JPH0919732A - 金属缶のネックイン加工用工具 - Google Patents

金属缶のネックイン加工用工具

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JPH0919732A
JPH0919732A JP7170751A JP17075195A JPH0919732A JP H0919732 A JPH0919732 A JP H0919732A JP 7170751 A JP7170751 A JP 7170751A JP 17075195 A JP17075195 A JP 17075195A JP H0919732 A JPH0919732 A JP H0919732A
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JP
Japan
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neck
metal
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curvature
radius
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JP7170751A
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Inventor
Hisashi Takeuchi
久司 竹内
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ネック部の不連続部の発生が少なく、なだら
かなネック部を有する金属缶を製造することができる金
属缶のネックイン加工用工具を提供する。 【構成】 口絞りダイ1の内側には、金属缶4の挿入方
向に沿って順次縮径された口絞り部12と、中心軸に対
し平行に設けられた平行部13と、口絞り部12と平行
部13とを所定の曲率半径rで湾曲して結ぶ遷移部14
とが設けられている。また、この口絞りダイ1の内側に
配置される円柱状中子2には、口絞りダイ1の平行部1
3に整合して平行部23が設けられている。前記曲率半
径rをネックイン加工前の金属缶の開口部の外径Dで徐
した値r/Dは0.06乃至0.20の範囲に設定され
ている。このように構成された工具を使用して少なくと
も最終段階のネックイン加工を除く各段階のネックイン
加工を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に飲料用に使用され
るアルミニウム缶及びブリキ缶等の金属缶の製造方法に
おいて、DI(絞り及びしごき)工程実施後の金属缶の
開口端を揃えるトリミング工程と、金属缶の開口部を拡
げるフランジ工程との間で、金属缶の開口部を縮径化す
るネックイン加工工程に使用されるネックイン加工用工
具に関し、特に金属缶の端部を2段階以上に縮径し、金
属缶のネック部をなだらかな形状に加工することができ
る金属缶のネックイン加工用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、飲料用に使用される金属缶におい
ては、円筒状の蓋側の開口端部を縮径し、缶蓋の直径を
筒部中央(缶胴部)の外径よりも小さくした缶が使用さ
れるようになった。このような金属缶は、DI(絞り又
はしごき)工程及びトリミング工程を経た開口端にネッ
クイン加工を施して開口端部を縮径することにより口絞
り部を成形し、更にフランジ(口拡げ)加工を施した後
に、缶端部に缶蓋部を巻締めすることにより製造されて
いる。
【0003】ネックイン加工方法としては、口絞りダイ
及び円柱状中子を組み合わせて使用する「ダイ方式」に
よる加工法と、スピンニングロールを使用する「スピン
方式」による加工法とがある。「スピン方式」は、「ダ
イ方式」に比して金属缶に印加される軸方向の加工力が
低いため、缶胴部の肉厚が薄い金属缶でも缶胴部に座屈
