JP2003013116A - 希土類酸化物の還元による極低酸素含有量でかつ微細で均質な結晶組織の希土類系合金の製造方法 - Google Patents

希土類酸化物の還元による極低酸素含有量でかつ微細で均質な結晶組織の希土類系合金の製造方法

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JP2003013116A JP2001202760A JP2001202760A JP2003013116A JP 2003013116 A JP2003013116 A JP 2003013116A JP 2001202760 A JP2001202760 A JP 2001202760A JP 2001202760 A JP2001202760 A JP 2001202760A JP 2003013116 A JP2003013116 A JP 2003013116A
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    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な希土類酸化物原料や高価で希少資源で
ある希土類金属資源の再利用を図り、鋳造のままで酸素
等の不純物含有量が少なく、かつ微細で均質な結晶組織
の所望の特性を持つ目的成分組成の希土類系合金を製造
する。 【構成】 加熱装置を備えた坩堝および溶融合金の急冷
凝固手段を密閉室内に設けて、該密閉室内を真空または
不活性ガス雰囲気とした状態において、坩堝内の溶融合
金を急冷凝固手段に接触させて急冷凝固合金を製造す
る。希土類酸化物粉末、その他の合金成分粉末からなる
原料粉末と、カルシウムまたは水素化カルシウムの粉末
からなる還元剤との混合物を坩堝内に装填する第一工
程、該混合物をカルシウムの融点(843℃)以上1200℃以
下の所定温度に加熱することによってカルシウム還元反応さ
せる第二工程、次いで、1200℃を超える所定温度に急速
加熱して溶融合金とスラグを形成する第三工程、所定温
度に達したら該溶融合金をスラク゛と分離しながら坩堝から
流出させて冷却ロールまたはディスクに接触させること
によって急冷凝固する第四工程、とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類酸化物原料
や酸化された希土類合金廃材を還元剤で還元して溶融合
金を形成し、該溶融合金を直接急冷凝固させて希土類系
合金、特に、二次電池用負極材料または水素供給用貯蔵
媒体として有益な極低酸素含有量でかつ微細で均質な結
晶組織の希土類系水素吸蔵合金または希土類系磁石合金
を製造する方法および該方法で製造された希土類系磁石
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、希土類金属を主成分とする合金と
して、希土類金属Rと遷移金属Tの組み合わせからなる
アルカリ二次電池用負極合金や磁石合金が知られてい
る。これらの合金は、通常、精製された希土類金属原料
とその他の精製された金属原料を用いて製造された母合
金を高周波誘導加熱により溶解した後に金型鋳造によっ
て目的成分組成の合金を製造している。
【0003】他に、安価な原料を使用できる方法とし
て、希土類酸化物原料とその他の合金成分原料の混合物
をCa金属や希土類金属により還元して希土類金属とそ
の他の合金成分の溶融物を金型鋳造して冷却凝固させる
方法によって目的組成の合金製造を行う方法が知られて
おり、例えば、特開昭62−188772号公報、特開
平3−287740号公報、特開平11−319752
号公報、特開平11−329811号公報、特開200
0−109908号公報、特開2000−30919号
公報には、R−FeーB系磁石合金などのCa拡散還元
法が開示されている。
【0004】しかし、希土類酸化物のCa拡散還元法で
は、得られる金属内に好ましくない酸化カルシウムが介
在物として取り込まれたり、固溶したり、また、酸素や
炭素などの不純物の除去が困難なために極低酸素の合金
粉末が得られない。
【0005】このため、Ca拡散還元法では、通常、生
成した酸化カルシウムなどを合金粉末を得る迄の過程で
水洗除去する必要があるが、希土類金属が酸化されやす
く、不純物として酸素が合金中に残留して合金特性を損
なうために、実用化が阻まれている。
【0006】水洗除去の工程を不要にする方法として、
特公平4−35548号公報には、希土類金属の酸化物
をFeとBの存在下で、溶融合金と反応しても問題のな
いFe坩堝を用いてCa還元して介在物や酸素、炭素の
含有量の少ないFe−B−R中間合金を製造する方法が
記載されているが、この場合は、中間合金を再溶解して
追加の合金元素を添加して所望の合金組成を得る工程が
必要である。
【0007】特公平3−64574号公報には、還元剤
を用いて300℃以下で還元剤の反応により極低酸素の
母合金インゴットを製造する方法が記載されているが、
特殊組成の還元剤を準備する必要があり、反応に要する
時間も長くかかる。
