JP3416236B2 - 複合加工方法 - Google Patents

複合加工方法

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JP3416236B2 JP34562993A JP34562993A JP3416236B2 JP 3416236 B2 JP3416236 B2 JP 3416236B2 JP 34562993 A JP34562993 A JP 34562993A JP 34562993 A JP34562993 A JP 34562993A JP 3416236 B2 JP3416236 B2 JP 3416236B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機皮膜被覆金属板か
らなる絞り缶の缶径の縮小、および缶壁厚みの大きな減
厚を、単一工程で実施する加工方法に関し、詳しくは、
再絞り加工、引き伸ばし加工、しごき加工を、同時に行
う複合加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、缶胴部と缶底部が一体のツ−ピ−
ス缶としては、ぶりき板、アルミニウム合金板、電解ク
ロム酸処理鋼板等を素材とするDRD缶(Drawn
andRedrawn Can)、DI缶(Drawn
and Ironed can)が、一般的であり、
近年DTR缶(Draw−Thin/RedrawCa
n)も実用化されている。DRD缶は、絞り加工、再絞
り加工により製造されるため、缶高さに比例して缶壁厚
みが厚くなる。それゆえ、経済性の点から、一般的に缶
高さの低い缶に適用されている。一方、絞り加工後、し
ごき加工され製造されるDI缶は、その缶壁厚みが元板
厚の1/3程度とされ得るため、缶高さの高い缶にも経
済的に適用されている。またDRD缶とDI缶では、D
RD缶が予め有機皮膜が被覆された金属板が絞り加工さ
れるのに対し、DI缶の場合、しごき加工後、塗装され
る点が異なる。これは、DRD加工とDI加工では、加
工度、加工時の応力状態が大きく異なるためである。有
機皮膜被覆金属板を、加工度、缶壁への面圧が極めて大
きな加工であるDI加工に適用した場合、有機皮膜の金
型への焼き付き、内外面の有機皮膜損傷などのため、実
用化には至っていない。一方、DTR缶は、再絞り加工
時のダイスの肩ア−ルを小さなものとし、その肩部での
曲げ、曲げ戻しを大きな引っ張り力を加えながら行い、
缶壁を薄くする加工によって製造される。DTR缶の場
合、絞り加工に酷似する加工によるものではあるが、缶
壁を、引き伸ばし加工するため、缶壁は元板厚よりは若
干薄くし得る。また、しごき加工のように、ダイスとポ
ンチ間で缶壁に大きな面圧が、負荷されることがないた
め、有機皮膜への負荷がそれほど大きくなく、有機皮膜
の損傷を起こしにくいため有機皮膜被覆金属板が、適用
されている。しかしながら、DTR缶の場合、引っ張り
力を主体とした加工であるため、加工時、缶壁の破断が
起こり易く、DI加工よりはるかに小さい減厚率でしか
加工できないという問題点を有する。
【0003】以上述べた如く、DRD缶、DI缶および
DTR缶は、それぞれ特徴を有するが、前記課題も有す
る。本発明は、再絞り加工と同時に、引き伸ばし加工、
しごき加工を特殊な条件のもとに行うことにより、有機
皮膜被覆金属板からなる絞り缶の缶壁を、大きな減厚率
で薄肉化するものである。すなわち、DI缶とDTR缶
の特徴を兼ね備えた缶を得る加工技術に関するものであ
る。ここでDTR加工に関する技術としては、特開平1
−258822号公報記載の技術があり、再絞り加工と
同時に引き伸ばし加工、およびしごき加工を行うものと
しては、特公平1−20931号公報記載の技術があ
る。特公平1−20931号公報記載の技術は、しごき
加工を、缶壁厚みの均一化を目的とし軽微に行い、減厚
量は、缶壁厚とダイス肩ア−ルの比により定まるとする
もの、すなわち主たる減厚はDTR加工様式により行う
ものである。それゆえ、大きな減厚をはたし得る技術を
提供するものではない。また、特公平1−20931号
公報記載の技術は、缶壁厚みを全缶高さにわたり均一な
