものでもよい。
再び第1乃至3図に戻って、第1図に示す再絞り前の状
態から第2図に示す通り再絞りポンチ12が矢印方向に移
動し、再絞り成形が開始される。先ず、前絞りカップの
底壁3がポンチ底部3により下方に押し下げられ、これ
に伴って、前絞りカップの側壁2はしわ押え5の外周部
9からコーナー部8を経て径内方に垂直に曲げられ、し
わ押えの底部7と再絞りダイスの平面部11とで規定され
る部分を通り、再絞りダイスの作用コーナー部12により
軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ1よりも小
径の深絞りカップ20に成形される。しわ押えの底部7と
再絞りダイスの平面部11との間で再絞り成形に必要なバ
ックテンションが与えられ、再絞りダイスの作用コーナ
ー部12の曲率半径が十分に小さく且つバックテンション
が十分に大きい場合には、側壁部は曲げ伸ばしにより十
分に薄肉化される。
この再絞り工程の終期の段階を示す第3図において、前
絞りカップ1の残留フランジ4の矯正成形を、この残留
フランジ4がしわ押えの底部7と再絞りダイスの平面部
11との間に導入されるに先立って行なう。即ち、残留フ
ランジ4は、フランジ矯正ダイ16の作用面17と常に接線
方向に接しながら、軸方向下方向に引き込まれ、これに
より残留フランジ4は前絞りカップ1の側壁2の延長上
に沿うように矯正成形され、その後、しわ押えの底部7
と再絞りダイスの平面部11との間に導入され、所定の再
絞り成形が完了することになる。
この残留フランジ4の矯正成形の順序を説明する第5図
において、フランジ4とフランジ矯正ダイ16の作用面17
と係合する順序は、ローマ数字I,II,III,IV,V …で示
されているが、フランジ4が常に接線方向をなして、し
かもフランジ4の一定位置の部分が作用面17と接してい
ることが了解される。
第6図は、フランジ矯正ダイ16の作用面17がテーパー形
状である場合(曲線A)と、この作用面17がトラクトリ
ックス形状である場合(曲線B)とについて、フランジ
矯正成形時のポンチストローク(横軸)と成形荷重(縦
軸)との関係をプロットしたものである。この第6図の
結果から本発明によればフランジ矯正成形時の最高荷重
を低減させ得るという予想外の効果が奏されることが明
らかとなる。
[発明の好適態様] 本発明では、金属板としては各種表面処理鋼板やアルミ
ニウム等の軽金属板が使用される。
表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍後二次冷間圧
延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解ク
ロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二
種以上行ったものを用いることができる。好適な表面処
理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10
乃至200mg/m2の金属クロム層と1乃至50mg/m2(金属ク
ロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、こ
のものは塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れてい
る。表面処理鋼板の他の例は、0.5乃至11.2g/m2の錫メ
ッキ量を有する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、
金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2となるよ
うなクロム酸処理或はクロム酸/リン酸処理が行われて
いることが望ましい。更に他の例として、アルミニウム
メッキ、アルミニウム圧接等を行ったアルミニウム被覆
鋼板を用いることもできる。
軽金属板としては、所謂純アルミニウム板の他にアルミ
ニウム合金板が使用される。耐腐食性と加工性との点で
優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2乃至1.5重量%、M
g:0.8乃至5重量%、 Zn:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃至0.25重量%、
残部がA1の組成を有するものである。これらの軽金属板
も、金属クロム換算で、クロム量が20乃至300mg/m2とな
るようなクロム酸処理或はクロム酸/リン酸処理が行わ
れていることが望ましい。
金属板の素板厚(tB)は、金属の種類、容器の用途或は
