JP2003010576A - ボタン穴かがりミシン - Google Patents

ボタン穴かがりミシン

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JP2003010576A
JP2003010576A JP2001203684A JP2001203684A JP2003010576A JP 2003010576 A JP2003010576 A JP 2003010576A JP 2001203684 A JP2001203684 A JP 2001203684A JP 2001203684 A JP2001203684 A JP 2001203684A JP 2003010576 A JP2003010576 A JP 2003010576A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、ボタン穴かがりミシンにお
いて、糸切れ後に開口されたボタン穴の縫い合わせを、
自動的に行なうことを可能とする。 【解決手段】ボタン穴を形成し、かがり縫いを行なうボ
タン穴かがりミシン1において、上糸が切れたことを検
出する糸切れ検出手段(糸切れ検知装置129)と、布
切りメス16が動作したことを検出するメス検出手段
(CPU111)と、糸切れ検出手段によって、上糸が
切れたことが検出されると、ミシンを停止させる糸切れ
制御手段(CPU111)とを備え、ボタン穴の左右側
縫い時に上糸が切れてミシンが停止した際には、ボタン
穴を跨ぐようにジグザグ縫いする縫い合わせを行なうよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボタン穴を形成す
るための布切り装置を有するボタン穴かがりミシンに関
する。
【0002】
【従来の技術】被縫製物に対してボタン穴を形成すると
ともに、その周囲にかがり縫いを施すボタン穴かがりミ
シンが知られている。ボタン穴かがりミシンでは、布押
え等によって保持した被縫製物を布送り機構により所定
の方向に送りながらミシン針に通された上糸と、釜装置
内のボビンに巻かれた下糸とを絡めて、縫い目を形成す
るようになっている。そして、穴かがり縫い目の縫製に
前後して、上側のメスを下側のメス受けに向かって下降
させることで、被縫製物を切開してボタン穴を形成する
ようになっている。
【0003】ところで、縫製動作中に糸切れが発生した
場合、糸切れ検知装置により、糸切れが検出される。そ
して、制御回路が糸切れ検知装置から出力された検出信
号を受けて、ミシンの運転が停止する。例えば図12に
示すように、P1地点で上糸または下糸に糸切れが発生
した場合、糸切れを糸切れ検知装置が感知して、 実際
にミシンが停止するまで数針間かかる。その間に、ミシ
ン針はP1地点からP2地点を通過し、さらにP3地点
に位置した時点でミシンが完全に停止する。そして、P
2地点をミシン針が通過するとメスが駆動し、まだ縫製
していない部分を切開しボタン穴H1を形成してしま
う。また、糸切れの発生以外の何らかの理由により、作
業者が一時停止スイッチを押してミシンを停止させよう
とした場合でも同様の事態が起こり得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、このような場合
には、再度縫い直しを行なうが、この際、糸切れが発生
したP1地点以前から縫い直す必要がある。しかし、す
でにメスが駆動し、ボタン穴H1を形成しているため、
この状態で、作業者が再度縫製しようとしても被縫製物
が上下に暴れてしまい、きれいに仕上げることが困難で
あった。また、生地の暴れを防止するため、一度ミシン
から生地をはずして、ボタン穴を手で縫ってから再度ミ
シンにセットをする方法があるが、縫い直しを開始する
位置合わせに手間がかかり、また熟練を要した。
【0005】本発明の課題は、ボタン穴かがりミシンに
おいて、ボタン穴を形成した状態でも、きれいに、しか
も簡単に縫い直すことを可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、 請求項1記載の発明は、 ボタン穴H1の左右側縫
いが一部形成されると、中央に布切りメス16を落とし
て所定の長さのボタン穴を形成し、かがり縫いを行なう
ボタン穴かがりミシン1において、布切りメスが動作し
たことを検出するメス検出手段(CPU111)と、上
糸が切れたことを検出する糸切れ検出手段(糸切れ検知
装置129)と、糸切れ検出手段によって上糸が切れた
ことが検出されるとミシンを停止する糸切れ制御手段
(CPU111)とを備え、布切りメスの動作後、上糸
が切れてミシンが停止した際には、布切りメスで開口し
たボタン穴を跨ぐようにジグザグ縫いする縫い合わせを
可能としたことを特徴とする。
【0007】請求項1記載の発明によれば、ボタン穴か
がり縫いの途中で糸切れが発生した際、被縫製物をミシ
ン台にセットした状態で、ボタン穴を跨ぐようにジグザ
グ縫いを行なうので、作業者がミシンから生地をはずし
てボタンホールを手で縫ってから再度ミシンにセットす
る必要がなく、きれいに、しかも簡単に縫い直すことが
できるとともに、時間的短縮を図ることが可能である。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載のボ
タン穴かがりミシンであって、ジグザグ縫いの幅を設定
する設定手段(操作パネル100)を設け、縫い合わせ
を設定した幅で行なうことを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明によれば、 請求項1
と同様の効果を得られると共に、ボタン穴の長さに応じ
て適切なジグザグ縫い幅を設定することができるので、
