JP2003013277A - 硫酸銅めっき浴 - Google Patents

硫酸銅めっき浴

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 硫酸銅及び硫酸を主構成成分とし、下記
成分(A)〜(C)を添加してなることを特徴とする硫
酸銅めっき浴。 (A)イオウ系化合物の1種又は2種以上。 (B)−O−を4個以上含有するポリアルキレングリコ
ール化合物の1種又は2種以上。 (C)アルキルアミドとエチレンオキサイド及び/又は
プロピレンオキサイドとの共重合体の1種又は2種以
上。 【効果】 本発明の硫酸銅めっき浴は、均一電着性(つ
きまわり)に優れ、プリント基板のスルホールやブライ
ンドビアホール、特に高アスペクト比のスルホールやブ
ラインドビアホール(アスペクト比が10以上のスルホ
ールや0.8以上のブラインドビアホール)内に良好に
めっきすることができると共に亀裂が生じにくく、光沢
のあるめっき皮膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板など
のスルホール及びブラインドビアホールへの銅めっきを
行う場合に好適に用いられる硫酸銅めっき浴及びめっき
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、プリント基板などのスルホール、ブラインドビアホ
ール内に銅めっきする場合には硫酸銅めっき浴が使用さ
れており、この硫酸銅めっき浴には、例えばアミド基を
有する化合物及び有機チオ化合物を添加することが行わ
れていた(特許第2859326号公報)。
【0003】しかしながら、従来のこの種の硫酸銅めっ
き浴は、これを用いてプリント基板にめっきする際、ス
ルホールのアスペクト比(プリント基板厚さ/スルホー
ル直径)が10以上であるようなプリント基板厚さに対
しスルホール直径が小さい場合、或いはブラインドビア
ホールのアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.8以上
であるような穴直径に対し穴深さが深い場合、スルホー
ルやブラインドビアホール内のめっき膜厚は、基板表面
の膜厚に比べて非常に薄くしかめっきができなかった。
【0004】本発明は、上記事情を改善するためになさ
れたもので、高アスペクト比のスルホールの側壁やブラ
インドビアホールの側壁、底面のつきまわりの向上した
硫酸銅めっき浴を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、本発明に到達したもので、本発明は、硫酸銅及び硫
酸を主構成成分とし、下記成分(A)〜(C)を添加し
てなることを特徴とする硫酸銅めっき浴を提供する。 (A)イオウ系化合物の1種又は2種以上。 (B)−O−を4個以上含有するポリアルキレングリコ
ール化合物の1種又は2種以上。 (C)アルキルアミドとエチレンオキサイド及び/又は
プロピレンオキサイドとの共重合体の1種又は2種以
上。 また、本発明は、(C)成分のアルキルアミドとエチレ
ンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとの共重
合体がくし型の共重合体である上記記載の硫酸銅めっき
浴を提供する。
【0006】本発明の硫酸銅めっき浴によれば、特に上
記(C)成分の添加により、穴径0.1〜1mmでアス
ペクト比(プリント基板厚さ/穴径)が10以上のスル
ホールで表面膜厚に対してスルホール内の膜厚が80%
以上、また穴径が0.03〜0.2mmでアスペクト比
(穴深さ/穴径)が0.8以上のブラインドビアホール
で表面膜厚に対してブラインドビアホール内の膜厚が8
0%以上が可能になったものである。
【0007】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の硫酸銅めっき浴は、硫酸銅及び硫酸を主構成成
分とする。ここで、めっき浴中での濃度としては、硫酸
銅は、5水塩として20〜250g/L、特に40〜1
00g/Lの濃度とすることが好ましく、また硫酸は4
0〜350g/L、特に150〜280g/Lの濃度と
することが好ましい。この場合、硫酸銅の濃度を低く、
硫酸の濃度を高くすることが、特にプリント基板にめっ
きを行う場合、基板が厚く、アルペクト比が高くても十