【0008】上記のように、希土類酸化物原料を還元し
て溶融凝固する方法により目的成分組成の極低酸素含有
量の合金を得るのは困難であり、溶解原料に希土類合金
磁石の製造工程などで生じる研磨粉などのスクラップを
溶解原料として再利用することができない。
【0009】このため、研磨粉などの希土類合金磁石ス
クラップについては、化学量論の2〜4倍程度のCaに
より固相還元して酸化カルシウムを水洗または酸洗によ
り除去する方法が知られている程度である(例えば、特
開昭56−38438号公報、特公昭61−53413
号公報、特開昭61−153201号公報)。
【0010】また、希土類系合金の金型鋳造法において
は、溶融物の凝固過程において金型の中心部と周辺部と
の冷却速度の違いによって、合金濃度の不均一性による
偏析や異相の析出を起こすため、後工程で結晶組織調整
のために長時間の均質化熱処理を必要とする。例えば、
Sm2 Fe17やNd2 Fe14B化合物を得ようとする場
合には、冷却過程で包晶反応によるα- Fe相やNdリ
ッチ相などの不純物相が不可避的に生成し、そのため鋳
造合金を不活性雰囲気中において1000℃以上の高温
で均質化処理を行う必要があった。
【0011】この欠点を改善するため、例えば、特開平
5−320792号公報、特開平11−323467号
公報、特開平8−60265号公報、特開平10−28
0010号公報、特開2000−144277号公報、
特開2000−144278号公報、特開2000−1
60265号公報などに、溶融合金を高速回転ロール面
などで急冷凝固させるストリップキャスト法による合金
製造が提案されている。この方法によれば、金型を用い
ずに溶融合金を直接急冷凝固させるために不純物相が少
なく結晶組織の微細な合金ができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来のストリップキャ
スト法では、高価な金属原料を目的の合金成分組成にな
るように調合してこれを非酸化性雰囲気中で高周波誘導
加熱溶解などにより溶解している。また、従来のCa還
元法では、希土類酸化物原料を溶解した溶融合金を用い
てストリップキャストしても酸素等の不純物含有量が少
なく、かつ微細で均質な結晶組織の所望の特性を持つ目
的成分組成の合金を製造することは困難である。
【0013】本発明は、安価な希土類酸化物原料を用い
て経済的に製造することができ、特に、これまで、再生
処理工程が長くコストがかかるため採算面で問題があっ
た使用済み希土類合金廃材を原料の一部または全部とし
て用いることによって高価で希少資源である希土類金属
資源の再利用を図ることによって、酸素等の不純物含有
量が少なく、かつ微細で均質な結晶組織の所望の特性を
持つ目的成分組成の希土類系合金の製造方法の開発を目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、希土類酸化
物原料を通常の坩堝で溶解するのみで、他の精製手段を
用いずにストリップキャストしたままで酸素含有量が少
なく、かつ微細で均質な結晶組織の所望の特性を持つ目
的成分組成の合金を製造することができる方法を見いだ
した。
【0015】すなわち、本発明は、 加熱装置を備えた
坩堝および溶融合金の急冷凝固手段を密閉室内に設け
て、該密閉室内を真空または不活性ガス雰囲気とした状
態において、坩堝内の溶融合金を急冷凝固手段に接触さ
せて急冷凝固合金を製造する方法において、希土類酸化
物粉末、その他の合金成分粉末からなる原料粉末と、カ
ルシウムまたは水素化カルシウムの粉末からなる還元剤
との混合物を坩堝内に装填する第一工程、該混合物をカ
ルシウムの融点(843℃)以上1200℃以下の所定
温度に加熱することによってカルシウム還元反応させる
第二工程、次いで、1200℃を超える所定温度に急速
加熱して溶融合金とスラグを形成する第三工程、所定温
度に達したら該溶融合金をスラグと分離しながら坩堝か
ら流出させて冷却ロールまたはディスクに接触させるこ
とによって急冷凝固する第四工程、とからなり、急冷凝
固のままで極低酸素含有量でかつ微細で均質な結晶組織
の合金を製造することを特徴とする希土類酸化物の還元
による希土類系合金の製造方法である。
【0016】また、本発明は、密閉室内にタンディツシ
ュを設け、坩堝から溶融合金を該タンディツシュに流出
させ、次いで、該タンディツシュの細孔から溶融合金を
噴出させて冷却ロールまたは冷却ディスクに接触させる
ことにより急冷凝固することを特徴とする上記の希土類
系合金の製造方法である。
【0017】また、本発明は、第三工程において、カル
シウムの沸点(1492℃)以上に加熱して還元反応に
おける過剰の金属Caを蒸発させることを特徴とする上
記の希土類系合金の製造方法である。
【0018】また、本発明は、急冷凝固したままで極低
酸素含有量の合金中の酸素含有量が600ppm以下で
あることを特徴とする上記の希土類系合金の製造方法で
ある。
【0019】また、本発明は、希土類酸化物の一部また
は全部は、希土類系水素吸蔵合金電極廃材または希土類
系合金磁石の廃材であることを特徴とする上記の希土類
