JP2508910B2 - 金属缶の製造方法 - Google Patents

金属缶の製造方法

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JP2508910B2 JP2293680A JP29368090A JP2508910B2 JP 2508910 B2 JP2508910 B2 JP 2508910B2 JP 2293680 A JP2293680 A JP 2293680A JP 29368090 A JP29368090 A JP 29368090A JP 2508910 B2 JP2508910 B2 JP 2508910B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、有機樹脂被膜が形成された金属素材からの
絞り成形による金属缶の製造方法に関するもので、より
詳細には絞り成形後の脱脂洗浄を省きながら、印刷適性
を向上させる方法に関する。
(従来の技術) 従来、側面無継目(サイド・シームレス)缶の製造法
としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フ
リー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスとポンチ
との間で少なくとも1段の絞り加工に付し、側面に継目
のない胴部と該胴部に継目なしに一体に接継された底部
とから缶に成形することが広く行われている。
絞り成形後の缶に、後から塗布処理を行うことは、操
作として繁瑣であり、またスプレー塗装時における溶剤
揮散による環境汚染の問題もあることから、樹脂フィル
ムのラミネートや、有機樹脂塗料の塗装等により、金属
素材の表面に予め有機樹脂被膜を施しておくことも広く
行われている。
しかしながら、有機樹脂被膜が予め形成された金属素
材を絞り成形に付する場合にも、絞り成形性を向上させ
且つ成形時における被膜の損傷を防止するためには、素
材表面に潤滑剤を施こすことが必須不可欠である。
本発明者の提案にかかる特公平1−36519号公報に
は、有機樹脂被覆金属素材の絞り成形に際して、液体グ
リセリド、エタノール及び非イオン界面活性剤から水中
油型水性乳化液を被覆面上に均一に塗布し、絞り成形後
の缶を温間で水洗することが記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 有機樹脂被覆金属素材に通常の滑剤(潤滑剤)を塗布
して絞り加工性を向上させた場合には、この被膜上の滑
剤を脱脂することが困難であり、また被膜上に残存する
滑剤が、微妙な風味を生命とする飲料等のフレーバーを
損い易いという問題があるのに対して、前記先行技術
は、絞り成形性を向上させながら脱脂洗浄性を向上させ
たものとして、意義のあるものと言える。
しかしながら、上記従来法では、絞り成形後の缶の脱
脂洗浄と洗浄後の乾燥という二工程がどうしても必要で
あり、工程数が多く、また水資源及び熱エネルギーを消
費するという見地からは未だ十分満足し得るものでな
い。
また、滑剤としてフレーバー保持性に優れたものを選
択し、脱脂洗浄に要する負担を可及的に軽減することも
考えられるが、この場合には、被膜表面に残留する滑剤
が缶外面への印刷適性を著しく阻害し、またインキ層の
缶への密着性を低下させる等の欠点を生じる。
従って、本発明の技術的課題は、有機樹脂被覆金属素
材からの絞り成形による金属缶の製造に際して、上記従
来法の欠点を解消し、絞り成形後の脱脂洗浄を省きなが
ら、印刷適性やフレーバー保持性を向上させる方法を提
供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、予め有機樹脂被膜を形成させた金属
素材を一次乃至数次の多段絞り加工に付し、金属缶を製
造するに際し、飽和炭化水素系潤滑剤を前記素材の有機
樹脂被膜面上に均一に塗布し、塗布後の素材を絞り成形
に付し、絞り成形で得られた缶を加熱し、缶に付着した
潤滑剤の大部分を揮発させる。
また、前記飽和炭化水素系潤滑剤が分岐鎖含有炭化水
素潤滑剤であり、該分岐鎖は主鎖の炭素数2乃至10個当
りに少なくとも一個有していることを特徴とすることが
でき、更に前記分岐鎖において、炭素数が1である分岐
鎖が分岐鎖全体にたいして70%以上存在していることを
特徴とすることができる。
(作用) 本発明では、種々の潤滑剤の内でも、飽和炭化水素系
の潤滑剤、特に分岐鎖を有する飽和炭化水素系の潤滑剤
を選択し且つこの潤滑剤を素材の有機樹脂被覆表面に施
こす。飽和炭化水素系、特に分岐鎖含有飽和炭化水素系
のものを選択するのは、1このものが加熱揮発性を有す
ること、即ち加熱により揮発してその除去が容易なこ
と、2有機樹脂被覆金属素材に優れた絞り成形性(プレ
ス成形性)を付与し得ること、3フレーバー保持性に優
れており、被膜上に残留しても内容品に異味異臭を与え
ないこと、4食品添加物にも認められている通り衛生的
特性に優れていること、によるものである。
この点について更に説明すると、上記飽和炭化水素系
潤滑剤は他の潤滑剤に比して著しく少量の塗布で優れた
絞り成形性が得られるのが特徴であり、これは、本発明
で用いる潤滑剤では、流体潤滑か或いはそれに近い潤滑
作用が行われ、しかも油膜強度もかなり高いことによる
と思われる。このように塗布量も小さいことから、絞り
成形後の除去も容易であり、また残留による影響、例え
ば印刷適性への影響も少ない。
また、飽和炭化水素は同一分子量で比較して、極性化
合物に比して揮発性が大であり、且つ有機樹脂被膜への
吸収やその膨潤等の作用も少ないことから、短時間の加
熱で、揮発、除去を行い得るという作用を呈する。この
傾向は、分岐鎖含有炭化水素系の潤滑剤において特に顕
著である。分岐鎖含有炭化水素系純滑剤では、第3級炭
素原子が存在し、この炭素原子の部分で分岐鎖の切断等
を生じて低分子化を生じ、より揮発が生じ易くなること
