JP4818547B2 - 遠心鋳造方法、遠心鋳造装置、それにより製造した合金 - Google Patents

遠心鋳造方法、遠心鋳造装置、それにより製造した合金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、希土類金属、高融点金属、非金属等の急冷凝固による鋳造方法、鋳造装置、鋳造した合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、HDD(ハードディスクドライブ)等のパソコン周辺機器、AV機器、家電機器等の高性能化,軽量化,小型化に伴いNd系(ネオジム系)に代表される希土類焼結磁石の需要が急激に増加している。その代表的な合金は、鉄,ボロンを加えたNd2Fe14B組成に代表されるNd−Fe−B系合金である。
これら希土類磁石は磁気特性の向上あるいは資源的に制限の多い希土類元素を有効活用し経済性を高めるため、更には耐熱性,耐食性等の使用性能を高めるため、Ndの一部をDy(ディスプロジム)、Pr(プラセオジム)等の希土類元素で置換される場合が多く、Feの一部はCo,Al,Cu等で置換あるいはこれらの元素が添加される場合が多い。
以下、これらの磁石を含めて、特に希土類元素をNdに限定する必要が無い場合、R−T−B系希土類磁石(R:希土類元素、T:遷移金属元素)と総称する。
一般に工業生産されているR−T−B系希土類磁石は全て化学量論組成であるR214B組成よりR含有量を若干多くした組成としており、磁石合金インゴット中には希土類元素の濃度の高い相(以下Rリッチ相と呼ぶ。)が生成する。
Rリッチ相はR−T−B系希土類磁石において次のような重要な役割を果たすことが知られている。
(1)融点が低いため、磁石化工程の焼結時に液相となり磁石の高密度化、従って残留磁束密度の向上に寄与する。
(2)粒界の凹凸を無くし逆磁区のニュークリエーションサイト(nucleation site)を減少させる働きをもつ。また、Rリッチ相は非磁性であり主相を磁気的に絶縁することから保磁力を高める。
(3)Rリッチ相が水素を吸収し膨張することを利用し、鋳造塊を解砕する場合に水素を吸収させRリッチ相を膨張させ、その結果、合金鋳塊内部にクラックを発生させ解砕することができる。Rリッチ相はいわゆる水素解砕の基点となる。
【0003】
近年、R−T−B系希土類磁石において磁気特性、特に最大磁気エネルギー積(BHmax)をさらに向上させた磁石の開発が行われている。このような高性能磁石においては磁性を担うR214B相(以下T1相と呼ぶ。)の比率を高め、Rリッチ相を減少させる必要性から希土類元素の合計含有量(以下TRE量と呼ぶ。)を減らし、化学量論組成に近い組成とする必要が生じている。
その場合、合金の製造工程、磁石の製造工程において最終製品の磁石磁気特性に影響する次のような問題点が発生する。
第一に、合金の溶解鋳造時の、例えばNd−Fe−B三元系合金において、T1相は初相のγFeと液相との包晶反応により生成することから、TRE量(Rの合計量)の減少と共にγFeの変態したαFe相が生成し易くなる。このαFe相はデンドライト状に生成し、合金内に三次元的に繋がっているため磁石製造工程における粉砕性を著しく阻害する。
第二に、TRE量を減少させると、Rリッチ相の存在割合が減少するため、先に述べたRリッチ相による磁石の高密度化、保磁力の向上効果が期待できなくなる。
【0004】
このような問題を解決する鋳造方法としてストリップキャスティング法(SC法)が開発された(例えば特開平5−222488号公報、特開平5−295490号公報)。SC法とは、溶解した合金を水冷した銅製の回転ロールにタンディッシュを介して導き、ロールに触れて凝固したストリップ状のインゴットを連続して生成させ、その後、粗粉砕して最終的にフレーク状のインゴットを得る方法である。
R−T−B系希土類磁石合金をSC法にて鋳造する場合、厚さは0.2〜0.4mm程度の非常に薄いものとすることができ、凝固冷却を急速にできるため、溶湯はγFeの共存する液相を通りぬけ、γFeを生成せず直接T1相が生成する。例えばNd−Fe−B三元系合金では、400kJ/m3以上の高性能磁石の製造が可能な、Nd含有量が12.7原子%(28.5質量%)程度の低いNd範囲までデントライト状αFe相の生成なしに鋳造が可能となっている(Y.Hirose,H.Hasegawa,S.Sasaki and M.Sagawa,Proceedings of the 15th international Workshop on Rare−Earth Magnets and their Applications,Volume 1,page77−86,30 August−3 September 1998,Dresden,Germany)。
【0005】
SC法により鋳造された合金は凝固速度が速いため短軸方向の結晶粒径が20〜30μmと比較的小さい。図7に、SC法にて鋳造され、R含有量が11.8原子%(26.5質量%)以上のR−T−B系希土類合金の断面組織を略図として示す。図7においては、下面がインゴットの鋳型に接した面(鋳型面と称する)であり、上面がその反対側の面(自由面と称する)になる。
214Bの化学量論組成より過剰のR成分は凝固の際、凝固界面から排出され、3〜10μm程度の間隔の、ラメラー状のRリッチ相30を生成する。このRリッチ相30は結晶粒29の結晶粒界28及び粒内にも生成され、従来の箱型の鋳型に鋳込んだ合金と比べてRリッチ相30が微細均一に分布している。従って水素解砕時の粉砕性は著しく改善され、解砕粒子は結晶粒径の数分の一の大きさとなる。すなわちすべて単結晶粒子からなる粉末を得ることができる。なお、図中、符号32で示される領域がT1相である。
このような単結晶粒子よりなる粉末は、その後の磁場成形時に磁化容易軸のC軸方向に配向した成形体を得やすく都合がよい。
しかし、水素解砕を行わない機械的な解砕のみの場合、割れは粒界、粒内のRリッチ相を利用せずヘキ開破壊様式にて粒内を貫通して伝播するため、粉砕粒の中に結晶粒界28が含まれ単結晶でない粉末粒子が増えることになる。この結果、磁場成形時に配向度が低下するため焼結後の磁化、磁気エネルギー積が低下することになる。
【0006】
本発明者らは別の急冷凝固法として、回転する鋳型の内側に配置した、往復運動し複数個のノズルを備えた箱型のタンディッシュを介して、溶湯を回転鋳型の内側に堆積凝固させる方法(CC(Centrifugal Casting)法)と装置を発明した(特開平08−13078号公報、特開平08−332557号公報)。
CC法では既に堆積凝固したインゴットの上に次の溶湯が順次注がれ、追加鋳造されたその溶湯は鋳型が1回転する間に凝固するため、凝固速度を速めることができる。そして、後から注がれる溶湯は既に凝固したインゴットの表面で溶け合い、結晶はエピタキシャルに成長するため、SC法より数倍大きな結晶粒径を有した合金の製造が可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CC法でR含有量の低い合金を製造しようとすると、高温域の冷却速度が遅いためSC法と比較してデントライト状αFe相の生成が避けられない。例えばNd−Fe−B三元系合金では、Ndが14.4原子%(31.5質量%)程度以下になるとデントライト状αFe相の生成がみられてしまう。SC法ではこれが見られない。
CC法で凝固冷却速度を速めようとするために溶湯の堆積速度を小さくすれば、凝固インゴットの温度が低下し、追加された溶湯堆積層の温度低下速度が速まり凝固冷却速度が速まることになる。しかし、CC法にて堆積速度を小さくするには、以下のような課題がある。
(1)堆積速度は溶湯の単位時間あたりの供給量(供給体積)を、鋳型の有効内面積で除した値であり、鋳型の有効面積を大きくすれば良いことになる。すなわち溶解鋳造量に対して大きな内径、あるいは大きな長さの鋳型を用いればよいことになるが,設備が大型化し大きなチャンバーが必要となり、不活性ガスの消費量も増加し経済性が低下する。
(2)溶湯の供給量を減らし堆積速度を小さくするためには、タンディッシュ内の溶湯のヘッドを小さくする必要がある。その場合、溶湯供給が不均一となり鋳型の長手方向に均一の厚さのインゴットを得ることが難しくなる。従って溶湯の堆積速度も長手方向でばらつくことになり、インゴットの組織が不均一となる。
(3)溶湯の供給量を減らすとタンディッシュ内での溶湯の温度低下が著しくなり安定した鋳造が難しくなる。
(4)堆積速度を小さくすると得られたインゴットの表面に凹凸が形成しやすくなり商品価値が低下する。
【0008】
以上は、R−T−B系希土類磁石合金について述べたが、二次電池の一つとして近年需要が増えているニッケル水素電池の負極用材料として用いられるミッシュメタルニッケル系の水素吸蔵合金についても同様な問題がある。
ミッシュメタルニッケル系の水素吸蔵合金の基本となる金属間化合物は、Ce,La,Nd,Pr等の希土類元素の混合物であるミッシュメタルMと、Niを基本とする遷移金属Tの比率が1:5のM15相である。
遷移金属TはNiを主要元素として、水素吸収放出の平衡圧の調整ならびに負極としての触媒特性、電池としての充放電繰り返し特性等の諸特性を改善するため、Co,Al,Mn,Cu等の元素が添加されている。
15相は、デントライト状αFe相の生成のような問題は生じないが、通常の箱型の鋳型を用いた鋳造では添加元素中のMnが偏析し、充放電繰返し特性を低下させる。そのため磁石用合金と同様に、ミッシュメタルニッケル系水素吸蔵合金においても超急冷法やSC法で製造する方法が提案されている(特開平05−320792号公報)。
【0009】
しかしながらこのような急冷法では、インゴットに残留ひずみが残りやすく、それにより水素吸蔵特性が低下するといった問題がある。
発明者らは、ミッシュメタルニッケル系水素吸蔵合金についてもCC法による製造法を考案したが(特開平09−180716号公報)、凝固冷却速度が遅いためMnの偏析が避けられなかった。また、Ti、Mo、Nb、V、W、Ta、Cr等の高融点金属およびそれを含む合金や金属間化合物は、均一に溶解すること自体も難しく、適当な急冷凝固法は未だ開発されていない。
【0010】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、従来のCC法よりも凝固冷却速度の高い鋳造方法、鋳造装置を提供することを目的とする。そしてこの鋳造方法により、デントライト状αFe相の発生、あるいはMn等の偏在相を抑え、高性能のR-T-B系希土類磁石用合金やミッシュメタルニッケル系水素吸蔵合金等を提供することを目的とする。また従来では鋳造することが困難であった、Ti、Mo、Nb、V、W、Ta、Cr等の高融点金属を含む合金の鋳造方法、鋳造装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意努力検討した結果、本発明に到達した。
本発明に係る遠心鋳造方法の1つは、溶湯を回転体に注ぎ、該回転体の回転によって溶湯を飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型の内面で堆積凝固させる遠心鋳造方法で、回転体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとが平行にならないようにしたものである。
この回転体として底部と側壁を有した容器状で、該側壁に孔部が形成されたものを使用し、該容器状回転体の開口部に溶湯を注ぐことにより前記孔部から溶湯を飛散させるようにしたものが望ましい。
回転体の回転方向と前記円筒状鋳型の回転方向とは同一方向であることが望ましい。
