JP2003012670A - 抗菌活性を有する4−オキソキノリジン系化合物 - Google Patents

抗菌活性を有する4−オキソキノリジン系化合物

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JP2003012670A
JP2003012670A JP2001326132A JP2001326132A JP2003012670A JP 2003012670 A JP2003012670 A JP 2003012670A JP 2001326132 A JP2001326132 A JP 2001326132A JP 2001326132 A JP2001326132 A JP 2001326132A JP 2003012670 A JP2003012670 A JP 2003012670A
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Ryoichi Fukumoto
良一 福元
Hiroyuki Kusakabe
裕之 草壁
Tsuon Tsuu
ツォン ツー
Hiroaki Kimura
博明 木村
Satoshi Yanagihara
智 柳原
Masatoshi Kato
雅俊 加藤
Tomosato Hirozawa
知里 廣澤
Seiji Ishizuka
誠治 石塚
Fusae Shizume
二左枝 鎮目
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Sato Pharmaceutical Co Ltd
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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌活性を有する4−オキソキノリジン系化
合物を提供する。 【解決手段】 4−オキソキノリジン系化合物は、以下
の式(I)により示される。 【化1】 (I)(式中、R1は、水素原子又はカルボキシル保護基を
示し、R2及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はヒドロキ
シル基を示し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、低級
アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、
ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基及びアミノ基から
選択される基を示し、R5は、水素原子、ハロゲン原
子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキル
チオ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基及びアミ
ノ基から選択される基を示し、A1、A2及びA3は、各
々独立に、C−R4又は窒素原子を示し、A4は、炭素原
子又は窒素原子で構成される5員環又は6員環を示し、
nは、1〜8の整数を示し、mは、1〜3の整数を示
し、そして、pは、1〜3の整数を示し、但し、R2
4の各基が、複数存在する場合には、各々同一又は異
なる基であってもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、グラム陽性菌や、
グラム陰性菌、嫌気性菌等に対して強力な抗菌作用を発
揮する、新規な基本骨格を有する合成抗菌剤又はその塩
に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、以下の式で示されるキノロン
骨格を有するキノロン系合成抗菌剤に対する研究が広範
囲にわたってなされてきた。
【化6】 例えば、キノロン骨格の6位にフッ素基を導入すること
によって、その抗菌活性が飛躍的に高められることが見
出され、6位のフッ素原子は第二世代のキノロン系合成
抗菌剤、いわゆるニューキノロン系合成抗菌剤に必須の
構造特性と考えられている。また、キノロン骨格におけ
る7位の置換基は、抗菌活性や、体内動態、毒性に大き
な影響を与えることから、C-N結合によるピロリジン
環、ピペラジン環などの導入も、また必須の構造特性で
あると考えられている。本発明の4-オキソキノリジン系
合成抗菌剤は、ニューキノロン系合成抗菌剤の構造特性
のいずれも持たない、従来の技術の延長線上には無い新
規な抗菌性の化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、キノロン系合成
抗菌剤は、優れた抗菌活性を有する薬剤として臨床の場
で広く用いられているが、キノロン系合成抗菌剤に対し
ても耐性を示す多剤耐性菌が急速に分離されるという課
題が出現してきた。また、ニューキノロン系合成抗菌剤
に必須の構造特性、即ち、キノロン骨格を持ち、その6
位にフッ素基と、7位にC-N結合による置換基の導入が、
ニューキノロン系合成抗菌剤の中枢神経系などに対する
副作用の原因と考えられている。これら多剤耐性菌や副
作用の課題は、ニューキノロン系合成抗菌剤の構造特性
に負うところが大きく、従って、これらと異なった構造
を持ち、かつ、優れた抗菌活性を有する薬剤の開発が望
まれている。
【0004】
【発明が解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を鋭意検討した結果、次式(I)で表される新
規な4−オキソキノリジン骨格を有する化合物が、広範
囲の抗菌スペクトルを有し、かつ、キノロン耐性菌に対
しても優れた抗菌活性を示すことを見出した。本発明
は、このような新規な知見に基づいて完成されたもので
ある。即ち、本発明は、次式(I)で示される4−オキ
ソキノリジン系化合物又はその製薬的に許容し得る塩に
関する。
【化7】 (式中、R1は、水素原子又はカルボキシル保護基を示
し、R2及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原
子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はヒドロキシ
ル基を示し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ニ
トロ基、シアノ基、ヒドロキシル基及びアミノ基から選
択される基を示し、R5は、水素原子、ハロゲン原子、
低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ
基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基及びアミノ基
から選択される基を示し、A1、A2及びA3は、各々独
立に、C−R4又は窒素原子を示し、A4は、炭素原子又
は窒素原子で構成される5員環又は6員環を示し、n
は、1〜8の整数を示し、mは、1〜3の整数を示し、
そして、pは、1〜3の整数を示し、但し、R2〜R4
各基が、複数存在する場合には、各々同一又は異なる基
であってもよい。)
【0005】即ち、本発明の化合物は、キノロン構造と
は窒素原子の位置の異なるオキソキノリジン骨格からな
り、しかも、6位にフッ素原子を有さず、更に、7位に
導入される置換基とは、C−C結合を介して連結する新
規な化学構造を有するものである。また、本発明は、上
記化合物又はその製薬的に許容し得る塩を有効成分とし
て含有する抗菌剤に関するものである。以下、本発明化
合物について詳述する。本明細書において特にことわら
ない限り、以下の基又は原子は、以下の意味を有する。
ハロゲン原子は、フッ素原子や、塩素原子、臭素原子又
はヨウ素原子である。
【0006】アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素
数1〜10個のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5
個のアルキル基である。このようなアルキル基として
は、例えば、メチル基や、エチル基、n-プロピル基、イ
ソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル
基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチ
ル基、オクチル基等が好適に挙げられる。この内、炭素
数1〜5個のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜3個
のアルキル基は低級アルキル基であり、例えば、メチル
基や、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブ
チル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル
基、ペンチル基等の各種アルキル基を挙げることができ
る。低級アルキル基は、抗菌性に影響しない範囲内にお
いて、任意の置換基で置換されていてもよい。このよう
な置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、シアノ
基、ニトロ基、アシル基など各種の置換基を使用するこ
とができる。
【0007】低級アルコキシ基は、低級アルキル基と結
合した酸素原子からなるアルコキシ基である。低級アル
コキシ基を構成する低級アルキル基としては、上記低級
アルキル基と同様である。低級アルコキシ基としては、
例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イ
ソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-
ブトキシ基、tert-ブトキシ基又はペンチルオキシ基等
の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルコキシ基が挙げられ
る。なお、低級アルコキシ基を構成する低級アルキル基
は、抗菌性に影響しない範囲内において、上記と同様