も、他の原因の一つであると思われる。これらの作用
は、有機樹脂被膜が樹脂フィルム、特にポリエステル系
フィルムから成るときに特に顕著である。
本発明においては、上記飽和炭化水素系潤滑剤を塗布
した有機樹脂被覆金属素材をそれ自体公知の手段で絞り
成形に付するが、絞り成形で得られる缶を加熱し、付着
した潤滑剤の大部分を揮発させる。潤滑剤の大部分を揮
発させ除去することにより、缶表面の印刷適性が顕著に
向上し且つ印刷インキや仕上ニスの密着性も著しく向上
する。即ち、絞り成形用潤滑剤の多くのものは離型剤的
作用を有しており、このものが有機樹脂被膜と印刷イン
キ層等との間に剥離性を付与するように作用するが、本
発明では用いる飽和炭化水素系潤滑剤が加熱により除去
容易なものであり、その大部分が除去されることから、
上記影響は著しく少ない。
また、少量の飽和炭化水素系潤滑剤が残留したとして
も、このものは他の潤滑剤に比して離型作用が小さく、
印刷適性に対する影響は極めて小さい。
かくして、本発明によれば、従来の絞り成形法では必
要不可欠であった脱脂洗浄工程を省略することができ
る。これは、水資源を節約し、洗浄排水処理の負担を軽
減し得ると共に、脱脂洗浄時に生じる金属の発錆を防止
することができる数々の利点をもたらす。
また、缶の加熱にしても、比熱の小さい缶を所定温度
に上昇させる顕熱と、極めて少量の潤滑剤を揮発させる
潜熱とのみが必要であり、水滴の付着した缶を乾燥させ
る場合に比して熱エネルギーを著しく節約することが可
能となる。また、この加熱により、絞り成形後の有機樹
脂被膜に残留する歪を緩和して、その密着性や強度を向
上させ得るという利点も得られる。
(好適態様) プレス成形に付する金属素材の断面構造を示す第1図
において、この成形用金属素材1は、アルミ板、ティン
フリースチール、ブリキ等から成る金属基質2、該基質
の両表面に設けられた有機樹脂被膜3a,3bから成ってい
る。
本発明は、これらの有機樹脂被膜3a,3bの表面に、プ
レス加工に先立って、飽和炭化水素系潤滑剤の層4a,4b
を一様に塗布する。
飽和炭化水素系潤滑剤としては、それ自体公知の任意
のものを用いることができる。このような潤滑剤として
は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、流動パラフィン、ペトロラタム、ポリエチレンワッ
クス、ポリプロピレンワックス、エチレン−プロピレン
ワックス等を挙げることができる。
本発明では分岐鎖含有炭化水素系潤滑剤、特に分岐鎖
が主鎖の炭素数2乃至10個の長さに少なくとも1本存在
していることが望ましい。更に、その分岐鎖の大部分が
炭素数1のもので占められ、炭素数1個の分岐鎖は潤滑
剤全体に存在する分岐鎖の数に対して、70%以上、特に
90%以上の範囲で占められていることが望ましい。この
ような分離鎖含有炭化水素系潤滑剤では第3級炭素原子
が主鎖中に適宜に存在し、且つこのような炭素原子の部
分で単純分岐鎖が切断等を生じて低分子化を生じ、より
揮発が生じ易くなることが考えられる。
このような潤滑剤として、ペトロラタム、特に白色ペ
トロラタム(ワセリン)が特に適している。
この潤滑剤は、酸化状態等にもよるが融点が35℃乃至
80℃、特に38℃乃至60℃の範囲にあることが好ましく、
その分子量(重量平均)は、150乃至700の範囲内にある
のがよい。
上記潤滑剤の素材有機被膜面への塗布量は著しく少な
い量で絞り成形性の向上が得られるのも顕著な利点であ
り、例えば、0.4乃至10mg/m2特に0.5乃至2.0mg/m2の塗
布量で満足すべき結果が得られる。この塗布量が上記範
囲よりも少ないと、潤滑性能が不十分であり、上記範囲
よりも多いと、その揮発に長い時間を必要とするように
なる。
潤滑剤の塗布は、例えば潤滑剤を液状の状態で有機樹
脂被覆金属素材上にスプレー塗布するか或いは静電霧化
塗布することにより好都合に行われるが、他にローラ塗
布等によっても行い得る。
本発明では、金属素材としては各種表面処理鋼板やア
ルミニウム等の軽金属板が使用される。
表面処理鋼板としては、冷間圧延鋼板を焼鈍後二次冷
間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッチ、電
解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種また
は二種以上行ったものを用いることができる。好適な表
面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特
に10乃至200mg/m2の金属クロム層と1乃至50mg/m2(金
属クロム換算)のクロム酸化物層を備えたものであり、
このものは塗膜密着性と耐腐食性との組合わせに優れて
いる。表面処理鋼板の他の例は0.5乃至11.2g/m2の錫メ
ッキ量を有する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、
金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2となるよ
うなクロム酸処理或はクロム酸/リン酸処理が行われて
いることが望ましい。
更に他の例としてはアルミニウムメッチ、アルミニウ
ム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
軽金属板としては、所謂純アルミニウム板の他にアル
ミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加工性との点
で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2乃至1.5重量
%、Mg:0.8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及び
Cu:0.15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するもの