本発明の他の遠心鋳造方法は、金属含有原料体を回転させながら加熱溶解して、溶解した溶湯を回転により飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型の内面に堆積凝固させる遠心鋳造方法で、金属含有原料体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとが平行にならないようにしたものである。
この場合、金属含有原料体の回転方向と円筒状鋳型の回転方向とが同一方向であることが望ましい。
【0012】
これらの遠心鋳造方法では、溶湯が回転体の回転により、または金属含有原料体の回転により1G以上の力を受けるようにすることが望ましい。
さらに、溶湯が円筒状鋳型の回転により3G以上の遠心力を受けるようにすることが望ましい。
また、回転体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θが5度〜40度の範囲内であることが望ましい。
同様に、金属含有原料体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θは5度〜40度の範囲内であることが望ましい。
また、円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度は0.015cm/秒以下とすることが望ましい。
さらに、円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度を0.010cm/秒以下とすることがより望ましい。
さらに、円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度を0.005cm/秒以下とすることがより望ましい。
また、溶湯の凝固開始温度をT(K)としたとき、該溶湯が円筒状鋳型内壁へ堆積凝固する時のインゴットの平均表面温度が0.4T〜0.8Tとなるようにすることが望ましい。
【0013】
本発明に係る遠心鋳造装置の1つは、回転可能な円筒状鋳型と、該円筒状鋳型内に設けられた回転体と、該回転体に溶湯を注ぐ供給装置とを具備し、回転体は、前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとが平行にならないように設けられ、回転体に注がれた溶湯が回転体の回転力によって飛散し、前記円筒状鋳型の鋳型内壁に堆積凝固するようにしたものである。
本発明の他の遠心鋳造装置は、回転可能な円筒状鋳型と、金属含有原料体をその少なくとも先端が該円筒状鋳型内に位置するように装着し、金属含有原料体を回転させる回転駆動機構と、アークまたはプラズマアークを発生させて前記金属含有原料体を溶解する溶解装置とを具備し、円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとが平行にならないように設けられ、溶解した金属含有原料体が回転による遠心力によって飛散し、前記円筒状鋳型の鋳型内壁に堆積凝固するようにしたものである。
これらの遠心鋳造装置では、円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θ、または、円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θが、溶湯の堆積時に可変とされていることが望ましい。
これらの遠心鋳造装置では、円筒状鋳型及び/または回転体が、または、円筒状鋳型及び/または金属含有原料体が、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動可能とされていることが望ましい。
【0014】
本発明の遠心鋳造方法では、円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θ、または、円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θを溶湯の堆積時に変化させることが望ましい。
また、円筒状鋳型及び/または回転体を、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動させることが望ましい。
同様に、円筒状鋳型及び/または金属含有原料体を、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動させることが望ましい。
本発明の遠心鋳造方法は、希土類磁石合金の鋳造に適している。
希土類磁石合金としては、希土類元素としてNd、Pr、Dyのいずれか一種以上を含むものが好適である。
特に、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%含むことが望ましい。
さらには、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.8〜14.4原子%含むことがより望ましい。
また、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.8〜13.5原子%含むことがより望ましい。
また、本発明は、R(R:少なくともNd、Pr、Dyのいずれか一種を含む希土類元素)−T(T:Feを含む遷移金属)−B系希土類磁石合金の鋳造に好適である。
【0015】
本発明の遠心鋳造方法で得られた希土類磁石合金を900〜1150℃の範囲内の温度で熱処理することで希土類磁石合金を製造できる。
また、本発明の遠心鋳造方法で得られた希土類磁石合金を、粉砕、又は、900〜1150℃の範囲内の温度で熱処理後に粉砕することで希土類磁石用合金粉末を製造できる。
また、この製造方法で得られた希土類磁石用合金粉末を使用して焼結磁石が得られる。
また、これらの製造方法で得られた希土類磁石用合金粉末をHDDR処理して異方性ボンド用磁石粉末が製造できる。
そして、この異方性ボンド用磁石粉末を使用して異方性ボンド磁石を製造できる。
【0016】
また、本発明により、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%の範囲内で含有し、鋳造品の厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、前記鋳造品の厚さが3〜30mmの範囲内である希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%の範囲内で含有し、鋳造品の厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、長軸径が1000μm以上の結晶粒が占める面積率が10〜98%の範囲内である希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石合金で、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、前記鋳造品の厚さが3〜30mmの範囲内であるR−T−B系希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石合金で、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、長軸径が1000μm以上の結晶粒が占める面積率が10〜98%の範囲内であるR−T−B系希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%の範囲内で含有し、鋳造品厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、鋳造品の厚さが3〜30mmの範囲内である希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%の範囲内で含有し、鋳造品の厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、長軸方向1000μm以上の結晶粒が占める面積率が50〜98%の範囲内であり、鋳造品の厚さが3〜30mmの範囲内である希土類磁石用合金が得られる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%の範囲内で含有し、鋳造品厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、長軸方向1000μm以上の結晶粒が占める面積率が50〜98%でかつ短軸方向の平均結晶粒径が60μm以上であり、鋳造品の厚さが3〜30mmの範囲内である希土類磁石用合金が得られる。
これらの希土類磁石用合金においては、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素の合計が、11.8〜14.4原子%の範囲内であることが望ましい。
さらに、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素の合計が、11.8〜13.5原子%の範囲内であることがより望ましい。
また、鋳造品の厚さが、5〜20mmの範囲内のものが望ましい。
【0017】
本発明は、希土類系水素吸蔵合金の鋳造に好適である。
特に、希土類系水素吸蔵合金がミッシュメタルニッケル系であることが望ましい。
鋳造する金属、合金、金属間化合物の融点または凝固開始温度は1400℃以上であることが望ましい。
また、金属、合金、金属間化合物にTiが含まれるものを鋳造できる。
上記希土類磁石合金を二合金混合法による希土類磁石用の主相系合金とした希土類磁石合金が望ましい。
また、上記希土類磁石用合金粉末を二合金混合法による希土類磁石用の主相系合金粉末とした希土類磁石粉末が望ましい。
上記希土類磁石用合金を使用して焼結磁石が製造される。
特に、上記希土類磁石粉末からなる主相系合金粉末と、Nd、Pr、Dyの元素の合計割合が前記主相系合金粉末中のNd、Pr、Dyの元素の合計割合よりも多い粒界相系合金粉末とを混合して焼結磁石が製造される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る1つの遠心鋳造方法は、溶湯を回転体(この回転体の回転軸をRとする。)に受け、該回転体の回転によって溶湯を飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型(この円筒状鋳型の回転軸をLとする。)の内面で堆積凝固させ、溶湯の堆積凝固物(インゴット)を製造する遠心鋳造方法であって、回転軸Rと回転軸Lとの間に形成される傾斜角度θが0にならないように、即ち、回転軸Rと回転軸Lとが平行にならないようにしたものである。
この方法を実施する遠心鋳造装置を図1を用いて説明する。
図示例の遠心鋳造装置では、溶解チャンバー1と鋳造チャンバー2とが接続されて、密封されている。そして、溶解チャンバー1中にルツボ3が配備され、鋳造チャンバー2中に、円筒状鋳型4が配備されている。
ルツボ3は、金属、合金、金属間化合物等を加熱溶解し液体状として溶湯31とする。溶解方法としては抵抗加熱、誘導加熱による方法やアーク溶解、プラズマアーク溶解による方法等が例示できる。また溶解する雰囲気としては、大気中、真空中、不活性ガス雰囲気中などがある。本発明の遠心鋳造方法は特に、希土類元素や高融点金属を含む物質の鋳造に適しており、この場合の溶解方法としては、真空中あるいは不活性ガス中での高周波誘導加熱、あるいはプラズマ加熱が適している。不活性ガスとしては、通常アルゴンガスが使用されるが、冷却速度を速めるときには熱伝導度が大きいヘリウムガスが好ましい。また、溶解方法としてプラズマアークを用いる場合は、不活性ガスと共に水素ガスを併用すると溶解エネルギーを増加できるため好ましい。
【0019】
円筒状鋳型4は回転軸Lを中心に回転可能に鋳造チャンバー2内に設けられ、図示例では、その外周面に鋳型駆動機構8が接続されており、この鋳型駆動機構8の回転駆動力に応じて回転されるようになっている。円筒状鋳型4の一側面には、貫通孔が形成されており、後述する溶湯の供給装置が挿入される。