に、任意の置換基で置換されていてもよい。このような
置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、シアノ基、
ニトロ基、アシル基など各種の置換基を使用することが
できる。
【0008】低級アルキルチオ基は、低級アルコキシ基
において、酸素原子の代わりに硫黄原子が存在するもの
である。低級アルキルチオ基を構成する低級アルキル基
の範囲は、上記の通りである。このような低級アルキル
チオ基としては、例えば、メチルチオ基や、エチルチオ
基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチル
チオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-
ブチルチオ基、ペンチルチオ基等が好適に挙げられる。
カルボキシル保護基は、カルボキシル基の水酸基を保護
する基であり、当業者には自明の範囲内である。このよ
うな保護基としては、例えば、アルキル基、特に低級ア
ルキル基、例えば、メチル基や、アリチル基、プロピル
基等の保護基が挙げられる。ヒドロキシル基は、保護さ
れていてもよい。ヒドロキシル基の保護基の範囲は、上
記カルボキシル保護基の範囲と同様である。アミノ基
は、二級アミノ基や、三級アミノ基を含む概念である。
二級アミノ基及び三級アミノ基で窒素原子に置換する置
換基としては、化合物の抗菌性に影響を与えない範囲内
において、各種の置換基で置換し得る。このような置換
基としては、例えば、アルキル基、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基等の低級アルキル基や、アセチル
基等のアシル基、更には、ベンジル基等の各種の置換基
を挙げることができる。
【0009】なお、式(I)において、nは、A4の構
造、特に、5員環であるのか、6員環であるのか、更
に、環中に炭素原子だけから構成されるのか、窒素原子
も含まれるのか等に依存して、1〜8の整数であり、従
って、R3は、複数存在する場合があるが、このような
場合、各R3は、同一であっても、異なるものであって
もよい。式(I)で示される4-オキソキノリジン系化合
物は、塩として存在していてもよい。このような塩とし
ては、例えば、塩酸や、硫酸などの無機酸との塩や、酒
石酸や、ギ酸、酢酸、クエン酸等の有機酸との塩、更に
は、メタンスルホン酸や、ベンゼンスルホン酸、p-ト
ルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸等のスルホン
酸との塩、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属
との塩、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土
類金属との塩、並びにアンモニウム塩などの含窒素有機
塩基との塩等を挙げることができる。
【0010】次に、式(I)で示される本発明の化合物
の合成方法について説明する。本発明の化合物は、公知
の方法に従って合成することができる。例えば、具体例
を挙げて説明すると、本発明化合物は、反応図式(1)
に示す合成ルートに従って合成することができる。な
お、反応図式(1)では、特定の式で示される化合物を
例として記載しているが、本発明の範囲は、このような
特定の化合物の合成に限定されるものではなく、この反
応図式(1)で示される合成方法は、その他の本発明の
化合物の合成にも同様に適用できることは明記された
い。また、反応図式(1)中、R2、R3、A 1、A2、A3、A4
は上記で定義したものと同じである。具体的に説明する
と、反応図式(1)において、式(VI)の化合物は、例
えば、市場において入手可能な化合物(II)(2,3-ジメ
チルピリジン)(R2はメチル基)及び、化合物(V)
(4-クロロ-3-メトキシ-2-メチルピリジン)(R2はメ
トキシ基)を出発原料にして合成することができる。
【0011】
【化8】
【0012】具体的には、化合物(II)を、酢酸に溶解
し、酸化剤として例えば、過酸化水素を加え、例えば、
70〜100℃で、5〜24時間加熱すれば化合物(III)が得
られる。次いで、化合物(III)を、ニトロ化すること
により、化合物(IV)が得られる。ここで用いられるニ
トロ化剤としては、例えば、濃硝酸、硝酸と硫酸との混
液、硫酸と硝酸塩(硝酸カリウム、硝酸ナトリウム
等)、無水硝酸等が挙げられる。次いで、化合物(IV)
を、濃塩酸に溶解し、封管中、例えば、120〜160℃で5
〜12時間加熱すれば化合物(VI 、R2=メチル基)が得
られる。また、化合物(V)を、酢酸に溶解し、前述と
同様に過酸化水素で酸化すれば、化合物(V I 、R2=メ
トキシ基)が得られる。
【0013】次いで、化合物(VI)を無水酢酸に溶解
し、例えば、70〜110℃で0.5〜5時間加熱した後、得ら
れた残渣に塩基を加え、例えば、50〜90℃で、1〜5時間
反応させ、化合物(VII)が得られる。ここで用いられ
る塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化
カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。次いで、化
合物(VII)の酸化反応を行ない、化合物(VIII)が得
られる。ここで用いられる酸化剤としては、例えば、二
クロム酸-硫酸や酸化クロム(VI)−ピリジン錯体、ま
た、ジメチルスルホキシド−オキサリルクロリド、ジメ
チルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸等が挙げられ
る。次いで、化合物(VIII)を臭化シクロプロピルとマ
グネシウムから調製したグリニャール試薬と反応させ、
化合物(IX)が得られる。反応は、例えば、0〜50℃で1
〜15時間行なえばよい。
【0014】次いで、化合物(IX)を前述と同様の酸化
反応を行ない、化合物(X)が得られる。次いで、化合
物(X)を塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホ
ニウムと塩基から調製したウィッティヒ試薬と反応さ
せ、化合物(XI)が得られる。ここで用いられる塩基と
しては、例えば、フェニルリチウムや、n-ブチルリチウ
ム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等が挙げ
られる。反応は、例えば、0〜50℃で1〜5時間行なえば
よい。化合物(XI)を酸の存在下、加水分解し、化合物
(XII)が得られる。ここで用いられる酸としては、例
えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸等を挙げることが
できる。反応温度は、例えば、40〜80℃で、反応時間
は、例えば、2〜5時間行なえばよい。
【0015】次いで、化合物(XII)を、触媒としてア
ミン存在下、マロン酸ジエチルとのクネベナゲル縮合反
応を行ない、中間体として不飽和カルボン酸ジエステル
が得られる。ここで用いられるアミンとしては、例え
ば、ピペリジンや、ピリジン、ジエチルアミン等を挙げ
ることができる。反応温度は、例えば、50〜100℃で、
反応時間は、例えば、2〜5時間行なえばよい。この中間
体は精製することなく、高沸点溶媒、例えば、ジフェニ
ルエーテルやDowtherm A(ジフェニルエーテルとビフェ
ニルの混合物)に溶解し、例えば、200〜250℃で0.5〜2
時間加熱を行なえば、化合物(XIII)が得られる。次い
で、化合物(XIII)を、トルエン等の溶媒中において、
例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(II)クロリド等の触媒存在下、以下で説明する式
(3)で示される化合物(3)と反応させることによっ
て、本発明化合物(I)(エステル体)が得られる。次
いで、この化合物(I)を常法に従って、加水分解する
ことにより、本発明の化合物(I)(遊離酸体)が得ら
れる。
【0016】また、本発明の化合物は、以下で記載され
る反応図式(2)に従っても合成できる。この反応図式
(2)も、単なる本発明の化合物の合成例を示したもの
に過ぎず、本発明の化合物の合成方法が、この反応図式
(2)で示される化合物に限定されるものではない。ま
た、反応図式(2)中、R2、R3、A1、A2、A3及びA4は上
記で定義したものと同じである。
【0017】
【化9】
【0018】(式中、R1〜R3は、上記定義の通りであ
り、L1は、スズ(アルキル基)3を示し、L2は、ホウ
素(低級アルコキシ基)2を示し、そして、Xは、ハロ
ゲン原子を示す。反応図式(2)において、式(1)で示
される化合物(1)は、例えば、触媒としてパラジウム
錯体の存在下において、式(3)で示される有機スズ化
合物(3)とカップリング反応させるか、或いは、式
(2)で示される有機スズ化合物(2)と、式(4)で示
される化合物(4)とをカップリング反応に付すことに
よって得ることができる。この反応で使用される溶媒と
しては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限
定されないが、例えば、ベンゼンや、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素類;ジオキサンや、テトラヒド
ロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、ジメチルセロソルブなどのエーテル類;アセ
トニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミ
ドや、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類;並び
にジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙
げられ、また、これらの溶媒を一種又は二種類以上混合
して使用してもよい。
【0019】この反応で用いられるパラジウム錯体触媒
