JP2003007135A - 誘電体形成用組成物、感光性誘電体形成用組成物、誘電体及び電子部品 - Google Patents

誘電体形成用組成物、感光性誘電体形成用組成物、誘電体及び電子部品

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JP2003007135A
JP2003007135A JP2001190337A JP2001190337A JP2003007135A JP 2003007135 A JP2003007135 A JP 2003007135A JP 2001190337 A JP2001190337 A JP 2001190337A JP 2001190337 A JP2001190337 A JP 2001190337A JP 2003007135 A JP2003007135 A JP 2003007135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱損失が小さく、低温焼成可能であると共
に、高誘電率の誘電体層を寸法精度良く形成できる誘電
体形成用組成物、感光性誘電体形成用組成物、誘電体及
び電子部品を提供する。 【解決手段】 本発明の誘電体形成用組成物は、(A)
誘電率が30以上の無機粒子、又は誘電率が30以上の
無機粒子の表面の少なくとも一部に導電性金属若しくは
その化合物、導電性有機化合物又は導電性無機物を付着
させた誘電体用複合粒子と、(B)加水分解性シラン化
合物、その加水分解物及びその縮合物からなる群から選
択される少なくとも一つの化合物と、を含有し、本発明
の感光性誘電体形成用組成物は、更に(C)光酸発生剤
を含有する。また、本発明の誘電体は、本発明の誘電体
形成用組成物又は感光性誘電体形成用組成物により形成
され、誘電率が30以上、且つ誘電正接が0.1以下で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体形成用組成
物、感光性誘電体形成用組成物、誘電体及び電子部品に
関し、更に詳しくは、熱損失が小さく、低温焼成可能で
あると共に、高誘電率の誘電体層を寸法精度良く形成で
きるような誘電体形成用組成物、感光性誘電体形成用組
成物及び該誘電体形成用組成物又は感光性誘電体形成用
組成物から形成された誘電体並びに該誘電体を備える電
子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多層プリント配線基板等に高誘電
率の誘電体層を設け、この層をコンデンサ等に利用する
技術が知られている。この高誘電率の誘電体層は、例え
ば、熱硬化性樹脂からなる有機溶剤に高誘電率の無機粉
末を添加したものを、熱硬化性樹脂の脆さを補うために
ガラス繊維等の繊維強化材に含浸させ、溶剤を焼成等に
より飛散させて硬化させる等の方法により調製されてい
る。しかしながら、従来の方法では、例えば30以上あ
るいは50以上などの高い誘電率を有する誘電体層を得
ることは困難であるという問題がある。
【0003】かかる問題点を解決すべく、例えば、各種
の無機粉末を用いて高誘電率の誘電体層を得る試みもな
されている。例えば、ポリスチレンに無機粉末としてF
34、又はZnO+カーボン等を添加することによ
り、高い誘電率を有する誘電体層を得ることができるこ
とが知られている。しかし、このような系では、誘電率
を高くすることができる反面、得られる誘電体層の誘電
正接が大きくなるため、交流電場における誘電体層での
発熱が大きくなり、その結果、誘電体のフィルムを設け
た多層プリント配線基板等の劣化、熱応力による接合部
の破断等の不良原因となり、半導体基板の信頼性、耐久
性が低下し易いという問題点がある。
【0004】また、高い誘電率を得るために、通常、高
誘電率の無機粉末を高温で加熱焼成して誘電体層を形成
する方法も知られている。しかしながらこの方法は、例
えば1000℃程度の高温で焼成する必要があるため、
配線基板上に電子部品が装着されている状態で誘電体層
を設ける場合には適用できず、種々の半導体基板の製造
プロセスに汎用的に適用できないという問題点がある。
【0005】さらに、誘電体層の形成方法としてスクリ
ーン印刷法等が知られているが、基板の大型化及び高精
細化に伴い、パターンの位置精度の要求が非常に厳しく
なり、通常の印刷では対応できないという問題がある。
【0006】そこで従来より、低温焼成により、高い誘
電率で、熱損失の小さい誘電体層を提供できると共に、
寸法精度の高いパターンを形成し得る誘電体形成用組成
物の出現が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、熱損失が小さく、低温焼成
可能であると共に、高誘電率の誘電体層を寸法精度良く
形成できるような誘電体形成用組成物、感光性誘電体形
成用組成物及び該誘電体形成用組成物又は感光性誘電体
形成用組成物から形成された誘電体並びに該誘電体を備
える電子部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意研究した結果、特定の無機粒子又は無
機粒子表面の一部に導電性金属等を付着させた誘電体用
複合粒子と、特定構造のシラン化合物と、を含有した誘
電体形成用組成物、及びこれに光酸発生剤を加えた感光
性誘電体形成用組成物を用いることにより、500℃以
下という低温での焼成が可能で、しかも高誘電率かつ低
誘電正接で、且つ寸法精度の高いパターンの誘電体を形
成することができることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】本発明の誘電体形成用組成物は、(A)誘
電率が30以上の無機粒子、又は誘電率が30以上の無
機粒子の表面の少なくとも一部に導電性金属若しくはそ
の化合物、導電性有機化合物又は導電性無機物を付着さ
せた誘電体用複合粒子と、(B)下記一般式〔1〕で示
される加水分解性シラン化合物、その加水分解物及びそ
の縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化
合物と、を含有することを特徴とする。 (R1PSi(X)4-P 〔1〕 (一般式〔1〕中、R1は非加水分解性の有機基であ
り、その炭素数は1〜12である。また、Xは加水分解
性基であり、pは0〜3の整数である。尚、上記R 1
係数[p]及びXの係数[4−p]が2以上の場合、各
1同士及び各X同士はいずれも同じ基でも異なる基で
もよい。)
【0010】また、本発明の感光性誘電体形成用組成物
は、(A)誘電率が30以上の無機粒子、又は誘電率が
30以上の無機粒子の表面の少なくとも一部に導電性金
属若しくはその化合物、導電性有機化合物又は導電性無
機物を付着させた誘電体用複合粒子と、(B)下記一般
式〔1〕で示される加水分解性シラン化合物、その加水
分解物及びその縮合物からなる群から選択される少なく
とも一つの化合物と、(C)光酸発生剤と、を含有する
ことを特徴とする。 (R1PSi(X)4-P 〔1〕 (一般式〔1〕中、R1は非加水分解性の有機基であ
り、その炭素数は1〜12である。また、Xは加水分解
性基であり、pは0〜3の整数である。尚、上記R 1
係数[p]及びXの係数[4−p]が2以上の場合、各
1同士及び各X同士はいずれも同じ基でも異なる基で
もよい。)
【0011】更に、本発明の誘電体は、本発明の誘電体
形成用組成物又は感光性誘電体形成用組成物を用いて形
成されることを特徴とし、本発明の電子部品は、本発明
の誘電体を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <無機粒子>本発明の誘電体形成用組成物及び感光性誘
電体形成用組成物において、上記(A)成分に含まれる
上記「無機粒子」の誘電率は30以上、好ましくは50
以上、更に好ましくは70以上、特に好ましくは70〜
30000である。上記「無機粒子」の誘電率が30未
満であると、形成される誘電体の誘電率が低くなるので
好ましくない。また、誘電率は高い分には問題なく、上
限値は限定されないが、30000程度とすると、形成
される誘電体の誘電率を高めることができるので好まし
い。
【0013】本発明の上記(A)成分の上記「無機粒
子」としては、例えば、金属化合物粒子が挙げられる。