この円筒状鋳型4内には、回転体5が配備され、また、ルツボ3中の溶湯を回転体5に注ぐ供給装置が溶解チャンバー1から鋳造チャンバー2にかけて設けられている。図1に示す例では、供給装置は溶湯を流動させて回転体5に導く湯道6により構成されている。
回転体5には、回転駆動機構9が接続されており、回転軸Rを中心に回転するようになっている。即ち、回転駆動機構9に設けられている駆動モータ10により発生した駆動力が回転体5に伝達され、回転するようになっている。そして、回転体5に注がれた溶湯31は、回転体5の回転によって周囲に向けて飛散し、円筒状鋳型4の内壁に堆積凝固し、インゴット7が製造される。
尚、図1に示す例では、回転駆動機構9は供給装置である湯道6と同方向側から回転体5に接続されているが、これに限られるものではない。例えば、円筒状鋳型の2つの側面の貫通孔を形成し、湯道6とは反対側から回転体5に回転駆動機構9を接続してもよい。
【0020】
回転体の形状としては回転軸Rを中心とした回転対称形や、その回転対称形に部分的に突起物、溝部、孔部等を有するものが好ましい。例えば、図2(a)に示すように円盤状の回転体、図2(b)に示すように中心が窪むような斜面からなる回転体、図2(c)に示すように中心が突出するようなコーン状の回転体が挙げられる。さらに、これらの表面に突起部や溝部を有する形状でもよく、また、図1に示されているように、底部と側壁を有する容器状で、その側壁に複数の孔部11を有する形状でもよく、特にこの容器状回転体が好ましい。容器状回転体の場合、溶湯はその内部に供給され、回転する回転体の遠心力により、溶湯は側壁に形成されている孔から飛散する。
尚、図2においては、溶湯の供給方向は図の上方からで、各回転体には、溶湯の供給の反対側に回転駆動機構9が接続されている例を示している。
このように、溶湯を回転体で飛散させることにより、しかも、回転体の熱容量を小さくすることにより、溶湯を回転体上で凝固させず、円筒状鋳型の内壁にて堆積凝固させることができる。
【0021】
本発明の回転体5は、従来のCC法で用いる箱型のタンディッシュより体積をかなり小さくすることができるため、熱容量を小さくできる。すなわち、溶湯の単位時間当たりの供給量が少なくても、放熱が少なく、溶湯の温度低下が避けられるようになる。
溶湯の円筒状鋳型への平均堆積速度は溶湯の単位時間当たりの鋳造量(体積)Vを鋳造面積Sで除した値V/S(単位は、cm/秒)であるが、本発明の遠心鋳造方法および遠心鋳造装置は、Vを小さく、Sを大きくできるため従来の鋳造装置よりV/Sを小さくすることが容易となる。
本発明の回転体5の材質は、耐熱性、熱伝導度等を考慮すれば、鋼材、ステンレス鋼や銅合金等を用いて作製するのが好ましい。また溶湯と直接接する部分には断熱保温性の良好な耐火物をライニングすることが好ましい。具体的な耐火物としては、アルミナ質、ムライト質、ジルコニア質、カルシア質、マグネシア質等が例示できる。特に、R−T−B系希土類合金あるいはミッシュメタルニッケル系水素吸蔵合金を鋳造する場合においてはライニング材としてアルミナ質の耐火物を用いることが好ましい。また、高融点の金属を鋳造する場合には、熱伝導性の良い純銅あるいは銅合金を選択し、必要に応じて水冷することが好ましい。
【0022】
本発明の回転体5の寸法は、溶解鋳造量および注湯速度に合わせて選ぶ必要がある。例えば溶解鋳造量が50kgから500kgの範囲において、上部が開口した側壁が円筒状の容器状回転体を用いる場合は、内径として200mmから400mmの範囲内で選ぶことが好ましい。容器状回転体の長さは必ずしも制約はないが一般的には内径よりやや小さめとするのが好ましい。
回転体が容器状回転体であって、溶湯を飛散させるための孔部11を形成する場合、孔部11は容器状回転体の内側から外側に側壁を貫通させて形成し、また、鋳型内に均一に分散させ、より均質の微細組織のインゴットを得るためにも孔部11の数は複数個設けることが望ましい。個々の孔部11は、特に溶湯の温度低下のために鋳造初期に発生しやすい孔部閉塞を防ぐためには、直径を1mm以上とし、より望ましくは直径1.5mm以上とする。一方で、インゴットの均質性を向上するためには直径は5.0mm以下、さらに望ましくは直径が3.0mm以下とするのが望ましい。孔部の径は容器状回転体5に設ける孔部の数を多くするときは小さめとし、少なくするときは大きめとする必要がある。目安として、孔部の開口部の総面積、すなわち、各孔部の直径をD、個数をNとして、N×πD2/4が一定となるような種々の組合せの中から選択することが好ましい。回転体の回転速度は、次のような要因を考慮して決める。即ち、回転体から噴出される溶湯流の流出速度が、上部方向に飛ぶときも鋳型の内壁に到達できるよう、さらに十分な速度を維持して衝突できるように、十分な回転速度となるようにする。例えば容器状回転体の場合、溶湯の粘性を無視すれば、溶湯の容器状回転体の半径方向へ流出速度Vrは、容器状回転体の側壁に遠心力によって押しつけられた円筒状の溶湯の幅をh、容器状回転体の内壁面での遠心力をαとして、Vr=(2αh)1/2で与えられる。αは、容器状回転体の内壁面の直径をDi、回転速度をRt(単位時間当り回転数)として、α=2Di×(πRt)2で与えられるため、Vr=2πRt(Dih)1/2となる。この速度と容器状回転体の円周方向の周速度Vsとのベクトル和、すなわち、容器状回転体の外壁部の直径をRoとして、Vs=π×R0×Rtとのベクトル和が、重力の影響による減速を考慮しても十分な速度を維持して、鋳型の内壁面に衝突するような条件を選定する必要がある。
回転体5の回転によって飛散された溶湯は、回転軸Lで回転する円筒状鋳型4の内面で堆積凝固する。
この際、回転体の回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θが0でないように、即ち、回転軸Rと回転軸Lとが平行にならないようにする。堆積凝固とは、溶湯を一度鋳型壁または既に堆積凝固しているインゴット上にて衝突させた後に凝固させることを意味する。また、鋳造中に既に堆積凝固している凝固膜をかき落としながら鋳造を行っても良いし、また凝固膜の上に更に追加して溶湯を堆積させ凝固させても良い。本発明では特に、既に凝固している膜の上に更に追加して溶湯を堆積させることにより、エピタキシャル成長を促進し、大きな結晶粒径を実現することができる。
【0023】
本発明で堆積凝固する溶湯は、円筒状鋳型の内壁への遠心力による押しつけにより均質性を増し、また円筒状鋳型への熱移動が促進されるため、冷却速度を増やすことができる。この際、回転体5の回転軸Rと円筒状鋳型4の回転軸Lとで形成される傾斜角度θが0にならないように配置し、更に回転体ならびに円筒状鋳型をともに回転させることにより、円筒状鋳型の内壁の広い範囲に溶湯を堆積凝固させることが可能となる。この場合、両者の回転速度(単位時間あたりの回転数、例えば単位rpm)を一致させると、溶湯が堆積する場所が限定されてしまい、円筒状鋳型の内側の限定された領域に厚いインゴットが形成されてしまう。この場合には、目的とする堆積速度を小さくしたインゴットを得ることができなくなるため、このような鋳造条件は避けなければいけない。また両者の回転速度が近い場合も、溶湯の堆積場所が限定されやすくなるため、均一なマイクロ組織のインゴットを得るのが難しくなる。また、両者の回転数が特定の値の場合、円筒状鋳型の内面の、特定の部位に溶湯が選択的に堆積し、堆積物の均一性が損なわれる場合があり、このような条件も避ける必要がある。
このような鋳造条件に起因する組織の不均一化を避けるため、両者の回転速度は少なくとも10%以上さらに望ましくは20%以上差を設けるのが好ましい。
本発明では、回転体5の回転軸Rと円筒状鋳型4の回転軸Lとで形成される傾斜角度θは、一般的には、0゜<θ<90゜である。この場合、回転軸Rと回転軸Lが同一平面内にない場合も含み、この際の傾斜角は、一方の回転軸を他方の回転軸を含む平面に射影し、その射影した平面における回転軸Rと回転軸Lのなす傾斜角を用いる。
【0024】
本発明の遠心鋳造装置を、円筒状鋳型の回転軸Lが地面に対して水平となるよう設置する場合、鋳型の回転速度は溶湯が鋳型の上部に達した時に溶湯が重力により落下しないように、少なくとも溶湯に加わる遠心力が1G以上となるように円筒状鋳型の回転速度を設定することが望ましい。さらに遠心力を大きくすると、鋳造された溶湯が遠心力で鋳型内壁に広がりやすくなり、冷却効果が高まり均質性も向上する。このため本発明の遠心鋳造方法では、円筒状鋳型の回転速度を好ましくは3G以上、さらに好ましくは5G以上となるように設定する。鋳型の回転軸Lを地面に対し鉛直方向に設置するときも、その回転速度を選定するときの基準は水平方向にするときと基本的には大きく変わらない。
従来のCC法では、溶湯は箱型のタンディッシュの孔部を介して、回転移動する鋳型面に、重力による自然落下により供給される。この方法では、堆積凝固したインゴットの凸部に溶湯が衝突し易く、堆積凝固したインゴットの凹凸はさらに成長する傾向がある。特に、凝固冷却速度を速くするため堆積速度を小さくした場合、溶湯が遠心力により均一に広がる前に凝固するため、凹凸が顕著になる傾向にある。このような現象により、従来のCC法で堆積速度を小さく設定すると、得られるインゴットの商品価値が極めて下がる。
対して、本発明では、溶湯の飛散に回転体や容器状回転体を用いることにより、溶湯に遠心力等を加え、溶湯をより高速度で鋳型内壁に供給するため、既に堆積凝固したインゴットに凹凸が生じていたとしても、溶湯は凹部にも均一に供給され易くなる。また、円筒状鋳型の遠心力が加わって、溶湯はより均一に広がり凝固するようになる。すなわち、凹凸の少ない滑らかな表面のインゴットを造ることができる。
【0025】
本発明に用いる円筒状鋳型の形状については、装置の作りやすさ、鋳造のしやすさ、鋳型の保守やセットのしやすさ、鋳造インゴットの取り出しやすさ等の作業性を考慮して、決めることができる。特に本発明では、回転体の回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとがある傾斜角度θを成し、あるいはその傾斜角度θが可変な構造として、また、回転体が鋳型のほぼ中央部に配置される構造であるため、円筒状鋳型の内径は少なくとも500mm以上とし、円筒状鋳型の幅は鋳型内径の2倍以下とするのが適当である。
本発明で円筒状鋳型の配置方向は必ずしも限定されない。例えばその回転軸Lが鉛直方向になるようにすることもできるし、円筒状鋳型の回転軸Lを水平方向とすることもできる。
本発明の円筒状鋳型の材質としては、一般的には入手性、加工のし易さから鋳鉄、あるいは例えば、JIS G 3193で規定される熱間圧延鋼板や、JISG 3106で規定される溶接構造用圧延鋼材等の鋼材を用いて造ることが望ましい。さらに鋼材より熱伝導の良好な銅あるいは銅合金を用いることができる。
鋳型の厚さは、インゴットの冷却能に影響することから、その選定は重要である。本発明では、鋳造しようとするインゴットの厚さに対し3倍以上の鋳型厚さ、さらに好ましくはインゴットの厚さに対し5倍以上の鋳型厚さとすることにより冷却能を大きくすることができる。これにより、鋳造終了後のインゴットの冷却速度を高め、また鋳造後のインゴットを取り出す際のインゴットの酸化を抑制し、また作業者への熱的な負荷を低減することができる。
【0026】
上述した例では、ルツボから溶湯を回転体に供給し、その回転体を回転させることによって溶湯を飛散させて円筒状鋳型の内壁に堆積凝固する手段を説明したが、これに限られるものではない。
