JP5200742B2 - 感放射線性組成物、その製造方法、ならびにパターン形成方法 - Google Patents
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Description
例えば、(A)特定の式で表される加水分解性シラン化合物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物と、(B)光酸発生剤を含有する光硬化性組成物が開示されている(特許文献1)。この組成物によれば、酸素の存在下においても、光硬化反応により容易に回路基板を形成可能であるなどの利点がある。
そこで、本発明は、耐クラック性、パターニング性および耐熱性に優れる感放射線性組成物を提供することを目的とする。
[1] 下記成分(A)及び(B)を含有することを特徴とする感放射線性組成物。
(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、該加水分解性シラン化合物の加水分解物、及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる、少なくとも該加水分解物の縮合物を含む1種以上
(B)光酸発生剤
[2] 前記加水分解性シラン化合物が、(a1)下記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(a2)下記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて得られたものである前記[1]に記載の感放射線性組成物。
[3] 前記[2]に記載の感放射線性組成物の製造方法であって、前記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、前記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を得る工程と、該加水分解性シラン化合物と光酸発生剤を混合する工程と、を含む感放射線性組成物の製造方法。
[4] 得られた加水分解性シラン化合物を加水分解および加水分解縮合する工程を含む前記[3]に記載の感放射線性組成物の製造方法。
[5] 前記[1]又は[2]に記載の感放射線性組成物を基板に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜の所望の領域に放射線を照射して硬化させ、次いで、現像処理によって前記塗膜の放射線照射領域以外の未硬化領域を除去することを特徴とするパターン形成方法。
[6] 前記塗膜の放射線照射領域以外の未硬化領域を除去した後に、前記塗膜に加熱処理を施す工程を含む前記[5]に記載のパターン形成方法。
また、本発明の感放射線性組成物によると、優れたパターニング性を得ることができ、微細な形状を有する硬化膜を、容易に形成することができる。
また、本発明の感放射線性組成物によると、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。特に、(A)成分が、前記一般式(1)で表される特定の化合物の加水分解物の縮合物を含む場合、シロキサン結合を組成物中に導入することができるので、クラック耐性にさらに優れた硬化物を得ることができる。
さらに、本発明によると、感放射線性組成物が、シラノール基を有する成分を含むため、希アルカリ水溶液による現像処理を適用することができ、環境負荷の低減等を図ることができる。
以下、各成分ごとに説明する。
[(A)成分]
本発明の感放射線性組成物を構成する(A)成分は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、該加水分解性シラン化合物の加水分解物、及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる、少なくとも該加水分解物の縮合物を含む1種以上である。なお、本発明において、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の一部は、分子中に2つ存在するイミド基に代えて、2つのアミド酸構造を有するもの、または、1つのイミド基および1つのアミド酸構造を有するものであってもよい。
このような加水分解性シラン化合物、その加水分解物、及び加水分解物の縮合物(以下、加水分解縮合物ともいう。)からなる群より選ばれる、少なくとも該加水分解物の縮合物を含む1種以上を用いることにより、クラック耐性に優れた硬化膜を得ることができる。このことは、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物が分子間凝集力の強いイミド基を含有するためと推察される。
特にクラック耐性の観点から、(A)成分は、前記加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物を含むものである。
なお、本明細書において、加水分解性シラン化合物の加水分解物とは、加水分解反応により加水分解性シラン化合物の加水分解性基の一部又は全部がシラノール基に変化した加水分解反応混合物を意味する。加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物とは、該加水分解反応混合物中のシラノール基同士又はシラノール基と加水分解性基との縮合反応により得られるシロキサン縮合物を意味する。
また、成分(A)は、完全加水分解縮合物換算のイミド基濃度が0.1mmol/g〜10mmol/gであることが好ましく、0.5mmol/g〜8mmol/gであることがより好ましく、0.8mmol/g〜5mmol/gであることがさらに好ましく、1mmol/g〜5mmol/gであることが特に好ましい。イミド基濃度が0.1mmol/g未満である場合には、十分なクラック耐性が得られない場合があり、イミド基濃度が10mmol/gを超える場合には、十分な耐熱性が得られない場合がある。
さらに、成分(A)の量は、本発明の感放射線性組成物の固形分を100質量部とした場合に、10質量部以上100質量部未満であることが好ましく、30質量部〜99.99質量部であることがより好ましく、50質量部〜99.9質量部であることがさらに好ましく、80質量部〜99.9質量部であることが特に好ましい。
ここで、反応性誘導体とは、テトラカルボン酸二無水物に変化しうる化合物であり、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の当該無水物に代えて2つのカルボキシル基を有する化合物、これら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がエステル化されたエステル化物である化合物、またはこれら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がクロル化された酸クロライド等が好適に用いられる。
