JP2003011353A

JP2003011353A - インクジェット印刷品質を改善するための方法と装置

Info

Publication number: JP2003011353A
Application number: JP2002155359A
Authority: JP
Inventors: Vladek P Kasperchik; バラデク・ピー・カスパーチク; William J Allen; ウィリアム・ジェイ・アレン
Original assignee: Hewlett Packard Co
Current assignee: HP Inc
Priority date: 2001-05-29
Filing date: 2002-05-29
Publication date: 2003-01-15
Also published as: US20020180855A1; US20030030710A1; EP1262330A1; EP1547795B1; US6585364B2; EP1262330B1; DE60213511T2; EP1547795A1; DE60221719T2; DE60213511D1; DE60221719D1; US6715866B2

Abstract

(57)【要約】【課題】インクジェット印刷における膨潤性媒体を印
刷直前に媒体を流体及び／又は熱で前処理してインクの
浸透を加速し且つ凝集を低減させるコストの掛からない
方法と装置を提供する。【解決手段】膨潤性媒体によるインクの吸収を加速す
るのに役立つ処理流体を膨潤性媒体（１０）に適用する
ステップと、及び前記膨潤性媒体（１０）にインクを適
用するステップとを含んで成り、前記インクが前記処理
流体適用後約１分以内に前記膨潤性媒体（１０）に適用
される、膨潤性媒体（１０）にインクを適用するプリン
タにおける印刷品質を改善する方法。