としては、例えば、PdCl2(PPh3)2、Pd(PPh3)4、PdCl2(P
(O-toryl)3)2、PdCl2+2P(OEt)3及びPdCl2(PhCN)2 [但
し、Phはフェニル基、Etはエチル基を示す]などが挙げ
られる。有機スズ化合物(3)の使用量は、化合物(1)
に対して、等モル以上、好ましくは、1.0〜2.0倍モルで
ある。このカップリング反応は、通常、不活性気体(例
えば、アルゴンや、窒素等)雰囲気下、50〜170℃で、1
分〜24時間実施すればよい。別法として、塩基の存在下
又は不存在下、前述と同様のパラジウム錯体触媒を用い
て、化合物(1)と、有機ホウ素化合物(3)とをカップ
リング反応に付すことによっても得ることができる。
【0020】この反応で使用される溶媒としては、反応
に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない
が、例えば、水や;メタノール、エタノール、プロパノ
ールなどのアルコール類;ベンゼンや、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素類;塩化メチレンや、クロロ
ホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;
ジオキサンや、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエ
チレングリコールジエチルエーテル、ジメチルセロソル
ブなどのエーテル類;酢酸エチルや、酢酸ブチルなどの
エステル類;アセトンや、メチルエチルケトンなどのケ
トン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチ
ルホルムアミドや、N,N-ジメチルアセトアミドなどのア
ミド類;並びにジメチルスルホキシドなどのスルホキシ
ド類などが挙げられ、また、これらの溶媒を一種又は二
種類以上混合して使用してもよい。この反応で用いられ
る塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウムや、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミンなどが挙
げられる。なお、スズ又はホウ素化合物は、例えば、Ch
em. Int. Ed. Engl. 25:508 (1986) 及びChem. Rev. 9
5:2457 (1995)の記載に従って、容易に製造することが
できる。
【0021】有機ホウ素化合物(3)の使用量は、化合
物(1)に対し、等モル以上、好ましいは、1.0〜1.5倍
モルである。このカップリング反応は、通常、不活性気
体(例えば、アルゴンや、窒素)雰囲気下、50〜170℃
で、1分〜24時間実施すればよい。化合物(3)及び
(4)については、以下の方法で合成することができ
る。
【0022】これらを合成するに当たり、各工程におい
て、ヒドロキシル基や、アミノ基及びカルボキシル基を
有する化合物は、必要に応じてあらかじめこれらの基を
常法に基づいて、通常用いられる保護基により保護する
ことも出来る。また、反応後、公知の常法に基づいて、
これらの保護基を脱保護することが出来る。化合物
(4)(式中、A1及びA3は窒素原子であり、A2はCHであ
り、A4は、−CH2−NH−CH2−である)の場合について
は、以下の反応図式(3)に表される方法によって合成
することが出来る。
【0023】
【化10】 (式中、Trtは、トリチル基を示す。)
【0024】化合物(3−3)は、例えば、J. Amer. Che
m. Soc., 74:1580-1584 (1952)、J.Amer. Chem. Soc.,
78:2141-2144 (1956)、Synthesis 676-679(1984)などに
記載される方法に準じて合成することが出来る。化合物
(3−4)は、化合物(3−3)と、例えば、トリチルアミ
ンとの反応によって合成できる。この反応で使用される
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば
特に限定されないが、例えば、ベンゼンや、トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素類;塩化メチレンや、ク
ロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素
類;ジオキサンや、テトラヒドロフラン、アニソール、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルセロ
ソルブなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリ
ル類;N,N-ジメチルホルムアミドや、N,N-ジメチルアセ
トアミドなどのアミド類;並びにジメチルスルホキシド
などのスルホキシド類などが挙げられ、また、これらの
溶媒を一種又は二種類以上混合して使用してもよい。
【0025】また、塩基(例えば、炭酸カリウムや、水
酸化ナトリウム、アンモニア、トリエチルアミン等を挙
げることができる。)の存在下又は不存在下、反応温度
は、例えば-5〜100℃で、反応時間は、例えば、1〜30時
間行えばよく、例えば、トリチルアミンの使用量は、化
合物(3−3)に対し、等モル以上、好ましくは、1.0〜
5.0倍モルである。また、例えば、化合物(3)(A1は、
窒素原子であり、A2及びA3は、CHであり、A4は、−CH=C
H-CH=CH−である)、即ち、以下の式で示される化合物
(A)の場合については、フロンティア・サイエンティ
フィック社より市販されているものを反応に用いた。
【0026】
【化11】 化合物(A)
【0027】また、化合物(4)(式中、A1及びA3は、C
Hであり、A2は、窒素原子であり、A 4は、-CH2-NH-CH2-
である)の場合については、以下の反応図式(4)に表
される方法によって合成することが出来る。
【0028】
【化12】
【0029】化合物(4−1)は、3,4-ルチジンと、例え
ば、ナトリウムアミドとの反応によって合成できる。こ
の反応で使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼ
さないものであれば特に限定されないが、例えば、ベン
ゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類;
ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチ
レングリコールジエチルエーテルおよびジメチルセロソ
ルブなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル
類;N,N-ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセ
トアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどの
スルホキシド類;並びにN,N-ジメチルアニリンおよびN,
N-ジエチルアニリンなどのアニリン類などが挙げられ、
また、これらの溶媒を一種または二種類以上混合して使
用してもよい。反応温度は、例えば70〜200℃で、反応
時間は、例えば、1〜40時間行えばよい。
【0030】化合物(4−1)は、ハロゲン化の方法とし
て、例えば、対応するジアゾニウム塩を、例えば、臭素
で臭素化する、いわゆる、Sandmeyer反応などの方法に
より、アミノ基を臭素に変換して、化合物(4−2)とす
ることができる。化合物(4−2)はハロゲン化すること
により、化合物(4−3)とすることができる。ハロゲン
化剤としては、例えば、N-ブロモスクシンイミド、N-ブ
ロモイソシアヌル酸ナトリウムなどが挙げられる。ま
た、反応開始剤として、α,α'-アゾビスイソブチロニ
トリル、過酸化ジベンゾイルなどを用いることができ
る。この反応で使用される溶媒としては、反応に悪影響
を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例え
ば、水;塩酸、硫酸などの無機酸類;四塩化炭素、塩化
メチレン、クロロホルムおよびジクロロエタンなどのハ
ロゲン化炭化水素類などが挙げられ、また、これらの溶
媒を一種または二種類以上混合して使用してもよい。反
応温度は、例えば0〜120℃で、反応時間は、例えば、1
〜40時間行えばよい。化合物(4−4)は化合物(4−3)
と、例えば、トリチルアミンとの反応によって合成でき
る。
【0031】この反応で使用される溶媒としては、反応
に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない
が、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳
香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルムおよびジ
クロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリ
コールジエチルエーテルおよびジメチルセロソルブなど
のエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-
ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミド
などのアミド類;並びにジメチルスルホキシドなどのス
ルホキシド類などが挙げられ、また、これらの溶媒を一
種または二種類以上混合して使用してもよい。また、塩
基(例えば、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、アンモ
ニア、トリエチルアミン、ピリジン等を挙げることがで
きる。)の存在下または不存在下、反応温度は、例えば
-5〜100℃で、反応時間は、例えば、1〜30時間行えばよ
い。
【0032】本発明の化合物は、グラム陽性菌や、グラ
ム陰性菌、抗酸菌等によってひきおこされる人間や動物