が発生する虞れが少ないという長所がある。しかし、
「スピン方式」においては、缶端部の内外面が高速でス
ピンニングロールに接触するため、金属缶の内外面の塗
膜が損傷を受けやすいという欠点がある。特に、飲料用
に使用される金属缶の場合、内面の塗膜が損傷すると内
容物との接触により缶の腐食を招来する。また、金属缶
外面の塗膜が損傷した場合は、商品価値が著しく損なわ
れる。
【0004】一方、「ダイ方式」においては、その内側
に挿入される金属缶の開口端部を縮径する円筒状の口絞
りダイと、この口絞りダイの内側に配置されて前記金属
缶端部の内側に嵌合する円柱状の中子とにより、缶端部
をネックイン加工する。前記口絞りダイは、一般的には
金属缶の挿入方向に沿って順次縮径された口絞り部と、
この口絞り部から金属缶の挿入方向に口絞りダイの中心
軸に平行に延びる平行部とを有している。この「ダイ方
式」は、比較的簡単な金型(口絞りダイ及び中子)によ
りネックイン加工が可能であるので、金属缶のネックイ
ン加工方法として最も一般的に使用されている。また、
「ダイ方式」によるネックイン加工は、「スピン方式」
のネックイン加工の前工程として使用されることもあ
る。なお、「ダイ方式」においては、加工力を低減し缶
胴部の座屈を回避すると共に缶端部での皺の発生を抑制
するために、通常、2段階以上に分けてネックイン加工
を施し、缶端部を所定の外径に縮径している。
【0005】「ダイ方式」によるネックイン加工は、金
属缶の外径が次第に小さくなる部分、つまりネック部
が、金属缶の外側から見て複数個の凸形状及び凹形状の
繰り返し形状となっている「段ネック」加工と、金属缶
の外側から見て1個ずつの凸形状及び凹形状があり、こ
れらの間を直線又は前記凸形状若しくは凹形状の曲率半
径に比べてはるかに大きい曲率半径の凸形状若しくは凹
形状でつないだ形状となっている「スムーズネック」加
工とがある。
【0006】通常、金属缶のネックイン加工時に加工皺
が発生すると、商品価値及び構造的な強度を低下させる
原因となる。この加工皺の発生をできるだけ抑えるため
に、例えば、外径が約66mmのアルミニウム合金製缶
を、約58mmの外径にまで縮径化する場合、ネックイ
ン加工部の厚さは、0.150mm以上である必要があ
る。一方、ネックイン加工部以外の缶胴部は、金属缶内
の飲料に含まれる炭酸ガスによる内圧、及び、ネックイ
ン加工時の軸方向に発生する圧縮力に耐えられるもので
あればよいので、ネックイン加工部以外の缶胴部の厚さ
は、上述のアルミニウム合金製缶では、ネックイン加工
部より更に薄い0.090mm程度で十分である。
【0007】近年、金属缶のコストダウン及び省資源等
の理由から、金属缶に使用される金属量は低減化される
方向にある。このため、ネックイン加工を受ける厚肉部
分、即ち金属缶の軸方向に対するネック部の長さをでき
るだけ短くし、金属の使用量を少なくすることが望まれ
ている。
【0008】「段ネック」は複数個の凸形状及び凹形状
の繰り返し形状により構成されるが、成形性及び強度の
点から、凸形状の頂点は、この凸形状に金属缶開口端部
側に隣接した凹形状の最深点より、金属缶の軸方向の缶
胴部側に位置する必要がある。このため、「段ネック」
加工におけるネック部の長さの最小値は自ずと決まる。
【0009】これに対し、「スムーズネック」は、ネッ
ク部の両端に1個ずつの凸形状及び凹形状が存在する点
については、「段ネック」と同様であるが、両形状を直
線又は両端の凸形状若しくは凹形状の曲率半径に比べて
はるかに大きな曲率半径の凸形状若しくは凹形状でつな
いでいる点が大きく異なる。即ち、「スムーズネック」
は、「段ネック」よりも凸形状及び凹形状の曲率半径が
大きく、更に凸形状及び凹形状の数を少なくできるの
で、成形性に問題が生じない限り、ネック部の長さを限
りなく0に近づけることが可能であり、このため、金属
缶製造に必要な金属の使用量を低減することがことがで
きる。この「スムーズネック」加工法は、例えば特開平
1−210135号公報に開示されており、そこでは、