Description

【発明の詳細な説明】【０００１】【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット印
刷における膨潤性媒体を処理するための方法と装置に関
する。より詳細には、本発明は、印刷直前に媒体を流体
及び／又は熱で前処理してインクの浸透を加速し且つ凝
集を低減させる方法と装置に関する。【０００２】【従来の技術】膨潤性インク受容層（例えば、ゼラチ
ン、及びポリビニルピロリドンなどのその他のヒドロゲ
ル及びポリビニルアルコール又はポリエチレンオキシド
を含む共重合体）は、通常、インクジェット写真画像化
に用いられている。これらの媒体（典型的にはコート
紙）は、（普通紙又はコート紙などの）多孔性媒体より
優れた耐光性と耐久性を提供するのに役立ち、その上、
画像品質を改善する時もある。しかし、膨潤性インク受
容層は、しばしば、インクの取込みが遅いという問題に
さらされる。インク受容層が膨潤し且つ表面からインク
を吸収するのに要する時間は、しばしば、多孔性媒体が
インクを吸収するのに要する時間より長い。高速印刷の
場合、インクは、それが十分吸収される以前に濁るか又
は「凝集する」ことがあり、これが達成できる画像品質
を制限する。【０００３】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、凝集
を低減し且つ画像品質を改善する、費用の掛からない方
法と装置を提供することにある。【０００４】【課題を解決するための手段】本発明は、１つの態様に
おいて、膨潤性媒体印刷用のプリンタのための印刷品質
を改善する方法を包含する。その方法は、インクの媒体
への適用前１分以内に、膨潤性媒体に処理流体を適用す
るステップを含んでなる。これは、例えば、媒体がプリ
ンタを通過し、プリントヘッドに到達する以前に、例え
ば、ローラー、ワイパー、噴霧器又はインクジェットプ
リントヘッドによって、媒体に処理流体を適用するよう
なイン−ライン装置の使用によって達成され得る。媒体
への処理流体適用とインク適用の間の時間は、例えば、
１５秒、５秒又は１秒を超えない時間であってよい。処
理流体が適用されている間又はその直後に媒体を加熱し
てもよい。処理流体は、膨潤性媒体の親水性を高めるよ
うに選択することができる。例えば、処理流体は、極性
溶媒（例えば、水）と湿潤剤又は界面活性剤を含んでよ
く、さらに、乾燥剤を含んでもよい。幾つかの実施態様
において、当該処理流体は、約５〜３０％のアルコール
及び／又はジオール（例えば、約８〜２０％の１，２−
ヘキサンジオールと約２〜５％の１−ブタノール）、約
１〜４％の界面活性剤（例えば、約１〜４％の第二級ア
ルコールエトキシレート）、及び約７１〜８９％の水を
含む。【０００５】他の態様において、本発明は、処理流体を
印刷媒体へ適用することにより画像品質を改善する方法
を包含し、この場合、該処理流体は、印刷媒体へ印刷す
るのに用いられるインクからの着色剤の急速な沈殿を生
じさせるように選択される。着色剤は、例えば、顔料で
も又は染料であってもよい。処理流体とインクは、着色
剤が処理流体と不溶性塩を形成し、それによって着色剤
が沈殿するように選択され得る。【０００６】さらに別の態様において、本発明は、処理
流体を印刷媒体へ適用するためのプリンタを包含する。
該プリンタは、処理流体を適用する前処理アプリケータ
ーと、及び、処理流体適用後約１分以内にインクを適用
するインクジェットとを含んでなる。該プリンタは、ま
た、印刷媒体をそれがインクジェットと接触する以前に
前処理アプリケーターの上へ送り込むフィーダーを含み
得る。前処理アプリケーターは、例えば、ローラー（例
えば、微孔性ローラー）と液体溜め容器を含んでいても
よく、この場合、印刷媒体がアプリケーターを通過する
と、ローラーが溜め容器から液体を印刷媒体へ適用する
ようになる。任意に、当該プリンタは又、前処理アプリ
ケーターに隣接して印刷媒体を加熱する加熱器を含んで
もよい。【０００７】膨潤性媒体の、インクによる初期の緩慢な
湿潤と膨潤は、ポリマー表面の再調整の遅延によって生
ずると考えられている。ポリマー表面は、界面エネルギ
ーを最少にするために周囲の環境に関連して絶えず自ら
を再調整する流動的な系である。親水性と疎水性の両方
の部分を有するポリマーからなる多くの膨潤性媒体の場
合、このような調整は、局所的な環境の変化に応答した
表面の親水性の変質を包含する。ポリマー鎖のある部分
は、該鎖の親水性又は疎水性の部分をポリマー／空気の
界面に置くよう移動する。湿気の多い環境は表面の親水
性を高める傾向があり、一方、乾燥した環境は親水性を
減ずる傾向がある。表面特性の再調整は、通常、温度依
存性であり、温度が高いほどより急速に生ずる。【０００８】典型的なインクのより速い湿潤と吸収は、
媒体表面が強親水性である時に促進される。これは、強
力な湿潤剤と攻撃性の溶媒をインク調合物に用いること
により達成できるが、これらはインクの供給及び分配シ
ステムを損傷することがあり、しばしば、インクジェッ
トシステム全体の信頼性を損なう傾向がある。【０００９】より速い湿潤は又、インクへ曝される際の
ポリマー表面の調整速度を高めるために、印刷領域又は
その直前で媒体を加熱することによって達成できる。し
かし、このアプローチは、環境条件に対するシステムの