分にスルホール内に電流が流れるように、めっき浴中の
導電性を向上させる点から好ましく、かかる点から、硫
酸銅濃度を40〜100g/L、硫酸濃度を150〜2
80g/Lとし、硫酸銅濃度よりも硫酸濃度を高くする
ことが推奨される。
【0008】なお、上記硫酸銅めっき浴には、通常塩素
イオンをめっき浴中で20〜150mg/Lとなるよう
に添加する。
【0009】本発明の硫酸銅めっき浴には、下記の
(A)〜(C)成分が添加される。 (A)イオウ系化合物の1種又は2種以上。このイオウ
系化合物は公知のものを採用でき、例えば下記式(1)
〜(3)で示される化合物並びにチオ尿素及びその誘導
体から選ばれるイオウ系化合物の1種又は2種以上が好
適に用いられる。
【化1】 (式中、R1はH又は−Sm−(CH2n−Ok−SO3
を示し、R2、R3は炭素数1〜5のアルキル基を示し、
MはH又はアルカリ金属を示す。nは1〜8の整数、k
は0又は1、mは0又は1である。)
【0010】上記式(1)〜(3)のイオウ系化合物と
しては、具体的には下記のものが例示される。
【化2】
【0011】また、チオ尿素及びその誘導体としては、
チオ尿素、アセチルチオ尿素等が例示される。
【0012】上記イオウ系化合物は、その1種を単独で
又は2種以上を組み合わせて添加することができ、その
添加量はめっき浴中で0.1〜50mg/L、特に1〜
5mg/Lとすることが好ましく、少なすぎると、光沢
が無く亀裂を生じやすいめっき皮膜になる。多すぎる
と、めっき析出阻害の悪影響が生じるおそれがある。更
に、スルホール、ブラインドビアホール内のめっき厚も
低下する。
【0013】(B)−O−を4個以上含有するポリアル
キレングリコール化合物の1種又は2種以上。この
(B)成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、及びこれらのコポリマーが挙げら
れる。この場合、これらポリアルキレングリコール化合
物は、平均分子量(数平均分子量)が500〜100,
000、特に1,000〜10,000のものが好まし
い。
【0014】(B)成分の添加量はめっき浴中で50〜
2,000mg/L、特に100〜1,000mg/L
とすることが好ましい。少なすぎると、光沢が無く亀裂
を生じやすいめっき皮膜になる。多すぎると、スルホー
ル、ブラインドビアホール内のめっき厚が低下する。
【0015】(C)アルキルアミドとエチレンオキサイ
ド及び/又はプロピレンオキサイドとの共重合体の1種
又は2種以上。この場合、アルキルアミドとエチレンオ
キサイド及び/又はプロピレンオキサイドとの共重合体
としては、くし型共重合体が好ましい。ここで、このく
し型共重合体において、アルキルアミドの重合度は2〜
20であることが好ましく、またこのアルキルアミドの
窒素原子にエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドが結合しているものが好ましい。なお、アルキ
ルアミドとしては、下記式で示される構造を有するもの
がよい。
【0016】
【化3】 (但し、pは2〜10の整数、qは2〜20の整数(重
合度)である。)
【0017】特に好ましいアルキルアミドとエチレンオ
キサイド及び/又はプロピレンオキサイドとの共重合体
は、下記式(4)で示されるものである。
【化4】 (式中、Rは水素原子又はメチル基、pは2〜10の整
数、qは2〜20の整数、sは1〜50の整数であり、
好ましくはpは4〜8、qは2〜10、sは3〜10で
ある。)
【0018】この場合、アルキルアミドの窒素原子に
は、エチレンオキサイドが付加したものでも、プロピレ
ンオキサイドが付加したものでも、或いはその両者が付
加したものでもよい。
【0019】なお、アルキルアミドとエチレンオキサイ
ド及び/又はプロピレンオキサイドとの共重合体として
は、下記式のものを用いることもできる。
【化5】
【0020】上記(C)成分の添加量はめっき浴中で1
〜100mg/L、特に5〜40mg/Lとすることが
好ましい。少なすぎると、スルホール、ブラインドビア
ホール内のめっき厚が低下する。多すぎると、光沢が無
く亀裂を生じやすいめっき皮膜になる。
【0021】上記(B)成分のイオウ系化合物と上記
(C)成分のアルキルアミドとエチレンオキサイド及び