2段階以上で実施するネックイン加工が示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術においては、以下に示す問題点がある。即
ち、特開平1−210135号公報では、ネックイン加
工用工具のうち口絞りダイの口絞り部と平行部とを結ぶ
部分に対する規定は特に決められておらず、例えば、口
絞り部と平行部とを単純に直接つなぐとすると、口絞り
ダイの口絞り部と平行部との間に角部ができ、この角部
がネックイン加工時に金属缶に大きな損傷を与えること
になる。このため、少なくとも口絞り部と平行部とは滑
らかな形状、例えば、ある曲率半径をもった曲線等で結
ぶ必要がある。しかし、この曲率半径が適切な値ではな
い場合、本来、ほぼ直線又は大きな曲率半径の凸形状若
しくは凹形状となるように加工されるべきネック部の中
央部に、小さな凸形状若しくは凹形状又は急な折れ曲が
りが発生する。これらは、ネック部全体からみると小さ
いものなので、ネック部の不連続部ということにする。
このネック部の不連続部は商品価値を低下させるだけで
なく、金属缶の構造的強度を低下させるので、ネックイ
ン加工終了後の金属缶又は飲料を充填し缶蓋部を巻締め
した金属缶に軸方向の圧縮力を加えた場合、形状の不連
続性によりネック部の不連続部が変形したり、又は、座
屈したりすることがある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ネックイン加工後にネック部の不連続部
(凸形状若しくは凹形状又は急な折れ曲がり)の発生が
少なく、所謂なだらかな(スムーズな)ネック部を有す
る金属缶を製造することができる金属缶のネックイン加
工用工具を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属缶のネ
ックイン加工用工具は、その内側に挿入される金属缶の
端部を縮径する筒状の口絞りダイと、この口絞りダイの
内側に所定の間隔をおいて配置され前記金属缶の端部の
縮径形状を内側から規定する円柱状中子とを有し、前記
口絞りダイは、前記金属缶の挿入方向に沿って順次縮径
された口絞り部と、口絞りダイの中心軸に対し実質的に
平行に設けられた平行部と、前記口絞り部と平行部とを
結ぶ遷移部とを有し、この遷移部は口絞りダイの中心軸
を通る断面において曲率半径rで湾曲しており、前記曲
率半径rを前記金属缶の加工前の開口部の外径Dで徐し
た値r/Dは0.06乃至0.20の範囲であることを
特徴とする。
【0013】
【作用】本発明に係る金属缶のネックイン加工用工具に
おいては、円筒状の口絞りダイに、従来と同様の口絞り
部及び平行部が設けられていると共に、更にこの口絞り
部と平行部とを、口絞りダイの中心軸を含む断面におい
て所定の曲率半径rで湾曲して結ぶ遷移部が設けられて
いる。この加工用工具中の金属缶を口絞りダイ及び円柱
状中子に対して相対的に移動させて、この金属缶の開口
端部を口絞りダイと円柱状中子との間に進入させ、この
金属缶のネック部を縮径し、金属缶に1段階目のネック
イン加工を施す。1段階目のネックイン加工終了後の金
属缶のネック部は、缶胴部側の凸部形状及び開口端側の
凹部形状から構成される。
【0014】次に、1段階目のネックイン加工を終えた
金属缶を、口絞りダイ及び円柱状中子に対して、1段階
目と同様に、相対的に移動させて、この金属缶の開口端
部を口絞りダイと円柱状中子との間に進入させ、この金
属缶のネック部を縮径し、金属缶に2段階目のネックイ
ン加工を施す。この2段階目のネックイン加工によっ
て、1段階目のネックイン加工によって生じたネック部
の開口端側の凹部は消滅し、新たな凹部が、消滅した凹
部が存在していた位置よりさらに開口端側に発生する。
消滅した凹部が存在していた部位は、口絞りダイに口絞
り部が設けられたため、直線又はなだらかな曲線状とな
っている。2段階目と同様なネックイン加工を繰り返し
実施することにより、ネック部の不連続部がない、即