の局所性感染症、又は全身性感染症を治療するのに有用
な抗菌剤である。グラム陽性菌としては、例えば、スタ
フィロコッカス属や、ミクロコッカス属、ストレプトコ
ッカス属、エンテロコッカス属、パシラス属等に適用す
ることができる。グラム陰性菌としては、例えば、エシ
ェリキア属や、クレプシエラ属、シュードモナス属、ブ
ランハメラ属、ヘモフィリス属等に適用することができ
る。嫌気性菌としては、例えば、バクテロイデス属や、
プロピオニバクテリウム属等に適用することができる。
【0033】本発明の化合物は、単独で、もしくは医薬
上許容される補助剤、希釈剤、結合剤等とともに、例え
ば、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、注射剤、クリーム、軟
膏剤、液剤、パウダー剤等のような一般的な医薬組成物
の形で使用することができる。本発明の化合物は、単独
で、あるいは2又はそれ以上の異なった化合物の混合物
としても使用可能であり、投与量は症状、年齢、体重等
によって異なるが、全身的投与の場合には通常成人1日
当たり体重1kgにつき0.05〜100mg、好ましくは、0.1〜
50mgを投与することができ、局所的治療における有効成
分の濃度は0.01〜5%、好ましくは、0.1〜3%が最適で
ある。
【0034】本発明について、参考例及び実施例により
更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの参考
例及び実施例によって何ら限定されるものではない。参考例1 2,3-ジメチルピリジン(化合物(II))71.79gを酢酸240m
lに溶解し、30%過酸化水素水40mlを加え95℃で3時間加
熱した。更に30%過酸化水素水18mlを加え95℃で13時間
加熱後、水700mlを加え炭酸ナトリウムで中和後、クロ
ロホルムで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を
ジイソプロピルエーテルから再結晶を行ない2,3-ジメチ
ルピリジンN-オキサイド(化合物(III))71.34gを得た。 1H-NMR(CDCl3) δ:2.35(3H, s), 2.51(3H, s), 6.95
-7.10(2H, m), 8.10-8.17(1H, m)
【0035】参考例2 2,3-ジメチルピリジンN-オキサイド(化合物(III))4.40
gを濃硫酸9mlに溶解し、濃硫酸13 mlと65%硝酸15mlの混
液を加え95℃で11時間加熱した。反応液を氷水中に注ぎ
8N水酸化ナトリウムで中和後、クロロホルムで抽出し
た。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶
媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノー
ル=20:1)で精製して、2,3-ジメチルピリジン-4-ニト
ロ N-オキサイド(化合物(IV))3.71gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.57(3H, s), 2.59(3H, s), 7.72(1
H, d, J=7.1Hz), 8.21(1H, d, J=7.1Hz)
【0036】参考例3 2,3-ジメチルピリジン-4-ニトロ N-オキサイド(化合物
(IV))5.19gを濃塩酸50mlに溶解し、封管中、 160℃で9
時間加熱した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホ
ルム:メタノール=20:1 )で精製して、4-クロロ-2,3
-ジメチルピリジン N-オキサイド(化合物(VI))4.40gを
得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.40(3H, s), 2.57(3H, s), 7.14(1
H, d, J=6.8Hz), 8.09(1H, d, J=6.8Hz) EI-MS m/z:157(M+)
【0037】参考例4 4-クロロ-2,3-ジメチルピリジン N-オキサイド(化合物
(VI))5.63gに無水酢酸50mlを加え、110℃で1時間加熱し
た。溶媒を減圧下留去後、水を加えエーテルで抽出し
た。得られた有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を90%エタ
ノールに溶解し、水酸化ナトリウム2.10gを加え80℃で3
時間加熱した。溶媒を減圧下留去後、水を加えクロロホ
ルムで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶離液;クロロホルム)で精製して、4-クロロ-2-
ヒドロキシメチル-3-メチルピリジン(化合物(VII)) 1.6
9gを得た。1 H-NMR(DMSO-d6) δ:2.36(3H, s), 4.62(2H, d, J=5.6
Hz), 5.20(1H, t, J=5.6Hz), 7.44(1H, d, J=5.1Hz),
8.30(1H, d, J=5.1Hz) EI-MS m/z:157(M+)
【0038】参考例5 オキサリルクロリド17.2mlを無水ジクロロメタン350ml
に溶解し、-78℃で無水ジメチルスルホキシド15.1mlの
無水ジクロロメタン溶液150mlを滴下した。-78℃で40分
撹拌後、4-クロロ-2-ヒドロキシメチル-3-メチルピリジ
ン(化合物(VII))23.92gの無水ジクロロメタン溶液300ml
を滴下した。-78℃で30分撹拌後、反応温度を-45℃まで
昇温させ、同温度で1時間撹拌後、トリエチルアミン10
5.8mlを滴下し、室温まで昇温させた。水を加えクロロ
ホルムで抽出し、得られた有機層を水、飽和食塩水で洗
浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去
した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(溶離液;クロロホルム)で精製して、(4-クロロ
-3-メチルピリジン)-2-カルバルデヒド(化合物(VIII))
19.31gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.73(3H, s), 7.50(1H, d, J=5.1H
z), 8.55(1H, d, J=5.1Hz), 10.17(1H, s)
【0039】参考例6 臭化シクロプロピル14.9mlとマグネシウム4.53gから調
製した臭化シクロプロピルマグネシウムのTHF溶液180ml
に(4-クロロ-3-メチルピリジン)-2-カルバルデヒド
(化合物(VIII))19.30gのTHF溶液150mlを滴下した。室温
で12時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム溶液中に注ぎ、
クロロホルムで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水
で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下
留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精
製して、(4-クロロ-3-メチル-2-ピリジル)シクロプロ
ピルメタン-1-オール(化合物(IX))19.58gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.30-0.61(4H, m), 1.10-1.20(1H,
m), 2.40(3H, s), 4.50(1H, d, J=7.8Hz), 4.78-4.80
(1H, m), 7.25(1H, d, J=5.4Hz), 8.27(1H, d, J=5.4H
z)
【0040】参考例7 オキサリルクロリド11.22mlを無水ジクロロメタン300ml
に溶解し、-78℃で無水ジメチルスルホキシド9.83mlの
無水ジクロロメタン溶液100mlを滴下した。-78℃で40分
撹拌後、(4-クロロ-3-メチル-2-ピリジル)シクロプロ
ピルメタン-1-オール(化合物(IX))19.55gの無水ジクロ
ロメタン溶液200mlを滴下した。-78℃で30分撹拌後、反
応温度を-45℃まで昇温させ、同温度で1時間撹拌後、ト
リエチルアミン68.93mlを滴下し、室温まで昇温させ
た。水を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層
を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エ
チル=19:1)で精製して、(4-クロロ-3-メチル-2-ピ
リジル)シクロプロピルケトン(化合物(X))17.89gを得
た。1 H-NMR(CDCl3) δ:1.10-1.20(2H, m), 1.25-1.30(2H,
m), 2.53(3H, s), 2.95-3.10(1H, m), 7.43(1H, d,
J=5.1Hz), 8.41(1H, d, J=5.1Hz)
【0041】参考例8 塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム5.54g
を無水エーテル53mlに懸濁し、フェニルリチウム(シク
ロヘキサン−エーテル溶液;0.88mol/l)18.4mlを滴下
し、室温で15分撹拌した。次いで、(4-クロロ-3-メチ
ル-2-ピリジル)シクロプロピルケトン(化合物(XI))3.0
1gのエーテル溶液35mlを滴下し、室温で2時間撹拌し
た。沈殿を濾別して、濾液を水洗後、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)で精製して、2-(4-クロロ-3-メ
チル-2-ピリジル)-2-シクロプロピル-1-メトキシエテン
1.66gを得た。1 H-NMR(CDCl31:0.25-0.30(2H, m), 0.70-0.74(2H,
m), 1.90-2.00(1H, m), 2.39(3H, s), 3.71(3H, s), 6.