系合金の製造方法である。
【0020】また、本発明は、上記のいずれかの製造方
法によって製造された二次電池用負極材料または水素供
給用貯蔵媒体として用いられる鋳造のままで酸素含有量
が600ppm以下でかつ微細で均質な結晶組織の希土
類系水素吸蔵合金である。
【0021】また、本発明は、上記のいずれかの製造方
法によって製造された鋳造のままで酸素含有量が600
ppm以下でかつ微細で均質な結晶組織の希土類系合金
磁石である。
【0022】本発明によれば、真空または不活性ガス雰
囲気とした密閉室内で希土類酸化物の還元と合金鋳造を
同一工程内で短時間で実施でき、かつ水洗工程がないた
め、従来のCa還元法では困難であった極低酸素含有量
で、かつ結晶性の良い希土類系水素吸蔵合金または希土
類系磁石合金の製造が可能となる。さらに、使用済み合
金電極、合金磁石廃材を原料に用いることができるため
資源の再利用ができ、経済的な合金製造ができる。
【0023】また、従来、金属原料からNd−Fe−B
合金を製作する場合には、融点の差が大きい各金属を用
いず、まずNd−FeとFe−B母合金を製作し、次に
それらを混合溶解して最終的なNd−Fe−B合金を製
作しているが、本発明の方法によれば、目的合金組成の
合金を酸化物原料から直接製造することが可能となるの
でこのような手間を省くこともできる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の希土類系合金の
製造方法に用いる合金製造装置の概略を示す。この製造
装置は、真空または不活性ガス雰囲気とすることができ
る密閉室内に、加熱装置を備えた傾動可能な坩堝、冷却
ロールまたは冷却ディスクからなる溶融合金の急冷凝固
装置を備えている。密閉室内は真空引きした後不活性ガ
スフローにしてもよい。
【0025】また、坩堝と急冷凝固装置との間に、坩堝
の傾動により流出させた溶融合金を一旦流入させてから
底部に設けた細孔から噴出させるタンディッシュを設け
ることが好ましい。坩堝の加熱源としては、加熱コイル
を坩堝の周りに巻いた高周波誘導加熱装置を用いること
ができる。急冷凝固装置の冷却ロールまたは冷却ディス
クは高速回転させる。急冷凝固装置の下流に、急冷凝固
により形成された合金を衝突させる粉砕板を設けること
により密閉室内で薄片状に粉砕した希土類系合金を製造
できる。
【0026】坩堝の材料は限定されず、セラミック坩堝
を使用できるが、希土類金属は極めて反応性が高く、強
い還元力を有するので、アルミナ、シリカ、マグネシ
ア、チタニアなどの坩堝は反応して不純物が混入する可
能性があり、熱力学的に最も安定なカルシア(CaO)
やそれに準じるジルコニアなどが好ましい。タンタルや
窒化硼素も使用可能であるが高価なため実用的ではな
い。
【0027】高周波誘導加熱溶解によって合金を溶製す
るには、セラミック坩堝に目的とする合金成分である所
定量の酸化物と金属成分とを装填し、金属が誘導電流に
より自己過熱するに伴い酸化物も熱せられ、高周波誘導
電流の出力の増加によって固相状態での還元反応および
溶融合金の形成が行われる。酸化物の投入量より鉄やニ
ッケル等の金属投入量が多い場合は溶解しやすいが、酸
化物量が多量の場合や粉末状の廃材を多く用いる場合に
は、原料をよく混合した後に軽く加圧成形してペレット
状にして誘導電流が流れ易くする。あるいは、セラミッ
ク坩堝の外周部にグラファイト坩堝を配置して、グラフ
ァイトの誘導加熱により原料を間接的に加熱する方法を
採用することも効果がある
【0028】以下、本発明の希土類系合金製造方法を、
NdFe14B合金を製造する場合について、図2の
概略製造工程図および加熱温度パターン(図の下部に線
で示す)に従ってさらに詳しく説明する。まず、図2の
で示す第一工程で、希土類酸化物粉末、その他の合金
成分粉末からなる原料粉末と、カルシウムまたは水素化
カルシウムの粉末からなる還元剤との混合物を坩堝内に
装填する。
【0029】原料粉末としては、希土類酸化物の粉末、
あるいは合金製造工程で発生した不良品や使用済みの希
土類系合金廃材を予め成分組成分析をした上で所定量用
いることができる。電池廃材はカリウムやフッ素、炭素
などの微量な汚染が考えられるので、希土類系合金廃材
100%を原料とするよりも新たな酸化物原料に混合し
た方が得られる合金の特性は望ましい。また、上記の他
に、目的合金の構成成分である金属や合金、あるいはカ
ルボニル金属化合物などを原料として加えても差し支え
ない。
【0030】上記の酸化物は、各種酸化物の標準生成自
由エネルギ−/温度図(エリンガム図とも呼称される)
から示唆されるように、生成エネルギーの低い、すなわ
ち、より安定な金属を、高温で反応させることによって
還元され得る。還元剤としては、一般的に、周知のカル
シウムまたは水素化カルシウム粉末を用いる。カルシウ
ムは高温になるほど活性であるため坩堝との反応を抑制
する必要がある。そのために、カルシウム投入量が所定
の反応にとって過剰にならないように計量する。また、
カルシウム金属を坩堝との反応抑制のために中央部に装
填することが望ましい。