被縫製物の暴れを確実に押さえることができる。例え
ば、ボタン穴が長く開口されている場合は、ジグザグ縫
い幅を広くし、これに対しボタン穴が短く開口されてい
る場合は、ジグザグ縫い幅を狭くすることができる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載のボ
タン穴かがりミシンであって、設定手段は、ジグザグ縫
いの幅を往復で独立に設定可能であることを特徴とす
る。
【0011】請求項3記載の発明によれば、縫い合わせ
のジグザグ縫い幅を往復で別々に設定できるので、例え
ば往路でジグザグ縫い幅を広くし、布押さえの長孔に囲
まれた被縫製物全体を押さえる一方、復路ではジグザグ
縫い幅を狭くし、ボタン穴の周縁を押さえることができ
るので、請求項2と同様の効果が得られる。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1記載のボ
タン穴かがりミシンであって、ジグザグ縫いのピッチを
往復で独立に設定するピッチ設定手段(操作パネル10
0)を設け、縫い合わせを設定したピッチで行なうこと
を特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明によれば、縫い合わせ
のジグザグ縫いピッチを往復で別々に設定できるので、
例えば往路で大きなピッチとし、布押さえの長孔に囲ま
れた被縫製物全体を押さえる一方、復路では小さなピッ
チにし、ボタン穴の周縁を押さえることにより、より効
果的に被縫製物を押さえることができる。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1記載のボ
タン穴かがりミシンであって、張力設定手段(操作パネ
ル100)を備え、縫い合わせを設定した張力で行なう
ことを特徴とする。
【0015】請求項5記載の発明によれば、作業者が張
力測定装置や工具を用いることなく、予め設定された値
により自動的に糸張力を変更でき、また、生地の種類や
厚さ等に合わせて糸張力を設定することができ、被縫製
物を効果的に押さえることができるので、生地の暴れを
防ぐことができる。なお、縫い合わせ時の糸張力は、幅
やピッチを大きくする場合には強めに設定する。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項1から5の
何れかに記載のボタン穴かがりミシンであって、縫い合
わせの終了を判別すると、一旦停止し、再スタート時の
縫いパターンを元のかがり縫いと同じにすることを特徴
とする。
【0017】請求項6記載の発明によれば、縫い合わせ
終了時にミシンが停止することで、縫い合わせの状態を
作業者が確認できるので、縫い合わせの不具合があった
場合は再度、縫い合わせを行なうことができる。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項1から6の
何れかに記載のボタン穴かがりミシンであって、縫い合
わせを、布切りメスで切断した位置に関連して開始し、
かつ、自動停止することを特徴とする。
【0019】請求項7記載の発明によれば、糸切れ位置
近傍の布切りメスで切断された部分のみの縫い合わせを
行なうことができるので、縫い合わせ時間の短縮がで
き、また切断された部分のみ縫い合わせを行なうので、
かがり縫いの完成時に見栄えがよくなる。
【0020】請求項8記載の発明は、 請求項6記載の
穴かがりミシンであって、縫い合わせ終了後、ボタン穴
のかがり縫いの再開位置を縫い始めから行なうか、途中
から行なうかを選択する再開位置選択手段(操作パネル
100)を備えることを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明によれば、縫い合わせ
終了後に作業者が、かがり縫いを始めの位置から縫い直
すのか、糸切れが発生した近傍から縫い直すのかを選択
できるので、状況に応じた対処を行なうことができる。
【0022】請求項9記載の発明は、請求項1から8の
何れかに記載のボタン穴かがりミシンであって、糸切れ
制御手段によるミシン停止、または布切りメスの動作後
の糸切れを受けて操作された一時停止手段(一時停止ス
イッチ106)によるミシン停止時に、縫い合わせを行
なうか否かを選択する縫い合わせ選択手段(縫い合わせ
操作部105)を備えたことを特徴とする。
【0023】請求項9記載の発明によれば、糸切れによ
るミシン停止のほかに、作業者が何らかの理由により、
一時停止ボタンを押した場合でも縫い合わせを行なうか
否かの選択ができるので、例えば、予め縫い合わせの設
定を行なっていなくとも、この一時停止ボタンに応じ
て、縫い合わせの設定を行なうことも可能である。
【0024】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
ボタン穴かがりミシンであって、縫い合わせ選択手段
は、糸切れ制御手段によるミシン停止、または一時停止
手段によるミシン停止時に表示する表示手段(縫い合わ
せ操作部105)と、押圧可能な押圧手段(縫い合わせ
設定キー105a)とを備え、押圧手段が押された際に
は、設定手段(操作パネル100)にてジグザグ縫いの
設定を可能としたことを特徴とする。
【0025】請求項10記載の発明によれば、糸切れ制
御手段によるミシン停止、または一時停止手段によるミ
シン停止時に、操作パネル上の縫い合わせ操作部に表示
されるので、作業者は糸切れを知ることができ、また、
縫い合わせ操作部の縫い合わせ設定キーを押すことで、
予め縫い合わせの設定を行なっていなくとも縫い合わせ
の設定を行なうことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を詳細に説明する。本発明の一例としてのボタ