15(1H, d, J=1.0Hz), 7.16(1H, d, J=5.6Hz), 8.24(1H,
d, J=5.6Hz) δ2:0.30-0.40(2H, m), 0.60-0.65(2H, m), 1.60-1.70
(1H, m) , 2.29(3H, s), 3.56(3H, s), 6.11(1H, d, J=
1.2Hz), 7.16(1H, d, J=5.6Hz) , 8.33(1H, d,J=5.6Hz)
【0042】参考例9 2-(4-クロロ-3-メチル-2-ピリジル)-2-シクロプロピル-
1-メトキシエテン(化合物(XI))1.66gをTHF16mlに溶解
し、希硫酸16mlを加え、50℃で減圧濃縮した後、水に注
ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、クロロホ
ルムで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し
て、2-(4-クロロ-3-メチル-2-ピリジル)-2-シクロプロ
ピルエタナール(化合物(XII))1.31gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.23-0.78(4H, m), 1.50-1.60(1H,
m), 2.36(3H, s), 3.20-3.30(1H, m), 7.24(1H, d, J=
5.1Hz), 8.35(1H, d, J=5.1Hz), 9.87(1H, d, J=2.7Hz)
【0043】参考例10 2-(4-クロロ-3-メチル-2-ピリジル)-2-シクロプロピル
エタナール(化合物(XII))1.31gを無水エタノール45mlに
溶解し、ピペリジン1.48ml、酢酸1.48ml、マロン酸ジエ
チル4.75mlを加え、100℃で5時間加熱した。溶媒を減圧
下留去後、エーテルで希釈し、有機層を水、飽和食塩水
で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下
留去した。得られた残渣にDowtherm A 30mlを加え、240
℃で30分加熱した。反応液をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液;ヘキサン→ヘキサン:酢酸エチル
=1:1)で精製して、8-クロロ-1-シクロプロピル-9-メ
チル-4-オキソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル(化
合物(XIII))1.45gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.70-0.75(2H, m), 1.00-1.10(2H,
m), 1.42(3H, t, J=7.1Hz), 2.25-2.30 (1H, m), 3.00
(3H, s), 4.42(2H, q, J=7.1Hz), 7.11(1H, d, J=7.8H
z), 8.39(1H, s), 9.31(1H, d, J=7.8Hz)
【0044】参考例11 グリシンアミド塩酸塩11.05g、ジアセチル10.33gをメ
タノール200ml、水20mlの混合溶液に溶解し、これに-30
℃で12.5N水酸化ナトリウムを滴下し、同温度で1時間撹
拌した後、室温で15時間撹拌した。氷冷下、反応液に濃
塩酸25mlを加えた後、炭酸水素ナトリウム20gを加え、
クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下
留去し、得られた残渣を酢酸エチルで再結晶して、5,6-
ジメチルピラジン-2-オール(3−1)9.73gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.31(3H, s), 2.34(3H, s), 8.03(1
H, s)
【0045】参考例12 5,6-ジメチルピラジン-2-オール(3−1)6.45gに三臭
化リン14.8ml、オキシ臭化リン26.8gを加え、100℃で2
時間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、炭酸水素ナトリウ
ムでアルカリ性とし、沈殿物を濾別した後、クロロホル
ムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去し、得られ
た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて精製して、5-ブ
ロモ-2,3-ジメチルピラジン(3−2)8.29gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.50(3H, s), 2.53(3H, s), 8.39(1
H, s)
【0046】参考例13 5-ブロモ-2,3-ジメチルピラジン(3−2)8.29gを四塩
化炭素260mlに溶解し、N-ブロモスクシンイミド23.83
g、a,a'-アゾビス(イソブチロニトリル)0.73gを加
え、窒素雰囲気下、16時間加熱還流した。沈殿物を濾別
した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸
エチル=9:1)にて精製して、5-ブロモ-2,3-ビス(ブロ
モメチル)ピラジン(3−3)10.62gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:4.65-4.67(4H, m), 8.59(1H, s)
【0047】参考例14 5-ブロモ-2,3-ビス(ブロモメチル)ピラジン(3−3)
1.22gをDMF 30mlに溶解し、氷冷下でトリチルアミン2.7
5gのDMF溶液30mlを滴下し、室温で1時間撹拌した後、更
に60℃で3時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチ
ルで抽出し、有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキ
サン:ベンゼン=2:1)にて精製して、2-ブロモ-6-トリ
チル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピラジン(3−4)
1.22gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:4.02-4.05(4H, m), 7.14-7.56(15H,
m), 8.31(1H, m)
【0048】参考例15 8-クロロ-1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキソ-4H-キ
ノリジン-3-カルボン酸エチル(XIII)1.00gをトルエン
20mlに溶解し、ビス[トリブチルスズ(IV)] 4.96ml、
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロ
リド230mgを加え、アルゴン雰囲気下、3時間加熱還流し
た。反応終了後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)にて精製して、1-シクロプロピ
ル-9-メチル-4-オキソ-8-トリブチルスタニル-4H-キノ
リジン-3-カルボン酸エチル(2)0.48gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.72-0.76(2H, m), 0.89-1.64(32H,
m), 2.31-2.40(1H, m),3.05(3H, s), 4.42(2H, q, J=
7.3Hz), 7.21(1H, d, J=7.1Hz), 8.37(1H, s), 9.34(1
H, d, J=7.1Hz)
【0049】参考例16 2-ブロモ-6-トリチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]
ピラジン(3−4)0.5gをトルエン10mlに溶解し、ビス
[トリブチルスズ(IV)] 1.71ml、ビス(トリフェニル
ホスフィン)パラジウム(II)クロリド79mgを加え、ア
ルゴン雰囲気下、3時間加熱還流した。反応終了後、溶
媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=1
9:1)にて精製して、2-トリブチルスタニル-6-トリチ
ル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピラジン(3)78mg
を得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.85-1.69(27H, m), 4.01-4.09(4H,
m), 7.14-7.59(15H, m), 8.15(1H, s)
【0050】実施例1 2-ブロモ-6-トリチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]
ピラジン(3−4)178mgをDMF 2mlに溶解し、酸化銀
(I)93mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(0)46mgを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で
5分間撹拌した後、1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキ
ソ-8-トリブチルスタニル-4H-キノリジン-3-カルボン酸
エチル(2)180mgのDMF溶液2mlを滴下し、同温度で1時
間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、
有機層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:酢酸
エチル=19:1)にて精製して、1-シクロプロピル-9-メ
チル-4-オキソ-8-(6-トリチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロ
ロ[3,4-b]ピラジン-2-イル)-4H-キノリジン-3-カルボ
ン酸エチル(I)103mgを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.76-0.80(2H, m), 1.02-1.06(2H,
m), 1.41-1.45(3H, m),2.32-2.38(1H, m), 2.86(3H,
s), 4.18-4.20(4H, m), 4.43(2H, q, J=7.3Hz), 7.16-
7.63(16H, m), 8.43-8.44(2H, m), 9.45(1H, d, J=7.3H
z)
【0051】実施例2 1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキソ-8-(6-トリチル-
6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピラジン-2-イル)-4H-
キノリジン-3-カルボン酸エチル(I)103mgにエタノー
ル3ml、THF 1ml、1N塩酸0.5mlを加え、50℃で2時間撹拌
した。溶媒を減圧下留去し、残渣に水を加え、酢酸エチ
ルで洗浄後、得られた水層を減圧下濃縮した。残渣に水
2ml、エタノール2ml、1N水酸化ナトリウム2mlを加え、5
0℃で1時間撹拌した。反応液を1N塩酸で中和した後、減
圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=4:
1)にて精製して、1-シクロプロピル-8-(6,7-ジヒドロ
-5H-ピロロ[3,4-b]ピラジン-2-イル)-9-メチル-4-オキ
ソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸(I)16mgを得た。1 H-NMR(CF3COOD) δ:1.19-1.24(2H, m), 1.54-1.60(2
H, m), 2.80-2.86(1H, m), 3.37(3H, s), 5.42-5.48(4
H, m), 8.20(1H, d, J=7.3Hz), 8.96(1H, s), 9.27(1H,
s), 9.66(1H, d, J=7.3Hz)
【0052】参考例17 4-クロロ-3-メトキシ-2-メチルピリジン(化合物(V))36.