本発明に用いられる(a1)前記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4
’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ビフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのうち、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ビフタル酸二無水物である。
(a1)成分としては、これらのテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
一般式(3)中、R1は非加水分解性の有機基であり、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、または、炭素数6〜12のアリール基を示す。R1が2つ以上存在する場合には、それぞれ同一または異なっていても良い。一般式(3)中、R1は、アルキル基、フェニル基であることが好ましい。
一般式(3)中、R2は、単結合、置換基を有してもよい−CH2−、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニレン基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニレン基、または、置換基を有してもよい炭素数2〜30の二価の芳香族基を示す。
置換基を有してもよい−CH2−としては、例えば、メチレン基、フルオロメチレン基が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、テトラフルオロエチレン基が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基が挙げられる。置換基を有してもよい二価の芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラセネディル基、ピリジネディル基、チオフェネディリル基、フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、メチルフェニレン基、シリルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、アミノフェニレン基、フェニレンメチレンフェニレン基、フェニレンオキシフェニレン基、フェニレンプロピリデンフェニレン基、フェニレン(ヘキサフルオロプロピリデン)フェニレン基が挙げられる。
一般式(3)中、R2は、炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。
炭素数1〜12のアルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。アミノ基の好適な例としては、アミノ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。カルボキシル基の好適な例としては、アセトキシ基、プチロイルオキシ基が挙げられる。
(a2)上記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシランが好ましく用いられる。
(A)成分を得る方法としては、前記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、前記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を得る工程1と、工程1において得られた加水分解性シラン化合物を加水分解および加水分解縮合する工程2を含む方法が挙げられる。
まず、工程1においては、前記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、前記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて、アミド酸構造を有する加水分解性シラン化合物とした後、前記アミド酸構造のイミド化を行うことにより、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を得る。
前記(a1)成分と前記(a2)成分を反応させてアミド酸構造を有する加水分解性シラン化合物を得る方法としては、少なくとも1種の(a2)成分を有機溶媒に溶解した後、得られた溶液に、少なくとも1種の(a1)成分を添加し、0〜100℃の温度で、1〜60時間攪拌する方法が挙げられる。
上記有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の非プロトン系極性溶媒;クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒等が挙げられる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、反応液中の(a1)アシル化合物と(a2)アミノ基含有加水分解性シラン化合物の合計量は、反応液全量の5〜50質量%であることが好ましい。
化学イミド化における脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、もしくは相当する酸クロライド類、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられる。なお、化学イミド化の際には、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
熱イミド化の場合には、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去することができる。
また、イミド化の際には、必要に応じて、ピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等の塩基触媒を用いることができる。
前記の脱水剤又は塩基触媒は、アシル化合物1モルに対し、それぞれ0.1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
イミド化の方法としては、より低温での加熱によってイミド化を行うことができることなどから、化学イミド化が好ましい。
なお、イミド化は、アミド酸構造を有する加水分解性シラン化合物の少なくとも一部、好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上をイミド化するように行われる。