感度を高めることになりかねない。媒体が低湿度環境で
予備加熱される時、表面はいっそう乾燥し、初期の湿潤
性が減少することがある。ハイエンドの機械の中には、
周囲の温度及び湿度の変化を補償するメカニズムを備え
ているものもあるであろう。しかし、このようなシステ
ムは、印刷システムに著しい複雑性を付加することにな
る。【００１０】【発明の実施の形態】本発明は、印刷の前に湿潤性媒体
表面の親水性を化学的に調整することによりこれらの欠
点を克服するものである。インクの適用に先立ち、好ま
しくは加熱と共に両親媒性溶媒を使用する。そのような
溶媒は、周囲の条件の変化に応答して媒体表面における
ポリマー鎖の移動を促進する。好ましい実施態様では、
溶媒は微孔性ローラーを介して適用されるが、ワイパー
及び噴霧器などの他の適用方法も本発明の範囲内に帰属
する。【００１１】本発明に従って使用される処理流体は、好
ましくは、極性溶媒（例えば、水）と、湿潤剤（例え
ば、アルコール及びジオール）及び／又は界面活性剤
（例えば、（Ｃ_{１２−１４}Ｈ_{２５−２９}）−Ｏ−（ＣＨ
_２ＣＨ_２Ｏ）_５−７−Ｈなどの第二級アルコールエトキ
シレート）を含む。本発明に好適に使用できる処理流体
の１つは、約８〜２０％の１，２ヘキサンジオール、約
２〜５％の１−ブタノール、約１〜４％の第二級アルコ
ールエトキシレート及び約７１〜８９％の水を含んでな
る。第二級アルコールエトキシレートとしては、ＴＥＲ
ＧＩＴＯＬ（商標）１５−Ｓ−５やＴＥＲＧＩＴＯＬ
（商標）１５−Ｓ−７などが含まれる。【００１２】図１に示す本発明の実施態様において、媒
体１０は、プリントヘッド１４の下を通過する前に前処
理アプリケーター１２を介して供給される。前処理シス
テムは、ローラー１６と処理流体溜め容器１８を備え
る。任意に、処理流体をローラー１６で適用する時に媒
体を加熱するために加熱器２０を使用してもよい。ある
いは又、ローラーそのものを加熱するか、又は前処理ア
プリケーターに到達する以前に他のシステムで媒体を加
熱してもよい。【００１３】図示した実施態様では、ローラー１６に適
当な微孔性材料を選択することにより、複雑な送出し装
置又は計量装置を必要とすることなく、所望量の処理流
体を媒体１０に適用し得る。例えば、Ｗ．Ｌ．Ｇｏｒｅ
＆Ａｓｓｏｃｉａｔｅｓ製のＡＣＵ−ＲＡＴＥ（登
録商標）ＯｉｌＳｕｐｐｌｙＲｏｌｌは、この目
的に適するであろう。但し、送出し装置又は計量装置を
含む実施態様も又、本発明の範囲内に帰属するものであ
る。【００１４】媒体１０は、アプリケータ１２を通ってプ
リントヘッド１４の方へ連続して進む。従って、表面処
理とインク適用の間の遅延時間は短い（１分未満、好ま
しくは５秒未満、より好ましくは１秒未満）。従来技術
のシステムでは、プリンタの外部で媒体表面の化学的性
質を改質しようと試みられてきたが、これらのシステム
は、様々な環境条件下での可能な長期保管を斟酌しなけ
ればならない。【００１５】本発明による媒体のインライン前処理に
は、幾つかの利点がある。前処理は、媒体のインク受容
層中へのインクの浸透を促進し、ドットゲインを増大
し、より平滑なカラー遷移をもたらし、そして凝集を減
少させ、一方でより高いスループットでの印刷を可能に
する。ドットゲインの増大で飽和色を得るのに要するイ
ンク量を減らすことができ、よって、印刷物の頁当りの
費用を低減し且つペン（ヘッド付きカートリッジ）の信
頼性を改善することができる。【００１６】さらに、媒体のインライン調整によってイ
ンク／媒体の相互作用の基本的な環境感度が低くなる。
本発明によれば、媒体は印刷直前に処理「サウナ」を通
過するが、これは事前の環境上の諸影響を克服すること
になる。結果として、環境条件に対する補正を不要にす
ることができる。【００１７】加えて、本発明による媒体表面の前処理に
より、攻撃性の低い溶媒及び湿潤剤を含むインクの使用
が可能となる。これらの成分はインク供給機構の著しい
劣化を引き起こすことがあるので、本発明の使用によ
り、系の信頼性を高めることができる。より単純な前処
理流体の連続コーティングの適用に使用される機構の方
が、プリントヘッドをより複雑な構造とするより、これ
ら信頼性の問題を避けるようデザインするのに容易であ
る。【００１８】本発明の装置は、他方式の媒体前処理にも
使用することができる。例えば、顔料インクで印刷する
時、顔料キャリヤーと相互に作用して顔料を急速に沈殿
させる溶液を適用することができる。該キャリヤーを除
去するのに蒸発及び／又は吸収に頼らないことで、顔料
をより正確に配置させることができ、結果として、プリ
ントアウトの光学濃度及びエッジ明瞭度が改善される。
これらの性質は、多くの普通紙に関しては、着色インク
で下刷りすることでブラック顔料について改善可能なも
のではあるが、本発明の前処理方法を使用することによ
り（インクジェットプリンタが、典型的には、カラー用
よりもブラック用ノズルをより多く有するため）スルー
プットが速められる。さらに、印刷する前に媒体に処理
流体を均一に適用することにより、全カラーの顔料を溶
液から発現(クラッシュアウト)させることができ、彩度
並びにエッジ明瞭度を改善することができる。同様の技
術は、ある染料にも使用され得る。【００１９】アニオンポリマー分散剤の吸収によって安
定化された顔料、アニオン電荷をその表面に有する自己
分散型顔料、あるいはアニオン染料に関しては、前処理