ち、なだらかなネック部を有する金属缶を製造すること
ができる。
【0015】金属缶のネック部が十分になだらかである
ためには、各段階のネックイン加工を実施する前の金属
缶の開口部の外径をDとすると、この段階における遷移
部の曲率半径rをDで徐した値r/Dは、0.06乃至
0.20の範囲である必要がある。
【0016】r/Dが0.06より小さい場合、ネック
イン加工により成形されて生じた開口端側の凹部は、小
さい曲率半径のものとなる。曲率半径が小さい凹部は、
次のネックイン加工によっても消滅せず、そのまま残存
してしまう。このため、なだらかなネック部を成形する
ことが困難となる。よって、r/Dは0.06以上であ
る必要がある。
【0017】一方、r/Dが0.20を超える場合、ネ
ックイン加工により成形されて生じた開口端側の凹部
は、比較的大きな曲率半径のものとなる。このような開
口端側の凹部を有する金属缶を再びネックイン加工する
場合、本来ネックイン加工される部分に加え、前段階の
ネックイン加工により生じた大きな曲率半径の開口端側
の凹部をもネックイン加工する必要が生じるため、ネッ
クイン加工の最終段階において大きな加工力が必要とな
る。この大きな加工力はネック部にはそれほど大きな影
響を及ぼさないものの、この大きな加工力がネック部に
続く金属缶の缶胴部に伝わり、特にこの缶胴部の厚みが
薄い場合に、この缶胴部に座屈が発生する。よって、ネ
ックイン加工時に金属缶に加わる加工力を低減するため
に、r/Dは0.20以下である必要がある。
【0018】なお、本発明に係る金属缶のネックイン加
工用工具は、2段階以上のネックイン加工を金属缶に施
す場合を対象としており、1回だけのネックイン加工を
施す場合を対象としていない。また、2段階以上のネッ
クイン加工であっても、最終段階に使用するネックイン
加工用工具は、r/Dが本発明で規定した範囲のもので
ある必要はない。最終のネックイン加工に続くネックイ
ン加工は、当然のことながら存在しないので、最終のネ
ックイン加工に使用する口絞りダイの曲率半径は、金属
缶の表面を損傷することがないように0より大きければ
よく、任意の値をとることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る金属缶のネック
イン加工用工具について、添付の図面を参照して具体的
に説明する。なお、下記実施例は、金属缶を2段階のネ
ックイン加工で各々の所定の径に縮径化する口絞り加工
に使用されるものであるが、3段階以上のネックイン加
工でも、実質上2段階目のネックイン加工の連続とみな
すことができる。
【0020】図1は本発明の実施例に係る金属缶のネッ
クイン加工用工具を示す断面図、図2乃至5は同じくそ
の口絞りダイと円柱状中子との間を拡大して示す模式図
である。本実施例のネックイン加工用工具は、円筒状の
口絞りダイ1と、この口絞りダイ1の内側に配設される
円柱状中子2とにより構成されている。口絞りダイ1
は、図1に矢印で示す金属缶の進入方向に沿って順次縮
径された口絞り部12と、遷移部14と、この遷移部1
4から口絞りダイ1の中心軸3に平行に設けられた平行
部13とを有している。遷移部14は、口絞り部12と
平行部13との間において、両者を所定の曲率半径rで
湾曲して結ぶ。即ち、遷移部14の加工面は、口絞りダ
イ1の中心軸を含む断面において、曲率半径rで湾曲す
るように規定されている。また、円柱状中子2の周面
は、口絞りダイ1の平行部13に整合する平行部23で
構成されている。
【0021】このように構成された本実施例に係る金属
缶のネックイン加工用工具においては、図2に示すよう
に、金属缶4を口絞りダイ1及び円柱状中子2に対して
相対的に移動させて、金属缶4の開口端部を口絞りダイ
1と円柱状中子2との間に進入させる。そうすると、金
属缶4の開口端部は、口絞り部12に当接し、この口絞
り部12に沿って湾曲して縮径される。更に、図3に示
すように、金属缶4を口絞りダイ1に進入させると、金