ン穴かがりミシン1は、図1および図2に示すように、
ベッド部2と縦胴部3とアーム部4とからなる。該ミシ
ン1は、昇降動作と左右への針振り動作を行うミシン針
9、布(被縫製物)を押さえる布押え15、その下側で
布を保持すると共に布送り方向(Y方向)に前後動する
布送り板14、布押え15の上側で上糸を切断する上糸
切断装置80、布を切断してボタン穴H1を形成する布
切りメス16、各設定データ等の入力を行う入力手段と
しての操作パネル100(図5)、並びに、該ボタン穴
かがりミシン1を制御する制御回路110(図4)等を
備えてなる。
【0027】布押え15および布送り板14は、両者で
布を挟んで保持すると共に、Y送り駆動手段13により
駆動されて、前後方向(Y方向)に布を送るようになっ
ている。図2に示すように、布押え15は、布送り部材
23に連結された連結アーム24に固定される一方、布
送り板14は布送り部材23に直接連結されている。こ
の布送り部材23は、ラック22aを有する送り軸22
に固定されており、Y送りパルスモータ20が回転する
とピニオン20aを介して駆動されて、布押え15と布
送り板14とを前後動させる。すなわち、Y送りパルス
モータ20、送り軸22、布送り部材23、連結アーム
24によりY送り駆動手段13が構成される。布押さえ
15は、押え上げソレノイド127に連結されており、
該ソレノイド127がONになると上側を向き布地を開
放する状態になり、ソレノイド127がOFFになると
下側を向き布地を狭持できる。
【0028】ミシン針9を昇降させる昇降機構は、図2
と図3に示すように、上軸(主軸)6、ミシンモータ
5、クランクカム7等から構成され、ミシンモータ5の
回転駆動をクランクカム7により昇降運動に変換して針
棒8に伝達することで、ミシン針9を昇降運動させる。
上軸6は、傘車10a,10bを上下端に配した連結軸
10を介して下軸11とリンクしており、該下軸11に
連結された釜12と連動するようになっている。
【0029】ミシン針9を左右に振る針振り機構は、あ
る基線を原点として所定の振り幅でミシン針9を振る主
針振り機構と、この針振り幅を変更する振り幅変更機
構、並びに、前記基線を左右方向に変更する基線変更機
構等から構成される。
【0030】図3に示すように、主針振り機構は、針棒
揺動台18、針振り腕49、連結軸48、連結レバー4
7、針振りカムレバー46、三角カム35、ギヤ42
a、42b等から構成され、上軸6の回転運動を三角カ
ム35に伝達することで、針振りカムレバー46を所定
の振り幅で揺動させ、この揺動を伝達して針棒揺動台1
8を支点18aを中心に回動させることでミシン針9を
左右方向に振るようになっている。主針振り機構では、
ミシン針9が一回目に降りるタイミングで針棒8を基線
上にもって行き、2回目に降りるタイミングで針棒8を
基線から所定の振り幅量の位置にもって行くようになっ
ている。
【0031】振り幅変更機構は、針振り送りパルスモー
タ41の回転により、リンク36、37、連結リンク4
5を介して、針振りカムレバー46の振り幅量を変更す
ることでミシン針9の振り幅量を変更する。基線変更機
構は、基線送りパルスモータ40の回転により、基線変
更用レバー43を支点43aを中心に回動させて、基線
用レバー44の支点44aの位置を変更する。支点44
aは、針振りカムレバー46の揺動運動の原点を決定し
ているもので、支点44aの位置が変わることで、連結
リンク45を介して、針振りカムレバー46の揺動運動
の原点が変わり、ミシン針9の針振りの基線位置を変更
する。
【0032】図4には、ボタン穴かがりミシン1の制御
回路110の概略ブロック図を示す。制御回路110
は、図4に示すように、CPU(Central Pr
ocessing Unit)111、ROM(Rea
d Only Memory)112、RAM(Ran
dom Access Memory)113、各パル
スモータの駆動を行うY送りパルスモータドライバ11
4、基線送りパルスモータドライバ115、および針振
り送りパルスモータドライバ116、上糸切りハサミア
クチュエータ(ソレノイド76)を駆動する上糸切りハ
サミアクチュエータドライバ117、ミシンモータ5の
駆動制御を行うミシンモータドライバ119、押え上げ
ソレノイド127を駆動制御する押え上げソレノイドド
ライバ126、布切りメス16を下降させる布切りメス
下降シリンダ19を駆動するシリンダドライバ120、
上糸または下糸の糸切れを検知する糸切れ検知装置(糸
切れ制御手段129)等から構成される。
【0033】上記ミシンモータドライバ119には、ミ
シンモータ5の他、ミシンモータ5の回転量を上軸6の
回転角度としてコード化するミシンモータエンコーダ1
21、ミシン針9が上方位置にあることを検出する針上
位置センサ122、上軸6の回転速度を検出するTG
(タコジェネレーター)発生器123等が接続されてい
る。さらにCPU111には、後述する操作パネル10
0や布押え15の上昇・下降を指示する押えスイッチ1
24、並びに、ミシンモータ5の駆動スタートを指示す
るスタートスイッチ125、ミシンモータ5の停止を指
示する一時停止スイッチ(一時停止手段106)等が接
続されている。
【0034】CPU111は、RAM102の所定領域
を作業領域として、ROM112に記憶されている制御
プログラムに従い、操作パネル100からのデータや、
接続された各種センサーからの検出信号に基づいて、各
ドライバを介して各駆動部の制御を行う制御手段であ
る。本発明では、糸切れを電気的な接触により感知する
糸切れ検知装置129を備え、この糸切れ検知装置12
9からの検出信号をCPU111が検知し、ミシンモー