である。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロ
ム量が20乃至300mg/m2となるようなクロム酸処理或はク
ロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
金属板の素板厚(TB)は、金属の種類、容器の用途
或はサイズによっても相違するが、一般に0.10乃至0.50
mmの厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の
場合には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の場合
には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
また本発明において、上記金属板上に被覆される有機
樹脂被膜としては、各種樹脂フィルムや各種樹脂塗料が
挙げられる。熱可塑性フィルムとしては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエ
ステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フ
ィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテ
レフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレー
ト共重合体等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,
6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;ポリ塩化
ビニル;ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができる。
また、本発明において、上記熱可塑性樹脂の被覆層に
は、金属板を隠蔽し、また絞り−再絞り成形時に金属板
へのしわ押え力の伝達を助ける目的で無機フィラー(顔
料)を含有させることができる。
無機フィラーとしては、ルチル型またはアナターゼ型
の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等の無機白色
顔料;バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸カルシウ
ム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、焼成或
は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホワイト、合
成乃至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム等の白色体質顔料;カーボンブラック、マグネ
タイト等の黒色顔料;ベンカラ等の赤色顔料;シエナ等
の黄色顔料;群青、コバルト青等の青色顔料を挙げるこ
とができる。これらの無機フィラーは、樹脂当り10乃至
500重量%、特に10乃至300重量%の量で配合させること
ができる。
被覆樹脂フィルムの金属板への被覆は、熱融着法、ド
ライラミネーション、押出コート法等により行われ、被
覆樹脂と金属板との間に接着性(熱融着性)が乏しい場
合には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、
酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着
剤、コポリエステル系接着剤を介在させることができ
る。
また、結晶性熱可塑性樹脂の厚みは、一般に3乃至50
μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望ましい。
フィルムを用いた熱融着の場合、未延伸のものでも延
伸のものでもよい。
一方保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性樹脂か
ら成る任意の保護塗料;例えばフェノール・エポキシ塗
料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料;例え
ば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−
無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキシア
ミノ変性−或いはエポキシフェノール変性−ビニル樹脂
塗料等のビニル又は変性ビニル塗料;アクリル樹脂系塗
料;スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗
料等の単独又は2種以上の組合せが使用される。
これらの塗料は、エナメル或いはラッカー等の有機溶
媒溶液の形で、或いは水性分散液又は水溶液の形で、ロ
ーラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気泳
動塗装等の形で金属素材に予め施こす。勿論、前記樹脂
塗料が熱硬化性の場合には、必要により塗料を焼付け
る。
これら有機塗膜は、腐食防止及び絞り加工性向上の見
地から、一般に2乃至30μm、特に3乃至20μmの厚み
(乾燥状態)を有することが望ましい。
本発明によれば、第2図に示す通り、特定の潤滑剤を
塗布した有機樹脂被覆金属素材10を、しわ押え11で押え
た状態で、相対的に軸方向運動可能なポンチ12とダイ13
との間でプレス加工に付し、有底の無継目カップの形に
成形する。
本発明においては、プレス加工、所望の形状及び所望
の高さ/径比率となる迄、ポンチ及びダイス径を段々小
さくしながら、数次にわたってプレス加工を行う。
この際、下記式 で定義される絞り比を、一段のプレス加工で1.20乃至2.