属缶4の開口端部は円柱状中子2に当接した後、図4に
示すように、口絞りダイ1の平行部13と円柱状中子2
の平行部23との間の隙間内で曲げ戻され、更に、図5
に示すように、口絞りダイ1の平行部13と円柱状中子
2の平行部23との間の隙間を進行する。これにより、
金属缶4においては、その開口端部から離れた部分にお
いても、ほぼ同様に塑性変形が起こり、金属缶4のネッ
ク部が縮径加工される。この加工後、口絞りダイ1及び
円柱状中子2を金属缶4から離し、1回目のネックイン
加工が終了する。ネックイン加工終了後の金属缶4のネ
ック部の断面形状は、図6に示すように、凸部41と凹
部42とから構成される。
【0022】口絞りダイ1の口絞り部12と平行部13
とが直接つながった形状である場合、即ち口絞り部12
と平行部13とを結ぶ遷移部14が滑らかでなく、遷移
部14の曲率半径が0である場合は、ネック成形時に遷
移部14が金属缶4の表面を擦り、潤滑処理を施しても
金属缶の表面は損傷を受ける。また、図4に示すよう
に、口絞りダイ1の平行部13と円柱状中子2の平行部
間23との間の隙間内で、金属缶4の開口端部が曲げ戻
された場合に、遷移部14の曲率半径が0であると金属
缶4の開口端部は急激な変形を強いられ、このため、大
きな加工力が必要となる。加工力は、できるだけ小さい
方が望ましいので、遷移部14の曲率半径rは0より大
きい必要がある。この曲率半径rは、後述するように、
0.06D以上であることが必要である。
【0023】次の、2段階目のネックイン加工において
も、図6に示すように、1段階目の加工を終えた金属缶
4を、図7に示すように、口絞りダイ1及び円柱状中子
2に対して相対的に移動させて、金属缶4の開口端部を
口絞りダイ1と円柱状中子2との間に進入させる。この
金属缶4が更に奥まで進入すると、図8に示すように、
1段目の加工によって生じた金属缶4のネック部の凹部
42と2段目の加工によって生じるはずである金属缶4
のネック部の凸部とが相殺されて、凹部42は消滅し、
1段目の加工によるネック部と2段目の加工によるネッ
ク部がなだらかにつながる。図9に示すように、口絞り
ダイ1及び円柱状中子2を金属缶4から離したとき、金
属缶4には、消滅した凹部42に代わって、新たな凹部
43が凹部42が存在した位置より開口端側に形成され
る。金属缶の表面が損傷しないようにするために2段階
目においても、1段階目と同様に、口絞り部12と平行
部13とを結ぶ遷移部14の曲率半径rは0より大きい
値、即ち0.06D以上であることが必要である。
【0024】而して、1段階目及び2段階目以降の曲率
半径rの大きさは、0.06D以上であることが必要で
ある。1段階目の加工において、ネック部の開口端側に
形成される凹部42の曲率半径は、口絞りダイ1の遷移
部14の曲率半径とほぼ等しいものとなるので、この遷
移部14の曲率半径が極端に小さい場合、この凹部42
の曲率半径も、同じく極端に小さいものとなる。この凹
部42の曲率半径が、1段階目のネックイン加工後にお
ける金属缶の開口部の外径に比べ、極端に小さいもので
ある場合、2段階目のネックイン加工に使用する口絞り
ダイの口絞り部12がいかなるものであっても、1段階
目の加工によって生じたネック部と2段階目の加工によ
って生じるネック部とを、2段階目のネックイン加工に
よって、なだらかにつなげることは困難である。本願発
明者等の実験研究の結果、各段階のネックイン加工を実
施する前の金属缶の開口部の外径をDとし、この段階に
おける遷移部14の曲率半径をrとすると、1段階目の
加工により生じたネック部と2段階目の加工により生じ
るネック部をなだらかにつなげるためには、r/Dは、
0.06以上である必要があることが判明した。
【0025】しかしながら、r/Dが0.20を超える
場合、ネックイン加工により成形されて生じた開口端側
の凹部42は、比較的大きな曲率半径のものとなってし
まう。このような開口端側の凹部42を有する金属缶を
再びネックイン加工する場合、本来ネックイン加工され
