JP2003017030A - 密閉型鉛蓄電池用セパレータ及び密閉型鉛蓄電池 - Google Patents

密閉型鉛蓄電池用セパレータ及び密閉型鉛蓄電池

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JP2003017030A JP2001196857A JP2001196857A JP2003017030A JP 2003017030 A JP2003017030 A JP 2003017030A JP 2001196857 A JP2001196857 A JP 2001196857A JP 2001196857 A JP2001196857 A JP 2001196857A JP 2003017030 A JP2003017030 A JP 2003017030A
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Yoshinori Mita
義則 三田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加圧時の厚さの変化率が大きく、性能のバラ
ツキの小さい電池を良好な作業性のもとに作製すること
ができ、しかも加圧状態から減圧した際の厚さの復元性
が良く、セパレータが極板の膨張、収縮に対して密着性
良く追従し、長寿命で高容量な電池を作製することがで
きる密閉型鉛蓄電池用セパレータを提供する。 【解決手段】 ガラス繊維を主体として構成される密閉
型鉛蓄電池用セパレータ。構成繊維として、長さ方向の
少なくとも一部が湾曲している捲縮繊維1,2,3を含
有する。捲縮繊維は、繊維自体に弾力性を有し、加圧、
減圧時の繊維の反発力が高く、加圧に対して俊敏に反応
して大きく厚さが変化すると共に、減圧時には高い復元
率で厚さが戻る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス繊維を主体と
して構成される密閉型鉛蓄電池用セパレータとそれを内
蔵した密閉型鉛蓄電池に係り、特に、加圧時の厚さの変
化率が大きく、また加圧時から減圧した際の厚み復元性
に優れ、このため長寿命かつ高性能で性能のバラツキの
小さい密閉型鉛蓄電池を良好な作業性のもとに製造する
ことができる密閉型鉛蓄電池用セパレータと、このセパ
レータを内蔵した密閉型鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、密閉型鉛蓄電池用セパレータとし
ては、主にガラス繊維から構成されるシート状セパレー
タが用いられており、例えば、次のようなものが提案さ
れている。
【0003】 平均繊維径0.3〜1.0μmのガラ
ス繊維を湿式抄紙し、特別の接着剤なしに相互に接着さ
せて0.13〜0.16g/cmの密度のマット状と
したセパレータ(特開昭59−71255号公報)。こ
のセパレータでは、ガラス繊維以外のものを用いず、ガ
ラス繊維同士の絡み合いのみでシート化することでセパ
レータの保液性、吸液性を高めている。
【0004】 主体とする第1のガラス繊維と、この
第1のガラス繊維よりも軟化点が50〜400℃低い第
2のガラス繊維とを湿式抄紙してマット状とし、このガ
ラスマットを第1のガラス繊維の軟化点と第2のガラス
繊維の軟化点との中間の温度で加熱処理してガラス繊維
同士を熱融着したセパレータ(特許第2546240号
公報)。このセパレータではガラス繊維の絡み合い部分
を熱融着させることで、セパレータの強度を高めてい
る。
【0005】ところで、密閉型鉛蓄電池は、正極板と負
極板との間にセパレータを挟み込み、さらにそれを何層
か積層させた後に、厚さ方向に荷重をかけながら電槽
(電池ケース)に挿入することにより組み立てられる。
このような密閉型鉛蓄電池において、正極板及び負極板
の厚みは、放電時に厚くなり、充電時に薄くなるという
特徴があり、充放電を繰り返すと、セパレータには絶え
ず電極板による負荷がかかる。そのため、セパレータの
厚み復元性が低い場合には、放電時に電極によって徐々
に潰され、厚みが充電時に戻らず、セパレータと極板と
の間に隙間が形成される。電解液量が多い初期状態では
この隙間の影響は小さいが、充放電を数百サイクルも繰