【0031】上記の原料と還元剤は、混合したままで、
または還元反応を均質化するため成形ペレットにした
後、坩堝に装填して加熱反応に供する。密閉室内に坩堝
をセットしたら、密閉室内を真空引きした後アルゴンガ
スフローに切り替えるなどの方法により不活性ガス雰囲
気状態にして、高周波誘導加熱コイルにより原料を誘導
加熱する。
【0032】次に、図2ので示す第二工程で、原料混
合物をカルシウムの融点(843℃)以上1200℃以
下の所定温度に加熱することによってカルシウム還元反
応させる。この工程でカルシウムの溶融液と酸化物・金
属との反応により固体状のNdFe14BとCaOが
生成する。特に、本発明の方法では、希土類酸化物の還
元反応である第二工程を比較的低温で完了させて合金の
完全溶解に至るまでの第三工程の時間を極力短くする。
【0033】すなわち、第二工程でカルシウムの融点
(843℃)以上1200℃以下の所定温度に加熱する
ことによってカルシウム還元反応させる。還元反応温度
は原料の種類によって適宜選択するが、希土類系水素吸
蔵合金や磁石合金の場合には、カルシウムの融点近傍温
度からそれ以上の温度で行う。ただし、あまり高温では
酸化物の還元に用いるべきカルシウムの蒸発が多くなる
ために、十分な還元反応を終了させることが難しい。し
たがって、好ましくは1200℃以下とする。
【0034】次に、図2ので示すように、還元反応完
了後に固体状の合金が形成されるので誘導加熱により容
易に温度上昇が図れるので、第三工程で1200℃を超
える所定温度に坩堝浸食を防ぐために急速加熱して溶融
合金を完全形成する。高温ほど溶融合金の粘度が下がり
急冷凝固が容易に行われるが、一方、溶融合金と坩堝と
の反応が促進されるために、所定温度は1300〜15
00℃とするのが好ましい。また、所定温度までの加熱
時間は5分程度以内が望ましく、短時間での昇温が可能
になるように高周波誘導電流の出力程度と坩堝内の溶融
合金量を決める。1分以内で300℃昇温させるように
高周波誘導電流の出力程度と坩堝内の溶融合金量を決め
ることも可能である。
【0035】MmNi系水素吸蔵合金やNdFe
14B系磁石合金を原料とした場合は、第三工程におい
て1200℃〜1300℃で合金が溶融しはじめ、反応
生成物である酸化カルシウムは比重が小さいために図に
示すようにスラグとなって溶融合金の上面に浮く。この
スラグ生成により不純物の少ない良質の溶融合金が得ら
れるために、予め、ホウ酸を加えてスラグの生成を助長
することも効果がある。
【0036】例えば、MmNi系水素吸蔵合金やNd
Fe14B系磁石合金の場合、昇温過程は、室温から
900℃までを3分間で急速加熱し、Ca還元反応を完
了させるために900〜1100℃の温度域で10分間
保持し、その後は溶融合金の坩堝浸食を防ぐために急速
加熱して2分間で溶融合金温度を1400℃迄上昇させ
る。このとき、還元反応において若干過剰となった金属
Caは蒸発してアルゴンガスと共に装置外に排出され、
一方、反応によって生成した酸化カルシウムスラグは溶
融合金上面に浮き上がる。このために、酸素とカルシウ
ムはスラグとして溶融合金と容易に分離する。
【0037】最後の第四工程で、坩堝を傾動させて所定
温度に達した溶融合金を速やかに流出させて冷却ロール
またはディスクからなる急冷凝固手段に接触させること
によって急冷凝固させる。スラグは坩堝上部に設けた適
宜の流出阻止部材により流出させずに溶融合金と分離す
る。急冷凝固装置としては、MQI社で長年製造実績の
あるNd−Fe−B急冷薄片製造装置に準じたものをそ
のまま用いることができるが、0.2〜3mm程度の薄
板製造を目的とするために時間当たりの溶融合金量が多
くなり、したがって、溶融合金を一旦タンディッシュに
受け、タンディッシュに開けた複数の穴から溶融合金を
高速回転する冷却ロール上に噴出して凝固させることが
望ましい。
【0038】予熱されたタンディッシュに溶融合金を注
ぎ込むことにより、タンディッシュに滞留する溶融合金
中に含まれている微量なスラグ粒が溶融合金の上面に分
離される。しかる後に、タンディッシュ4の一端の底部
に設けた微細孔から溶融合金を高速回転する冷却ロール
5上に連続して噴出させる。溶融合金は冷却ロール5上
で凝固し、鉄鋼製の粉砕板6に衝突して破砕され、急冷
凝固した合金薄片7を容器8内に回収する。この場合
に、冷却ロール内部を水冷し、回転速度は0.5〜10
m/秒程度に設定することにより所望の微細で均質な結
晶組織をもつ合金が得られる。
【0039】この結晶組織は、溶融合金の温度と供給速
度および冷却ロールの回転速度を適切に制御することに
よって得られる。溶融合金温度を合金の融点より100
〜200℃上にセットして、ロール回転速度を数m/秒
とし、凝固速度を100〜2000℃/秒とすることに
より、不純物相が殆どない数〜十数ミクロンの微細結晶
組織が得られる。得られた合金薄片は、結晶組織調整の
ため高温で均質化処理を行うことも有効である。
【0040】このように、本発明によれば、比較的低温
でのCa還元の後の短時間の高温加熱により溶融合金と