例えば、図3に示すように、棒状に成形した金属含有原料体25を回転駆動機構9に装着し、この金属含有原料体25を回転させながら、アークまたはプラズマアーク27を発生する溶解手段で溶解しても良い。即ち、溶解手段としてプラズマトーチ26を用い、金属含有原料体25をプラズマアーク27で溶解すればよい。プラズマトーチ26にはアーク電流導入線33により電流が供給される。
この際、図4に示すように、溶解位置を金属含有原料体25の先端における回転軸R上から若干ずらすことにより、溶湯は金属含有原料体25の回転に伴う遠心力により回転軸Rとほぼ直角方向に飛散させることができる。この飛散した溶湯を、回転軸Lを中心にして回転する円筒状鋳型4の内表面に堆積凝固させる。
金属含有原料体25の回転駆動機構9への装着手段は特に制限されるものではなく、ねじ込みや、挟持、溶接等の周知の種々の手段を適用できる。
この方法であれば、溶解手段を要するが、金属含有原料体を直接回転させるものなので、ルツボ、湯道、回転体を省略することができる。
上述した本発明の遠心鋳造方法では、回転体または金属含有原料体の回転方向と円筒状鋳型の回転方向とを同じにするのが好ましい。回転方向を逆にした方が回転体または容器状回転体と円筒状鋳型との相対速度は上がるが、この場合には溶湯が円筒状鋳型に衝突する際の溶湯の入射角が小さくなり、溶湯が円筒状鋳型に乗らずに飛散する溶湯スプラッシュと呼ばれる現象が発生しやすく、歩留まりの低下を招く。
【0027】
本発明では、溶湯の平均堆積速度を小さくする効果を増すため、回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとが成す傾斜角度θを、好ましくは5度以上、より好ましくは10度以上、最も好ましくは15度以上とする。しかしながら、40度を超えて円筒状鋳型と容器状回転体等を配置するのは装置の構造上困難であるだけでなく、回転体等から飛散し鋳型に衝突した溶湯の溶湯スプラッシュが発生し易くなり、鋳型の外に飛散してしまう溶湯の比率が増え、歩留まりが低下しやすくなる。このため本発明の鋳造方法では傾斜角度θは、35度以下が好ましく、30度以下がより好ましい。
さらに、円筒状鋳型の回転軸Lと回転体または金属含有原料体の回転軸Rとの成す傾斜角度θを、上記の範囲内で変化させながら鋳造することがより望ましい。これは、傾斜角度θを固定すると、円筒状鋳型の内壁の両端付近でインゴットが厚くなり、逆に内壁の中央付近でインゴットが薄くなりやすいからである。傾斜角度θを変化させながら鋳造することにより、得られるインゴットの厚さ分布をより均一化することができる。この場合は、一時的に傾斜角度θが0となることは当然含まれて良い。例えば、傾斜角度θを−20度から20度の範囲で連続的あるいは不連続的に変化させることができる。この際、傾斜角度θが、5度〜40度の範囲内の角度を含むようにすることが好ましい。
【0028】
また、本発明では、円筒状鋳型4または回転体5を鋳造中に回転軸Lに沿って往復運動させることも、溶湯の堆積凝固物を円筒状鋳型の内面で、均一な厚さ分布としやすくなる。即ち、円筒状鋳型4と回転体5とを相対的に移動させればよく、円筒状鋳型4を往復運動させなくとも、回転体5のみを回転軸Lに沿って往復運動させても良い。この際、傾斜角度θを変化させる機構、および回転軸Lに沿って円筒状鋳型等を往復運動させる機構は、それぞれを単独で作動させてもよいが、同時に作動させるとより好ましい。
本発明において凝固冷却速度を速くするためには溶湯の、円筒状鋳型内壁への平均堆積速度を小さく設定することが望ましい。具体的には平均堆積速度を、0.015cm/秒〜0.001cm/秒の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは0.010cm/秒〜0.001cm/秒の範囲内とする。さらに希土類元素を含む合金の鋳造で、希土類元素が約12.5原子%以下の組成では、0.005cm/秒〜0.001cm/秒の範囲内とすることによりデントライト状αFe相の発生が低減され特に好ましい。このような範囲の堆積凝固速度とすることにより、インゴットへの単位時間、単位面積当たりの入熱が小さくなり、鋳造中のインゴットの表面温度が低下し、追加供給された溶湯の堆積層の凝固冷却速度を速くすることが可能となる。
【0029】
本発明によると、追加供給された溶湯の堆積層は既に凝固しているインゴット表面層と融着し合い、結晶はエピタキシャルに成長させることができるので、結晶は厚さ方向と直角方向にも成長し、SC法に比べて十分大きな結晶の合金を得ることができる。
しかしながら、堆積速度を低く設定しすぎると、鋳造中のインゴット表面温度が低くなりすぎ、融着効果が不十分となり、結晶はエピタキシャルに成長しにくくなる。この場合、目標とする結晶粒径の大きなインゴットを得るのが難しくなると共に、融着が不十分な場合には、積層界面にギャップが生じることがある。このようなギャップは熱の移動を阻害するため、十分な冷却効果が得られなくなる。
このような、現象を避けるために、本発明者らは種々の組成の合金について研究を行ったところ、鋳造する合金の凝固開始点をT(K)として、鋳造中のインゴットの平均表面温度を0.4T〜0.8Tの範囲内、より好ましくは0.5T〜0.8Tの範囲内となるようにすれば良いことが分かった。鋳造中のインゴットの表面温度は、鋳造チャンバーに測定窓を形成し、その測定窓を通して放射温度計等を用いることにより測定することができる。なお、測定温度の精度を上げるためには、熱電対を用いて温度測定が可能な金属片を実際に加熱し、同じ測定窓を通して光高温計で温度を測り、熱電対の測定結果と照合し、キャリブレーションカーブを予め作成しておくことでなされる。
【0030】
本発明による遠心鋳造方法は、円筒状鋳型の内壁に溶湯を重ねながら堆積凝固させる場合の他に、溶湯を既に堆積しているインゴットの上に堆積させずに薄いインゴットまたはリボン状の堆積凝固物として得ることもできる。その場合、円筒状鋳型の周速度を高速にすればするほど、より薄いリボンを得ることができ、凝固速度を速くすることができる。このような薄いインゴットまたはリボン状の堆積凝固物を連続的に量産するためには、円筒状鋳型に堆積した凝固物を連続的に回収することが必要である。具体的には、堆積凝固物をエアナイフや機械的なスクレッパー等で鋳型から連続的にはぎ取る方法、円筒状鋳型を下側に開いた形状として堆積凝固物を下側に落とす方法、また瞬間的に鋳型を分離することによりインゴットをはぎ落とす方法を用いることができる。
本発明の鋳造方法は、従来の鋳造方法で製造することが困難であった、希土類磁石合金、希土類系水素吸蔵合金、高融点元素を含む合金の鋳造に適している。
希土類磁石合金としては、希土類元素としてNd,Pr,Dyのいずれか一種以上を含む合金、特にR−T−B系希土類磁石合金の鋳造に適している。
希土類系水素吸蔵合金としては、基本となる金属間化合物が、Ce,La,Nd,Pr等の希土類元素の混合物であるミッシュメタルMと、Niを基本とする遷移金属Tの比率が1:5のM15相であるミッシュメタルニッケル系合金の鋳造に特に適している。
高融点元素を含む合金としては、融点または凝固開始温度が1400℃以上である金属、合金、金属間化合物、特にTiを含む合金、金属間化合物の鋳造に適している。
【0031】
本発明の鋳造方法を用いることにより従来法では鋳造が困難であった組織の合金や、均質性の高い合金を製造することが可能となったが、鋳造後のインゴットを熱処理することによって、さらにインゴットの組織の改質や、組織の均質性を高めることが可能となる。R−T−B系希土類磁石合金の場合、熱処理温度としては900℃〜1150℃の範囲内が好ましい。熱処理温度が900℃より低いと原子の拡散が不十分であり、一方、1150℃より高いとγFeが生成する温度領域になり、冷却後にγFeの変態したαFe相が生成してしまう。また、組織の粗大化も著しくなるため不適当である。
R−T−B系希土類磁石合金の場合は、通常の鋳造方法(いわゆるブックモールド法)による鋳造品では、デントライト状αFe相の消去のために1000℃以上1150℃以下の温度で長時間の熱処理を行う場合もあるが、本発明の鋳造合金(インゴット)では、熱処理せずに粉砕のみで磁石用合金粉末として使用することが可能となる。粉砕方法は特に限定されないが、水素解砕、機械粉砕、水素解砕と機械粉砕を組み合わせた粉砕等が適用可能である。特に本発明の鋳造方法で製造したR−T−B系希土類磁石合金は鋳造後未処理(デントライト状αFe相の消去や結晶組織改質等の為の、鋳造後の熱処理等を行わない状態を指す。)のR−T−B系希土類磁石合金であっても、鋳造品厚さ方向断面にて点在して析出するデントライト状αFe相を含む組織の比率を減少させることができる。デントライト状αFe相を含む組織とは、インゴット断面の反射電子像においてデントライト状αFe相、T1相、Rリッチ相等が混在して生成している組織のことである。この組織状態になっている領域はデントライト状αFe相が生成していない主にT1相とRリッチ相からなる組織と区別することができる。また後述するように、TRE量が11.8原子%未満の場合で、デントライト状αFe相が生成していない主にT1相とラメラー状Feからなる組織とも区別することもできる。デントライト状αFe相を含む組織の面積率は、インゴットの断面観察において、厚さ方向に沿って等間に10箇所の反射電子顕微鏡写真を撮り、これらの写真を画像処理装置で解析して、上記のデントライト状αFe相を含む領域の面積を特定、算定し、写真全体の面積で割った値をパーセント表示したものである。
【0032】
本発明の鋳造方法によると従来法では得られなかった、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%(25.0〜33.0質量%)、より好ましくは、11.8〜14.4原子%(26.5〜31.5質量%)、最も好ましくは、11.8〜13.5原子%(26.5〜30.0質量%)含有し、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、鋳造品の厚さが3〜30mm、より好ましくは、5〜20mmの範囲内であることを特徴とする希土類磁石合金を得ることができる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%(25.0〜33.0質量%)、より好ましくは、11.8〜14.4原子%(26.5〜31.5質量%)、最も好ましくは、11.8〜13.5原子%(26.5〜30.0質量%)含有し、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、長軸径が1000μm以上の結晶粒が占める面積率が10〜98%の範囲内である希土類磁石用合金を得ることができる。
ここで、長軸径が1000μm以上の結晶粒が占める面積率とは、インゴットの鋳型に接した面(鋳型面)からその反対側の面(自由面)までの断面において偏光顕微鏡で連続写真を撮り、長軸径が1000μm以上である結晶粒を識別し、画像処理装置で解析して合計の面積を特定し、写真全体の面積で割った値をパーセント表示したものである。
【0033】
また、本発明によると、鋳造後未処理の希土類磁石合金で、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、鋳造片の厚さが3〜30mm、より好ましくは、5〜20mmの範囲内であることを特徴とするR−T−B系希土類磁石用合金を得ることができる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石合金で、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であり、長軸径が1000μm以上の結晶粒が占める面積率が10〜98%の範囲内であることを特徴とするR−T−B系希土類磁石用合金を得ることができる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%(25.0〜33.0質量%)、より好ましくは、11.8〜14.4原子%(26.5〜31.5質量%)、最も好ましくは、11.8〜13.5原子%(26.5〜30.0質量%)含有し、鋳造品厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、鋳造品の厚さが3〜30mm、より好ましくは、5〜20mmの範囲内であることを特徴とする希土類磁石用合金を得ることができる。