タドライバ119を制御してボタン穴かがりミシン1を
停止させる。また、糸切れ発生時に、糸切れ検知装置1
29からの検出信号をCPU111が検知した後、さら
にシリンダドライバ120において、布切りメス16が
駆動したことをCPU(メス検出手段)111が検知す
ると、開口したボタン穴H1を跨ぐように、縫い合わせ
を行なう。ROM112には、操作パネル100からの
入力処理や、操作パネル100を介して入力された各種
縫製データに基づいてボタン穴かがり縫製のための制御
データ(縫い始めから縫い終わりまでの全ての針落ち位
置など)を演算する演算処理、演算された制御データに
従って縫製動作を行わせる縫製処理等が含まれる制御プ
ログラムが記憶されている。ROM112には、図6で
示すデータ項目のそれぞれに対応して、設定可能なデー
タ値の範囲、後述するマイナスキー103bとプラスキ
ー103cの1操作で増減し得るデータの単位値、標準
のデータ値等が、記憶されている。さらに、ROM11
2には、所定の形状パターンのボタン穴かがり縫いを縫
うために、図6の全てのデータ値(No.1〜No.2
5)について設定されているパターンが複数記憶されて
いる。RAM113は、CPU111の作業領域となる
とともに、操作パネル100を介して入力されたボタン
穴かがり縫目の各種データを記憶する本発明の記憶手段
となる。
【0035】図5には、ボタン穴かがりミシン1に備わ
る操作パネル(設定手段、ピッチ設定手段、張力設定手
段、再開位置設定手段)100を示す。操作パネル10
0は、各種の縫製パラメーターを設定入力したり、設定
値の表示出力や縫製制御上のエラーの表示出力を行った
りするもので、例えば、ボタン穴かがりミシン1が載置
されるミシン台上に設けられる。操作パネル100に
は、スタート操作部101、ナンバー操作部102、デ
ータ値入力操作部103、モード切替操作部104、一
時停止スイッチ106及び縫い合わせ操作部(縫い合わ
せ選択手段105)が設けられている。スタート操作部
101には、作業者が縫製準備が整った旨及び再設定す
る旨を入力するための準備キー101aと、その状態を
表示するLED(Light Emitting Diode)などからなる
表示部101bとが設けられている。
【0036】ナンバー操作部102には、ナンバー表示
部102a、ダウンキー102bおよびアップキー10
2cが設けられている。ナンバー表示部102aは、2
桁の7セグメント表示器からなり、データ値を入力する
データ項目のナンバーやパターンナンバーを表示する。
ダウンキー102bおよびアップキー102cは、デー
タ項目のナンバーやパターンナンバーを1つずつずらす
キーであり、ダウンキー102bは1つ繰り下げるキ
ー、アップキー102cは1つ繰り上げるキーである。
データ項目の内容については後に詳述する。
【0037】データ値入力操作部103には、データ値
表示部103a、マイナスキー103b、プラスキー1
03cが設けられている。データ値表示部103aは、
4桁の7セグメント表示器からなり、各データ項目のデ
ータ値を表示する。マイナスキー103bとプラスキー
103cは、データ値を所定の単位値ずつ増減させるキ
ーである。後述するように各データ項目毎に所定の単位
値と設定可能範囲とが決められており、マイナスキー1
03bを押すとデータ値が単位値ずつ小さくなってい
き、プラスキー103cを押すとデータ値が単位値ずつ
大きくなっていく。
【0038】モード切替操作部104には、パターンナ
ンバーの設定モードに切り替えるパターンナンバキー1
04aと、データ入力モードに切り替えるデータキー1
04bとが設けられている。パターンナンバキー104
aおよびデータキー104b上には、それぞれLEDな
どの表示器104c、104dが設けられており、これ
らの点灯によりパターンナンバー設定モードかデータ入
力モードかを作業者に知らせることが出来るようになっ
ている。作業者は、まず、パターンナンバーキー104
aを操作して所望のパターンナンバーを、図6のパター
ンNo.1、2、3、4…の中から選択し、次いでデー
タキー104bを操作して各データ項目を選択し、デー
タ値入力操作部103においてデータ値を設定・変更す
る。なお、パターンナンバーを選択することで、そのパ
ターンごとに予めデータ値が設定されているので、その
データ値でよい場合には変更する必要はない。
【0039】図8に示すように、P1地点にて糸切れが
発生し、糸切れ検知装置129からの検出信号をCPU
111が検知した後、ミシンが停止する。その間に、ミ
シン針9がP2地点を通過してP3地点まで到達する。
そして、ミシン針9がP2地点を通過すると、布切りメ
ス16が駆動して、まだ縫製していない部分を切開して
ボタン穴H1が形成される。この、ボタン穴H1を形成
した場合、かがり縫いを再開する前に、切開されたボタ
ン穴H1を跨ぐように縫い合わせを行なう。後述する図
6のデータテーブルに示す、No.18の設定では糸切
れ後、自動的に縫い合わせを行なうか、糸切れ後、縫い
合わせのデータ値の設定を行なった後に縫い合わせを行
なうかを選択する。例えば、糸切れ後に縫い合わせの設
定を行なう場合、縫い合わせのデータ値を操作パネル1
00上で入力する。本発明では操作パネル100上に縫
い合わせ操作部105を設け、この縫い合わせ操作部1
05の縫い合わせ設定キー105aを押すことにより、
ナンバー操作部102及びデータ値入力操作部103で
縫い合わせのデータ値の設定を可能とする。また、縫い
合わせ操作部105は液晶パネルからなり、予め自動縫
い合わせ機能が選択されていない場合による停止、また
は作業者が一時停止スイッチを押した場合にのみ縫い合
わせ操作部105が表示する。なお、予め縫い合わせの