この金属化合物粒子としては、例えば、金属酸化物、金
属窒化物、金属炭化物、金属硼素化物等が挙げられ、こ
の中では金属酸化物(チタン系金属酸化物、タンタル系
金属酸化物、ハフニウム系金属酸化物等)が好ましく、
特にチタン系金属酸化物が好ましい。ここで、上記チタ
ン系金属酸化物とは、チタン元素と酸素元素とを必須元
素として含む化合物をいう。上記チタン系金属酸化物と
しては、結晶構造を構成する金属元素としてチタンを単
一で含むチタン系単一金属酸化物、及び金属元素として
チタン及び他の金属元素を含むチタン系複酸化物を好ま
しく用いることができる。
【0014】上記チタン系単一金属酸化物としては、例
えば、二酸化チタン系金属酸化物等が挙げられる。ここ
で、上記二酸化チタン系金属酸化物とは、二酸化チタン
のみを含む系、又は二酸化チタンに他の少量の添加物を
含む系を意味し、主成分である二酸化チタンの結晶構造
が保持されているものであり、他の系の金属酸化物につ
いても同様である。上記二酸化チタン系金属酸化物とし
ては、例えば、アナターゼ構造又はルチル構造の二酸化
チタン系金属酸化物等が挙げられる。
【0015】また、上記チタン系複酸化物とは、チタン
系単一金属酸化物と、少なくとも1種の他の金属元素か
らなる金属酸化物とが複合して生ずる酸化物であり、構
造の単位としてオキソ酸のイオンが存在しないものをい
う。上記チタン系複酸化物としては、例えば、チタン酸
バリウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム
系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チ
タン酸ネオジウム系、チタン酸カルシウム系等の金属酸
化物等が挙げられる。
【0016】本発明においては、上記チタン系金属酸化
物としては、チタン系単一金属酸化物の中では、誘電率
が高い点から、ルチル構造の二酸化チタン系金属酸化物
が好ましく、チタン系複酸化物の中では、チタン酸バリ
ウム系金属酸化物を好ましく用いることができる。これ
らの中では、チタン酸バリウム系金属酸化物を特に好ま
しく用いることができる。
【0017】また、上記「無機粒子」として、その表面
をシリカ、アルミナ等で変性した無機粒子も好適に用い
ることができる。かかる無機粒子を用いることにより、
水性媒体への分散性を向上させることができるので好ま
しい。
【0018】上記「無機粒子」の形状、平均粒子径につ
いては特に限定はなく、要求性能に応じて種々のものと
することができる。平均粒子径は通常0.1〜5.0μ
m、好ましくは0.1〜3μm以下、更に好ましくは
0.1〜2μm以下、特に好ましくは0.2〜1.0μ
mである。平均粒子径が5μm以下とすることにより、
誘電体の膜厚を薄くした場合に、誘電体層の組成が不均
一になりやすくなることを防止できるので好ましく、
0.1μm以上とすると、粉末同士の凝集力が強くなり
過ぎるのを抑えて、粗大粒子が発生することを抑えるこ
とができるので好ましい。また、その形状は、球状、粒
状、板状、麟片状、ウィスカー状、棒状、フィラメント
状などの形状が挙げられる。これらの形状のうち、球
状、粒状、片状、鱗片状であることが好ましい。これら
の形状の上記「無機粒子」は、1種単独で、又は2種以
上を組み合わせて用いることができる。
【0019】<誘電体用複合粒子>本発明の誘電体形成
用組成物及び感光性誘電体形成用組成物において、上記
「誘電体用複合粒子」は、上記「無機粒子」の表面の少
なくとも一部に導電性金属若しくはその化合物、導電性
有機化合物、又は導電性無機物を付着させているもので
ある。かかる構成を有することにより、誘電体表面に荷
電を蓄積でき、見かけの誘電率を高められることから好
ましい。
【0020】上記「導電性金属」としては、例えば、
金、銀、銅、錫、白金、パラジウム、ルテニウム、鉄、
ニッケル、コバルト、ゲルマニウム、珪素、亜鉛、チタ
ン、マグネシウム、アルミニウム等から選ばれる少なく
とも1種の金属、あるいはこれらの合金等の1種又は2
種以上が挙げられる。また、上記「導電性金属」の化合
物としては、例えば、上記導電性金属の窒化物等の1種
又は2種以上が挙げられる。更に、上記「導電性有機化
合物」としては、TCNQ(7,7,8,8−テトラシ
アノキノジメタン)、ポリピロール、ポリアニリン、ポ
リチオフェン等の1種又は2種以上が挙げられる。ま
た、上記「導電性無機物」としては、カーボン、黒鉛等
の1種又は2種以上が挙げられる。また、本発明では、
上記「導電性金属若しくはその化合物」、「導電性有機
化合物」及び「導電性無機物」のいずれか1種でも、2
種以上を併用して用いてもよい。
【0021】上記「誘電体用複合粒子」に含まれる上記
「無機粒子」の量は、要求性能に応じて種々の範囲とす
ることができる。通常は、上記「誘電体用複合粒子」の
全重量中に占める上記「無機粒子」の割合が60〜99
質量%、好ましくは65〜95質量%、更に好ましくは
70〜90質量%である。上記「無機粒子」の量を99
質量%以下とすることにより、誘電体にした場合に高い
誘電率が得られるので好ましく、また、60質量%以上
とすることにより、誘電体の絶縁性が悪くなることを防
止することができるので好ましい。また、上記「導電性
金属若しくはその化合物」、「導電性有機化合物」又は
「導電性無機物」の付着量は、好ましくは1〜40質量
%、さらに好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは
10〜30質量%である。
【0022】また、上記「誘電体用複合粒子」の平均粒
子径及び比表面積は特に限定はなく、要求性能に応じて
種々のものとすることができる。上記「誘電体用複合粒
子」の平均粒子径は、通常0.1〜5.0μm、好まし
くは0.1〜3μm、更に好ましくは0.1〜2μm、
特に好ましくは0.2〜1.0μmである。平均粒子径
を5μm以下とすることにより、誘電体層の膜厚を薄く
した場合に、誘電体層の組成が不均一になり易くなるこ
とを抑えることができる。また、誘電体層の膜厚を薄く
しても誘電体層の組成が均一になるようにするため、特
に平均粒子径は2μm以下とすることが好ましい。ま
た、上記「誘電体用複合粒子」の比表面積は、通常1〜
20m2/g、好ましくは1.2〜15m2/g、更に好
ましくは1.5〜10m2/g、特に好ましくは1.5
〜8m2/gである。比表面積を上記範囲とすることに
より、高誘電率且つ低誘電正接である誘電体を得ること
ができる。
【0023】上記「誘電体用複合粒子」の調製方法につ
いては特に限定はなく、通常は公知の方法を用いて調製
することができる。例えば、メッキ等により無機粒子の
表面に導電性金属を被膜する場合には、化学メッキ等の
無電解メッキ等により行うことができる。具体的には、
1〜40質量%の金属成分を付着した無機粒子からなる
複合粒子を、分級機によって平均粒度0.1〜10μm
の粉末を採取し、その粉末を用いて純水中にて超音波分
散を施し、十分に表面を浸水させた後、1〜10体積%
の硫酸浴中において、表面のCu分のみを溶出させるこ
とにより得ることができる。
【0024】<加水分解性シラン化合物等>本発明の誘
電体形成用組成物及び感光性誘電体形成用組成物におい
て、上記「(B)加水分解性シラン化合物、その加水分
解物及びその縮合物からなる群から選択される少なくと
も一つの化合物」は、下記一般式〔1〕で示される加水
分解性シラン化合物、その加水分解物及びその縮合物か
らなる群から選択される少なくとも一つの化合物であ
る。 (R1PSi(X)4-P 〔1〕 (一般式〔1〕中、R1は非加水分解性の有機基であ
り、その炭素数は1〜12である。また、Xは加水分解
性基であり、pは0〜3の整数である。尚、上記R 1
係数[p]及びXの係数[4−p]が2以上の場合、各
1同士及び各X同士はいずれも同じ基でも異なる基で
もよい。)
【0025】上記一般式〔1〕中のpは0〜3の整数で
あり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは
1である。
【0026】上記一般式〔1〕のR1は、非加水分解性
である1価の有機基であり、その炭素数は1〜12であ
る。ここで、「非加水分解性」とは、上記一般式〔1〕