ここで実質的にデントライト状αFe相を含まない希土類磁石合金とは、鋳造品厚さ方向断面にて主に点在して析出するαFe相を含む組織が占める面積率が5%以下、より好ましくは3%以下の合金をいう。
【0034】
また本発明により、鋳造後未処理の希土類磁石用合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%(25.0〜33.0質量%)、より好ましくは、11.8〜14.4原子%(26.5〜31.5質量%)、最も好ましくは、11.8〜13.5原子%(26.5〜30.0質量%)含有し、鋳造品厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、長軸方向1000μm以上の結晶粒が占める面積率が50〜98%、より好ましくは、80〜98%であり、鋳造片の厚さが3〜30mm、より好ましくは、5〜20mmの範囲内であることを特徴とする希土類磁石用合金を得ることができる。
また、鋳造後未処理の希土類磁石合金で、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%(25.0〜33.0質量%)、より好ましくは、11.8〜14.4原子%(26.5〜31.5質量%)、最も好ましくは、11.8〜13.5原子%(26.5〜30.0質量%)含有し、鋳造品厚さ方向断面にて実質的にデントライト状αFe相を含まず、長軸方向1000μm以上の結晶粒が占める面積率が50〜98%、より好ましくは、80〜98%でかつ短軸方向の平均結晶粒径が60μm以上であり、鋳造品の厚さが3〜30mm、より好ましくは、5〜20mmの範囲内であることを特徴とする希土類磁石用合金を得ることができる。
【0035】
図8と図9に、Nd:11.6原子%、B:5.9原子%、残部Feからなる本発明の希土類磁石合金断面の反射電子顕微鏡写真を示す。図9は図8の一部を拡大したものである。図8においては、上方が自由面、下方が鋳型面である。図9においては、右方が自由面、左方が鋳型面である。
図8において、マトリックス相はT1相であり、極微量ではあるが、断面の一部に見られる濃い黒い点状の相がデントライト状αFe相である。このデントライト状αFe相の付近にある多数の白い点状の相は、組成バランスが崩れたために生成したRリッチ相である。さらに図9において、T1相の内部に、黒く非常に細い線状に見える相はラメラー状αFe相である。ラメラー状αFe相の付近には、デントライト状αFe相の付近に生成しているような白い点状のRリッチ相は生成しない。図8、9より、デントライト状αFe相とラメラー状αFe相を区別することは極めて容易である。
また、図10に、SC法にて鋳造した同組成の合金の、断面の反射電子顕微鏡写真を示す。図10では、灰色に見えるマトリックス相のT1相の他、断面中央部付近から自由面側(図中、右側)に渡って多数の濃い黒い点状のデントライト状αFe相が見られる。このデントライト状αFe相の付近には、組成バランスが崩れたために生成した多数の白い点状のRリッチ相がみられる。一方、ロール面側(図中、左側)から断面中央部付近にかけて、細く黒い線状のラメラー状αFe相がみられる。
一般に、Nd-Fe-B系希土類磁石合金では、Nd量が少なくなるほど、デントライト状αFeが生成し易くなる。このようなデントライト状αFeが生成しないようにするには、Ndの一部をDyで置換するか、B量を増やす等の対策が必要となる。実際に、上述のSC法にて鋳造したNd-Fe-B三元系希土類磁石合金では、多量のデントライト状αFeが生成している。ところが、本発明の希土類磁石合金では、Ndの一部をDyで置換したりB量を増やしたりすることなく、デントライト状αFeの生成を抑えることができる。
【0036】
以上のように、本発明の希土類磁石合金の場合、TRE量(Rの合計量)がR214B相のR量以下の11.8原子%未満であっても、公知の組織で見られるようなデントライト状のαFeの生成を抑え、余分のFe成分をラメラー状に生成させることができる。また、ラメラー状αFe相の厚みは非常に薄いので、磁石製造工程における粉砕性には何の悪影響も与えない。
ここで短軸方向の平均結晶粒径とは、次の手順で測定する。インゴット断面の鋳型面から自由面までの断面において、厚さ方向に沿って等間に10箇所の偏光顕微鏡写真を撮る。これらの写真上で柱状結晶の成長方向に対して垂直に各写真5本づつ等間隔に直線を引き、一つの直線と結晶粒界の交点の数をNとする。直線の長さをLとすると、次式により1点の平均結晶粒径が得られる。
(短軸方向の平均結晶粒径)=L/(N+1)
そして、50点の値を平均してそのインゴットの短軸方向の平均結晶粒径とする。
【0037】
本発明の遠心鋳造方法を用いることにより、磁気特性に優れた希土類合金を製造することができる。特に、従来のSC法、CC法より厚い3〜30mm厚のインゴットを鋳造することができる。また従来はブックモールド法でしか得られなかった、長軸径1000μm以上の結晶粒が占める面積率が10〜98%の範囲内であるような大きな結晶粒が得られ、かつブックモールド法では得られない、デントライト状αFe相を含む組織の面積率10%以下の鋳造品が鋳造後未処理であっても得られる。
この鋳造合金を解砕し、焼結磁石として製造したものは、磁場成形時の配向度が低下せず焼結磁石として好適である。またこの鋳造合金を粉砕後、水素雰囲気にて高温加熱、排気処理を行い配向した結晶粒を得るいわゆるHDDR処理(水素化相分解・脱水素再結合処理)を行うことにより、異方性ボンド磁石用の粉末として好適であり、これを用いて製造した異方性ボンド磁石は優れた磁気特性を有する。
鋳造したインゴットあるいはその熱処理品の粉砕にはジェットミル、ボールミル、振動ミル等の粉砕機を用いることが可能であり、粒径を好ましくは2〜5μmの範囲内、より好ましくは3〜4μmの範囲内とする。粉砕粒の粒度測定には、例えばFSSS(フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー)を用いることができる。
【0038】
希土類焼結磁石の製造方法には、1種類の希土類磁石合金粉末を磁場成形した後に焼結する一合金法がある。また、主相系合金と呼ばれるR成分プアなR−T−B系希土類合金の粉末と、粒界相合金と呼ばれるR成分リッチなR−T-B系希土類合金またはR-T系希土類合金の粉末とを混合する二合金混合法がある。この二合金混合法における主相系合金は、R成分が少ないほど高特性磁石用合金として適したものとなる。ところが、上述したように、CC法の場合、R成分の含有量が14.4原子%(31.5重量%)以下になると有害なデントライト状αFe相が生成してしまう。また、SC法の場合でも、12.7原子%(28.5重量%)以下になると有害なデントライト状αFe相が生成してしまう。従って、デントライト状αFe相を消失するための高価な溶体化処理をすることなく、よりR成分が少ない主相系合金を製造することは困難であった。
しかし、本発明の遠心鋳造法で製造した合金は、Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素が合計で11.0原子%まで、鋳造品厚さ方向断面にてデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が10%以下であることから、得られた合金は、二合金混合法における主相系合金としても好適である。さらに、長軸方向1000μm以上の結晶粒が占める面積率が50〜98%であり、結晶粒が大きいことから、磁石の配向率を向上させ、その結果、残留磁束密度Brと磁気エネルギ積(BH)maxを向上させることができる。
従って、本発明の遠心鋳造法で製造した合金は、一合金法用の希土類磁石合金として好適であるばかりではなく、二合金混合法の主相系合金としても好適である。即ち、本発明の遠心鋳造法で製造した合金を二合金混合法の主相系合金として使用し、粒界相合金としてそれよりもR成分が多い通常の製法による合金粉末と混合して磁石を作ることで優れた磁石を得ることができる。
【0039】
本発明の遠心鋳造法で製造した希土類磁石合金から焼結磁石を製造する方法の概略を述べる。但し、本発明は以下の方法に限定されることはない。
まず希土類磁石用合金を、水素解砕、中粉砕、微粉砕の順に、粒径を好ましくは2〜5μmの範囲内、より好ましくは3〜4μmの範囲内まで粉砕する。粉砕粒の粒度測定には、例えばFSSS(フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー)を用いることができる。水素解砕とは、200Torr〜50kg/cm2の圧力の水素ガス雰囲気で、主に合金片のRリッチ相に水素を吸収させ、この時に生成されるR−水素化物によりRリッチ相が体積膨張することを利用して、合金片自体を微細に割ることまたは無数の微細な割れ目を生じさせることである。R成分が11.8原子%以上の合金のR214B相結晶粒の粒界にはRリッチ相がほぼ必ず存在するため、この水素解砕により、R214B相結晶粒でほぼ必ず割れ目を生じさせることができる。中粉砕に使用する粉砕装置には、例えばブラウンミル装置やディスクミル装置があり、この装置を用いてアルゴンガスや窒素ガス等の不活性雰囲気中で粒径500μm以下まで粉砕される。微粉砕に使用する粉砕機には例えばジェットミル装置があり、この装置を用いてアルゴンガスや窒素ガス等の不活性雰囲気中で粒径2〜5μmまで粉砕される。本発明の遠心鋳造法で製造した希土類磁石合金の場合、結晶粒が大きいため、水素解砕工程を省いて、ブラウンミル装置やジェットミル装置による機械粉砕のみで粉砕しても、ほとんど単結晶からなる粉末を製造することもできる。一方、水素解砕した場合は、中粉砕工程を省くことも可能である。
【0040】
本発明の遠心鋳造法で製造した希土類磁石合金のTRE量が11.8原子%以下になると、実質的にラメラー状のRリッチ相が存在しないため、上述のメカニズムを利用した水素解砕はできない。しかし、R214B相も少量の水素を吸収して膨張するので、水素雰囲気中で合金片の表面から内部へ向かって膨張・解砕させることができる。このようなTRE量が11.8原子%以下の場合でも、原子どうしの結合力はR214B相結晶内よりもR214B相結晶粒界の方が弱いので、ほぼ必ず結晶粒界で割れ目を生じさせることができる。
次に、得られた粉末を磁場成形機で成形する。金型は、キャビティ内の磁界方向を考慮して、磁性材と非磁性材を組み合わせて作製される。成型圧力は0.5〜2t/cm2が好ましい。成型時のキャビティ内の磁界は0.5〜2Tが好ましい。また、磁場成型時に粉末と金型内壁との摩擦を低減し、また粉体どうしの摩擦も低減させて配向性を向上させるため、粉末にはステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加することが好ましい。好ましい添加量は0.01〜1wt%である。添加は微粉砕前でも微粉砕後でも良いが、磁場成形前に、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中でV型ブレンダー等を用いて十分に混合することが好ましい。