り返し、電解液量が大幅に減少し、硫酸濃度分布も変化
したような状況では、セパレータと電極との間に隙間が
あると、隙間近傍の電極反応が起こらず、容量及び寿命
が損なわれる。また、セパレータが潰されすぎると、そ
の内部に蓄えられている電解液が絞り出されて保液量が
減少し、これにより容量が低下してしまうこともある。
【0006】従って、セパレータには、加圧状態から減
圧した際の厚さの復元性が高いことが要求される。
【0007】また、密閉型鉛蓄電池の組み立て時に、正
極板と負極板との間にセパレータを挟み込んだ極群を圧
縮しながら電槽に挿入する際、圧縮力に対するセパレー
タの厚みの変化の度合が小さいと、作業上、極群の圧迫
力に大きなバラツキが生じる。この電池組み込み時の初
期圧力にバラツキがあると、電池性能にもバラツキが生
じ、性能の安定した密閉型鉛蓄電池を作製し得ない。
【0008】従って、セパレータには、加圧時の厚さの
変化率が大きいことが要求される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のセパレータのう
ち、特開昭59−71255号公報に記載されるセパレ
ータは、ガラス繊維のみを用い、接着剤を用いずにガラ
ス繊維の絡み合いのみでマットを形成しているため、セ
パレータに圧力が加わると、絡み合ったガラス繊維が互
いに離反する方向にずれることにより厚さが薄くなる。
この加圧時にガラス繊維がずれる度合は、加圧力と繊維
の摩擦力に応じたものとなるが、加圧力が大きいと、ガ
ラス繊維のずれの度合も大きく、セパレータの厚さもよ
り薄くなる。従って、加圧時の厚さの変化率は大きい。
しかし、加圧状態から減圧されたときは、ガラス繊維の
ずれが元に戻り難く、またガラス繊維が直線状で繊維自
体の弾力性も乏しいため、厚さの復元性は悪い。
【0010】一方、特許第2546240号公報に記載
される軟化点の異なるガラス繊維を用い、熱融着させた
セパレータでは、ガラス繊維同士の絡み合いの交点が熱
融着で固定されているため、セパレータに圧力が加えら
れてもガラス繊維のずれは起こり難く、厚さの変化は小
さい。ただし、加圧されたときの厚さの変化が小さいた
め、加圧状態から減圧した際の厚さ復元性は比較的高
い。しかし、大きな圧力が加えられた場合には、このガ
ラス繊維同士の絡み合いの交点が破壊され、またガラス
繊維も切断されて厚さが変化するが、この場合には、加
圧状態から減圧されたときに、元の厚さには復元し得な
い。
【0011】本発明は上記従来の問題点を解決し、加圧
時の厚さの変化率が大きく、従って、性能のバラツキの
小さい電池を良好な作業性のもとに作製することがで
き、しかも加圧状態から減圧した際の厚さの復元性が良
く、従って、セパレータが極板の膨張、収縮に対して密
着性良く追従し、長寿命で高容量な電池を作製すること
ができる密閉型鉛蓄電池用セパレータと、このセパレー
タを内蔵した密閉型鉛蓄電池を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の密閉型鉛蓄電池
用セパレータは、ガラス繊維を主体として構成される密
閉型鉛蓄電池用セパレータにおいて、長さ方向の少なく
とも一部が湾曲している捲縮繊維を含有することを特徴
とする。
【0013】捲縮繊維は、繊維自体に弾力性を有し、加
圧、減圧時の繊維の反発力が高く、加圧に対して俊敏に
反応して大きく厚さが変化すると共に、減圧時には高い
復元率で厚さが戻る。
【0014】即ち、従来の直線状の繊維を用いたセパレ
ータでは、図3に示す如く、無加圧状態(図3(a))
から加圧状態(図3(b))となったときに、単なるガ
ラス繊維の絡み合いよりなるものでは、厚さが比較的大
きく変化するが、復元性がなく、減圧(復元)状態(図
3(c))では、初期の厚さを回復し得ない。また、ガ
ラス繊維を熱融着したセパレータでは、加圧しても厚さ
の変化が小さい。
【0015】これに対して、捲縮繊維を用いた本発明の
セパレータでは、図2に示す如く、無加圧状態(図2
(a))から加圧状態(図2(b))となったときに、
厚さが比較的大きく変化し、減圧(復元)状態(図2
(c))では、良好な復元性で初期の厚さを回復する。
【0016】本発明において、捲縮繊維は、繊維の一端