流体は、顔料又は染料のアニオン成分と不溶性塩を形成
するカチオン成分（例えば、Ｃａ^２＋、Ｍｇ^２＋又はＦ
ｅ^３＋などの多価金属カチオン、ポリエチレンアミン、
ポリエチレンイミン又は高分子第四級アミンなどのカチ
オンポリマー、又はカチオン界面活性剤）を含み得る。
インクが処理された媒体上に堆積されると、前処理流体
のカチオン成分がインクのアニオン成分と塩を形成し、
これが溶液から急速に発現（クラッシュアウト）され
る。溶液からの染料又は顔料の移動が非常に急速なた
め、染料又は顔料の分散はわずかで、結果的にエッジ明
瞭度が改善される。当然ながら、この技術は、前処理流
体にアニオン（例えば、−ＳＯ_３ ⁻又はＣＯＯ⁻基を含
有するポリマー又は界面活性剤）を含めることによっ
て、カチオン染料及びカチオン性安定化顔料を安定化す
るのにも使用することができる。【００２０】これら前処理流体の沈殿剤は、インクの浸
透を加速するのに用いられる湿潤剤及び界面活性剤と共
に用いることができる。沈殿剤は、湿潤剤及び界面活性
剤含有の溶液中で安定であるように選択すべきであり、
且つ後者は、沈殿剤の着色剤沈殿能力を過度に減じない
よう選択すべきである。【００２１】本発明のその他の実施態様は、本書に開示
した本発明の明細書並びに実施法を考察することによ
り、当業者には明らかとなろう。本明細書及び実施例
は、例示としてのみ考慮されることを意図するものであ
り、本発明の真の範囲は特許請求の範囲によって示され
る。１．膨潤性媒体によるインクの吸収を加速するのに役
立つ処理流体を膨潤性媒体（１０）に適用するステップ
と、及び前記膨潤性媒体（１０）にインクを適用するス
テップとを含んで成り、前記インクが前記処理流体適用
後約１分以内に前記膨潤性媒体（１０）に適用される、
膨潤性媒体（１０）にインクを適用するプリンタにおけ
る印刷品質を改善する方法。２．前記処理流体が、極性溶媒、及び湿潤剤又は界面
活性剤を含む、上記１に記載の方法。３．前記処理流体が、約８〜２０％の１，２−ヘキサ
ンジオールと、約２〜５％の１−ブタノールと、約０．
５〜２％のＴＥＲＧＩＴＯＬ１５−Ｓ−５と、約０．
５〜２％のＴＥＲＧＩＴＯＬ１５−Ｓ−７と、及び約
７１〜８９％の水とを含んでなる、上記１に記載の方
法。３’．前記処理流体が、約８〜２０％の１，２−ヘキ
サンジオールと、約２〜５％の１−ブタノールと、約１
〜４％の界面活性剤と、及び約７１〜８９％の水とを含
んでなる、上記１に記載の方法。４．キャリヤーからの着色剤の急速な沈殿を生起させ
ることによりインクと相互作用するよう選択された処理
流体を膨潤性媒体（１０）に適用するステップと、及び
前記膨潤性媒体（１０）にインクを適用するステップと
を含んで成り、インクが前記処理流体適用後約１分以内
に前記膨潤性媒体に適用される、着色剤とキャリヤーと
を含んでなるインクを前記膨潤性媒体（１０）へ適用す
るプリンタの印刷品質を改善する方法。５．前記着色剤と前記処理流体とが不溶性塩を形成す
ることにより相互作用する、上記４に記載の方法。６．前記処理流体が、さらに、乾燥剤を含む、上記１
から５のいずれかに記載の方法。７．前記処理流体が、ローラー（１６）、ワイパー又
は噴霧器を使用して適用される、上記１から６の何れか
に記載の方法。８．処理流体を膨潤性媒体（１０）に適用する前処理
アプリケーター（１２）と、及びインクを前記膨潤性媒
体（１０）に適用するインクジェット（１４）とを含ん
で成り、前記インクが前記処理流体適用後約１分以内に
前記膨潤性媒体に適用される、インクを膨潤性媒体（１
０）に適用するインクジェットプリンタ。９．前記前処理アプリケーター（１２）が、ローラー
（１６）及び流体溜め容器（１８）を含み、前記膨潤性
媒体が前記アプリケーター（１２）を通過することによ
り、ローラー（１６）に前記流体溜め容器（１８）から
前記処理流体を前記膨潤性媒体（１０）に適用すること
を生起させる、上記８に記載のインクジェットプリン
タ。１０．前記前処理アプリケーター（１２）に隣接して
前記膨潤性媒体（１０）を加熱する加熱器（２０）をさ
らに含む、上記８又は９に記載のインクジェットプリン
タ。【発明の効果】本発明によれば、印刷直前に媒体を流体
及び／又は熱で前処理してインクの浸透を加速し且つ凝
集を低減させ、しかも費用の掛からない方法と装置が提
供される。

【図面の簡単な説明】【図１】本発明によるプリンタの媒体前処理アプリケー
タとプリントヘッドを示す。【符号の説明】１０膨潤性媒体１２アプリケータ１４インクジエット１６ローラー１８流体溜め容器２０加熱器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者ウィリアム・ジェイ・アレンアメリカ合衆国オレゴン州97333，コーバリス，サウスウエスト・カスケード・アベニュー・3415 Ｆターム(参考） 2C056 EA04 EC13 EC21 HA42 2H086 BA02 BA15 BA34

Claims

【特許請求の範囲】【請求項１】膨潤性媒体によるインクの吸収を加速す
るのに役立つ処理流体を膨潤性媒体（１０）に適用する
ステップと、及び前記膨潤性媒体（１０）にインクを適
用するステップとを含んで成り、前記処理流体適用後約
１分以内に前記膨潤性媒体（１０）にインクを適用す
る、膨潤性媒体（１０）にインクを適用するプリンタに
おいて印刷品質を改善する方法。