/又はプロピレンオキサイドとの共重合体を前述の範囲
とすることで、後述のように比較的高い陰極電流密度で
めっきを行っても、スルホールやブラインドビアホール
内のめっき厚が低下することなく、光沢を有した亀裂の
生じにくい皮膜を得ることができる。
【0022】本発明の硫酸銅めっき浴は、プリント基板
のめっき、特に高アスペクト比のスルホール、ブライン
ドビアホールへのめっきに好適に用いられる。
【0023】この場合、めっき条件は適宜選定される
が、陰極電流密度は0.2〜5A/dm2、特に0.5
〜1.5A/dm2とすることが好ましい。陰極電流密
度が高すぎると、スルホール内のつきまわりが低下す
る。
【0024】また、撹拌は、一般的に用いられているエ
アーレーションによる撹拌でよい。陽極は銅板等を用い
ることができ、まためっき温度は15〜40℃、特に2
2〜28℃とすることができる。
【0025】
【発明の効果】本発明の硫酸銅めっき浴は、均一電着性
(つきまわり)に優れ、プリント基板のスルホールやブ
ラインドビアホール、特に高アスペクト比のスルホール
やブラインドビアホール(アスペクト比が10以上のス
ルホールや0.8以上のブラインドビアホール)内に良
好にめっきすることができると共に亀裂が生じにくく、
光沢のあるめっき皮膜が得られる。
【0026】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0027】[実施例1〜7]下記組成の硫酸銅めっき
浴を調製した。 硫酸銅・5水和物 50g/L 硫酸 250g/L 塩素イオン 50mg/L ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド 表1に示す量 下記式(i)で示される窒素含有化合物 表1に示す量
【化6】 (q=2〜6の整数(平均:4)、s=1〜8の整数(平均:4)) ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合物(平均分子量15 00) 500mg/L
【0028】次に、上記硫酸銅めっき浴を用い、基板厚
さ3mm、スルホール直径0.3mm、アスペクト比1
0の予め無電解銅めっきが施されたプリント基板のめっ
きを下記条件で行った。 陰極電流密度 表1に示す 浴温度 25℃ 撹拌 エア撹拌 陽極板 リン含有銅ボール めっき時間 表面膜厚が30μmとなる時間を設定
【0029】実施例1〜7で得られた銅めっき膜につ
き、スルホール内のめっき膜厚と基板表面のめっき膜厚
の比を求めると共に、めっき外観(光沢の有無)及び亀
裂の有無を評価した。結果を表1に併記する。
【0030】
【表1】
【0031】[比較例1]下記組成の硫酸銅めっき浴を
調製した。 硫酸銅・5水和物 50g/L 硫酸 250g/L 塩素イオン 50mg/L ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L ポリエチレングリコール(平均分子量7500) 300mg/L
【0032】次に、上記硫酸銅めっき浴を用い、基板厚
さ3mm、スルホール直径0.3mm、アスペクト比1
0の予め無電解銅めっきが施されたプリント基板のめっ
きを下記条件で行った。 陰極電流密度 1A/dm 浴温度 25℃ 撹拌 エア撹拌 陽極板 リン含有銅ボール めっき時間 表面膜厚が30μmとなる時間を設定
【0033】[比較例2]下記組成の硫酸銅めっき浴を
調製した。 硫酸銅・5水和物 50g/L 硫酸 250g/L 塩素イオン 50mg/L ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド 3mg/L ε−カプロラクタム−ヘキサ−エトキシレート 10mg/L ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合物(平均分子量15 00) 500mg/L
【0034】次に、上記硫酸銅めっき浴を用い、基板厚
さ3mm、スルホール直径0.3mm、アスペクト比1
0の予め無電解銅めっきが施されたプリント基板のめっ
きを下記条件で行った。 陰極電流密度 1A/dm 浴温度 25℃ 撹拌 エア撹拌 陽極板 リン含有銅ボール めっき時間 表面膜厚が30μmとなる時間を設定
【0035】比較例1,2で得られた銅めっき膜につ