中の上記「加水分解性基X」が加水分解される条件にお
いて、そのまま安定に存在する性質であることを意味す
る。このような非加水分解性の有機基として、非重合性
の有機基及び/又は重合性の有機基を選ぶことができ
る。尚、この有機基は、炭素数が1〜12であれば足
り、ヘテロ原子等、他の原子を含むものであってもよい
意味で用いられる。
【0027】上記非重合性の有機基としては、アルキル
基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これら
は、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組合わせで
あっても良い。また、ヘテロ原子等、他の原子を有する
上記非重合性の有機基としては、例えば、エーテル、エ
ステル、スルフィド等を構造単位として含むものの他、
ノナフルオロブチルエチル基等が挙げられる。但し、ヘ
テロ原子を含む場合、組成物の光硬化性を阻害しないこ
とから、非塩基性であることが好ましい。
【0028】また、上記重合性の有機基としては、例え
ば、ビニル基、オキセタン基、エポキシ基等のように、
分子中にラジカル重合性の官能基及び/又はカチオン重
合性の官能基を有する有機基が好ましい。このような官
能基をR1中に導入することにより、ラジカル重合やカ
チオン重合を併用して、誘電体形成用組成物及び感光性
誘電体形成用組成物をより速く硬化させることができる
ので好ましい。特に、オキセタン基、エポキシ基等のよ
うなカチオン重合性の官能基をR1に導入すると、これ
らの基の硬化反応を同時に生じさせることができる結
果、誘電体形成用組成物及び感光性誘電体形成用組成物
をより速く硬化させることができるので好ましい。ここ
で、上記一般式〔1〕において、上記R1が2〜3個の
場合、各R1同士は同じ基であっても異なる基であって
もよい。
【0029】上記一般式〔1〕中、上記「加水分解性基
X」は、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(25
℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより加水
分解されてシラノール基を生成することができる基、又
はシロキサン縮合物を形成することができる基を指す。
上記「加水分解性基X」としては、例えば、水素原子、
炭素数1〜12のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基等)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
等)、アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基等)及び
カルボキシル基(アセトキシ基、ブチロイルオキシ基
等)等の有機基等が挙げられる。ここで、上記一般式
〔1〕において、上記「加水分解性基X」が2〜4個の
場合、各「加水分解性基X」同士は同じ基であっても異
なる基であってもよい。また、「加水分解性基X」とし
て、非重合性の有機基及び/又は重合性の有機基を選ぶ
ことができる。
【0030】上記一般式〔1〕で表される加水分解性シ
ラン化合物の具体例としては、以下のものを挙げること
ができる。4個の加水分解性基Xで置換された加水分解
性シラン化合物としては、テトラクロロシラン、テトラ
アミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラ
ン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等が挙げ
られる。
【0031】また、非重合性の有機基R1を有する加水
分解性シラン化合物としては、(1)メチルトリクロロ
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチル
トリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペン
タフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、d3−メチルトリメトキシシラン、ノ
ナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフル
オロメチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基
で置換されたシラン化合物、(2)ジメチルジクロロシ
ラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水
分解性基で置換されたシラン化合物、及び(3)トリメ
チルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチ
ルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、トリブチルエトキシシラン等の1個の加水分解性基
で置換されたシラン化合物を挙げることができる。
【0032】一方、重合性の有機基R1を有する加水分
解性シラン化合物の例としては、(メタ)アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、グリシジロキシトリメトキシシラン、3−(3−メ
チル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシ
シラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン等を
挙げることができる。
【0033】また、重合性を有する加水分解性基Xを持
つシラン化合物の例としては、テトラ(メタ)アクリロ
キシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエ
トキシ]シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラ
キス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラキス
(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−
メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、メチルトリ
(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)ア
クリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロ
キシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタ
ンメトキシ)シラン等を挙げることができる。これら
は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0034】更に、上記「加水分解性シラン化合物」
は、誘電体形成用組成物及び感光性誘電体形成用組成物
を配合する時点で加水分解されている必要は必ずしもな
く、光照射する段階で、少なくとも一部の加水分解性基
が加水分解されていれば良い。即ち、上記「加水分解性
シラン化合物」を予め加水分解せずに光硬化性組成物を
調整した場合には、事前に水を添加し、加水分解性基を
加水分解してシラノール基を生成することにより、この
光硬化性組成物を光硬化させて非導電性パターンを形成
することができる。
【0035】また、上記「加水分解性シラン化合物の加
水分解物及びその縮合物」は、上記「加水分解基X」が
加水分解反応によりシラノール基に変わった化合物及び
その縮合物である。この場合、上記「加水分解性基X」
の一部は加水分解されずに残っていてもよく、その場合
は加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物とな
る。更に、一部のシラノール基同士が縮合した部分縮合
物が含まれていてもよい。
【0036】また、上記「加水分解性シラン化合物の加
水分解物及びその縮合物」の分子量は、移動相にテトラ
ヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(以下、「GPC」と略記する。)を用い、
ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定すること
ができる。この重量平均分子量の好ましい範囲は500
〜10000であり、より好ましくは1000〜500
0である。加水分解物における重量平均分子量の値が5
00以上とすることにより、誘電体層の成膜性を向上さ
せることができ、10000以下とすることにより、硬
化性を向上させることができるので好ましい。
【0037】<光酸発生剤>本発明の感光性誘電体形成
用組成物の上記「(C)光酸発生剤」は、光等のエネル
ギー線を照射することにより、上記「(B)一般式
〔1〕で示される加水分解性シラン化合物、その加水分
解物及びその縮合物からなる群から選択される少なくと
も一つの化合物」を光硬化(架橋)させることが可能な
酸性活性物質を放出することができる化合物である。こ
の光酸発生剤を分解させてカチオンを発生するために照
射する光エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外
線、X線、α線、β線、γ線等を挙げることができる。
このうち紫外線は、露光設備が比較的簡便で、感光性の
感度も高いことから好ましい。
【0038】上記「光酸発生剤」としては、例えば、一
般式〔2〕で表される構造を有するオニウム塩(以下、
「第1群の化合物」という。)や一般式〔3〕で表され
る構造を有するスルフォン酸誘導体(以下、「第2群の
化合物」という。)を挙げることができる。 [R2 a3 b4 c5 dW]+m[MZm+n+m 〔2〕 Qs−〔S(=O)2−R6〕t 〔3〕
【0039】上記一般式〔2〕中、カチオンはオニウム
イオンである。また、R2,R3,R 4及びR5は同一又は
異なる有機基であり、具体的には、例えば、アルキル
基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。更に、
WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、
Br、Cl又は−N≡Nである。また、a、b、c及び
dはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+
d)はWの価数に等しい。また、Mは錯体[MZm+n
の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例え
ばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、C
a、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coで
ある。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子又
はアリール基であり、mは錯体[MZm+n]イオンの正
味の電荷であり、nはMの原子価である。
【0040】上記第1群の化合物であるオニウム塩は、
光を受けることにより酸性活性物質を放出することがで
きる化合物である。このような第1群の化合物のうち、
より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、特に
好ましくは下記一般式〔4〕で表されるジアリールヨー
ドニウム塩である。 [R7−Ar1−I+−Ar2−R8][Y-] 〔4〕 上記一般式〔4〕中、R7及びR8は同一又は異なる1価
の有機基であり、R7及びR8の少なくとも一方は炭素数
が4以上のアルキル基を有している。また、Ar1及び
Ar2は同一又は異なる芳香族基である。更に、Y-は1
価の陰イオンであって、3族及び5族元素のフッ化物陰
イオン、ClO4-、CF3-及びSO3-から選択される。
【0041】上記一般式〔3〕中、Qは1価又は2価の
有機基であり、R6は炭素数1〜12の1価の有機基で
ある。更に、sは0又は1、tは1又は2である。上記
一般式〔3〕で表されるスルフォン酸誘導体としては、
ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホ
ニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミド
スルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキ
シ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホ
ネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジル
スルホネート類が挙げられる。このうちイミドスルホネ
ート類が好ましく、イミドスルホネートのうちトリフル
オロメチルスルホネート誘導体が特に好ましく用いられ
る。
【0042】上記「(C)光酸発生剤」の添加量(含有
割合)は、特に制限されるものではないが、上記
「(B)一般式〔1〕で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物及びその縮合物からなる群から選択
される少なくとも一つの化合物」100質量部に対し
て、通常0.1〜15質量部の範囲が好ましく、より好
ましくは1〜10質量部である。上記「(C)光酸発生
剤」の添加量が0.1質量部以上とすると、光硬化性の
低下を防止して、十分な硬化速度が得られるので好まし
い。また、上記「(C)光酸発生剤」の添加量が15質
量部以下とすることにより、得られる硬化物の耐候性や
耐熱性の低下傾向を防止することができるので好まし
い。
【0043】本発明の誘電体形成用組成物及び感光性誘
電体形成用組成物には、通常、溶剤が含有されている。
上記溶剤としては、本発明の誘電体形成用組成物及び感
光性誘電体形成用組成物を構成する上記各成分及び必要
に応じて含有される後述の各種添加剤の溶解性が良好
で、本発明の誘電体形成用組成物及び感光性誘電体形成
用組成物に適度な粘性を付与することができ、乾燥され
ることによって容易に蒸発除去できるものであることが
好ましい。また、上記溶剤の含有割合については、良好
な流動性が得られる範囲内において適宜選択することが
できるが、通常、上記(A)成分を構成する上記「無機
粒子」又は「誘電体用複合粒子」100質量部に対し
て、1〜10000質量部、好ましくは10〜1000
質量部である。
【0044】上記溶剤の具体例としては、ジエチルケト
ン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアル
コール、n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノ
ール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等の
アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル等のエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチ
ル、酢酸アミル等の飽和脂肪族モノカルボン酸アルキル
エステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチル等の乳酸エ
ステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソ
ルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート
等のエーテル系エステル類等を例示することができ、こ
れらは、単独又は2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0045】本発明の誘電体形成用組成物及び感光性誘
電体形成用組成物は、必須成分である上記各成分の他
に、通常、誘電体形成用組成物及び感光性誘電体形成用
組成物としての基本的性能を維持するために、本発明の
目的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を必要に応じて
適宜添加することができる。このような添加剤として