二合金混合法で焼結磁石を製造する場合、磁場成形機で成形する前に、主相系合金と粒界相合金を混合しておく必要がある。混合は、水素解砕前、中粉砕前、微粉砕前、微粉砕後のうちのどの段階で実施しても良いが、磁場成形前に、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中でV型ブレンダー等を用いて十分に混合することが好ましい。
特に本発明の遠心鋳造法で製造した主相系合金のTRE量が11.8原子%以下の場合、ラメラー状のRリッチ相が実質的に存在しないため、粉砕工程および粉末での耐酸化性が向上する。
【0041】
次に、得られた磁場成形体を1000〜1150℃で焼結させる。焼結時の雰囲気はアルゴンガス雰囲気または10-2Torr以下の真空雰囲気が好ましい。保持時間は1時間以上が好ましい。なお、焼結温度に到達する前に、成形体に含まれている潤滑剤と水素を完全に除去しておく必要がある。潤滑剤の好ましい除去条件は、10-2Torr真空中またはAr減圧フロー雰囲気中、300〜500℃で30分以上保持することである。また、水素の好ましい除去条件は、10-2Torr以下の真空中、700〜900℃で30分以上保持することである。
焼結後、保磁力向上のため、必要に応じて450〜650℃で熱処理することができる。好ましい雰囲気はアルゴンガス雰囲気または真空雰囲気である。好ましい保持時間は30分以上である。
また、本発明の遠心鋳造方法により、希土類系水素吸蔵合金、特にミッシュメタルニッケル系水素吸蔵合金の鋳造を行ったものでは、Mn等の偏析はみられずニッケル水素電池の負極用材料として好適である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
組成が、Nd:12.6原子%(28.0質量%)、Dy:0.6原子%(1.5質量%)、B:6.0原子%(1.0質量%)、Al:0.7原子%(0.30質量%)、残部が鉄となるように、金属ネオジム、金属ディスプロジム、フェロボロン、アルミニウム、電解鉄の各原料を配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナるつぼを使用して高周波誘導加熱で溶解し、図1に示す遠心鋳造装置で鋳造を行った。
円筒状鋳型4は、内径が500mm、長さが500mmの大きさのものとした。容器状回転体5は、内径が250mmで、側壁に直径が2mmの孔部11を8個形成したものとした。また、容器状回転体5の回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとの成す傾斜角度θは25度で鋳造中固定とした。
鋳型内壁への平均溶湯堆積速度は0.01cm/秒とした。この時の鋳型の回転数は、遠心力が3Gとなるように、103rpmに設定し、容器状回転体5の回転速度は378rpmとし、溶湯に約20Gの遠心力を加えた。
得られた合金インゴットの厚さは円筒状鋳型4の中央部で7mm、両端部近傍の最も厚い部分で約12mmであった。その断面のマクロ組織は鋳肌部分の極一部を除いてほとんど柱状晶であった。さらに、その断面の組織を反射電子顕微鏡で観察した。その結果、デントライト状αFe相の全く存在しない、Rリッチ相も微細に分散した良好な組織となっていた。偏光顕微鏡を用いて結晶粒径を測定した結果、短軸方向の平均結晶粒径が90μmで、長軸径1000μm以上の組織の占める面積率が89%であり、磁石用合金用の原料として好適な結晶粒径であった。
【0043】
(比較例1)
実施例1で使用した原料と同じ原料を用いて、かつ同じ組成となるように溶解原料を配合し、図5に示すように、往復運動する箱型のタンディッシュ13を用いる方法により、遠心鋳造を行った。
即ち、フランジ19で接合したチャンバー17内に、ルツボ15と円筒状鋳型12を設け、ルツボ15で溶解した溶湯20を湯道14でタンディッシュ13に導き、タンディッシュ13に多数形成された孔部18から回転する円筒状鋳型12の内壁面に堆積する方法である。この際、タンディッシュ13はタンディッシュ往復運動機構16により往復運動を繰返すようになっている。
用いた円筒状鋳型12は、内径が500mm、長さが1000mmである。円筒状鋳型12の回転速度は実施例1と同様、遠心力が3Gとなるよう、103rpmに設定した。また、円筒状鋳型の内壁への平均溶湯堆積速度は0.018cm/秒とした。この鋳造方式では、これ以上堆積速度を小さくしようとすると、溶湯の温度維持が難しくなり、孔部18の閉塞等の問題が発生し易く、さらにインゴットの表面の凹凸が激しくなり商品価値が低下する。そのため堆積速度をそれより小さくすることは避けた。
得られたインゴットの平均厚さは8mmであった。このインゴットの断面の組織観察を行った結果、厚さ方向のほぼ半分、自由面側にデントライト状αFe相が多量に析出しており、デントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が15%であった。
【0044】
(比較例2)
実施例1と同じ原料を用いてかつ同じ組成となるように溶解原料を配合し、図6に示す鋳造装置を用いてストリップキャストを行った。
即ち、ルツボ21で溶解した溶湯をタンディッシュ22から水冷した銅製の回転ロール23に導き、回転ロール23に触れて凝固したストリップ状のインゴット24を連続して生成させ、その後、粗粉砕した。
用いた水冷式の銅製の回転ロール23は、外径が400mm、周速度を1m/sとした。
最終的に得られたインゴットは、フレーク状で、平均厚さが0.32mmであった。得られたインゴットの断面の組織観察を行った結果、デントライト状αFe相は認められなかったものの、偏光顕微鏡を用いて結晶粒径を測定した結果、短軸方向の平均結晶粒径が26μmで、長軸径は最大で283μmであり、またロール面付近では、微細な結晶粒が多量に見られた。
【0045】
(実施例2)
TREをさらに低くした例として、組成が、Nd:12.4原子%(28.0質量%)、B:5.9原子%(1.0質量%)、Al:0.7原子%(0.30質量%)、残部が鉄になるように、金属ネオジム、フェロボロン、アルミニウム、電解鉄を配合し、実施例1と同様の装置にて、同様に鋳造した。
但し、鋳造中、容器状回転体5を変位させて、容器状回転体5の回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θを0〜25度の間で連続的に変化させるようにした。また、平均溶湯堆積速度は0.004cm/秒とした。
この結果、インゴット断面では、デントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が3%であり、短軸方向の平均結晶粒径が75μmで、長軸径1000μm以上の結晶粒が占める面積率は90%であった。また、インゴットの厚さは、ほぼ均一となり平均10mmであった。
【0046】
(実施例3)
TREをより低くした例として、原料を組成が、Nd:11.6原子%、B:5.9原子%、残部が鉄になるように、金属ネオジム、フェロボロン、電解鉄を配合し、実施例1同様の装置にて、容器状回転体5の回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとの成す傾斜角度θを0〜25度の間で連続的に変化させて、平均溶湯堆積速度を0.003cm/秒とし、他は実施例1と同条件にて、鋳造を行った。
インゴットの厚さは、ほぼ均一となり平均6mmであった。反射電子顕微鏡によるインゴット断面の組織写真を図8と図9に示す。図9は図8の一部を拡大した写真である。図8では、灰色に見えるマトリックス相のT1相の他、少量のデントライト状αFe相と、このデントライト状αFe相の付近には、組成バランスが崩れたために生成した白い点状のNdリッチ相が生成していることが分かる。さらに図9から、T1相の内部に、黒く非常に細い線状のラメラー状αFe相が生成していることが分かる。図8、9より、デントライト状αFe相とラメラー状αFe相を区別することは極めて容易であり、デントライト状αFe相を含む組織が占める面積率は8%であった。また、短軸方向の平均結晶粒径が78μmであり、長軸径1000μm以上の結晶粒が占める面積率は86%であった。
【0047】
(比較例3)
実施例3と同じ原料を用いてかつ同じ組成となるように溶解原料を配合し、比較例2の鋳造装置を用いてストリップキャストを行った。回転ロールの周速度を1m/s、回転ロールへの単位時間当たりの溶湯の供給量を比較例2の場合の80%とし、平均厚さが0.25mmのフレーク状のインゴットを得た。得られたインゴットの断面の反射電子顕微鏡写真を図10に示す。図10から、このインゴットにはマトリックス相のT1相の他、デントライト状αFe相と組成バランスが崩れたために生成した白い点状のNdリッチ相、および黒く非常に細い線状のラメラー状αFe相が生成していることが分かる。このうち、デントライト状αFe相と組成バランスが崩れたために生成した白い点状のNdリッチ相は断面の自由面側に多く生成していることも分かる。任意のフレーク状インゴット10枚について図10のような反射電子顕微鏡写真を撮り、画像処理装置で解析して求めたデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率は35%であった。また、偏光顕微鏡を用いて測定した短軸方向の平均結晶粒径は25μmであり、長軸方向の平均結晶粒径は最大で228μmであった。
【0048】
(実施例4)
原料を組成が、Nd:11.4原子%、B:6.7原子%、残部が鉄になるように、金属ネオジム、フェロボロン、電解鉄を配合し、実施例1同様の装置を用いて、実施例3と同様の条件で鋳造を行った。
インゴットの厚さは、ほぼ均一となり平均6mmであった。反射電子顕微鏡を用いてインゴット断面の組織観察をしたところ、マトリックス相のT1相の他、非常に細い線状のラメラー状αFe相、および微量のデントライト状αFe相とその周囲には点状のNdリッチ相が生成していた。デントライト状αFe相を含む組織が占める面積率は1%であった。また、短軸方向の平均結晶粒径が79μmであり、長軸径1000μm以上の結晶粒が占める面積率は87%であった。
実施例3と比較して、TREを低くしたにもかかわらず、デントライト状αFe相を含む組織が占める面積率が極めて少ない理由は、B量を増やしたためのであると考えられる。
【0049】
(比較例4)
実施例4と同じ原料を用いてかつ同じ組成となるように溶解原料を配合し、比較例2の鋳造装置を用いて、比較例3と同様の条件で鋳造した。
得られたフレーク状のインゴットの平均厚さは0.25mmであった。比較例3と同様の方法で求めたデントライト状αFe相を含む組織が占める面積率は14%であり、短軸方向の平均結晶粒径は24μmであり、長軸方向の平均結晶粒径は最大で225μmであった。
【0050】
(実施例5)
実施例1にて鋳造したインゴットを用いて、水素解砕せずに、ディスクミルにて粗粉砕後、ジェットミルにより平均粒径3.3μmの粉末を得た後、1.5Tの磁場印可、1t/cm2の加圧条件で横磁場成形法で成形し、真空中1050℃にて4時間焼結、600℃にて1時間熱処理後、加工して20mmの立方体の焼結磁石を得た。なおジェットミル粉砕前に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末を0.07重量%混合した。また、この粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したことろ、Nd:12.4原子%、Dy:0.6原子%、B:6.0原子%、Al:0.7原子%、Fe:残部であった。BHカーブトレーサーでこの焼結磁石の特性を評価したところ、Br1.37T、iHc1114kA/m、(BH)max354kJ/m3であり、磁気特性に優れた磁石が得られた。
【0051】
(比較例5)