ものとすること、および再絞り加工時、缶端部を絞りこ
まずにフランジとして残すこと等を特徴とする。ここ
で、缶をより経済的ものとするためには、缶胴部の壁厚
は可能な限り薄く、缶上端部の壁厚は、以後に実施され
るネックイン加工(缶端部の径を小さくする加工)等の
ために厚いことが要求されるが、特公平1−20931
号公報記載の方法はこの点において適するものではな
い。特公平1−20931号公報記載の方法によれば、
全缶高さに亘って、缶壁厚が均一となるため、缶壁を軽
量化のために薄くすれば、後に実施するネックイン加工
等が困難となり、またネックイン加工を考慮して厚くす
れば軽量化が果たせず、加工性と軽量化を同時に果たせ
ないものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】缶高さの高いツ−ピ−
ス缶を製造する加工方法として代表的なDI加工は、缶
壁厚を大きな減厚率で薄くしうるし、またDTR加工
は、有機皮膜被覆金属板を適用することが可能である。
しかしながら、DI加工の場合、有機皮膜損傷の点から
有機皮膜被覆金属板の適用は困難であり、またDTR加
工の場合、大きな減厚率で缶壁厚みをうすく出来ないと
いう問題点を有する。ここに、本願は、有機皮膜被覆金
属板から絞り加工された前絞り缶を、缶径を縮小すると
同時に、大きな減厚率で缶胴壁厚みを薄くし、併せて、
以後のネックイン加工等のため缶上端部の缶壁厚みは厚
くする加工技術を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機皮膜被覆
金属板から絞り加工された前絞り缶を、缶内に挿入した
環状しわ押さえと再絞りダイスで保持しつつ、しわ押さ
え内側に配置した再絞りポンチを、前進させることとに
より、(再絞り前の缶径)/(再絞り後の缶径)で表す
再絞り比にて1.15〜1.4の缶径の縮小を行い、再
絞りダイスの肩部では、板厚増の抑制ないしは、20%
程度以下の僅少の減厚を行い、そして再絞りダイスの直
後に配置したしごきダイスで缶壁の主たる減厚を行うこ
とにより、合わせて、缶壁を20%〜60%の減厚率で
減厚するものである。詳しくは、しわ押さえの肩ア−ル
R1、および再絞りダイスの肩ア−ルR2を、それぞれ
元板厚T0の4〜20倍、1.2〜15倍、望ましく
は、それぞれ4〜10倍、1.5〜8倍とすること、再
絞りダイス肩部に続く面、およびそれに続く、しごきダ
イス入り側の面が、再絞りダイス肩部としごきダイス入
り側の間にある缶壁外面とが強く接触しないものとする
こと、再絞りダイス肩部としごき加工部を結ぶ線分がポ
ンチの軸線となす角度を7度以下の正の角度とするこ
と、しごきダイスでの減厚率を10%〜50%とするこ
と、また、再絞りダイスとポンチのクリアランスC1を
板厚の0.8〜1.4倍とすること、再絞りダイス上面
としごき部間の寸法を10〜30mmと定めることなど
を特徴とする複合加工方法により、缶径の縮小と同時に
缶胴壁厚を、元の板厚に対して20〜60%減厚すると
ともに、缶上端部は以後のネックイン加工等のため厚く
する技術を提供するものである。すなわち、有機皮膜被
覆金属板からなる前絞り缶を、軽量かつネックイン加工
可能な再絞り缶とする複合加工技術を提供するものであ
る。
【0006】
【作用】本発明の複合加工方法を第3図のA部拡大図で
ある第1図に基づき説明する。本発明の加工方法は、有
機皮膜被覆金属板から絞り加工された前絞り缶13を、
再絞りダイス3と、しわ押さえ1により、加圧保持し、
ついで、ポンチ5を矢印16の方向に前進させ、缶径の
小さな缶壁14を形成する。さらに、ポンチを前進さ
せ、しごきダイス4で缶壁をしごき加工し薄肉の缶胴1
5を形成することからなる。ここで、本加工方法では、
減厚率に関し、ダイス肩部7での張力と曲げによる減厚
率を、およそ−5%〜+20%の範囲とし(−5%の減
厚率は、5%板厚が増加することを意味する。絞り加工
においては、絞り比に比例して板厚が増加するが、ここ
では板厚増を最大5%程度に抑制することを意味す
る。)しごきダイス4での減厚率(T2−T3)x10
0/T3を10%〜50%の範囲とする(但し、T2;
缶壁14の壁厚、T3;缶壁15の壁厚)。そして、本