得られたイミド基含有加水分解性シラン化合物と有機溶媒とを含む溶液は、そのまま使用することもできるが、イミド基含有加水分解性シラン化合物等を単離した後、有機溶媒に再溶解して用いることもできる。なお、再溶解する有機溶媒としては、上記有機溶媒と同様のものや、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルラクテート等のプロトン系溶媒が挙げられる。イミド基含有加水分解性シラン化合物等を単離する方法としては、イミド基含有加水分解性シラン化合物等及び有機溶媒を含む溶液を乾燥等により濃縮して、イミド基含有加水分解性シラン化合物等を分離する方法が挙げられる。このような操作をすることにより、イミド化の際に使用した脱水触媒(イミド化触媒)の除去も図ることができる。
工程2においては、前記工程1で得られた加水分解性シラン化合物の加水分解および加水分解縮合を行う。
工程2を行うことにより、(A)成分に少なくとも加水分解縮合物が含まれるため、より優れたクラック耐性を有する硬化膜を得ることができる。
加水分解性シラン化合物を、加水分解および加水分解縮合する方法としては、特に限定されないが、例えば下記1)〜3)の工程からなる方法を挙げることができる。
1)前記一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物を、攪拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、得られた溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。なお必要に応じて触媒を添加することもできる。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中において、有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で攪拌しながら、水を滴下した後、0〜150℃で、1〜24時間の間加熱攪拌する。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは有機溶媒を置換することも好ましい。
溶媒の使用量は、加水分解性シラン化合物100質量部に対して、1〜1000質量部であるのが好ましく、10〜100質量部であるのがより好ましい。
他のシラン化合物としては、例えば、下記一般式(4)または(5)で表される化合物が挙げられる。
R3 aSi(OR4)4−a ・・・(4)
(一般式(4)中、R3は水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、複数存在するR3は同一または異なってもよい。R4は1価の有機基を示し、複数存在するR4は同一または異なってもよい。aは0〜3の整数を示す。)
R5 b(R6O)3−bSi−(R9)d−Oe−Si(OR7)3−cR8 c ・・・(5)
(一般式(5)中、R5〜R8は同一または異なり、それぞれ水素原子、フッ素原子、1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、それぞれ0〜2の数を示し、R9はフェニレン基または−(CH2)m−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dならびにeは0または1を示す。)
前記アルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。前記アルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等を挙げることができる。
一般式(4)において、a=0の化合物の例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができる。特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。
一般式(4)において、a=1の化合物の例としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
一般式(4)において、a=2の化合物の例としては、例えば、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどを挙げることができる。
一般式(4)において、a=3の化合物の例としては、例えば、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニル−エトキシシラン、トリフェニル−n−プロポキシシランなどを挙げることができる。
これらは1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
一般式(5)において、d=e=0である化合物の好適な例としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
一般式(5)において、d=1、e=0である化合物の好適な例としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチルベンゼン)などを挙げることができる。
一般式(5)において、d=1、e=1である化合物の好適な例としては、1−(トリメトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリメトキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(トリエトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタンなどを挙げることができる。
上述した化合物は、1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
他のシラン化合物の配合割合は、一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物との合計量中、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。
(B)成分は、光酸発生剤である。ここで、光酸発生剤は、光等のエネルギー線を照射することにより、(A)成分(上記加水分解性シラン化合物、その加水分解物、及びその加水分解縮合物)を光硬化(架橋)可能な酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。なお、光酸発生剤を分解させて、カチオンを発生するために照射する光エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を挙げることができる。中でも、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が比較的安価で、小型であることから、紫外線を使用することが好ましい。
[R10 aR11 bR12 cR13 dW]+m[MZm+n]−m (6)