き、スルホール内のめっき膜厚と基板表面のめっき膜厚
の比を求めると共に、めっき外観(光沢の有無)及び亀
裂の有無を評価した。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】 [実施例8,9]直径100μm、穴の深さ80μmの
ブラインドビアホール(アスペクト比0.8)、直径1
00μm、穴の深さ90μmのブラインドビアホール
(アスペクト比0.9)を有する予め無電解銅めっきが
施されたプリント基板を用いて、実施例3と同じ条件で
めっきを行った。実施例8,9で得られた銅めっき膜に
つき、ブラインドビアホール(BVH)内のめっき膜厚
と基板表面のめっき膜厚の比を求めると共に、めっき外
観(光沢の有無)及び亀裂の有無を評価した。結果を表
3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】[実施例10]下記組成の硫酸銅めっき浴
を調製した。 硫酸銅・5水和物 65g/L 硫酸 230g/L 塩素イオン 50mg/L チオ尿素 1mg/L N,N−ジメチル−ジチオアルバミルプロピルスルホン酸ナトリウム塩 3mg/L ポリエチレングリコール(平均分子量7500) 400mg/L 上記式(i)で示される窒素含有化合物 4mg/L
【0039】[実施例11]下記組成の硫酸銅めっき浴
を調製した。 硫酸銅・5水和物 65g/L 硫酸 230g/L 塩素イオン 50mg/L O−エチルジチオカルバネート−S−3−スルホプロピルエステルカリウム 4mg/L ポリエチレングリコール(平均分子量7500) 200mg/L ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合物(平均分子量15 00) 300mg/L 上記式(i)で示される窒素含有化合物 15mg/L
【0040】[実施例12]下記組成の硫酸銅めっき浴
を調製した。 硫酸銅・5水和物 80g/L 硫酸 200g/L 塩素イオン 50mg/L チオ尿素 1mg/L O−エチルジチオカルバネート−S−3−スルホプロピルエステルカリウム 3mg/L ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合物(平均分子量15 00) 500mg/L 上記式(i)で示される窒素含有化合物 2.5mg/L
【0041】次に、上記硫酸銅めっき浴を用い、実施例
1〜7で用いたものと同じプリント基板に下記条件でめ
っきを行った。 陰極電流密度 1A/dm 浴温度 25℃ 撹拌 エア撹拌 陽極板 リン含有銅ボール めっき時間 136分
【0042】実施例10〜12で得られた銅めっき膜に
つき、スルホール内のめっき膜厚と基板表面のめっき膜
厚の比を求めると共に、めっき外観(光沢の有無)及び
亀裂の有無を評価した。結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立花 眞司 大阪府枚方市出口1丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4K023 AA01 AA19 BA06 CB05 CB08 CB13 4K024 AA09 AB01 AB02 AB08 AB17 BA09 BB11 GA02 GA16 5E343 BB24 CC78 GG06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸銅及び硫酸を主構成成分とし、下記
    成分(A)〜(C)を添加してなることを特徴とする硫
    酸銅めっき浴。 (A)イオウ系化合物の1種又は2種以上。 (B)−O−を4個以上含有するポリアルキレングリコ
    ール化合物の1種又は2種以上。 (C)アルキルアミドとエチレンオキサイド及び/又は
    プロピレンオキサイドとの共重合体の1種又は2種以
    上。
  2. 【請求項2】 アルキルアミドとエチレンオキサイド及
    び/又はプロピレンオキサイドとの共重合体がくし型の
    共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の硫酸
    銅めっき浴。
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