データ値を入力している場合でも、縫い合わせ設定キー
105aを押すことにより、縫い合わせのデータ値の変
更が可能である。また、縫い合わせ設定キー105a上
には、LEDなどの表示器105bが設けられており、
予め縫い合わせが設定されている場合には、表示器10
5bが点灯し、縫い合わせが設定されていない場合に
は、表示器105bは点灯していない状態である。この
ように、表示器105bの点灯の有無により縫い合わせ
の自動設定モードか手動設定モードかを作業者に知らせ
ることが出来るようになっている。また、本実施例では
縫い合わせ操作部105のみ液晶パネルとしているが、
操作パネル100全体を液晶パネルとし、操作部はタッ
チパネルとしても良い。
【0040】一時停止スイッチ106は、作業者が縫製
時に何らかの不具合が生じた場合に押され、一時停止ス
イッチ106が押されることにより、ボタン穴かがりミ
シン1が停止する。また、この一時停止スイッチ106
を押した場合にも、縫い合わせの設定を行なうことがで
きる。
【0041】ここで、操作パネル100から入力可能
で、ボタン穴かがり縫目の形状・大きさなどを決定する
縫製データの種類と内容について説明する。図6には、
操作パネル100から入力可能なデータ項目を示すデー
タテーブルを、図7には、図6の各データ項目が、ボタ
ン穴かがり縫いのどの部分の長さを表すかを説明する図
を示す。図7には、ボタン穴かがり縫目u0の各部に、
データ項目名とデータナンバーを記載している。
【0042】ボタン穴かがり縫目u0に関して、操作パ
ネル100から入力可能なデータ項目は、図6のデータ
テーブルに示すとおりである。即ち、データナンバー1
〜16は、ボタン穴H1の長さである布切り長さデータ
(ボタン穴溝u1の長さ)、メス溝右幅データ(ボタン
穴溝u1と右側縫い部u2の左端との距離)、メス溝左
幅データ(ボタン穴溝u1と左側縫い部u2の右端との
距離)、かがり幅データ(側縫い部u2の左右幅長)、
閂止め長さデータ(閂止め部u3の縦長さ)、すきま長
さデータであるすきまデータ(上閂止め部u3の下端と
ボタン穴溝u1の上端との距離)および第2すきまデー
タ(下閂止め部u3の上端とボタン穴溝u1の下端との
距離)、平行部ピッチデータ(側縫い部u2の2針間の
縦方向の距離)、閂止め部ピッチデータ(閂止め部u3
の2針間の縦方向の距離)、閂止め幅右補正データ(閂
止め部u3の右端と右側縫い部u2の右端とのずれ長
さ)、閂止め幅左補正データ(閂止め部u3の左端と左
側縫い部u2の左端とのずれ長さ)、左平行部張力デー
タ(左側縫い部u2の縫製時の糸張力)、右平行部張力
データ(右側縫い部u2の縫製時の糸張力)、第1閂止
め部張力データ(上閂止め部u3の縫製時の糸張力)、
第2閂止め部張力データ(下閂止め部u3の縫製時の糸
張力)、最高速制限データ(ミシン回転数の最高制限
数)等の各項目である。
【0043】図8に示すように、 P1地点で糸切れ発
生後、ミシン針9はP3地点に位置し、またボタン穴H
1が切開された状態である。 このような場合に、図9
に示すように、ボタン穴H1を跨ぐように、縫い合わせ
を行なう。図6のデータナンバー17〜25は、本発明
において特徴的なデータ項目で、この縫い合わせに関す
るデータである。これらのデータは上述した図6のデー
タナンバー1〜16と同時に設定しても良いし、糸切れ
による停止または作業者が一時停止スイッチ106を押
した場合による停止後に行なっても良い。図9に示すよ
うに、縫い合わせは、ボタン穴H1を跨ぐように、P3
地点からP8地点までの往路と、P8地点からP9地点
に移動した後、P9地点からP14地点までの復路とを
行なう。本発明では、布切りメス16で切断したボタン
穴H1を確実に縫い合わせるため、 縫い合わせの往路
と復路とをそれぞれ個別に設定する。すなわち、ボタン
穴かがりミシン1では、データNo.19「縫い合わせ
下縫い行き幅」、No.20「縫い合わせ下縫い帰り幅」
を設定できる。例えば、図9に示すように「縫い合わせ
下縫い行き幅」としてL1の長さを設定し、「縫い合わせ
下縫い帰り幅」としてL2の長さを設定することができ
る。これらのデータは、ボタン穴H1が形成される方向
に直交するX方向(布送り方向とは逆方向)における原
点位置を「0」として「0.05〜5.00」mmの範囲で
0.05mm間隔で設定可能になっている。
【0044】また、図6のように、縫い合わせの往復
で、それぞれの縫い合わせのピッチを別々に設定でき
る。すなわち、ボタン穴かがりミシン1では、データN
o.21「縫い合わせ下縫い行きピッチ」、No.22
「縫い合わせ下縫い帰りピッチ」を設定できる。例えば、
図9に示すように「縫い合わせ下縫い行きピッチ」として
W1の長さを設定し、「縫い合わせ下縫い帰りピッチ」と
してW2の長さを設定することができる。これらのデー
タは、縫目が形成される方向であるY方向(布送り方向
とは逆方向)における原点位置を「0」として「0.05
〜5.00」mmの範囲で0.05mm間隔で設定可能
になっている。なお、縫い合わせの設定においては、糸
切れされた位置近傍の切断された部分のみの縫い合わせ
を行なうことも可能である。
【0045】データNo.17では、布切りメスサイズ
を設定できる。設定範囲として、「6.00〜40.0
0」mmの範囲で0.1mm間隔で設定可能になってい
る。また、データNo.25では、縫い合わせ張力を設
定できる。設定範囲として、「0〜255」の範囲で1間
隔で設定可能になっている。
【0046】データNo.18は、主として糸切れ後
に、そのまま自動的に縫い合わせの工程に進むか、糸切
れ後に縫い合わせの設定を行なった後に、縫い合わせの
工程に進むかを選択できる。 つまり、 データNo.