加工における平均的な総減厚率は、(T1−T3)x1
00/T1で表し得るが、前絞り缶の缶壁厚みT1は、
缶の周方向位置によっても変動するため総減厚率を一義
的に示し得ない。それゆえT1とは大きく相違せず、か
つ変動の少ない元板厚T0を基準とし、(T0−T3)
x100/T0をもって総減厚率とし、本発明は、その
総減厚率を20%〜60%の範囲とするものである(但
し、T1;前絞り缶の1/2缶高さの缶壁板厚、T3;
しごき後缶胴15の壁厚)。ここで、再絞りダイス肩部
7での減厚率と、しごきダイス4での減厚率の関係につ
いて言えば、再絞りダイスでの減厚率が前記の上限近傍
であるときは、缶壁破断の点から、しごきダイスでの減
厚率は、小さな減厚率を選択することが適する。なお、
上記20〜60%の減厚率で減厚する場合、しごきダイ
ス4とポンチ5のクリアランスC2は、およそ0.8x
T0〜0.3xT0の範囲内とすれば良い。
【0007】以下に、本発明によって、有機皮膜被覆前
絞り缶の径の縮小、および大きな減厚率での缶壁の減厚
が可能となる理由について説明する。有機皮膜被覆金属
からなる前絞り缶の缶径の縮小、および大きな減厚率で
缶壁を減厚する場合の問題点として、缶壁14、あるい
は缶壁15での缶壁破断、および缶内外面、特に外面に
被覆した有機皮膜の損傷が挙げられる。勿論、有機皮膜
損傷は缶壁破断の原因となる。缶壁破断、縦キズで代表
される有機皮膜損傷に影響する加工上の要因としては、
再絞り比、しわ押さえ1の肩ア−ルR1、再絞りダイス
上面9としわ押さえ面8の間の加圧力、再絞りダイス3
の肩ア−ルR2、しごきダイス4の形状、しごきダイス
とポンチ間のクリアランスC2、その他種々の因子があ
り、極めて複雑である。本発明は、これら種々の因子に
ついて、多岐にわたる数多くの試験を行い研究を重ねた
結果、目的を果たし得る技術を導き得たものである。
【0008】以下に、問題となる缶壁破断、有機皮膜損
傷の点で優れる本発明の技術内容について述べる。本発
明は、缶壁14、缶壁15で破断が生じるのは、該部に
作用する張力が、該部抗張力よりも大きくなるためであ
り、また、有機皮膜損傷が生じるのは、再絞りダイス3
とポンチ5、あるいはしごきダイス4とポンチ5によ
り、その間に存在する缶壁に作用する面圧が大きいこと
によるものと考え、この張力と面圧を、目的を果たすに
おいて最適なものとするべく検討を重ねたものである。
【0009】缶壁14、15に作用する張力に影響する
因子には、再絞り加工力(しわ押さえ肩ア−ル部6での
曲げ、曲げ戻し力、しわ押さえ面8と再絞りダイス上面
9の間での材料の変形力、および摩擦力、再絞りダイス
肩ア−ル部7での曲げ、曲げ戻し力等の加算されたも
の)、しごき加工力、缶壁の内外面に作用する摩擦力な
どがある。再絞り加工力が大きいと、しごき加工に入る
前に、缶壁14が破断するなど、破断位置は、加工条件
によって大きく異なる。ここで、本発明が目的とする、
大きな減厚率でしごき加工を実施しようとした時、缶壁
破断は、殆どの場合しごき加工部で発生する。それゆ
え、該部での張力を破断強度以下にすることが重要とな
る。一方、有機皮膜損傷は、しごき加工時、缶壁外面に
発生しやすいが、該部張力が大きい程、起こり難く、張
力の影響は、有機皮膜損傷と缶壁破断では相反する。張
力は、しごきダイス部の材料の変形に寄与するため、張
力が大きい程、ダイス4とポンチ5による缶壁への面圧
は低下し、有機皮膜損傷は軽減されるものと考えられ
る。それゆえ、本発明は、しごき加工部の材料に作用す
る張力は、破断強度より低く、出来得る限り大きいこと
が目的に適するとするものである。
【0010】しわ押さえ肩ア−ルR1、再絞りダイス肩
ア−ルR2を小さくすれば、再絞り加工力が大きくな
り、缶壁の張力増加、ひいては缶壁破断をもたらす。一
方、しわ押さえ肩ア−ルR1、再絞りダイス肩ア−ルR
2を大きくすれば、再絞り加工力を低減できるが、反
面、缶壁でのしわの発生、再絞り比に比例して缶壁板厚
が増加することによる、しごき加工での負担増加、また
缶壁張力が低くなることによる、しごきダイス部での面
圧低減効果が不十分となるなどのマイナス面を有する。
それゆえ、しわ押さえ肩ア−ルR1、再絞りダイス肩ア