10、特に1.30乃至1.90となるように、また全体としての
絞り比を、1.50乃至3.00、特に1.80乃至2.70となるよう
に行うことが望ましい。尚、最終深絞り工程で、側壁部
の曲げ伸しを行い、TB/TW(TBは底壁厚、TWは側壁
厚)の比が1.0乃至1.60の比となるような側壁部の薄肉
化を行うこともできる。
成形後の缶は、トリミング加工、ネックイン加工、フ
ランジ加工等を行って、二重巻き締用缶とする。
本発明では、絞り成形後であって、缶外面印刷前の任
意の段階で、缶を加熱し、潤滑剤を揮発させる。缶を加
熱する温度は、潤滑剤の種類や有機樹脂被膜の種類によ
っても相違するが、一般に100乃至240℃、特に150乃至2
30℃の温度範囲でしかも樹脂の融点乃至軟化点よりも低
い温度である。加熱時は、潤滑剤の大部分を揮発させ得
るようなものであり、潤滑剤の塗布量によるが、一般に
0.5乃至15分間、特に1乃至10分間のオーダーである。
加熱雰囲気は、一般に転熱雰囲気であり、例えば加熱方
式としては、オーブン等を用いた強制通風乾燥が有利に
使用される。
(発明の効果) 本発明によれば、有機樹脂被覆金属素材の有機樹脂面
上に予じめ飽和炭化水素系潤滑剤を均一に塗布し、塗布
後の素材を絞り成形に供することにより、少ない塗布量
で絞り成形時の高い潤滑性能が得られ、また成形後の缶
を単に加熱するのみで、潤滑剤の大部分を除去できる。
このため、従来法では必須不可欠であった脱脂洗浄工
程やその後の乾燥工程を省きながら、印刷適性やフレー
バー保持性を顕著に向上させることができ、水資源及び
エネルギー資源の節約が可能で、公害防止の点でも顕著
に優れている。
本発明を次の例で説明する。
尚、以下の具体例で用いた金属容器の評価法について
は次のとおりである。
(揮発量評価) 成形した金属容器にジエチルエーテルを満たし、24時
間、室温で保存し潤滑剤を抽出した。この抽出液をロー
タリー・エバポレーターを用いて濃縮後、乾固させ、こ
れをヘキサンに溶融させた。
分岐パラフィンの場合は、この溶液をガスクロマトグ
ラフィーにより定量分析し、分岐パラフィン残留量を求
め、塗布量との差より揮発量とした。
パーム油の場合は、ナトリウムメトキシド−メタノー
ル/フッ化ホウ素−メタノールによるグリセリド分解メ
チルエステル化法を用い、ガスクロマトグラフィーによ
りパーム油残留量を求め、塗布量との差より揮発量とし
た。
(フレーバー評価) 金属容器に蒸留水を充填し、37℃で1ケ月経時した
後、20人のパネルによってフレーバー試験をおこなっ
た。結果は、フレーバーに変化のあったものは×、変化
の無かったものは○で示した。
実施例1 素板厚が0.18mmで電解クロム酸処理を行なった鋼板の
内外面にPETフィルムをラミネートした板材に、分岐パ
ラフィン(平均して主鎖炭素数4個ごとに分岐鎖が存在
し、分岐鎖の炭素数が1のものが90%以上で融点が45
℃)の塗布量が1.0mg/dm2となるように均一に塗布し
た。その後、総絞り比が2.7で外径が66mmになるように
通常のプレス加工で絞り成形を行ない、金属容器を得
た。
この金属容器を作製する過程で、プレス加工性を評価
した。
さらに、この金属容器に通常のガスオーブンを用い22
0℃で4分間保持の加熱処理をほどこした。そして、こ
の金属容器の潤滑剤の揮発量を測定した。
この金属容器に曲面印刷を行ない、インキののり、は
じき等の印刷適性を評価した。また、これらの金属容器
のフレーバー試験をおこなった。
これらの結果をまとめて表1に示す。
実施例2 分岐パラフィンの塗布量が0.6mg/dm2である以外は、
実施例1と同様の方法で金属容器を作製し、評価を行な
った。
これらのプレス加工性、潤滑剤揮発量、印刷適性、フ
レーバーについての結果は、表1に示す。
実施例3 熱処理条件が、215℃で8分間保持である以外は、実
施例1と同様の方法で金属容器を作製し、評価を行なっ
た。
これらのプレス加工性、潤滑剤揮発量、印刷適性、フ
レーバーについての結果は、表1に示す。
実施例4 素板厚が0.18mmの鋼板の内外面にエポキシ・フェノー
ル系塗料を全体の塗膜量が、150mg/dm2となるように塗
布・焼付を行なった後に、分岐パラフィンを塗布量が1.