は、例えば、ラジカル発生剤、脱水剤、光増感剤、有機
溶剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ
性改良剤、界面活性剤、可塑剤、接着助剤、分散剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリ
ング剤、無機充填剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0046】上記ラジカル発生剤としては、一般的なラ
ジカル重合開始剤等を使用することができる。中性の活
性物質であるラジカルは、シラノール基の縮合反応を促
進することはないが、上記(A)成分中にラジカル重合
性の官能基を有する場合に、この官能基の重合を推進さ
せることができる。従って、誘電体形成用組成物及び感
光性誘電体形成用組成物をより効率的に硬化させること
ができるので好ましい。
【0047】上記脱水剤は、感光性誘電体形成用組成物
の保存安定性や光硬化性向上のため必要に応じて添加す
ることができる。上記脱水剤の種類は特に制限されるも
のでないが、有機化合物として、カルボン酸エステル、
アセタール類(ケタール類を含む。)及びカルボン酸無
水物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
が好ましく、無機化合物として、脱水機能を有するセラ
ミック粉体の使用も好ましい。これらの脱水剤は、優れ
た脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の機能を効率的
に発揮することができる。
【0048】上記カルボン酸エステルは、カルボン酸オ
ルトエステルやカルボン酸シリルエステル等の中から選
ばれる。ここで、好ましいカルボン酸オルトエステルと
しては、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト
蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、
オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブ
チル、オルトプロピオン酸メチル及びオルトプロピオン
酸エチル等が挙げられる。また、これらのカルボン酸オ
ルトエステルのうち、より優れた脱水効果を示し、保存
安定性や光硬化性をより向上させることができる観点か
ら、オルト蟻酸エステルが特に好ましい。また、好まし
いカルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチル
シリル、酢酸トリブチルシリル、蟻酸トリメチルシリ
ル、シュウ酸トリメチルシリル等が挙げられる。
【0049】また、好ましいアセタール類としては、例
えば、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチル
アセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、
メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサ
ノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチ
ルアセタール等を挙げることができる。これらのアセタ
ール類は特に優れた脱水効果を示し、光硬化性組成物の
保存安定性や光硬化性をより向上させることができる。
更に、好ましいカルボン酸無水物としては、例えば、蟻
酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、
無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安息香酸無水物等
が挙げられる。特に、無水酢酸及び無水コハク酸は、脱
水効果に特に優れており好ましい。
【0050】また、好ましい脱水機能を有するセラミッ
ク粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリ
カアルミナ粒子、活性白土、ゼオライト、タルク等が挙
げられる。これらのセラミック粉体は、水に対して強い
親和力を有しており、優れた脱水効果を発揮することが
できる。尚、アルミナ粒子及びシリカアルミナ粒子等
は、脱水機能を発揮するばかりでなく、得られた回路基
板の電気特性や機械的特性を向上させるにも役立つので
好ましい。
【0051】上記脱水剤の添加量は特に制限されるもの
ではないが、通常は上記「(C)光酸発生剤」100質
量部に対して0.1〜100質量部、好ましくは0.5
〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。
脱水剤の添加量が0.1質量部未満となると、添加効果
の発現に乏しい傾向があり、また、保存安定性や光硬化
性の向上効果が低い傾向がある。一方、100質量部を
越えると、保存安定性や光硬化性の向上効果が飽和する
傾向がある。
【0052】上記分散剤は、上記「無機粒子」又は「誘
電体用複合粒子」を分散媒体へ分散させるために添加す
ることができる。上記分散剤としては、有機酸が好まし
く用いられ、特に炭素数4〜30の有機酸が好ましい。
上記有機酸の好ましい具体例としては、イタコン酸、フ
マル酸、フタル酸、オクタン酸、ウンデシル酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、
ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸;エライジン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン
酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。そして、こ
れらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することが
できる。また、上記分散剤の含有割合としては、上記
「誘電体用複合粒子」100質量部に対して0.001
〜10質量部であることが好ましく、さらに好ましくは
0.01〜5質量部とされる。
【0053】上記充填剤は、誘電率を向上させるために
添加され、具体的には、アセチレンブラック、ケッチェ
ンブラック等のカーボン微粉、黒鉛微粉等の導電性微粒
子、炭化ケイ素微粉等の半導体性の微粒子等が挙げられ
る。これらの誘電率向上用の充填剤を添加する場合に
は、通常、上記「無機粒子」又は「誘電体用複合粒子」
に対して0〜10質量%、好ましくは0.5〜10質量
%、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0054】本発明の誘電体は、本発明の誘電体形成用
組成物又は感光性誘電体形成用組成物により形成され、
従来よりも低温、具体的には500℃以下の温度で焼成
することができると共に、高い誘電率で、熱損失の小さ
いという特性を備えており、具体的に、誘電率は30以
上、好ましくは100以上、更に好ましくは150以
上、特に好ましくは200以上とすることができる。ま
た、誘電正接は0.1以下、好ましくは0.08以下、
更に好ましくは0.06以下とすることができる。尚、
誘電正接の下限は特に限定されない。更に、本発明の誘
電体の体積抵抗率は1011Ω・cm以上、より好ましく
は1012Ω・cm以上とすることができる。
【0055】本発明の誘電体を形成する方法については
特に限定はない。例えば、塗布機を用いた印刷法によ
り、本発明の誘電体形成用組成物をプリント配線基板等
上に印刷し、次いで、オーブン等を用いて加熱すること
により、本発明の誘電体形成用組成物を硬化あるいは焼
成させて、バンプ状、回路基板のパターン状の誘電体層
を得ることができる。上記塗布機として好ましい装置と
しては、スクリーン印刷機、グラビアコート機、ロール
コート機、バーコーター等が挙げられる。また、上記誘
電体形成用組成物の硬化は、500℃以下の低温で加熱
して行うことが可能であり、好ましくは100〜500
℃、さらに好ましくは150〜300℃である。更に加
熱時間は、好ましくは1分〜24時間、さらに好ましく