を支持し、他端側を垂下させたときに、鉛直方向の繊維
長hに対する水平方向の繊維の最大幅wの比w/h×1
00が20%以上のものであることが好ましい。
【0017】また、捲縮繊維の含有量は10〜90重量
%、特に20〜60重量%であることが好ましい。
【0018】この捲縮繊維は平均繊維長さ3〜50mm
で平均繊維径0.6〜2μmのガラス繊維よりなること
が好ましい。
【0019】本発明の密閉型鉛蓄電池用セパレータは、
実質的にガラス繊維のみから構成されるものであっても
良く、有機繊維、有機バインダ及び無機粉体よりなる群
から選ばれる1種又は2種以上を含むものであっても良
い。有機繊維及び/又は有機バインダを含む場合、その
含有量は20重量%以下であることが好ましい。
【0020】本発明の密閉型鉛蓄電池は、このような密
閉型鉛蓄電池用セパレータを内蔵したものであり、長寿
命、かつ高容量で性能のバラツキが少ない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0022】図1は本発明で用いる捲縮繊維を示す模式
図である。
【0023】本発明で用いる捲縮繊維は、少なくとも一
部が湾曲しており、繊維の一端を支持して他端側を垂下
させたときに、自重で鉛直方向に直線状に垂れ下がるこ
となく湾曲した部分を有するものである。その具体的な
形状には特に制限はないが、図1(a)に示す如く略J
字形の捲縮繊維1、図1(b)に示す如く、うず巻き形
状の捲縮繊維2、図1(c)に示す如く略S字形の捲縮
繊維3、その他略U字形の捲縮繊維や略C字形の捲縮繊
維などが挙げられる。
【0024】捲縮繊維の湾曲の程度としては、図1
(a)〜(c)に示す如く、捲縮繊維1,2,3の一端
1a,2a,3aを支持して他端1b,2b,3bを垂
下させたときに、鉛直方向の繊維長hに対する水平方向
の繊維の最大幅wの比(以下「捲縮比」と称す場合があ
る。)w/h×100が20%以上であることが好まし
い。この捲縮比が20%以上のものは、捲縮繊維として
きわめて十分な弾力性を有する。
【0025】この捲縮繊維は、ガラス繊維、有機繊維、
パルプ等のいずれでも良いが、ガラス繊維であることが
好ましい。捲縮ガラス繊維等の捲縮繊維は、平均繊維長
さ3〜50mmで、平均繊維径が0.6〜2.0μm特
に0.6〜1.5μmであることが好ましい。
【0026】捲縮ガラス繊維の捲縮比は特に40〜60
%であることが好ましく、前述の一端を支持して鉛直方
向に垂下させたときの繊維長hは、ガラス繊維の実際の
長さの50〜80%となることが好ましい。
【0027】このような捲縮ガラス繊維としては、繊維
径、繊維長さ、捲縮比、ガラス組成等の異なるものを2
種以上併用しても良い。
【0028】このような捲縮ガラス繊維は、通常のガラ
ス繊維製造工程において、軟化点の異なる2種以上のガ
ラス原料を溶融して紡糸することにより、冷却時の冷却
速度の差により捲縮した繊維として繊維化することによ
り製造することができる。この製造方法としては、例え
ば、特表平10−503460号公報に記載の製造方法
を挙げることができる。
【0029】本発明のセパレータは、例えば、次のよう
な構成とすることができる。 (1) 実質的にガラス繊維のみから構成し、このガラ
ス繊維の一部として捲縮ガラス繊維を用い、残部は直線
状の通常のガラス繊維を用いる。 (2) ガラス繊維と、有機繊維、有機バインダ及びシ
リカ等の無機粉体の1種又は2種以上とで構成し、この
ガラス繊維の一部として捲縮ガラス繊維を用い、残部は
通常の直線状のガラス繊維を用いる。
【0030】上記(1)のセパレータにおいて、捲縮ガ
ラス繊維の混合割合は、セパレータ中の捲縮ガラス繊維
の含有量で10〜90重量%、特に20〜60重量%で
あることが好ましい。この範囲の捲縮ガラス繊維の含有
量であると、捲縮ガラス繊維を用いたことによる本発明
の効果を十分に得ることができ、また、セパレータの引
張強度も十分に高いものとなる。捲縮ガラス繊維はその
湾曲形状により、繊維同士の絡み合いは強いが、繊維の
配向がセパレータ中でランダム配向となるため、セパレ
ータの厚さ方向と直交する引張応力に対する強度が低下
する。上記の範囲内であれば、セパレータの強度は十分
に高いものとなる。
【0031】このセパレータにおいて、捲縮ガラス繊維