坩堝の反応を回避し、かつ高温におけるCaと酸化物の
反応を促進させることにより清浄度の高い溶融合金を形
成することができ、この溶融合金を不活性雰囲気中で直
ちに急冷凝固させることにより極低酸素含有量でかつ微
細で均質な結晶組織の希土類系合金が得られることにな
る。
【0041】本発明の方法によって製造した合金は、酸
化物原料を用いているにもかかわらず、高温で充分に還
元反応が行われ、かつ、従来、還元法で実施していた水
洗工程を排除しているために鋳造したままで合金中に含
有される不純物の酸素含有量は600ppm以下、より
好ましくは400ppm以下のレベルとなる。
【0042】本発明で対象とする希土類系水素吸蔵合金
は、LaNi5 やMmNi5 型の希土類合金などであ
る。これらの合金においては、水素吸蔵能や初期活性、
充放電サイクル特性など各種の特性調整のために、他の
遷移金属や銅、アルミニウムなどを含有してもかまわな
い。
【0043】本発明で対象とする希土類系磁石合金は、
希土類元素をRとし遷移元素をTとした場合に、R2
17、RT12、R214B等で表される化合物であり、代
表例としてSm2 Fe173 やNd2 Fe14B化合物か
らなる磁石が実用されている。合金原料としては、希土
類酸化物粉末と鉄粉末、鉄合金粉末、硼素粉末、および
その他必要な添加物成分を所望の合金に合わせて取捨選
択する。
【0044】Sm2 Fe17やNd2 Fe14B系合金の場
合には、溶融合金の温度を合金の融点より100〜20
0℃上にセットして、冷却ロールの回転速度を数m/秒
とし、凝固速度を100〜2000℃/秒とすることに
より、α−Fe等の不純物相が殆どない10〜80ミク
ロンの微細結晶組織が得られる。
【0045】得られた合金薄片は、結晶組織調整のため
に不活性ガス中1000〜1200℃で均質化処理を行
うことも有効である。この合金薄片は、所望の粒径に粉
砕し、磁界中成形、焼結、機械加工して焼結磁石を製作
する、あるいは有機物樹脂と混合成形してボンド磁石を
製作することができる
【0046】
【実施例】実施例1 小型二次電池から希土類−ニッケル系水素吸蔵合金負極
材を分離回収し、溶剤洗浄後にICP組成分析を行った
結果、基本成分組成がMmNi4.6 Al0.27Mo0.11
合金であった。また、LECO社製の酸素/窒素同時分
析装置によって測定した各元素の混入量は、酸素3.1
質量%、窒素0.03質量%であった。
【0047】この水素吸蔵合金廃材を、窒素ガスを導入
した衝撃式気流粉砕機によって粉砕して約40〜300
ミクロンの粉末を得た。上記の合金廃材中に含まれる酸
素の大部分はMmの酸化物になっていると考えられるた
めに、その混入量から推定して、還元剤として粒径が約
2mmのカルシウムを上記の合金粉末に対して88:1
2の比率で合計200gを秤量した。次に、ブレンダー
を用いて混合し、50MPaの圧力を加えて固化成形し
た。
【0048】この混合物を図1に示すように、カルシア
製坩堝1に装填して、冷却ロールを備えた密閉室内にセ
ットし、密閉室内を真空引きした後アルゴンガスフロー
に切り替えて高周波誘導加熱コイル2による誘導加熱を
行った。昇温過程は、室温から900℃までを3分間で
急速加熱し、Ca還元反応を完了させるために1050
℃で10分間保持し、その後に急速加熱して2分間で溶
融合金温度を1400℃迄上昇させた。
【0049】このとき還元反応において若干過剰となっ
た金属Caは蒸発してアルゴンガスと共に装置外に排出
され、一方、反応によって生成した酸化カルシウムスラ
グ3は溶融合金の上面に浮き上がった。このために、酸
素とカルシウムはスラグとして溶融合金とは容易に分離
した。
【0050】さらに、坩堝を傾動させて予熱されたタン
ディッシュに溶融合金を注ぎ込むことにより、タンディ
ッシュに滞留した溶融合金中に含まれている微量なスラ
グ粒を溶融合金の上面に分離した。しかる後に、タンデ
ィッシュ4の一端の底部に設けた微細孔から溶融合金を
高速回転する冷却ロール5上に連続して噴出させた。溶
融合金は冷却ロール5上で凝固し、鉄鋼製の粉砕板6に
衝突して破砕され、厚さ0.2mmの急冷凝固した合金
薄片7を容器8内に回収した。
【0051】このとき、冷却ロール5の回転速度は5m
/秒とすることにより合金の推定冷却速度は約1000
℃/秒であった。さらに、衝撃式気流粉砕機を用いて窒
素ガス中で合金薄片7を粉砕し、篩い分け後20〜40
ミクロンの粉末を製作した。
【0052】比較例1 比較としての合金は、上記と同じ原料組成に対してカル
シウム添加量を20%増量してブレンダーを用いて混合
した。この混合物をステンレス鋼製坩堝に入れ電気炉に
装填して、アルゴンガス雰囲気中900℃で4時間保持
してCa還元反応を行い室温に冷却した。この反応物を
坩堝から取り出し、水洗、アルコール置換、乾燥して、
MmNi4.4 Co0.3 Al0.3 組成の合金粉末を製作し
た。得られた粉末粒径は実施例1と同様に20〜40ミ
クロンの範囲であった。
【0053】実施例1および比較例の合金粉末の酸素分
析をLECO社製の窒素・酸素分析装置によって行った