は10分〜12時間の範囲である。上記の加熱方法とし
ては、例えば、オーブン、赤外線ランプ、ホットプレー
ト等により加熱することができる。
【0056】また、本発明の感光性誘電体形成用組成物
を用いた誘電体パターンの形成方法としては、例えば、
〔1〕感光性誘電体形成用組成物の塗布工程、〔2〕誘
電体層の露光工程、〔3〕誘電体層の現像工程、〔4〕
誘電体層パターンの硬化工程の各工程で構成される形成
方法が挙げられる。
【0057】上記〔1〕感光性誘電体形成用組成物の塗
布工程は、例えば、塗布機等を用いて、基板上に本発明
の感光性誘電体形成用組成物を塗布する工程である。こ
こで、好ましい塗布機としては、スクリーン印刷機、グ
ラビアコート機、ロールコート機、バーコーター等が挙
げられる。本工程では、例えば、スクリーン印刷機等に
より、本発明の感光性誘電体形成用組成物をプリント配
線基板等上に印刷し、次いで、オーブン等を用いて本発
明の感光性誘電体形成用組成物を乾燥させ、誘電体層を
形成する。
【0058】上記〔2〕誘電体層の露光工程において
は、上記〔1〕の工程で形成された上記誘電体層の表面
に、露光用マスクを介して、放射線を選択的照射(露
光)して、誘電体層にパターンの潜像を形成する。本工
程における上記放射線は、例えば、可視光線、紫外線、
遠紫外線、電子線又はX線等を含むものであり、好まし
くは可視光線、紫外線又は遠紫外線が用いられ、さらに
好ましくは紫外線が用いられる。また、放射線照射装置
は特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィー
法で使用されている紫外線照射装置、半導体及び液晶表
示装置を製造する際に使用されている露光装置等を用い
ることができる。更に、露光用マスクの露光パターンは
目的によって異なるが、例えば、10〜1000μm角
状や円状のドットパターンが用いられる。
【0059】上記〔3〕誘電体層の現像工程において
は、上記〔2〕の工程で露光された誘電体層を現像処理
することにより、誘電体層のパターン(潜像)を顕在化
させる。本工程で使用される現像液としては、アルカリ
現像液を使用することができる。これにより、誘電体層
に含有されるアルカリ可溶性樹脂を容易に溶解除去する
ことができ、また、誘電体層残留部と、誘電体層除去部
とから構成される誘電体層パターン(露光用マスクに対
応するパターン)を形成することができる。尚、誘電体
層に含有される誘電体用複合粒子は、アルカリ可溶性樹
脂により均一に分散されているため、バインダーである
アルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、
誘電体用複合粒子も同時に除去される。
【0060】上記アルカリ現像液の有効成分としては、
例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウ
ム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、
リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リ
ン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリ
ウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウ
ム、ホウ酸カリウム、アンモニア等の無機アルカリ性化
合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMA
H)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロ
キシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエ
チルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピル
アミン、エタノールアミン等の有機アルカリ性化合物等
を挙げることができる。そして、上記アルカリ現像液
は、上記アルカリ性化合物の1種又は2種以上を水等の
溶媒に溶解させることにより調製することができる。こ
こに、上記アルカリ性現像液における上記アルカリ性化
合物の濃度は、通常0.001〜10質量%、好ましく
は0.01〜5質量%である。また、上記アルカリ現像
液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶剤等の添加剤が
含有されていてもよい。
【0061】尚、上記アルカリ現像液による現像処理が
なされた後は、通常、水洗処理が施される。また、必要
に応じて現像処理後に感光性転写層パターン側面及び基
板露出部に残存する不要分を擦り取る工程を含んでもよ
い。また、現像処理条件としては、現像液の種類・組成
・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬
法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現
像装置等を必要に応じて適宜選択することができる。
【0062】上記〔4〕誘電体層パターンの硬化工程に
おいては、上記〔3〕で顕在化された誘電体層のパター
ンを熱硬化処理して、パターンを形成する。本工程にお
いて、熱硬化処理のための加熱温度は通常500℃以下
であり、好ましくは100〜500℃、さらに好ましく
は150〜300℃である。また、加熱時間は通常1分
〜24時間、好ましくは好ましくは10分〜12時間で
ある。更に、加熱方法としては、例えば、オーブン、赤
外線ランプ、ホットプレート等を用いることができる。
【0063】本発明の誘電体形成用組成物又は感光性誘
電体形成用組成物から得られる誘電体は、500℃以下
という温度で加熱焼成して得ることができ、誘電率が3
0以上、好ましくは50以上、更に好ましくは60以上
であり、且つ誘電正接が0.1以下、好ましくは0.0
8以下、更に好ましくは0.06以下であり、薄膜で静
電容量の大きなコンデンサ等を形成することができる。
よって、本発明の誘電体形成用組成物又は感光性誘電体
形成用組成物を用いて形成される誘電体を備えるプリン
ト回路基板、半導体パッケージ、コンデンサ、高周波用
アンテナ等の電子部品は、小型で且つ高密度のものとす
ることができる。
【0064】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。な
お、以下において「部」は「質量部」を示す。また、重
量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC(商
品名「HLC−802A」)により測定したポリスチレ
ン換算の平均分子量である。
【0065】<1>各成分の調製 (1)合成例1;無機粒子の分散体〔1〕 チタン酸バリウム粒子(商品名「BT−02」、堺化学
工業株式会社製、平均粒子径0.2μm、誘電率200
0)100部をイソプロピルアルコール300部にホモ
ミキサーで混合し、更に超音波ホモジナイザー処理する
ことで凝集体のない無機粒子の分散体〔1〕(固形分2
5%)を得た。 (2)合成例2;無機粒子の分散体〔2〕 チタン酸バリウム粒子(商品名「HPBT−1」、富士
チタン株式会社製、平均粒子径0.6μm、誘電率20
00)100部をイソプロピルアルコール300部にホ
モミキサーで混合し、更に超音波ホモジナイザー処理す
ることで凝集体のない無機粒子の分散体〔2〕(固形分
25%)を得た。 (3)合成例3;無機粒子の分散体〔3〕 酸化アルミニウム粒子(バイコフスキー社製、平均粒子
径0.1μm、誘電率10)100部をイソプロピルア
ルコール300部にホモミキサーで混合し、更に超音波
ホモジナイザー処理することで凝集体のない無機粒子の
分散体〔3〕(固形分25%)を得た。
【0066】(4)合成例4;誘電体複合粒子の分散体
〔1〕 無機粒子として、チタン酸バリウム粒子(商品名「HP
BT−1」、富士チタン株式会社製、平均粒子径0.6
μm、誘電率2000)を用い、その表面を無電解銀メ
ッキ法により銀を被覆した。得られた粉末状の誘電体複
合粒子のSEM観察から、粒子表面に銀の微粒子が島状
に部分的に付着しており、また蛍光X線の測定結果から