サイズによっても相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの
厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合
には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の場合には
0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
本発明は、未被覆の金属板に適用し得ることは勿論であ
るが、絞り成形に先立って、金属板に樹脂の保護被覆を
施し、この保護被覆層を実質上損傷することなしに、深
絞り成形と側壁部の均一薄肉化とを行い得ることが利点
である。保護被覆の形成は、保護塗料を設けることによ
り、或は熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることに
より行われる。
保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性樹脂から成る
任意の保護塗料:例えば、フェノール−エポキシ塗料、
アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料:例えば塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキシアミ
ノ変性−或はエポキシフェノール変性−ビニル塗料等の
ビニルまたは変性ビニル塗料:アクリル樹脂系塗料:ス
チレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の
単独または2種類以上の組合せが使用される。
これらの塗料は、エナメル或はラッカー等の有機溶媒溶
液の形で、或は水性分散液または水溶液の形で、ローラ
塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気泳動塗
装等の形で金属素材に施す。勿論、前記樹脂塗料が熱硬
化性の場合には、必要により塗料を焼付ける。保護塗膜
は、耐腐食性と加工性との見地から、一般に2乃至30μ
m,特に3乃至20μmの厚み(乾燥状態)を有することが
望ましい。また、絞り−再絞り性を向上させるために、
塗膜中に、各種滑剤を含有させておくことができる。
ラミネートに用いる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ア
クリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン
系樹脂フィルム:ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソ
フタレート共重合体等のポリエステルフィルム:ナイロ
ン6、ナイロン6.6、ナイロン11、ナイロン12等のポリ
アミドフィルム:ポリ塩化ビニルフィルム:ポリ塩化ビ
ニリデンフィルム等を挙げることができる。これらのフ
ィルムは未延伸のものでも、二軸延伸のものでもよい。
その厚みは、一般に3乃至50μm、特に5乃至40μmの
範囲にあることが望ましい。フィルムの金属板への積層
は、熱隔着法、ドライラミネーション、押出コート法等
により行われ、フィルムと金属板との間に接着性(熱隔
着性)が乏しい場合には、例えばウレタン系接着剤、エ
ポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポ
リアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤等を介在さ
せることができる。
発明に用いる塗膜或はフィルムには、金属板を隠蔽し、
また絞り−再絞り成形時に金属板へのしわ押え力の伝達
を助ける目的で無機フィラー(顔料)を含有させること
ができる。
無機フィラーとしては、ルチル型またはアナターゼ型の
二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等の無機白色顔
料:バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸カルシウム、
石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、焼成或は未
焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホワイト、合成乃
至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム等の白色体質顔料:カーボンブラック、マグネタイ