比較例1にて鋳造された合金インゴットを用い、実施例5と同様に、水素解砕せず、ディスクミルにて粗粉砕後、ジェットミルにより平均粒径3.4μmの粉末を得た後、実施例5と同様の方法で焼結磁石を作製した。
なお、この粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したことろ、Nd:12.8原子%、Dy:0.6原子%、B:6.0原子%、Al:0.7原子%、Fe:残部であった。
BHカーブトレーサーでこの焼結磁石の磁気特性を測定したところ、Br1.35T、iHc915kA/m、(BH)max318kJ/m3であり、磁気特性は不良であった。
この原因として、合金インゴット内に生成している多量のデントライト状αFeは粉砕されにくいため、粉砕機中に滞留してしまい、粉砕後の混合粉末の成分が高TRE側へシフトしてしまったことや、粉末中にも多量にデントライト状αFeが含まれているため磁場成形時における金型キャビティ内の磁界分布の乱れによる配向率の低下、焼結体内にαFeが残存したことによる角型性の低下等が考えられる。
【0052】
(比較例6)
比較例2にて鋳造された合金インゴットを用い、実施例5と同様に水素解砕せず、ディスクミルにて粗粉砕後、ジェットミルにより平均粒径3.3μmの粉末を得た後、実施例5と同様の方法で焼結磁石を作製した。
なお、この粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したところ、Nd:12.4原子%、Dy:0.6原子%、B:6.0原子%、Al:0.7原子%、Fe:残部であった。
この結果、磁石特性として、Br1.34T、iHc1154kA/m、(BH)max332kJ/m3が得られた。
この原因として、内部に粒界を持つ単結晶ではない粉末が多数含まれており、このため配向率が低下したことが考えられる。
この結果から、結晶粒径が小さいため、磁化、磁気エネルギー積が実施例1より低い結果となったものといえる。
【0053】
(実施例6)
組成がNd:16.8原子%、Dy:5.7原子%、B:6.8原子%、Al:0.8原子%、Co:3.1原子%、Cu:0.6原子%:残部がFeになるように、金属ネオジム、金属ディスプロシウム、フェロボロン、アルミニウム、電解コバルト、銅、電解鉄を配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナるつぼを使用して高周波誘導加熱で溶解し、鉄製の箱型鋳型に鋳造して厚さ30mmのインゴットを製造した。
このインゴットを粒界相合金とし、実施例2のインゴットを主相系合金として、それぞれ5mm以下まで粗粉砕した後、主相系合金と粒界相合金を重量比80:20の割合で混合し、水素解砕、窒素ガス雰囲気中でのブラウンミル粉砕、窒素ガス中でのジェットミル粉砕を行ない、窒素ガス中でのV型ブレンダーによる十分な混合を経て、FSSSで3.2μmの粉末を作製した。なおブラウンミル粉砕前に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末を0.07重量%混合した。
この混合粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したことろ、Nd:13.0原子%、Dy:1.0原子%、B:6.1原子%、Al:0.7原子%、Co:0.6原子%、Cu:0.1原子%、Fe:残部であった。
この混合粉末を、1.5Tの磁場印可、1t/cm2の加圧条件で磁場成形し、真空中1050℃にて4時間焼結、520℃にて1時間熱処理後、加工して20mmの立方体の焼結磁石を得た。
BHカーブトレーサーでこの焼結磁石の磁気特性を測定したところ、Br1.32T、iHc1321kA/m、(BH)max330kJ/m3であり、磁気特性に優れた磁石が得られた。
【0054】
(実施例7)
組成がNd:34.0原子%、Dy:4.2原子%、Al:7.5原子%、Co:5.7原子%、Cu:1.1原子%:残部がFeになるように、金属ネオジム、金属ディスプロシウム、アルミニウム、電解コバルト、銅、電解鉄を配合し、比較例1の鋳造装置を用いて、比較例1と同様の条件で遠心鋳造を行ない、インゴットの平均厚さが8mmのインゴットを得た。
このインゴットを粒界相合金とし、実施例4のインゴットを主相系合金として、それぞれ5mm以下まで粗粉砕した後、主相系合金と粒界相合金を重量比87:13の割合で混合し、水素解砕、窒素ガス雰囲気中でのブラウンミル粉砕、窒素ガス中でのジェットミル粉砕を行ない、窒素ガス中でのV型ブレンダーによる十分な混合を経て、FSSSで3.2μmの粉末を作製した。なおブラウンミル粉砕前に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末を0.07重量%混合した。
この混合粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したところ、Nd:13.4原子%、Dy:0.4原子%、B:6.0原子%、Al:0.7原子%、Co:0.5原子%、Cu:0.1原子%、Fe:残部であった。この混合粉末を、1.5Tの磁場印可、1t/cm2の加圧条件で磁場成形し、真空中1080℃にて4時間焼結、520℃にて1時間熱処理後、加工して20mmの立方体の焼結磁石を得た。
BHカーブトレーサーでこの焼結磁石の磁気特性を測定したところ、Br1.35T、iHc1050kA/m、(BH)max343kJ/m3であり、磁気特性に優れたが磁石が得られた。
【0055】
(比較例7)
比較例4にて鋳造された合金インゴットを主相系合金とし、実施例7にて遠心鋳造法で鋳造された合金インゴットを粒界相合金として、実施例7と同様の方法で混合し、粉砕した。
得られた混合粉末の主成分の含有量を蛍光X線分析装置とICP分析装置を用いて測定したことろ、Nd:13.8原子%、Dy:0.4原子%、B:6.1原子%、Al:0.7原子%、Co:0.5原子%、Cu:0.1原子%、Fe:残部であった。この混合粉末を用いて、実施例7と同様の方法で焼結磁石を作製した。
BHカーブトレーサーでこの焼結磁石の磁気特性を測定したところ、Br1.32T、iHc1044kA/m、(BH)max321kJ/m3であり、磁気特性は良くなかった。
この原因として、合金インゴット内に生成している多量のデントライト状αFeは粉砕されにくいため、粉砕機中に滞留してしまい、粉砕後の混合粉末の成分が高TRE側へシフトしてしまったことや、粉末中にも多量にデントライト状αFeが含まれているため磁場成形時における金型キャビティ内の磁界分布の乱れによる配向率の低下等が考えられる。
【0056】
(実施例8)
組成が、La:9.2原子%(19.0質量%),Ce:4.5原子%(9.4質量%),Pr:0.4原子%(0.9質量%),Nd:1.3原子%(2.8質量%),Co:8.5原子%(7.5質量%),Al:11.9原子%(4.8質量%),Mn:8.8原子%(7.2質量%),残部Niになるように、Laリッチミッシュメタル,Ceリッチミッシュメタル、電解ニッケル、電解コバルト、アルミニウム、電解マンガンを使用し、水素吸蔵合金組成にて配合したものを図1に示す装置により、実施例1と同じ条件で鋳造を行った。
この結果、断面のミクロ組織を観察したが、Mn濃度が高い偏在相は観察されず、均一な組織であった。
【0057】
(比較例8)
実施例8と同一組成の合金を、図5に示す従来のCC法装置にて、比較例1と同じ条件にて鋳造を行った。
この結果、断面のミクロ組織を観察したが、網目状のMn偏在相がインゴット全体に形成されており、不均一な組織であった。
【0058】
(実施例9)
組成が、Nd:12.6原子%(28.1質量%)、B:6.5原子%(1.09質量%)、Co:17.3原子%(15.8質量%)、Ga:0.3原子%(0.32質量%)、Zr:0.1原子%(0.14質量%)、残部鉄になるように、金属ネオジム、フェロボロン、電解コバルト、ガリウム、フェロジルコニウム、電解鉄を配合し、図1の鋳造装置により鋳造を行った。
条件は、平均溶湯堆積速度を0.005cm/秒で鋳造し、円筒状鋳型を回転軸L上で往復運動させ、他は実施例1と同条件にて鋳造を行った。
得られた合金インゴットの厚さは、均一で約10mmであった。その断面のマクロ組織は鋳肌部分の極一部を除いてほとんど柱状晶であった。さらに、その断面の組織を反射電子顕微鏡で観察した結果、デントライト状αFe相は全く観察されなかった。偏光顕微鏡を用いて結晶粒径を測定した結果、短軸方向の平均結晶粒径が83μmで、長軸径1000μm以上の面積率が88%であり、HDDR異方性ボンド磁石用合金の原料として好適な結晶粒径であった。
この鋳造品を、粉砕した後、均質化のためのアニールなしに、HDDR処理した。HDDR条件は1気圧の水素雰囲気中で室温から850℃まで昇温し2時間保持した。その後、温度を維持したまま、炉内を真空にして30分間保持した後、アルゴンを導入して室温まで急冷した。HDDR処理後の粉末は、ディスクミルで平均粒度200μmに粉砕した。得られた粉末に2.5質量%のエポキシ樹脂を混合し、磁場中6t/cm2の圧力にて成型した後、150℃で1時間の条件で樹脂を硬化させてボンド磁石を製造した。
この結果、磁石特性は、HDDR処理粉末でBr:1.35T、iHc:987kA/m、(BH)max:319kJ/m3であり、この粉末を使用したボンド磁石は、Br:1.02T、iHc:955kA/m、(BH)max:177kJ/m3であった。インゴットはHDDR磁石に最適な組織のため、アニールなしでも良好な磁気特性が得られた。
【0059】
(実施例10)
Al:6原子%、V:4原子%、残部Tiとなるようにチタン、アルミニウム、バナジウムを配合し、図3及び図4に示す装置にて実験を行った。金属含有原料体として25として、アーク溶解炉にて溶解後、直径5cmの円柱状に加工した円柱状インゴットを用いた。この円柱状インゴットを回転駆動機構9に取付け、75kwのプラズマアークをあてながら、1200rpmで回転させた。直径750mmの銅製の円筒状鋳型4の回転軸Lは鉛直方向、円柱状インゴットの回転軸Rとの傾斜角度は20度とし、鋳型内壁の周速度を30m/sにて回転させた。
この方法にて鋳造を行い、厚さ60μmのリボン状インゴットを得ることができた。
【0060】
【発明の効果】
本発明の鋳造方法によって、溶湯の温度低下等の問題を回避して、平均堆積速度を小さくすることが可能となり、高温域においても凝固冷却速度を著しく大きくすることが可能となった。
さらに、回転軸Rと円筒状鋳型の回転軸Lとの成す傾斜角度θを溶湯の堆積時に可変することにより、または円筒状鋳型を、溶湯の堆積時に、回転軸L上で往復運動させることにより、インゴット厚さがより均一となり、更に良好な組織の合金を得ることが可能となった。
本発明により、例えばR−T−B系希土類磁石用合金ではストリップキャスト法よりもよりTREの少ない合金においてもデントライト状αFe相の生成の無い合金の製造が可能となった。また結晶の長軸粒径を大きくすることができ、高性能磁石用合金、HDDR異方性ボンド磁石用合金として好適な鋳造方法が実現された。また、従来の方法では鋳造が困難であった、Tiに代表される高融点金属およびそれを含む合金や金属間化合物、またMnの偏在相の少ないミッシュメタル遷移金属系の水素吸蔵合金を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鋳造装置の一例を示す側断面図である。
【図2】 回転体の一例を示す側面図である。
【図3】 本発明の鋳造装置の一例を示す側断面図である。
【図4】 金属含有原料体をプラズマアークで溶解する方法の一例を示す側面図である。
【図5】 従来のCC法による鋳造装置を示す側断面図である。
【図6】 従来のSC法による製造装置を示す側断面図である。
【図7】 SC法にて鋳造されたNd−Fe−B系インゴットの断面の組織の一例を示す模式図である。