る部分の他に、前のネックイン加工により生じた大きな
曲率半径の開口端側の凹部42をもネックイン加工する
必要が生じるため、このネックイン加工の最終段階にお
いて、かなり大きな加工力が必要となる。本来、ネック
イン加工を2段階以上に分けて実施することの目的は、
前に述べたように、1回の加工当たりの口絞りの割合を
小さくし、金属缶に与える加工力を低減することにあ
る。この大きな加工力はネック部にはそれほど大きな影
響を及ぼさないものの、この大きな加工力がネック部に
続く金属缶の缶胴部に伝わり、特にこの缶胴部の厚さが
薄い場合に、この缶胴部に座屈が発生する。本願発明者
等の実験研究の結果、金属缶の金属使用量を少なくする
ために、金属缶に2段階以上の「スムーズネック」加工
を施す場合に、ネックイン加工時の加工力を十分に低減
するためには、r/Dを0.20以下にする必要がある
ことが判明した。
【0026】以上より、本発明においては、金属缶のネ
ック部が、十分ななだらかさを有するために、r/Dを
0.06乃至0.20の範囲に設定する。
【0027】次に、上述のネックイン加工用工具を使用
して実際に金属缶をネックイン加工した実施例を、その
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
JIS A3004−H19に規定されるアルミニウム
DI缶(缶の外径66mm、開口端部の厚み0.15m
m及び缶胴部の厚み0.10mm)を、ネック部の外径
が65mm、64mm、63mm、62mm及び61m
mに順次縮径されるように、5段階のネックイン加工を
実施した。1段階目のネックイン加工用工具における口
絞りダイの遷移部の曲率半径を、下記表1が示すように
変更し、実施例No.1〜3及び比較例No.1、2の
ネックイン加工用工具を使用して金属缶をネックイン加
工した。なお、ネックイン加工時の加工力は、金属缶の
底にロードセルを設置し測定した。
【0028】また、ネック部がなだらかに成形できたか
どうかは、5段階目のネックイン加工終了後、金属缶の
ネック部の形状を金属缶の軸方向に測定し、各微小長さ
(0.2mm)間におけるネック部の傾き(半径の増減
分)を調べた。つまり、このネック部の傾きが大きく変
化する場合は、ネック部がなだらかに成形されていない
ことを示している。
【0029】図10は、開口端からの距離とネック部の
傾きとの関係を表す図であり、図11は、図10の特に
ネック部の傾きが大きい部分を拡大して示した図であ
る。図11中の各線が、仮に大きな3本の直線(右上が
り線、水平線及び右下がり線)で構成されているとすれ
ば、右上がり線及び右下がり線は、夫々、ネック部の両
端の凸形状及び凹形状が2次曲線になっていることを示
しており、また、水平線はネック部の両端の凸形状と凹
形状との間の部分が、一定の傾きを持った直線からなっ
ていることを示している。よって、これら3本の直線で
構成された形状にもっとも近いものが望ましいが、図1
1中の各線は、いずれも、そのような形状のものとはな
っておらず、即ち、ネック部は、2つの2次曲線と、こ
れらの2次曲線の間をつなぐ直線とからなる形状ではな
い。よって、少なくともネック部の傾きが、局所におい
て極端に増減していないか、即ちネック部に小さな凸部
状又は凹部状の部分が発生していないかどうか調べた。
【0030】図11に示すように、実施例No.1、2
は、ネック部の傾きの減少率が開口端からの距離が14
乃至15mmの付近で小さくなるものの、再び増加する
ことはなく、良好であった。また、実施例No.3は、
図11から明らかなようにネック部の傾きが理想的なも
のに近く、また、形状不連続部が目視により発見される
こともなく、極めて良好であった。
【0031】一方、比較例No.1では、1段階目のネ
ックイン加工におけるr/Dが本発明にて規定した範囲
よりも小さいために、ネック部の傾きが一旦減少した後
に増加し、その後で再び減少しており、ネック部に形状
不連続部が存在することがわかる。また、比較例No.