[一般式(6)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R10、R11、R12およびR13は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)は、(Wの価数+m)に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MXm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
Qs−〔S(=O)2−R14〕t (7)
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R14は炭素数1〜12の1価の有機基、sは0又は1、tは1又は2である。]
ボレート等が挙げられる。
また、一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH−]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO4 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO4 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
第1群の化合物のうち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、特に好ましくはトリアリールスルホニウム塩、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩あるいはトリアリールヨードニウム塩である。
[R18−Ar1−I+−Ar2−R19][Y−] (9)
[一般式(9)中、R18およびR19は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R18およびR19の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ar1およびAr2はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y−は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 −、CF3 −、SO3 −から選ばれる陰イオンである。]
一般式(8)で表される化合物としては、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジヒドロキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
さらに、ジアリールヨードニウム塩としては、具体的に、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
本発明の感放射線硬化性組成物は、常法により上記(A)成分、(B)成分、及びその他任意成分を混合することにより調製することができる。
本発明の感放射線性組成物を用いてパターンを形成する方法は、まず基板に本発明のポジ型感放射線性組成物を塗布し、加熱により半硬化させ、パターン露光させた後に中和反応を促す露光後ベークを行い、現像液で露光部分を除去するものである。
以下、具体例を挙げながら説明する。
(1)基板の準備
まず、平坦な表面を有する基板を用意する。この基板の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリコン基板やガラス基板等を用いることができる。
(2)塗膜の形成
次に、感放射線性組成物を基板に塗布し、乾燥または加熱して塗膜を形成する。ここで、感放射線性組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を用いることができる。このうち、特に均一な厚さの塗膜が得られることから、スピンコート法を採用することがより好ましい。
また、感放射線性組成物からなる塗膜は、塗布後、50〜200℃で、例えば0.1分〜1時間、プリベークすることが好ましい。ここで塗膜は現像液に対して溶解し、かつタックが出ない半硬化した状態が望ましく、よって50〜150℃の範囲がより好ましい。
(3)放射線照射
塗膜の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して放射線の照射を行う。ここに、照射される放射線の種類としては、特に制限されるものではなく、可視光、紫外線、赤外線、X線、などを用いることができるが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が1〜1,000mW/cm2、照射量が0.01〜5,000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1,000mJ/cm2となるように行なわれて露光される。そして、放射線(紫外線)の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等を用いることが好ましい。
(4)加熱処理
次に、露光後、加熱処理を行うことが好ましい。その加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
(5)現像
このようにして所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対しては、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像処理することができる。したがって、パターン露光後、未硬化部分を除去するとともに、硬化部分を残存させることにより、結果として、パターンを形成することができる。
ここで、現像液としては、有機溶媒、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどのアルカリ類からなるアルカリ水溶液等を用いることができる。
また、アルカリ水溶性を使用する場合、その濃度を、通常0.05〜25質量%、好ましくは0.1〜3.0質量%の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、このようなアルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤などを適当量添加して、現像液として使用することも好ましい。
また、現像時間は、通常30〜600秒間であり、また現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法などの公知の方法を採用することができる。
現像液として有機溶媒を用いた場合はそのまま風乾することにより、また、アルカリ水溶液を用いた場合には流水洗浄を、例えば30〜90秒間行い、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾させることによって表面上の水分を除去することにより、パターン状被膜が形成される。
(6)現像後の加熱処理