−ルR2には、上、下限が存在し、元板厚T0との関係
で定める。ここで、R1、R2は再絞り加工前缶壁13
の厚みとの関係で定めるべきであるが、その缶壁厚み
は、缶高さ方向、缶周方向で変化するため、その関係を
より明瞭なものとするため元板厚T0を基準とし定め
る。
【0011】また、缶壁14の内外面に作用する摩擦力
も重要である。缶壁14の外面に作用する摩擦力は、再
絞り加工力を何等負担せず、再絞り加工に寄与すること
なく、缶外面の有機皮膜損傷をもたらし易く、しごき加
工部缶壁の張力を高め、缶壁破断を起こしやすくする。
それゆえ、本発明にとって缶壁14の外面と、再絞りダ
イスの面10、およびしごきダイスの面11とは、極力
強固に接触させないことが重要である。接触範囲は対象
範囲の2/3以下、望ましくは1/3以下とすべきであ
り、また、仮に接触しても強固にならないものとすべき
ある。一方、缶壁内面とポンチ間の摩擦力は、缶壁張力
の上昇を来さず、再絞り加工力の一部を負担する。それ
ゆえ、この間の摩擦力は作用することが望ましい。再絞
りダイス3とポンチ5のクリアランスC1を板厚との関
係で定める理由は、缶壁14の内面とポンチ5に摩擦力
を作用させるためである。クリアランスC1が小さいほ
ど、缶内面とポンチの摩擦力は大きくなり、前記絞り加
工力の負担という点からは好ましい。しかし、クリアラ
ンスC1が小さくなると、再絞りダイス3とポンチ5に
よる缶壁への面圧が高くなり、有機皮膜の損傷をもたら
し易くする。一方、クリアランスC1が、大きいと缶内
面とポンチ5の接触が不十分となり、摩擦力が十分に利
用出来なくなる。また、本加工は、通常、缶の後端が再
絞りダイス上面9に残存する状態でポンチ5を後退させ
目的とする再絞り缶とし、この再絞り缶を、次の工程で
缶壁14を、ダイス肩7に近い位置よりトリミングす
る。すなわち、缶壁14の殆どの部分が最終の缶の上端
部分となる。この、上端部分には、次いで、口径を縮小
するネックイン加工、蓋を巻き締めるためのつば出し加
工等の加工を実施するため、缶壁14は厚い方が望まし
いことは勿論のこと、缶壁14は、出来得る限り缶壁1
5に対し、角度を有さないことが望ましい。クリアラン
スC1が大きい程缶壁14の缶壁15に対する角度が大
きくなり、すなわち、缶上端に近い程、缶口径が大きく
なり、すなわち、ラッパ状となり、以後のネックイン加
工等が難しくなる。以上述べた点に関し、クリアランス
C1を限定することと、並びに、ダイス肩部7としごき
加工部の最小内径部とを結ぶ線分が、ポンチ5の軸線と
なす角度を7度以下の正の角度とすることにより、本発
明の目的に適するものとなる。以上の理由により、クリ
アランスC1の上、下限、ダイス肩としごき加工部のな
す角度を定めた。
【0012】次に、再絞り加工後の缶壁14に実施する
しごき加工での減厚率を10%〜50%とする理由につ
いて述べる。本発明は、総減厚率、すなわち、有機皮膜
被覆金属板の元厚T0に対するしごき加工後の缶壁厚T
3の減厚率を20%〜60%とするものであり、また、
主たる減厚はしごき加工部で実施するものであが、ここ
で、20%〜60%の範囲内での総減厚率の選定は、缶
の形体、内容物(内圧の程度、内容物の充填、殺菌の種
類)等によって定め、また、その減厚率等に応じて使用
する素材も適宜選択する。ここで、しごき加工での減厚
率を10%以上とするのは、缶壁15の厚みをより均一
なものとするため、および、本複合加工後に実施するネ
ックイン加工(缶上端の缶径を縮小する加工)、フラン
ジ加工(缶上端のつば成形加工)のために、缶上端部缶
壁14の厚みを厚く残す、すなわち缶胴部15は薄く、
缶の上端部14は厚くするためである。また、50%以
下とするのは、50%を越えるとしごき加工部の張力、
面圧の両方を満足する加工条件範囲が狭く、缶壁破断、
製缶後の缶の品質といった点で不安定になるからであ
る。以上、上、下限の限定理由について述べたが、中間
の減厚率においては、ダイス肩での減厚率を大きくすれ
ば、しごきダイスでの減厚率の限界は低下し、逆にダイ
ス肩での減厚率を小さくすれば、しごきダイスでの減厚
率の限界は増大する。ダイス肩、およびしごきダイスで