98gを酢酸685mlに溶解し、30%過酸化水素水92mlを加
え、90℃で24時間加熱後、反応液を減圧下留去した。残
渣をクロロホルムに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。溶媒を減圧下留去して、4-クロロ-3-メトキ
シ-2-メチルピリジンN-オキサイド(化合物(VI))37.64g
を得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.52(3H, s), 3.88(3H, s), 7.13(1
H, d, J=7.1Hz), 8.05(1H, d, J=7.1Hz)
【0053】参考例18 4-クロロ-3-メトキシ-2-メチルピリジンN-オキサイド
(化合物(VI))37.64gに無水酢酸175mlを加え、110℃で1
時間加熱した。溶媒を減圧下留去後、3N水酸化ナトリウ
ムを加え、pHを11とし、80℃で4時間加熱した。クロロ
ホルムで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=5:1)で精製
して、4-クロロ-2-ヒドロキシメチル-3-メトキシピリジ
ン(化合物(VII):R2=メトキシ基)24.10gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:3.91(3H, s), 4.18(1H, brs), 4.81
(2H, s), 7.28(1H, d, J=5.1Hz), 8.22(1H, d, J=5.1H
z)
【0054】参考例19 オキサリルクロリド15.5mlを無水ジクロロメタン300ml
に溶解し、-78℃で無水ジメチルスルホキシド13.5mlの
無水ジクロロメタン溶液150mlを滴下した。-78℃で40分
撹拌後、4-クロロ-2-ヒドロキシメチル-3-メトキシピリ
ジン(化合物(VIII):R2=メトキシ基)23.66gの無水ジ
クロロメタン溶液300mlを滴下した。-78℃で30分撹拌
後、反応温度を-45℃まで昇温させ、同温度で1時間撹拌
後、トリエチルアミン95.0mlを滴下し、室温まで昇温さ
せた。水を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機
層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホル
ム:酢酸エチル=5:1)で精製して、(4-クロロ-3-メ
トキシピリジン)-2-カルバルデヒド (化合物(IX):R2
=メトキシ基)20.60gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:4.03(3H, s), 7.57(1H, d, J=4.9H
z), 8.47(1H, d, J=4.9Hz), 10.24(1H, s)
【0055】参考例20 臭化シクロプロピル2.42mlとマグネシウム0.73gから調
製した臭化シクロプロピルマグネシウムのTHF溶液35ml
に(4-クロロ-3-メトキシピリジン)-2-カルバルデヒド
(化合物(VIII):R2=メトキシ基)3.45gのTHF溶液25ml
を滴下した。室温で12時間撹拌後、飽和塩化アンモニウ
ム水溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出した。得られた有
機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム)で
精製して、(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)シクロ
プロピルメタン-1-オール (化合物(IX):R2=メトキ
シ基)3.26gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.40-0.61(4H, m), 1.10-1.27(1H,
m), 3.93(3H, s), 4.20(1H, brs), 4.62 (1H, brs),
7.28(1H, d, J=5.1Hz), 8.23(1H, d, J=5.1Hz)
【0056】参考例21 オキサリルクロリド10.22mlを無水ジクロロメタン300ml
に溶解し、-78℃で無水ジメチルスルホキシド8.95mlの
無水ジクロロメタン溶液100mlを滴下した。-78℃で40分
撹拌後、(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)シクロプ
ロピルメタン-1-オール (化合物(IX):R2=メトキシ
基)19.25gの無水ジクロロメタン溶液200mlを滴下した。
-78℃で30分撹拌後、反応温度を-45℃まで昇温させ、同
温度で1時間撹拌後、トリエチルアミン62.79mlを滴下
し、室温まで昇温させた。水を加え、クロロホルムで抽
出し、得られた有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=20:1)で精製
して、(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)シクロプロ
ピルケトン(化合物(X):R2=メトキシ基)17.27gを得
た。1 H-NMR(CDCl3) δ:1.09-1.30(4H,m), 2.90-2.97(1H,
m), 3.95(3H, s), 7.48(1H, d, J=5.1Hz), 8.33(1H, d,
J=5.1Hz)
【0057】参考例22 塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム30.78g
を無水エーテル300mlに懸濁し、フェニルリチウム(シク
ロヘキサン−エーテル溶液;0.88mol/l)102mlを滴下
し、室温で15分撹拌した。次いで、(4-クロロ-3-メト
キシ-2-ピリジル)シクロプロピルケトン(化合物(X):
2=メトキシ基)18.10gのエーテル溶液210mlを滴下
し、室温で12時間撹拌した。沈殿を濾別し、濾液を水洗
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し
て、2-(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)-2-シクロプ
ロピル-1-メトキシエテン (化合物(XI):R2=メトキシ
基)8.94gを得た。1 H-NMR(CDCl31:0.47-0.51(2H, m), 0.71-0.75(2H,
m), 1.83-1.91(1H, m), 3.76(3H, s), 3.82(3H, s), 6.
57(1H, d, J=1.2Hz),7.16(1H, d, J=5.1Hz), 8.15(1H,
d, J=5.1Hz) δ2:0.41-0.45(2H, m), 0.57-0.62(2H, m), 1.63-1.70
(1H, m) , 3.58(3H, s), 3.85(3H, s), 6.20(1H, d, J=
1.2Hz), 7.22(1H, d, J=5.1Hz) , 8.26(1H, d,J=5.1Hz)
【0058】参考例23 2-(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)-2-シクロプロピ
ル-1-メトキシエテン(化合物(XI):R2=メトキシ基)1.