次いで、パターニング部をさらに硬化させるために、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置により、例えば30〜350℃の温度で5〜600分間加熱処理すると、硬化した塗膜が形成される。加熱温度としては、100℃〜340℃であることが好ましく、150℃〜330℃であることがさらに好ましく、200℃〜320℃であることが特に好ましい。なお、硬化した塗膜の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜50μmであり、さらに好ましくは3μm〜30μmであり、特に好ましくは5μm〜20μmである。なお、本発明によると、クラックの発生を伴うことなく、10μm以上の厚さの硬化した塗膜を得ることができる。
[(A)成分の調製]
(原料アルコキシシランの合成)
窒素気流下、フラスコに3−アミノプロピルトリエトキシシラン(22.14g)、ジメチルアセトアミド(61.37g)を入れ、攪拌した。次に、窒素気流下、水浴でフラスコを冷やしながらピロメリット酸二無水物(10.91g)を添加し、室温で6時間攪拌後、18時間室温で放置した。次いで、無水酢酸(15.31g)、ピリジン(19.78g)を添加し、110℃で6時間攪拌した。反応後、エバポレーターで触媒及び溶剤を除去した。これを「化合物−1」とする。
以下、同様にして表1に示すように「化合物−2」〜「化合物−4」を合成した。
(シロキサンオリゴマー溶液の合成)
撹拌機、還流管付のフラスコに、化合物−1(19.77g)、フェニルトリメトキシシラン(25.10)、1−メトキシ−2−プロパノール(21.82g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(12.3g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて3時間攪拌した。そして、最終的に固形分を50質量%に調整した(A)成分の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液A−1」とする。
以下、同様にして表2に示すように「A−2」〜「A−7」、「A’−1」、「A’−2」を合成した。
シロキサンオリゴマー溶液A−1((A)成分)30.00g(固形分および有機溶媒)に対し、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート((B)成分)0.15g、ジグリセリンEO付加物パーフルオロノニネルエーテル0.03gを添加し、均一に混合することにより、「組成物1」を得た。
以下、同様にして表3に示すように、「組成物2」〜「組成物9」を調製した。
得られた組成物を用いて、下記の方法により耐クラック性、パターニング性、耐熱性を評価した。
[クラック耐性]
組成物をシリコン基板上に厚さ10μmになるようにスピンコータで塗布し、この塗膜を120℃で1分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射し、その後、300℃にて1時間加熱、自然冷却し、組成物の硬化膜を作製した。得られた硬化膜を、光学顕微鏡にてクラック発生の有無を観察し、クラックが確認されなかった場合を「○」、確認された場合を「×」とした。
[パターニング性]
組成物をシリコン基板上に厚さ10μmになるようにスピンコータで塗布し、この塗膜を100℃で3分間乾燥させた後、幅50μmのパターンを刻んだフォトマスクを用いて、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射することにより、露光を行った。その後、この基板を80〜120℃にて1分間加熱した後、5%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液中に浸漬して未露光部を溶解し、次いで、水洗浄した。その後、300℃にて1時間加熱、自然冷却し、組成物の硬化物からなるパターンを形成した。基板をへき開して、パターンの端面出しを行い、光学顕微鏡にてパターン形状を観察した。形状が矩形であった場合を「○」とし、台形であったり、パターントップが丸いもの、パターニングできなかった場合を「×」とした。
[耐熱性]
組成物をシリコン基板上に厚さ10μmになるようにスピンコータで塗布し、この塗膜を120℃で1分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射し、その後、300℃にて1時間加熱、自然冷却し、組成物の硬化膜を作製した。カッターナイフ等で基板より硬化物を削り、TG−DTAにて熱重量減少を調べた。3%重量減少温度が300℃以上である場合を「○」、それ以外の場合を「×」とした。
Claims (6)
- 下記成分(A)及び(B)を含有することを特徴とする感放射線性組成物。
(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、該加水分解性シラン化合物の加水分解物、及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる、少なくとも該加水分解物の縮合物を含む1種以上
(B)光酸発生剤 - 前記加水分解性シラン化合物が、(a1)下記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(a2)下記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて得られたものである請求項1に記載の感放射線性組成物。
- 請求項2に記載の感放射線性組成物の製造方法であって、
前記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、前記一般式(3)で表されるアミノ基含有加水分解性シラン化合物とを反応させて、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を得る工程と、
該加水分解性シラン化合物と光酸発生剤を混合する工程と、
を含む感放射線性組成物の製造方法。 - 得られた加水分解性シラン化合物を加水分解および加水分解縮合する工程を含む請求項3に記載の感放射線性組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の感放射線性組成物を基板に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜の所望の領域に放射線を照射して硬化させ、次いで、現像処理によって前記塗膜の放射線照射領域以外の未硬化領域を除去することを特徴とするパターン形成方法。
- 前記塗膜の放射線照射領域以外の未硬化領域を除去した後に、前記塗膜に加熱処理を施す工程を含む請求項5に記載のパターン形成方法。
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