結果、前者が230ppmで後者が2840ppmであ
り、実施例1によって得られた合金粉末は不純物酸素が
著しく少ないことが明らかになった。
【0054】図3に、ジーベルツ法によって測定した両
者の合金粉末の室温におけるPCT曲線を示す。実施例
1は、比較例1と比較して水素圧プラトー領域が広くか
つ平坦であり、二次電池用材料として優れていることが
分かる。この主な理由は、酸素汚染が殆どないために組
成上の偏析を防止でき合金組成が適正に保たれたため
と、急冷凝固により微細で均質な結晶組織が得られたた
めと推察される。
【0055】次に、上記の両粉末を圧縮固化し、ニッケ
ルメッキして電極を作製して電池の充放電サイクル特性
を調べた。図4の結果から明らかなように、実施例1の
合金を使用した電池は比較例1の合金を使用したものに
比べて充放電サイクル回数の増加による放電容量の低下
が著しく少なく、水素の吸放出に伴う合金の微粉化進行
も抑制されていた。
【0056】実施例2 小型二次電池から希土類−ニッケル系水素吸蔵合金負極
材の廃材を分離回収し、組成分析を行った結果は、Mm
Ni4.6 Al0.27Mo0.110.3 であった。この水素吸
蔵合金廃材を解砕して得た粉末に、純度99%のミッシ
ュメタル酸化物粉末と、それぞれ純度99.9%のニッ
ケル粉末、アルミニウム片、モリブデン粉末と、還元剤
として純度99%の粒状カルシウムを、成分組成式がM
mNi4. 7 Al0.3 Mo0.1 で表される合金組成となる
ように計量した。これらの粉末をブレンダーを用いて混
合した後に、50MPaの圧力を加えて固化成形した。
【0057】この混合物を実施例1と同様にして、Ca
還元後、溶融、急冷凝固させ、厚さ0.15mmの合金
薄片を製作し、さらに、粉砕して20〜40ミクロンの
粉末を得た。
【0058】比較例2 一方、比較例として、純度99%のミッシュメタルと、
それぞれ純度99.9%のニッケル粉末、アルミニウム
片、モリブデン粉末を、実施例2と同じ成分組成となる
ように計量した。各計量物を混合したものを、アルミナ
坩堝に装填して高周波誘導加熱溶解し、急冷凝固させて
厚さ0.15mmの合金薄片を製作した。引き続き、粉
砕して20〜40ミクロンの粉末を得た。実施例2およ
び比較例2の合金粉末の酸素含有量は、それぞれ250
ppm、230ppmであり、いずれも著しく低酸素濃
度の合金が得られた。
【0059】次に、実施例1と同様に、室温におけるP
CT特性を調べた結果を図5に示す。実施例2の合金粉
末を用いたものは、金属原料のみを用いた比較例2の合
金粉末を用いたものとほぼ同様の水素圧プラトー特性を
示し、合金廃材や希土類酸化物を原料として用いている
にもかかわらず優れた電池用材料特性を有していること
がわかる。
【0060】実施例3 純度99.9%の酸化サマリウム粉末を95g、純度9
9.9%のサマリウムを80g、99.9%の鉄粉を4
78g、および還元剤として純度99%の粒状カルシウ
ム47gをブレンダーを用いて混合した。この混合物を
ジルコニア製坩堝1に装填して、急冷ロールを具備した
密閉室にセットし、装置内を真空引きした後アルゴンガ
ス雰囲気に切り替えて高周波誘導加熱コイル2による誘
導加熱を行った。
【0061】昇温過程は、室温から急速加熱し、Ca還
元反応を完了させるために1100℃で10分保持し、
その後はさらに急速加熱して溶融合金温度を1550℃
迄上昇させた。このとき、反応によって生成したスラグ
3は溶融合金の上面に浮き上がり、坩堝を傾動させて予
熱されたタンディッシュに溶融合金を注ぎ、タンディッ
シュ4の一端の底部に設けた微細孔から高速回転中の冷
却ロール5上に連続して噴出させた。
【0062】溶融合金は冷却ロール5上で凝固し、鉄製
の粉砕板6に衝突して破砕され、厚さ0.6mmの急冷
凝固した合金薄片7を容器8内に回収した。このとき、
冷却ロール回転速度は2m/秒とすることにより合金の
推定冷却速度は約1000℃/秒であった。この合金を
スタンプミルと衝撃式気流粉砕機を用いて粉砕し、約1
00ミクロンの合金粉末を製作した。
【0063】粉末は所望のSm2 Fe17構造を持つこと
がX線構造解析から明らかになった。また、蛍光X線に
よる組成分析結果から、合金組成は質量比率で23.8
%Sm−残部Feであった。さらに、LECO社製の窒
素・酸素分析装置による合金中の酸素含有量は410p
pmであり、不純物酸素濃度が著しく小さい良質の磁石
合金が得られた。
【0064】比較例3 比較としての合金は以下の方法によって製作した。原料
として、純度99.9%の酸化サマリウム粉末を100
g、純度99.9%のサマリウムを78g、99.9%
の鉄粉を480g、および還元剤として純度99%の粒
状カルシウム54gをブレンダーを用いて混合した。
【0065】この混合物をステンレス鋼製坩堝に入れて
電気炉内に装填して、アルゴンガス雰囲気中において9
50℃で6時間保持してCa還元反応を行い室温に冷却
した。得られた反応物を坩堝から取り出し、水洗、アル
コール置換、乾燥して合金粉末を製作した。実施例3と
同様の分析結果から、合金組成は23.9%Sm−0.