の減厚率に関し、材料、加工条件によって最適値は異な
るが、ダイス肩での減厚率は小さく、しごきダイスでの
減厚率を大きくした方が、破断が少なく安定した加工が
実施できる。ここで、本発明において、再絞りダイス上
面9から、しごき加工部までの長さL、すなわち缶上端
部長さを10〜30mmとするが、この長さは本複合加
工後に実施するネックイン加工と関連する。缶を経済的
なものとするためには、缶壁はでき得る限り薄いことが
望ましいが、一方、缶上端部分は、缶胴の径より小さな
径の蓋を巻き締めることができるようネックイン加工で
きることが必須要件であり、その加工のため缶上端部は
厚肉とすることが不可欠である。本発明において、絞り
ダイス上面9としごき加工部に一定の距離を設け缶壁1
4を缶壁15に対して厚肉とすること、および缶壁14
を缶壁15に対し大きな角度をなさしめず、実質的に直
線に近いものとするのは、ひとえに軽量でかつネックイ
ン加工の可能な再絞り缶とするためである。
【0013】ここで、有機皮膜被覆金属板の下地金属板
としては、電解クロム酸処理鋼板、アルミニウム合金板
(Al−Mn系、Al−Mg系等)、化成処理アルミニ
ウム合金板、電解クロム酸処理ぶりき板、ぶりき板等の
中から、用途に応じ選択する。また、被覆有機皮膜は、
缶内面側については、ポリエステル系樹脂、フェノ−ル
−エポキシ系樹脂、エポキシ−アクリル系樹脂、ポリエ
ステル−アミノ系樹脂等から、加工度、加工条件、下地
金属などに応じて選択する。また缶外面の有機皮膜につ
いては、ポリエステル系樹脂皮膜、あるいはポリエステ
ル系樹脂、ビニル系樹脂、フェノ−ル−エポキシ系樹
脂、フェノキシ系樹脂等にフッ素系樹脂、ポリオレフィ
ン系ワックス、天然ワックス等を添加した潤滑性皮膜、
あるいはポリエステル系樹脂、フェノ−ル−エポキシ系
樹脂の上層に前記潤滑性皮膜を形成した複層皮膜等の中
から加工度、加工条件、下地金属などに応じて選択す
る。
【0014】
【実施例】以下に、実施例について説明する。 実施例1 素板厚0.18mm、調質度DR−8の電解クロム酸処
理鋼板(TFS)の両面に厚み20μmの二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレ−トフィルムを熱接着し、有機皮膜
被覆金属板とした。この有機皮膜被覆金属板にワックス
を塗布し、直径170mmの円板に打ち抜き、直径10
3mmの浅絞り缶に成形した。この絞り工程での絞り比
は、1.36となる。次いで、肩ア−ル寸法2mmのし
わ押さえと肩ア−ル寸法が1.6mmの再絞りダイスを
用い、再絞り比1.25で第1次再絞り加工を行った。
すなわち、缶径が82.4mmの再絞り缶とした。この
再絞り缶を前絞り缶とし、表1に示す、本発明、比較例
として区分される加工条件にて、缶径の縮小、減厚を行
った。缶径の縮小は、いずれの場合も再絞り比を1.2
5とし、限界しごき率、総限界減厚率(缶壁破断なく減
厚しうる最大減厚率)、缶内外面の有機皮膜損傷の優
劣、ネックイン加工性でもって加工性の評価を行った。
寸法Lは、20mmと5mmの2条件とし、寸法Lの効
果はネックイン性にて評価した。表中の、接触有り、
半、無しはそれぞれ以下の状態を意味する。すなわち、
図面上対象範囲の1/2以上の範囲において缶壁14外
面が再絞りダイス側面10、およびしごきダイス側面1
2と接触する場合を接触有りとし、接触する範囲が1/
5以下の場合を接触無しとし、1/5〜1/2を接触半
とした。缶外面の有機皮膜損傷は、目視で評価し、缶内
面の有機皮膜損傷は、金属露出(ERV;エナメルレ−
タ−値)で評価した。 実施例2 素板厚0.25mmのAl−Mn系のアルミニウム合金
板の両面に厚み20μmの二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレ−トフィルムを熱接着し、有機皮膜被覆金属板とし
た。絞り加工、第一次再絞り加工は、実施例1と同じ金
型を用い再絞り缶を作成した。この再絞り缶を前絞り缶
とし、第2表に示す加工条件にて加工性を評価した。評
価は、実施例1と同様に行った。以上、表1、表2示し
たように、本複合加工方法によれば、有機皮膜被覆金属