と混合する直線状のガラス繊維としては、一般にセパレ
ータの製造に用いられるものでよく、平均繊維径0.5
〜2.0μm、特に0.8〜1.5μmで平均繊維長さ
1〜30mm程度のものが好ましい。この直線状のガラ
ス繊維としては、繊維径の異なるものを2種以上併用し
ても良い。
【0032】実質的にガラス繊維のみから構成されるセ
パレータは、直線状のガラス繊維に対して所定量の捲縮
ガラス繊維を混合すること以外は、通常の抄紙法により
製造することができる。この抄紙に当たり、抄紙水(循
環水)のpHは通常2〜4の酸性とされ、これにより、
ガラス繊維表面が酸と反応し、ガラスのアルカリ分が酸
(水素)と置換することでSi−OH・HOの水ガラ
スが生成し、生成した水ガラスにより、ガラス繊維同士
の絡み合いの交点が接着される。
【0033】なお、ガラス繊維やセパレータの抄紙法と
して、抄紙水(循環水)のpHを中性とし、このような
水ガラスを生成させず、ガラス繊維の絡み合いのみでシ
ート化する方法も行われており、この方法によれば、よ
り柔軟なセパレータを製造することができる。しかしな
がら、水ガラスによる接着力がないセパレータでは、強
度が低下し、セパレータに必要な強度を得ることができ
ないことがあるため、本発明のセパレータの製造に当っ
ては、抄紙時にこのような柔軟加工は施さず、pH2〜
4の条件で抄紙を行うのが好ましい。
【0034】また、特許第2546240号公報では、
抄紙後、得られた抄紙シートを高温加熱して熱融着させ
ており、この熱融着によりセパレータの引張強度が高め
られるが、前述の如く、熱融着でガラス繊維同士の絡み
合いの交点を接着すると、加重時の厚さの変化率が小さ
くなり、本発明の効果が損なわれる。従って、本発明の
セパレータは、このような熱融着処理を行わずに、ガラ
ス繊維の絡み合いと抄紙時に生成する水ガラスでシート
化したものであることが好ましい。
【0035】上記(2)の有機繊維、有機バインダ及び
無機粉体の1種又は2種以上を含有するセパレータの場
合、目的に応じて、これらの添加成分を選択することが
できる。例えば、熱融着性の有機繊維や有機バインダを
用いることにより、捲縮ガラス繊維のランダム配向によ
る強度低下を補って、セパレータの引張強度を高めるこ
とができる。
【0036】この場合、有機繊維としては、平均繊維径
5〜30μm、平均繊維長さ10〜30mm程度のアク
リル繊維、パルプ繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエス
テル繊維、PET繊維等を用いることができ、また有機
バインダとしてはアクリル系、ポリオレフィン系等を用
いることができる。
【0037】有機繊維や有機バインダを用いる場合、そ
の混合割合が過度に多いと、ガラス繊維による吸液性、
保液性が損なわれることから、セパレータ中の含有量で
20重量%以下、特に1〜15重量%とするのが好まし
い。また、シリカ等の無機粉体を用いる場合、セパレー
タ中の含有量で30重量%以下、特に5〜20重量%と
するのが好ましい。
【0038】この有機繊維、有機バインダ及び無機粉体
を含有するセパレータにおいても、直線状のガラス繊維
及び捲縮ガラス繊維の構成は前述のガラス繊維のみから
構成されるセパレータの場合と同様であり、また、捲縮
ガラス繊維のセパレータ中の含有量も前述と同様の理由
から1〜30重量%、特に1〜15重量%とするのが好
ましい。
【0039】この有機繊維、有機バインダ及び無機粉体
を含有するセパレータも、直線状のガラス繊維及び捲縮
ガラス繊維と有機繊維等の添加成分を混合して、前述と
同様の抄紙法により製造することができる。
【0040】なお、以上の説明は捲縮繊維として捲縮ガ
ラス繊維を用いる場合について説明したが、捲縮繊維と
しては捲縮した耐酸性有機繊維を用いても良く、また捲
縮有機繊維と捲縮ガラス繊維とを併用しても良い。
【0041】本発明のセパレータの厚さは、使用される
密閉型鉛蓄電池によっても異なるが、一般には0.3〜
3mmであることが好ましい。また、セパレータの密度
は、セパレータをその厚み方向に1.96kPaの荷重
で押圧した状態において、0.12〜0.18g/cm
程度であることが好ましい。