12%Ca−残部Feであった。さらに、合金中の酸素
含有量は1350ppmであり、高濃度の酸素とカルシ
ウム不純物が残留した。
【0066】実施例4 原料として、純度99.9%の酸化ネオジウム粉末を2
02g、純度99.9%の酸化ジスプロシウムを23
g、ボロン含有率19%のフェロボロン粉末を41g、
99.9%の鉄粉を367g、および還元剤として純度
99%の粒状カルシウム103gをブレンダーを用いて
混合した。
【0067】この混合物をジルコニア製坩堝に装填して
密閉室内にセットし、高周波誘導加熱した。昇温過程
は、室温から急速加熱し、Ca還元反応を完了させるた
めに1000℃で30分間保持し、その後1480℃迄
上昇させた。続いて、坩堝を傾動させてタンディッシュ
に溶融合金を注ぎ込み、高速回転する冷却ロール上に連
続して噴出させた。
【0068】冷却ロールの回転速度は1m/秒として厚
さ0.8mmの急冷凝固した合金薄片を得た。この合金
は所望のNd2 Fe14B構造をもち、20〜70ミクロ
ンの結晶組織をもつことが、X線構造解析と顕微鏡観察
から明らかになった。また、蛍光X線による組成分析結
果から、合金組成は質量比率で27.7%Nd−3.2
%Dy−1.09%B−残部Feであった。さらに、L
ECO社製の窒素・酸素分析装置による合金中の酸素含
有量は470ppmであり、不純物酸素濃度が著しく小
さい良質の磁石合金が得られた。
【0069】比較例4 原料として、純度99.9%の酸化ネオジウム粉末を2
04g、純度99.9%の酸化ジスプロシウムを24
g、ボロン含有率19%のフェロボロン粉末を41g、
99.9%の鉄粉を367g、および還元剤として純度
99%の粒状カルシウム108gをブレンダーを用いて
混合した。
【0070】この混合物をステンレス鋼製坩堝に入れて
電気炉に装填して、アルゴンガス雰囲気中において10
00℃で6時間保持してCa還元反応を行って室温に冷
却した。得られた反応物を坩堝から取り出し、水洗、ア
ルコール置換、乾燥して合金粉末を製作した。実施例4
と同様の分析結果から、合金組成は27.8%Nd−
3.2%Dy―1.1%B−0.11%Ca−残部Fe
であった。さらに、合金中の酸素含有量は1400pp
mであり、酸素やカルシウムなど多量の不純物を含有し
ていた。
【0071】実施例5 原料として、純度99.9%の酸化ネオジウム粉末を1
02g、純度99.9%の酸化ジスプロシウムを11.
6g、ボロン含有率19%のフェロボロン粉末を21
g、99.9%の鉄粉を184g、および還元剤として
純度99%の粒状カルシウム51gを計量した。
【0072】一方、焼結不良品でその成分組成が、2
7.6%Nd−3.0%Dy−1.10%B−0.55
%O―0.16%C−残部Feである希土類系合金磁石
廃材をスタンプミルで粉砕した粉末を275g計量し、
ブレンダーを用いて上記の原料と混合した。
【0073】この混合物をジルコニア製坩堝に装填して
密閉室内にセットし、高周波誘導加熱し、還元反応後に
合金を溶融させて溶融合金の温度を1480℃迄上昇さ
せた。続いて、坩堝を傾動させてタンディッシュに溶融
合金を注ぎ込み、高速回転中の冷却ロール上に連続して
噴出させ、冷却ロールの回転速度を1m/秒として厚さ
0.8mmの急冷凝固した合金薄片を得た。
【0074】この合金は所望のNd2 Fe14B構造をも
ち、その組成は質量比率で27.6%Nd−3.0%D
y−1.11%B−0.09%C−残部Feであった。
さらに、合金中の酸素含有量は520ppmであり、微
量の炭素を含有するものの不純物酸素濃度の小さい良質
の磁石合金が得られた。
【0075】比較例6 原料として、ネオジウム、ジスプロシウム、フェロボロ
ン、鉄を所望のの組成になるように計量し、高周波誘導
加熱溶解し溶融合金の温度が1480℃に到達後に坩堝
を傾動させてタンディッシュに溶融合金を注ぎ込み、高
速回転中の冷却ロール上に噴出させ、冷却ロールの回転
速度を1m/秒として厚さ1mmの急冷凝固した合金薄
片を得た。この合金はNd2 Fe14B構造をもち、その
組成は質量比率で27.5%Nd−3.0%Dy−1.