18において、糸切れ後に自動的に縫い合わせを行なう
場合は「1」、糸切れ後に縫い合わせの設定を行なった
後に縫い合わせを行なう場合は「0」を入力する。表示
パネル100上のデータ値入力操作部103で、「1」
を設定した場合は、縫い合わせ操作部105の表示器1
05bが点灯した状態になり、「0」を設定した場合
は、縫い合わせ操作部105の表示器105bは消灯し
た状態である。
【0047】データNo.23は、縫い合わせ終了後、
ボタン穴かがりミシン1を一旦停止させて作業者が縫製
物の状態を確認できるように設定するか、縫い合わせ終
了後にミシン1を停止させず、続けてかがり縫い工程に
進むか設定する。つまり、 データNo.23におい
て、縫い合わせ終了後にボタン穴かがりミシン1を一旦
停止させる場合は「1」、 縫い合わせ終了後にミシン
1を停止させずに、続けてかがり縫い工程に進む場合は
「0」を入力する。
【0048】データNo.24は、縫い合わせ終了後の
かがり縫いの再開位置を決定する。つまり、 データN
o.24において、かがり縫いの縫い始め位置(図8に
示すP0地点)から縫い直すか、かがり縫い工程を糸切
れ位置近傍(図8に示すP1地点手前)から再開するか
設定する。つまり、 データNo.24において、 かが
り縫いの縫い始め位置(図8に示すP0地点)から行な
う場合は「0」、かがり縫いを糸切れ位置近傍(図8に
示すP1地点手前)から再開する場合は「1」を入力す
る。なお、かがり縫いを糸切れ位置近傍(図8に示すP
1地点)から再開する場合、この再開位置の決定はRA
M113に記憶された糸切れ検知装置129から検出さ
れたデータを基に針落ち位置が算出される。
【0049】図10〜図11に、上記構成を有するボタ
ン穴かがりミシン1においてCPU111の制御の下で
行われる各処理のフローチャートを示した。なお、本例
で示すフローチャートは、ボタン穴かがり縫いの際に、
主に糸切れが発生した場合を想定したものである。図1
0のフローは、例えばボタン穴かがりミシン1の電源が
ONした際に開始する。まず、ステップS1において、
作業者により操作パネル100上で図6のデータテーブ
ルに示すデータNo.1からデータNo.16までのか
がり縫いに関するデータが入力される。また、No.1
7からデータNo.25までのデータは、糸切れ後の縫
い合わせに関するデータであり、ここで設定しても良い
し、糸切れ後に設定しても良い。次いで、ステップS2
において、準備キー101aが操作されたか否か判定さ
れ、操作されていればステップS3に移行し、操作され
ていなければステップS1に戻る。ステップS3では、
操作パネル100を介して設定されたデータに基づい
て、針落ち位置を演算する処理を行い、次いでステップ
S4において、準備キー101aが押されたか否か判定
する。ここで、準備キー101aが押されていれば、再
びステップS1に戻り再設定可能になる。ステップS4
で準備キー101aが押されていなければ、ステップS
5に移行し、スタートスイッチ125がONになったか
否か判定する。作業者の操作により、スタートスイッチ
125がONになれば、ステップS6に移行し、ここ
で、かがり縫い、ボタン穴開け、糸切りなどを含む縫製
処理が行われる。ステップS5でスタートスイッチ12
5がONになっていないと判定すれば、ステップS4に
戻る。
【0050】そして、糸切れ後の縫い合わせ処理は、ま
ずステップS7において、上糸または下糸の糸切れを糸
切れ検知装置129が検知し、さらに布切りメス16が
駆動したことを、CPU111が検知しミシンを停止さ
せることにより開始する。ステップS7において、糸切
れによる停止でないと判定すれば、再びステップS4に
戻る。糸切れと判断すれば、ステップS8に移行し、自
動縫い合わせ機能が選択されているか否か判定する。予
め自動縫い合わせ機能が選択されていない場合は、操作
パネル100の縫い合わせ操作部105が点灯し、ステ
ップS9に移行する。なお、作業者が糸切れ以外の理由
により、操作パネル100上の一時停止スイッチ106
を押した場合にも、操作パネル100の縫い合わせ操作
部105が点灯する。ステップS8において、自動縫い
合わせ機能が選択されている場合は、ステップS11に
移行し、ここで、操作パネル100を介して予め設定さ
れたデータに基づいて、縫い合わせ針落ち演算が行なわ
れる。なお、ステップS8において、自動縫い合わせ機
能が選択されている場合であっても、再度操作パネル1
00上の縫い合わせ操作部105を押せば、ステップS
9に移行し、図6のデータテーブルに示すデータナンバ
ー17〜25の縫い合わせ設定項目の設定を行うことが
できる。
【0051】ステップS9では、作業者により操作パネ
ル100上で図6のデータテーブルに示すデータナンバ
ー17〜25の縫い合わせ設定項目の設定を行う。すで
に設定を行なっている場合は、そのままステップS10
に移行する。ステップS9において、縫い合わせ項目の
設定が終了後、ステップS10に移行し、縫い合わせを
行なうか否か判定する。作業者が縫い合わせを行なうと
判定した場合、縫い合わせ操作部105のスイッチを選
択すれば、ステップS11に移行し、縫い合わせ針落ち
演算が行なわれる。また、ステップS10において、縫
い合わせを行なわない場合は、ステップS4に戻る。ス
テップS11においては、データナンバー19及び20
で設定された、縫い合わせ下縫いピッチ及び縫い合わせ
下縫い行き幅に基づき、例えば図 9に示すようにP3
からP8までの針落ち位置が求められる。同様に、デー
タナンバー21及び22で設定されたデータに基づきP
9からP14までの針落ち位置が求められる。
【0052】ステップS11において、縫い合わせ針落
ち演算が終了後、ステップS12に移行し、スタートス
イッチ125がONになったか否か判定する。作業者の
操作により、スタートスイッチ125がONになれば、
ステップS13に移行し、ここで、縫い合わせ縫製が終
了後にミシン針9の動作を一旦停止させるか否か操作パ
ネル100上で設定する。ステップS13で、ミシン針
9の動作を一旦停止させる設定をした場合は、ステップ