【0042】本発明のセパレータは、電極を隔てるよう
に電槽内に収納され、これにより密閉型鉛蓄電池が構成
される。
【0043】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0044】なお、以下の実施例及び比較例において、
セパレータの製造に用いた繊維は次の通りである。 極細ガラス繊維:平均繊維長さ3mm,平均繊維径0.
8μmのガラス繊維(軟化点690℃) 低軟化点ガラス繊維:平均繊維長さ3mm,平均繊維径
0.8μmのガラス繊維(軟化点610℃) 捲縮ガラス繊維:平均繊維長さ5mm,平均繊維径1.
5μm,捲縮比40%(h=約5mm,w=約2mm)
のガラス繊維(軟化点680℃) 熱融着性有機繊維:平均繊維長さ25mm,平均繊維径
15μmのポリエステル繊維(融点110℃)
【0045】また、実施例及び比較例における、各物性
及び特性の測定方法は次の通りである。 目付(g/m):試料質量を試料面積で除して求
めた。 密度(g/cm):試料をその厚さ方向に19.
6kPa(20kg/dm)の荷重で押圧した状態で
測定した(JISC−2202)厚さT(mm)との
目付W(g/m)とから次式によって算出した。 W/1000T 引張強度(N/10mm):SBA4501によ
り測定した。 吸液性(mm/5min):試料を垂直にして、そ
の下部を比重1.30の希硫酸に浸漬し、5分間で上昇
する液位を測定することにより求めた。 耐酸性:比重1.2の硫酸液に80℃で5時間浸漬
した後の減量を測定した。 加重時厚さ変化率(%)及び復元性(%):試料を
その厚さ方向に荷重を掛けて押圧した状態で厚さを測定
する際に、この荷重を9.8kPa(10kg/d
)から98kPa(100kg/dm)まで、
9.8kPaずつ増やし、98kPaで測定した後、荷
重を9.8kPaずつ減らして各々厚さを測定した。厚
さは測定開始時に9.8kPaの荷重を掛けたとき(以
下「S点」と称す。)の厚さを100%として相対値で
示し、S点での厚さ(100%)から98kPaの荷重
を掛けたとき(以下「R点」と称す。)の厚さの相対値
を差し引いた値を加重時厚さ変化率とした。また、R点
から加重を減らして最後に再び9.8kPaの荷重を掛
けたとき(以下「E点」と称す。)の厚さの相対値を厚
さ復元率とした。
【0046】実施例1〜4、比較例1,2 表1に示す配合の構成繊維を水中に投入して水流型分散
機により攪拌して分散させ、更に硫酸を加えて水のpH
を2.7とし約10分間保持し、次いで150℃に加熱
乾燥してセパレータを製造した。なお、比較例2では、
乾燥後、560℃で3分間高温加熱してガラス繊維を熱
融着させた。
【0047】得られたセパレータについて各物性及び特
性の測定を行い、結果を表1に示した。また、実施例1
及び比較例1,2については、加重時の厚さ変化率及び
復元率の測定時の厚さの測定値の相対値を表2,3及び
図4に示した。表2は19.6kPa加重時を100%
として求めた厚さの相対値を示し、表3は9.8kPa
加重時を100%として求めた厚さの相対値を示す。ま
た、図4は表3をグラフ化したものである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表1〜3及び図4より、捲縮ガラス繊維を
用いた本発明のセパレータは、加重時の厚さ変化率が大
きく、また、厚さ復元性にも優れることがわかる。
【0052】これに対して、捲縮ガラス繊維を用いず、
繊維の絡み合いのみで製造した比較例1(特開昭59−
71255号公報のセパレータに相当する。)では、加
重時の厚さ変化率は大きいが、厚さ復元性が悪い。ガラ
ス繊維を熱融着した比較例2(特許第2546240号
公報のセパレータに相当する。)では、加重時の厚さ変
化率が小さい。この比較例2では、加重による厚さの変
化が小さいため、厚さの復元性は大きな値となる。
【0053】なお、実施例1〜4のうち、実施例4は捲
縮ガラス繊維の含有量が少ないため、加重時の厚さ変化
率及び復元性が実施例1〜3に比べて若干劣るが、比較
例1,2に比べて良好な結果が得られている。また、熱
融着性有機繊維を用いた実施例3では、引張強度が大幅
に改善されている。