2では、1段階目のネックイン加工におけるr/Dが本
発明にて規定した範囲より大きいために、形状不連続部
は認められていないものの、2段階目のネックイン加工
における最大加工力が90kgfと大きくなっている。
各実施例及び各比較例は、ネック部の形状を比較するた
めに、加工力が大きくなっても缶胴部が座屈しないよう
に十分な厚さを缶胴部に持たせた金属缶を使用している
ので、比較例No.2の金属缶についてもネックイン加
工することができたが、缶胴部が薄い金属缶又は缶胴部
に小さいデント(凹凸)がある金属缶を90kgfの加
工力で加工した場合は、缶胴部に座屈が生じる可能性が
ある。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、ネック部の不連続部が発生することを回避でき、商
品価値及び構造的な強度を低下させることなく、なだら
かなネック部を形成することができるので、金属缶の薄
肉化により素材コストを低減することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る金属缶のネックイン加工
用工具を示す断面図である。
【図2】同じくその口絞りダイと円柱状中子との間を拡
大して示す模式図であり、1段階目のネックイン加工に
おける金属缶の開口端部の最初の変形過程を示すもので
ある。
【図3】1段階目のネックイン加工における金属缶の開
口端部の2番目の変形過程を示す模式図である。
【図4】1段階目のネックイン加工における金属缶の開
口端部の3番目の変形過程を示す模式図である。
【図5】1段階目のネックイン加工における金属缶の開
口端部の4番目の変形過程を示す模式図である。
【図6】1段階目のネックイン加工終了後の金属缶の開
口端部を示す模式図である。
【図7】2段階目のネックイン加工における金属缶の開
口端部の1番目の変形過程を示す模式図である。
【図8】2段階目のネックイン加工における金属缶の開
口端部の2番目の変形過程を示す模式図である。
【図9】2段階目のネックイン加工終了後の金属缶を示
す模式図である。
【図10】開口端からの距離とネック部の傾きとの関係
を表す図である。
【図11】開口端からの距離とネック部の傾きとの関係
を表す拡大図である。
【符号の説明】
1;口絞りダイ 2;円柱状中子 3;中心軸 4;金属缶 12;口絞りダイの口絞り部 13;口絞りダイの平行部 14;口絞りダイの遷移部 23;円柱状中子平行部 41;1段階目のネックイン加工後の凸部 42;1段階目のネックイン加工後の凹部 43;2段階目のネックイン加工後の凹部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その内側に挿入される金属缶の端部を縮
    径する筒状の口絞りダイと、この口絞りダイの内側に所
    定の間隔をおいて配置され前記金属缶の端部の縮径形状
    を内側から規定する円柱状中子とを有し、前記口絞りダ
    イは、前記金属缶の挿入方向に沿って順次縮径された口
    絞り部と、口絞りダイの中心軸に対し実質的に平行に設
    けられた平行部と、前記口絞り部と平行部とを結ぶ遷移
    部とを有し、この遷移部は口絞りダイの中心軸を通る断
    面において曲率半径rで湾曲しており、前記曲率半径r
    を前記金属缶の加工前の開口部の外径Dで徐した値r/
    Dは0.06乃至0.20の範囲であることを特徴とす
    る金属缶のネックイン加工用工具。
JP7170751A 1995-07-06 1995-07-06 金属缶のネックイン加工用工具 Pending JPH0919732A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000044513A3 (en) * 1999-02-01 2000-12-14 Crown Cork & Seal Tech Corp Apparatus and method for necking container ends
US9358604B2 (en) 2014-06-12 2016-06-07 Ball Corporation System for compression relief shaping
JP2019104548A (ja) * 2014-05-30 2019-06-27 ユニバーサル製缶株式会社 飲料缶および缶本体

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JP2019104548A (ja) * 2014-05-30 2019-06-27 ユニバーサル製缶株式会社 飲料缶および缶本体
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