0mg/dm2となるように均一に塗布を行ない実施例1と同
様の方法で金属容器を作製した。そして、これらの金属
容器について220℃で4分間保持の加熱処理をほどこし
た後、潤滑剤揮発量、印刷適性、フレーバーの評価を行
なった。これらの評価結果については、表1に示す。
その結果、実施例1〜4で示すように、いずれも良好
な結果を得た。特に、加熱処理後の印刷適性、フレーバ
ーの点で優れた特性を示し、本発明による方法での金属
容器を製造することの優秀性が明らかになった。
比較例1 比較の為、潤滑剤としてポリエチレングリコール(分
子量400)を用いた以外は、実施例1と同様の板材に塗
布量が、1.0mg/dm2になるように均一に塗布を行ない、
実施例1と同様に絞り成形に供した。しかし、プレス加
工工程中に缶胴部が破断し、金属容器は得られなかっ
た。
比較例2 分岐パラフィンを潤滑剤として用い、塗布量が0.3mg/
dm2となるように均一に塗布を行った以外は、実施例1
と同様に絞り成形に供した。しかし、プレス加工工程中
に缶胴部が破断し、金属容器は、得られなかった。
比較例3 分岐パラフィンを潤滑剤として用い、塗布量が10.0mg
/dm2となるように均一に塗布を行ない、実施例1と同様
に絞り成形を行い、金属容器を得た。これらの金属容器
に220℃で4分間保持の加熱処理をほどこした後、潤滑
剤の揮発量の測定、印刷適性の評価を行なった。その結
果、インチはじきが大きく、印刷適性が悪いことがわか
った。
比較例4 精製パーム油を潤滑剤として用い、塗布量が2.0mg/dm
2となるように均一に塗布を行ない、実施例1と同様に
絞り成形を行い、金属容器を得た。これらの金属容器に
220℃で4分間保持の加熱処理をほどこした後、潤滑剤
の揮発量の測定、印刷適性、フレーバーの評価を行なっ
た。その結果、印刷については、多少のはじきが認めら
れ、フレーバーについては、悪いことが分かった。
上記、比較例1〜4の結果については、表2にまとめ
た。これより、比較例1〜4の条件は、実施例1〜4の
条件に比較し、著しく成形性、あるいは印刷適性、フレ
ーバーが劣り、容器への適用が困難であることが判明し
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法に用いる金属素材の断面構造を示
す断面図であり、 第2図は金属素材の絞り加工を説明する説明図(断面
図)である。 1は成形用金属素材、2は金属基質、3a,3bは有機樹脂
被膜、4a,4bは飽和炭化水素系潤滑剤層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:24 C10N 40:24 Z

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め有機樹脂被膜を形成させた金属素材を
    一次乃至数次の多段絞り加工に対し、金属缶を製造する
    方法において、 飽和炭化水素系潤滑剤を前記素材の有機樹脂被膜面上に
    均一に塗布し、塗布後の素材を絞り成形に付し、絞り成
    形で得られた缶を加熱し、缶に付着した潤滑剤の大部分
    を揮発させることを特徴とする金属缶の製造方法。
  2. 【請求項2】前記飽和炭化水素系潤滑剤が分岐鎖含有炭
    化水素潤滑剤であり、該分岐鎖は主鎖の炭素数2乃至10
    個当りに少なくとも一個有していることを特徴とする請
    求項第1項記載の金属缶の製造方法。
  3. 【請求項3】前記分岐鎖において、炭素数が1である分
    岐鎖が分岐鎖全体の数にたいして70%以上存在している
    ことを特徴とする請求項第2項記載の金属缶の製造方
    法。
JP2293680A 1989-12-06 1990-11-01 金属缶の製造方法 Expired - Fee Related JP2508910B2 (ja)

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