【0054】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の密閉型鉛蓄
電池用セパレータによれば、次のような効果が奏され
る。
【0055】 加圧時の厚さの変化率が大きい。この
ため電池組み立て時の極群の電槽組み入れ時の圧縮力の
バラツキが小さくなり、組み入れ作業性が向上すると共
に、電池性能のバラツキが低減される。 加圧状態から減圧した際の厚さの復元性が良い。こ
のため、セパレータが極板の膨張、収縮に対して密着性
良く追従し、電池寿命及び電池容量、その他電池性能が
向上する。
【0056】本発明の密閉型鉛蓄電池は、このような本
発明の密閉型鉛蓄電池用セパレータを内蔵したものであ
り、高容量かつ長寿命で電池性能のバラツキが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる捲縮繊維の実施例を示す模式図
である。
【図2】本発明のセパレータの加圧時の厚さ変化及び復
元性を説明する模式図である。
【図3】従来のセパレータの加圧時の厚さ変化及び復元
性を説明する模式図である。
【図4】実施例1及び比較例1,2のセパレータの加重
時の厚さの測定値(相対値)を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2,3 捲縮繊維
フロントページの続き (72)発明者 長久保 周平 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 5H021 EE01 EE21 EE28 EE32 HH00 HH01 HH03 5H028 AA01 EE04 EE06 FF02 FF04 HH00 HH01 HH05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維を主体として構成される密閉
    型鉛蓄電池用セパレータにおいて、長さ方向の少なくと
    も一部が湾曲している捲縮繊維を含有することを特徴と
    する密閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該捲縮繊維は、繊維
    の一端を支持し、他端側を垂下させたときに、鉛直方向
    の繊維長hに対する水平方向の繊維の最大幅wの比w/
    h×100が20%以上のものであることを特徴とする
    密閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、該捲縮繊維の
    含有量が10〜90重量%であることを特徴とする密閉
    型鉛蓄電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 請求項3において、該捲縮繊維の含有量
    が20〜60重量%であることを特徴とする密閉型鉛蓄
    電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、該捲縮繊維は平均繊維長さ3〜50mmで平均繊維
    径0.6〜2μmのガラス繊維よりなることを特徴とす
    る密閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、実質的にガラス繊維のみから構成されることを特徴
    とする密閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、有機繊維、有機バインダ及び無機粉体よりなる群か
    ら選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする密
    閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】 請求項7において、有機繊維及び/又は
    有機バインダの含有量が20重量%以下であることを特
    徴とする密閉型鉛蓄電池用セパレータ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
    の密閉型鉛蓄電池用セパレータを内蔵した密閉型鉛蓄電
    池。
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