ト等の黒色顔料:ベンガラ等の赤色顔料:シエナ等の黄
色顔料:群青、コバルト青等の青色顔料を挙げることが
できる。これらの無機フィラーは、樹脂当り10乃至500
重量%、特に10乃至300重量%の量で配合させることが
できる。
第7図は、本発明に好適に使用される被覆金属板の一例
を示す。即ち、金属基材21の両表面には、クロム酸処理
被膜の如き化成皮膜22a,22bが設けられ、缶内面となる
側には、この化成被膜22aを介して内面塗膜23が設けら
れる。一方、缶外面となる側には化成被膜22bを介し
て、ホワイトコーティング24及び透明ニス25から成る外
面塗膜が設けられる。
本発明の成形工程を説明するための第8図において、打
抜き工程において、前述した被覆金属板を厚みtBの円板
30に打抜く。次いで絞り工程で、厚みがtBで大径の底部
3と、厚みがtW′で高さの低い側壁部2及びフランジ4
とを備えた浅絞りカップ33に絞り成形する。この絞り工
程における絞り比、即ち式 で定義される値は、一般に1.2乃至1.9、特に1.3乃至1.8
の範囲にあることがよい。側壁部2の厚みtW′は、tB
りもやや大きい。
次いで、第1次再絞り工程で、フランジ付き浅絞りカッ
プ1を、第1図に示した装置により再絞り成形し、第8
図の第1次再絞り工程で示す厚みがtBで浅絞りカップよ
り小径の底部3と、厚みがtW′で絞りカップよりも高い
側壁部2とフランジ4とを備えた再絞りカップ1に成形
する。同様にこの1次再絞りカップ1を前述した第1乃
至3図の原理でn次の再絞り成形する。
また、本発明の他の成形工程を説明するための第9図に
おいては第8図に示す成形工程とほぼ同じであるが、第
1次再絞り工程前の絞り工程ではフランジなしの打ち抜
き浅絞りカップ1′に形成してあり、したがって、第9
図に示す本発明の成形工程では、第1次の再絞り工程で
フランジ付き再絞りカップ1を成形し、その後の再絞り
工程で第1図乃至第3図の原理が採用される。
本発明によれば、一般に全体としての絞り比が2.0乃至
4.0、特に2.0乃至3.5の範囲にある深絞り缶を得ること
ができる。前段の絞りにおける残留フランジ部4の巾は
一般に1乃至10mm,特に1乃至8mmの範囲にあるのがよ
く、これに応じて、作用面の形状及び寸法も定められ
る。
絞り成形及び再絞り成形に際して、被覆金属板或は更に
カップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パラ
フィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワッ
クス、ポリエチレンワックスを塗布して成形を行うのが
よい。滑剤の塗布量は、その種類によっても相違する
が、一般に0.1乃至10mg/dm2、特に0.2乃至5mg/dm2の範
囲内にあるのがよく、滑剤の塗布は、これを溶融状態で
表面にスプレー塗布することにより行われる。
絞り成形は、室温で行うこともできるが、一般には20乃
至95℃、特に20乃至90℃の温度で行うことが望ましい。
成形後の缶は、フランジのトリミング、ドーミング加
工、ネックイン加工、フランジ加工等の各種加工を行
い、ツーピース缶詰用の缶胴とする。
[発明の効果] 本発明によれば、特定の作用面を有するフランジ矯正ダ
イを用いることにより、比較的小さい成形荷重で残留フ
ランジ部を予じめ前段絞りカップの側壁面の延長となる
ように矯正成形することが可能となり、この状態でしわ
押えと再絞りダイスとのしわ押え面に供給することによ
り、素材の耳切れや、被覆の損傷或いは糸クズ(エナメ
ルヘア)の発生を防止し、更に形状出現性及び寸法精度
に優れた絞り・再絞り缶を生産性よく安定に製造するこ
とが可能となる。また、工具の損耗等も改善される。
実施例1. 素板厚0.18mmのテインフリースチール(調質度DR-9)の
両面にエポキシ系熱硬化塗料を塗布し焼付け後、片面の
厚みで8μmの塗膜を形成させ、パーム油を塗油し絞り
成形に付し、フランジ付きの浅絞りカップを作成した。
次いで本発明による再絞り法に従って再絞り成形を行な
った。この時の絞り、再絞り条件は以下の通りである。
〈成形条件〉 A.絞り加工 1ブランク径;187mm 2絞り比;1.50 3残留フランジ部長さ;5mm B.再絞り加工 1第1次再絞り比;1.29 2第2次再絞り比;1.24 3第3次再絞り比;1.20 4フランジ矯正ダイ作用面形状; トラクトリックス 5カップ外周面から作用面接点迄の距離(a); 5mm 6再絞り後の残留フランジ長さ;5mm 7しわ押え力;3000kgf 8再絞りダイスの作用コーナー部曲率; 0.5mm その結果、再絞り成形におけるフランジ部の耳切れ、塗
膜の破損、エナメルヘアが発生することなく成形でき、