02gをTHF10mlに溶解し、希硫酸10mlを加え、50℃で減圧
濃縮した後、水に注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
で中和し、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を
飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶
媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=
4:1)で精製して、2-(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジ
ル)-2-シクロプロピルエタナール(化合物(XII):R2
メトキシ基)0.81gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.23-0.82(4H, m), 1.50-1.59(1H,
m), 3.23-3.26(1H, m),3.86(3H, s), 7.27(1H, d, J=5.
1Hz), 8.27(1H, d, J=5.1Hz), 9.92(1H, d, J=2.7Hz)
【0059】参考例24 2-(4-クロロ-3-メトキシ-2-ピリジル)-2-シクロプロピ
ルエタナール(化合物(XII):R2=メトキシ基)0.85gを
無水エタノール27mlに溶解し、ピペリジン0.89ml、酢酸
0.89ml、マロン酸ジエチル2.85mlを加え、100℃で5.5時
間攪拌した。溶媒を減圧下留去後、エーテルで希釈し、
有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣に
DowthermA 20mlを加え、240℃で30分加熱した。反応液
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキ
サン→ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して、8-ク
ロロ-1-シクロプロピル-9-メトキシ-4-オキソ-4H-キノ
リジン-3-カルボン酸エチル(化合物(XIII):R2=メト
キシ基)0.67gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.74-0.75(2H, m), 0.95-1.02(2H,
m), 1.42(3H, t, J=7.3Hz), 2.45-2.55 (1H, m), 3.97
(3H, s), 4.42(2H, q, J=7.3Hz), 7.10(1H, d, J=7.8H
z), 8.26(1H, s), 9.26(1H, d, J=7.8Hz)
【0060】参考例25 ナトリウムアミド104.2gをN,N-ジメチルアニリン170ml
に懸濁させ、3,4-ルチジン150 mlを滴下し、165℃で12
時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、析出物を濾別し
た後、濾液をエーテルで抽出した。得られた有機層を無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。
得られた残渣を蒸留(105-108℃/6mmHg)にて精製し
て、目的物である2-アミノ-4,5-ジメチルピリジンを、2
-アミノ-3,4-ジメチルピリジンを含んだ混合物として、
88.9gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.06(3H, s), 2.11(3H, s), 4.50(2
H, brs), 6.28(1H, s),7.76(1H, s)
【0061】参考例26 2-アミノ-4,5-ジメチルピリジンと2-アミノ-3,4-ジメチ
ルピリジンとの混合物100.0gを47%臭化水素酸407mlに
溶解し、氷冷下、臭素123.9mlを滴下し、同温度で30分
間撹拌した。さらに同温度で亜硝酸ナトリウム141.6gの
水溶液265mlを滴下し、2時間撹拌した。反応液に水酸化
ナトリウム309.7gの水溶液442mlを加え、室温で14時間
撹拌した後、エーテルで抽出し、得られた有機層を無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得
られた残渣を蒸留(86-95℃/5mmHg)にて精製して、目
的物である2-ブロモ-4,5-ジメチルピリジンを、2-ブロ
モ-3,4-ジメチルピリジンを含んだ混合物として、132.4
gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:2.19(3H, s), 2.24(3H, s), 7.24(1
H, s), 8.06(1H, s)
【0062】参考例27 2-ブロモ-4,5-ジメチルピリジンと2-ブロモ-3,4-ジメチ
ルピリジンとの混合物132.4gを四塩化炭素1.32lに溶解
し、N-ブロモスクシンイミド258.1g、a,a'-アゾビス
(イソブチロニトリル)11.69g を加え、3時間加熱還流
した。反応液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾別し
た後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸
エチル=20:1)にて精製して、2-ブロモ-4,5-ビス(ブ
ロモメチル)ピリジン2.28gを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:4.50(2H, s), 4.57(2H, s), 7.52(1
H, s), 8.35(1H, s)
【0063】参考例28 2-ブロモ-4,5-ビス(ブロモメチル)ピリジン2.28gをDM
F 50mlに溶解し、トリチルアミン5.16gを加え、50℃で3
時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサ
ン:酢酸エチル=20:1)にて精製して、6-ブロモ-2-ト
リチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン1.74g
を得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:3.90-3.92(4H, m), 7.16-7.56(16H,
m), 8.06(1H, s)
【0064】実施例3 8-クロロ-1-シクロプロピル-9-メトキシ-4-オキソ-4H-
キノリジン-3-カルボン酸エチル(1)200mgをトルエン2
mlに懸濁し、これにエタノール1ml、2M炭酸ナトリウム
水溶液0.5ml、3-キノリンボロン酸(3)107.5mg及びビ
ス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリ
ド20mgを加えた後、アルゴン雰囲気下で、4.5時間加熱
還流した。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を分取
し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧
下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=4:1)
で精製し1-シクロプロピル-9-メトキシ-8-(キノリン-3-
イル)-4-オキソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル
(I)120mgを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.78-0.81(2H, m), 1.00-1.05(2H,
m), 1.45(3H, t), 2.59-2.66(1H, m), 3.50(3H,
m), 4.42-4.48(2H, dd), 7.30(1H, d, J=7.6Hz), 7.66
(1H, m), 7.84(1H, m), 7.95(1H, d, J=8.1Hz), 8.20(1
H, d, J=8.3Hz), 8.30(1H, s), 8.51(1H, d, J=2.2Hz),
9.30(1H, d, J=2.2Hz), 9.45-9.47(1H, s, J=7.6Hz)
【0065】実施例4 1-シクロプロピル-9-メトキシ-8-(キノリン-3-イル)-4-
オキソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル(I)120mg
にメタノール2.4ml、1N水酸化ナトリウム1.2mlを加え、
50℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣に水
を加え、不溶物を濾去し、得られた水層を1N塩酸で中和
した。析出した結晶を濾取し1-シクロプロピル-9-メト
キシ-8-(キノリン-3-イル)-4-オキソ-4H-キノリジン-3-
カルボン酸62.8mgを得た。1 H-NMR(DMSO-d6) δ:0.78-0.82(2H, m), 1.02-1.07(2
H, m), 2.68-2.75(1H,m), 3.50(3H, s), 7.68-7.78(6
H, m), 8.83-8.84(1H, d, J=2.0Hz), 9.29-9.47(2H,
m), 14.06(1H, bs), FAB-MS m/z :387(M+H )+
【0066】実施例5 8-クロロ-1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキソ-4H-キ
ノリジン-3-カルボン酸エチル(1)295.9mgをトルエン3
mlに懸濁し、これにエタノール1.5ml、2M炭酸ナトリウ
ム水溶液0.7ml、3-キノリンボロン酸(3)167.4mg及び
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロ
リド30mgを加えた後、アルゴン雰囲気下で、4.5時間加
熱還流した。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を分取
し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧
下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=4:1)
で精製し1-シクロプロピル-9-メチル-8-(キノリン-3-イ
ル)-4-オキソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル(I)
100mgを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.81-0.85(2H, m), 1.05-1.10(2H,
m), 1.45(3H, t), 2.37-2.39(1H, m), 2.90(3H, s),
4.42-4.45(2H, m), 7.16-8.48(6H, m), 8.97-8.98(1
H, d, J=2.2Hz), 9.30-9.31(1H, d, J=2.4Hz), 9.52-9.