12%B−残部Feであり、酸素含有量は490ppm
であった。
【0076】したがって、本発明の製造方法によって得
られた合金は、原料として希土類酸化物や希土類系合金
磁石廃材を用いているにもかかわらず、精製した金属原
料のみを用いて製造した比較例の合金とほぼ同等の低酸
素含有量の良質合金となり、経済的に有利な磁石合金で
ある。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、真空または不活性雰囲
気とした密閉室内で酸化物の還元と合金鋳造を同一工程
内で実施でき、かつ水洗工程がないため、従来のCa還
元法では困難であった鋳造のままで極低酸素含有量で、
かつ結晶性の良い合金製作ができる。また、金型鋳造法
よりも細かな結晶組織を有し、ストリップキャスト法に
よる場合と同等品質の合金を、安価な希土類酸化物原料
や希土類系合金廃材を用いて製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の希土類系合金製造方法に用いる製造装
置を示す概略図である。
【図2】本発明の希土類系合金製造方法によりNd
14B合金を製造する場合の概略製造工程および加熱
温度パターンを示す説明図である。
【図3】実施例1および比較例1の合金粉末のPCT曲
線を示すグラフである。
【図4】実施例1および比較例1の合金粉末を使用した
電池の充放電サイクル特性を示すグラフである。
【図5】実施例2および比較例2の合金粉末のPCT曲
線を示すグラフである。
【符号の説明】
1:坩堝 2:高周波誘導加熱コイル 3:スラグ 4:タンディッシュ 5:冷却ロール 6:粉砕板 7:合金薄片 8:容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 5/04 C22B 5/04 7/00 7/00 A 59/00 59/00 C22C 19/00 C22C 19/00 F 38/00 303 38/00 303D Fターム(参考) 4K001 AA10 AA19 AA39 BA22 DA10 GA17 GA18 HA07 4K017 AA04 BA03 BA06 BB01 BB04 BB12 BB13 CA07 DA01 DA04 EC02 ED02 EH18 FA02 FA03 FB10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱装置を備えた坩堝および溶融合金の
    急冷凝固手段を密閉室内に設けて、該密閉室内を真空ま
    たは不活性ガス雰囲気とした状態において、坩堝内の溶
    融合金を急冷凝固手段に接触させて急冷凝固合金を製造
    する方法において、希土類酸化物粉末、その他の合金成
    分粉末からなる原料粉末と、カルシウムまたは水素化カ
    ルシウムの粉末からなる還元剤との混合物を坩堝内に装
    填する第一工程、該混合物をカルシウムの融点(843
    ℃)以上1200℃以下の所定温度に加熱することによ
    ってカルシウム還元反応させる第二工程、次いで、12
    00℃を超える所定温度に急速加熱して溶融合金とスラ
    グを形成する第三工程、所定温度に達したら該溶融合金
    をスラグと分離しながら坩堝から流出させて冷却ロール
    またはディスクに接触させることによって急冷凝固する
    第四工程、とからなり、急冷凝固のままで極低酸素含有
    量でかつ微細で均質な結晶組織の合金を製造することを
    特徴とする希土類酸化物の還元による希土類系合金の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 密閉室内にタンディツシュを設け、坩堝
    から溶融合金を該タンディツシュに流出させ、次いで、
    該タンディツシュの細孔から溶融合金を噴出させて冷却
    ロールまたは冷却ディスクに接触させることにより急冷
    凝固することを特徴とする請求項1記載の希土類系合金
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 第三工程において、カルシウムの沸点
    (1492℃)以上に加熱して還元反応における過剰の
    金属Caを蒸発させることを特徴とする請求項1または
    2記載の希土類系合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 急冷凝固したままで極低酸素含有量の合
    金中の酸素含有量が600ppm以下であることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の希土類系合
    金の製造方法。
  5. 【請求項5】 希土類酸化物の一部または全部は、希土
    類系水素吸蔵合金電極廃材または希土類系合金磁石の廃
    材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載の希土類系合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の製
    造方法によって製造された二次電池用負極材料または水
    素供給用貯蔵媒体として用いられる鋳造のままで酸素含
    有量が600ppm以下でかつ微細で均質な結晶組織の
    希土類系水素吸蔵合金。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかに記載の製
    造方法によって製造された鋳造のままで酸素含有量が6
    00ppm以下でかつ微細で均質な結晶組織の希土類系
    合金磁石。
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