且つ再絞り後のカップの真円度及び残留フランジ量が均
一なものができた。また約1万個の連続成形後のフラン
ジ部成形による工具損傷も全く散見されなかった。
実施例2 フランジ矯正ダイ作用面形状をトラクトリックス近似の
複合曲率(導入部曲率半径2mm,続いて曲率半径10mmとし
て、その継ぎをテーパーで係合)とした以外は実施例1
と同様の方法で再絞り成形を行なった。
その結果、実施例1とほぼ同等の良好な成形性と再絞り
カップが得られた。
比較例1 フランジ矯正ダイ作用面形状をテーパー形状(約45度)
とした以外は実施例1と同様の再絞り成形を行なった。
その結果、フランジ部のところにしわが発生し、塗膜が
一部欠損し、且つエナメルヘアが多数発生し、連続成形
においても2,500乃至3,000個ぐらいから、フランジ矯正
ダイに筋状の塗膜がビルドアップし、再絞りカップの表
面を著しく損傷した。
比較例2 フランジ矯正ダイを設けないで、フランジ付の浅絞りカ
ップを実施例1と同様に成形を行なったが、第1次再絞
り工程のしわ押え面にフランジ部が流入する段階でフラ
ンジ部に無数のしわが寄り、その時点でフランジ部が破
断し、成形が不可能であった。
実施例3 有機材料として、ポリエチレンテレフタレートフイルム
(厚み両面共に20μm)を貼着した以外は、実施例1と
同様の方法で再絞り成形を行なった。
その結果、ラミネートした熱可塑性樹脂フイルムに何
等、損傷を与えることなく、良好な再絞り缶を得た。
実施例4 絞り加工においてフランジ無しの打ち抜く浅絞りカップ
を作成し、再絞り成形に供試した以外は実施例1と同じ
条件で絞り加工、再絞り加工した結果、実施例1と同様
な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図(再絞り開始前)、第2図(再絞り中)第3図
(フランジ矯正成形中)は本発明の再絞り法を説明する
ための図であり、第4図は本発明のフランジ矯正ダイの
作用面の形状を説明するための図であり、第5図は残留
フランジの矯正成形の順序を説明するための図であり、
第6図は本発明のフランジ矯正ダイ形状の効果を示すス
トロークと成形荷重曲線の図であり、第7図は本発明に
好適に使用される被覆金属板の一例を示すものであり、
第8図及び第9図は本発明の成形工程を説明するための
図である。 1、1′……前絞りカップ,2……側壁,3……底壁,4……
残留フランジ,5……しわ押え,6……再絞りダイス,8……
コーナー部,9……外周部,10……内周部,11……再絞りダ
イス平面部,16……フランジ矯正ダイ,17……作用面,18
……ダイス面,19……案内コーナー部,20……深絞りカッ
プ,21……金属基材,22a,22b……化成被膜,23……内面塗
膜,24……ホワイトコーティング,25……透明ニス,30…
…円板,33……浅絞りカップ,

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前段の絞りカップを、カップ内に挿入され
    た環状のしわ押えと再絞りダイスとで保持し、しわ押え
    及び再絞りダイスと同軸に且つしわ押え内を移動し得る
    ように設けられた再絞りポンチと再絞りダイスとを互い
    に噛み合うように相対的に移動させ、前段の絞りカップ
    よりも小径の深絞りカップに絞り成形する再絞り方法に
    おいて、 前段成形でフランジ部を残すように成形されたカップ
    を、残留フランジ部がしわ押えとダイスとの間隙に流入
    するに先立って、しわ押えと同軸に且つしわ押え外周面
    から小間隔をおいてこれを取り囲むように設けられたフ
    ランジ矯正ダイと係合させ、ここでフランジ矯正ダイ
    を、導入側から次第に内径が減少する作用面を有し且つ
    該作用面の接線におけるカップ外周面から作用面接点迄
    の距離(a)が作用面の少なくとも導入側の部分におい
    て実質上一定であるものとし、これにより残留フランジ
    部を前段絞りカップの側壁面の延長となるように矯正成
    形することを特徴とする再絞り方法。
  2. 【請求項2】フランジ矯正ダイがトラクトリックスまた
    はこれに近似した形状を有することを特徴とする請求項
    1記載の再絞り方法。
  3. 【請求項3】前記距離(a)が残留フランジ部の巾とほ
    ぼ同じである請求項1記載の再絞り方法。
  4. 【請求項4】前記成形に用いるカップは金属板に樹脂保
    護被覆層を有する被覆金属板であることを特徴とする請
    求項第1項記載の再絞り方法。
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