S14に移行し、ステップS11で行なった縫い合わせ
針落ち演算に従って、縫い合わせ縫製を行なう。ステッ
プS14で、縫い合わせ縫製が終了後、ミシン針9の動
作が一旦停止し、ステップS16に移行し、スタートス
イッチ125がONになったか否か判定する。作業者の
操作により、スタートスイッチ125がONになれば、
ステップS17に移行し、ここで縫い直しの縫製処理を
再開する。ステップS13で、ミシン針9の動作を一旦
停止させる設定をしない場合は、自動的にステップS1
7に移行する。
【0053】図11には、縫い直しの縫製処理のフロー
を示した。縫い直しの縫製処理においては、ステップS
17で、縫い始め位置から縫い直すか否かを判定する。
予め、入力されたデータに基づき、縫い始め位置から縫
い直す場合は、ステップS18に移行し、糸切り処理を
行ない、次いで、ステップS19にてミシン針9が図1
0で示す縫い始め位置に移動し、ステップS20の縫い
直し縫製を行なう。ステップS17で、糸切れ位置から
縫い直しを再開する場合は、例えばミシン針が停止した
地点から3針前の地点に自動的にミシン針9が移動し、
ステップS20の縫い直し縫製を行なう。そして、かが
り縫いが完成する。
【0054】以上のように、 本発明の実施の形態にお
けるボタン穴かがりミシン1によれば、かがり縫いの際
に糸切れが発生して、布切りメス16が駆動し、被縫製
物に対しボタン穴H1が切開された場合、糸切れ検知装
置129からの検出信号をCPU111が検知し、さら
にシリンダドライバ120により布切りメス16が駆動
したことをCPU111が検知した際には、表示パネル
100上で設定されたデータに基づき、自動的にボタン
穴H1の縫い合わせを行うので、作業者が被縫製物をミ
シン台から取り出し、手で縫ってから再びミシン台にセ
ットをする場合に比べ時間的な短縮を図ることができ
る。
【0055】また、ボタン穴H1の縫い合わせが終了し
た際は、ROM112に記憶されたミシン針9の停止位
置に基づいて、CPU111にて糸切れ位置を算出し、
続いて糸切れが発生した位置近傍に自動的にミシン針9
を移動し、かがり縫いの縫い直しを行なうことができる
ので、かがり縫いの完成時に見栄えが良い。
【0056】さらに、表示パネル100上には、縫い合
わせ操作部105を設け、予め縫い合わせのデータを入
力していなくとも、縫い合わせ操作部105の縫い合わ
せ設定キー105aを押すことにより、縫い合わせのデ
ータを入力できるので、便宜上好ましい。また、縫い合
わせ設定キー105a上には、LEDなどの表示器10
5bが設けられており、予め縫い合わせが設定されてい
る場合には、表示器105bが点灯し、縫い合わせが設
定されていない場合には、表示器105bは点灯してい
ない状態である。このように、表示器105bの点灯の
有無により縫い合わせの自動設定モードか手動設定モー
ドかを作業者が知ることが出来る。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ボタン穴
かがり縫いの途中で糸切れが発生した際、被縫製物をミ
シン台にセットした状態で、自動的にボタン穴を跨ぐよ
うにジグザグ縫いを行なうので、作業者がミシンから生
地をはずしてボタンホールを手で縫ってから再度ミシン
にセットする必要がなく、きれいに、しかも簡単に縫い
直すことができるとともに、時間的短縮を図ることが可
能である。
【0058】請求項2記載の発明によれば、 請求項1
と同様の効果を得られると共に、ボタン穴の長さに応じ
て適切なジグザグ縫い幅を設定することができるので、
被縫製物の暴れを確実に押さえることができる。例え
ば、ボタン穴が長く開口されている場合は、ジグザグ縫
い幅を広くし、これに対しボタン穴が短く開口されてい
る場合は、ジグザグ縫い幅を狭くすることができる。
【0059】請求項3記載の発明によれば、縫い合わせ
のジグザグ縫い幅を往復で別々に設定できるので、例え
ば往路でジグザグ縫い幅を広くし、布押さえの長孔に囲
まれた被縫製物全体を押さえる一方、復路ではジグザグ
縫い幅を狭くし、ボタン穴の周縁を押さえることができ
るので、請求項2と同様の効果が得られる。
【0060】請求項4記載の発明によれば、縫い合わせ
のジグザグ縫いピッチを往復で別々に設定できるので、
例えば往路で大きなピッチとし、布押さえの長孔に囲ま
れた被縫製物全体を押さえる一方、復路では小さなピッ
チにし、ボタン穴の周縁を押さえることにより、より効
果的に被縫製物を押さえることができる。
【0061】請求項5記載の発明によれば、 作業者が
張力測定装置や工具を用いることなく、予め設定された
値により自動的に糸張力を変更できる。また、生地の種
類や厚さ等に合わせて糸張力を設定することができ、よ
り被縫製物が押さえられ、生地の暴れを防ぐことができ
る。また、縫い合わせ時の糸張力は、幅やピッチを大き
くする場合には強めに設定する。
【0062】請求項6記載の発明によれば、縫い合わせ
終了時にミシンが停止することで、縫い合わせの状態を
作業者が確認できるので、縫い合わせの不具合があった
場合は再度、縫い合わせを行なうことができる。
【0063】請求項7記載の発明によれば、糸切れ位置
近傍のメスで切断された部分のみの縫い合わせを行なう
ことができるので、縫い合わせ時間の短縮ができ、また
切断された部分のみ縫い合わせを行なうので、かがり縫
いの完成時に見栄えがよくなる。
【0064】請求項8記載の発明によれば、縫い合わせ
終了後に作業者が、かがり縫いを始めの位置から縫い直
すのか、糸切れが発生した近傍から縫い直すのかを選択
できるので、状況に応じた対処を行なうことができる。
【0065】請求項9記載の発明によれば、糸切れによ
るミシン停止のほかに、作業者が何らかの理由により、
一時停止ボタンを押した場合でも縫い合わせを行なうか
否かの選択ができるので、例えば、予め縫い合わせの設
定を行なっていなくとも、この一時停止ボタンに応じ
て、縫い合わせの設定を行なうことも可能である。
【0066】請求項10記載の発明によれば、糸切れ制
御手段によるミシン停止、または一時停止手段によるミ
シン停止時に、操作パネル上の縫い合わせ操作部に表示