銀付着量はチタン酸バリウムに対し20質量%付着して
いることを確認した。一方、この誘電体複合粒子の比表
面積は3.0m2/gであった。次いで、得られた誘電
体複合粒子100部をメチルプロピレングリコール30
0部にホモミキサーで混合し、更にビーズミルで処理す
ることで凝集体のない誘電体複合粒子の分散体〔1〕
(固形分25%)を得た。 (5)合成例5;誘電体複合粒子の分散体〔2〕 無機粒子として、チタン酸バリウム粒子(商品名「BT
−02」、堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.2μ
m、誘電率2000)を用い、その表面を無電解銅メッ
キ法により銅を被覆した。得られた粉末状の誘電体複合
粒子のSEM観察から、粒子表面に銅の微粒子が島状に
部分的に付着しており、また蛍光X線の測定結果から銅
付着量はチタン酸バリウムに対し10質量%付着してい
ることを確認した。一方、この誘電体複合粒子の比表面
積は7.0m2/gであった。次いで、得られた誘電体
複合粒子100部をメチルプロピレングリコール300
部にホモミキサーで混合し、更にビーズミルで処理する
ことで凝集体のない誘電体複合粒子の分散体〔2〕(固
形分25%)を得た。
【0067】(6)合成例6;加水分解性シラン化合物
〔I〕 攪拌機付の容器内に、メチルトリメトキシシラン270
g(1.98モル)、メチルオキセタニルメトキシプロ
ピルトリエトキシシラン67.2g(0.22モル)、
及び電気伝導率8.0×10-5S・cm-1のイオン交換
水89.1g(4.95モル)を収容した後、温度60
℃で6時間加熱攪拌することにより、シラン化合物の加
水分解を行った。次いで、メチルイソブチルケトン(以
下、「MIBK」と略記)を滴下しながら、加水分解に
より副生したメタノールを蒸留除去した。そして、最終
的に固形分を75%に調整して、加水分解性シラン化合
物(I)であるポリシロキサン溶液を得た。得られたポ
リシロキサン溶液について、GPCを用いてポリスチレ
ン換算の重量平均分子量を測定したところ、1500と
いう値が得られた。 (7)合成例7;加水分解性シラン化合物〔II〕 攪拌機付の容器内に、テトラメトキシシラン301g
(1.98モル)、メチルオキセタニルメトキシプロピ
ルトリエトキシシラン67.2g(0.22モル)、お
よび電気伝導率8.0×10-5S・cm-1のイオン交換
水89.1g(4.95モル)を収容した後、温度60
℃で6時間加熱攪拌することにより、シラン化合物の加
水分解を行った。次いで、MIBKを滴下しながら、加
水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。そし
て、最終的に固形分を75%に調整して、加水分解性シ
ラン化合物〔II〕であるポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液について、GPCを用いて
ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、
1400という値が得られた。
【0068】<2>誘電体形成用組成物の調製と誘電体
パターンの形成 (実施例1)合成例1の無機粒子の分散体〔1〕400
部(固形分100部)と、合成例6の加水分解性シラン
化合物〔I〕26.7部(固形分20部)とを、よく混
合することにより、実施例1の誘電体形成用組成物を得
た。そして、スクリーン印刷機を用いて、実施例1の誘
電体形成用組成物をプリント配線基板上の所定の位置に
塗布し、塗膜を100℃で5分間予備乾燥して、厚さ5
μmの誘電体層を形成した。次いで、オーブン内で15
0℃の温度雰囲気下で1時間にわたり誘電体層が形成さ
れたプリント配線基板の硬化処理を行って、プリント配
線基板の表面に誘電体パターンを形成した。
【0069】(実施例2)実施例1において、合成例1
の無機粒子の分散体〔1〕に代えて合成例4の誘電体複
合粒子の分散体〔1〕を、合成例6の加水分解性シラン
化合物〔I〕に代えて合成例7の加水分解性シラン化合
物〔II〕を用いる以外は全く同様にして、実施例2の
誘電体形成用組成物〔II〕を得た。そして、実施例1
の誘電体形成用組成物に代えて、実施例2の誘電体形成
用組成物を用いる以外は全て同様にして、厚さ5μmの
誘電体層を形成後、硬化工程を行い、誘電体パターンを
形成した。
【0070】(実施例3)実施例1において、合成例1
の無機粒子の分散体〔1〕に代えて合成例2の無機粒子
の分散体〔2〕を、合成例6の加水分解性シラン化合物
(I)に代えて合成例7の加水分解性シラン化合物(I
I)を用いる以外は全く同様にして、実施例3の誘電体
形成用組成物を得た。そして、実施例1の誘電体形成用
組成物に代えて、実施例3の誘電体形成用組成物を用い
る以外は全て同様にして、厚さ5μmの誘電体層を形成
後、硬化工程を行い、誘電体パターンを形成した。
【0071】(実施例4)実施例1において、合成例1
の無機粒子の分散体〔1〕に代えて合成例5の誘電体複
合粒子の分散体〔2〕を用いる以外は全く同様にして、
実施例4の誘電体形成用組成物を得た。そして、実施例
1の誘電体形成用組成物に代えて、実施例4の誘電体形
成用組成物を用いる以外は全て同様にして、厚さ5μm
の誘電体層を形成後、硬化工程を行い、誘電体パターン
を形成した。
【0072】(比較例1)実施例1において、合成例1
の無機粒子の分散体〔1〕に代えて合成例3の無機粒子
の分散体〔3〕を用いる以外は全く同様にして、比較例
1の誘電体形成用組成物を得た。そして、実施例1の誘
電体形成用組成物に代えて、比較例1の誘電体形成用組
成物を用いる以外は全て同様にして、厚さ5μmの誘電
体層を形成後、硬化工程を行い、誘電体パターンを形成
した。
【0073】<3>評価 得られた上記実施例1〜4及び比較例1の誘電体パター
ンについて、以下の方法により誘電特性及びパターニン
グ特性の評価を行った。その結果を以下の表1に示す。 誘電率、誘電正接及び体積抵抗率 JIS K6481に準拠して測定した。尚、誘電率及
び誘電正接は周波数1MHzの測定値である。 耐湿熱性(HAST試験) 誘電体層について、121℃、湿度100%、2気圧の
条件下で、72時間耐湿熱性試験を行って、試験の前後
で赤外線分光測定を実施し、その変化の程度により、耐
湿熱性を下記基準で評価した。 ○・・・変化がなく耐性が認められる ×・・・変化が大きく耐性が認められない
【0074】
【表1】
【0075】<4>感光性誘電体形成用組成物の調製と
誘電体パターンの形成 (実施例5)上記合成例1の無機粒子の分散体(1)4
00部に、合成例6の加水分解性シラン化合物(I)2
6.7部、光酸発生剤としてのトリフェニルスルフォン
トリフルオロメタンスルフォネート0.2部、増感剤と
しての9−アントラセンメタノール0.07部、及び界
面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名
「メガファックF−172」)0.02部を添加してよ
く混合し、実施例5の感光性誘電体形成用組成物を得
た。次いで、ブレードコーターを用いて、実施例5の感
光性誘電体形成用組成物をプリント配線基板上に塗布
し、塗膜を100℃で5分間乾燥して、厚さ3μmの感
光性誘電体層を形成した。
【0076】そして、感光性誘電体層に対して、露光用
マスク(500μm角のドットパターン)を介して、超
高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を
照射した。ここで照射量は400mJ/cm2とした。
露光工程の終了後、露光処理された感光性誘電体層に対
して、2.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド(TMAH)の水溶液(25℃)を現像液とするシャ
ワー法による現像処理を90秒かけて行った。次いで超
純水による水洗処理を行い、これにより、紫外線が照射
されていない未硬化の感光性誘電体層を除去し、パター
ンを形成した。その後、感光性誘電体層パターンが形成
されたプリント配線基板をオーブン内で150℃の温度
雰囲気下で1時間にわたり硬化処理を行って、プリント
配線基板の表面に誘電体パターンを形成した。