板からなる前絞り缶に関し、缶径の縮小と同時に、缶内
外面の有機皮膜を損傷させることなく、大きな減厚率
で、薄肉化し得ることが分かる。
【0015】
【表1】 *1 面10,11と缶壁14の外面との接触状態 *2 限界しごき率(%)=(T2−成形可能最小厚
みT3)x100/T2 *3 総限界減厚率(%)=(T0−成形可能最小厚
みT3)x100/T0 *4 ネック性:総限界減厚率で成形した缶の上端部
口径を12%縮小する時の成形性(しわ、割れで評価) *5 本;本発明を意味する。 比;比較例を意味す
る。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】本発明の複合加工方法により、缶径の縮
小と同時に、缶内外面の有機皮膜損傷を来すことなく、
大きな減厚率で缶胴壁を薄肉化し、缶上端部分の缶壁は
厚肉化するなどネックイン加工に適する再絞り缶を成形
とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合加工方法の特徴をしめす断面図で
あり、図3におけるA部の拡大図である。
【図2】前絞り缶の缶径の縮小と減厚を行う本発明の複
合加工方法の全体を示す模式図であり、加工前の状態を
示す。
【図3】前絞り缶の缶径の縮小と減厚を行う本発明の複
合加工方法の全体を示す模式図であり、加工途中の状態
を示す。
【符号の説明】
1 しわ押さえ 2 ガイドリング 3 再絞りダイス 4 しごきダイス 5 ポンチ 6 しわ押さえ肩ア−ル部 7 再絞りダイス肩ア−ル部 8 しわ押さえ面 9 再絞りダイス上面 10 再絞りダイス側面 11 しごきダイス側面 12 しごきダイス入り側 13 前しぼり缶缶壁 14 再絞り後上端缶壁 15 しごき後缶壁 16 矢印 C1 再絞りダイスとポンチ間のクリアランス C2 しごきダイスとポンチ間のクリアランス D1 前絞り缶缶径 D2 ポンチ径 L 再絞りダイス上面としごき部間の長さ R1 しわ押さえ肩ア−ル R2 再絞りダイス肩ア−ル
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 22/28 B21D 24/00 B21D 51/18 B21D 51/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機皮膜被覆金属板から絞り加工された前
    絞り缶を、缶内に挿入した環状しわ押さえと再絞りダイ
    スとで加圧保持しつつ、しわ押さえ内側に配置したポン
    チを前進させ、再絞りすることにより缶径の縮小を行
    い、さらに、ポンチを前進させて再絞りダイスの直後に
    配置した1個のしごきダイスで缶壁をしごき加工し前記
    缶壁の減厚を行う加工法であって、前記しわ押さえの肩
    ア−ルR1、および前記再絞りダイス3の肩ア−ルR2
    を、それぞれ、板厚T0の4〜20倍、1.2〜15倍
    とし、再絞りダイス上面9としごき部間の長さ寸法Lが
    10〜30mmの範囲内に設定し、前記再絞りダイスの
    肩部7につながる面10および前記しごきダイス4の面
    11と、缶壁14の外面とが、再絞りダイスの肩7から
    しごき加工部間の範囲において接触しない隙間を形成さ
    せ、前記再絞りダイスの肩部7での張力と曲げによる減
    厚率を、−5%〜+20%の範囲とし、前記しごきダイ
    ス4での減厚率 (T2−T3)x100/T2を10
    〜50%とし、常温かつ一工程で、再絞り加工、引き伸
    ばし加工、しごき加工を同時に行い、缶壁の総減厚率を
    20%〜60%とすることを特徴とする、缶の複合加工
    方法。
  2. 【請求項2】前記再絞りダイスの肩部7としごき加工部
    とを結ぶ線分と、ポンチの軸線とのなす角度が7度以下
    の正の角度である請求項1に記載の缶の複合加工方法。
  3. 【請求項3】前記再絞りダイスとポンチのクリアランス
    C1が、板厚T0の0.8〜1.4倍である請求項1又
    は2に記載の缶の複合加工方法。
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