【図8】 本発明の鋳造装置で作製したNd:11.6原子%、B:5.9原子%、残部Feからなる合金断面の反射電子顕微鏡写真である。
【図9】 図8の合金断面の反射電子顕微鏡による拡大倍率写真である。
【図10】 SC法にて鋳造したNd:11.6原子%、B:5.9原子%、残部Feからなる合金の断面の反射電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 溶解チャンバー
2 鋳造チャンバー
3 ルツボ
4 円筒状鋳型
5 回転体
6 湯道
7 インゴット
8 鋳型駆動機構
9 回転駆動機構
11 孔部
12 円筒状鋳型
13 タンディッシュ
14 湯道
15 ルツボ
16 タンディッシュ往復運動機構
17 チャンバー
18 孔部
20 溶湯
22 タンディッシュ
25 金属含有原料体
27 プラズマアーク
28 結晶粒界
29 結晶粒
30 Rリッチ相
31 溶湯
40 鋳型面
41 自由面
L 円筒状鋳型の回転軸
R 回転体または金属含有原料体の回転軸

Claims (42)

  1. 溶湯を回転体に注ぎ、該回転体の回転によって溶湯を飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型の内面で堆積凝固させる遠心鋳造方法で、前記回転体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとが平行とされていないことを特徴とする遠心鋳造方法。
  2. 前記回転体が底部と側壁を有した容器状で、該側壁に孔部が形成され、該容器状回転体の開口部に溶湯を注ぐことにより前記孔部から溶湯を飛散させることを特徴とする請求項1に記載の遠心鋳造方法。
  3. 前記回転体の回転方向と前記円筒状鋳型の回転方向とが同一方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心鋳造方法。
  4. 金属含有原料体を回転させながら加熱溶解して、溶解した溶湯を回転により飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型の内面に堆積凝固させる遠心鋳造方法で、前記金属含有原料体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとが平行とされていないことを特徴とする遠心鋳造方法。
  5. 金属含有原料体の回転方向と円筒状鋳型の回転方向とが同一方向であることを特徴とする請求項4に記載の遠心鋳造方法。
  6. 溶湯が回転体の回転により1G以上の力を受けることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  7. 溶湯が金属含有原料体の回転により1G以上の力を受けることを特徴とする請求項4または5に記載の遠心鋳造方法。
  8. 溶湯が円筒状鋳型の回転により3G以上の遠心力を受けることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  9. 前記回転体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θが5度〜40度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  10. 前記金属含有原料体の回転軸Rと前記円筒状鋳型の回転軸Lとで形成される傾斜角度θが5度〜40度の範囲内であることを特徴とする請求項4または5に記載の遠心鋳造方法。
  11. 円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度を0.015cm/秒以下とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  12. 円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度を0.010cm/秒以下とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  13. 円筒状鋳型内壁へ溶湯を堆積凝固させるときの平均堆積速度を0.005cm/秒以下とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  14. 溶湯の凝固開始温度をT(K)としたとき、該溶湯が円筒状鋳型内壁へ堆積凝固する時のインゴットの平均表面温度を、0.4T〜0.8Tとすることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  15. 回転可能な円筒状鋳型と、該円筒状鋳型内に設けられた回転体と、該回転体に溶湯を注ぐ供給装置とを具備し、前記回転体は、前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとが平行にならないように設けられ、回転体に注がれた溶湯が回転体の回転力によって飛散し、前記円筒状鋳型の鋳型内壁に堆積凝固するようにしたことを特徴とする遠心鋳造装置。
  16. 回転可能な円筒状鋳型と、金属含有原料体をその少なくとも先端が該円筒状鋳型内に位置するように装着し、金属含有原料体を回転させる回転駆動機構と、アークまたはプラズマアークを発生させて前記金属含有原料体を溶解する溶解装置とを具備し、前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとが平行にならないように設けられ、溶解した金属含有原料体が回転による遠心力によって飛散し、前記円筒状鋳型の鋳型内壁に堆積凝固するようにしたことを特徴とする遠心鋳造装置。
  17. 前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θが、溶湯の堆積時に可変とされていることを特徴とする請求項15に記載の遠心鋳造装置。
  18. 前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θが、溶湯の堆積時に可変とされていることを特徴とする請求項16に記載の遠心鋳造装置。
  19. 円筒状鋳型及び/または回転体が、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動して、円筒状鋳型と回転体とが相対的に移動可能とされていることを特徴とする請求項15または17に記載の遠心鋳造装置。
  20. 円筒状鋳型及び/または金属含有原料体が、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動して、円筒状鋳型と金属含有原料体とが相対的に移動可能とされていることを特徴とする請求項16または18に記載の遠心鋳造装置。
  21. 前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記回転体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θを溶湯の堆積時に変化させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  22. 前記円筒状鋳型の回転軸Lと前記金属含有原料体の回転軸Rとで形成される傾斜角度θを溶湯の堆積時に変化させることを特徴とする請求項4または5に記載の遠心鋳造方法。
  23. 円筒状鋳型及び/または回転体を、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動させて円筒状鋳型と回転体とを相対的に移動させることを特徴とする請求項1〜3、21のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  24. 円筒状鋳型及び/または金属含有原料体を、溶湯の堆積時に、回転軸Lに沿って往復運動させて円筒状鋳型と金属含有原料体とを相対的に移動させることを特徴とする請求項4、5、22のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法。
  25. 希土類磁石合金を鋳造することを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  26. 前記希土類磁石合金が、希土類元素としてNd、Pr、Dyのいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項25に記載の遠心鋳造方法。
  27. Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.0〜15.2原子%含むことを特徴とする請求項26に記載の遠心鋳造方法。
  28. Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.8〜14.4原子%含むことを特徴とする請求項26に記載の遠心鋳造方法。
  29. Nd、Pr、Dyのいずれか一種以上の元素を合計で11.8〜13.5原子%含むことを特徴とする請求項26に記載の遠心鋳造方法。
  30. R(R:少なくともNd、Pr、Dyのいずれか一種を含む希土類元素)−T(T:Feを含む遷移金属)−B系希土類磁石合金を鋳造することを特徴とする請求項25〜29の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  31. 請求項25〜30のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法で得られた希土類磁石合金を900〜1150℃の範囲内の温度で熱処理することを特徴とする希土類磁石合金の製造方法。
  32. 請求項25〜30のいずれか1項に記載の遠心鋳造方法で得られた希土類磁石合金を、粉砕、又は、900〜1150℃の範囲内の温度で熱処理後に粉砕することを特徴とする希土類磁石用合金粉末の製造方法。
  33. 請求項32に記載の製造方法によって製造された希土類磁石用合金粉末を使用して作製された焼結磁石。
  34. 請求項32に記載の製造方法によって製造された希土類磁石用合金粉末をHDDR処理して製造されたことを特徴とする異方性ボンド用磁石粉末。
  35. 請求項34に記載の異方性ボンド用磁石粉末を使用して製造されたことを特徴とする異方性ボンド磁石。
  36. 希土類系水素吸蔵合金を鋳造することを特徴とする請求項1〜14または21〜24の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  37. 希土類水素吸蔵合金がミッシュメタルニッケル系であることを特徴とする請求項36に記載の遠心鋳造方法。
  38. 鋳造する金属、合金、金属間化合物の融点または凝固開始温度が1400℃以上であることを特徴とする請求項〜14または21〜24の何れか1項に記載の遠心鋳造方法。
  39. 鋳造する金属、合金、金属間化合物にTiが含まれることを特徴とする請求項38に記載の遠心鋳造方法。
  40. 請求項31に記載の方法で製造された希土類磁石合金を二合金混合法による希土類磁石用の主相系合金としたことを特徴とする希土類磁石合金。
  41. 請求項32に記載の製造方法で製造された希土類磁石用合金粉末を二合金混合法による希土類磁石用の主相系合金粉末としたことを特徴とする希土類磁石粉末。
  42. 請求項32に記載の製造方法で製造した希土類磁石用合金粉末からなる主相系合金粉末と、Nd、Pr、Dyの元素の合計割合が前記主相系合金粉末中のNd、Pr、Dyの元素の合計割合よりも多い粒界相系合金粉末とを混合して製造された焼結磁石。
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