されるので、作業者は糸切れを知ることができ、また、
縫い合わせ操作部の縫い合わせ設定キーを押すことで、
予め縫い合わせの設定を行なっていなくとも縫い合わせ
の設定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としてのボタン穴かがりミシンの
外観を示す斜視図である。
【図2】図1のボタン穴かがりミシンの布送り機構と針
の昇降機構を主に示す透視図である。
【図3】図1のボタン穴かがりミシンの針の昇降機構と
針振り機構を主に示す透視図である。
【図4】図1のボタン穴かがりミシンの制御回路を示す
ブロック図である。
【図5】操作パネルの正面図である。
【図6】操作パネルから入力可能なパラメータを示すデ
ータテーブルである。
【図7】図6の各データ項目と、ボタン穴かがり縫いと
の対応を説明する図である。
【図8】ボタン穴かがり縫いの糸切れ時を説明する図で
ある。
【図9】ボタン穴に縫い合わせを行なった状態を示した
図である。
【図10】ボタン穴かがり縫い始めから、縫い直し処理
までのフローチャートである。
【図11】ボタン穴かがり縫いの縫い直し処理のフロー
チャートである。
【図12】ボタン穴かがり縫いの糸切れからミシン停止
までの針落ち位置を示した図である。
【符号の説明】
H1 ボタン穴 1 ボタン穴かがりミシン 5 ミシンモータ 9 ミシン針 13 Y送り駆動手段 15 布押え 16 布切りメス 76 ソレノイド(アクチュエータ) 100 操作パネル(設定手段、ピッチ設定手段、張
力設定手段、再開位置選択手段) 105 縫い合わせ操作部(縫い合わせ選択手段) 106 一時停止スイッチ(一時停止手段) 110 制御回路 111 CPU(メス検出手段、糸切れ制御手段) 112 ROM 113 RAM 129 糸切れ検知装置(糸切れ検出手段)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D05B 51/00 D05B 51/00 Fターム(参考) 3B150 AA24 BA06 CA05 CC01 CC04 CC05 CE01 CE03 CE09 CE23 EE03 EE08 FD07 GD11 GD14 GD22 GE28 GF02 GF03 GG02 JA02 JA03 JA07 JA11 LA03 LA04 LA06 LA07 LA15 LA20 LA26 LA51 LA52 LA59 LA60 LA73 LA82 LA84 LA89 LB01 LB02 MA02 NA05 NA06 NA07 NA19 NA25 NA26 NA37 NA47 NA55 NA56 NA63 NA64 NA67 NA71 NA80 NB02 NB09 NB12 NB15 NB18 NC02 NC03 NC06 NC11 PA01 PA03 QA01 QA02 QA06 QA07 QA08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボタン穴の左右側縫いが一部形成される
    と、中央に布切りメスを落として所定の長さのボタン穴
    を形成し、かがり縫いを行なうボタン穴かがりミシンに
    おいて、布切りメスが動作したことを検出するメス検出
    手段と、上糸が切れたことを検出する糸切れ検出手段
    と、糸切れ検出手段によって上糸が切れたことが検出さ
    れるとミシンを停止する糸切れ制御手段とを備え、 布切りメスの動作後、上糸が切れてミシンが停止した際
    には、布切りメスで開口したボタン穴を跨ぐようにジグ
    ザグ縫いする縫い合わせを可能としたことを特徴とする
    ボタン穴かがりミシン。
  2. 【請求項2】 ジグザグ縫いの幅を設定する設定手段を
    設け、縫い合わせを設定した幅で行なうことを特徴とす
    る請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  3. 【請求項3】 設定手段は、ジグザグ縫いの幅を往復で
    独立に設定可能であることを特徴とする請求項1記載の
    ボタン穴かがりミシン。
  4. 【請求項4】 ジグザグ縫いのピッチを往復で独立に設
    定するピッチ設定手段を設け、縫い合わせを設定したピ
    ッチで行なうことを特徴とする請求項1記載のボタン穴
    かがりミシン。
  5. 【請求項5】 張力設定手段を備え、縫い合わせを設定
    した張力で行なうことを特徴とする請求項1記載のボタ
    ン穴かがりミシン。
  6. 【請求項6】 縫い合わせの終了を判別すると、一旦停
    止し、再スタート時の縫いパターンを元のかがり縫いと
    同じにすることを特徴とする請求項1から5の何れかに
    記載のボタン穴かがりミシン。
  7. 【請求項7】 縫い合わせを、布切りメスで切断した位
    置に関連して開始し、かつ、自動停止することを特徴と
    する請求項1から6の何れかに記載のボタン穴かがりミ
    シン。
  8. 【請求項8】 縫い合わせ終了後、ボタン穴のかがり縫
    いの再開位置を縫い始めから行なうか、途中から行なう
    かを選択する再開位置選択手段を備える請求項6記載の
    穴かがりミシン。
  9. 【請求項9】 糸切れ制御手段によるミシン停止、また
    は布切りメスの動作後の糸切れを受けて操作された一時
    停止手段によるミシン停止時に、縫い合わせを行なうか
    否かを選択する縫い合わせ選択手段を備えたことを特徴
    とする請求項1から8の何れかに記載のボタン穴かがり
    ミシン。
  10. 【請求項10】 縫い合わせ選択手段は、糸切れ制御手
    段によるミシン停止、または一時停止手段によるミシン
    停止時に表示する表示手段と、押圧可能な押圧手段とを
    備え、押圧手段が押された際には、設定手段にてジグザ
    グ縫いの設定を可能としたことを特徴とする請求項9記
    載のボタン穴かがりミシン。
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