【0077】(実施例6)実施例5において、合成例1
の無機粒子の分散体(1)に代えて合成例4の誘電体複
合粒子の分散体(1)を、合成例6の加水分解性シラン
化合物(I)に代えて合成例7の加水分解性シラン化合
物(II)を用いる以外は全く同様にして、実施例6の
感光性誘電体形成用組成物を得た。そして、実施例5の
感光性誘電体形成用組成物(I)に代えて、実施例6の
感光性誘電体形成用組成物を用いる以外は全て同様にし
て、厚さ3μmの感光性誘電体層を形成後、露光・現像
・硬化工程を行い、誘電体パターンを形成した。
【0078】(実施例7)実施例5において、合成例1
の無機粒子の分散体(1)に代えて合成例2の無機粒子
の分散体(2)を、合成例6の加水分解性シラン化合物
(I)に代えて合成例7の加水分解性シラン化合物(I
I)を用いる以外は全く同様にして、実施例7の感光性
誘電体形成用組成物を得た。そして、実施例5の感光性
誘電体形成用組成物に代えて、実施例7の感光性誘電体
形成用組成物を用いる以外は全て同様にして、厚さ3μ
mの感光性誘電体層を形成後、露光・現像・硬化工程を
行い、誘電体パターンを形成した。
【0079】(実施例8)実施例5において、合成例1
の無機粒子の分散体(1)に代えて合成例5の誘電体複
合粒子の分散体(2)を用いる以外は全く同様にして、
実施例8の感光性誘電体形成用組成物を得た。そして、
実施例5の感光性誘電体形成用組成物に代えて、実施例
8の感光性誘電体形成用組成物を用いる以外は全て同様
にして、厚さ3μmの感光性誘電体層を形成後、露光・
現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを形成した。
【0080】(比較例2)実施例5において、合成例1
の無機粒子の分散体(1)に代えて合成例3の無機粒子
の分散体(3)を用いる以外は全く同様にして、比較例
2の感光性誘電体形成用組成物を得た。そして、実施例
5の感光性誘電体形成用組成物に代えて、比較例2の感
光性誘電体形成用組成物を用いる以外は全て同様にし
て、厚さ3μmの感光性誘電体層を形成後、露光・現像
・硬化工程を行い、誘電体パターンを形成した。
【0081】<5>評価 得られた上記実施例5〜8及び比較例2の誘電体パター
ンについて、走査型電子顕微鏡を用いて、誘電体パター
ンの幅及び高さの測定を行い、幅の精度について、50
0μm±10μmの範囲にあるものを○、それ以外のも
のを×として評価し、また、パターンの欠落についての
観察を光学顕微鏡により行うことにより、パターニング
特性の評価を行った。また、上記<3>に記載の方法に
より、誘電特性の評価を行った。その結果を以下の表2
に示す。
【0082】
【表2】
【0083】<6>実施例の効果 表1より、実施例1〜4では、誘電正接が0.01〜
0.05と低い値を示すと共に、誘電率が74〜235
と高く、高誘電率であることが判る。これに対し、比較
例1では、誘電正接は0.01と低いが、誘電率も8と
低いことが判る。また、表2より、実施例5〜8では、
実施例1〜4と同様に、誘電正接が0.01〜0.05
と低い値を示すと共に、誘電率が70〜230と高く、
高誘電率であることが判る。これに対し、比較例2で
は、誘電正接は0.01と低いが、誘電率も8と低いこ
とが判る。更に、実施例5〜8では、いずれもパターニ
ング特性に優れていることから、寸法精度の高いパター
ンを形成できることが判る。
【0084】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、本発明の誘電体形成用組成物及び感光性誘電体形成
用組成物は、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、
ボールミル、ビーズミル等の混練機を用いて上記各成分
を混練することにより調製することができる。また、本
発明の誘電体の厚さについても特に限定はなく、好まし
くは100μm以下、より好ましくは30μm以下、更
に好ましくは10μm以下である。誘電体の厚さの下限
は特に限定されないが、通常は1μm以上である。
【0085】
【発明の効果】本発明の誘電体形成用組成物及び感光性
誘電体形成用組成物によれば、低温焼成により、高い誘
電率で、熱損失の小さい誘電体層を提供するとともに、
寸法精度の高いパターンを形成することができる。ま
た、本発明の誘電体は、薄膜で高誘電率であり、プリン
ト回路基板、半導体パッケージ、コンデンサ、高周波用
アンテナ等の電子部品等において好適に利用することが
できる。更に、本発明の電子部品は、薄膜で高誘電率の
誘電体を備えることから、従来よりも小型化、薄膜化を
図ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 里美 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 能村 仲篤 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CP031 DE096 EV237 FB076 FD116 FD207 GQ02 5G303 AA05 AB06 AB07 AB15 BA09 BA12 CB30 CB33 CB35 CB40 CC01 CD04 DA05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)誘電率が30以上の無機粒子、又
    は誘電率が30以上の無機粒子の表面の少なくとも一部
    に導電性金属若しくはその化合物、導電性有機化合物又
    は導電性無機物を付着させた誘電体用複合粒子と、
    (B)下記一般式〔1〕で示される加水分解性シラン化
    合物、その加水分解物及びその縮合物からなる群から選
    択される少なくとも一つの化合物と、を含有することを
    特徴とする誘電体形成用組成物。 (R1PSi(X)4-P 〔1〕 (一般式〔1〕中、R1は非加水分解性の有機基であ
    り、その炭素数は1〜12である。また、Xは加水分解
    性基であり、pは0〜3の整数である。尚、上記R 1
    係数[p]及びXの係数[4−p]が2以上の場合、各
    1同士及び各X同士はいずれも同じ基でも異なる基で
    もよい。)
  2. 【請求項2】 500℃以下の加熱で、誘電率が30以
    上、且つ誘電正接が0.1以下の誘電体を形成する請求
    項1記載の誘電体形成用組成物。
  3. 【請求項3】 (A)誘電率が30以上の無機粒子、又
    は誘電率が30以上の無機粒子の表面の少なくとも一部
    に導電性金属若しくはその化合物、導電性有機化合物又
    は導電性無機物を付着させた誘電体用複合粒子と、
    (B)下記一般式〔1〕で示される加水分解性シラン化
    合物、その加水分解物及びその縮合物からなる群から選
    択される少なくとも一つの化合物と、(C)光酸発生剤
    と、を含有することを特徴とする感光性誘電体形成用組
    成物。 (R1PSi(X)4-P 〔1〕 (一般式〔1〕中、R1は非加水分解性の有機基であ
    り、その炭素数は1〜12である。また、Xは加水分解
    性基であり、pは0〜3の整数である。尚、上記R 1
    係数[p]及びXの係数[4−p]が2以上の場合、各
    1同士及び各X同士はいずれも同じ基でも異なる基で
    もよい。)
  4. 【請求項4】 500℃以下の加熱で、誘電率が30以
    上、且つ誘電正接が0.1以下の誘電体を形成する請求
    項3記載の感光性誘電体形成用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の誘電体形成用組成
    物、若しくは請求項3又は4記載の感光性誘電体形成用
    組成物により形成されることを特徴とする誘電体。
  6. 【請求項6】 誘電率が30以上、且つ誘電正接が0.
    1以下である請求項5記載の誘電体。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6記載の誘電体を備えるこ
    とを特徴とする電子部品。
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