54(1H, d, J=7.3Hz),
【0067】実施例6 1-シクロプロピル-9-メチル-8-(キノリン-3-イル)-4-オ
キソ-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル(I)100mgに
メタノール5ml、1N水酸化ナトリウム5mlを加え、50℃で
1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣に水を加
え、不溶物を濾去し、得られた水層を1N塩酸で中和し
た。析出した結晶を濾取し1-シクロプロピル-9-メチル-
8-(キノリン-3-イル)-4-オキソ-4H-キノリジン-3-カル
ボン酸21.4mgを得た。1 H-NMR(DMSO-d6) δ:0.818-0.857(2H, m), 1.09-1.12
(2H, m), 2.57-2.82(1H, m), 2.93(3H, s), 7.72-7.7
6(2H, m), 7.76-7.92(1H, m), 8.13-8.16(2H,m), 8.3
1(1H, s), 8.65-8.66(1H, d, J=2.2Hz), 9.09-9.10(1H,
d, J=1.9Hz), 9.39-9.41(1H, d, J=7.5Hz), 14.06(1H,
bs), FAB-MS m/z :371(M+H )+
【0068】実施例7 6-ブロモ-2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]
ピリジン197mgをDMF 2mlに溶解し,酸化銀(I)103mg、
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)52mgを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で5分間撹
拌した後、1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキソ-8-ト
リブチルスタニル-4H-キノリジン-3-カルボン酸エチル
(2)200mgのDMF溶液2mlを滴下し、同温度で1時間撹拌
した。反応液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、有機
層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:酢酸エチ
ル=19:1)にて精製して、1-シクロプロピル-9-メチル-
4-オキソ-8-(2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4
-c]ピリジン-6-イル)-4H-キノリジン-3-カルボン酸エ
チル(I)43mgを得た。1 H-NMR(CDCl3) δ:0.76-0.80(2H, m), 1.01-1.03(2H,
m), 1.43(3H, t, J=7.1Hz), 2.32-2.37(1H, m), 2.82(3
H, s), 4.07-4.10(4H, m), 4.42(2H, q, J=7.1Hz), 7.1
5-7.69(17H, m), 8.40(1H, s), 8.47(1H, s), 9.46(1H,
d, J=7.6Hz)
【0069】実施例8 1-シクロプロピル-9-メチル-4-オキソ-8-(2-トリチル-
2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-6-イル)-4H-
キノリジン-3-カルボン酸エチル(I)43mgにエタノール
1.3ml、THF 0.45ml、1N塩酸0.25mlを加え、50℃で1時間
撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣に水を加え、酢酸
エチルで洗浄後、得られた水層を減圧下濃縮した。残渣
に水1ml、エタノール1ml、1N水酸化ナトリウム1mlを加
え、50℃で1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、水2
mlに溶解させ、1N塩酸で中和した。析出した結晶を濾取
して、1-シクロプロピル-8-(2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ
[3,4-c]ピリジン-6-イル)-9-メチル-4-オキソ-4H-キノ
リジン-3-カルボン酸(I)12mgを得た。1 H-NMR(CF3COOD) δ:1.25-1.29(2H, m), 1.56-1.62(2
H, m), 2.77-2.84(1H, m), 3.33(3H, s), 5.59-5.64(4
H, m), 8.05(1H, d, J=7.6Hz), 8.60(1H, s), 9.07(1H,
s), 9.47(1H, s) 9.71(1H, d, J=7.6Hz)
【0070】次に処方例を示すが、本発明はこれらのみ
に限定されるものではない。処方例1 各々が、次の成分を含有する錠剤を常法により作った。 実施例6の化合物 100mg コーンスターチ 50mg カルボキシメチルセルロースカルシウム 25mg 結晶セルロース 20mg ステアリン酸マグネシウム 5mg 計 200mg 本発明の化合物又はその塩のインビトロの抗菌活性は、
CHEMOTHERAPY 29:76-79 (1981)に記載された寒天平板希
釈法を用いる日本化学療法学会標準法、並びに、嫌気性
菌については、CHEMOTHERAPY 27:559-590 (1979)に記載
された方法により、試験し、菌の発育が阻止された最小
濃度をもってMIC(μg/ml)とした。その結果を表1に示
す。
【0071】
【表1】表1
【0072】上記表1に示された結果から分かるよう
に、本発明の化合物は、グラム陽性菌、グラム陰性菌及
び嫌気性菌に対して、優れた抗菌活性を有することが分
かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 519/00 311 C07D 519/00 311 (72)発明者 木村 博明 東京都荒川区西尾久2−13−27 (72)発明者 柳原 智 神奈川県川崎市宮前区有馬4−3−16− 410 (72)発明者 加藤 雅俊 神奈川県相模原市相模原6−21−17−504 (72)発明者 廣澤 知里 東京都大田区久が原6−6−6 (72)発明者 石塚 誠治 東京都八王子市台町4−39−4−604 (72)発明者 鎮目 二左枝 東京都港区芝5−20−7−705 Fターム(参考) 4C065 AA03 BB09 CC01 DD01 EE02 HH02 HH08 JJ04 KK02 LL03 PP19 4C072 MM02 UU01 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 CB18 MA01 MA04 NA14 ZB35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I)で示される4-オキソキノリジ
    ン系化合物又はその薬理学的に許容しうる塩。 【化1】 (I)(式中、 R1は、水素原子又はカルボキシル保護基を示し、 R2及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、
    低級アルキル基、低級アルコキシ基又はヒドロキシル基
    を示し、 R3は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低
    級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ニトロ基、シア
    ノ基、ヒドロキシル基及びアミノ基から選択される基を
    示し、 R5は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低
    級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ニトロ基、シア
    ノ基、ヒドロキシル基及びアミノ基から選択される基を
    示し、 A1、A2及びA3は、各々独立に、C−R4又は窒素原子
    を示し、 A4は、炭素原子又は窒素原子で構成される5員環又は
    6員環を示し、 nは、1〜8の整数を示し、 mは、1〜3の整数を示し、そして、 pは、1〜3の整数を示し、 但し、R2〜R4の各基が、複数存在する場合には、各々
    同一又は異なる基であってもよい。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の4−オキソキノリジン
    系化合物、その立体異性体及びその薬理学的に許容しう
    る塩を有効成分として含有することを特徴とする抗菌
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の4−オキソキノリジン
    系化合物又はその塩を製造する方法であって、 次式(1)、 【化2】 (1)(式中、Xは、ハロゲン原子である。)で示され
    る化合物を、次式(2)、 【化3】 (2)(式中、Lは、スズ(アルキル基)3又はホウ素
    (低級アルコキシ基)2を示す。)で示される化合物と
    反応させることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の4−オキソキノリジン
    系化合物又はその塩を製造する方法であって、 次式(1)、 【化4】 (1)(式中、Lは、スズ(アルキル基)3又はホウ素
    (低級アルコキシ基)2を示す。)で示される化合物
    を、次式(2)、 【化5】 (2)(式中、Xは、ハロゲン原子である。)で示され
    る化合物と反応させることを特徴とする方法。
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